管球、反射鏡付き管球、および照明装置
【課題】2個のフィラメントコイル(発光部)でフィラメント体を構成するといった簡易な構成をとりつつも、中心部が暗くならないスポットライトの得られる管球を提供すること。
【解決手段】凹面状の反射面を有する反射鏡内に組み込まれて使用される管球の一種であるハロゲン電球であって、気密封止されたバルブと当該バルブ内に設けられたフィラメント体60とを備えるハロゲン電球において、フィラメント体60を、短軸SXと長軸LXとを有する扁平な横断面の筒状に巻回されてなる一重のコイル状をした第1および第2発光部62A,64Aで構成すると共に、前記バルブの中心軸Bからの第1発光部62Aの発光中心62CPの距離と第2発光部64Aの発光中心64CPの距離とが異なるように、第1発光部62Aと第2発光部64Aを配した。
【解決手段】凹面状の反射面を有する反射鏡内に組み込まれて使用される管球の一種であるハロゲン電球であって、気密封止されたバルブと当該バルブ内に設けられたフィラメント体60とを備えるハロゲン電球において、フィラメント体60を、短軸SXと長軸LXとを有する扁平な横断面の筒状に巻回されてなる一重のコイル状をした第1および第2発光部62A,64Aで構成すると共に、前記バルブの中心軸Bからの第1発光部62Aの発光中心62CPの距離と第2発光部64Aの発光中心64CPの距離とが異なるように、第1発光部62Aと第2発光部64Aを配した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管球、反射鏡付き管球、および照明装置に関し、特に、管球におけるフィラメント体の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
反射鏡付き管球の一種である反射鏡付きハロゲン電球は、凹面状をした反射面を有する反射鏡とハロゲン電球とを組み合わせてなるものであり、例えば、店舗などのスポット照明用として使用されている。
ハロゲン電球は、気密封止されたバルブ内にフィラメント体が収納されてなる構成を有している。ハロゲン電球を反射鏡と組み合わせて使用する場合には、フィラメント体をできるだけコンパクトにして、その発光領域を可能な限り反射鏡の焦点位置に集中させることによって、集光効率を向上させることができる。この場合に、発光領域を特に反射鏡の光軸方向に縮小することが、集光効率を向上させるためには効果的であることが知られている。
【0003】
しかしながら、一般的に、ハロゲン電球の定格電圧[V]、定格電力[W]、および定格寿命(例えば、3000時間)が決まると、これに応じて、フィラメント体を構成するタングステン線の線径や長さが実質的に定まってしまう。したがって、例えば、単純にタングステン線の長さを短縮することによってフィラメント体のコンパクト化を図ることは困難である。
【0004】
そこで、定格電圧100[V]以上のハロゲン電球において、実用化されているものは、一般的に、フィラメント体のコンパクト化を図るため二重巻きコイルが用いられている。また、特許文献1には、さらなるコンパクト化のため、フィラメント体として、三重巻きコイルを用いたハロゲン電球が開示されている。これによれば、タングステン線の長さが同じであれば、反射鏡の光軸方向におけるコイル全体の長さを短縮でき、もって集光効率が向上することとなるからである。
【0005】
しかしながら、コイルの重ね巻数を増やせば増やすほど、ハロゲン電球に外力(衝撃力)が加えられた際に生じるコイルの振動の振幅が大きくなり、これが原因で断線し易くなるといった問題が生じる。
この問題を解決しつつ、フィラメント体のコンパクト化(光軸方向の短縮化)を図れるハロゲン電球として、特許文献2には、3個または4個の一重コイルが全体的に反射鏡の光軸に対して対称となるように各々の一重コイルを反射鏡の光軸と平行に配したものが開示されている。これにより、3個または4個の一重コイルに相当するものを1個の一重コイルで作製した場合と比較して、光軸方向の長さが短縮されるので、集光効率が向上することとなる。また、各々のコイルは一重なので、上記振動に因る問題も軽減される。
【0006】
さらに、特許文献3には、フィラメント体を4〜6個の一重コイルで構成すると共に、その内の1個を、反射鏡の光軸を含む位置に配する構成としたハロゲン電球が開示されている。光軸位置にコイル(すなわち、発光部)が存するのと存しないのとでは得られる照度に大きな差が生じると、一般的に考えられているからである。
しかしながら、3個以上の一重コイルでフィラメント体を構成するのは、コイル間を電気的に接続すると共に各コイルを支持する支持構造体が複雑になり、また、コイルの支持構造体への組み付けが困難になって現実的ではない。
【0007】
そこで、本願の発明者らは、フィラメント体を2個の一重コイルで構成すると共に、各々の一重コイルを、素線を扁平な筒状に巻回してなるもの(以下、「扁平コイル」と称する。)としたフィラメント体を創作した。すなわち、フィラメント体を、扁平状に一重巻きされた2箇所が通電状態で発光する構成とした。
これによれば、素線を円筒状に巻回してなる従来の一重コイル(以下、「円筒コイル」と称する。)と比較して、(扁平な筒の短軸長さと円筒の直径とが等しいとした場合)1ターン当たりの素線長を長くすることができる関係上、タングステン線の素線長が同じであれば、コイル長を短くできる。その結果、3個以上の円筒コイルでフィラメント体を構成した場合と同等の、光軸方向におけるフィラメント体の短縮化ができることとなる。ここで、通電状態で発光する上記2箇所の各々を「発光部」と称することとする。
【0008】
また、反射鏡の光軸に関する対称性を考慮して、2つの発光部(扁平コイル)は、前記光軸に対して対称となる位置に配した。
【特許文献1】特開2001−345077号公報
【特許文献2】特表平6−510881号公報
【特許文献3】特開2002−63869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、2つの発光部を有する上記構成のフィラメント体を備えたハロゲン電球を反射鏡に組み込んでスポットライト照明として用いた場合、照射面におけるスポットライトの中心部が暗くなり、その周囲が明るくなるといったいわゆるドーナッツ状のスポット形状になることが判明した。すなわち、配光曲線において、そのピークが2箇所に現れる双峰性が出現することが判明した。また、この傾向は、反射鏡におけるビームの開きが狭角となる程、顕著に現れることが認められた。このようなスポット形状は、対象物を文字通りスポット的に浮かび上がらせるためのスポット照明として、好ましくないことは言うまでもない。
【0010】
本発明は、上記した課題に鑑み、扁平コイル状をした発光部2つでフィラメント体を構成するといった簡易な構成をとりつつも、配光曲線における双峰性を解消して、中心部が暗くならないスポットライトの得られる管球を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような管球を有する反射鏡付き管球、および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係る管球は、凹面状の反射面を有する反射鏡内に組み込まれて使用される管球であって、気密封止されたバルブと当該バルブ内に設けられたフィラメント体とを備え、前記フィラメント体は、扁平状に一重巻きされた2箇所が通電状態で発光する構成とされ、一方の発光箇所を第1発光部、他方の発光箇所を第2発光部とした場合、前記バルブの中心軸からの第1発光部の発光中心の距離と第2発光部の発光中心の距離とが異なるように、第1発光部と第2発光部が配されていることを特徴とする。
【0012】
また、第1および第2発光部は、各々のコイル軸心が前記中心軸と略平行となる姿勢で配されていることを特徴とする。
また、第1発光部は、そのコイル軸心が前記中心軸と略平行となり、第2発光部は、そのコイル軸心が前記中心軸に対して傾いた姿勢で配されていることを特徴とする。
また、第1発光部と第2発光部とは、そのコイル軸心が前記中心軸と平行となる姿勢から、両発光部の前記反射鏡の光照射開口部側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配されていることを特徴とする。
【0013】
また、第1発光部と第2発光部とは、そのコイル軸心が前記中心軸と平行となる姿勢から、両発光部の前記反射鏡の光照射開口部とは反対側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配されていることを特徴とする。
また、前記フィラメント体は、フィラメント線が扁平に一重巻きされてなるフィラメントコイルを、その長手方向ほぼ中央部で屈曲させて構成したものであり、屈曲部からフィラメントコイルの一端部に至る間に第1発光部が、他端部に至る間に第2発光部が存することを特徴とする。
【0014】
さらに、第1発光部および第2発光部の一方が、前記中心軸を含む位置に配されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る反射鏡付き管球は、反射鏡と、前記反射鏡内に組み込まれている、上記した管球とを有することを特徴とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る照明装置は、反射鏡を有する照明器具と、前記反射鏡内に組み込まれている、上記した管球とを有することを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明に係る照明装置は、照明器具と、前記照明器具に取り付けられている、上記した反射鏡付き管球とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記構成からなる管球によれば、バルブの中心軸に近い方の発光中心に係る発光部の配光曲線の形状に及ぼす影響が前記中心軸から遠い方の発光中心に係る発光部の配光曲線の形状に及ぼす影響よりも支配的になる結果、配光曲線における双峰性が解消されて、中心部が暗くないスポットライトが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係る照明装置10の概略構成を示す一部切欠き図である。なお、図1を含む全ての図面において、各部材間の縮尺は統一していない。
照明装置10は、例えば、住宅、店舗、あるいはスタジオ等におけるスポットライト照明として用いられる。照明装置10は、照明器具12と管球の一例として示すハロゲン電球14とを有する。
【0018】
照明器具12は、有底円筒状をした器具本体16と器具本体16に収納された反射鏡18とを有する。
器具本体16の底部には、ハロゲン電球14の口金30(図2参照)を取り付けるための受け具(図示せず)が設けられている。なお、器具本体16は、円筒状に限らず、種々の公知形状とすることができる。
【0019】
反射鏡18は、ハロゲン電球14を取替え可能とするため、器具本体16に対し、着脱可能である。
反射鏡18は、漏斗状をした硬質ガラス製基体20を有する。基体20において回転楕円面または回転放物面等に形成された凹面部分20Aには、反射面を構成する多層干渉膜22が形成されている。多層干渉膜22は、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等で形成することができる。反射鏡18の開口径(ミラー径)は100mmであり、ビームの開き(ビーム角)が、狭角(約10°)のものである。なお、反射面には必要に応じてファセットを形成してもよい。
【0020】
反射鏡18は、基体20の開口部(光照射開口部)に設けられた前面ガラス24を有する。本例では、前面ガラス24は基体20に固着されており、ハロゲン電球14の取替えのため、基体20部分が器具本体16と着脱自在な構成となっているが、これに限らず、基体を器具本体に固定し、前面ガラスを基体に対し着脱自在な構成としても構わない。
ハロゲン電球14は、前記受け具(不図示)に取り付けられ、反射鏡18内に組み込まれて使用される。組み込まれた(取り付けられた)状態で、ハロゲン電球14の後述するバルブ26の中心軸Bが反射鏡18の光軸Rとが略同軸上に位置することとなる(中心軸Bと光軸Rとが略一致することとなる)。ハロゲン電球14は、定格電圧が100[V]以上150[V]以下で、かつ定格電力が100[W]以下に設定された電球である。
【0021】
図2に、ハロゲン電球14の一部切欠き正面図を示す。
ハロゲン電球14は、気密封止されたバルブ26と、バルブ26の後述する封止部38側に接着剤28によって固着された、例えばE型の口金30とを有している。
