説明

管理装置および管理方法

【課題】無駄な要求を削減すること。
【解決手段】管理装置10は、算出部13aと、特定部13bとを有する。算出部13aは、製品と製品を構成する複数の部品と製品に含まれる各部品の個数とを対応付けて記憶する第一の記憶部、および複数の部品各々の部品重量を記憶する第二の記憶部を参照して算出した製品の重量を取得するとともに、製品に占める化学物質の含有量を規定した規制データに含まれる規制割合と製品の重量との第一の乗算値を算出する。また、算出部13aは、第一の記憶部および第二の記憶部を参照し、複数の部品各々について、部品重量と個数との第二の乗算値を算出する。特定部13bは、複数の部品のうち、第一の乗算値よりも第二の乗算値が大きい部品を特定するとともに、複数の部品各々を供給する供給元を記憶する第三の記憶部を参照し、特定した部品に対応する供給元を要求先として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品に占める特定有害物質の使用制限を定めた規制により、メーカは、製品が規制を遵守するものであるかを検査する必要がある。そこで、従来、製品全体の化学物質含有量が規制に適合するか否かを判定する装置がある。例えば、従来の装置は、製品の部品のなかに、化学物質含有率または含有量の情報がない部品が存在した場合に、この部品と同一の分類を有し、かつ化学物質含有量などの情報を有する部品を抽出する。そして、従来の装置は、抽出した部品の情報を、化学物質含有率または含有量の情報がない部品に流用することで、製品全体の化学物質含有量が規制に適合するか否かを判定する。
【0003】
上述した規制の一例としては、RoHs(Restriction of Hazardous Substances)指令、REACH(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)規則が挙げられる。
【0004】
なお、部品の調達元へ部品の分析要求、すなわち含有化学物質データの要求を行うとともに、各規制の標準フォーマットで含有化学物質データの受け入れを行う装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−79595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来の技術では、規制に適合するか否かを判定するために、製品の全ての構成部品について、含有物質を調査する。上記の従来の技術では、含有物質を調査する構成部品を絞り込んでいない。そのため、上記の従来の技術では、無駄な要求があり、含有物質を調査する構成部品の数が多くなるほど、調査にかかる費用や時間が増加してしまうという問題がある。
【0007】
ここで、メーカXが、製品αを部品Aと部品Bと部品Cとで製造する場合を例に挙げて説明する。部品A、B、Cのうち、部品Aを部品メーカMから調達し、部品Bを部品メーカNから調達し、部品Cは自社で製造する場合を想定する。メーカXでは、部品A、B、Cに含まれる化学物質を把握し、最終製品αが各種規制を遵守するかを確認する。そこで、メーカXの資材調達部門の担当者は、部品メーカMに、部品Aの含有化学物質データを要求し、部品メーカNに部品Bの含有化学物質データを要求する。また、メーカXの担当者は、自社または外部の調査機関に、部品Cの含有化学物質データを要求する。そして、メーカXの担当者は、部品メーカM、Nおよび調査機関から得た各含有化学物質データを、DB(Data Base)に登録し、管理する。
【0008】
そして、メーカXの各部門、例えば、設計・技術部門、保守・品質保証部門等は、DBに登録された含有化学物質データを共有し、規制に違反しないことを確認したうえで、製品αの製造を進める。
【0009】
例えば、資材調達部門の担当者は、設計・技術部門などの製品の設計を行う部門が登録した製品構成部品表に基づいて、含有化学物質データを各種部品メーカや検査機関へ依頼する。つまり、担当者の作業が発生する。そこで、製品構成部品表に基づいて、装置やシステムが自動で含有化学物質データの要求を部品メーカや検査機関へ行うことが考えられる。なお、製品構成部品表とは、製品を構成する部品を示す表である。例えば、製品αが部品Aと部品Bと部品Cとで構成される場合には、製品構成部品表は、製品αが部品Aと部品Bと部品Cとで構成されることを示す。
【0010】
しかしながら、一律に、全ての部品について、含有化学物質データの要求を行うことは、下記に説明するような理由からも効率的ではない。
【0011】
1つ目の理由としては、部品メーカM、Nが、メーカXへ提供する含有化学物質データを持っていない場合には、部品メーカM、Nは、検査機関へ各部品の分析を依頼する。この場合、部品メーカM、Nに費用や依頼作業などのコストが発生する。
【0012】
2つ目の理由としては、部品メーカM、Nが、各部品の分析を行う場合には、部品メーカM、NからメーカXへ含有化学物質データを提供するまで時間がかかる。この場合、メーカXは、規制や、自社の業務ルールなどによっては、含有化学物質データを入手するまで製品αの製造を行うことができない。
【0013】
3つ目の理由としては、メーカXが製造または加工した部品については、メーカXが費用を負担し、部品の分析を行う。そのため、規制遵守の上で、不要な分析が削減されることが好ましい。
【0014】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、無駄な要求を削減することができる管理装置および管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の開示する管理装置は、第一の記憶部と、第二の記憶部と、第三の記憶部と、第四の記憶部と、算出部と、特定部と、要求部とを有する。第一の記憶部は、製品と製品を構成する複数の部品と製品に含まれる各部品の個数とを対応付けて記憶する。第二の記憶部は、複数の部品各々の部品重量を記憶する。第三の記憶部は、複数の部品各々を供給する供給元を記憶する。算出部は、第一の記憶部および第二の記憶部を参照して算出した製品の重量、または予め記憶された製品の重量を取得するとともに、製品に占める化学物質の含有量を規定した規制データに含まれる規制割合と製品の重量との第一の乗算値を算出する。また、算出部は、第一の記憶部および第二の記憶部を参照し、複数の部品各々について、部品重量と個数との第二の乗算値を算出する。特定部は、複数の部品のうち、第一の乗算値よりも第二の乗算値が大きい部品を特定するとともに、第三の記憶部を参照し、特定した部品に対応する供給元を特定する。要求部は、特定部により特定された供給元へ、特定部により特定された部品の含有化学物質に関するデータを要求する。
【発明の効果】
【0016】
本願の開示する管理装置および管理方法の一つの態様によれば、無駄な要求を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施例1に係る管理装置が適用されるシステムの機能的構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、規制マスタの一例を示す図である。
【図3】図3は、物質マスタの一例を示す図である。
【図4】図4は、規制物質マスタの一例を示す図である。
【図5】図5は、部品マスタの一例を示す図である。
