説明

管理装置及びコンピュータプログラム

【課題】 多機能機のステータスに応じて適切に情報を要求すること。
【解決手段】 管理装置10は、複数の多機能機60、70、80と通信可能に接続されている。この管理装置10は、複数の多機能機60、70、80に情報を順次要求することによって、複数のデバイスから情報を順次取得する。管理装置10は、多機能機60にステータス情報202を要求し、多機能機60のステータス情報202がスリープ状態を示さない場合に、多機能機60にステータス情報以外の情報204、208を要求した後に、多機能機70にステータス情報214を要求し、多機能機60のステータス情報202がスリープ状態を示す場合に、多機能機60にステータス情報以外の情報204、208を要求せずに、多機能機70にステータス情報202を要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のデバイスのそれぞれから情報を取得する管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワークに接続された複数のデバイス(例えばプリンタ等)を管理する管理装置が開示されている。管理装置は、トナー残量や実行中の印刷ジョブの名称等の対象情報を複数のデバイスに順次要求することによって、対象情報を複数のデバイスから順次取得する情報取得処理を定期的に実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202449号公報
【特許文献2】特開2005−71159号公報
【特許文献3】特開2002−278854号公報
【特許文献4】特開2007−157074号公報
【特許文献5】特開2002−157174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、管理装置は、対象情報を要求すべき際の特定のデバイスのステータスに関わらず、上記の特定のデバイスに対象情報を要求する。このため、管理装置は、特定のデバイスに対して対象情報を要求する必要性が無いにも関わらず、特定のデバイスに対して対象情報を要求してしまう場合があった。また、特定のデバイスに対する対象情報の要求のタイミングが悪く、特定のデバイスから対象情報を迅速に取得できない場合があった。すなわち、従来では、特定のデバイスのステータスが考慮されていないため、特定のデバイスから、適切に情報を取得することが困難であった。
【0005】
本明細書では、デバイスのステータスに応じて適切に情報を要求する管理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される管理装置は、第1デバイスと第2デバイスとを含む複数のデバイスと通信可能に接続される。この管理装置は、複数のデバイスに情報を順次要求することによって、複数のデバイスから情報を順次取得する情報取得処理を実行する情報取得部を備える。
【0007】
情報取得部は、第1デバイスにステータス情報を要求し、第1デバイスのステータス情報がスリープ状態を示さない場合に、第1デバイスにステータス情報以外の対象情報を要求した後に、第2デバイスにステータス情報を要求し、第1デバイスのステータス情報がスリープ状態を示す場合に、第1デバイスに対象情報を要求せずに、第2デバイスにステータス情報を要求してもよい。
【0008】
上記の構成によると、管理装置は、対象情報を取得すべき際に、第1デバイスがスリープ状態でない場合には、第1デバイスから対象情報を取得する。一方において、第1デバイスがスリープ状態である場合には、第1デバイスの対象情報が前回に取得した対象情報から変化していない可能性がある。従って、管理装置は、第1デバイスがスリープ状態である場合には、第1デバイスに対象情報を要求しない。この結果、変化のない対象情報を第1デバイスに要求するという無駄な要求を行うことを抑制することができる。すなわち、デバイスのステータスに応じて適切に情報を要求することができる。
【0009】
あるいは、情報取得部は、第1デバイスにステータス情報を要求し、第1デバイスのステータス情報が処理実行状態を示さない場合に、第1デバイスにステータス情報以外の対象情報を要求した後に、第2デバイスにステータス情報を要求し、第1デバイスのステータス情報が処理実行状態を示す場合に、第1デバイスに対象情報を要求せずに、第2デバイスにステータス情報を要求してもよい。なお、第1デバイスが印刷機能を備える場合には、上記処理実行状態には、印刷実行状態を含んでいてもよい。
【0010】
