説明

管路用台座固定治具及びその使用方法

【課題】設備や作業工数・作業時間を低減し、コストが安価な管路用台座固定治具及びその使用方法を提供する。
【解決手段】管路用台座固定治具1は、底部に形成された一対の当接面12がガス管90の上側外周面90aに当接してガス管上に載置可能であり消磁状態・励磁状態の切り替えが可能で励磁状態でガス管に吸着可能な固定台10と、これに設けられガス管上に載置された管路用台座80の近傍のガス管に固定台が吸着した状態で先端側が台座の端部上面81上に延びる板部材40と、固定台に設けられ台座の端部上面上に延びる板部材40の先端部を端部上面に押しつける押圧手段50とを備える。この治具で台座をガス管に固定するには、ガス管の被作業部分90bのみが外部に露出する状態に掘削し、被作業部分90bに台座を載置し、台座の両側近傍のガス管周面に治具を一対吸着し、各治具の板部材40及び押圧手段50によって台座をガス管に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路用台座固定治具及びその使用方法に関し、さらに詳細には、穿孔機やタップ立て穿孔機等をガス管に装着する際に用いられる台座をガス管に固定する管路用台座固定治具及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス管周面に台座を用いる作業の一つに穿孔作業がある。この穿孔作業は、管路の一部区間を補修する際にその補修区間の両側にエアバッグなどの遮断部材を装填するための孔を形成するための作業であり、穿孔部にタップ立てを行い、分岐部材を設ける場合などもある。
【0003】
従来、穿孔作業やタップ立て作業のために穿孔機やタップ立て機を人手によって保持することは労力負担が大きくなることから、それら機器の保持手段として台座をガス管に装着することが行われている。台座はガス管に周回させたチェーンなどによってガス管外周面に取り付けられ、上部の平坦面に穿孔機やタップ立て機を搭載して取り付ける。
【0004】
ガス管に台座を取り付ける際には、台座を固定するためのチェーンの掛け回し空間をガス管下方の土中にも設ける必要がある。ガス管の上側の土は機械掘りが可能であるが、ガス管の下側の土は手掘りで行われる。これは、ガス管の損傷を防ぐことが主な目的であり、きわめて作業性が悪い。しかも、手掘り作業の際には、作業者が立ち入って作業ができる大きさの空間が必要となることから、掘削面積も大きくなり、その掘削のための手間が甚大となる。
【0005】
また、ガス管に台座を取り付け、チェーンもガス管に周回させると、掘削された立抗内でガス管が浮いた状態となる。また、埋め戻しが行われた際にガス管下周面下方の空間部にも埋め戻しの際の土砂を入れることになるが、その作業がやりにくく、押し固めが不十分となりやすい。このため、施工後に道路を通過する車両によってガス管が輪荷重による衝撃荷重を受けて損傷する虞もある。そこで、従来では、ガス管の下半周面下方の空間部に土嚢などを詰めて締め固め不足を補う処置が採られている。
【0006】
本来、ガス管の下半周下方は支えのための処置を採るなどの作業工数の増加を招くために掘削することは好ましくないが、上述したチェーンの掛け回しのためにはどうしても必要となる。このため、従来では、掘削されたガス管下周面下方の空間に流動化処理土などを流し込み、固める処置が一般的に採用されている。しかし、このような処置を採る際には、流動化処理工法のための準備工程が必要となる分、作業時間が長くなり、作業コストが極めて高くなる。
【0007】
そこで、特許文献1に記載されているように、ガス管の上側のみを露出させた状態で台座をガス管に取り付け可能なマグネット式の台座が開発されている。この台座は、ガス管の上側外周面に対向して環状に配置された複数の永久磁石と、これら永久磁石の上方に配置されて回転可能なリング状の回転操作部を備える。
【0008】
