説明

管継手収容カバー、及び配管方法

【課題】
建物の壁面の管接続部において管継手を用いて管どうしを接続して配管する際に、接続代(継手代)を含んだ長さで管を正確に切断可能にして、配管を誤りなく高能率で行えるようにする。
【解決手段】
管継手収容カバーK3 を構成していて、壁面W1 に固定される基台V1 に、管収容カバーK0 内に配管される給水湯管P2 とエルボ状の管継手J3 とを接続した状態で、当該管継手J3 を前記管継手収容カバーK3 内に収容可能とすべく、前記給水湯管P2 を必要な接続長M3 を含んだ長さに切断して、前記管継手J3 に対して接続される管端部を形成する際の切断位置の目安を表示する表示部D31,D32を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面に沿って、又は当該壁面を貫通させて複数の管を配管する際に、当該壁面の曲り部、出隅部、入隅部、分岐部或いは壁貫通部等の管接続部において使用される管継手を収容するための管継手収容カバー、及び配管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の壁面の上記した管接続部において管継手を用いて管どうしを接続するには、壁面の配管経路上に管収容カバー及び管継手収容カバーを構成する各基台を設置して、配管経路を確定させた後に、配管経路の一方から他方に向けて、管接続部の形状に対応した異なる管継手を用いて、複数本の管を接続している(特許文献1)。この場合に、管は、両端部が異なる管継手に接続可能なように、両端の接続代を含んだ長さ(以下、「適正長」という)に切断する必要がある。
【0003】
上記配管においては、正確な設計図を用いないで、施工現場にて配管経路を最終的に確定させて施工することが多く、各管が上記した「適正長」に切断されない場合には、管の長短が発生して、エルボ状又はT字状の管継手が使用される管接続部においては、管継手収容カバー内に管継手を収容できないことがある。一方、直線状の管継手が使用される接続部においては、管継手収容カバー内に当該直線状の管継手を多少ずれた状態で収容できたとしても、以降で接続されるエルボ状又はT字状の管継手の部分において、管継手収容カバー内に当該管継手を収容できないことがある。このため、管が長過ぎる場合には、余長部を切断すればよいが、短か過ぎる場合には、当該管は、隣接する管継手の間隔の短い別の経路で使用するか、当該使用が不能な場合は廃棄する他はない。
【0004】
配管現場では、現在においても、上記した管の切断は、施工者の経験と勘に依存していることが多く、上記したように、切断された管の長さが適正長に対して長短が生じることが多く、配管能率が悪かった。
【0005】
一方、特許文献2には、管継手に対して管が適正な接続長を有して接続されていることを確認可能にするために、当該管継手に対して管を接続した状態で、当該管継手の外周面における管に接続端の位置に表示を形成すると共に、管継手に管を接続させる前に、管の外周面における管継手の接続側の端面位置を直線で罫書いておき、この状態で、管継手に対して管を接続して、管継手の接続側の端面と前記罫書き直線との合致により、管継手に対して管が適正に接続されたことを確認できる管継手が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献2に開示の技術は、管継手に対する管の接続の適正、即ち、管継手に対する管の接続長を確認できる技術に係るものであって、管継手に接続される管を適正長に切断する技術に係るものではない。従って、複数本の管を管継手により接続して配管する際に、管の切断長が適正でないことが原因で、当該管継手を管継手収容カバー内に収容させられなくなる不具合は、特許文献2に開示の技術では解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−133392号公報
【特許文献2】特開2002−147662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、建物の壁面の曲り部、出隅部、入隅部、分岐部或いは壁貫通部等の管接続部において管継手を用いて管どうしを接続して配管する際に、接続代(継手代)を含んだ長さで管を切断可能にして、配管を誤りなく高能率で行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、建物の壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1本又は複数本の管を接続可能とする1又は複数の接続口を備えた管継手を内部に収容する管継手収容カバーであって、前記管継手収容カバーは、互いに組み付けられることにより、前記管を内部に収容配管する1又は複数の管収容カバーを連結可能とする1又は複数の連結口を形成するための基台と蓋体とから成り、前記壁面に固定される前記基台には、前記管収容カバー内に配管される管と前記管継手とを接続した状態で、当該管継手を前記管継手収容カバー内に収容可能とすべく、前記管収容カバー内に配管される管を接続代を含んだ長さに切断して、前記管継手に対して接続される管端部を形成する際の切断位置の目安を表示する表示部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
一般に、壁面に沿って、又は当該壁面を貫通させて1本又は複数本の管を管継手を用いて配管するには、以下のようにして行われる。まず、前記壁面の配管経路上に管収容カバー及び管継手収容カバーの各基台を設置して、当該配管経路を確定させ、次に、第1管継手収容カバーの基台に対して配置位置が確定されている第1管継手の特定の接続口に、第1管の一方の管端部を接続させた状態で、当該第1管を第1管収容カバーに収容して、当該第1管の他方の管端部を形成すべく、当該第1管の他方の管端部を切断して、当該第1管の他方の管端部を第2管管継手収容カバーに収容される第2管継手の特定の接続口に接続させる。次に、第2管管継手収容カバーに対して配置位置が確定されている第2継手の特定の接続口に対して第2管の一方の管端部を接続させ、以後、配管経路に沿って上記の各作業を反復させて、壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1本又は複数本の管を管継手により接続させて配管している。
【0011】
請求項1の発明によれば、上記において、壁面に設置されている第2管継手収容カバーの基台には、前記第1管を適正長に切断可能とするための表示部が形成されているので、当該表示部を基準にし、第1管を切断して他方の管端部を形成すると、前記第1管継手収容カバーの基台に対して設置済の第1管継手に一方の端部が接続された第1管は、第2管継手収容カバー内に収容される第2管継手に対して適正な接続長を確保して接続される。このように、壁面に設置されている管継手収容カバーの基台に形成されている表示部によって、管を適正長に切断できるために、配管時における管の切断に際して、管の長短が生じることはなく、その結果として、管継手に対応する管継手収容カバー内に適正に収容できる。従って、壁面における配管を誤りなく迅速に行えて、配管能率が高まる。また、管管継手収容カバーを構成する基台に形成された表示部の存在により、管を適正長に切断できるので、施工者の配管経験の多寡、或いは保有している施工技術の高低とは無関係に、ほぼ均一の精度で配管を行える。
なお、管継手又は管が「設置済」とは、当該管継手の少なくとも一つの接続部が管に接続されて、配管方向に沿った当該管継手又は管の配置位置が確定(特定)された状態をいう。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記管収容カバーは、管を保持する保持部を有していると共に、前記管継手は、流体が流れる方向を変化させたり、分岐させたりするものであって、前記表示部は、管継手を介して接続される1又は複数の管収容カバーに保持された各管の軸心と、当該管継手の各接続口の軸心とがいずれも合致するように、各管を切断し得る位置に形成されていることを特徴としている。
【0013】
管収容カバーは、保持部を有していて、収容される管の軸心位置が前記保持部により定められるものであって、しかも管継手がエルボ状又はT字状のように、流体が流れる方向を変化させるものである場合には、当該管継手を介して接続される2本の管は、壁面に対する配置位置が一義的に確定された状態で、所定角度で交差する。従って、管継手収容カバー内に収容される管継手の配置位値は、互いに接続される2本の管の配置位置に対して一義的に定められる特定位置に配置しないと、当該2本の管の接続はできない。
【0014】