上記の構成によると、管理装置は、対象情報を取得すべき際に、第1デバイスが処理実行状態でない場合(処理負荷が低い状態である場合)には、第1デバイスから対象情報を取得する。一方において、第1デバイスが処理実行状態である場合(処理負荷が高い状態である場合)には、第1デバイスに対象情報を要求しても第1デバイスから対象情報を取得するまでに長時間を要する可能性がある。従って、管理装置は、第1デバイスが処理実行状態である場合には、第1デバイスに対象情報を要求しない。この結果、応答に長時間を要する可能性がある第1デバイスに対象情報を要求することを抑制することができる。すなわち、デバイスのステータスに応じて適切に情報を要求することができる。
【0011】
上記の管理装置では、情報取得部は、第1デバイスのステータス情報がスリープ状態を示さず、かつ、第1デバイスのステータス情報が処理実行状態を示さない場合に、第1デバイスに対象情報を要求した後に、第2デバイスにステータス情報を要求するようにしてもよい。
【0012】
この構成によると、管理装置は、第1デバイスがスリープ状態と処理実行状態のいずれでもない場合に、第1デバイスから対象情報を取得する。変化のない対象情報を第1デバイスに要求することを抑制することができるとともに、応答に長時間を要する可能性がある第1デバイスに対象情報を要求することを抑制することができる。
【0013】
上記の対象情報は、第1デバイスが処理を実行するのに伴って変化する情報を含んでいてもよい。一方において、対象情報は、第1デバイスが処理を実行するのに伴って変化しない情報を含んでいてもよい。
【0014】
上記の管理装置は、待機時間情報取得部と周期設定部とをさらに備えてもよい。情報取得部は、所定の周期で情報取得処理を定期的に実行してもよい。待機時間情報取得部は、複数のデバイスのそれぞれから、処理実行状態を終えてから待機状態を経てスリープ状態に移行するまでに要する待機時間に関する情報を取得してもよい。周期設定部は、上記の所定の周期を、複数のデバイスの複数の待機時間のうちの最も短い待機時間以下に設定してもよい。
【0015】
また、管理装置は、待機時間を所定時間に設定するための設定指示を複数のデバイスに送信する待機時間設定部をさらに備えてもよい。この場合、情報取得部は、設定した上記の所定時間以上の所定の周期で情報取得処理を定期的に実行してもよい。
【0016】
仮に、管理装置が対象情報を取得すべき対象である特定のデバイスの待機時間が情報取得処理を実行するための上記の所定の周期よりも短い場合には、以下の事態が発生し得る。即ち、情報取得処理を実行するための一周期の間に、上記の特定のデバイスが、スリープ状態から処理実行状態になり、その後に待機状態を経て再びスリープ状態に移行する可能性がある。この場合、前者のスリープ状態の際には上記の特定のデバイスから対象情報が取得されず、後者のスリープ状態の際にも上記の特定のデバイスから対象情報が取得されない。上記の特定のデバイスが処理実行状態に移行すると、上記の特定のデバイスの対象情報が変化する可能性がある。対象情報が変化しているにもかかわらず、後者のスリープ状態の際に対象情報が取得されないという事態が発生し得る。上記の管理装置によると、複数のデバイスのそれぞれの待機時間が、情報取得処理を実行する上記の所定の周期以上になる。そのため、上記の事態が発生しない。管理装置が対象情報を取得すべき対象であるデバイスの対象情報が変化した場合に、変化後の対象情報を確実に取得することができる。
【0017】
上記の管理装置を実現するための制御方法及びコンピュータプログラムも新規で有用である。また、管理装置と、第1デバイスと、第2デバイスと、を含むシステムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施例の管理システムの構成を示す。
【図2】オブジェクト情報テーブルの一例を示す。
【図3】各デバイスが実行する処理のシーケンス図を示す。
【図4】情報取得処理のフローチャートを示す。
【図5】ポーリング時間設定処理のフローチャートを示す。
【図6】各デバイスが実行する処理のタイムチャートを示す。
【図7】第2実施例における待機時間設定処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここでは、以下の実施例に記載の技術の一部を列挙しておく。