【図6】図6は、部品構成データの一例を示す図である。
【図7】図7は、部品−購買先データの一例を示す図である。
【図8】図8は、実施例1に係る特定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係る管理装置の機能的構成を示す図である。
【図10】図10は、実施例2に係る部品マスタの一例を示す図である。
【図11】図11は、実施例2に係る算出部の処理を説明するための図である。
【図12】図12は、要求部の表示制御により、端末に表示される表示内容の一例を示す図である。
【図13】図13は、実施例2に係る特定処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、管理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本願の開示する管理装置および管理方法の各実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0019】
実施例1に係る管理装置について説明する。図1は、実施例1に係る管理装置が適用されるシステムの機能的構成の一例を示す図である。本実施例に係る管理装置10は、端末20に接続されている。なお、図1の例では、管理装置10に、端末20が複数台接続される場合が示されているが、端末20の台数は1台であってもよい。端末20は、ユーザの指示を受け付けて、受け付けた指示を管理装置10へ送信する。例えば、端末20は、後述の特定処理を実行する指示を受け付けると、かかる指示を管理装置10へ送信する。また、端末20は、管理装置10が実行した処理の結果を受信し、受信した処理の結果を表示部に表示する。例えば、端末20は、管理装置10が実行した特定処理の結果を受信し、受信した特定処理の結果を表示する。
【0020】
管理装置10は、製品を構成する部品を管理する。そして、管理装置10は、規制に適合するか否かを判定する部品の含有化学物質データを、図示しないインターネットを介して、部品の仕入先に要求する。ここで、管理装置10は、製品を構成する全ての部品ではなく、製品に対する物質の規制が示す割合と製品の重量との乗算値よりも、製品に含まれる重量が大きい部品を特定し、特定した部品の含有化学物質データを、部品の仕入先に要求する。ここで、製品に含まれる重量が、製品に対する物質の規制が示す割合と製品の重量との乗算値以下となる部品については、たとえ全て規制対象となる物質で構成されていたとしても、規制に抵触しないことが明らかである。そのため、管理装置10は、製品に含まれる重量が、製品に対する物質の規制が示す割合と製品の重量との乗算値以下となる部品については、含有化学物質データを仕入先に要求しない。したがって、管理装置10によれば、無駄な要求を削減することができる。
【0021】
[管理装置の機能構成]
管理装置10の機能構成の一例について説明する。図1に示すように、管理装置10は、入出力部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
【0022】
入出力部11は、各種情報を制御部13に入力し、制御部13からの各種情報を出力する。例えば、入出力部11は、端末20から、後述の特定処理を実行する指示を受け付けて、受け付けた指示を制御部13に入力する。なお、この指示には、端末20のユーザが指定した規制コードが含まれる。規制コードについては後述する。また、入出力部11は、後述の要求部14cから送信された、部品の含有化学物質データの要求を受け付けて、受け付けた要求を、図示しないインターネットを介して、要求先の供給メーカである仕入先に送信する。また、入出力部11は、要求を送信した仕入先から、インターネットを介して、部品の含有化学物質データを受け付けて、受け付けた含有化学物質データを制御部13に入力する。入出力部11のデバイスの一例としては、他の装置や機器、およびシステムなどと通信を行うためのNIC(Network Interface Card)などのネットワークインタフェースが挙げられる。
【0023】
記憶部12は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部12は、規制マスタ12a、物質マスタ12b、規制物質マスタ12c、部品マスタ12d、部品構成データ12e、部品−購買先データ12fを記憶する。
【0024】
規制マスタ12aには、規制の名称である規制名称と、規制を識別するための規制コードとが対応付けられて登録される。図2は、規制マスタの一例を示す図である。図2の例では、規制名称が「規制001」である規制の規制コードが「res001」である場合が示されている。なお、規制マスタ12aは、記憶部12に予め記憶させずに、外部の装置から取得されるようにしてもよい。
【0025】
物質マスタ12bには、規制の対象となる物質の名称である物質名称と、物質を識別するための物質コードとが対応付けられて登録される。図3は、物質マスタの一例を示す図である。図3の例では、物質名称が「物質001」である物質の物質コードが「che001」である場合が示されている。
【0026】
規制物質マスタ12cには、製品全体の質量に対する物質の重量の割合であって、規制の対象となる物質が許容される割合が登録される。図4は、規制物質マスタの一例を示す図である。図4の例では、規制コードが「res001」である規制の対象となる物質が、物質コードが「che001」である物質であり、規制の対象となる物質が許容される割合が「1%」である場合が示されている。また、図4の例では、規制コードが「res001」である規制の対象となる物質が、物質コードが「che002」である物質であり、規制の対象となる物質が許容される割合が「2%」である場合が示されている。このように、図4の例では、規制物質マスタ12cに、同一の規制に対して、複数の物質の割合が登録される。また、図4の例では、規制コードが「res002」である規制の対象となる物質が、物質コードが「che001」である物質であり、規制の対象となる物質が許容される割合が「3%」である場合が示されている。このように、図4の例では、規制物質マスタ12cに、複数の規制が登録される。なお、「割合」は、閾値とも称される。また、規制物質マスタ12cは、記憶部12に予め記憶させずに、外部の装置から取得されるようにしてもよい。
【0027】
部品マスタ12dには、部品を識別するための品目番号と、部品の名称である品目名称とが対応付けられて登録される。さらに、部品マスタ12dには、部品が末端部品である場合には、部品の質量が登録される。末端部品について説明する。製品を構成する部品には、様々な部品がある。例えば、製品を構成する部品Aは、部品Bと部品Eとから構成され、部品Bは部品Cと部品Dとから構成され、部品Eは部品Cと部品Dと部品Fと部品Nとから構成され、部品C、D、F、Nのそれぞれは、他の部品で構成されない場合を想定する。このような場合に、部品C、D、F、Nのそれぞれを末端部品と称する。また、部品A、B、Eのそれぞれを中間部品と称する場合がある。図5は、部品マスタの一例を示す図である。図5の例では、品目番号が「部品A」である部品の品目名称が「部品A」である場合が示されている。また、図5の例では、品目番号が「部品A」である部品は、質量が登録されていないことから、中間部品である。また、図5の例では、品目番号が「部品C」である部品の品目名称が「部品C」であり、質量が「0.0001g」である場合が示されている。また、図5の例では、品目番号が「部品C」である部品は、質量が登録されていることから、末端部品である。なお、部品マスタ12dには、製品全体の質量が登録されてもよい。なお、質量は、重量とも称される。
