説明

箱の内装体及び箱

【課題】 商品に高級感を与えることができる内装体を、箱本体と同様に紙製で得る。
【解決手段】 底部8の1対の端縁10、12から外方に向かって斜め上方に伸延している端壁22、24が形成され、底部8の1対の側縁14、16から外方に向かって斜め上方に側壁26、28が伸延している。底部8、端壁22、24及び側壁26、28は、1枚の紙を端縁10、12及び側縁24、26に対応する折り曲げ線で谷折りして形成され、側縁10、12は、端縁10、12に垂直な線分18、20の内外に突出した部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば包装用に使用する箱の内部に配置する内装体及びこの内装体を使用した箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装用箱の内装材としては、例えば特許文献1に開示されているように、上部が開口した紙製の箱本体の内部に、布を内装材として敷設して、内装材にドレープが生じるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−302957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、内装材にドレープが生じた布を使用しているので、ドレープにより布の質感が立体的に強調されて、消費者に高級感を与えることができ、商品のイメージを高めることができる。しかし、箱本体が紙製であるのに、別の材料である布を内装材として使用しなければならず、その製造が面倒である。
【0005】
本発明は、包装品を贈り物として選ぶ送り手や、開梱した受取手に商品の高級感を与えることができる内装体を、箱本体と同様に紙製で得ることを目的とする。また、この内装体を使用した紙製の箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の内装体は、底部を有し、この底部はほぼ矩形に形成されている。この底部には、互いに平行な1対の端縁が設けられ、さらに、これら1対の端縁の対応する端同士を繋ぐ1対の側縁が設けられている。前記1対の端縁それぞれから外方に向かって斜め上方に1対の端壁が伸延している。前記1対の側縁それぞれから外方に向かって斜め上方に1対の側壁が伸延している。前記底部、前記1対の端壁及び1対の側壁は、1枚の紙を、前記1対の端縁及び前記1対の側縁に対応する折り曲げ線で谷折りして形成されている。さらに、前記1対の側縁は、前記底部に起伏を形成するために前記端縁に垂直な線分の内外いずれか一方に突出した部分を少なくとも一部に有している。突出部分は、側縁の一部、例えば中央部のみに設けることもできるし、側縁の全域にわたって内外に突出する波線状に形成することもできる。
【0007】
このように構成された内装体では、1対の側縁の少なくとも一部が突出部に形成されているので、この1対の側片に対応する折り曲げ線に沿って折曲げることにより、底部に起伏を形成することができ、紙製の内装体でありながら、高級感を演出することができる。さらに、1枚の紙によって内装体が構成されているので、紙の使用量を抑制することができる。
【0008】
前記1対の側壁それぞれの上縁から前記底部と反対側において下方に伸びた1対の起立壁を設けることができる。この場合、前記1対の側壁それぞれの上縁は、前記1対の側壁に起伏を形成するために前記端縁に垂直な線分の内外いずれか一方に突出した部分を少なくとも一部に有し、この上縁に対応する折り曲げ線で山折りされている。なお、突出した部分は、側縁の突出した部分と対応する位置に設けることもできる。
【0009】
このように構成すると、側壁にも起伏を構成することができ、底部の起伏と相まって、立体感を与えることができ、より高級感を演出することができる。
【0010】
さらに、前記1対の側壁それぞれの上縁の外側に1対の直線状の別の上縁を形成することができる。この場合、1対の別の上縁に対応する折り曲げ線で山折りされて、前記起立壁が形成されている。
【0011】
このように構成すると、起立壁を設けたことにより、側壁の強度を増すことができ、例えば箱本体内にこの内装体を配置し、内装体に接触するように商品を収容した場合に、商品が側壁に当たっても、側壁が不所望に撓むことを防止できる。さらに、1対の別の上縁に対応する折り曲げ線で折り曲げているので、箱本体内に内装体を収容したとき、内装体と箱本体の内面との間に、隙間が形成されることを防止できる。
【0012】
上記の内装体と、この内装体が内部に収容され、上部開口を有する紙製の箱本体と、この箱本体の前記上部開口を被蓋する紙製の蓋部材とを、有する箱とすることもできる。
【0013】