(形態1)エラー状態を示しているデバイスの対象情報は、エラー状態が解消されるまで変化しないことがある。従って、情報取得部は、第1デバイスのステータス情報がエラー状態を示さない場合に、第1デバイスにステータス情報以外の対象情報を要求した後に、第2デバイスにステータス情報を要求し、第1デバイスのステータス情報がエラー状態を示す場合に、第1デバイスに対象情報を要求せずに、第2デバイスにステータス情報を要求してもよい。なお、エラー状態は、用紙切れ状態を含んでいてもよいし、トナー切れ状態を含んでいてもよい。
(形態2)管理装置は、上記の周期設定部が上記の所定の周期を設定する第1モードと、上記の待機時間設定部が複数のデバイスの待機時間を上記の所定時間に設定する第2モードと、の中から1つのモードを選択することをユーザに許容してもよい。
【実施例】
【0020】
(第1実施例)
(システムの構成)
第1実施例について説明する。図1は、本実施例の管理システム2の構成を示す。管理システム2は、LAN等のネットワーク4と、管理装置10と、複数の多機能機60、70、80等を備える。各デバイス10、60、70、80は、いずれもネットワーク4に接続されている。各デバイス10、60、70、80は、ネットワーク4を介して、相互に通信可能である。多機能機60等は、印刷機能、スキャナ機能、ファクシミリ通信機能等を備える。
【0021】
(管理装置の構成)
管理装置10の構成について詳しく説明する。本実施例では、管理装置10としてPCを用いた例について説明する。管理装置10は、多機能機60等から情報を取得する処理を実行することによって、多機能機60等を管理する。
【0022】
管理装置10は、制御部12と表示部14と操作部16とネットワークインターフェイス20と記憶部24とを備える。制御部12は、記憶部24に記憶されているプログラム36に従って処理を実行する。表示部14は、様々な情報を表示する。操作部16は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部16を操作することによって、様々な指示を管理装置10に入力することができる。ネットワークインターフェイス20は、ネットワーク4に接続されている。
【0023】
記憶部24は、オブジェクト情報テーブル32(図2)を記憶する。また、記憶部24は、ワーク領域34を備える。ワーク領域34は、制御部12が処理を実行する過程で生成又は取得される情報を記憶する。記憶部24は、さらに、制御部12によって実行されるべきプログラム36を記憶している。また、記憶部24は、さらに、上記の各情報32、36以外の情報(例えば、後述する情報取得ポーリング時間等)を記憶するための記憶領域38を有する。
【0024】
図2は、オブジェクト情報テーブル32の一例を示す。オブジェクト情報テーブル32は、複数の組合せ情報132〜136を含む。各組合せ情報132〜136は、ノード名138と、MACアドレス140と、IPアドレス142と、機種情報144と、ファームウェアバージョン情報146と、ステータス情報148と、複数種類の動的情報150、152、154、156と、が関連付けられた情報である。各組合せ情報132等は、管理装置10が管理する対象である各多機能機60等の情報を示す。
【0025】
例えば、組合せ情報132が多機能機60の情報である場合、多機能機60は、組合せ情報132に含まれるノード名「P001」、MACアドレス「M1」、IPアドレス「A1」を有する。また、多機能機60は、機種情報「T1」のデバイスであり、ファームウェアバージョン情報「1.00」のファームウェアに従って動作する。ステータス情報148は、多機能機60等の状態を示す情報である。多機能機60等のステータスは、処理実行中である処理実行状態、処理実行可能な状態で待機している待機状態(スタンバイ状態)、待機状態よりも消費電力の小さい(処理実行状態よりも消費電力の小さい)スリープ状態、エラーが発生しているエラー状態等の各状態を含む。上記の処理実行状態には、多機能機60等が印刷を実行している印刷実行状態、スキャンを実行しているスキャニング状態等の各種の状態が含まれる。また、上記のエラー状態には、印刷のためのトナー又はインクが無い状態、印刷用紙が無い状態等の各種の状態が含まれる。即ち、エラー状態は、多機能機60等が特定の処理(印刷処理、スキャン処理等)を実行することができない状態である。
【0026】
複数種類の動的情報150等は、多機能機60等が処理を実行するのに伴って値(または量)が変化するような情報である。例えば、動的情報150は、印刷済みのトータルの印刷用紙の枚数である印刷枚数に関する情報、消耗品量(インク残量等)に関する情報等を含む。例えば、組合せ情報132が多機能機60の情報である場合、多機能機60は、第1種類の動的情報(印刷枚数)として「1024」を有する。また、本実施例の多機能機60は、インクを用いて印刷するものではなく、トナーを用いて印刷する。従って、多機能機60は、第2種類の動的情報(インク残量)を有していないが、第3種の動的情報(トナー残量)を有する。なお、多機能機60は、自身が有していない第2種類の動的情報の要求に対して応答することができない。