バルブ26は、封止切りの残痕であるチップオフ部32、後述するフィラメント体60等を収納するフィラメント体収納部34、略円筒状をした筒部36、および公知のピンチシール法によって形成された封止部38がこの順に連なった構造をしている。
【0022】
フィラメント体収納部34は、図2に示すように、略回転楕円体形状をしている。ここで言う「略回転楕円体形状」とは、完全な回転楕円体形を含むことはもちろんのこと、ガラスの加工上ばらつく程度分、完全な回転楕円体形からずれた形状を含むことを意味している。なお、フィラメント体収納部は、上記した形状に限らず、例えば、略円筒形状や略球形状、あるいは略複合楕円体形状としても構わない。
【0023】
また、バルブの構造も上記したものに限らず、例えば、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、フィラメント体収納部、封止部がこの順に連なったものとすることができる。
なお、フィラメント体収納部34の外面には赤外線反射膜が形成されている。もっとも、この赤外線反射膜は必ずしも必要なものではなく、適宜形成されるものである。
【0024】
バルブ26内には、ハロゲン物質と希ガスとがそれぞれ所定量封入されている。これに加えて、窒素ガスを封入することとしても構わない。
ハロゲン物質は、点灯中、ハロゲンサイクルによって、フィラメント体60から蒸発したその構成物質であるタングステンを再びフィラメント体60に戻し、バルブ26の黒化を防止するためのものである。ハロゲン物質の濃度は10[ppm]〜300[ppm]の範囲内にあることが好ましい。また、ハロゲンサイクルを活性化させるためには、バルブ26内面における最冷点温度が200[℃]以上であることが好ましい。さらに、ハロゲンサイクルを適切に機能させるためには、バルブ26内の酸素濃度を100[ppm]以下にすることが好ましい。
【0025】
希ガスには、クリプトンガスを用いることが好ましい。クリプトンガスを用いることにより、集光効率を高める目的でフィラメント体をコンパクト化するため、後述するように発光部同士を近接配置しているにもかかわらず、隣接する発光部間の任意の場所で点灯時にアーク放電が発生して、断線するのを抑制するといった効果が得られる。
特に、封入ガスは、クリプトンを主成分とした、窒素ガスおよびハロゲン物質を含むものとし、バルブ26内での常温時におけるガス圧を2[atm]〜10[atm]の範囲内に設定することが好ましい。当該ガス圧が10[atm]を超えると、万一バルブ26が破損した場合に、飛散する破片で照明器具が破損するおそれがあり、一方、2[atm]未満であると、フィラメント体60の構成物質であるタングステンが蒸発し易く、ランプ寿命が短くなるからである。換言すると、ガス圧の上記範囲は、当該ガス圧が適度に抑制されているため、万一バルブ26が破損したとしても、照明器具が破損するほどの勢いで破片が飛散せず、かつ、当該ガス圧が適度に高いため、フィラメント体60の構成物質であるタングステンが蒸発しにくく、長寿命化を実現でき、さらには、点灯時に隣接する発光部間の任意の場所で点灯時にアーク放電が発生して、断線するのを抑制することができる範囲である。
【0026】
また、封入ガスに窒素ガスを含ませる場合、窒素ガスの組成比率は8[%]〜40[%]の範囲内に設定することが好ましい。窒素ガスの組成比率が40[%]を超えると、点灯中にフィラメント体60で発生する熱が窒素ガスを介して過度に放出され、効率が低下するおそれがあり、一方、8[%]未満であると、点灯時に隣接する発光部間でアーク放電が起きやすく、断線が発生し易いからである。換言すると、窒素ガスの上記組成比率範囲は、窒素ガスの組成比率が適度に抑制されているため、点灯中にフィラメント体60で発生する熱が窒素ガスを介して過度に放出されることにより効率が低下するのを防止することができると共に、窒素ガスが適度に含まれているため、点灯時に隣接する発光部管でアーク放電が発生し、断線するのを抑制することができる範囲である。
【0027】
封止部38内には、一対の金属箔40,42が封着されている。金属箔40,42はモリブデン製である。なお、封止部38に封着されている金属箔40,42の過熱による酸化が原因で、バルブ26の気密性が損なわれるのを防止するため、封止部38の表面を凹凸にして、当該表面積を増やし、封止部38での放熱性を向上させることが好ましい。
金属箔40の一端部には外部リード線44の一端部が、金属箔42の一端部には外部リード線46の一端部が、それぞれ接合されて電気的に接続されている。外部リード線44,46は、タングステン製である。外部リード線44,46の他端部は、バルブ26の外部に導出されていて、それぞれ、口金30の端子部48,50に電気的に接続されている。
【0028】
ここで、2本の外部リード線44,46の内、少なくとも一方の外部リード線と口金30の対応する端子部(48または50)との間に、ヒューズ(図示せず)を設けておくことが好ましい。当該ヒューズを設けることにより、万一、発光部で断線が生じ、その断線箇所でアーク放電が発生したとしても、即座にヒューズが溶断されてアーク放電の継続を絶ち、もってアーク放電の衝撃でバルブ26が破損等するのを防止できる。特に、複数の発光部を近接して配置する場合には、両方の外部リード線44,46と口金30の対応する端子部48,50とのそれぞれの間にヒューズを設けることが好ましい。この場合には、発光部での断線に起因するアーク放電が発生しなくても、隣接する発光部間でアーク放電が発生するおそれがあるからである。
【0029】
金属箔40の他端部には内部リード線52の一端部が、金属箔42の他端部には内部リード線54の一端部が、それぞれ接合されて電気的に接続されている。内部リード線52,54は、タングステン製である。内部リード線52,54の一端部は、バルブ26の封止部38で支持されている。内部リード線52,54は、口金30を介して供給される外部電力をフィラメント体60に給電すると共に、フィラメント体60の一部を直接に支持する支持部材としての役割を果たす。
【0030】
図3に、フィラメント体60を支持する支持構造体を示す斜視図を、図4に、当該支持構造体にフィラメント体60が支持された状態を示す斜視図をそれぞれ示す。
図3に示すように、フィラメント体60の一部を直接に支持する支持部材としては他に、タングステンからなるサポート線56がある。
内部リード線52,54、サポート線56は、一対の円柱状ステムガラス57,59で挟持されている。これによって、サポート線56が支持されると共に、内部リード線52,54、サポート線56相互間の相対的な位置が保持されることとなる。
【0031】
図4に示すように、フィラメント体60は、第1フィラメントコイル62および第2フィラメントコイル64の2個のフィラメントコイルからなる。第1および第2フィラメントコイル62,64は、タングステン線を後述するように巻回したものである。
内部リード線52,54、サポート線56は、フィラメントコイル62,64の端部部分に挿入されて、フィラメントコイル62,64を支持するための「コ」字状に屈曲した部分(以下、この部分を「コイル支持部」と称する。)を1箇所または2箇所有する。
【0032】
ここで、第1フィラメントコイル62は、内部リード線52のコイル支持部52A(図3参照)とサポート線56のコイル支持部56A(図3参照)とで支持されている。
第2フィラメントコイル64は、サポート線56のコイル支持部56B(図3参照)と内部リード線54のコイル支持部54A(図3参照)とで支持されている。
また、図4から明らかなように、第1フィラメントコイル62と第2フィラメントコイル64の一端部同士は、サポート線56で電気的に接続されている。すなわち、第1フィラメントコイル62と第2フィラメントコイル64は、導電性を有する接続部材として機能するサポート線56によって直列に接続されている。
【0033】
図4に示す状態で、内部リード線52,54から給電すると(すなわち、通電状態で)、第1および第2フィラメントコイル62,64は、コイル支持部が挿入されている部分では発光せずに(非発光部)、コイル支持部間で発光する。ここで、各フィラメントコイル62,64におけるコイル支持部間の部分(すなわち、発光する部分)を、それぞれ第1発光部62A、第2発光部64Aと規定することとする。すなわち、フィラメント体60は、一重のコイル状をした2個の発光部62A,64Aを有している。
【0034】
また、図4に示すように、第1、第2フィラメントコイル62,64(第1、第2発光部62A,64A)は、扁平な筒状に巻回されてなる一重コイル(以下、「扁平コイル」と略称する。)状をしている。このような形状にしたのは、以下の理由による。すなわち、特許文献2や特許文献3に記載されているような、円筒状に巻回されてなる従来の一重コイル(以下、「円筒コイル」と略称する。)と比較して、(扁平な筒の短軸長と円筒の直径が等しいとした場合)1ターン当たりの素線長を長くすることができる関係上、タングステン線の素線長が同じであれば、コイル長を短縮でき、もって、反射鏡の光軸方向(バルブ中心軸)におけるフィラメントコイル(発光部)の縮小化が図れることとなるからである。なお、コイルを扁平にすることにより、反射鏡の光軸と交差する方向の長さは、円筒状に巻回されたコイルよりも長くなるものの、集光効率の向上には、光軸と交差する方向よりも光軸方向に短縮する方の効果が大きいので問題はない。
【0035】
扁平コイルであるフィラメントコイル62,64は、以下のようにして作製される。
すなわち、図5に示すように、円柱状をした芯線(マンドレル)66を複数本(図示例では4本)、平行かつ一列に密着させて並べたものの外周に、タングステン線68を巻回した後、芯線66を溶解して作製する。
図6の上部に示すのは、第1フィラメントコイル62をそのコイル軸心CX方向から視た平面図を模式的に表したものであり、図6の下部に示すのは、同正面図を模式的に表したものである。
【0036】
第1、2フィラメントコイル62,64は略同一形態なので、第1フィラメントコイル62を代表にして説明する。
図6の上部に示すように、第1フィラメントコイル62は、そのコイル軸心CX方向から見て、平行に配された2本の線分の対応する端同士を半円で結んでなる、いわゆる(陸上競技の)トラック形状をしている。この形状は、上記した作製方法に由来するものであり、芯線66の本数が多いほど、より扁平したトラック形状となる。すなわち、芯線66の本数で、扁平の度合い(扁平率)を調整することができる。
【0037】
ここで、扁平率は、第1フィラメントコイル62内周における長軸LXの長さを短軸SXの長さで除して得られる値と規定する。本例では、上記した製作法を採る関係上、扁平率は整数の値となり、一例として、扁平率を4としている。
また、上述したとおり、図6の下部に示すように、第1フィラメントコイル62は、コイル支持部52Aとコイル支持部56A(図3、図4)で支持された両端部部分の非発光部62Bと両コイル支持部52A,56A間部分の発光部62Aとを有している。ここで、フィラメントコイルの「発光中心」を定義する。第1フィラメントコイル62を例にして定義すると、「発光中心62CP」は、コイル軸心CX上に在って、発光部62Aの全長Lにおける真ん中の位置とする。第1フィラメントコイル62の仕様の一例をまとめると以下のようになる。
【0038】
長軸LX長さ(長内径):1.4mm
短軸CX長さ(短内径):0.35mm
発光部全長L(有効コイル長さ):4.5mm
素線(タングステン線)径:0.05mm
なお、発光部全長Lは、上記の値に限らず2.5mm〜6.5mmの範囲で設定可能である。この範囲は、後述する全てのフィラメント体における発光部の全長に適用できるものである。
【0039】
図7の上部に示すのは、内部リード線52,54、サポート線56に取り付けられた状態の第1、第2フィラメントコイル62,64を、バルブ26の中心軸B(図1、図2)方向から見た平面図を模式的に表したものであり、図7の下部に示すのは、同正面図を模式的に表したものである。なお、ハロゲン電球14を反射鏡18に組み込んだ状態においては、図7は、反射鏡18の光軸R(図1)方向から、第1、第2フィラメントコイル62,64を見た図とも言える。ここで、図7は、第1、第2フィラメントコイル62,64間の配置位置の関係等を説明する目的で用いるため、本図において、内部リード線52,54の図示は省略し、サポート線56は、第1、第2フィラメントコイル62,64間の電気的な接続関係を示す目的で、単に線で表した。また、下部の正面図では、第1、第2フィラメントコイル62,64の第1、第2発光部62A,64Aを実線で、非発光部62B,64Bを二点鎖線でそれぞれ表した。
【0040】