【0028】
部品構成データ12eには、製品を構成する部品と、部品の個数とが対応付けられて登録される。上述したように、部品については、製品を構成する中間部品、中間部品を構成する末端部品などがある。図6は、部品構成データの一例を示す図である。図6の例では、上位の部品である部品Aは、下位の部品である部品B、Cで構成されている場合が示されている。また、図6の例では、部品Aは、1つの部品Bと、1つの部品Eとで構成されている場合が示されている。
【0029】
部品−購買先データ12fには、製品を構成する部品の品目番号と、部品の供給先である仕入先とが対応付けられて登録される。図7は、部品−購買先データの一例を示す図である。図7の例では、品目番号が「部品C」の部品の仕入先は「仕入先P」である場合が示されている。
【0030】
記憶部12は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。なお、記憶部12は、上記の種類の記憶装置に限定されるものではなく、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)であってもよい。
【0031】
制御部13は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。図1に示すように、制御部13は、算出部13aと、特定部13bと、要求部13cと、受信部13dとを有する。
【0032】
算出部13aは、部品マスタ12dおよび部品構成データ12eを参照し、製品の重量を算出し、または、予め記憶された製品の重量を取得し、製品に占める化学物質の含有量を規定した規制データに含まれる規制割合と製品の重量との第一の乗算値を算出する。また、算出部13aは、部品マスタ12dおよび部品構成データ12eを参照し、複数の部品各々について、部品重量と個数との第二の乗算値を算出する。
【0033】
例えば、算出部13aは、まず、特定処理の指示に含まれる規制コードをキーにして、規制マスタ12aから、含有化学物質データの要求を行う目的の規制を抽出する。例えば、図2の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、算出部13aは、規制名称が「規制001」である規制を抽出する。そして、算出部13aは、規制コードをキーにして、規制物質マスタ12cから、抽出した規制の調査対象となる物質の物質コードと、その物質の閾値を抽出する。例えば、図4の例において、指示に含まれる規制コードが「res003」である場合には、算出部13aは、物質コードとして「che003」、閾値として「5%」を抽出する。そして、算出部13aは、抽出した物質コードをキーにして、物質マスタ12bから、物質名称を抽出する。例えば、図3および図4の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、算出部13aは、物質名称として「物質001」を抽出する。なお、規制の調査対象となる物質が複数存在する場合には、算出部13aは、複数の物質のそれぞれについて、閾値を抽出し、抽出した複数の閾値のうち、最も小さい閾値を、下記で説明する処理で用いられる閾値として特定する。例えば、図4の例において、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、算出部13aは、閾値として「1%」、「2%」を抽出し、「1%」を、下記で説明する処理で用いられる閾値として特定する。ここで、算出部13aは、指示に含まれる規制コードが複数存在する場合には、複数の規制コードを抽出する。この場合、算出部13a、特定部13b、要求部13cは、下記で説明する処理を、抽出した規制コード分行う。
【0034】
続いて、算出部13aは、製品の質量を導出する。例えば、算出部13aは、部品マスタ12dおよび部品構成データ12eを参照し、部品マスタ12dに登録された各部品のうち、質量が登録された末端部品の各々について、製品に含まれる個数を算出する。図5および図6の例では、算出部13aは、質量が登録された末端部品Cについて、製品に含まれる個数4(3+1)を算出する。また、図5および図6の例では、算出部13aは、質量が登録された末端部品Dについて、製品に含まれる個数2(1+1)を算出する。また、図5および図6の例では、算出部13aは、質量が登録された末端部品Fについて、製品に含まれる個数1を算出する。また、図5および図6の例では、算出部13aは、質量が登録された末端部品Nについて、製品に含まれる個数31(30+1)を算出する。
【0035】
そして、算出部13aは、末端部品のそれぞれについて、末端部品の質量と、末端部品の個数との乗算値を算出する。図5および図6の例では、算出部13aは、末端部品Cについて、「0.0001×4」[g]を算出する。また、図5および図6の例では、算出部13aは、末端部品Dについて、「0.0002×2」[g]を算出する。また、図5および図6の例では、算出部13aは、末端部品Fについて、「800×1」[g]を算出する。また、図5および図6の例では、算出部13aは、末端部品Nについて、「10×31」[g]を算出する。
【0036】
続いて、算出部13aは、末端部品のそれぞれについて算出した乗算値の和を、製品の質量として導出する。図5および図6の例では、算出部13aは、「0.0001×4+0.0002×2+800×1+10×31+・・・」[g]を、製品の質量として導出する。なお、部品マスタ12dに製品の質量が登録されている場合には、算出部13aは、部品マスタ12dから製品の質量を取得することで、製品の質量を導出してもよい。
【0037】
また、算出部13aは、導出した製品の質量と、抽出した閾値または特定した閾値との乗算値を算出する。例えば、図4、図5および図6の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、算出部13aは、「(0.0001×4+0.0002×2+800×1+10×31+・・・)×0.01」[g]を算出する。
【0038】
特定部13bは、複数の末端部品のうち、製品の質量と閾値との乗算値よりも、質量と個数との乗算値が大きい末端部品を特定するとともに、部品−購買先データ12fを参照し、特定した末端部品に対応する仕入先を特定する。
【0039】