【0027】
(管理装置と多機能機が実行する処理の概略)
管理装置10及び各多機能機60等が実行する処理について簡単に説明する。図3は、管理装置10と各多機能機60〜80とが実行する処理のシーケンス図を示す。図3の例では、多機能機60のステータスが待機状態であり、多機能機70のステータスがスリープ状態である。多機能機80のステータスは示していない。
【0028】
なお、本実施例では、管理装置10と各多機能機60〜80とは、SNMP(Simple Network Management Protocol)に従って通信を行っている。管理装置10がSNMPマネージャに相当し、各多機能機60〜80がSNMPエージェントに相当する。管理装置10は、各多機能機60〜80にGetコマンドを送信することによって、情報を要求する。このGetコマンドは、情報を識別するためのオブジェクト識別子(以下「OID(Object Identifier)」と呼ぶ)を含む。
【0029】
図3を参照しながら、管理装置10と各多機能機60〜80とが実行する処理を説明する。情報取得ポーリング時間が経過すると、管理装置10は、情報取得処理を開始する。管理装置10は、Getコマンド200を多機能機60に送信することによって、多機能機60のステータス情報を要求する。Getコマンド200は、ステータス情報に対応する1個のOID1を含む。多機能機60は、OID1に対応するステータス情報202を管理装置10に送信する。本例では、多機能機60は、待機状態を示すステータス情報を管理装置10に送信する。管理装置10は、ステータス情報の要求先の多機能機のステータス情報がスリープ状態と処理実行状態とエラー状態のいずれでもない場合に、その多機能機にステータス情報以外の目的の情報(対象情報)を要求する。従って、管理装置10は、ステータス情報以外の情報(例えば印刷枚数)に対応する1個のOID2を含むGetコマンド204を多機能機60に送信する。多機能機60は、OID2に対応する情報206を有している場合(応答可能である場合)に、情報206を管理装置10に送信する。なお、図3では示していないが、多機能機60は、OID2に対応する情報206を有していない場合(応答不可能である場合)に、応答不可能であることを示すレスポンスを管理装置10に送信する(もしくはレスポンスを管理装置10に送信しなくてもよい)。管理装置10は、次いで、Getコマンド204を多機能機60に送信することによって、他の1種類の情報(例えばインク残量)を要求する。管理装置10が要求可能な情報がN種類(Nは2以上の整数)存在する場合に、管理装置10は、N個のGetコマンド200等を多機能機60に順次送信し、多機能機60が応答可能な情報202等を多機能機60から取得する。
【0030】
なお、管理装置10が多機能機60から情報を取得する手法は、上記の例のように1個のOIDを含むGetコマンドをN回に亘って多機能機60に送信する手法に限らない。管理装置10は、多機能機60がステータス情報以外で応答可能な情報の種類を知っていれば、その種類の情報に対応するOIDをすべて含むGetコマンドを1回のみ多機能機60に送信し、ステータス情報以外の情報をまとめて取得してもよい。
【0031】
さらに、管理装置10は、多機能機60からステータス情報202と他の目的の情報206等を取得した後に、ステータス情報に対応する1個のOID1を含むGetコマンド212を多機能機70に送信する。多機能機70は、OID1に対応するステータス情報214を管理装置10に送信する。本例では、多機能機70のステータス情報はスリープ状態である。管理装置10は、ステータス情報の要求先の多機能機がスリープ状態と処理実行状態とエラー状態のいずれかである場合に、その多機能機にステータス情報以外の情報を要求しない。従って、管理装置10は、多機能機70にステータス情報以外の他の目的の情報を要求するGetコマンドを送信しない。次いで、管理装置10は、ステータス情報に対応する1個のOID1を含むGetコマンド216を多機能機80に送信する。多機能機80は、OID1に対応するステータス情報218を管理装置10に送信する。管理装置10は、多機能機60、70の場合と同様に、多機能機80のステータス情報218に基づいて、多機能機80にステータス情報以外の他の目的の情報を要求するのか否かを決定する。