請求項2の発明によれば、管継手収容カバーを構成する基台に形成された表示部は、管継手を介して接続される1又は複数の管収容カバーに保持された各管の軸心と、当該管継手の各接続口の軸心とが合致するように、各管を切断し得る位置に形成されているために、一方の管端部が設置済の管継手に接続された管の他方の管端部を形成すべく、当該管を切断する際に、前記表示部を基準にして切断すると、管継手を介して所定の交差角度で配管される2本の管の各軸心と、当該管継手の各接続口の軸心とがいずれも一致するために、エルボ状又はT字状の管継手を介して管収容カバーに対して保持状態で配管される2本の管を管継手を介して接続可能となる。
【0015】
請求項3の発明は、建物の壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1又は複数の接続口と、水栓器具や他の管継手、前記壁面を貫通して配管される管等が接続される受口とを備えた管継手を内部に収容する管継手収容カバーであって、前記管継手収容カバーは、互いに組み付けられることにより、前記管を内部に収容配管する1又は複数の管収容カバーを連結可能とする1又は複数の連結口を形成するための基台と蓋体とから成り、前記管継手収容カバーの基台又は蓋体には、前記管継手の受口を管継手収容カバーの外方に臨ませたり、或いは突出させる開口が設けられ、前記壁面に固定される前記基台には、前記管収容カバー内に配管される管と前記管継手とを接続した状態で、前記開口と前記受口の位置が合致するように当該管継手を前記管継手収容カバー内に収容可能とすべく、前記管収容カバー内に配管される管を接続代を含んだ長さに切断して、前記管継手に対して接続される管端部を形成する際の切断位置の目安を表示する表示部が設けられていることを特徴としている。
【0016】
請求項1の発明では、管収容カバー内に配管される管と管継手とを接続した状態で、当該管継手が管継手収容カバー内に収容可能さとれるように、前記管収容カバー内に配管される管を接続代を含んだ長さに切断して、前記管継手に対して接続される管端部を形成する際の切断位置の目安を表示する表示部が、当該管継手収容カバーの基台に設けられているものである。これに対して、請求項3の発明においては、管継手収容カバーの基台に設けられる表示部は、前記管収容カバー内に配管される管と前記管継手とを接続した状態で、管継手収容カバーを構成する基台又は蓋体に設けられた開口、管継手の受口の位置が合致した状態で、当該管継手を前記管継手収容カバー内に管継手が収容されるように設けられている点が異なる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記基台には、前記管継手が管継手収容カバー内で移動しないように固定する固定部が設けられ、前記表示部は、前記固定により管継手収容カバー内において配置位置が定められた管継手に対する管の必要接続長が確保される位置に形成されていることを特徴としている。
【0018】
管継手には、管継手収容カバーの基台に対しては固定されなくて、当該管継手に対する管の接続長の長短は問題とせず、結果として、当該管継手を介して2本の管が接続されれば足りる場合と、管継手収容カバーの基台に対して管継手が固定されて、当該管継手に対する管の接続長が特定値に定められた状態で使用される場合とがある。請求項4の発明は、後者の場合に使用される管継手において、当該管継手を構成する基台には、管継手収容カバーの基台に固定された管継手に対する管の必要接続長が確保される位置に、管端部の切断位置を表示する表示部が形成されているため、設置済の管継手に一方の管端部が接続された管の他方の管端部は、前記表示部を基準にして当該管を切断することにより、必然的に定められて、管継手に対して当該管の他方の管端部を前記特定値の長さでもって接続できる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記表示部は、基台の底面における管の配管経路上に形成されていることを特徴としている。
【0020】
請求項5の発明によれば、設置済の管継手に一方の管端部が接続された管の他方の管端部を形成するために、管継手収容カバーの基台に形成された表示部を基準にして、当該管を適正長に切断する場合に、当該表示部は、管の配管経路上に形成されているために、当該管の切断位置を罫書く場合において、正確に罫書くことができる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、前記表示部は、当該管継手収容カバーの基台の巾方向の両端に配管方向に沿って設けられた各立設壁部の一方又は双方に形成されていることを特徴としている。
【0022】
請求項6の発明によれば、管継手の形状によっては、表示部は、配管経路上である管継手収容カバーの基台に形成されているよりも、当該基台の巾方向の両端の立設壁部に形成されている方が、管に対して切断位置を罫書き易い場合がある。請求項6の発明によれば、このような場合に好適に対応できる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1の発明において、前記表示部は、配管方向に沿って所定の範囲を有していることを特徴としている。
【0024】
段落「0016」に記載のように、管継手には、管継手収容カバーの基台に対しては固定されなくて、当該管継手に対する管の接続長の長短は問題とせず、結果として、当該管継手を介して2本の管が接続されれば足りる場合が殆どであり、請求項7の発明は、このような管継手に接続される管の端部の切断位置を一定の許容範囲を有して切断可能とするものであり、切断範囲が限定されずに、許容される分、切断位置の特定、及び切断の双方が容易となる。
【0025】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の管継手収容カバーを使用して、建物の壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1本又は複数本の管を管継手により接続して配管する方法であって、前記壁面の配管経路上に管収容カバー及び管継手収容カバーの各基台を設置して、当該配管経路を確定させ、第1管継手収容カバーの基台に対して設置済の第1管継手の特定の接続口に、第1管の一方の管端部を接続させた状態で、当該第1管を第1管収容カバーに収容して、当該第1管の他方の管端部を形成すべく、第2管継手収容カバーの基台に形成された表示部を目安にして当該第1管を切断した後に、当該第1管の他方の管端部を第2管継手収容カバーに収容される第2管継手の特定の接続口に接続させ、次に、第2管継手収容カバーに対して配置位置が確定されている第2管継手の特定の接続口に対して第2管の一方の管端部を接続させ、以後、配管経路に沿って上記の各作業を反復させて、壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1本又は複数本の管を管継手により接続して配管することを特徴としている。
【0026】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の管継手収容カバーを使用して、壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1本又は複数本の管を管継手により接続して配管する方法に係るものであって、実質的な作用効果は、請求項1の発明と同等である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、建物の壁面に設置された管継手収容カバーの基台に形成されている表示部によって、管の切断長に長短が生ずることなく、常に適正長に切断できるために、管継手に対応する管継手収容カバー内に適正に収容できて、壁面における配管を迅速に行えて、配管能率が高まると共に、管継手収容カバーを構成する基台に形成された表示部の存在により、常に管を適正長に切断できるので、施工者の配管経験の多寡、或いは施工者が保有している施工技術の高低とは無関係に、ほぼ均一の精度で配管を行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る管継手収容カバーK1 〜K8 に収容される各管継手J1 〜J8 を用いて、建物の壁面W1 〜W3 において複数本の給水湯管P0 ,P1 〜P9 が接続された状態を示す斜視図である。
【図2】壁面W1 の壁貫通部において、管継手収容カバーK1 内に収容されるエルボ状の管継手J1 を介して曲り接続される2本の給水湯管P0 ,P1 の接続部の分解斜視図である。
【図3】管継手収容カバーK1 の基台V1 の斜視図である。
【図4】エルボ状の管継手J1 を介して壁表の給水湯管P1 と壁裏の給水湯管P0 とが接続された状態の正面図である。
【図5】管収容カバーK0 の断面図である。
【図6】直線接続部において、管継手収容カバーK2 内に収容される直状の管継手J2 を介して直線接続される2本の給水湯管P1 ,P2 の接続部の分解斜視図である。
【図7】管継手収容カバーK2 の基台V2 の斜視図である。