例えば、特定部13bは、全ての末端部品について、製品の質量と閾値との乗算値より、末端部品の質量と個数との乗算値が大きいか否かを判定する。図4、図5および図6の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、特定部13bは、「(0.0001×4+0.0002×2+800×1+10×31+・・・)×0.01」よりも、末端部品Cの質量と個数との乗算値「0.0001×4」が小さいと判定する。また、図4、図5および図6の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、特定部13bは、「(0.0001×4+0.0002×2+800×1+10×31+・・・)×0.01」よりも、末端部品Dの質量と個数との乗算値「0.0002×2」が小さいと判定する。また、図4、図5および図6の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、特定部13bは、「(0.0001×4+0.0002×2+800×1+10×31+・・・)×0.01」よりも、末端部品Fの質量と個数との乗算値「800×1」が大きいと判定する。また、図4、図5および図6の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、特定部13bは、「(0.0001×4+0.0002×2+800×1+10×31+・・・)×0.01」よりも、末端部品Nの質量と個数との乗算値「10×31」が大きいと判定する。
【0040】
そして、特定部13bは、製品の質量と閾値との乗算値より、質量と個数との乗算値が大きい末端部品を、含有化学物質データの要求を行う部品として特定する。図4、図5および図6の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、特定部13bは、末端部品F、Nを特定する。
【0041】
続いて、特定部13bは、部品−購買先データ12fを参照し、特定した末端部品の仕入先を特定する。図4、図5、図6および図7の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、特定部13bは、末端部品Fの仕入先として「仕入先P」を特定する。また、図4、図5、図6および図7の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、特定部13bは、末端部品Nの仕入先として「仕入先Q」を特定する。
【0042】
要求部13cは、特定部13bにより特定された仕入先へ、特定部13bにより特定された部品の含有化学物質に関するデータを要求する。例えば、図4、図5、図6および図7の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、要求部13cは、「仕入先P」へ、末端部品Fの化学物質含有率に関するデータを、入出力部11を介して要求する。また、図4、図5、図6および図7の例で、指示に含まれる規制コードが「res001」である場合には、要求部13cは、「仕入先Q」へ、末端部品Nの化学物質含有率に関するデータを、入出力部11を介して要求する。また、要求部13cは、部品構成データ12eに登録された部品のうち、特定部13bにより特定された部品と、特定部13bにより特定されない部品とが、色や明度が異なって、端末20に表示されるように、表示を制御する。
【0043】
受信部13dは、部品の含有化学物質に関するデータを要求した仕入先から、データを受信する。例えば、受信部13dは、仕入先から、入出力部11およびインターネットを介して、部品の含有化学物質データを受信する。また、受信部13dは、端末20に含有化学物質データの結果を送信する。これにより、端末20を利用するユーザは、含有化学物質データを把握することができる。
【0044】
制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路またはCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0045】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る管理装置10の処理の流れを説明する。図8は、実施例1に係る特定処理の手順を示すフローチャートである。この特定処理は、入出力部11を介して、端末20から特定処理を実行する指示を受け付けた場合に実行される。
【0046】
図8に示すように、算出部13aは、規制コードをキーにして、規制マスタ12aから、規制を抽出し、規制物質マスタ12cから閾値及び物質コードを抽出し、抽出した物質コードをキーにして、物質マスタ12bから物質名称を抽出する(ステップS101)。算出部13aは、部品マスタ12dおよび部品構成データ12eを参照し、末端部品の各々について、製品に含まれる個数を算出し、末端部品の質量と、末端部品の個数との乗算値を算出する(ステップS102)。
【0047】
算出部13aは、末端部品のそれぞれについて算出した乗算値の和を、製品の質量として導出する(ステップS103)。算出部13aは、導出した製品の質量と、抽出した閾値または特定した閾値との乗算値を算出する(ステップS104)。
【0048】
特定部13bは、未判定の末端部品を1つ選択し、選択した末端部品の質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値より大きいか否かを判定する(ステップS105)。選択した末端部品の質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値以下の場合(ステップS105否定)には、ステップS107へ進む。一方、選択した末端部品の質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値より大きい場合(ステップS105肯定)には、特定部13bは、次のような処理を行う。すなわち、特定部13bは、製品の質量と閾値との乗算値より、質量と個数との乗算値が大きい末端部品を、含有化学物質データの要求を行う部品として特定する(ステップS106)。
【0049】
特定部13bは、全ての末端部品について、ステップS105の判定を行ったか否かを判定する(ステップS107)。全ての末端部品について、ステップS105の判定を行っていない場合(ステップS107否定)には、ステップS105へ進む。一方、全ての末端部品について、ステップS105の判定を行った場合(ステップS107肯定)には、特定部13bは、部品−購買先データ12fを参照し、特定した末端部品の仕入先を特定する(ステップS108)。要求部13cは、特定された仕入先へ、特定された部品の化学物質含有率に関するデータを要求する(ステップS109)。要求部13cは、部品構成データ12eに登録された部品のうち、特定部13bにより特定された部品と、特定部13bにより特定されない部品とが、色や明度が異なって、端末20に表示されるように、表示を制御し(ステップS110)、処理を終了する。
【0050】
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る管理装置10は、製品を構成する全ての部品ではなく、製品に対する物質の規制が示す割合と製品の重量との乗算値よりも、製品に含まれる重量が大きい部品を特定し、特定した部品の含有化学物質データを、仕入先に要求する。ここで、製品に含まれる重量が、製品に対する物質の規制が示す割合と製品の重量との乗算値以下となる部品については、たとえ全て規制対象となる物質で構成されていたとしても、規制に抵触しないことが明らかである。そのため、本実施例に係る管理装置10は、製品に含まれる重量が、製品に対する物質の規制が示す割合と製品の重量との乗算値以下となる部品については、含有化学物質データを仕入先に要求しない。したがって、本実施例に係る管理装置10によれば、無駄な要求を削減することができる。また、本実施例に係る管理装置10によれば、全ての末端部品の質量について算出し、製品に含まれる重量が、製品に対する物質の規制が示す割合と製品の重量との乗算値より大きい末端部品について判定するので、精度の高い判定を行うことができる。