【0032】
(管理装置10が実行する処理)
続いて、管理装置10の制御部12が実行する処理の内容について説明する。図4は、制御部12が実行する情報取得処理のフローチャートである。管理装置10が電源ONされると、制御部12は、情報取得ポーリング時間が経過することを監視する。情報取得ポーリング時間が経過した場合に、制御部12は、情報取得処理を開始する。情報取得処理では、制御部12は、図示しない所定のコマンドをブロードキャストすることによって、ネットワーク4に接続されている複数の多機能機60等のIPアドレスを取得する。制御部12は、まず、n=1に設定する(S20)。次いで、制御部12は、複数の多機能機60等のIPアドレスの中から、n番目の多機能機のIPアドレスを特定する。(S22)。制御部12は、n番目の多機能機のIPアドレス宛にGetコマンドを送信することによって、n番目の多機能機にステータス情報を要求する。この結果、制御部12は、n番目の多機能機からステータス情報を取得する(S24)。ステータス情報を取得すると、制御部12は、取得したステータス情報が特定のステータスか否か判断する(S26)。特定のステータスは、スリープ状態、処理実行状態、及び、エラー状態である。S26でYESの場合、制御部12は、n番目の多機能機に対してそれ以上の情報の要求を行わずにS32に進む。
【0033】
一方、S26でNOの場合、制御部12は、n番目の多機能機にステータス情報以外の他の目的の情報に対応するOIDを含むGetコマンドを順次送信する(S28)。n番目の多機能機は、応答可能な情報を管理装置10に送信する。制御部12に送信する。その結果、管理装置10は、情報を取得する(S30)。ここで取得される情報は、図2に示される動的情報150〜156を含む。S30を終えると、制御部12はS32に進む。
【0034】
S32では、制御部12は、nに1を加えた数を新たなnとして決定する。新たなnを決定すると、制御部12は、上記のブロードキャストで得られた複数の多機能機60等のIPアドレスの総数(max)よりも、新たなnが大きいのか否か判断する(S34)。S34でNOの場合、制御部12は、S22に戻ってn番目のデバイスを特定し、上記のS22〜S34の処理を繰り返す。一方、S34でYESの場合、制御部12は、情報取得処理を終了する。
【0035】
上述したように、図4の情報取得処理は、情報取得ポーリング時間が経過する毎に実行される。この情報取得ポーリング時間を制御部12が設定する処理の内容について説明する。図5は、ポーリング時間設定処理のフローチャートを示す。ポーリング時間設定処理は、例えば、管理装置10の電源がONされる毎に実行される。ただし、ポーリング時間設定処理は、例えば、ユーザの指示に応じて実行されてもよい。情報取得処理の場合と同様に、制御部12は、所定のコマンドをブロードキャストすることによって、複数の多機能機60等のIPアドレスを取得する。制御部12は、n=1に設定し(S40)、n番目の多機能機のIPアドレスを特定する(S42)。次いで、制御部12は、n番目の多機能機のIPアドレス宛に待機時間情報に対応するOIDを含むGetコマンドを送信する。待機時間情報は、多機能機が処理実行状態を終えてから待機状態を経てスリープ状態に移行するまでの待機時間に関する情報である。n番目の多機能機は、待機時間情報を管理装置10に送信する。この結果、制御部12は、待機時間情報を取得する(S44)。S44の後に実行されるS46及びS48は、図4のS32及びS34と同様である。
【0036】
S48でYESの場合、制御部12は、S44で取得された各多機能機60等の待機時間情報から、最も短い待機時間を特定する(S50)。次いで、制御部12は、管理装置10の情報取得のためのポーリング時間を、特定した待機時間以下の特定の値になるように設定する(S52)。即ち、制御部12は、上記の特定の値(即ちポーリング時間)を記憶領域38(図1参照)に記憶する。以後、制御部12は、記憶領域38に記憶されているポーリング時間が経過することを監視し、ポーリング時間が経過する毎に図4の情報取得処理を実行する。
【0037】
図6は、管理装置10と多機能機60の動作を説明するためのタイムチャートである。スリープ状態305中の多機能機60は、処理実行指示(例えば印刷指示、スキャン指示、情報表示指示等)を受けると、処理実行状態306に移行する。多機能機60は、処理実行状態306を終えると、待機状態308に移行する。多機能機60は、待機状態306に移行してから処理実行指示を受けない状態が所定時間(Wt)継続すると、スリープ状態310に移行する。図示していないが、多機能機60は、待機状態306の間に処理実行指示を受けると、再び処理実行状態に移行する。スリープ状態310は、処理実行指示を受けるまで継続する。多機能機60は、スリープ状態310中に処理実行指示を受けると、処理実行状態312に移行する。