図7に示すように、第1フィラメントコイル62(第1発光部62A)と第2フィラメントコイル64(第2発光部64A)とは、(i)各々のコイル軸心CXが中心軸Bと略平行となり、(ii)両コイル軸心と中心軸Bとが略同一平面上に在り、(iii)両長軸LX同士が略平行となる姿勢で、間隔D1を空けて設けられている。ここで、コイル間隔D1は、一例として0.9mmに設定している。
【0041】
また、中心軸Bからの第1フィラメントコイル62(第1発光部62A)の距離D2と第2フィラメントコイル64(第2発光部)の距離D3とを異ならせている。すなわち、中心軸Bからの第1発光部62Aの発光中心CPの距離と第2発光部64Aの発光中心CPの距離とを異ならせている。本例では、D2=0.15mm、D3=0.75mmに設定している。ここで、D1,D2,D3に関し、上記した値に設定されてなるフィラメント体を備えるハロゲン電球を「第1実施例電球」とする。
【0042】
ここで、コイル間隔D1を、第1実施例電球と同じく、0.9mmに設定し、D2とD3に関しては、D2=D3=0.45mmに設定したフィラメント体を備えるハロゲン電球を「第1比較電球」とする。すなわち、第1比較電球は、中心軸Bに対して2個のフィラメントコイル(発光部)が対称に配されてなるフィラメント体を有するものであり、[発明が解決しようとする課題]で言及したような、配光特性に問題が生じる電球である。
【0043】
第1実施例電球と第1比較電球に関し、これらを反射鏡と組み合わせた場合の配光特性について調査した。調査は以下の条件で行った。市販されている反射鏡付きハロゲン電球(松下電器産業株式会社製、品番JDR110V65WKN/5E11)に付属しているハロゲン電球を、第1比較電球または第1実施例電球と取り替えた。上記反射鏡付きハロゲン電球はビームの開き(ビーム角)が、狭角(約10°)のものである。このようにしてできた2つの反射鏡付きハロゲン電球の各々を定格電圧110[V]、定格電力65[W]で点灯させた場合の、当該反射鏡付きハロゲン電球から距離1[m]離れた照射面における配光特性(配光曲線)について調査した。なお、第1比較電球、第1実施例電球以外の後述する比較電球、実施例電球の配光特性も、上記と同様にして調査したので、その条件等についてのその都度の説明については省略することとする。
【0044】
調査結果を図9に示す。図9において、第1比較電球に係るものは破線で、第1実施例電球に係るものは一点鎖線で表した。
第1比較電球について見ると、配光曲線のピークが2箇所に現れる双峰性が認められる。すなわち、既述したように、中央部が暗くその周囲が明るいスポットライトになっている。
【0045】
これに対し、第1実施例電球では、双峰性が解消されて配光曲線のピークは単一になっている。すなわち、最も明るい部分を中心としたほぼ対称性のある良好な配光特性のスポットライトになっている。これは、中心軸Bからの発光中心62CP(図7)の距離と発光中心64CPの距離を異ならせることにより、中心軸Bに近い方の発光中心62CPに係る第1発光部62Aの配光曲線の形状に及ぼす影響が中心軸Bから遠い方の発光中心64CPに係る第2発光部64Aの配光曲線の形状に及ぼす影響よりも支配的になるためであると考えられる。
【0046】
図8に示すのは、第1フィラメントコイル62(第1発光部62A)をさらに中心軸Bに近づけ、第2フィラメントコイル64(第2発光部64A)をさらに中心軸Bから遠ざけたフィラメント体70である。フィラメント体70では、中心軸Bを含む位置に第1フィラメントコイル62(第1発光部62A)を配することとした。なお、フィラメント体70でも、コイル間隔D4は0.9mmとした。フィラメント体70を備えるハロゲン電球を「第2実施例電球」とし、これに関する配光特性について調査した。
【0047】
調査結果を図9において実線で示す。
図9に実線で示すように第2実施例電球によれば上記双峰性が解消されると共に、第1実施例電球よりも照度の最高値が大きくなっている。しかしながら、ピークを境にした左右の対称性が若干損なわれている。コイル間隔D4を2mmに設定したハロゲン電球(以下、「第3実施例電球」と言う。)でも、図11に実線で表した配光曲線で示す通り、第2実施例電球と同様の配光特性となった。
【0048】
そこで、配光曲線の非対称性の改善を図るべく、第2フィラメントコイル64(第2発光部64A)を、中心軸Bに対して傾けてみることとした。そのようにしたフィラメント体72を図10に示す。フィラメント体72は、図8に示す状態から、第1発光部62Aと第2発光部64Aの一方端部間の間隔は維持したまま(D4=D5=2mm)、第2発光部64Aの当該端部の角部を中心に角度α=20°傾けたものである。フィラメント体72を備えるハロゲン電球(以下、「第4実施例電球」と言う。)の配光曲線を図11に一点鎖線で示す。このように、中心軸Bから遠い方の第2フィラメントコイル64(第2発光部64A)を傾けることにより、配光曲線がピークを境に略左右対称な形となり、配光特性が改善されることがわかる。
【0049】
第4実施例電球(図10)では、一方のフィラメントコイルのみを中心軸Bに対して傾けることとしたが、両方のフィラメントコイルを中心軸Bに対して傾けることとしても構わない。図12は、そのように構成したフィラメント体74を示す図である。
フィラメント体74は、第1発光部62Aと第2発光部64Aの一方端部間の間隔D6(=2mm)を維持したまま、第1発光部62Aと第2発光部64Aの当該端部の角部を中心に角度β=γ=7°傾けたものである。換言すると、フィラメント体74は、第1発光部62Aと第2発光部64Aとを、そのコイル軸心CXが中心軸Bと平行となる図7に示すような姿勢から、両発光部62A,64Aの、反射鏡18の前記光照射開口部側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配したものである。なお、本例では、第1発光部62A、第2発光部64A共に同じ角度分(β=γ=7°)傾けることとしたが、両者の傾き角β,γは異なっていても構わない。また、傾き角は7°に限らないことは言うまでもない。
【0050】
また、本例でも、第1発光部62Aの発光中心62CPを第2発光部64Aの発光中心64CPよりも中心軸Bに近づけている。因みに、図12に示す距離D7は0.4mmで距離D8は1.6mmである。
ここで、上記のように構成したフィラメント体74を備えるハロゲン電球を「第5実施例電球」とする。また、図12において、D7=D8=1mmとしたフィラメント体、すなわち、中心軸Bに関して対称となるように、第1発光部62Aと第2発光部64Aとを配してなるフィラメント体を備えるハロゲン電球を「第2比較電球」とし、第5実施例電球と第2比較電球の配光曲線を図13に示す。
【0051】
図13において、第2比較電球の配光曲線は破線で、第5実施例電球の配光曲線は実線でそれぞれ示している。図13から、第1および第2発光部62A,64Aの両方を中心軸Bに対して傾けた場合であっても、中心軸Bに関して対称的に配置した場合には、配光曲線は双峰性を呈し、両発光中心の光R軸からの距離を異ならせることによって、双峰性の解消した配光曲線が得られることが分かる。
【0052】
なお、第5実施例電球に係るフィラメント体74(図12)では、第1発光部62Aと第2発光部64Aとは、直線性を保持したまま傾いているが、「両発光部の、反射鏡の光照射開口部側の端部同士が近づく向きに傾けた状態」には、各発光部が内側に向かって(対向する相手側の発光部に向かって)弓なりに撓んでいる状態も含むものである。
また、上記第5実施例電球に係るフィラメント体74(図12)とは反対向きに、両発光部62A,64Aを傾かせることとしても構わない。図14は、そのように構成したフィラメント体76を示す図である。すなわち、フィラメント体76は、第1発光部62Aと第2発光部64Aとを、そのコイル軸心CXが中心軸Bと平行となる図7に示すような姿勢から、両発光部62A,64Aの、反射鏡18の前記光照射開口部とは反対側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配したものである。
(実施の形態2)
実施の形態1のハロゲン電球では、一端部同士がサポート線で電気的に接続されてなる2個のフィラメントコイルでフィラメント体を構成した。そして、ハロゲン電球への通電状態で、フィラメントコイル各々の一部が発光することとなる関係上、フィラメント体は、発光箇所を2箇所有することとなった。
【0053】
これに対し、実施の形態2では、フィラメントコイル1個を、その長手方向(コイル軸心方向)ほぼ中央部で屈曲させ、非発光部を含む屈曲部分から当該フィラメントコイルの一端部に至る間に第1発光部が、他端部に至る間に第2発光部が存する構成とした。なお、実施の形態2に係るハロゲン電球は、フィラメント体およびその支持構造が異なる以外は、バルブ内に封入されるハロゲン物質、希ガス等を含め、実施の形態1(各実施例を含む)に係るハロゲン電球と基本的に同様の構成である。したがって、以下、上記異なる部分を中心に説明することとする。また、言うまでもなく、実施の形態2のハロゲン電球を実施の形態1の照明器具12(図1)に装着して、照明装置を構成することができる。
【0054】
図15は、実施の形態2のハロゲン電球における第1実施例に係るフィラメント体202およびその支持構造の概略構成を示す斜視図である。
フィラメント体202は、フィラメントコイル62,64(図4、図6)と同様にして作成された(図5)1個のフィラメントコイル204を、その中央部で屈曲させ、屈曲状態で保持したものである。すなわち、フィラメントコイル204もフィラメントコイル62,64と同様、フィラメント線が、短軸と長軸とを有する扁平な横断面の筒状に巻回されてなる一重のコイルである。フィラメントコイル204は、中央部を基点として短軸方向に屈曲されている。
【0055】
フィラメントコイル204の一端部部分は内部リード線206のコイル支持部206Aで支持され、他端部部分は内部リード線208のコイル支持部208Aで支持されている。なお、符号212,214で示すのはステムガラスである。
そして、フィラメントコイル204の長手方向中央部(屈曲部)が、支持部材であるサポート線210で懸架支持されている。フィラメントコイル204は、コイル支持部206A,208Aで支持されている部分では発光しない(非発光部)のは、実施の形態1の場合と同様である。なお、内部リード線206,208、サポート線210は、タングステン製である。
【0056】
図16の上部に示すのは、内部リード線206,208、サポート線210に取り付けられた状態のフィラメントコイル204を、バルブ26の中心軸B(図1、図2)方向から見た平面図を模式的に表したものであり、図16の下部に示すのは、同正面図を模式的に表したものであり、図7と同様な態様で描いたものである。なお、図16の下部に示す図では、サポート線210を、フィラメントコイル204を直接懸架する部分で切断した切断端面で表している。図16では、また、上部の平面図および下部の正面図の両方において、フィラメントコイル204における発光部(204A1,204A2)を実線で、非発光部(204C)を二点鎖線で表した。
【0057】
フィラメントコイル204は、上記したように屈曲している関係上、そのコイル軸心も同一平面内で同様に屈曲している。そして、フィラメントコイル204は、そのコイル軸心が中心軸Bと略同一平面上に在るように配されている。
また、フィラメントコイル204の屈曲部において、導電性を有するサポート線210に支持されて接触している数巻き(数ターン)部は、電気的に短絡状態となるため通電状態においても発光しない。発光しない範囲は、屈曲部の態様、屈曲の程度(屈曲角度)、サポート線の形状等に拠るが、少なくとも屈曲部の一部は非発光部となる。すなわち、フィラメント体204では、非発光部を含む屈曲部からフィラメントコイル204の一端部に至る間に第1発光部204A1が、他端部に至る間に第2発光部204A2が存することとなる。
【0058】
サポート線210は、実施の形態1の場合とは異なり、フィラメントコイル間を電気的に接続する機能は必要なく、フィラメントコイルを機械的に支持できれば構わないため、絶縁性部材、例えばセラミック材料やガラス材料で形成することも可能である。この場合であっても、フィラメントコイル204の屈曲部の内側では、隣接する巻き線同士(ターン同士)が接触するほどにコイルピッチが狭くなるので、当該コイルピッチが狭くなり接触する部分で短絡が生じる。その結果、当該短絡部分は、発光しないこととなる。
【0059】
なお、言うまでもなく、実施の形態2の第1実施例に係るフィラメント体202においても、中心軸Bからの第1発光部204A1の距離D10と第2発光部204A2の距離D11とを異ならせ、すなわち、中心軸Bからの第1発光部204A1の発光中心204CP1の距離と第2発光部204A2の発光中心204CP2の距離とを異ならせることにより、配光曲線における双峰性が解消されて、中心部がその周囲よりも暗くならないスポットライトが得られる。