このように構成すると、箱の材料が全て紙であるので、コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、紙製でありながら、立体感のある内装体を得ることができるので、コストの低減を図りながら、包装品の送り手や受取手に商品の高級感を与えることができる。また、この内装体と紙製の箱と紙製の蓋部材とによって箱を構成することによって、コストの低減を図りながら、箱の内部に収容される商品に高級感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態の内装体の平面図、中央縦断正面図、中央縦断側面図である。
【図2】図1の内装体を作成するための内装体準備体の平面図である。
【図3】図1の内装体を箱本体内に装填した状態の斜視図である。
【図4】図1の内装体を箱本体内に装填した状態の平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の内装体を箱本体に装填した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施形態の内装体2は、図3に示すように、箱本体4内に配置されている紙、例えば段ボール紙製のものである。箱本体4は、1枚の紙、例えば段ボール紙を折り曲げて、上部が開口した直方体状に形成されている。この上部の開口を被蓋する蓋6も、1枚の紙、例えば段ボール紙を折り曲げて形成されている。
【0017】
内装体2は、図1(a)乃至(c)に示すように、底部8を有している。底部8は、概略直方体状に形成され、その両端に互いに平行に位置する1対の端縁10、12を有している。これら端縁10、12の互いに対応する端同士をつなぐように、1対の側縁14、16が設けられている。これら側縁14、16は、端縁10、12に対する垂線18、20の内外に位置する波線状に形成されている。即ち、側縁14、16は、それぞれ周期に対して振幅の小さい正弦波状に形成され、側縁14、16の中央部において底部8の外側に1周期分突出し、その両側においてそれぞれ底部8の内側に1周期分突出し、端縁10、12に最も近い部分でそれぞれ半周期分外側に突出している。側縁14、16は、底部8の中央を端縁10、12に対して垂直な線分(図示せず)を対称軸とする線対称に形成されている。この側縁14、16の内外への突出に対応して、図1(b)に示すように底部8には、端縁10、12間に緩やかな丸みのある起伏が形成されている。即ち、底部8の中央部が緩やかに隆起し、その両側において緩やかに陥没し、端縁10、12に近い部分で緩やかに隆起している。なお、図1(b)では、起伏を幾分誇張して描いている。
【0018】
端縁10、12に連ねて端壁22、24が形成されている。これら端壁22、24は、逆台形状に形成され、端縁22、24から外側に向かって斜め上方に伸延し、これらの上縁部の両端がそれぞれアール状に丸められている。
【0019】
側縁14、16に連ねて側壁26、28が形成されている。これら側壁26、28もほぼ逆台形状に形成され、側縁14、16から外側に斜め上方に伸延している。ただし、その両端は、端壁22、24の両側縁を超えて端壁22、24の上縁の位置付近まで伸びている。側壁26、28の上縁30、32も、側縁14、16と同様に、周期に対して振幅の小さい正弦波状に形成され、その中央部から底部8から見て外側に緩やかに突出し、その両側が底部8から見て内側に緩やかに突出し、端壁22、24に最も近い部分はほぼ直線状に形成されている。これによって、図1(c)に示すように中央部が底部8から見て外側に緩やかに突出し、その両側が底部8から見て内側に緩やかに突出した起伏状態に形成されている。なお、図1(c)でも起伏は幾分誇張して描いてある。
【0020】
側壁26、28の上縁30、32に連ねて上壁34、36が形成され、これら上壁34、36の外側の直線状の縁38、40に連ねて、底部8側に向かって直立壁38、40が形成されている。これら直立壁42、44によって、内装体2は自立している。
【0021】
この内装体2は、図2に示すように1枚の段ボール紙を裁断し内装体準備体2aを構成する。内装体準備体2aにおける内装体2の構成要素に相当する部分には、内装体2の構成要素に付した符号の末尾に符号aを付して、その説明を省略する。なお、符号46、48、50、52で示しているのは切り込み線で、端壁相当部22a、22bと側壁相当部26a、28aとを分離するためのものである。また、端縁相当部10a、12a、側縁相当部14a、16a、上縁30a、32a、直線状縁相当部38a、40aは、それぞれ折り曲げ線であり、折り曲げやすいように加工されている。
【0022】