【図8】給水湯管P1 における直状の管継手J2 に接続される側の切断位置を示す正面図である。
【図9】壁面W1 において、管継手収容カバーK3 内に収容されるエルボ状の管継手J3 を介して曲り接続される2本の給水湯管P2 ,P3 の接続部の分解斜視図である。
【図10】管継手収容カバーK3 の基台V3 の斜視図である。
【図11】給水湯管P2 におけるエルボ状の管継手J3 と接続される側の切断位置を示す正面図である。
【図12−A】エルボ状の管継手J3 の他方の接続部の軸心C32と、当該他方の接続部に接続される給水湯管P3 の軸心C30とが一致することを説明するための図である。
【図12−B】エルボ状の管継手J3 に対する給水湯管P2 の接続長の不足のために、当該給水湯管P3 の他方の接続部の軸心C32と、当該他方の接続部に接続される給水湯管P3 の軸心C30とが不一致ムとなることを説明するための図である。
【図13】壁面W1 において、管継手収容カバーK4 内に収容されるT字状の管継手J4 を介して分岐接続される3本の給水湯管P3,P4,P5 の接続部の分解斜視図である。
【図14】管継手収容カバーK4 の基台V4 の斜視図である。
【図15】給水湯管P3 におけるT字状の管継手J4 と接続される側の切断位置を示す正面図である。
【図16】壁面W1 に設置される給水栓21と給水湯管P4 とが給水栓継手J5 を介して接続される部分の分解斜視図である。
【図17】給水湯管P4 における給水栓継手J5 と接続される側の切断位置を示す正面図である。
【図18】壁面W1 に固定された管継手収容カバーK5 の基台V5 に一部が収容された状態で固定された給水栓継手J5 に給水湯管P4 の他方の端部が接続された状態の断面図である。
【図19】壁面W1,W2 の出隅部Rにおいて2本の給水湯管P5,P6 がエルボ状の管継手J6 を介して接続される部分の分解斜視図である。
【図20】管継手収容カバーK6 の基台V6 の斜視図である。
【図21】給水湯管P5 における管継手J6 と接続される側の切断位置を示す平面図である。
【図22】出隅部Rにおいて、エルボ状の管継手J6 に給水湯管P5 が接続された状態の平面図である。
【図23】壁面W2,W3 の入隅部Sにおいて2本の給水湯管P6,P7 がエルボ状の管継手J7 を介して接続される部分の分解斜視図である。
【図24】管継手収容カバーK7 の基台V7 の斜視図である。
【図25】入隅部Sにおいて、エルボ状の管継手J7 を介して2本の給水湯管P6,P7 が接続された状態の平面図である。
【図26】壁面W3 の壁貫通部において3本の給水湯管P7 〜P9 がT字状の管継手J8 を介して接続される部分の分解斜視図である。
【図27】管継手収容カバーK8 の基台V8 の斜視図である。
【図28】入隅部Sにおいて、エルボ状の管継手J7 を介して2本の給水湯管P6,P7 が接続された状態の平面図である。
【図29】並列配管において、壁面上の曲り部で使用される管継手収容カバーK9 の基台V9 に2つのエルボ状の管継手J91,J92を介して各給水湯管P11,P12及び同P21,P22が接続された状態を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、最良の実施例を複数挙げて本発明について更に詳細に説明する。なお、以下の説明では、建物壁の壁面W1 〜W3 に給水湯管P1 〜P9 を配管する順序に従って、異なる管接続部で使用される管継手J1 〜J8 を収容するための本発明の実施例に係る各管継手収容カバーK1 〜K8 について、配管方法を交えて順次説明する。
【実施例1】
【0030】
図1〜図5には、壁面W1 の壁貫通部において、実施例1の壁貫通用の管継手収容カバーK1 内に収容されるエルボ状の管継手J1 を介して壁面W1 に直交する面内で直交配管される2本の給水湯管P0,P1 の接続部の構造、及び給水湯管P1 の切断位置を定める方法が示されている。エルボ状の管継手J1 は、その両端がそれぞれ接続口51となっていて、内周面には、各管P0,P1 の端部を最大に差し込むことのできる位置にそれぞれ環状の差込規制突部G12が形成されている(図4には、図示の方向からして、管P0 の端部が差し込まれる差込規制突部は図示されていないが、図11及び図12−Aに示される後述の管継手J3 の各差込規制突部G31,D32と同様に形成されている)。壁表に配管される全ての給水湯管P1 〜P8 は、管収容カバーK0 に収容され、当該管収容カバーK0 は、ビスBを介して壁面W1 〜W3 に設置される基台V0 と、当該基台V0 に覆蓋される蓋体L0 とから成る。図2及び図5に示されるように、基台V0 は、固定用のビスBが巾方向の中央部に貫通されるベース部61と、当該ベース部61に対して起立した状態で一体に形成された一対の管保持部62とから成り、前記ベース部61における一対の管保持部62の間は、壁面W1 〜W3 に対して非接触状態で配置されて、当該壁面W1 〜W3 との間で、各管継手収容カバーK1 〜K8 の基台V1 〜V8 に設けられた位置決め接続片A1 〜A8 が挿入される挿入空間63を形成している。
【0031】
管継手収容カバーK1 は、壁面W1 の裏側に当該壁面W1 に対して垂直に配管される給水湯管P0 と、壁面W1 に沿って配管される給水湯管P1 とを接続するエルボ状の管継手J1 を収容するカバーであって、壁面W1 における壁貫通孔71の部分にビスBを介して固定される基台V1 と、当該基台V1 に覆蓋される蓋体L1 とから成る。基台V1 は、ビスBが貫通されて壁面W1 に固定されるベース部1に、壁貫通孔71と合致される管挿通孔2が形成され、当該ベース部1の周縁部における壁面W1 上の配管経路となる部分を除く残りの全ての部分に、高さの低い立設壁部3が形成され、蓋体L1 は、当該立設壁部3の外側に嵌着される。基台V1 における配管経路と交差する部分(立設壁部3が設けられていない部分)には、配管経路の方向に沿って位置決め接続片A1 が突設されている。ここで、「配管経路」とは、図1において、複数本の給水湯管P0 ,P1 〜P9 が出隅部R及び入隅部Sを有する壁面W1 〜W3 及び壁面W1 ,W3 を貫通して配管される経路のことをいう。
【0032】
管継手収容カバーK1 の基台V1 には、エルボ状の管継手J1 を介して接続される壁面W1 の側の給水湯管P1 の管端部を定めるための凸条からなる直線状の表示部D1 が配管経路に対して直交して設けられている。即ち、前記基台V1 のベース部1における管挿通孔2の両側の部分、及び立設壁部3の内側面には、前記表示部D1 が連続して設けられている。また、基台V1 の巾方向の中央部には、凹条の配管案内線E1 が形成され、前記表示部D1 は、当該配管案内線E1 に対して直交している。基台V1 に設けられた表示部D1 は、壁面W1 の側から当該壁面W1 の裏側に向けて配管する場合において、管継手収容カバーK1 の基台V1 に形成された管挿通孔2と、壁表の管P1 と壁裏の管P0 をエルボ状の管継手J1 を介して接続する際に、当該管挿通孔2と、エルボ状の管継手J1 における壁面W1 に垂直に配置される部分とを合致させて、管継手J1 の当該部分を前記管挿通孔2に挿通可能にすべく、壁面W1 に配管される給水湯管P1 における壁裏に配管される給水湯管P0 に接続される側の管端部の位置を定めるために、当該給水湯管P1 の余長部を切断する際の目安とする表示である。なお、本発明において、配線案内線は、発明の特徴を構成しない部分であるので、図2等において、配線案内線E1 を含めて後述の各管管継手収容カバーK2 〜K8 の基台V2 〜V8 が縮小図示されいる場合には、配線案内線は図示しない。また、図4、並びに後述の図8、図11、図15、図22、図25及び図28は、管継手収容カバーK1 〜K4 ,K6 〜K8 を構成する各基台V1 〜V4 ,V6 〜V8 上で管継手J1 〜J4 ,J6 〜Jを介して各給水湯管が接続された状態を縦断面視により2点鎖線で表示してあるが、図面が複雑化するのを避けるためち、断面表示はしていない。
【0033】
また、以下の配管例は、壁面W1 の裏側に給水湯管P0 を配管した後に、当該給水湯管P0 と壁面W1 に配管される給水湯管P1 とをエルボ状の管継手J1 を介して接続するので、本配管例では、管継手収容カバーK1 の基台V1 に形成された表示部D1 は、使用されないが、本配管例と逆方向(壁表の管P0 が設置された後に、壁裏の管P0 が設置される場合)に配管する場合には、当該表示部D1 は、給水湯管P1 における給水湯管P0 と接続される側の管端部を定める際の切断位置の特定に使用される。この場合には、管P1 の一方の端部は、後述の管継手J2 に接続されていて、その他方の管部を表示部D1 の部分で切断して、切断された当該他方の端部をエルボ状の管継手J1 の最大に差し込むと、給水湯管P1 の当該他方の端部の端面が、当該管継手J1 の差込規制突部G12に当接して、最大に差し込まれて、エルボ状の管継手J2 の基台V1 に形成された管挿通孔2と、当該管挿通孔2を貫通する側の接続口51とが合致して、エルボ状の管継手J1 の壁面W1 に対して垂直に配置される部分を前記管挿通孔2に挿通可能となる。