永久磁石は、回転可能なものと固定されたものが周方向に順に配置され、上下方向に延びる中心軸を中央にして対向する位置にN極とS極が着磁されている。回転可能な永久磁石は、回転操作部の回転操作に応じてその向きを約180°変えられるようになっている。このため、回転可能な永久磁石を回転させて隣接する磁石同士を同極にすると、隣接する磁石同士での磁路にガス管が含まれる励磁状態となって、台座をガス管に吸着することができ、隣接する磁石同士を異極にすると、隣接する磁石同士が磁気的に短絡されてこれら磁石同士での磁路にガス管を含まない消磁状態となって、台座をガス管から脱着することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2002−273639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この従来のマグネット式の台座は、ガス管の外周面に装着可能な基部を備えているが、基部の底面はガス管の外周面に沿った形状に形成されているので、異なる径のガス管には装着できず、装着可能なガス管が限られ、径の異なるガス管毎に台座を準備する必要がある。また従来のチェーン式の台座に使用可能なアダプター、挿入装置等の工具がマグネット式の台座に使用できない場合には、チェーン式の台座の代わりにマグネット式の台座を準備するとすれば、これの工具も併せて準備する必要があり、初期投資がきわめて高くなるという問題が生じる。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みて提案されたものであり、設備や作業工数及び作業時間を低減し、コストが安価な管路用台座固定治具及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するために、本発明の管路用台座固定治具は、磁性材料で形成されたガス管の一部に穿孔或いはタップ立ての作業を行う装置を装着可能な管路用台座をガス管に固定する管路用台座固定治具であって、底部に逆V字状に配置された一対の当接面を有し、該一対の当接面がガス管の上側外周面に当接して該ガス管上に載置可能であり、消磁状態及び励磁状態の切り替えが可能で励磁状態でガス管に吸着可能な固定台と、該固定台から突出して設けられ、先端側が少なくとも上下方向に移動自在であり、ガス管上に載置された管路用台座の近傍のガス管に固定台が吸着した状態で、先端側が該管路用台座の端部上面上に延びる板部材と、固定台に設けられ、管路用台座の端部上面上に延びる板部材の先端部を下方へ移動させて端部上面に押しつけて管路用台座をガス管に固定する押圧手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、管路用台座固定治具は、固定台と板部材と押圧手段を備えることにより、ガス管上に載置された管路用台座の近傍のガス管上に固定台を吸着し、固定台に設けられた板部材及び押圧手段によって管路用台座をガス管に押し付けることで、管路用台座をガス管に固定することができる。このため、本願発明の管路用台座固定治具を用いれば、ガス管の被作業位置周辺のみを掘削すればよく、ガス管の下側周辺を掘削する必要はない。このため、作業時間や作業工数が低減し、作業コストを安価にすることができる。また、管路用台座固定治具の固定台の底部は、逆V字状に配置された一対の当接面を備えているので、径が異なるガス管にも安定した状態で固定台をガス管に吸着することができる。このため、径の異なるガス管に対応した既存の管路用台座をそのまま使用して、この台座を本願発明の管路用台座固定治具によってガス管に固定することができる。その結果、管路用台座に使用されていたアダプター、挿入装置等の工具はそのまま使用することができ、本願発明の管路用台座固定治具のみを準備すればよいので、初期投資を安くすることができる。
【0014】
また本発明の板部材は、後端側が下方へ屈曲して後端側端部が固定台の上面に当接する当接部と、該当接部の上部に繋がって固定台の上面上を延びる腕部と、該腕部の先端部に繋がって管路用台座の端部上面上に配置される押圧部とを有し、押圧手段は、固定台の上面に取り付けられて上方へ延びて板部材の腕部を挿通する軸部と、該腕部から上方へ延出する軸部に螺合して該軸部に沿って移動可能なナット部とを有し、押圧部が管路用台座の端部上面上に位置した状態でナット部を軸部に沿って下方に移動させると、当接部の先端部が固定台の上面に当接するとともにこの当接点を支点として板部材の先端側が下方へ移動して、押圧部が管路用台座の端部上面を下方へ押しつけることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、板部材は当接部と腕部と押圧部とを有し、押圧手段は軸部とナット部とを有してなることにより、押圧部が管路用台座の端部上面上に位置した状態でナット部を軸部に沿って下方に移動させると、当接部の先端部が固定台の上面に当接するとともにこの当接点を支点として板部材の先端側が下方へ移動して、押圧部が管路用台座の端部上面を下方へ押しつける。このように板部材及び押圧手段はともに簡易な構成であるので、これらを備える管路用台座固定治具のコストを安価にすることができる。