【実施例2】
【0051】
さて、上記の実施例1では、全ての末端部品の質量を用いて、含有化学物質データを仕入先に要求する部品を特定する場合を例示したが、開示の装置はこれに限定されない。そこで、実施例2では、中間部品をも用いて含有化学物質データを仕入先に要求する部品を特定する場合について説明する。
【0052】
[管理装置30の構成]
図9は、実施例2に係る管理装置の機能的構成を示す図である。図9に示すように、管理装置30は、記憶部32と、制御部33とを有する。かかる記憶部32は、図1に示す実施例1に係る記憶部12と比較して、部品マスタ12dに代えて部品マスタ32dを有する点が異なる。また、かかる制御部33は、図1に示す実施例1に係る制御部13と比較して、算出部13a、特定部13b、要求部13cに代えて算出部33a、特定部33b、要求部33cを有する点が異なる。また、なお、以下では、上記の実施例1と同様の機能を果たす回路や機器については図1と同様の符号を付し、その説明は省略することとする。
【0053】
部品マスタ32dには、部品を識別するための品目番号と、部品の名称である品目名称と、部品の質量と、中間部品または末端部品のいずれであるかを示す属性情報とが対応付けられて登録される。また、部品マスタ32dには、製品全体の質量が登録される。図10は、実施例2に係る部品マスタの一例を示す図である。図10の例では、製品の質量が「1910.00021」[g]である場合が示されている。また、図10の例では、中間部品Aの質量が「810.0008」[g]である場合が示されている。また、図10の例では、中間部品Bの質量が「0.0005」[g]である場合が示されている。また、図10の例では、中間部品Eの質量が「810.0003」[g]である場合が示されている。また、図10の例では、製品の質量が「1910.00021」[g]である場合が示されている。
【0054】
算出部33aは、部品構成データ12eおよび部品マスタ12dを参照し、複数の中間部品各々について、中間部品の重量と個数との第三の乗算値を算出し、製品の重量と規制割合との第一の乗算値よりも第三の乗算値が大きい中間部品について、中間部品に含まれる複数の部品に含まれるいずれかの部品について、部品重量と個数との第二の乗算値を算出する。
【0055】
例えば、算出部33aは、まず、特定処理の指示に含まれる規制コードをキーにして、規制マスタ12aから、含有化学物質データの要求を行う目的の規制を抽出する。そして、算出部33aは、規制コードをキーにして、規制物質マスタ12cから、抽出した規制の調査対象となる物質の物質コードおよび閾値を抽出する。続いて、算出部33aは、抽出した物質コードをキーにして、物質マスタ12bから、物質名称を抽出する。なお、規制の調査対象となる物質が複数存在する場合には、算出部33aは、複数の物質のそれぞれについて閾値を抽出し、抽出した複数の閾値のうち、最も小さい閾値を、下記で説明する処理で用いられる閾値として特定する。ここで、算出部33aは、指示に含まれる規制コードが複数存在する場合には、複数の規制コードを抽出する。この場合、算出部33a、特定部33b、要求部33cは、下記で説明する処理を、抽出した規制コード分行う。
【0056】
続いて、算出部33aは、製品の質量を導出する。例えば、算出部33aは、部品マスタ32dから製品の質量を取得することで、製品の質量を導出する。
【0057】
また、算出部33aは、導出した製品の質量と、抽出した閾値または特定した閾値との乗算値を算出する。
【0058】
図11は、実施例2に係る算出部の処理を説明するための図である。図11の例では、製品を中間部品Aと中間部品Gとで構成する場合が示されている。また、図11の例では、中間部品Aを中間部品Bと中間部品Eとで構成する場合が示されている。また、図11の例では、中間部品Bを末端部品Cと末端部品Dとで構成する場合が示されている。また、図11の例では、中間部品Eを末端部品Cと末端部品Dと末端部品Fと末端部品Nとで構成する場合が示されている。また、図11の例では、同レベルの部品は、上位の部品から下位の部品の順に説明すると、最上位の同レベルの部品は、部品Aと部品Gである。2番目に上位の同レベルの部品は、部品A側については部品Bと部品Eである。最下位の同レベルの部品は、部品B側については部品Cと部品Dであり、部品E側については部品Cと部品Dと部品Fと部品Nである。下記で説明する算出部33aが行う処理の処理対象の部品は、上位の部品から下位の部品へと移行する。図11の例では、製品より1レベル下の部品は、部品Aと部品Gである。また、図11の例では、部品Aより1レベル下の部品は、部品Bと部品Eである。また、図11の例では、部品Bより1レベル下の部品は、部品Cと部品Dである。また、図11の例では、部品Eより1レベル下の部品は、部品Cと部品Dと部品Fと部品Nである。
【0059】
算出部33aは、構成データ12eおよび部品マスタ32dを参照し、中間部品について、重量と個数との乗算値を算出する。図6および図10の例では、算出部33aは、中間部品Aについて、「(810.0008)×1」[g]を算出する。また、図6および図10の例では、算出部33aは、中間部品Bについて、「(0.0005)×1」[g]を算出する。また、図6および図10の例では、算出部33aは、中間部品Eについて、「(810.0003)×1」[g]を算出する。そして、算出部33aは、末端部品についても同様に、重量と個数との乗算値を算出する。ここで、算出部33aは、後述の特定部33bにより、後述の判断済みリストに登録された部品については、含有化学物質データを仕入先に要求しない部品と判断して、重量と個数との乗算値を算出しない。そのため、算出部33aは、全ての末端部品について、重量と個数との乗算値を算出するのではなく、判断済みリストに登録されていない末端部品について、重量と個数との乗算値を算出する。なお、判断済みリストに登録されていない末端部品の一例としては、重量と個数との乗算値が、製品の重量と規制割合との乗算値よりも大きい中間部品を構成する部品が挙げられる。
【0060】
特定部33bは、製品の重量と閾値との乗算値と、部品の重量と個数との乗算値とを比較し、重量と個数との乗算値が、製品の重量と閾値との乗算値以下となる部品を特定し、特定した部品を判断済みリストに登録する。また、特定部33bは、特定した部品を構成する部品についても、判断済みリストに登録する。そして、特定部33bは、部品構成データ12eを参照し、部品構成データ12eに登録された部品のうち、判断済みリストに登録されていない部品を、含有化学物質データの要求を行う部品として特定する。
【0061】
判断済みリストに登録された部品については、たとえ全て規制対象となる物質で構成されていたとしても、規制に抵触しないと考えられる。そのため、要求部33cは、判断済みリストに登録された部品については、含有化学物質データを仕入先に要求しない。したがって、管理装置30によれば、無駄な要求を削減することができる。
【0062】
また、特定部33bは、重量と個数との乗算値が、製品の重量と閾値との乗算値以下となる中間部品だけでなく、その中間部品を構成する部品についても判断済みリストに登録する。これにより、要求部33cは、中間部品を構成する部品についても、含有化学物質データを仕入先に要求しない。そのため、管理装置30によれば、中間部品の質量と個数との乗算値と、製品の重量と閾値との乗算値とを比較するだけで、中間部品を構成する部品については比較を行わずに、含有化学物質データを要求しないようにすることができる。すなわち、管理装置30によれば、全ての末端部品について、質量と個数との乗算値を算出する場合と比較して、より簡易な処理で、無駄な要求を削減することができる。
【0063】
要求部33cは、特定部33bにより特定された仕入先へ、特定部33bにより特定された部品の化学物質含有率に関するデータを要求する。また、要求部13cは、部品構成データ12eに登録された部品のうち、特定部33bにより特定された部品と、特定部33bにより特定されない部品とが、色や明度が異なって、端末20に表示されるように、表示を制御する。図12は、要求部の表示制御により、端末に表示される表示内容の一例を示す図である。図12中左側の例では、製品を構成する部品のうち、含有化学物質データの要求を行う部品の候補70が端末20に表示された場合が示されている。
【0064】
この表示の状態から、端末20を利用するユーザから、端末20が「表示切替」の指示を受け付けると、図12中右側の例のように、端末20の表示が切り替わる。図12中右側の例では、部品71の表示形態は、含有化学物質データの要求を行う部品の候補ではなく、質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値以下であったため、自身および配下の部品が含有化学物質データの要求を行う部品ではないことを示す。また、図12中右側の例では、部品72の表示形態は、上位の部品が含有化学物質データの要求を行う部品ではないため、自身も含有化学物質データの要求を行う部品ではないことを示す。また、図12中右側の例では、部品73の表示形態は、含有化学物質データの要求を行う部品の候補であったが、質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値以下であったため、含有化学物質データの要求を行う部品ではないことを示す。また、図12中右側の例では、部品74の表示形態は、判断済みリストに登録されたため、含有化学物質データの要求を行う部品ではないことを示す。また、図12中右側の例では、部品70の表示形態は、含有化学物質データの要求を行う部品の候補であり、質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値より大きいため、含有化学物質データの要求を行う部品であることを示す。なお、この表示の状態から、端末20を利用するユーザから、端末20が「表示切替」の指示を受け付けると、図12中左側の例のように、端末20の表示が切り替わる。
【0065】
制御部33は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路またはCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0066】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る管理装置30の処理の流れを説明する。図13は、実施例2に係る特定処理の手順を示すフローチャートである。この特定処理は、入出力部11を介して、端末20から特定処理を実行する指示を受け付けた場合に実行される。
【0067】
図13に示すように、算出部33aは、規制コードをキーにして、規制マスタ12aから、規制を抽出し、規制物質マスタ12cから閾値及び物質コードを抽出し、抽出した物質コードをキーにして、物質マスタ12bから物質名称を抽出する(ステップS201)。算出部33aは、部品マスタ32dから製品の質量を取得することで、製品の質量を導出する(ステップS202)。算出部33aは、導出した製品の質量と、閾値との乗算値を算出する(ステップS203)。
【0068】
算出部33aは、1レベル配下の部品を抽出する(ステップS204)。なお、最初のステップS204の処理では、製品を構成する部品を抽出する。算出部33aは、ステップS204で、1レベル配下の部品を抽出できたか否かを判定する(ステップS205)。1レベル配下の部品を抽出できた場合(ステップS205肯定)には、算出部33aは、抽出した同レベルの部品のうち、後述のステップS207で特定されていない部品があるか否かを判定する(ステップS206)。特定されていない部品がある場合(ステップS206肯定)には、算出部33aは、特定されていない部品、すなわち未特定の部品を1つ特定する(ステップS207)。算出部33aは、特定した部品が判断済みリストに登録されているか否かを判定する(ステップS208)。特定した部品が判断済みリストに登録されている場合(ステップS208肯定)には、ステップS206に戻る。
【0069】
一方、特定した部品が判断済みリストに登録されていない場合(ステップS208否定)には、算出部33aは、構成データ12eおよび部品マスタ32dを参照し、特定した部品について、重量と個数との乗算値を算出する(ステップS209)。特定部33bは、特定した部品の質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値以下であるか否かを判定する(ステップS210)。特定した部品の質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値以下である場合(ステップS210肯定)には、特定部33bは、特定した部品、および特定した部品を構成する部品を、判断済みリストに登録する(ステップS211)。そして、ステップS206へ戻る。
【0070】
一方、特定した部品の質量と個数との乗算値が、製品の質量と閾値との乗算値より大きい場合(ステップS210否定)には、ステップS204へ戻る。また、1レベル配下の部品を抽出できなかった場合(ステップS205否定)には、算出部33aは、同レベルの部品のうち、未特定の部品があるか否かを判定する(ステップS212)。同レベルの部品のうち、未特定の部品がある場合(ステップS212肯定)には、算出部33aは、同レベルの部品のうち、未特定の部品がない場合(ステップS212否定)には、算出部33aは、処理対象の部品を1レベル上に移行する(ステップS214)。算出部33aは、ステップS214で、処理対象の部品を1レベル上に移行できたか否かを判定する(ステップS215)。処理対象の部品を1レベル上に移行できた場合(ステップS215肯定)には、ステップS212へ進む。
【0071】
処理対象の部品を1レベル上に移行できない場合(ステップS215否定)には、特定部33bは、次のような処理を行う。すなわち、特定部33bは、部品構成データ12eを参照し、部品構成データ12eに登録された部品のうち、判断済みリストに登録されていない部品を、含有化学物質データの要求を行う部品として特定する(ステップS216)。特定部33bは、部品−購買先データ12fを参照し、特定した部品の仕入先を特定する(ステップS217)。要求部33cは、特定された仕入先へ、特定された部品の化学物質含有率に関するデータを要求する(ステップS218)。要求部33cは、部品構成データ12eに登録された部品のうち、特定部33bにより特定された部品と、特定部33bにより特定されない部品とが、色や明度が異なって、端末20に表示されるように、表示を制御し(ステップS219)、処理を終了する。