【0034】
そして、壁面W1 における壁貫通孔71の部分に管継手収容カバーK1 の基台V1 を配管経路の方向に沿って設置すると共に、両面テープ(図示せず)を用いて、当該基台V1 に接続させて管収容カバーK0 の基台V0 を配管方向に沿って設置し、壁面W1 の壁裏に配管された給水湯管P0 と壁面W1 に配管された給水湯管P1 とを壁貫通孔71の部分においてエルボ状の管継手J1 を介して接続する。即ち、給水湯管P1 の管端部の外周面に接着剤を塗布した状態で、当該管端部を管継手J1 の接続口51から最大に差し込んで接続する。以下において、給水湯管と管継手とを接着剤を介して接続する方式を「接着接続」という。エルボ状の管継手J1 に対する給水湯管P1 の一方の端部(上端部)の接続長は、当該管継手J1 に対して給水湯管P1 の一方の端部の端面が前記管継手J1 の差込規制突部G12に当接するまでの最大接続長であって、最も安定した接続である。
【実施例2】
【0035】
図1、図6〜図8には、壁面W1 の直線接続部において、実施例2の直状の管管継手収容カバーK2 内に収容される直状の管継手J2 を介して接続される2本の給水湯管P1,P2 の接続部の構造、及び給水湯管P1 の切断位置を定める方法が示されている。直状の管継手J2 は、その両端が接続口52となっていて、内周面における各給水湯管P1,P2 に対する接続長が最大となる位置に、それぞれ差込規制突部G21,G22が設けられている。直状の管継手収容カバーK2 は、壁面W1 に設置される基台V2 と、当該基台V2 に覆蓋される蓋体L2 とから成る。基台V2 は、全長に亘って同巾のベース部4と、当該ベース部4の巾方向の両端部に形成された各立設壁部5とから成り、前記ベース部4の長手方向(配管方向)の両端部には、前記立設壁部5よりも高さの低い立設壁部6が形成され、前記ベース部4の長手方向の両端部には、それぞれ位置決め接続片A2 が長手方向に突出して形成されている。管継手J2 の基台V2 は、当該基台V2 を介して接続される2本の管収容カバーK0 の各基台V0 の挿入空間63に、当該基台V2 の長手方向の両端の各位置決め接続片A2 を挿入することにより、巾方向の位置決めが行われた状態で、ビスを使用しないで壁面W1 に設置される。
【0036】
また、直状の管継手収容カバーK2 の基台V2 のベース部4の上面、及び左右一対の立設壁部5の内側面には、互いに直線接続される2本の給水湯管P1,P2 の管端部の位置を定めて、当該各給水湯管P1,P2 の余長部の切断の目安とする凸条からなる直線状の各表示部D21,D22が長手方向に沿って所定間隔をおいてそれぞれ形成されている。基台V1 に対する各表示部D21,D22の形成位置は、直状の管継手J2 に対して各給水湯管P1,P2 の端部を差し込んだ場合に、各端面がそれぞれ差込規制突部G21,G22に当接して接続長が最大となる位置である。ここで、互いに直線接続される2本の給水湯管P1,P2 を接続するために、その接続に適する長さに切断する際には、給水湯管P1,P2 の一方の管端部は、設置済の管継手に接続されている(本例の場合には、給水湯管P1 の一方の管端部が管継手J1 に接続されている)。従って、管継手収容カバーK2 の基台V2 に形成された2種類の表示部D21,D22のいずれもが使用されることはなく、配管方向によって定められるいずれか一方のみ(本実施例の場合には、表示部D21のみ)が使用されるが、2種類の表示部D21,D22を形成することにより、いずれの方向に配管されても対応可能にしてある。このように、いずれの方向からの配管も可能となるように、以下の他の管継手J2 〜J8 の各基台V2 〜V8 には、いずれも蓋体L2 〜L8 との組み付けにより形成される連結口の数(管継手J2 〜J8 の接続口の数に等しい)に対応した表示部が形成されている。
【0037】
このため、図8に示されるように、壁面W1 の壁貫通部に設置された管継手J1 に一方の管端部が接続された給水湯管P1 を管収容カバーK0 の基台V0 に収容すると共に、その他端側の管端部を、管継手J2 の基台V2 の上に配置することにより、試し配管を行った状態で、管継手J2 の基台V2 に形成された表示部D21によって、当該給水湯管P1 の他方の管端部の切断位置を特定する。具体的には、表示部D21は、管継手J2 の基台V2 を構成するベース部4の上面と、立設壁部5の内側面との双方に形成されているため、例えば、立設壁部5の内側面に形成された表示部D21と対向する給水湯管P1 の外周面の周方向に沿って切断位置を線状にして罫書き、当該罫書き線(図示せず)に基づいて、管継手J2 の基台V2 から給水湯管P1 を持ち上げたり、或いは側方にずらした状態で、給水湯管P1 の余長部を切断する。なお、図8を含めて、F1 〜F8 は、給水湯管P1 〜P8 の余長部P1'〜P8'を切断した後に形成される切断端面を示す。
【0038】
そして、直状の管継手J2 に対して給水湯管P1 の他方の端部の端面が差込規制突部G21に当接するまで最大に差し込んで、給水湯管P1 の他方の端部を直状の管継手J1 の一方の接続口に差し込んで接続した後に、当該管継手J1 の他方の接続口に、別の給水湯管P2 の一方の端部を任意の接続長でもって接続させた状態で、各給水湯管P1,P2 を設置済の各管収容カバーK0 の各基台V0 に収容すると、直状の管継手J1 は、管継手収容カバーK1 の基台V1 に収容される。接続長M2 は、最大接続長となる。
【実施例3】
【0039】
図1、図9〜図12−Aには、壁面W1 の曲り接続部において、実施例3の管継手収容カバーK3 内に収容されるエルボ状の管継手J3 を介して接続される2本の給水湯管P2,P3 の接続部の構造、及び給水湯管P2 の切断位置を定める方法が示されている。エルボ状の管継手J3 の内周面には、いずれの接続口51からも各給水湯管P2,P3 が最大に差し込むことのできる位置(エルボ状の管継手J3 の内周面が縦断面視で直線から曲線に移行する位置)に、それぞれ差込規制突部G21,G22が設けられている。曲り部用の管継手収容カバーK3 は、壁面W1 に設置される基台V3 と、当該基台V3 に覆蓋される蓋体L3 とから成る。基台V3 は、2本の給水湯管P2,P3 が直交配置されるようにして曲り配管可能なように、配管経路に沿ってL字状にわん曲されたベース部7と、当該ベース部7の巾方向の両端部である内側及び外側に形成された各立設壁部8,9とから成り、前記ベース部7の配管方向の両端部には、それぞれ位置決め接続片A3 が長手方向に突出して形成されている。管継手収容カバーK3 の基台V3 を介して接続される2本の管収容カバーK0 の各基台V0 の挿入空間63に、当該基台V3 の長手方向の両端の各位置決め接続片A3 が挿入された状態で、当該ベース部7は、わん曲部において1本のビスBを介して壁面W1 に固定される。
【0040】
また、管継手J3 の基台V3 の上面における配管経路を構成する2つの直線部のわん曲部の側の終端部には、互いに接続される2本の給水湯管P2,P3 の各管端部の位置を定めるために、当該各給水湯管P2,P3 の管端部の余長部を切断する際の目安となる凸条からなる直線状の表示部D31,D32が、配管経路に対して直交する方向に沿って形成されている。各表示部D31,D32の配管方向に沿った形成位置は、図12−Aに示されるように、エルボ状の管継手J3 に対して設置済の管継手J2 に対して一方の管端部が接続された給水湯管P2 の他方の端部を最大に差し込む(挿入する)と、エルボ状の管継手J3 の他方の接続部の軸心C32と、予め定められた配管経路上に配置される給水湯管P3 の軸心C30とが合致する位置となっている。ここで、エルボ状の管継手J3 に対して給水湯管P2 の他方の端部を最大に差し込むとは、当該給水湯管P2 の他方の端部の端面がエルボ状の管継手J3 の内周面に形成された差込規制突部G21に当接するまで差し込むことを意味する。これにより、一方の端部が設置済の管継手J2 に接続された給水湯管P2 の他方の管端部の余長部を、管継手J3 の基台V3 に形成された表示部D31を基準にして、当該給水湯管P3 を最大の接続長M3 が得られるように切断して、当該給水湯管P3 をエルボ状の管継手J3 に対して最大に差し込むと、エルボ状の管継手J3 の他方の接続部の軸心C32と、管収容カバーK0 の基台V0 の各管保持部62により軸心C32の位置が定められた状態で保持されて、予め定められた配管経路上に配置される給水湯管P3 の軸心C30とが合致することになる。以下、上記のようにして、設置済の管継手に一方の端部が接続された給水湯管の他方の端部を、エルボ状の管継手の一方の接続口(接続部)に対して差込規制突部に当接するまで最大に差し込むことにより、当該管継手の他方の接続部の軸心と、当該他方の接続部に接続される給水湯管の軸心とを一致させる管接続方式を「最大差込み方式」という。この「最大差込み方式」では、管継手の基台の上面に形成される表示部の位置は、特定される一つの位置のみである。このため、実施例3では、差込規制突部G31,G32は、エルボ状の継手J3 に対して給水湯管P2,P3 を最大に差し込めることのできる位置に差込規制突部G31,G32が設けられているが、上記した「最大差込み方式」では、管継手に対して安定した接続が得られることを条件に任意の位置に設けることが可能である(エルボ状の管継手J3 の例では、接続長が「M3 」よりも短くなる位置に差込規制突部を設けることである)。