【0016】
また本発明の管路用台座固定治具の使用方法は、磁性材料で形成されたガス管の一部に穿孔或いはタップ立ての作業を行う装置を装着可能な管路用台座をガス管に固定する際に用いられ、底部に逆V字状に配置された一対の当接面を有し、該一対の当接面がガス管の上側外周面に当接して該ガス管上に載置可能であり、消磁状態及び励磁状態の切り替えが可能で励磁状態でガス管に吸着可能な固定台と、該固定台から突出して設けられ、先端側が少なくとも上下方向に移動自在であり、ガス管上に載置された管路用台座の近傍のガス管に固定台を吸着した状態で、先端側が該管路用台座の端部上面に延びて該先端側を端部上面に押しつけて管路用台座をガス管に固定する押し付け手段とを備える管路用台座固定治具の使用方法であって、ガス管の被作業部分のみが外部に露出する状態に掘削し、外部に露出したガス管周面の被作業部分に管路用台座を載置し、該管路用台座の両側近傍のガス管周面に管路用台座固定治具を一対吸着し、これら管路用台座固定治具の各押し付け手段によって、管路用台座の端部上面を下方へ押しつけて該管路用台座をガス管に固定することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ガス管上に載置された管路用台座の両側近傍のガス管上に管路用台座固定治具を一対吸着し、これら管路用台座固定治具の各押し付け手段によって、管路用台座の端部上面を下方へ押しつけて該管路用台座をガス管に固定することで、ガス管の被作業位置の周辺のみを掘削すればよく、ガス管の下側周辺を掘削する必要はない。このため、作業工数や作業時間が低減され、作業コストを安価にすることができる。また、管路用台座固定治具の固定台の底部は、逆V字状に配置された一対の当接面を備えているので、径が異なるガス管にも安定した状態で固定台をガス管に吸着することができる。このため、径の異なるガス管に対応した既存の管路用台座をそのまま使用して、この台座をガス管に固定することができ、その結果、管路用台座に使用されていたアダプター、挿入装置等の工具はそのまま使用することができ、本願発明の管路用台座固定治具のみを準備すればよいので、初期投資を安くすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係わる管路用台座固定治具及びその使用方法によれば、管路用台座固定治具は固定台と板部材と押圧手段を備え、ガス管上に載置された管路用台座の近傍のガス管上に固定台を吸着し、固定台に設けられた板部材及び押圧手段によって管路用台座をガス管に押し付けることで、設備や作業工数及び作業時間を低減し、コストが安価な管路用台座固定治具及びその使用方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係わる管路用台座固定治具及びその使用方法の好ましい実施の形態を図1から図3に基づいて説明する。先ず、本発明の管路用台座固定治具の使用方法を説明する前に、管路用台座固定治具について説明する。なお、本発明の管路用台座固定治具は、ガス管の一部に穿孔或いはタップ立ての作業を行う装置を装着可能な管路用台座をガス管に固定する際に使用されるものであり、また本実施の形態に係わるガス管は、磁性を有したガス管(例えば、鋳鉄管)である。
【0020】
管路用台座固定治具1は、図1(a)(側面図)、図1(b)(正面図)、図1(c)(平面図)に示すように、ガス管90上に載置されて吸着する固定台10と、固定台10から突出して設けられて先端側が管路用台座80の端部上面81上に延びる板部材40と、固定台10に設けられ、管路用台座80の端部上面81上に延びる板部材40の先端部を端部上面81に押しつけて管路用台座80をガス管90に固定する押圧手段50とを有してなる。