【0060】
上記第1実施例に係るフィラメント体202では、実施の形態1の第5実施例に係るフィラメント体74(図12)と同様、第1発光部204A1と第2発光部204A2間の中心軸Bと直交する方向の間隔が、反射鏡18の光照射開口部側に近づくほど狭くなる(言い換えれば、反射鏡18の光照射開口部からに遠ざかるほど広くなる)なるようにしていて、図16に示すように、第1発光部204A1と第2発光部204Aとが「ハ」状をなすようにしているが、これとは反対に、実施の形態1のフィラメント体76(図14)と同様、逆「ハ」字状をなすようにしても構わない。
【0061】
そのように構成した、実施の形態2の第2実施例に係るフィラメント体220を図17に示す。図17は、フィラメント体220の正面図を模式的に表したものであり、図16の下部の図と同様な態様で描いたものである。フィラメント体220(図17)は、第1発光部204A1と第2発光部204A2の開く向きが異なる以外は、フィラメント体202(図16)と同様な構成である。したがって、図17に示すフィラメント体220では、フィラメント体202と実質的に同様な構成部分に同符号を付して、その説明については省略する。なお、フィラメント体220を支持するサポート線222や、内部リード線(不図示)は、タングステン線を適宜屈曲加工することにより実現することができる。
【0062】
また、フィラメント体202(図15、図16)やフィラメント体220(図17)では、第1発光部204A1と第2発光部204A2の両方を中心軸Bに対して傾ける構成としたが、これに限らず、一方の発光部だけを中心軸Bに対して傾け、他方の発光部は中心軸Bと略平行になる構成としても構わない。
さらに、フィラメント体202(図15、図16)やフィラメント体220(図17)では、一方の発光部(第1発光部204A1)が中心軸Bを含む位置になるよう、両発光部(204A1,204A2)を配したが、これに限らず、両発光部204A1,204A2の間に中心軸Bが存するような位置関係で当該両発光部を配することとしても構わない。当然のことながら、この場合でも、中心軸Bからの第1発光部204A1の発光中心204CP1の距離と第2発光部204A2の発光中心204CP2の距離とが異なるように、第1発光部204A1と第2発光部204A2が配される。
(実施の形態3)
図18は、実施の形態3に係る反射鏡付きハロゲン電球100の概略構成を示す縦断面図である。
【0063】
反射鏡付きハロゲン電球100は、反射鏡一体型のハロゲン電球であるが、これに用いているハロゲン電球102は、主として口金が異なる以外は、実施の形態1に係るハロゲン電球14(図2)と基本的に同じ構成なので、共通部分には、同じ符号を付して、その説明については省略する。また、言うまでもなく、当該反射鏡付きハロゲン電球を構成するハロゲン電球のフィラメント体を実施の形態2に係るものとしても構わない。
【0064】
反射鏡104は、硬質ガラスまたは石英ガラス等からなり、漏斗状をした基体106を有する。基体106において回転楕円面または回転放物面等に形成された凹面部分106Aには、反射面を構成する多層干渉膜108が形成されている。多層干渉膜108は、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等で形成することができる。反射鏡104の開口径(ミラー径)は100mmである。なお、反射面には必要に応じてファセットを形成してもよい。
【0065】
反射鏡104は、基体106の開口部(光照射開口部)に設けられた前面ガラス110を有する。前面ガラス110は、基体106に公知の止め金具112によって係止されている。なお、止め金具112に代えて、接着剤で固着してもよい。あるいは、両方を併用しても構わない。もっとも、前面ガラスは、反射鏡付きハロゲン電球の必須の構成部材ではなく、無くても構わない。
【0066】
基体106のネック部106Bは、ハロゲン電球102の口金114の端子部116,118とは反対側に設けられた基体受け部122と嵌合された上、接着剤124で固着されている。なお、基体106の口金114への取り付けに先立って、バルブ26が、口金114に取り付けられている。言うまでも無く、口金114にバルブ26と基体106(反射鏡104)とが取り付けられた状態で(すなわち、反射鏡104内にハロゲン電球102が組み込まれた状態で)、バルブ26の中心軸と反射鏡104の光軸とが略同軸上に位置する(前記中心軸と前記光軸とが略一致する)こととなる。
【0067】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下の形態とすることもできる。
(1)上記実施の形態1では、反射鏡を備える照明器具とハロゲン電球とで照明装置を構成したが、これに限らず、反射鏡を有しない照明器具と反射鏡付きハロゲン電球とで照明装置を構成することとしても構わない。具体的には、例えば、図1に示す照明装置における反射鏡18とハロゲン電球14の代わりに、図18に示す反射鏡付きハロゲン電球100を取り付けて、照明装置を構成することとしても構わない。
(2)フィラメントコイルは、上記したトラック形状に限らず、他の扁平形状でも構わない。要は、互いに直交する長軸と短軸を有する扁平な横断面をした筒状に巻回されていれば構わない。また、扁平率も整数に限らず、任意の小数をとり得る。
【0068】
ここで、本発明において「短軸と長軸とを有する扁平な横断面」とは、以下に記すような形状のものを含む。当該形状について図19を参照しながら説明する。なお、図19では、短軸に符号「SX」を、長軸に符号「LX」を、また、短軸および長軸の両軸と略直交する中心軸(すなわち、コイル軸心)に符号「CX」をそれぞれ付している。
(i)同図(a)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、上記したトラック形状のもの、つまり二つの平行な線分とそれらの各々の両端を略半円で結んだもの。
【0069】
(ii)同図(b)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、円形を押し潰した形状のもの。
(iii)同図(c)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、略楕円形状のもの
(iv)同図(d)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、略長方形のもの。但し、四隅は、加工上、丸みを帯びる。
【0070】
(v)その他、コイル軸心CX方向から見て、上記(i)〜(iv)に類似した形状のもの。例えば上記(i)において、同図(e)に示すように、二つの平行な線分が内方向に湾曲していても上記(i)に類似した形状として含む。また、ここでは、加工ばらつきによる上記(i)〜(iv)の変形形状も含む。
(3)上記実施の形態のコイル(発光部)に関する間隔(D1,D4,D5,D6,D9,D12)について示した値は一例であり、その他、0.2mm〜4mmの範囲で設定することができる。
(4)上記実施の形態では、管球の一例としてハロゲン電球を示したが、本発明は、ハロゲン電球以外の管球にも適用可能である。要は、フィラメント体に電流を流して白熱発光させる光源であれば構わないのである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る管球は、例えば、反射鏡に組み込まれて使用される管球として好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施の形態1に係る照明装置の概略構成を示す一部切欠き図である。
【図2】上記照明装置を構成するハロゲン電球を示す図である。
【図3】上記ハロゲン電球におけるフィラメント体の支持構造を示す斜視図である。
【図4】上記支持構造にフィラメント体が支持された状態を示す斜視図である。
【図5】上記フィラメント体を構成するフィラメントコイルの製作方法を説明するための図である。
【図6】フィラメントコイルの平面図(上部)と正面図(下部)を表す模式図である。
【図7】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図8】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図9】配光曲線を表した図である。
【図10】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図11】配光曲線を表した図である。
【図12】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図13】配光曲線を表した図である。
【図14】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図15】実施の形態2におけるフィラメント体およびその支持構造の一例の概略構造を示す斜視図である。
【図16】実施の形態2におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図17】実施の形態2におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図18】実施の形態3に係る反射鏡付きハロゲン電球の概略構成を示す図である。
【図19】扁平な筒(状)の横断面の形状を例示した図である。
【符号の説明】
【0073】
10 照明装置
12 照明器具
14,102 ハロゲン電球
18,104 反射鏡
26 バルブ
60,70,72,74,76,202,220 フィラメント体
62,64,204 フィラメントコイル
62A,64A,204A1,204A2 発光部
62CP,64CP,204CP1,204CP2 発光中心
100 反射鏡付きハロゲン電球
【技術分野】
【0001】
本発明は、管球、反射鏡付き管球、および照明装置に関し、特に、管球におけるフィラメント体の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
反射鏡付き管球の一種である反射鏡付きハロゲン電球は、凹面状をした反射面を有する反射鏡とハロゲン電球とを組み合わせてなるものであり、例えば、店舗などのスポット照明用として使用されている。
ハロゲン電球は、気密封止されたバルブ内にフィラメント体が収納されてなる構成を有している。ハロゲン電球を反射鏡と組み合わせて使用する場合には、フィラメント体をできるだけコンパクトにして、その発光領域を可能な限り反射鏡の焦点位置に集中させることによって、集光効率を向上させることができる。この場合に、発光領域を特に反射鏡の光軸方向に縮小することが、集光効率を向上させるためには効果的であることが知られている。
【0003】
しかしながら、一般的に、ハロゲン電球の定格電圧[V]、定格電力[W]、および定格寿命(例えば、3000時間)が決まると、これに応じて、フィラメント体を構成するタングステン線の線径や長さが実質的に定まってしまう。したがって、例えば、単純にタングステン線の長さを短縮することによってフィラメント体のコンパクト化を図ることは困難である。
【0004】
そこで、定格電圧100[V]以上のハロゲン電球において、実用化されているものは、一般的に、フィラメント体のコンパクト化を図るため二重巻きコイルが用いられている。また、特許文献1には、さらなるコンパクト化のため、フィラメント体として、三重巻きコイルを用いたハロゲン電球が開示されている。これによれば、タングステン線の長さが同じであれば、反射鏡の光軸方向におけるコイル全体の長さを短縮でき、もって集光効率が向上することとなるからである。
【0005】
しかしながら、コイルの重ね巻数を増やせば増やすほど、ハロゲン電球に外力(衝撃力)が加えられた際に生じるコイルの振動の振幅が大きくなり、これが原因で断線し易くなるといった問題が生じる。
この問題を解決しつつ、フィラメント体のコンパクト化(光軸方向の短縮化)を図れるハロゲン電球として、特許文献2には、3個または4個の一重コイルが全体的に反射鏡の光軸に対して対称となるように各々の一重コイルを反射鏡の光軸と平行に配したものが開示されている。これにより、3個または4個の一重コイルに相当するものを1個の一重コイルで作製した場合と比較して、光軸方向の長さが短縮されるので、集光効率が向上することとなる。また、各々のコイルは一重なので、上記振動に因る問題も軽減される。
【0006】