この内装体準備体2aにおいて、端縁相当部10a、12aに沿って谷折りして、端壁22、4を立ち上げ、側縁相当部14a、16aに沿って谷折りして側壁26、28を立ち上げる。このとき、波線状の側縁相当部14a、16aに沿って折ることによって、底部8に起伏が形成される。同様に上縁30a、32aに沿って山折りすることによって側壁26、28にも起伏が形成される。そして、直線状縁38a、40aに沿って山折りすることによって、上壁34、36、起立壁42、44が形成される。これによって、内装体2が形成される。
【0023】
この内装体2を箱本体4内に収容する。このとき、図4に示すように上壁34、36が形成されているので、箱本体4の内面と内装体2との間に隙間が形成されず、両者は密着している。
【0024】
この内装体2では、段ボール紙のような紙製でありながら、その底部8及び側壁26、28に緩やかな丸みのある起伏が形成されているので、これら起伏部分に商品を収容することにより、商品により高級感を、この商品の送り手及び受取手に感じさせることができる。しかも、箱本体4、内装体2及び蓋8の全てが紙製であるので、処分がしやすい。
【0025】
第2の実施形態の内装体102を箱本体104に収容した状態を図5に示す。この内装体102は、大型の箱本体104に対応するもので、底部108の中央部に商品を区分けするための仕切り150が底部108を切り起こすことによって構成されている。他の構成は、第1の実施形態の内装体2と同様であるので、対応する部分には、その符号に100を加算した値の符号を付してその説明を省略する。ただし、側縁120及び上縁132は、その中央部のみを底部108から見て内側に突出させてある。
【0026】
上記の第1の実施形態では、側縁14、16全域を、線分18、20の内外に突出する波線状に形成したが、例えば中央部のみを内側または外側に突出させるように構成することもできるし、中央部を内側または外側に突出させ、その両側を中央部とは反対方向に突出させ、残りの部分を直線状に構成することもできる。また、場合によっては、上縁30、32を直線状に形成し、底部8のみに起伏を形成するようにすることもできる。起立壁42、44を設けたが、場合によっては不要である。上記の実施形態では、箱本体2が長手の直方体状であるので、内装体2もそれに併せてやや細長い形状としたが、箱本体が例えばその開口が正方形状の場合には、それに応じた形状とすることができる。
【符号の説明】
【0027】
2 内装体
4 箱本体
6 蓋
8 底部
10 12 端縁
14 16 側縁
22 24 端壁
26 28 側壁
30 32 側壁の上縁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ矩形に形成され、互いに平行な1対の端縁と、これら1対の端縁の対応する端同士を繋ぐ1対の側縁を有している底部と、
前記1対の端縁それぞれから外方に向かって斜め上方に伸延している1対の端壁と、
前記1対の側縁それぞれから外方に向かって斜め上方に伸延している1対の側壁とを、
有し、前記底部、前記1対の端壁及び1対の側壁は、1枚の紙を前記1対の端縁及び前記1対の側縁に対応する折り曲げ線で谷折りして形成され、前記1対の側縁は、前記底部に起伏を形成するために前記端縁に垂直な線分の内外いずれか一方に突出した部分を少なくとも一部に有する箱の内装体。
【請求項2】
請求項1記載の箱の内装体において,前記1対の側壁それぞれの上縁から前記底部と反対側において下方に伸びた1対の起立壁を有し、前記1対の側壁それぞれの上縁は、前記1対の側壁に起伏を形成するために前記端縁に垂直な線分の内外いずれか一方に突出した部分を少なくとも一部に有し、この上縁に対応する折り曲げ線で山折りされている箱の内装体。
【請求項3】
請求項2記載の箱の内装体において、前記1対の側壁それぞれの上縁の外側に1対の直線状の別の上縁が形成され、この1対の別の上縁に対応する折り曲げ線で山折りされて、前記起立壁が形成されている箱の内装体。
【請求項4】
請求項3記載の箱の内装体と、
この箱の内装体が内部に収容され、上部開口を有する紙製の箱本体と、
この箱本体の前記上部開口を被蓋する紙製の蓋部材とを、
有し、前記箱の内装体の前記1対の側壁それぞれの別の上縁が、前記箱本体の1対の側壁それぞれの内面に接触し、前記箱の内装体の1対の端壁の上縁が、前記箱本体の1対の端壁の内面それぞれに接触している箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−265021(P2010−265021A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119735(P2009−119735)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000229519)日本ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】