【0038】
管理装置10は、図5のS52で設定されるポーリング時間(Pt1)が経過する毎に、図4に示される情報取得処理300、302、304を多機能機60に対して実行する。本実施例では、図5に示されるポーリング時間設定処理によって、ポーリング時間(Pt1)と多機能機60の待機時間(Wt)とが、Pt1≦Wtの関係を満たすように設定されている。なお、他の多機能機70等の待機時間も、ポーリング時間(Pt1)以上である。
【0039】
ここで、仮に上記のポーリング時間が、図6に示すPt2に設定された場合を考える。このポーリング時間(Pt2)は、上記の待機時間(Wt)より長く設定されている(Pt2>Wt)。管理装置10は、情報取得ポーリング時間(Pt2)が経過する毎に、情報取得処理320、322を多機能機60に対して実行する。この場合、管理装置10が情報取得処理320、322を実行するいずれの時点においても、多機能機60はスリープ状態305、306である。ただし、ポーリング時間(Pt2)の間に、多機能機60は、スリープ状態305から処理実行状態306に移行し、その後に待機状態308を経て再びスリープ状態310に移行している。処理実行状態306では、多機能機60の動的情報(例えば印刷枚数、トナー残量等)が変化する可能性は高い。それにもかかわらず、管理装置10は、処理実行状態306で変化する動的情報を情報取得処理322で取得することができない。
【0040】
これに対し、本実施例では、情報取得ポーリング時間が待機時間(Wt)以下に設定される。このために、連続する2回の情報取得処理の間に、多機能機60がスリープ状態から処理実行状態に移行し、その後に待機状態を経て再びスリープ状態に移行するという事態が発生しない。従って、管理装置10は、処理実行状態306で変化する動的情報を情報取得処理300で確実に取得することができる。
【0041】
以上、本実施例の管理装置10について詳しく説明した。本実施例の管理装置10では、図3に示すように、多機能機60のステータスが上記の特定のステータス(スリープ状態、処理実行状態、及び、エラー状態)のいずれでもない場合には、ステータス情報以外の目的の情報を多機能機60に要求する。また、管理装置10は、多機能機70のステータスが上記の特定のステータスである場合には、ステータス情報以外の目的の情報を多機能機70に要求せずに、他の多機能機80にステータス情報を要求する。多機能機70がスリープ状態である場合には、多機能機70の動的情報が前回に取得した動的情報から変化していない可能性が高い。また、仮に、多機能機70がエラー状態である場合も、多機能機70の動的情報が前回に取得した動的情報から変化していない可能性が高い。本実施例によると、変化のない動的情報を多機能機70に要求するという無駄な要求を抑制することができる。また、仮に、多機能機70が処理実行状態にある場合(処理負荷が高い場合)には、要求に対する応答に長時間を要する可能性が高い。応答に長時間を要する可能性の高い多機能機70に要求を行うことを抑制することもできる。本実施例の管理装置10は、多機能機60〜80のステータスに応じて適切に情報を要求することができる。
【0042】
(第2実施例)
第2実施例について説明する。上記の第1実施例では、図5に示すように、管理装置10は、各多機能機60等の待機時間に合わせて、自身の情報取得ポーリング時間を設定する。これに対し、本実施例では、管理装置10の情報取得ポーリング時間が固定されており、管理装置10は、自身の情報取得ポーリング時間に合わせて、各多機能機60等の待機時間を設定する。なお、情報取得ポーリング時間は、デフォルトの値であってもよいし、ユーザによって設定される値であってもよい。図7は、本実施例の管理装置10が行う待機時間設定処理のフローチャートを示す。
【0043】
待機時間設定処理は、例えば、管理装置10の電源がONされる毎に実行される。ただし、待機時間設定処理は、例えば、ユーザの指示に応じて実行されてもよい。S60及びS62の処理は、図4のS20及びS22と同様である。S64では、制御部12は、固定されている情報取得ポーリング時間以上の特定の値を決定する。次いで、制御部12は、n番目の多機能機の待機時間を、決定した上記の特定の値に設定する。具体的には、制御部12は、待機時間に対応するOIDと上記の特定の値とを含むSetコマンドを、n番目の多機能機に送信する。S64の後に実行されるS66及びS68は、図4のS32及びS34と同様である。