さらに、特許文献3には、フィラメント体を4〜6個の一重コイルで構成すると共に、その内の1個を、反射鏡の光軸を含む位置に配する構成としたハロゲン電球が開示されている。光軸位置にコイル(すなわち、発光部)が存するのと存しないのとでは得られる照度に大きな差が生じると、一般的に考えられているからである。
しかしながら、3個以上の一重コイルでフィラメント体を構成するのは、コイル間を電気的に接続すると共に各コイルを支持する支持構造体が複雑になり、また、コイルの支持構造体への組み付けが困難になって現実的ではない。
【0007】
そこで、本願の発明者らは、フィラメント体を2個の一重コイルで構成すると共に、各々の一重コイルを、素線を扁平な筒状に巻回してなるもの(以下、「扁平コイル」と称する。)としたフィラメント体を創作した。すなわち、フィラメント体を、扁平状に一重巻きされた2箇所が通電状態で発光する構成とした。
これによれば、素線を円筒状に巻回してなる従来の一重コイル(以下、「円筒コイル」と称する。)と比較して、(扁平な筒の短軸長さと円筒の直径とが等しいとした場合)1ターン当たりの素線長を長くすることができる関係上、タングステン線の素線長が同じであれば、コイル長を短くできる。その結果、3個以上の円筒コイルでフィラメント体を構成した場合と同等の、光軸方向におけるフィラメント体の短縮化ができることとなる。ここで、通電状態で発光する上記2箇所の各々を「発光部」と称することとする。
【0008】
また、反射鏡の光軸に関する対称性を考慮して、2つの発光部(扁平コイル)は、前記光軸に対して対称となる位置に配した。
【特許文献1】特開2001−345077号公報
【特許文献2】特表平6−510881号公報
【特許文献3】特開2002−63869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、2つの発光部を有する上記構成のフィラメント体を備えたハロゲン電球を反射鏡に組み込んでスポットライト照明として用いた場合、照射面におけるスポットライトの中心部が暗くなり、その周囲が明るくなるといったいわゆるドーナッツ状のスポット形状になることが判明した。すなわち、配光曲線において、そのピークが2箇所に現れる双峰性が出現することが判明した。また、この傾向は、反射鏡におけるビームの開きが狭角となる程、顕著に現れることが認められた。このようなスポット形状は、対象物を文字通りスポット的に浮かび上がらせるためのスポット照明として、好ましくないことは言うまでもない。
【0010】
本発明は、上記した課題に鑑み、扁平コイル状をした発光部2つでフィラメント体を構成するといった簡易な構成をとりつつも、配光曲線における双峰性を解消して、中心部が暗くならないスポットライトの得られる管球を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような管球を有する反射鏡付き管球、および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係る管球は、凹面状の反射面を有する反射鏡内に組み込まれて使用される管球であって、気密封止されたバルブと当該バルブ内に設けられたフィラメント体とを備え、前記フィラメント体は、扁平状に一重巻きされた2箇所が通電状態で発光する構成とされ、一方の発光箇所を第1発光部、他方の発光箇所を第2発光部とした場合、前記バルブの中心軸からの第1発光部の発光中心の距離と第2発光部の発光中心の距離とが異なるように、第1発光部と第2発光部が配されていることを特徴とする。
【0012】
また、第1および第2発光部は、各々のコイル軸心が前記中心軸と略平行となる姿勢で配されていることを特徴とする。
また、第1発光部は、そのコイル軸心が前記中心軸と略平行となり、第2発光部は、そのコイル軸心が前記中心軸に対して傾いた姿勢で配されていることを特徴とする。
また、第1発光部と第2発光部とは、そのコイル軸心が前記中心軸と平行となる姿勢から、両発光部の前記反射鏡の光照射開口部側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配されていることを特徴とする。
【0013】
また、第1発光部と第2発光部とは、そのコイル軸心が前記中心軸と平行となる姿勢から、両発光部の前記反射鏡の光照射開口部とは反対側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配されていることを特徴とする。
また、前記フィラメント体は、フィラメント線が扁平に一重巻きされてなるフィラメントコイルを、その長手方向ほぼ中央部で屈曲させて構成したものであり、屈曲部からフィラメントコイルの一端部に至る間に第1発光部が、他端部に至る間に第2発光部が存することを特徴とする。
【0014】
さらに、第1発光部および第2発光部の一方が、前記中心軸を含む位置に配されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る反射鏡付き管球は、反射鏡と、前記反射鏡内に組み込まれている、上記した管球とを有することを特徴とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る照明装置は、反射鏡を有する照明器具と、前記反射鏡内に組み込まれている、上記した管球とを有することを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明に係る照明装置は、照明器具と、前記照明器具に取り付けられている、上記した反射鏡付き管球とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記構成からなる管球によれば、バルブの中心軸に近い方の発光中心に係る発光部の配光曲線の形状に及ぼす影響が前記中心軸から遠い方の発光中心に係る発光部の配光曲線の形状に及ぼす影響よりも支配的になる結果、配光曲線における双峰性が解消されて、中心部が暗くないスポットライトが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係る照明装置10の概略構成を示す一部切欠き図である。なお、図1を含む全ての図面において、各部材間の縮尺は統一していない。
照明装置10は、例えば、住宅、店舗、あるいはスタジオ等におけるスポットライト照明として用いられる。照明装置10は、照明器具12と管球の一例として示すハロゲン電球14とを有する。
【0018】
照明器具12は、有底円筒状をした器具本体16と器具本体16に収納された反射鏡18とを有する。
器具本体16の底部には、ハロゲン電球14の口金30(図2参照)を取り付けるための受け具(図示せず)が設けられている。なお、器具本体16は、円筒状に限らず、種々の公知形状とすることができる。
【0019】
反射鏡18は、ハロゲン電球14を取替え可能とするため、器具本体16に対し、着脱可能である。
反射鏡18は、漏斗状をした硬質ガラス製基体20を有する。基体20において回転楕円面または回転放物面等に形成された凹面部分20Aには、反射面を構成する多層干渉膜22が形成されている。多層干渉膜22は、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等で形成することができる。反射鏡18の開口径(ミラー径)は100mmであり、ビームの開き(ビーム角)が、狭角(約10°)のものである。なお、反射面には必要に応じてファセットを形成してもよい。
【0020】
反射鏡18は、基体20の開口部(光照射開口部)に設けられた前面ガラス24を有する。本例では、前面ガラス24は基体20に固着されており、ハロゲン電球14の取替えのため、基体20部分が器具本体16と着脱自在な構成となっているが、これに限らず、基体を器具本体に固定し、前面ガラスを基体に対し着脱自在な構成としても構わない。
ハロゲン電球14は、前記受け具(不図示)に取り付けられ、反射鏡18内に組み込まれて使用される。組み込まれた(取り付けられた)状態で、ハロゲン電球14の後述するバルブ26の中心軸Bが反射鏡18の光軸Rとが略同軸上に位置することとなる(中心軸Bと光軸Rとが略一致することとなる)。ハロゲン電球14は、定格電圧が100[V]以上150[V]以下で、かつ定格電力が100[W]以下に設定された電球である。
【0021】
図2に、ハロゲン電球14の一部切欠き正面図を示す。
ハロゲン電球14は、気密封止されたバルブ26と、バルブ26の後述する封止部38側に接着剤28によって固着された、例えばE型の口金30とを有している。
バルブ26は、封止切りの残痕であるチップオフ部32、後述するフィラメント体60等を収納するフィラメント体収納部34、略円筒状をした筒部36、および公知のピンチシール法によって形成された封止部38がこの順に連なった構造をしている。
【0022】
フィラメント体収納部34は、図2に示すように、略回転楕円体形状をしている。ここで言う「略回転楕円体形状」とは、完全な回転楕円体形を含むことはもちろんのこと、ガラスの加工上ばらつく程度分、完全な回転楕円体形からずれた形状を含むことを意味している。なお、フィラメント体収納部は、上記した形状に限らず、例えば、略円筒形状や略球形状、あるいは略複合楕円体形状としても構わない。
【0023】
また、バルブの構造も上記したものに限らず、例えば、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、フィラメント体収納部、封止部がこの順に連なったものとすることができる。
なお、フィラメント体収納部34の外面には赤外線反射膜が形成されている。もっとも、この赤外線反射膜は必ずしも必要なものではなく、適宜形成されるものである。
【0024】
バルブ26内には、ハロゲン物質と希ガスとがそれぞれ所定量封入されている。これに加えて、窒素ガスを封入することとしても構わない。
ハロゲン物質は、点灯中、ハロゲンサイクルによって、フィラメント体60から蒸発したその構成物質であるタングステンを再びフィラメント体60に戻し、バルブ26の黒化を防止するためのものである。ハロゲン物質の濃度は10[ppm]〜300[ppm]の範囲内にあることが好ましい。また、ハロゲンサイクルを活性化させるためには、バルブ26内面における最冷点温度が200[℃]以上であることが好ましい。さらに、ハロゲンサイクルを適切に機能させるためには、バルブ26内の酸素濃度を100[ppm]以下にすることが好ましい。
【0025】
希ガスには、クリプトンガスを用いることが好ましい。クリプトンガスを用いることにより、集光効率を高める目的でフィラメント体をコンパクト化するため、後述するように発光部同士を近接配置しているにもかかわらず、隣接する発光部間の任意の場所で点灯時にアーク放電が発生して、断線するのを抑制するといった効果が得られる。
特に、封入ガスは、クリプトンを主成分とした、窒素ガスおよびハロゲン物質を含むものとし、バルブ26内での常温時におけるガス圧を2[atm]〜10[atm]の範囲内に設定することが好ましい。当該ガス圧が10[atm]を超えると、万一バルブ26が破損した場合に、飛散する破片で照明器具が破損するおそれがあり、一方、2[atm]未満であると、フィラメント体60の構成物質であるタングステンが蒸発し易く、ランプ寿命が短くなるからである。換言すると、ガス圧の上記範囲は、当該ガス圧が適度に抑制されているため、万一バルブ26が破損したとしても、照明器具が破損するほどの勢いで破片が飛散せず、かつ、当該ガス圧が適度に高いため、フィラメント体60の構成物質であるタングステンが蒸発しにくく、長寿命化を実現でき、さらには、点灯時に隣接する発光部間の任意の場所で点灯時にアーク放電が発生して、断線するのを抑制することができる範囲である。
【0026】
また、封入ガスに窒素ガスを含ませる場合、窒素ガスの組成比率は8[%]〜40[%]の範囲内に設定することが好ましい。窒素ガスの組成比率が40[%]を超えると、点灯中にフィラメント体60で発生する熱が窒素ガスを介して過度に放出され、効率が低下するおそれがあり、一方、8[%]未満であると、点灯時に隣接する発光部間でアーク放電が起きやすく、断線が発生し易いからである。換言すると、窒素ガスの上記組成比率範囲は、窒素ガスの組成比率が適度に抑制されているため、点灯中にフィラメント体60で発生する熱が窒素ガスを介して過度に放出されることにより効率が低下するのを防止することができると共に、窒素ガスが適度に含まれているため、点灯時に隣接する発光部管でアーク放電が発生し、断線するのを抑制することができる範囲である。
【0027】
封止部38内には、一対の金属箔40,42が封着されている。金属箔40,42はモリブデン製である。なお、封止部38に封着されている金属箔40,42の過熱による酸化が原因で、バルブ26の気密性が損なわれるのを防止するため、封止部38の表面を凹凸にして、当該表面積を増やし、封止部38での放熱性を向上させることが好ましい。