【0041】
上記した「最大差込み方式」の効果の一つに、流体が流れる方向を変化させたり、或いは分岐させる管継手において、図12−Bに示されるように、管端部を適正長に切断して管継手の特定の接続口に対して最初に接続される給水湯管の先端面が差込規制突部まで達しないために、接続長が不足している場合には、他の接続口の軸心と、当該他の接続口に接続される給水湯管の軸心とがずれて、接続不能となる。このため、管継手に対して最初に接続される給水湯管の接続長の不足が分かるので、前記各軸心が合致するまで、最大に差し込めばよい。逆に、前記各軸心の合致により、管継手に対して最初に接続される給水湯管の接続長が最大であることが分かる。特許文献2の技術は、給水湯管の差込量を視認可能にするために、当該給水湯管の外周面に差込み位置を罫書くものであるが、「最大差込み方式」では、接続長が最大差込み長である場合には、差込み長を視認する罫書き線を罫書く必要がない効果がある。
【0042】
また、エルボ状の管継手J3 は、管継手収容カバーK3 の基台V3 の内外の各立設壁部8,9の間に嵌め込まれることにより、当該基台V3 に対する配置位置が一義的に定められるので、管継手J3 の一方の接続部に対して給水湯管P2 を所定長だけ予め差し込んでおき、基台V3 に対する管継手J3 の配置位置が定まるまで、管継手J3 の一方の接続部に対する給水湯管P2 の接続長を調整することにより、エルボ状の管継手J3 の他方の接続部の軸心C32と、予め定められた配管経路上に配置される給水湯管P3 の軸心C30とを合致させることも可能である。上記のように、管継手収容カバーの基台に対してエルボ状又は後述するT字状の管継手の配置位置(設置位置)が一義的に定められることを利用して、管継手の一方の接続部に対して設置済の管継手に一端部が接続された給水湯管の他端部の接続長を調整することにより、当該管継手の他方の接続部の軸心と、当該他方の接続部に接続される給水湯管の軸心とを一致させる管接続方式を「管継手配置方式」という。「管継手配置方式」の場合には、エルボ状又はT字状の管継手の一方の管接続部に対する設置済の管継手に一端部が接続された給水湯管の他端部の接続長は、上記した「最大差込み方式」の場合よりも短くても可能であると共に、その接続長は、安定接続が得られる範囲内において任意である。
【0043】
また、エルボ状の管継手を含めて、各種管継手には、上記した管継手J1,J2,J3 或いは後述のT字状の管継手J4 のように、その内周面に差込規制突部が設けられていない管継手もある。この管継手の場合には、例えば、以下のようにして、管継手に対する給水湯管の差込長である接続長を定める必要がある。なお、以下の説明では、内周面に差込規制突部G31,G32が設けられたエルボ状の管継手J3 を使用して2本の給水湯管P2,P3 を接続する実施例3に係る図面である図9〜図12−Aを便宜上使用するが、差込規制突部G31,G32を有しない管継手J3 を想定している。例えば、上記実施例3において、エルボ状の管継手J3 に対する給水湯管P3 の他方の端部の最大の接続長M3 が得られるように、管継手J3 に対して給水湯管P2 を接続する前に、当該給水湯管P2 の外周面に、軸心方向と直交する方向に罫書き線11(図11参照)を罫書くことにより、給水湯管P2 の一方の端部と管継手J3 とが接続された状態において、前記した最大の接続長M3 が確実に得られる。給水湯管P2 の他端部に罫書き線11を罫書く方法は、例えば、図10に示されるように、管継手収容カバーK3 の基台V3 に対するエルボ状の管継手J3 が適正位置(管継手J3 の一方の接続部に給水湯管P2 を接続した状態で、当該管継手J3 の他方の接続部の軸心C32と、当該他方の接続部に接続される給水湯管P3 の軸心C30とが一致する位置)に配置された状態で、当該管継手J3 における給水湯管P2 と接続される側の端面の位置を、当該基台V3 のベース部7の上面に罫書いて罫書き線12(図9参照)を形成し、その後に、設置済の管継手J2 に一端部が接続された給水湯管P2 を壁面W1 に設置された管継手収容カバーK3 の基台V3 上に配置して、当該給水湯管P2 の外周面に、前記罫書き線12の配管方向に沿った位置を転記させて、罫書き線11を形成すればよい。これにより、罫書き線11の存在により、管継手J3 に対する給水湯管P2 の接続長M3 を視認できて、管継手J3 の他方の接続部の軸心C32と、予め定められた配管経路上に配置される給水湯管P3 の軸心C30とを確実に合致させられる。なお、図12−A及び図12−Bにおいて、C20は、給水湯管P2 の軸心を示し、C31は、エルボ状の管継手J3 における給水湯管P2 と接続される側の接続部の軸心を示す。
【0044】
また、余長部が切断除去された給水湯管P2 の他方の端部の管継手J3 に対する接続長は、管継手収容カバーK3 の基台V3 及びエルボ状の管継手J3 の寸法によって、予め計算可能であるので、計算により得られた罫書き位置を給水湯管P2 の他方の端部の外周面に罫書くことも可能である。
【0045】
上記のように、未接続の管継手に対する設置済の管継手に一端部が接続された給水湯管の他端部の必要接続長を確保して、未接続の管継手の他方の接続部の軸心と、当該他方の接続部に接続される軸心位置が定められた給水湯管の当該軸心とを一致させるために、当該給水湯管の外周面に罫書き線を形成する管接続方式を「罫書き線方式」という。この「罫書き線方式」においても、管継手に対する給水湯管の必要接続長は、上記のような最大の接続長M3 に限られず、任意に定められる。
【0046】
例えば、実施例3では、最大接続長(最大差込み長)が「20mm」である管継手J3 において、基台V3 における前記最大接続長が得られる位置に表示部D31,D32が設けられているが 管継手J3 において接続長が「10mm」であっても、安定した接続が得られる場合には、接続長が「10mm」となる位置に表示部を設けることも可能である。
【0047】
上記した「最大差込み方式」以外の方式では、管継手の接続口に対する給水湯管の差込み長を、当該給水湯管の外周面に罫書き、当該罫書き線を基準にして、接続時において、管継手に対する給水湯管の「差込み長」を確認する必要がある。ここで、「差込み長」とは、基台に形成された表示部と、当該基台に収容された管継手の接続口との間の距離である。これに対応させて、管継手収容カバーの基台に、前記表示部の他に、給水湯管の差込み長を定めるための目盛り状の「差込み長確認部」を設けておき、基台に設けられた表示部に基づいて管端部が切断された給水湯管を当該基台の上に仮配管した状態で、前記「差込み長確認部」により、必要な差込み長の位置を確認して、当該位置を給水湯管に罫書くことにより、給水湯管の切断から、必要な「差込み長」の位置を当該給水湯管に罫書くまでの各作業を、基台上に給水湯管を仮配管した状態で行える利点がある。
【0048】
給水湯管P2 の他方の管端部を持ち上げる等して、当該給水湯管P2 の他方の管端部を罫書き線11の位置までエルボ状の管継手J3 の一方の連結口に差し込んで接続すると共に、管継手J3 の他方の連結口に別の給水湯管P2 の一方の端部を任意の接続長でもって差し込んだ後に、各給水湯管P2,P3 を各管収容カバーK0 の各基台V0 に収容させると、エルボ状の管継手J3 は、管継手収容カバーK3 の基台V3 の適正位置に収容される。
【実施例4】
【0049】