【0044】
本実施例の管理装置10によると、S62〜S68(図8)に示すように、各多機能機60等の待機時間が、管理装置10のポーリング時間以上になるように設定される。従って、上記の第1実施例の場合と同様に、管理装置10は、多機能機60等の動的情報に変化が起こった場合に、変化後の動的情報を確実に取得することができる。
【0045】
以上の説明から明らかなように、多機能機60〜80が、本発明における複数のデバイスに対応する。ステータス情報以外の目的の情報が、本発明における対象情報に対応する。ポーリング時間(Pt1)が、本発明における所定の周期に対応する。図4の情報取得処理、図5のS40〜S48の処理、図5のS50及びS52の処理、図7の待機時間設定処理が、それぞれ、本発明における情報取得部、待機時間情報取得部、周期設定部、待機時間設定部が実行する処理に対応する。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0047】
各実施例では、特定のステータスとしてスリープ状態、処理実行状態、エラー状態を例示し、これらのいずれの状態にも該当しない場合に多機能機60等に対してステータス情報以外の情報を要求する例について説明した。しかし、特定のステータスは、上記の3つに限られない。例えば、特定のステータスは、スリープ状態と処理実行状態とエラー状態のうちのいずれか1つ又は2つのみであってもよい。
【0048】
各実施例では、ポーリング時間設定処理(第1実施例)と、待機時間設定処理(第2実施例)のうち、いずれか一方のみを実行可能な管理装置10について説明した。しかし、管理装置10は、ポーリング時間設定処理と待機時間設定処理の双方を実行可能であってもよい。その場合、ポーリング時間設定処理を実行するモードと待機時間設定処理を実行するモードとの中から1つのモードをユーザが選択可能であってもよい。
【0049】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0050】
2:管理システム、4:ネットワーク、10:管理装置、12:制御部、14:表示部、16:操作部、18:USBインターフェイス、20:ネットワークインターフェイス、24:記憶部、30:リクエスト情報テーブル、32:オブジェクト情報テーブル、34:ワーク領域、36:プログラム、38:その他の記憶領域、60、70、80:多機能機、202、214、218:ステータス情報、206、210:ステータス情報以外の情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1デバイスと第2デバイスとを含む複数のデバイスと通信可能に接続される管理装置であって、
前記複数のデバイスに情報を順次要求することによって、前記複数のデバイスから前記情報を順次取得する情報取得処理を実行する情報取得部を備え、
前記情報取得部は、
前記第1デバイスにステータス情報を要求し、
前記第1デバイスの前記ステータス情報がスリープ状態を示さない場合に、前記第1デバイスに前記ステータス情報以外の対象情報を要求した後に、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求し、
前記第1デバイスの前記ステータス情報が前記スリープ状態を示す場合に、前記第1デバイスに前記対象情報を要求せずに、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求する、管理装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記第1デバイスの前記ステータス情報が前記スリープ状態を示さず、かつ、前記第1デバイスの前記ステータス情報が処理実行状態を示さない場合に、前記第1デバイスに前記対象情報を要求した後に、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記対象情報は、前記第1デバイスが処理を実行するのに伴って変化する情報を含む、請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
待機時間情報取得部と周期設定部とをさらに備え、
前記情報取得部は、所定の周期で前記情報取得処理を定期的に実行し、
前記待機時間情報取得部は、前記複数のデバイスのそれぞれから、処理実行状態を終えてから待機状態を経てスリープ状態に移行するまでに要する待機時間に関する情報を取得し、