金属箔40の一端部には外部リード線44の一端部が、金属箔42の一端部には外部リード線46の一端部が、それぞれ接合されて電気的に接続されている。外部リード線44,46は、タングステン製である。外部リード線44,46の他端部は、バルブ26の外部に導出されていて、それぞれ、口金30の端子部48,50に電気的に接続されている。
【0028】
ここで、2本の外部リード線44,46の内、少なくとも一方の外部リード線と口金30の対応する端子部(48または50)との間に、ヒューズ(図示せず)を設けておくことが好ましい。当該ヒューズを設けることにより、万一、発光部で断線が生じ、その断線箇所でアーク放電が発生したとしても、即座にヒューズが溶断されてアーク放電の継続を絶ち、もってアーク放電の衝撃でバルブ26が破損等するのを防止できる。特に、複数の発光部を近接して配置する場合には、両方の外部リード線44,46と口金30の対応する端子部48,50とのそれぞれの間にヒューズを設けることが好ましい。この場合には、発光部での断線に起因するアーク放電が発生しなくても、隣接する発光部間でアーク放電が発生するおそれがあるからである。
【0029】
金属箔40の他端部には内部リード線52の一端部が、金属箔42の他端部には内部リード線54の一端部が、それぞれ接合されて電気的に接続されている。内部リード線52,54は、タングステン製である。内部リード線52,54の一端部は、バルブ26の封止部38で支持されている。内部リード線52,54は、口金30を介して供給される外部電力をフィラメント体60に給電すると共に、フィラメント体60の一部を直接に支持する支持部材としての役割を果たす。
【0030】
図3に、フィラメント体60を支持する支持構造体を示す斜視図を、図4に、当該支持構造体にフィラメント体60が支持された状態を示す斜視図をそれぞれ示す。
図3に示すように、フィラメント体60の一部を直接に支持する支持部材としては他に、タングステンからなるサポート線56がある。
内部リード線52,54、サポート線56は、一対の円柱状ステムガラス57,59で挟持されている。これによって、サポート線56が支持されると共に、内部リード線52,54、サポート線56相互間の相対的な位置が保持されることとなる。
【0031】
図4に示すように、フィラメント体60は、第1フィラメントコイル62および第2フィラメントコイル64の2個のフィラメントコイルからなる。第1および第2フィラメントコイル62,64は、タングステン線を後述するように巻回したものである。
内部リード線52,54、サポート線56は、フィラメントコイル62,64の端部部分に挿入されて、フィラメントコイル62,64を支持するための「コ」字状に屈曲した部分(以下、この部分を「コイル支持部」と称する。)を1箇所または2箇所有する。
【0032】
ここで、第1フィラメントコイル62は、内部リード線52のコイル支持部52A(図3参照)とサポート線56のコイル支持部56A(図3参照)とで支持されている。
第2フィラメントコイル64は、サポート線56のコイル支持部56B(図3参照)と内部リード線54のコイル支持部54A(図3参照)とで支持されている。
また、図4から明らかなように、第1フィラメントコイル62と第2フィラメントコイル64の一端部同士は、サポート線56で電気的に接続されている。すなわち、第1フィラメントコイル62と第2フィラメントコイル64は、導電性を有する接続部材として機能するサポート線56によって直列に接続されている。
【0033】
図4に示す状態で、内部リード線52,54から給電すると(すなわち、通電状態で)、第1および第2フィラメントコイル62,64は、コイル支持部が挿入されている部分では発光せずに(非発光部)、コイル支持部間で発光する。ここで、各フィラメントコイル62,64におけるコイル支持部間の部分(すなわち、発光する部分)を、それぞれ第1発光部62A、第2発光部64Aと規定することとする。すなわち、フィラメント体60は、一重のコイル状をした2個の発光部62A,64Aを有している。
【0034】
また、図4に示すように、第1、第2フィラメントコイル62,64(第1、第2発光部62A,64A)は、扁平な筒状に巻回されてなる一重コイル(以下、「扁平コイル」と略称する。)状をしている。このような形状にしたのは、以下の理由による。すなわち、特許文献2や特許文献3に記載されているような、円筒状に巻回されてなる従来の一重コイル(以下、「円筒コイル」と略称する。)と比較して、(扁平な筒の短軸長と円筒の直径が等しいとした場合)1ターン当たりの素線長を長くすることができる関係上、タングステン線の素線長が同じであれば、コイル長を短縮でき、もって、反射鏡の光軸方向(バルブ中心軸)におけるフィラメントコイル(発光部)の縮小化が図れることとなるからである。なお、コイルを扁平にすることにより、反射鏡の光軸と交差する方向の長さは、円筒状に巻回されたコイルよりも長くなるものの、集光効率の向上には、光軸と交差する方向よりも光軸方向に短縮する方の効果が大きいので問題はない。
【0035】
扁平コイルであるフィラメントコイル62,64は、以下のようにして作製される。
すなわち、図5に示すように、円柱状をした芯線(マンドレル)66を複数本(図示例では4本)、平行かつ一列に密着させて並べたものの外周に、タングステン線68を巻回した後、芯線66を溶解して作製する。
図6の上部に示すのは、第1フィラメントコイル62をそのコイル軸心CX方向から視た平面図を模式的に表したものであり、図6の下部に示すのは、同正面図を模式的に表したものである。
【0036】
第1、2フィラメントコイル62,64は略同一形態なので、第1フィラメントコイル62を代表にして説明する。
図6の上部に示すように、第1フィラメントコイル62は、そのコイル軸心CX方向から見て、平行に配された2本の線分の対応する端同士を半円で結んでなる、いわゆる(陸上競技の)トラック形状をしている。この形状は、上記した作製方法に由来するものであり、芯線66の本数が多いほど、より扁平したトラック形状となる。すなわち、芯線66の本数で、扁平の度合い(扁平率)を調整することができる。
【0037】
ここで、扁平率は、第1フィラメントコイル62内周における長軸LXの長さを短軸SXの長さで除して得られる値と規定する。本例では、上記した製作法を採る関係上、扁平率は整数の値となり、一例として、扁平率を4としている。
また、上述したとおり、図6の下部に示すように、第1フィラメントコイル62は、コイル支持部52Aとコイル支持部56A(図3、図4)で支持された両端部部分の非発光部62Bと両コイル支持部52A,56A間部分の発光部62Aとを有している。ここで、フィラメントコイルの「発光中心」を定義する。第1フィラメントコイル62を例にして定義すると、「発光中心62CP」は、コイル軸心CX上に在って、発光部62Aの全長Lにおける真ん中の位置とする。第1フィラメントコイル62の仕様の一例をまとめると以下のようになる。
【0038】
長軸LX長さ(長内径):1.4mm
短軸CX長さ(短内径):0.35mm
発光部全長L(有効コイル長さ):4.5mm
素線(タングステン線)径:0.05mm
なお、発光部全長Lは、上記の値に限らず2.5mm〜6.5mmの範囲で設定可能である。この範囲は、後述する全てのフィラメント体における発光部の全長に適用できるものである。
【0039】
図7の上部に示すのは、内部リード線52,54、サポート線56に取り付けられた状態の第1、第2フィラメントコイル62,64を、バルブ26の中心軸B(図1、図2)方向から見た平面図を模式的に表したものであり、図7の下部に示すのは、同正面図を模式的に表したものである。なお、ハロゲン電球14を反射鏡18に組み込んだ状態においては、図7は、反射鏡18の光軸R(図1)方向から、第1、第2フィラメントコイル62,64を見た図とも言える。ここで、図7は、第1、第2フィラメントコイル62,64間の配置位置の関係等を説明する目的で用いるため、本図において、内部リード線52,54の図示は省略し、サポート線56は、第1、第2フィラメントコイル62,64間の電気的な接続関係を示す目的で、単に線で表した。また、下部の正面図では、第1、第2フィラメントコイル62,64の第1、第2発光部62A,64Aを実線で、非発光部62B,64Bを二点鎖線でそれぞれ表した。
【0040】
図7に示すように、第1フィラメントコイル62(第1発光部62A)と第2フィラメントコイル64(第2発光部64A)とは、(i)各々のコイル軸心CXが中心軸Bと略平行となり、(ii)両コイル軸心と中心軸Bとが略同一平面上に在り、(iii)両長軸LX同士が略平行となる姿勢で、間隔D1を空けて設けられている。ここで、コイル間隔D1は、一例として0.9mmに設定している。
【0041】
また、中心軸Bからの第1フィラメントコイル62(第1発光部62A)の距離D2と第2フィラメントコイル64(第2発光部)の距離D3とを異ならせている。すなわち、中心軸Bからの第1発光部62Aの発光中心CPの距離と第2発光部64Aの発光中心CPの距離とを異ならせている。本例では、D2=0.15mm、D3=0.75mmに設定している。ここで、D1,D2,D3に関し、上記した値に設定されてなるフィラメント体を備えるハロゲン電球を「第1実施例電球」とする。
【0042】
ここで、コイル間隔D1を、第1実施例電球と同じく、0.9mmに設定し、D2とD3に関しては、D2=D3=0.45mmに設定したフィラメント体を備えるハロゲン電球を「第1比較電球」とする。すなわち、第1比較電球は、中心軸Bに対して2個のフィラメントコイル(発光部)が対称に配されてなるフィラメント体を有するものであり、[発明が解決しようとする課題]で言及したような、配光特性に問題が生じる電球である。
【0043】
第1実施例電球と第1比較電球に関し、これらを反射鏡と組み合わせた場合の配光特性について調査した。調査は以下の条件で行った。市販されている反射鏡付きハロゲン電球(松下電器産業株式会社製、品番JDR110V65WKN/5E11)に付属しているハロゲン電球を、第1比較電球または第1実施例電球と取り替えた。上記反射鏡付きハロゲン電球はビームの開き(ビーム角)が、狭角(約10°)のものである。このようにしてできた2つの反射鏡付きハロゲン電球の各々を定格電圧110[V]、定格電力65[W]で点灯させた場合の、当該反射鏡付きハロゲン電球から距離1[m]離れた照射面における配光特性(配光曲線)について調査した。なお、第1比較電球、第1実施例電球以外の後述する比較電球、実施例電球の配光特性も、上記と同様にして調査したので、その条件等についてのその都度の説明については省略することとする。
【0044】
調査結果を図9に示す。図9において、第1比較電球に係るものは破線で、第1実施例電球に係るものは一点鎖線で表した。
第1比較電球について見ると、配光曲線のピークが2箇所に現れる双峰性が認められる。すなわち、既述したように、中央部が暗くその周囲が明るいスポットライトになっている。
【0045】
これに対し、第1実施例電球では、双峰性が解消されて配光曲線のピークは単一になっている。すなわち、最も明るい部分を中心としたほぼ対称性のある良好な配光特性のスポットライトになっている。これは、中心軸Bからの発光中心62CP(図7)の距離と発光中心64CPの距離を異ならせることにより、中心軸Bに近い方の発光中心62CPに係る第1発光部62Aの配光曲線の形状に及ぼす影響が中心軸Bから遠い方の発光中心64CPに係る第2発光部64Aの配光曲線の形状に及ぼす影響よりも支配的になるためであると考えられる。
【0046】
図8に示すのは、第1フィラメントコイル62(第1発光部62A)をさらに中心軸Bに近づけ、第2フィラメントコイル64(第2発光部64A)をさらに中心軸Bから遠ざけたフィラメント体70である。フィラメント体70では、中心軸Bを含む位置に第1フィラメントコイル62(第1発光部62A)を配することとした。なお、フィラメント体70でも、コイル間隔D4は0.9mmとした。フィラメント体70を備えるハロゲン電球を「第2実施例電球」とし、これに関する配光特性について調査した。
【0047】
調査結果を図9において実線で示す。
図9に実線で示すように第2実施例電球によれば上記双峰性が解消されると共に、第1実施例電球よりも照度の最高値が大きくなっている。しかしながら、ピークを境にした左右の対称性が若干損なわれている。コイル間隔D4を2mmに設定したハロゲン電球(以下、「第3実施例電球」と言う。)でも、図11に実線で表した配光曲線で示す通り、第2実施例電球と同様の配光特性となった。
【0048】