【0072】
[実施例2の効果]
上述してきたように、判断済みリストに登録された中間部品については、たとえ全て規制対象となる物質で構成されていたとしても、規制に抵触しないと考えられる。そのため、本実施例に係る管理装置30は、判断済みリストに登録された中間部品については、含有化学物質データを仕入先に要求しない。したがって、本実施例に係る管理装置30によれば、無駄な要求を削減することができる。
【0073】
また、本実施例に係る管理装置30は、重量と個数との乗算値が、製品の重量と閾値との乗算値以下となる中間部品だけでなく、その中間部品を構成する部品についても判断済みリストに登録する。これにより、本実施例に係る管理装置30は、中間部品を構成する部品についても、含有化学物質データを仕入先に要求しない。そのため、本実施例に係る管理装置30によれば、中間部品の質量と個数との乗算値と、製品の重量と閾値との乗算値とを比較するだけで、中間部品を構成する部品については比較を行わずに、含有化学物質データを要求しないようにすることができる。すなわち、本実施例に係る管理装置30によれば、全ての末端部品について、質量と個数との乗算値を算出する場合と比較して、より簡易な処理で、無駄な要求を削減することができる。
【0074】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0075】
たとえば、各実施例1、2において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。また、各実施例において説明した各処理のうち、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。例えば、ステップS109、ステップS218において、人間が仕入先へ含有化学物質データの要求を行ってもよい。
【0076】
また、各種の負荷や使用状況などに応じて、各実施例において説明した各処理の各ステップでの処理を任意に細かくわけたり、あるいはまとめたりすることができる。また、ステップを省略することもできる。ステップS110、ステップS219の処理を省略することもできる。
【0077】
また、各種の負荷や使用状況などに応じて、各実施例において説明した各処理の各ステップでの処理の順番を変更できる。例えば、ステップS109の処理を行う前に、ステップS110の処理を行うこともできる。また、ステップS218の処理を行う前に、ステップS219の処理を行うこともできる。
【0078】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的状態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、要求部と受信部とが統合されてもよい。
【実施例3】
【0079】
[管理プログラム]
また、上記の実施例で説明した管理装置の各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、図14を用いて、上記の実施例で説明した管理装置と同様の機能を有する管理プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図14は、管理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0080】
図14に示すように、実施例3におけるコンピュータ300は、CPU(Central Processing Unit)310、ROM(Read Only Memory)320、HDD(Hard Disk Drive)330、RAM(Random Access Memory)340とを有する。これら300〜340の各部は、バス350を介して接続される。
【0081】
ROM320には、上記の算出部13aと、特定部13bと、要求部13cと、受信部13dと同様の機能、または、上記の算出部33aと、特定部33bと、要求部33cと、受信部13dと同様の機能を発揮する管理プログラム320aが予め記憶される。なお、管理プログラム320aについては、適宜分離しても良い。例えば、算出部13aと、特定部13bと、要求部13cと同様の機能を発揮するプログラムと、受信部13dと同様の機能を発揮するプログラムとに分離しても良い。また、算出部33aと、特定部33bと、要求部33cと同様の機能を発揮するプログラムと、受信部13dと同様の機能を発揮するプログラムとに分離しても良い。
【0082】
そして、CPU310が、管理プログラム320aをROM320から読み出して実行する。
【0083】
そして、HDD330には、規制マスタ、物質マスタ、規制物質マスタ、部品マスタ、部品構成データ、部品−購買先データが設けられる。規制マスタ、物質マスタ、規制物質マスタ、部品マスタ、部品構成データのそれぞれは、規制マスタ12a、物質マスタ12b、規制物質マスタ12c、部品マスタ12d、部品構成データ12eのそれぞれに対応する。部品−購買先データは、部品−購買先データ12fに対応する。
【0084】
そして、CPU310は、規制マスタ、物質マスタ、規制物質マスタ、部品マスタ、部品構成データ、部品−購買先データを読み出してRAM340に格納する。さらに、CPU310は、RAM340に格納された規制マスタ、物質マスタ、規制物質マスタ、部品マスタ、部品構成データ、部品−購買先データを用いて、管理プログラムを実行する。なお、RAM340に格納される各データは、常に全てのデータがRAM340に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがRAM340に格納されれば良い。
【0085】
なお、上記した管理プログラムについては、必ずしも最初からROM320に記憶させておく必要はない。
【0086】
例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0087】
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ300に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0088】
以上説明した実施形態及びその変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
【0089】
(付記1)製品と前記製品を構成する複数の部品と前記製品に含まれる各部品の個数とを対応付けて記憶する第一の記憶部と、
前記複数の部品各々の部品重量を記憶する第二の記憶部と、
前記複数の部品各々を供給する供給元を記憶する第三の記憶部と、
前記第一の記憶部および前記第二の記憶部を参照して算出した前記製品の重量、または予め記憶された該製品の重量を取得するとともに、製品に占める化学物質の含有量を規定した規制データに含まれる規制割合と該製品の重量との第一の乗算値を算出するとともに、該第一の記憶部および該第二の記憶部を参照し、前記複数の部品各々について、該部品重量と個数との第二の乗算値を算出する算出部と、