前記周期設定部は、前記所定の周期を、前記複数のデバイスの複数の前記待機時間のうちの最も短い前記待機時間以下に設定する、請求項1から3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項5】
処理実行状態を終えてから待機状態を経てスリープ状態に移行するまでに要する待機時間を所定時間に設定するための設定指示を、前記複数のデバイスに送信する待機時間設定部をさらに備え、
前記情報取得部は、前記所定時間以上の所定の周期で前記情報取得処理を定期的に実行する、請求項1から3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項6】
第1デバイスと第2デバイスとを含む複数のデバイスと通信可能に接続される管理装置であって、
前記複数のデバイスに情報を順次要求することによって、前記複数のデバイスから前記情報を順次取得する情報取得処理を実行する情報取得部を備え、
前記情報取得部は、
前記第1デバイスにステータス情報を要求し、
前記第1デバイスの前記ステータス情報が処理実行状態を示さない場合に、前記第1デバイスに前記ステータス情報以外の対象情報を要求した後に、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求し、
前記第1デバイスの前記ステータス情報が前記処理実行状態を示す場合に、前記第1デバイスに前記対象情報を要求せずに、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求する、管理装置。
【請求項7】
前記情報取得部は、前記第1デバイスの前記ステータス情報が前記処理実行状態を示さず、かつ、前記第1デバイスの前記ステータス情報がスリープ状態を示さない場合に、前記第1デバイスに前記対象情報を要求した後に、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求する、請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記第1デバイスは、印刷機能を備え、
前記処理実行状態は、印刷実行状態を含む、請求項6又は7に記載の管理装置。
【請求項9】
第1デバイスと第2デバイスとを含む複数のデバイスと通信可能に接続される管理装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記管理装置に搭載されるコンピュータに、以下の処理、即ち、
前記複数のデバイスに情報を順次要求することによって、前記複数のデバイスから前記情報を順次取得する情報取得処理、を実行させ、
前記情報取得処理では、
前記第1デバイスにステータス情報を要求し、
前記第1デバイスの前記ステータス情報がスリープ状態を示さない場合に、前記第1デバイスに前記ステータス情報以外の対象情報を要求した後に、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求し、
前記第1デバイスの前記ステータス情報が前記スリープ状態を示す場合に、前記第1デバイスに前記対象情報を要求せずに、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求する、コンピュータプログラム。
【請求項10】
第1デバイスと第2デバイスとを含む複数のデバイスと通信可能に接続される管理装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記管理装置に搭載されるコンピュータに、前記複数のデバイスに情報を順次要求することによって前記複数のデバイスから前記情報を順次取得する情報取得処理を実行させ、
前記情報取得処理では、
前記第1デバイスにステータス情報を要求し、
前記第1デバイスの前記ステータス情報が処理実行状態を示さない場合に、前記第1デバイスに前記ステータス情報以外の対象情報を要求した後に、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求し、
前記第1デバイスの前記ステータス情報が前記処理実行状態を示す場合に、前記第1デバイスに前記対象情報を要求せずに、前記第2デバイスに前記ステータス情報を要求する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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