図1、図13〜図15には、壁面W1 の分岐接続部において、実施例4の管継手収容カバーK4 内に収容されるT字状の管継手J4 を介して接続される3本の給水湯管P3 〜P5 の接続部の構造、及び給水湯管P3 の切断位置を定める方法が示されている。T字状の管継手J4 は、3つの接続口53を有していて、その内周面には、3つの接続口53から差し込まれる各給水湯管P3 〜P5 の接続長が最大となる位置にそれぞれ差込規制突部G41,G42,G43が設けられている。前記接続用の管継手収容カバーK4 は、壁面W1 に設置される基台V4 と、当該基台V4 に覆蓋される蓋体L4 とから成る。基台V4 は、3本の給水湯管P3 〜P5 の接続部がT字状となって配管可能なように、配管経路に沿ってT字状に形成されたベース部13と、当該ベース部13の連結口となる部分を除く周縁部に起立して形成された1つの直線状の立設壁部14と、左右一対のわん曲された立設壁部15とから成り、前記ベース部13の配管方向の各端部には、それぞれ位置決め接続片A4 が配管方向に突出して形成されている。管継手J3 の基台V3 を介して接続される2本の管収容カバーK0 の各基台V0 の挿入空間63に、当該基台V4 の各位置決め接続片A4 が挿入された状態で、当該ベース部13は、互いに直交する配管案内線E41,E42の交差部において1本のビスBを介して壁面W1 に固定される。なお、図14において、16は、前記交差部に形成されたビス孔を示す。
【0050】
図14及び図15に示されるように、T字状の管継手J4 を介して互いに連結される3本の給水湯管P3,P4,P5 の各接続長を最大に確保できる位置に凸条から成る3つの直線状の表示部D41,D42,D43が配管方向に対して直交してそれぞれ形成されている。また、ビス孔16から各表示部D41,D42,D43までの距離は、等しい。
【0051】
このため、一方の端部が設置済の管継手J3 に接続されている給水湯管P3 の他方の端部の切断位置は、前記表示部D41を基準にすると、上記した「最大差込み方式」により正確に定められる。即ち、管継手J4 に対する給水湯管P3 の他方の端部の接続長は、前記表示部D41を基準して、給水湯管P3 の他方の端部を切断することにより、最大に定められ、このようにして切断された給水湯管P3 の他方の端部の端面がT字状の管継手J4 の差込規制突部G41に当接するまで最大に差し込むと、T字状の管継手J4 における給水湯管P4 と接続される接続部の軸心C41と、管収容カバーK0 の基台V0 に軸心位置が定められて支持される給水湯管P4 の軸心C40との軸心を合致させられる。また、T字状の管継手J4 は、管継手収容カバーK4 の基台V4 に対して配管方向に位置ずれすることなく、一義的に位置が定められるので、上記した「管継手配置方式」によっても、管継手J4 に対する給水湯管P3 の他方の端部の必要接続長を定めることができる。
【0052】
なお、給水湯管P4 と接続されることにより設置位置が確定された設置済の管継手J4 に対してその後に接続される各給水湯管P5,P6 は、それぞれ各端面が差込規制突部G42,G43に当接するまで、差し込めばよい。当該各給水湯管P5,P6 の他方の管端部の位置は、管継手J5,J6 の基台V5,V6 に形成された表示部D5,D61により正確に定められることにより、曲り配管部、或いは管継手収容カバーK5 の基台V5 に対して固定される管継手J5 に対する配管を可能にしている。
【0053】
そして、上記各管継手J2,J3 の場合と同様にして、T字状の管継手J4 の特定の連結口に対して給水湯管P3 を最大の接続長だけ差し込んで接続した後に、管継手J4 の残りの二つの各接続口53に各給水湯管P4,P5 を最大の接続長でもって接続して、計3本の各給水湯管P2 〜P4 を各管収容カバーK0 の各基台V0 に収容させると、T字状の管継手J4 は、管継手収容カバーK4 の基台V4 の適正位置に収容される。
【実施例5】
【0054】
図1、図16〜図18には、壁面W1 の分岐接続部において、実施例5の管継手収容カバーK5 内に収容されるエルボ状の給水栓継手J5 を介して接続される給水栓21(図1参照)と給水湯管P4 との接続部の構造、及び給水湯管P4 の切断位置を定める方法が示されている。前記管継手収容カバーK5 は、壁面W1 に設置される基台V5 と、当該基台V5 に覆蓋される蓋体L5 とから成る。蓋体L5 の天板部には、給水栓21の基端部を挿通する開口30が形成されている。基台V5 は、中央部に給水栓継手J5 の一部を収容するための管収容部22が上面に開口して形成され、上端部には、位置決め接続片A5 が配管方向に突設され、複数本のビスBを介して壁面W1 に固定される。
【0055】
給水栓継手J5 は、全体としてエルボ状をなしていて、設置状態で垂直に配置されて、給水湯管P4 が接続される筒状の管接続部23の内側には、軸心方向の所定長に亘って、径方向に収縮して内径が大きくなるリング25が内装されていると共に、当該リング25の奥部にはOリング26が内装されている。給水栓継手J5 の他方の筒状の部分は、内周面に雌ねじが形成されていて、前記給水栓21が接続される給水栓接続部27となっている。当該給水栓接続部27の基端の部分には、左右一対の固定板部28が両側方に突出して一体に設けられ、前記管接続部23の上端に近い部分の両側部には、一対のビス挿通孔29が設けられている。給水栓継手J5 は、管接続部23の軸心を含む平面で二分した反給水栓接続部の側が収容された状態で、前記各固定板部28及び前記各ビス挿通孔29に挿通される二対のビスB',B''を介して基台V5 に固定される。インコア24は、給水湯管P4 の下端部の外側に予め嵌め込まれ、この状態で、当該給水湯管P4 の下端部は、基台V5 に固定された給水栓継手J5 の管接続部23に差し込まれる。
【0056】
よって、給水栓継手J5 に対する給水湯管P4 の接続長を正確に定めないと、給水湯管P4 の下端部の外側に嵌込まれたインコア24の下端部の鍔部24aは、給水栓継手J5 の内周面に設けられた差込規制突部G5 に当接しない。そこで、管継手収容カバーK5 の基台V5 の前面の平面部31には、給水栓継手J5 に対する給水湯管P5 の接続長M5 を正確に定めるべく、当該給水湯管P5 の給水栓継手J5 側の管端部の位置を定めて切断可能にするための直線状の表示部D5 が給水湯管P5 の軸心と直交する方向に形成されている。エルボ状の給水栓継手J5 の管接続部23及び給水栓接続部27の開口が、それぞれ給水湯管P4 との接続口54及び給水栓21の受口55となっている。なお、実施例5では、給水湯管P4 の管端部に内装されたインコア24の鍔部24aが、給水栓継手J5 の内周に形成された差込規制突部G5 に当接する構成であるので、前記表示部D5 の形成位置は、基台V5 に給水栓継手J5 を固定した状態で、当該給水栓継手J5 の差込規制突部G5 に対して、配管方向(管軸方向)に沿って前記インコア24の鍔部24aの肉厚分だけ基台V5 の管収容部22の上端開口の側にずれて形成されている。
【0057】
このため、設置済の管継手J4 に一方の端部が接続されている給水湯管P4 の他方の端部を基台V5 の管収容部22に収容した状態で、図17に示されるようにして、当該基台V5 の平面部31に形成されている表示部D5 の管軸方向に沿った位置を当該給水湯管P5 の外周面に罫書き、この罫書き線(図示せず)を基準にして、給水湯管P4 の余長部を切断すると、給水湯管P4 の下端部の外側に嵌め込まれたインコア24の鍔部24aが、給水栓継手J5 の内周面に形成された差込規制突部G5 に当接するような適正長でもって、給水湯管P4 が切断される。
【0058】
よって、余長部を切断した給水湯管P4 の他方の先端部(設置状態で下端部)の外側にインコア24を嵌め込んだ状態で、当該給水栓継手J5 の下端部を管接続部23に差し込むと、給水湯管P4 の差込み部の外周面が圧縮変形されたリング25に復元力により押圧されて、当該給水湯管P4 は抜け出なくなると共に、前記差込み部の外周面にOリング26が押圧されることにより、接続部の水密が保持される。その後に、当該給水栓継手J5 を管継手収容カバーK5 の基台V5 に二対のビスB',B''を介して固定すると、図18に示されように、インコア24の鍔部24aが給水栓継手J5 の差込規制突部G5 に当接した状態で、当該給水湯管P4 の下端部が給水栓継手J5 に接続される。以下において、上記したインコア24を用いて、給水湯管と管継手とを接続する方式を「インコア接続」という。なお、本実施例5では、インコア24は、給水栓継手J5 に対して別体となっているが、当該給水栓継手J5 に一体に形成したものもあり、このインコア一体構造の給水栓継手では、給水湯管P5 の下端面は、上記したインコア24の鍔部24aに相当する部分に当接する。
【実施例6】
【0059】
図1、図19〜図22には、壁面W1,W2 の出隅部Rにおいて、エルボ状の管継手J6 を介して接続される2本の給水湯管P5,P6 の接続部の構造、及び給水湯管P5 の切断位置を定める方法が示されている。管継手収容カバーK6 は、壁面W1,W2 の出隅部Rに設置される基台V6 と、当該基台V6 に覆蓋される蓋体L6 とから成る。基台V6 は、縦断面視で板体がL字状に屈曲されたベース部32と、当該ベース部32における交差角度が270°となる側の巾方向の両端部に長手方向(配管方向)の全長に亘って形成された立設壁部33とから成り、ベース部32の屈曲された二つの部分32a,32bは、交差角度が270°であって、それぞれ1本のビスBを介して各壁面W1,W2 に固定される。ベース部32の各部分32aの端部には、それぞれ位置決め接続片A6 が配管方向に沿って突出されている。