前記複数の部品のうち、前記第一の乗算値よりも前記第二の乗算値が大きい部品を特定するとともに、前記第三の記憶部を参照し、特定した部品に対応する前記供給元を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記供給元へ、前記特定部により特定された部品の含有化学物質に関するデータを要求する要求部と
を有することを特徴とする管理装置。
【0090】
(付記2)前記製品は、複数の中間部品を含み、
前記中間部品は、前記複数の部品の少なくとも1つを含み、
前記算出部は、前記第一の記憶部および前記第二の記憶部を参照し、前記複数の中間部品各々について、中間部品の重量と個数との第三の乗算値を算出し、前記第一の乗算値よりも前記第三の乗算値が大きい中間部品について、該中間部品に含まれる前記複数の部品に含まれるいずれかの部品について、前記部品重量と前記個数との前記第二の乗算値を算出する
ことを特徴とする付記1に記載の管理装置。
【0091】
(付記3)前記供給元から前記含有化学物質に関するデータを受信する受信部
をさらに有することを特徴とする付記1または2に記載の管理装置。
【0092】
(付記4)前記規制データは、化学物質の種類と前記規制割合とが対応付いたデータであって、
前記算出部は、前記化学物質の種類ごとの前記規制割合を用いて、前記第一の乗算値を算出する
ことを特徴とする付記1、2、3のいずれか1つに記載の管理装置。
【0093】
(付記5)コンピュータが実行する管理方法であって、
製品と前記製品を構成する複数の部品と前記製品に含まれる各部品の個数とを対応付けて記憶する第一の記憶部、および前記複数の部品各々の部品重量を記憶する第二の記憶部を参照して算出した前記製品の重量、または予め記憶された該製品の重量を取得するとともに、製品に占める化学物質の含有量を規定した規制データに含まれる規制割合と該製品の重量との第一の乗算値を算出するとともに、該第一の記憶部および該第二の記憶部を参照し、前記複数の部品各々について、該部品重量と個数との第二の乗算値を算出し、
前記複数の部品のうち、前記第一の乗算値よりも前記第二の乗算値が大きい部品を特定するとともに、前記複数の部品各々を供給する供給元を記憶する第三の記憶部を参照し、特定した部品に対応する前記供給元を特定し、
特定された前記供給元へ、前記特定部により特定された部品の含有化学物質に関するデータを要求する
ことを特徴とする管理方法。
【0094】
(付記6)前記製品は、複数の中間部品を含み、
前記中間部品は、前記複数の部品の少なくとも1つを含み、
前記第二の乗算値を算出する方法は、前記第一の記憶部および前記第二の記憶部を参照し、前記複数の中間部品各々について、中間部品の重量と個数との第三の乗算値を算出し、前記第一の乗算値よりも前記第三の乗算値が大きい中間部品について、該中間部品に含まれる前記複数の部品に含まれるいずれかの部品について、前記部品重量と前記個数との前記第二の乗算値を算出する
ことを特徴とする付記5に記載の管理方法。
【0095】
(付記7)さらに、
前記供給元から前記含有化学物質に関するデータを受信する
ことを特徴とする付記5または6に記載の管理方法。
【0096】
(付記8)前記規制データは、化学物質の種類と前記規制割合とが対応付いたデータであって、
前記第一の乗算値を算出する方法は、前記化学物質の種類ごとの前記規制割合を用いて、前記第一の乗算値を算出する
ことを特徴とする付記5、6、7のいずれか1つに記載の管理方法。
【符号の説明】
【0097】
10 管理装置
12 記憶部
12a 規制マスタ
12b 物質マスタ
12c 規制物質マスタ
12d 部品マスタ
12e 部品構成データ
12f 部品−購買先データ
13a 算出部
13b 特定部
13c 要求部
13d 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品と前記製品を構成する複数の部品と前記製品に含まれる各部品の個数とを対応付けて記憶する第一の記憶部と、
前記複数の部品各々の部品重量を記憶する第二の記憶部と、
前記複数の部品各々を供給する供給元を記憶する第三の記憶部と、
前記第一の記憶部および前記第二の記憶部を参照して算出した前記製品の重量、または予め記憶された該製品の重量を取得するとともに、製品に占める化学物質の含有量を規定した規制データに含まれる規制割合と該製品の重量との第一の乗算値を算出するとともに、該第一の記憶部および該第二の記憶部を参照し、前記複数の部品各々について、該部品重量と個数との第二の乗算値を算出する算出部と、
前記複数の部品のうち、前記第一の乗算値よりも前記第二の乗算値が大きい部品を特定するとともに、前記第三の記憶部を参照し、特定した部品に対応する前記供給元を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記供給元へ、前記特定部により特定された部品の含有化学物質に関するデータを要求する要求部と
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記製品は、複数の中間部品を含み、
前記中間部品は、前記複数の部品の少なくとも1つを含み、
前記算出部は、前記第一の記憶部および前記第二の記憶部を参照し、前記複数の中間部品各々について、中間部品の重量と個数との第三の乗算値を算出し、前記第一の乗算値よりも前記第三の乗算値が大きい中間部品について、該中間部品に含まれる前記複数の部品に含まれるいずれかの部品について、前記部品重量と前記個数との前記第二の乗算値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記供給元から前記含有化学物質に関するデータを受信する受信部
をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記規制データは、化学物質の種類と前記規制割合とが対応付いたデータであって、
前記算出部は、前記化学物質の種類ごとの前記規制割合を用いて、前記第一の乗算値を算出する
ことを特徴とする請求項1、2、3のいずれか1つに記載の管理装置。
【請求項5】
コンピュータが実行する管理方法であって、
製品と前記製品を構成する複数の部品と前記製品に含まれる各部品の個数とを対応付けて記憶する第一の記憶部、および前記複数の部品各々の部品重量を記憶する第二の記憶部を参照して算出した前記製品の重量、または予め記憶された該製品の重量を取得するとともに、製品に占める化学物質の含有量を規定した規制データに含まれる規制割合と該製品の重量との第一の乗算値を算出するとともに、該第一の記憶部および該第二の記憶部を参照し、前記複数の部品各々について、該部品重量と個数との第二の乗算値を算出し、
前記複数の部品のうち、前記第一の乗算値よりも前記第二の乗算値が大きい部品を特定するとともに、前記複数の部品各々を供給する供給元を記憶する第三の記憶部を参照し、特定した部品に対応する前記供給元を特定し、
特定された前記供給元へ、前記特定部により特定された部品の含有化学物質に関するデータを要求する
ことを特徴とする管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−216080(P2012−216080A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80934(P2011−80934)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】