そこで、配光曲線の非対称性の改善を図るべく、第2フィラメントコイル64(第2発光部64A)を、中心軸Bに対して傾けてみることとした。そのようにしたフィラメント体72を図10に示す。フィラメント体72は、図8に示す状態から、第1発光部62Aと第2発光部64Aの一方端部間の間隔は維持したまま(D4=D5=2mm)、第2発光部64Aの当該端部の角部を中心に角度α=20°傾けたものである。フィラメント体72を備えるハロゲン電球(以下、「第4実施例電球」と言う。)の配光曲線を図11に一点鎖線で示す。このように、中心軸Bから遠い方の第2フィラメントコイル64(第2発光部64A)を傾けることにより、配光曲線がピークを境に略左右対称な形となり、配光特性が改善されることがわかる。
【0049】
第4実施例電球(図10)では、一方のフィラメントコイルのみを中心軸Bに対して傾けることとしたが、両方のフィラメントコイルを中心軸Bに対して傾けることとしても構わない。図12は、そのように構成したフィラメント体74を示す図である。
フィラメント体74は、第1発光部62Aと第2発光部64Aの一方端部間の間隔D6(=2mm)を維持したまま、第1発光部62Aと第2発光部64Aの当該端部の角部を中心に角度β=γ=7°傾けたものである。換言すると、フィラメント体74は、第1発光部62Aと第2発光部64Aとを、そのコイル軸心CXが中心軸Bと平行となる図7に示すような姿勢から、両発光部62A,64Aの、反射鏡18の前記光照射開口部側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配したものである。なお、本例では、第1発光部62A、第2発光部64A共に同じ角度分(β=γ=7°)傾けることとしたが、両者の傾き角β,γは異なっていても構わない。また、傾き角は7°に限らないことは言うまでもない。
【0050】
また、本例でも、第1発光部62Aの発光中心62CPを第2発光部64Aの発光中心64CPよりも中心軸Bに近づけている。因みに、図12に示す距離D7は0.4mmで距離D8は1.6mmである。
ここで、上記のように構成したフィラメント体74を備えるハロゲン電球を「第5実施例電球」とする。また、図12において、D7=D8=1mmとしたフィラメント体、すなわち、中心軸Bに関して対称となるように、第1発光部62Aと第2発光部64Aとを配してなるフィラメント体を備えるハロゲン電球を「第2比較電球」とし、第5実施例電球と第2比較電球の配光曲線を図13に示す。
【0051】
図13において、第2比較電球の配光曲線は破線で、第5実施例電球の配光曲線は実線でそれぞれ示している。図13から、第1および第2発光部62A,64Aの両方を中心軸Bに対して傾けた場合であっても、中心軸Bに関して対称的に配置した場合には、配光曲線は双峰性を呈し、両発光中心の光R軸からの距離を異ならせることによって、双峰性の解消した配光曲線が得られることが分かる。
【0052】
なお、第5実施例電球に係るフィラメント体74(図12)では、第1発光部62Aと第2発光部64Aとは、直線性を保持したまま傾いているが、「両発光部の、反射鏡の光照射開口部側の端部同士が近づく向きに傾けた状態」には、各発光部が内側に向かって(対向する相手側の発光部に向かって)弓なりに撓んでいる状態も含むものである。
また、上記第5実施例電球に係るフィラメント体74(図12)とは反対向きに、両発光部62A,64Aを傾かせることとしても構わない。図14は、そのように構成したフィラメント体76を示す図である。すなわち、フィラメント体76は、第1発光部62Aと第2発光部64Aとを、そのコイル軸心CXが中心軸Bと平行となる図7に示すような姿勢から、両発光部62A,64Aの、反射鏡18の前記光照射開口部とは反対側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配したものである。
(実施の形態2)
実施の形態1のハロゲン電球では、一端部同士がサポート線で電気的に接続されてなる2個のフィラメントコイルでフィラメント体を構成した。そして、ハロゲン電球への通電状態で、フィラメントコイル各々の一部が発光することとなる関係上、フィラメント体は、発光箇所を2箇所有することとなった。
【0053】
これに対し、実施の形態2では、フィラメントコイル1個を、その長手方向(コイル軸心方向)ほぼ中央部で屈曲させ、非発光部を含む屈曲部分から当該フィラメントコイルの一端部に至る間に第1発光部が、他端部に至る間に第2発光部が存する構成とした。なお、実施の形態2に係るハロゲン電球は、フィラメント体およびその支持構造が異なる以外は、バルブ内に封入されるハロゲン物質、希ガス等を含め、実施の形態1(各実施例を含む)に係るハロゲン電球と基本的に同様の構成である。したがって、以下、上記異なる部分を中心に説明することとする。また、言うまでもなく、実施の形態2のハロゲン電球を実施の形態1の照明器具12(図1)に装着して、照明装置を構成することができる。
【0054】
図15は、実施の形態2のハロゲン電球における第1実施例に係るフィラメント体202およびその支持構造の概略構成を示す斜視図である。
フィラメント体202は、フィラメントコイル62,64(図4、図6)と同様にして作成された(図5)1個のフィラメントコイル204を、その中央部で屈曲させ、屈曲状態で保持したものである。すなわち、フィラメントコイル204もフィラメントコイル62,64と同様、フィラメント線が、短軸と長軸とを有する扁平な横断面の筒状に巻回されてなる一重のコイルである。フィラメントコイル204は、中央部を基点として短軸方向に屈曲されている。
【0055】
フィラメントコイル204の一端部部分は内部リード線206のコイル支持部206Aで支持され、他端部部分は内部リード線208のコイル支持部208Aで支持されている。なお、符号212,214で示すのはステムガラスである。
そして、フィラメントコイル204の長手方向中央部(屈曲部)が、支持部材であるサポート線210で懸架支持されている。フィラメントコイル204は、コイル支持部206A,208Aで支持されている部分では発光しない(非発光部)のは、実施の形態1の場合と同様である。なお、内部リード線206,208、サポート線210は、タングステン製である。
【0056】
図16の上部に示すのは、内部リード線206,208、サポート線210に取り付けられた状態のフィラメントコイル204を、バルブ26の中心軸B(図1、図2)方向から見た平面図を模式的に表したものであり、図16の下部に示すのは、同正面図を模式的に表したものであり、図7と同様な態様で描いたものである。なお、図16の下部に示す図では、サポート線210を、フィラメントコイル204を直接懸架する部分で切断した切断端面で表している。図16では、また、上部の平面図および下部の正面図の両方において、フィラメントコイル204における発光部(204A1,204A2)を実線で、非発光部(204C)を二点鎖線で表した。
【0057】
フィラメントコイル204は、上記したように屈曲している関係上、そのコイル軸心も同一平面内で同様に屈曲している。そして、フィラメントコイル204は、そのコイル軸心が中心軸Bと略同一平面上に在るように配されている。
また、フィラメントコイル204の屈曲部において、導電性を有するサポート線210に支持されて接触している数巻き(数ターン)部は、電気的に短絡状態となるため通電状態においても発光しない。発光しない範囲は、屈曲部の態様、屈曲の程度(屈曲角度)、サポート線の形状等に拠るが、少なくとも屈曲部の一部は非発光部となる。すなわち、フィラメント体204では、非発光部を含む屈曲部からフィラメントコイル204の一端部に至る間に第1発光部204A1が、他端部に至る間に第2発光部204A2が存することとなる。
【0058】
サポート線210は、実施の形態1の場合とは異なり、フィラメントコイル間を電気的に接続する機能は必要なく、フィラメントコイルを機械的に支持できれば構わないため、絶縁性部材、例えばセラミック材料やガラス材料で形成することも可能である。この場合であっても、フィラメントコイル204の屈曲部の内側では、隣接する巻き線同士(ターン同士)が接触するほどにコイルピッチが狭くなるので、当該コイルピッチが狭くなり接触する部分で短絡が生じる。その結果、当該短絡部分は、発光しないこととなる。
【0059】
なお、言うまでもなく、実施の形態2の第1実施例に係るフィラメント体202においても、中心軸Bからの第1発光部204A1の距離D10と第2発光部204A2の距離D11とを異ならせ、すなわち、中心軸Bからの第1発光部204A1の発光中心204CP1の距離と第2発光部204A2の発光中心204CP2の距離とを異ならせることにより、配光曲線における双峰性が解消されて、中心部がその周囲よりも暗くならないスポットライトが得られる。
【0060】
上記第1実施例に係るフィラメント体202では、実施の形態1の第5実施例に係るフィラメント体74(図12)と同様、第1発光部204A1と第2発光部204A2間の中心軸Bと直交する方向の間隔が、反射鏡18の光照射開口部側に近づくほど狭くなる(言い換えれば、反射鏡18の光照射開口部からに遠ざかるほど広くなる)なるようにしていて、図16に示すように、第1発光部204A1と第2発光部204Aとが「ハ」状をなすようにしているが、これとは反対に、実施の形態1のフィラメント体76(図14)と同様、逆「ハ」字状をなすようにしても構わない。
【0061】
そのように構成した、実施の形態2の第2実施例に係るフィラメント体220を図17に示す。図17は、フィラメント体220の正面図を模式的に表したものであり、図16の下部の図と同様な態様で描いたものである。フィラメント体220(図17)は、第1発光部204A1と第2発光部204A2の開く向きが異なる以外は、フィラメント体202(図16)と同様な構成である。したがって、図17に示すフィラメント体220では、フィラメント体202と実質的に同様な構成部分に同符号を付して、その説明については省略する。なお、フィラメント体220を支持するサポート線222や、内部リード線(不図示)は、タングステン線を適宜屈曲加工することにより実現することができる。
【0062】
また、フィラメント体202(図15、図16)やフィラメント体220(図17)では、第1発光部204A1と第2発光部204A2の両方を中心軸Bに対して傾ける構成としたが、これに限らず、一方の発光部だけを中心軸Bに対して傾け、他方の発光部は中心軸Bと略平行になる構成としても構わない。
さらに、フィラメント体202(図15、図16)やフィラメント体220(図17)では、一方の発光部(第1発光部204A1)が中心軸Bを含む位置になるよう、両発光部(204A1,204A2)を配したが、これに限らず、両発光部204A1,204A2の間に中心軸Bが存するような位置関係で当該両発光部を配することとしても構わない。当然のことながら、この場合でも、中心軸Bからの第1発光部204A1の発光中心204CP1の距離と第2発光部204A2の発光中心204CP2の距離とが異なるように、第1発光部204A1と第2発光部204A2が配される。
(実施の形態3)
図18は、実施の形態3に係る反射鏡付きハロゲン電球100の概略構成を示す縦断面図である。
【0063】
反射鏡付きハロゲン電球100は、反射鏡一体型のハロゲン電球であるが、これに用いているハロゲン電球102は、主として口金が異なる以外は、実施の形態1に係るハロゲン電球14(図2)と基本的に同じ構成なので、共通部分には、同じ符号を付して、その説明については省略する。また、言うまでもなく、当該反射鏡付きハロゲン電球を構成するハロゲン電球のフィラメント体を実施の形態2に係るものとしても構わない。
【0064】
反射鏡104は、硬質ガラスまたは石英ガラス等からなり、漏斗状をした基体106を有する。基体106において回転楕円面または回転放物面等に形成された凹面部分106Aには、反射面を構成する多層干渉膜108が形成されている。多層干渉膜108は、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等で形成することができる。反射鏡104の開口径(ミラー径)は100mmである。なお、反射面には必要に応じてファセットを形成してもよい。
【0065】
反射鏡104は、基体106の開口部(光照射開口部)に設けられた前面ガラス110を有する。前面ガラス110は、基体106に公知の止め金具112によって係止されている。なお、止め金具112に代えて、接着剤で固着してもよい。あるいは、両方を併用しても構わない。もっとも、前面ガラスは、反射鏡付きハロゲン電球の必須の構成部材ではなく、無くても構わない。
【0066】