【0060】
立設壁部33は、ベース部32の全体形状が縦断面視でL字状になっていることに対応して、設置状態の平面視においてL字状となっていて、二つの各部分33a,33bの交差部は部分的な欠落部34となっていて、当該欠落部34の配管方向に沿っていて、90°だけ展開させることにより対向状態となる各内側面は、各壁面W1,W2 に対して垂直に形成されて、エルボ状の管継手J6 を介して接続される2本の給水湯管P5,P6 のいずれか一方の出隅部R側の切断端部を切断する際の表示面D61,D62となっている。なお、欠落部34は、一方の立設壁部33の交差部のみに形成してもよい。
【0061】
給水湯管P5 の一方の端部は、設置済の管継手J4 の特定の接続口に、設置済の給水湯管P3 と軸心が一致するように接続されていて、その他方の端部は余長部を有している。そして、余長部を有する給水湯管P5 を設置済の管収容カバーK0 の基台V0 に収容すると、前記余長部は、正面視及び平面視の双方において、出隅部Rを超えて壁面W3 の側に侵入する。この状態、管継手収容カバーK6 の基台V6 の立設壁部33aの側に形成された表示部D61の位置を前記給水湯管P5 に罫書いて、当該罫書き線(図示せず)の部分で給水湯管P6 の余長部を切除すると、当該給水湯管P5 は、エルボ状の管継手J6 に対して最大の接続長であって接続可能な状態となる。なお、図21では、図示の関係で、給水湯管P5 は、管収容カバーK0 の基台V0 に収容されていないが、実際の作業では、上記したようにして行う。
【0062】
そして、給水湯管P5 の他方の端部をエルボ状の管継手J6 の一方の接続口51から差し込んで、その切断端面F5 が当該管継手J6 の内周面の差込規制突部G61に当接するまで差し込んだ後に、当該管継手J6 に他方の接続口51に対して壁面W2 に沿って配管される給水湯管P6 の一方の端部の端面が差込規制突部G62に当接するまで最大に差し込んで接続させる。
【実施例7】
【0063】
図1、図23〜図25には、壁面W2,W3 の入隅部Sにおいて、エルボ状の管継手J7 を介して接続される2本の給水湯管P6,P7 の接続部の構造、及び給水湯管P6 の切断位置を定める方法が示されている。管継手収容カバーK7 は、壁面W2,W3 の入隅部Sに設置される基台V7 と、当該基台V7 に覆蓋される蓋体L7 とから成る。基台V7 は、縦断面視で板体がL字状に屈曲されたベース部35と、当該ベース部35における交差角度が90°となる側の巾方向の両端部に長手方向(配管方向)の全長に亘って形成された立設壁部36とから成り、ベース部35の屈曲された二つの部分35a,35bは、それぞれ1本のビスBを介して各壁面W2,W3 に固定される。ベース部35の各部分35a,35bの端部には、それぞれ位置決め接続片A7 が配管方向に沿って突出されている。
【0064】
ベース部35の巾方向の両端部には、全長に亘って立設壁部36が形成されている。ベース部35の各部分35a,35bには、エルボ状の管継手J7 により最大の接続長でもって2本の給水湯管P6,P7 を接続可能な位置に、それぞれ直線状の表示部D71,D72が配管方向と直交する方向に形成されている。なお、図25において、2点鎖線37,38は、それぞれ入隅部Sに設置された基台V7 の各表示部D71,D72の配管方向に沿った位置を各壁面W2,W3 に対して垂直な面上に延長させた線を示す。
【0065】
建物の入隅部Sに配管される2本の給水湯管P6,P7 をエルボ状の管継手J7 を介して接続する場合においても、設置済の管継手J6 に一方の管端部が接続されている給水湯管P6 の他方の管端部の切断位置を、入隅部Sに設置済の基台V6 に形成された表示部D71を基準にして、その余長部を切断した後に、給水湯管P6 の切断端面F6 が、エルボ状の管継手J7 の内周面の差込規制突部G71に当接するまで最大に差し込む。その後に、別の給水湯管P7 の一方の管端部の端面が他方の差込規制突部G72に当接するまで差し込んで、入隅部Sにおいて2本の給水湯管P6,P7 を管継手J7 を介して接続して、当該管継手J7 を管継手収容カバーK7 の基台V7 に収容させる。
【実施例8】
【0066】
図1、図26〜図28には、壁面W3 の壁貫通部において、エルボ状の管継手J8 を介して接続される3本の給水湯管P6 〜P8 の接続部の構造、及び給水湯管P7 の切断位置を定める方法が示されている。管継手収容カバーK8 は、壁面W3 に設置される基台V8 と、当該基台V8 に覆蓋される蓋体L8 とから成る。基台V8 は、長方形板状のベース部41の配管方向に沿った中央部にエルボ状の管継手J8 の接続部42を貫通させる管挿通孔43が形成され、当該管挿通孔43の両側には、蓋体L8 を係合させるための二対の被係合板部44が巾方向に沿って対向した状態で立設されている。二対の被係合板部44は、その間に管継手J8 の直線状の接続部46を配置させる機能も有している。基台V8 は、その両端部に形成された各位置決め接続片A8 を介して両側の各管収容カバーK0 の基台V0 にビスなしで接続される。
【0067】
管継手収容カバーK8 の基台V8 の上面の管挿通孔43と交差する部分には、当該管継手収容カバーK8 内に収容されるT字状の管継手J8 を介して接続される2本の給水湯管P7,P8 における当該管継手J8 に接続される側の管端部の位置を定めるために、当該各給水湯管P7,P8 の余長部を切断する際の目安となる直線状の表示部D81,D82が配管方向と直交する方向に沿って形成されている。各表示部D81,D82は、直状の管継手J8 に対して各給水湯管P7,P8 の端部の接続長が最大となる位置に設けられている。
【0068】
そして、壁面W3 の壁貫通部において、設置済の管継手J6 に一方の端部が接続された給水湯管P7 と、他の未接続の2本の給水湯管P8,P9 を接続するには、壁面W3 に設置済の基台V8 に形成された表示部D81を基準にして、前記給水湯管P7 の他方の管端部の余長部を切断除去して、上記各実施例2〜7で行った場合と全く同様にして、設置済の管継手J6 に一方の端部が接続された給水湯管P7 の他方の管端部を、管継手J8 の直線状の接続部46の一方の接続口53から差込規制突部G81に当接するまで最大に差し込むことにより、管継手収容カバーK8 の基台V8 に形成された管挿通孔43に対するT字状の管継手J8 の位置が定められて、当該管継手J8 の接続部42が、前記基台V8 の管挿通孔43に対して挿通可能な位置に配置される。その後に、別の給水湯管P8 を管継手J8 の接続部46の他方の接続口53から他方の差込規制突部G82に当接するまで最大に差し込んだ状態で、T字状の管継手J8 の接続部42を、基台V8 の管挿通孔43及び壁面W3 の壁貫通孔72に貫通させることにより、管継手J8 を基台V8 の上面の二対の被係合板部44の間に設置させる。なお、壁面W3 の裏側に配管される給水湯管P9 は、壁裏において、管継手J8 の接続部42に接続される。
【0069】
なお、給水湯管P8 は、将来の配管の延長に備えた予備管であって、その他方の管端は閉塞されていると共に、当該給水湯管P8 を収容する管収容カバーK0 の端部は、エンドキャップ47(図1参照)で覆われる。
【0070】
上記した順序で、管継手J1 〜J8 を介して各給水湯管P0,,P1 〜P9 を配管した後には、各管収容カバーK0 の各基台V0 に蓋体L0 を覆蓋した後に、各管接続部において、各管継手収容カバーK1 〜K8 の基台V1 〜V8 に蓋体L1 〜L8 を覆蓋させると、配管作業が終了する。各管継手収容カバーK1 〜K8 の基台V1 〜V8 に蓋体L1 〜L8 を覆蓋させることにより、管収容カバーK0 を連結可能とする連結口56(図1参照)が形成される。
【0071】
なお、上記した配管方向とは逆の方向に配管することも勿論可能であり、この場合には、上記配管例では使用されなかった別の表示部を用いて、設置済の管継手に一端部が接続された給水湯管の他方の管端部の切断位置を定める。
【実施例9】
【0072】
図29は、並列配管において、壁面上の曲り部で使用される管継手収容カバーK9 の基台V9 に2つのエルボ状の管継手J91,J92を介して各給水湯管P11,P12及び同P21,P22が接続された状態を示す平面模式図である。管継手収容カバーK9 の基台V9 の各配管経路には、エルボ状の管継手J91,J92に対して各給水湯管P11,P12及び同P21、P22の接続長が最大となる位置に直線状の表示部D911,D912 及び同D921,D922 がそれぞれ形成されており、並列の各配管経路において、管継手J91,J92に対して先に接続される各給水湯管P11,P21の切断位置を表示部D911,D921 を利用して定めて、その余長部を切断する。なお、図29において、G911,G912 は、管継手J91に形成された差込規制突部であり、G921,G922 は、管継手J92に形成された差込規制突部である。
【0073】
なお、上記各実施例1〜9において、管端部を切断せずに、管継手に対して2番目以降に差し込まれる給水湯管は、いずれもその端面が差込規制突部に当接するまで最大に差し込まれる例で示してある。しかし、管端部を切断せずに、管継手に対して2番目以降に差し込まれる給水湯管の差込み長(接続長)は、安定した接続が得られることを条件に任意である。
【0074】
上記各実施例2〜9では、管継手収容カバーの基台の上面には、管継手に対して給水湯管の接続長が最大となる位置に、当該給水湯管の切断位置を定める表示部が形成されているが、上記した「罫書き線方式」の場合には、管継手に対する給水湯管の接続長は、安定した接続が得られることを条件に任意に選択できる。従って、「罫書き線方式」により給水湯管の接続長を定める場合には、表示部の形成位置は、配管方向に沿った特定の一箇所の位置ではなくて、配管方向に沿って所定の範囲を有して形成することも可能である。例えば、その範囲の両端となる位置にそれぞれ直線状の表示線を形成して、2本の表示線の範囲内において給水湯管の切断位置を定めればよい。
【0075】
また、実施例1〜4,6〜9における給水湯管と管継手との接続方式は、いずれも「接着方式」であるが、実施例5に適用されている「インコア方式」で接続することも可能である。
【0076】
また、管継手収容カバーの基台に設けられる表示部は、同一の基台に対して種類の異なる複数の管継手が収容されることがあり、この場合に対応して、給水湯管の接続端部の切断位置を定める表示部は、配管方向に沿って異なる位置に複数設けることも可能である。表示部を複数設けることにより、「接着接続」と「インコア接続」の双方の接続方式に対応可能となり、更に、「インコア方接続」においても、管継手の接続口から内周面の差込規制突部までの長さが異なるものに対応可能となる。
【0077】
なお、本発明の配管方法に使用される「管」とは、2mの直管が代表例として挙げられ、管の可撓性の有無は問われず、更に、巻回された管を繰り出して使用される場合における当該管も対象となる。
【符号の説明】
【0078】
1,D21,D22,D31,D32,D41,D42,D43,D5,D61,D62,D71, D72,D81, D82,D911,D912,D921,D922 :表示部
1 〜F8 :給水湯管の切断端面
12,G21,G22,G31,G32,G41,G42,G43,G5,G61,G62,G71, G72,G81, G82,G911,G912,G921,G922 :差込規制突部
1 〜J4,J6 〜J8,J91,J92:管継手
5 :給水栓継手
0 :管収容カバー
1 〜K9 :管継手収容カバー
1 〜L8 :管継手収容カバーの蓋体
0 :管収容カバーの蓋体
2,M3,M5 :接続長
0,P1 〜P9,P11,P12,P21,P22:給水湯管(管)
R:出隅部
S:入隅部
1 〜V9 :管継手収容カバーの基台
0 :管収容カバーの基台
2,43:管挿通孔
11:給水湯管の罫書き線
12:管継手収容カバーの基台の罫書き線
51〜54:管継手の接続口
55:受口
56:管継手収容カバーの連結口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1本又は複数本の管を接続可能とする1又は複数の接続口を備えた管継手を内部に収容する管継手収容カバーであって、
前記管継手収容カバーは、互いに組み付けられることにより、前記管を内部に収容配管する1又は複数の管収容カバーを連結可能とする1又は複数の連結口を形成するための基台と蓋体とから成り、
前記壁面に固定される前記基台には、
前記管収容カバー内に配管される管と前記管継手とを接続した状態で、当該管継手を前記管継手収容カバー内に収容可能とすべく、前記管収容カバー内に配管される管を接続代を含んだ長さに切断して、前記管継手に対して接続される管端部を形成する際の切断位置の目安を表示する表示部が設けられていることを特徴とする管継手収容カバー。
【請求項2】
前記管収容カバーは、管を保持する保持部を有していると共に、前記管継手は、流体が流れる方向を変化させたり、分岐させたりするものであって、
前記表示部は、管継手を介して接続される複数の管収容カバーに保持された各管の軸心と、当該管継手の各接続口の軸心とがいずれも合致するように、各管を切断し得る位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管継手収容カバー。
【請求項3】
建物の壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1又は複数の接続口と、水栓器具や他の管継手、前記壁面を貫通して配管される管等が接続される受口とを備えた管継手を内部に収容する管継手収容カバーであって、
前記管継手収容カバーは、互いに組み付けられることにより、前記管を内部に収容配管する1又は複数の管収容カバーを連結可能とする1又は複数の連結口を形成するための基台と蓋体とから成り、
前記管継手収容カバーの基台又は蓋体には、前記管継手の受口を管継手収容カバーの外方に臨ませたり、或いは突出させる開口が設けられ、
前記壁面に固定される前記基台には、
前記管収容カバー内に配管される管と前記管継手とを接続した状態で、前記開口と前記受口の位置が合致するように当該管継手を前記管継手収容カバー内に収容可能とすべく、前記管収容カバー内に配管される管を接続代を含んだ長さに切断して、前記管継手に対して接続される管端部を形成する際の切断位置の目安を表示する表示部が設けられていることを特徴とする管継手収容カバー。
【請求項4】
前記基台には、前記管継手が管継手収容カバー内で移動しないように固定する固定部が設けられ、前記表示部は、前記固定により管継手収容カバー内において配置位置が定められた管継手に対する管の必要接続長が確保される位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の管継手収容カバー。
【請求項5】
前記表示部は、基台の底面における管の配管経路上に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手収容カバー。
【請求項6】
前記表示部は、当該管継手収容カバーの基台の巾方向の両端に配管方向に沿って設けられた各立設壁部の一方又は双方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管継手収容カバー。
【請求項7】
前記表示部は、配管方向に沿って所定の範囲を有していることを特徴とする請求項1に記載の管継手収容カバー。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の管継手収容カバーを使用して、建物の壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1本又は複数本の管を管継手により接続して配管する方法であって、
前記壁面の配管経路上に管収容カバー及び管継手収容カバーの各基台を設置して、当該配管経路を確定させ、
第1管継手収容カバーの基台に対して設置済の第1管継手の特定の接続口に、第1管の一方の管端部を接続させた状態で、当該第1管を第1管収容カバーに収容して、当該第1管の他方の管端部を形成すべく、第2管継手収容カバーの基台に形成された表示部を目安にして当該第1管を切断した後に、
当該第1管の他方の管端部を第2管継手収容カバーに収容される第2管継手の特定の接続口に接続させ、
次に、第2管継手収容カバーに対して配置位置が確定されている第2管継手の特定の接続口に対して第2管の一方の管端部を接続させ、
以後、配管経路に沿って上記の各作業を反復させて、壁面に沿って又は当該壁面を貫通して配管される1本又は複数本の管を管継手により接続して配管することを特徴とする配管方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−A】
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【図12−B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2013−108533(P2013−108533A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252198(P2011−252198)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】