【0021】
固定台10は、内部に空間部を形成する本体部11と、本体部11の空間部内に回動可能に収容されて消磁状態及び励磁状態を切り替え可能に構成された磁力切替部15と、本体部11の正面側の側部に回動自在に取り付けられて磁力切替部15と接続されて磁力切替部15を消磁状態又は励磁状態に切り替えるレバー25とを有してなる。
【0022】
本体部11は、磁性を有し且つ金属材料製で直方体形状であり、下部には正面視において逆V字状に配置された一対の当接面12を有している。一対の当接面12は、これらなす角度θが鈍角になるように配置され、当接面12は長方形状に形成されて本体部11の前側端部から後側端部まで延びている。一対の当接面12の間には、矩形状の凹溝13が形成されて本体部11の前側端部から後側端部に延びている。このため、径の異なるガス管90のそれぞれに本体部11を載置しても、一対の当接面12が各ガス管90の外周面に当接して、本体部11を各ガス管90上に安定に載置することができる。
【0023】
磁力切替部15は、図2(a)(断面図)に示すように、本体部11の空間部内に回動自在に配設されて横方向に延びる円柱状の磁石16と、この磁石16の上部及び下部が露出するとともに磁石16の両側を覆うようにして本体部11内に固定された磁性体からなる一対のヨーク17とを有してなる。磁石16は、径方向一方側にN極が現れ他方側にS極が現れるように形成されており、図1(b)に示すレバー25に接続されてレバー25の回動操作に連動して回動する。
【0024】
磁石16は、N極が上部に位置しS極が下部に位置すると、磁力線がヨーク17を介してN極とS極との間で短絡してガス管90を含まない消磁状態の磁路となる一方、図2(b)(断面図)に示すように、N極が一方側の側部に位置しS極が他方側の側部に位置すると、磁力線が延びてガス管90を含む励起状態の磁路となる。このため、図1(b)に示すレバー25を回動操作して磁石16を励起状態にすると、固定台10をガス管90に吸着することができ、磁石16を消磁状態にすると、固定台10をガス管90から脱着することができる。なお、磁力切替部15の構成は、前述したものに限るものではなく、図1(b)に示すレバー25の回動操作に応じて磁石16が消磁状態及び励起状態に切替可能であれば、いかなる構成でもよい。
【0025】
レバー25は、図1(a)、図1(b)、図1(c)に示すように、磁石16を励磁状態にする励磁位置と磁石16を消磁状態にする消磁位置との間を回動可能に構成されている。このため、レバー25の位置を励磁位置又は消磁位置のいずれかの位置にすることで、磁石16を励磁状態又は消磁状態にすることができる。
【0026】
このように構成された固定台10の上部に、板部材40及び押圧手段50からなる押し付け手段30が取り付けられている。板部材40は、平面視において長方形状であり、固定台10の上面10aを覆うように配置され、後端側が下方へ屈曲して後端側端部が固定台10の上面10aに当接する当接部41と、当接部41の上部に繋がって固定台10の上面10aに沿って延びる腕部42と、腕部42の先端部に繋がって下方に屈曲しさらに前側に屈曲して管路用台座80の端部上面81上に配置される押圧部43とを有してなる。
【0027】
板部材40は、その幅方向長さが固定台10のそれより長く、板部材40を固定台10上に設置した状態で板部材40の幅方向両端部が固定台10から突出するように配置される。この板部材40の幅方向長さは、管路用台座80の端部上面81と押圧部43との接触面積が最大になるように設計されている。なお、管路用台座80の端部上面81は円環状に形成され、管路用台座80がガス管90上に載置された状態で、略水平に延びるように構成されている。
【0028】
板部材40の当接部41の幅方向両側には、下方へ延びる一対の延長部41aが形成されている。この一対の延長部41a間の長さLは、固定台10の幅方向長さBより若干大きな寸法を有する。このため、当接部41の後端側端部を固定台10の上面10aに当接させると、延長部41aが固定台10の幅方向両側に配置されて、固定台10に対して板部材40の幅方向の位置決めをすることができる。なお、板部材40は板金を折り曲げ加工して形成される。