基体106のネック部106Bは、ハロゲン電球102の口金114の端子部116,118とは反対側に設けられた基体受け部122と嵌合された上、接着剤124で固着されている。なお、基体106の口金114への取り付けに先立って、バルブ26が、口金114に取り付けられている。言うまでも無く、口金114にバルブ26と基体106(反射鏡104)とが取り付けられた状態で(すなわち、反射鏡104内にハロゲン電球102が組み込まれた状態で)、バルブ26の中心軸と反射鏡104の光軸とが略同軸上に位置する(前記中心軸と前記光軸とが略一致する)こととなる。
【0067】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下の形態とすることもできる。
(1)上記実施の形態1では、反射鏡を備える照明器具とハロゲン電球とで照明装置を構成したが、これに限らず、反射鏡を有しない照明器具と反射鏡付きハロゲン電球とで照明装置を構成することとしても構わない。具体的には、例えば、図1に示す照明装置における反射鏡18とハロゲン電球14の代わりに、図18に示す反射鏡付きハロゲン電球100を取り付けて、照明装置を構成することとしても構わない。
(2)フィラメントコイルは、上記したトラック形状に限らず、他の扁平形状でも構わない。要は、互いに直交する長軸と短軸を有する扁平な横断面をした筒状に巻回されていれば構わない。また、扁平率も整数に限らず、任意の小数をとり得る。
【0068】
ここで、本発明において「短軸と長軸とを有する扁平な横断面」とは、以下に記すような形状のものを含む。当該形状について図19を参照しながら説明する。なお、図19では、短軸に符号「SX」を、長軸に符号「LX」を、また、短軸および長軸の両軸と略直交する中心軸(すなわち、コイル軸心)に符号「CX」をそれぞれ付している。
(i)同図(a)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、上記したトラック形状のもの、つまり二つの平行な線分とそれらの各々の両端を略半円で結んだもの。
【0069】
(ii)同図(b)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、円形を押し潰した形状のもの。
(iii)同図(c)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、略楕円形状のもの
(iv)同図(d)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、略長方形のもの。但し、四隅は、加工上、丸みを帯びる。
【0070】
(v)その他、コイル軸心CX方向から見て、上記(i)〜(iv)に類似した形状のもの。例えば上記(i)において、同図(e)に示すように、二つの平行な線分が内方向に湾曲していても上記(i)に類似した形状として含む。また、ここでは、加工ばらつきによる上記(i)〜(iv)の変形形状も含む。
(3)上記実施の形態のコイル(発光部)に関する間隔(D1,D4,D5,D6,D9,D12)について示した値は一例であり、その他、0.2mm〜4mmの範囲で設定することができる。
(4)上記実施の形態では、管球の一例としてハロゲン電球を示したが、本発明は、ハロゲン電球以外の管球にも適用可能である。要は、フィラメント体に電流を流して白熱発光させる光源であれば構わないのである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る管球は、例えば、反射鏡に組み込まれて使用される管球として好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施の形態1に係る照明装置の概略構成を示す一部切欠き図である。
【図2】上記照明装置を構成するハロゲン電球を示す図である。
【図3】上記ハロゲン電球におけるフィラメント体の支持構造を示す斜視図である。
【図4】上記支持構造にフィラメント体が支持された状態を示す斜視図である。
【図5】上記フィラメント体を構成するフィラメントコイルの製作方法を説明するための図である。
【図6】フィラメントコイルの平面図(上部)と正面図(下部)を表す模式図である。
【図7】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図8】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図9】配光曲線を表した図である。
【図10】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図11】配光曲線を表した図である。
【図12】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図13】配光曲線を表した図である。
【図14】実施の形態1におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図15】実施の形態2におけるフィラメント体およびその支持構造の一例の概略構造を示す斜視図である。
【図16】実施の形態2におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図17】実施の形態2におけるフィラメント体の一例を平面図(上部)と正面図(下部)で表した模式図である。
【図18】実施の形態3に係る反射鏡付きハロゲン電球の概略構成を示す図である。
【図19】扁平な筒(状)の横断面の形状を例示した図である。
【符号の説明】
【0073】
10 照明装置
12 照明器具
14,102 ハロゲン電球
18,104 反射鏡
26 バルブ
60,70,72,74,76,202,220 フィラメント体
62,64,204 フィラメントコイル
62A,64A,204A1,204A2 発光部
62CP,64CP,204CP1,204CP2 発光中心
100 反射鏡付きハロゲン電球
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹面状の反射面を有する反射鏡内に組み込まれて使用される管球であって、
気密封止されたバルブと当該バルブ内に設けられたフィラメント体とを備え、
前記フィラメント体は、扁平状に一重巻きされた2箇所が通電状態で発光する構成とされ、一方の発光箇所を第1発光部、他方の発光箇所を第2発光部とした場合、
前記バルブの中心軸からの第1発光部の発光中心の距離と第2発光部の発光中心の距離とが異なるように、第1発光部と第2発光部が配されていることを特徴とする管球。
【請求項2】
第1および第2発光部は、各々のコイル軸心が前記中心軸と略平行となる姿勢で配されていることを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項3】
第1発光部は、そのコイル軸心が前記中心軸と略平行となり、第2発光部は、そのコイル軸心が前記中心軸に対して傾いた姿勢で配されていることを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項4】
第1発光部と第2発光部とは、そのコイル軸心が前記中心軸と平行となる姿勢から、両発光部の前記反射鏡の光照射開口部側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配されていることを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項5】
第1発光部と第2発光部とは、そのコイル軸心が前記中心軸と平行となる姿勢から、両発光部の前記反射鏡の光照射開口部とは反対側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配されていることを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項6】
前記フィラメント体は、フィラメント線が扁平に一重巻きされてなるフィラメントコイルを、その長手方向ほぼ中央部で屈曲させて構成したものであり、
屈曲部からフィラメントコイルの一端部に至る間に第1発光部が、他端部に至る間に第2発光部が存することを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項7】
第1発光部および第2発光部の一方が、前記中心軸を含む位置に配されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の管球。
【請求項8】
反射鏡と、
前記反射鏡内に組み込まれている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の管球と、
を有することを特徴とする反射鏡付き管球。
【請求項9】
反射鏡を有する照明器具と、
前記反射鏡内に組み込まれている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の管球と、
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項10】
照明器具と、
前記照明器具に取り付けられている、請求項8記載の反射鏡付き管球と、
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項1】
凹面状の反射面を有する反射鏡内に組み込まれて使用される管球であって、
気密封止されたバルブと当該バルブ内に設けられたフィラメント体とを備え、
前記フィラメント体は、扁平状に一重巻きされた2箇所が通電状態で発光する構成とされ、一方の発光箇所を第1発光部、他方の発光箇所を第2発光部とした場合、
前記バルブの中心軸からの第1発光部の発光中心の距離と第2発光部の発光中心の距離とが異なるように、第1発光部と第2発光部が配されていることを特徴とする管球。
【請求項2】
第1および第2発光部は、各々のコイル軸心が前記中心軸と略平行となる姿勢で配されていることを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項3】
第1発光部は、そのコイル軸心が前記中心軸と略平行となり、第2発光部は、そのコイル軸心が前記中心軸に対して傾いた姿勢で配されていることを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項4】
第1発光部と第2発光部とは、そのコイル軸心が前記中心軸と平行となる姿勢から、両発光部の前記反射鏡の光照射開口部側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配されていることを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項5】
第1発光部と第2発光部とは、そのコイル軸心が前記中心軸と平行となる姿勢から、両発光部の前記反射鏡の光照射開口部とは反対側の端部同士が近づく向きに傾けた状態で配されていることを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項6】
前記フィラメント体は、フィラメント線が扁平に一重巻きされてなるフィラメントコイルを、その長手方向ほぼ中央部で屈曲させて構成したものであり、
屈曲部からフィラメントコイルの一端部に至る間に第1発光部が、他端部に至る間に第2発光部が存することを特徴とする請求項1記載の管球。
【請求項7】
第1発光部および第2発光部の一方が、前記中心軸を含む位置に配されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の管球。
【請求項8】
反射鏡と、
前記反射鏡内に組み込まれている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の管球と、
を有することを特徴とする反射鏡付き管球。
【請求項9】
反射鏡を有する照明器具と、
前記反射鏡内に組み込まれている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の管球と、
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項10】
照明器具と、
前記照明器具に取り付けられている、請求項8記載の反射鏡付き管球と、
を有することを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−34355(P2008−34355A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101628(P2007−101628)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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