【0029】
押圧手段50は、固定台10の上面10aの中央部に螺着して上方へ延びて板部材40の腕部42を貫通する軸部51と、腕部42から上方へ延出する軸部51に螺合して軸部51に沿って移動可能なナット部(蝶ナット)55とを有してなる。軸部51の上側にはナット部55を螺合する雄ねじ部51aが形成され、軸部51の上端部にはドライバを挿入可能な溝部51bが形成されている。ナット部55には斜め上方へ延びるつまみ56が複数設けられて、ナット部55の回動操作を容易にしている。
【0030】
次に、ガス管90に穿孔・タップ立てを行う場合の管路用台座固定治具1の使用方法について説明する。先ず、図3(a)(断面図)に示すように、ガス管90の上側外周面90aが露出するまで掘削する。この場合には、ガス管90の埋設位置近傍までを掘削機等を用いた機械掘りで掘削し、その後、手掘りに切り換えて管路用台座80がガス管90の上側外周面90aに装着できる程度まで手掘り深さを調整しながら掘削する。
【0031】
手掘りによる掘削は、管路用台座80を装着可能な設置面積に対応するガス管90の外周面が露出した段階で完了される。このため、ガス管90の周辺部での掘削範囲は、ガス管90の上側外周面90aが露出するに必要な掘削範囲ですみ、ガス管90の下周面下方を掘削する際に必要とされていた作業者が入り込めるだけのスペースを設けることがなく、掘削範囲をきわめて小さくすることができる。
【0032】
ガス管90の上側外周面90aが露出すると、ガス管周面の被作業部分90bに管路用台座80を載置する。そして、図3(b)(断面図)に示すように、管路用台座80の一方側近傍のガス管周面に管路用台座固定治具1を吸着する。即ち、板部材40の押圧部43が管路用台座80の端部上面81上に位置するように固定台10をガス管90上に載置し、レバー25を励磁位置に回動して固定台10をガス管90に吸着する。
【0033】
そして、ナット部55を回して下方に移動させて、板部材40の押圧部43を管路用台座80の端部上面81に押し付けて管路用台座80の一方側をガス管90に固定する。
【0034】
そして、図3(c)(断面図)に示すように、管路用台座80の他方側近傍のガス管周面に管路用台座固定治具1を吸着する。即ち、板部材40の押圧部43が管路用台座80の端部上面81上に位置するように固定台10をガス管90上に載置し、レバー25を励磁位置に回動して固定台10をガス管90に吸着する。そして、ナット部55を回して下方に移動させて、板部材40の押圧部43を管路用台座80の端部上面81に押し付けて管路用台座80の他方側をガス管90に固定する。そして、管路用台座80に、穿孔機やタップ立て機の施工用機械を装着し、穿孔作業、タップ立て作業を行う。
【0035】
このように、本願発明の管路用台座固定治具1は、ガス管90上に載置された管路用台座80の近傍のガス管90上に吸着し、固定台10に設けられた板部材40及び押圧手段50によって管路用台座80をガス管90に押し付けて、管路用台座80をガス管90に固定するので、ガス管90の被作業位置90bの周辺のみを掘削すればよく、ガス管90の下側周辺を掘削する必要はない。このため、作業工数や作業時間が低減され、作業コストを安価にすることができる。また、管路用台座固定治具1の固定台10の底部は、図1(b)に示す逆V字状に配置された一対の当接面12を備えているので、径が異なるガス管90にも安定した状態で固定台10をガス管90に吸着することができる。このため、径の異なるガス管90に対応した既存の管路用台座80をそのまま使用し、この台座を本願発明の管路用台座固定治具1によってガス管90に固定することができる。その結果、管路用台座80に使用されていたアダプター、挿入装置等の工具はそのまま使用することができ、本願発明の管路用台座固定治具1のみを準備すればよく、初期投資を安くすることができる。
【0036】
なお、前述した実施例では、管路用台座固定治具1をガス管90の略真上に吸着した場合を示したが、図4(断面図)に示すように、ガス管90の側部において穿孔或いはタップ立ての作業を行う場合には、ガス管90の側部が露出するように掘削し、管路用台座固定治具1を鉛直線Vに対して斜めに傾けて(図面ではθ=約60°)ガス管90の側部に吸着することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる管路用台座固定治具を示し、同図(a)は管路用台座固定治具の一部を断面で示した側面図であり、同図(b)は管路用台座固定治具の正面図であり、同図(c)は管路用台座固定治具の平面図である。
【図2】この管路用台座固定治具の固定台の内部に設けられた磁力切替部を説明するための固定台の断面図を示す。
【図3】管路用台座固定治具の使用方法を説明するための断面図を示す。
【図4】管路用台座固定治具をガス管の側部に吸着した場合のガス管の断面図を示す。
【符号の説明】
【0038】
1 管路用台座固定治具
10 固定台
12 当接面
30 押し付け手段
40 板部材
41 当接部
42 腕部
43 押圧部
50 押圧手段
51 軸部
55 ナット部
80 管路用台座
81 端部上面
90 ガス管
90a 上側外周面
90b 被作業部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料で形成されたガス管の一部に穿孔或いはタップ立ての作業を行う装置を装着可能な管路用台座を前記ガス管に固定する管路用台座固定治具であって、
底部に逆V字状に配置された一対の当接面を有し、該一対の当接面が前記ガス管の上側外周面に当接して該ガス管上に載置可能であり、消磁状態及び励磁状態の切り替えが可能で励磁状態で前記ガス管に吸着可能な固定台と、
該固定台から突出して設けられ、先端側が少なくとも上下方向に移動自在であり、前記ガス管上に載置された前記管路用台座の近傍の前記ガス管に前記固定台が吸着した状態で、前記先端側が該管路用台座の端部上面上に延びる板部材と、
前記固定台に設けられ、前記管路用台座の端部上面上に延びる前記板部材の先端部を下方へ移動させて前記端部上面に押しつけて前記管路用台座を前記ガス管に固定する押圧手段と
を備えることを特徴とする管路用台座固定治具。
【請求項2】
前記板部材は、後端側が下方へ屈曲して後端側端部が前記固定台の上面に当接する当接部と、該当接部の上部に繋がって前記固定台の上面上を延びる腕部と、該腕部の先端部に繋がって前記管路用台座の端部上面上に配置される押圧部とを有し、
前記押圧手段は、前記固定台の上面に取り付けられて上方へ延びて前記板部材の前記腕部を挿通する軸部と、該腕部から上方へ延出する軸部に螺合して該軸部に沿って移動可能なナット部とを有し、
前記押圧部が前記管路用台座の端部上面上に位置した状態で前記ナット部を前記軸部に沿って下方に移動させると、前記当接部の先端部が前記固定台の上面に当接するとともにこの当接点を支点として前記板部材の先端側が下方へ移動して、前記押圧部が前記管路用台座の端部上面を下方へ押しつけることを特徴とする請求項1に記載の管路用台座固定治具。
【請求項3】
磁性材料で形成されたガス管の一部に穿孔或いはタップ立ての作業を行う装置を装着可能な管路用台座を前記ガス管に固定する際に用いられ、
底部に逆V字状に配置された一対の当接面を有し、該一対の当接面が前記ガス管の上側外周面に当接して該ガス管上に載置可能であり、消磁状態及び励磁状態の切り替えが可能で励磁状態で前記ガス管に吸着可能な固定台と、
該固定台から突出して設けられ、先端側が少なくとも上下方向に移動自在であり、前記ガス管上に載置された前記管路用台座の近傍のガス管に前記固定台を吸着した状態で、前記先端側が該管路用台座の端部上面に延びて該先端側を前記端部上面に押しつけて前記管路用台座を前記ガス管に固定する押し付け手段とを備える管路用台座固定治具の使用方法であって、
前記ガス管の被作業部分のみが外部に露出する状態に掘削し、
外部に露出したガス管周面の被作業部分に前記管路用台座を載置し、
該管路用台座の両側近傍のガス管周面に前記管路用台座固定治具を一対吸着し、
これら管路用台座固定治具の各押し付け手段によって、前記管路用台座の端部上面を下方へ押しつけて該管路用台座を前記ガス管に固定することを特徴とする管路用台座固定治具の使用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate