説明

節水のための施設、装置および方法

水を節約するための施設、装置および方法。
温水回路および冷水回路ならびに両方の回路のための少なくとも1つの共通の水分配点を備えるタイプの流水を消費する施設であって、冷水回路が、温水回路より低い圧力で動作することと、温水回路および冷水回路のための共通の水分配点の所に配置され、ユーザが作動させることができ、温水回路からの水が水分配点を経由して冷水回路へ通過することを可能にする制御要素を備える少なくとも1つの装置と、好ましくは感温手段を用いて両方の回路が連通している時間を決定する装置と、冷水回路内に設置された、温水回路から得られる水量を放出するための手段を特徴とする流水を消費する施設。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、節水のための施設、装置および方法を開示するためのものである。
【0002】
本発明は、特に、温水および冷水回路ならびにその両方のための共通の分配点を備える流水を消費する施設(既設および新設両方のビルで)において水の節約および快適さを増すためのものである。
【背景技術】
【0003】
このタイプの施設は、例えば近代的な住宅で見られ、現在ことごとく衛生上の目的で温水を備えている。
【0004】
これら施設では、ユーザが、通常は蛇口である分配点に温水を求めるとき、この水分配点を経由して出てくる水の温度が所要の温度に達する前に特定の時間が経過することになる。これは、冷水との接触は常に刺激となり、特に乳児および幼児の場合においてそうであるので不都合である。したがって水は、常に、ユーザが要求する温度に達するまでその分配点から流れるに任される。これは、水の節約が当局にとって主な関心事であるときに不必要な水の浪費を必要とする。
従来技術は、この問題を解決するために様々な解決策を提案しているがいくらかの欠点を示している。
【0005】
米国特許第6098213号および米国特許第4924536号が同じ目的のための省エネルギー装置および流水施設を開示しており、その中で、所要温度に達していない温水は水洗トイレ用タンクのための特定の補助的な充填回路に迂回させられる。
【0006】
これらの施設は、各水分配点から水洗トイレのタンクまで特定のパイプ施設の配置を必要とし、これは不都合である。さらに前記文献で開示された装置は、その取り付けに特定の場所が必要になり、既設の蛇口に適用するには困難が伴う。さらにタンクへ迂回する水からのエネルギーを利用することがない。
【0007】
カナダ特許出願CA2252350が、所要温度に達しない温水を冷水回路内の中間タンクに迂回させる水消費施設を開示しており、その施設は、各水分配点から中間タンクまでの長いパイプの設置も必要としており既設施設への適用を難しくしている。一方、冷水回路で十分は水圧を得るには中間タンクを非常に高い位置に配置する必要があり、タンクに送られる温水からのエネルギーを利用することがない。
【特許文献1】米国特許第6098213号
【特許文献2】米国特許第4924536号
【特許文献3】カナダ特許出願CA2252350
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、下記の目的を有する
ユーザに冷水を接触させることなく温水を供給すること、
水およびエネルギーの実質的な節約を同時に達成すること、
前記不具合を引き起こすことなく現行の環境政策に貢献すること
である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このすべては、得られる節約および利便性に比較して投資が最小であり、既設施設への適用が容易な手段を用いて達成される。
【0010】
これら目的を達成するために本発明は、流水を消費する施設において、温水を消費する前のある時間内に水分配点を経由して水を温水回路から冷水回路に移送し、その移送の終りに温水回路からの水が水分配点で所要の温度を有するようにする、冷水および温水回路ならびに少なくとも1つの共通の水分配点を備えるタイプの水を節約するための方法からなる。このようにすると施設の利便性を向上することが可能である。冷水回路に移送された水は、引き続いて利用することができ、こうしてかなりのエネルギーの節約が達成される。水分配点を経由して水を移送すれば、この水を利用することに特化したパイプの用意が不要になる。
【0011】
冷水回路へ移送された水を引き続き利用すると、中間貯蔵設備を備えることができ、その貯蔵された水を施設そのものを介して引き続き施設の水分配点へ移送することができる。
【0012】
その方法は、水を冷水回路から施設の温水回路内に配置された温水発生器の上流の水施設内にある1点へ移送することを含むことが好ましい。
【0013】
この構成は、中間貯蔵設備が廃止されるという利点を可能にする。さらに、この好ましい実施形態により、所要温度に達していない温水の発生器を用いて温水からのエネルギーのより良い利用を達成することが可能である。
【0014】
同様に、本発明は、温水回路および冷水回路ならびに両方の回路のための少なくとも1つの共通の水分配点を備えるタイプの流水を消費する施設から成り、
冷水回路が、温水回路より低い圧力で動作することと、
温水回路および冷水回路のための共通の水分配点に設置され、ユーザが作動させることができ、水が温水回路から水分配点を経由して冷水回路へ通過することを可能にする制御要素および好ましくは感温手段を介して両方の回路が連通している時間を決定する装置を備える少なくとも1つの装置と、
冷水回路内に設置された、温水回路から得られる水量を放出するための手段
を特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい実施例は、中間タンク内の水を再使用するための供給手段を特徴とする。
【0016】
好ましい実施形態では、施設で消費が行われるとき中間タンクからの水をその施設を介して再使用することを可能にし、消費するために貯蔵水を水分配点で水回路に戻させる手段が提供されている。
【0017】
放出手段は、水を冷水回路へ取り入れるのを停止し、放出機構を開くための装置および冷水回路の圧力に感応する手段を備えることが好ましい。
【0018】
前記放出の手段は、放出機構を開き、冷水回路を閉じるための前記装置の開閉時間を調整する時間感応式手段を備えることが好ましい。
【0019】
施設の温水回路から得られる水量を放出する手段は、施設の温水発生器の上流にある施設の1点で冷水回路からの水を、中間で貯蔵することなく移送するための手段を備えることがさらに好ましい。
【0020】
この構成のおかげで前記タンクを省くことが可能であり、省スペースならびに施設を設けるコストの削減が達成される。
【0021】
好ましい実施形態では、水を冷水回路から温水回路へ移送するための前記手段はポンプおよび保持弁を備える。
【0022】
水分配点に設置される水を節約するための装置は、感温手段を欠く、冷水回路を温水回路に連結する知られたタイプの手動弁として構成することができ、ユーザがその2つの回路に対する連結時間および水分配点での水の温度が所要温度に達しているか決定することになる。
【0023】
このようにすると、施設における投資のコストに関してさらなる節約を達成することが可能である。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態では、時間感応式手段は、据え付け中にその作動時間が決定されるタイマを備える。
【0025】
好ましい実施形態は、水放出機構が運転動作中、前記水再利用の手段を不活性にさせる手段を備えることを特徴とする。
【0026】
同様に、水分配点の所に設置される前記装置の好ましい実施形態は、市場で知られている蛇口に連結することが可能であることを特徴とする。
【0027】
温水回路と冷水回路の間の連通時間は、感温手段によって決定することができ、または固定することができ、装置の据え付け中に調整される。
【0028】
同じように、既設の施設へ容易に適用することができる節約の手段を開示するという目的を達成するために、本発明は、本発明による施設または方法の実現化において、ユーザおよびそれを用いることによってその動作点を決めることができる感温手段によって作動させられる制御装置を含む、温水回路および冷水回路のための共通の水分配点用の蛇口に接続することができるタイプのエネルギーを節約するための装置も備え、その装置が、
蛇口からの放出口に連結することができる本体と、
蛇口から得られる水が消費に向かって通過するための貫通開口と、
前記貫通開口のためのブロック要素と、
ブロック要素の動作を引き起こす手段およびその後の貫通開口のブロックを解除する手段と、
前記感温手段の機能として、前記ブロッキング要素の前記動作を制御するための手段を備えることを特徴とする。
【0029】
前記感温手段は感熱ばねを備えることができる。
ブロッキング要素の動作を引き起こすための前記手段はばねを備えることができる。
【0030】
前記ブロック装置を制御するための前記手段は、ブロッキング要素の動作を引き起こすための前記手段のばねが与える力への抵抗力を与える能力がある、解放可能な戻り止め手段を伴う機構を備えることができる。
【0031】
前記ユーザが制御する要素は、ユーザが装置を水の通過がブロックされ、前記戻り止め手段がブロッキング機構の動作をブロックする位置に配置させることを可能にするようなものとすることができる。
【0032】
装置は、その水の放出口にフィルタを組み込むことができる。
戻り止め手段は、一片の可変部分であって、その動作が感熱戻り止め手段によって制御され、その可変部分片の動作が、その順番においてその中に前記可変部分が導入される、ランナを備える部品の動作を引き起こし、前記片が前記ブロッキング要素のための戻り止め手段を提供する一片の可変部分、ならびに可変部分の前記ランナの端部の1つへの接触を確実にする弾性の復帰手段を備えることができる。
【0033】
制御要素は、ブロッキング要素の動作を引き起こすための手段の戻り止め手段を押し、前記弾性力をブロックするその元の位置への戻り止め装置の自動リセットを可能にする作動可能なボタンから構成することができる。
【0034】
こうすれば顧客は、温水を必要とするとき先ず装置の制御要素を作動させて蛇口を開く。それに応じて節約装置が、蛇口からの水の流出を水が所要温度に達するまでブロックし、その瞬間に感熱戻り止め手段が伸びてプラグを作動させ、それがランナを伴う部品を作動させ、その動作がブロック機構を解放して弾性の手段が装置の貫通開口を開くことを可能にし、これが、水が消費のために通過することを可能にする。その間に装置が閉じたままになっている期間中、水は、水を節約するために温水回路から冷水回路に流れる。
本発明の好ましい実施形態をより良く理解するために、説明を目的として、ただし制約としてではなくここに図面が添付される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、図1に示す具体的な事例で、図1に見ることができるようにこの場合遮断キー19およびシステム用の圧力調整器20を提示する第1の共通の部分1、ボイラ・システム22を伴う温水回路2、冷水回路3、およびこの場合温水および冷水用の蛇口である少なくとも1つの水分配点4から成る住宅の知られているタイプの流水施設に相当する、知られている流水消費施設に基づいている。
【0036】
本発明の一特徴として、蛇口4はユーザが作動させることができる装置5を備えている。図2に示す例では、ばねを備えるボタン6で装置を作動させる。
【0037】
本発明による施設は、冷水回路3が温水回路2よりも低い圧力で動作することも特徴とする。図1に示す具体的な実施形態ではこれは冷水回路3の出発点に設置された圧力調整器7によって達成される。同様な特徴として冷水回路3は、装置5を経由して来ることもある水量を放出するための手段(図1で符号8によって参照される)を保有する。前記装置は、装置5が温水回路2から得られる水量が冷水回路3に入ることを可能にするときにその装置を動作状態にセットするための手段を備えていなくてはならない。ここに示す例では、装置8を同時に開き、冷水の回路3への流入を閉じる2つの電気弁9、9’を用いてこれが実現され、前記弁9、9’は圧力スイッチのような感圧機構10によって制御される。
【0038】
好ましい一方式では、本発明は、中間タンク11を含むように放出装置に備えをする。ここに示す例では、中間タンク11は、またレベル指示器15を保有して装置11の充填が過剰であるか、あるいは不足しているのか示す。住宅で使用するための前記タンク11の容量は大体50リットルであるのが一般的である。
【0039】
好ましい一方式でも本発明は、中間タンク11に貯蔵される水が水を消費する施設そのものを経由し、図1において符号12で参照され、中間タンクを水施設へ連結している装置を用いて回復されるべく備えをしている。ここに示す例では、装置12は、圧力スイッチ14によって制御される、水をタンク11から回路3に汲み出すためのポンプ13を備える。再利用装置12は、水回復装置を経由してタンクが満たされるのを防止する逆止め弁16を同じように備える。ここに示す例では、また放出装置8と再使用装置12の間で完全な協調を取るために施設内にタイマ17およびリレー18が設けられている。
【0040】
本発明による方法は、その方法が温水回路2から得られる水を、温水を消費する前に冷水回路3に移送し、続いて冷水回路3に移送された水量を回復するステップを備えることを特徴とする。前記回復は、貯蔵の仕組みおよびそれに続く、水回路を経由する施設の水分配点への移送を含むことが望ましい。
【0041】
以下詳細に説明するように、図1に示される例の施設は、温水回路2から得られる水を冷水回路3に移送するステップを、水分配点に設置されている節約器装置5を使用して(ならびに回路2および3の間の圧力差を用いて)実行し、貯蔵は放出装置8を作動させ、かつ再使用装置12による貯蔵された水の前記移送を達成することによって実現される。
【0042】
温水を必要とするとき、ユーザは、ここに示す例ではボタン6を押すことによって実現される装置5を作動させる。装置5は、装置5の感温機構によってセットされた時間中、温水回路2から冷水回路3への通過を可能にする。
【0043】
例に示す放出装置8の機能は、下記の通り:温水回路2が冷水回路3に連通しているとき冷水回路3の圧力が増加させられる。この圧力の増加は、圧力スイッチ10を作動させ、それがタイマ17を経由して放出装置8を作動させ、中間タンク11への引き入れ口の電気弁9を開き、水を冷水回路3に流すようにするための電気弁9’を閉じる。さらに放出装置8のリレー18を手段として再使用のための手段12が絶たれ、圧力スイッチ14からの信号を遮断する。この回路状況はタイマ17によって決められる期間保持される。タイマによって決められる時間は、固定することができ、例えば回路2および3を据え付ける最中に、その決められた時間が、温水回路2から得られる水が最も遠い水分配点で所要温度に達するのにかかる時間より長くなるように決められる。一変形形態として、この状況の持続期間を、感温機構または水回路の所定の点の圧力(ボタン6の位置を含む)に依存させることが可能である。
【0044】
再使用装置12の機能は下記の通り:水分配点4を経由して回路3から冷水が必要とされるときには蛇口4を開いて回路3の圧力を下げ、それが圧力スイッチ14を作動させる。圧力スイッチ14から得られる信号は、動作するようにポンプ13をセットさせ、それが水をタンク11から冷水回路3に送り込む。蛇口4が閉じられると、ポンプ13が回路3内の圧力を上げ、それが圧力スイッチ14から得られる信号をポンプ13に対して生成する。圧力スイッチ14の圧力レベルは圧力スイッチ10のそれより低くなくてはならない。他の好ましい実施形態では、やはり中間タンク11のレベル15から得られる信号が、タンク11が所要のある特定のレベルを有しない場合にはポンプ13の機能を防止するような方式でポンプ13の機能を管理する。
【0045】
図2の好ましい実施形態は住宅で使用されるタイプの流水施設である。施設は、図1に示される例のようにその施設のための遮断キー19および圧力調整器20を提示する第1の共通部分1、ボイラ・システム22を伴う温水回路2、冷水回路3ならびにこの場合は温水および冷水のための蛇口である少なくとも1つの水分配点4から成る。蛇口4は、図1に対する記述で説明したように、ユーザが作動させることができ、温水回路2と冷水回路3を連通させる装置5を備えている。温水回路2は冷水回路2よりも大きな圧力で動作する。例では、これは冷水回路3の始まりに設置される圧力調整器7によって実現される。
【0046】
ここに示される例は、図1に示すように冷水回路に設置される弁9’および圧力スイッチ10を備える。
【0047】
本実施形態に特徴的な方式では、放出手段8が冷水回路3を温水発生器またはボイラ22の上流にある施設の1点に連結するが、その連結はこの例では、図1で水を中間タンクから汲み出すのに使用するポンプと同様の特性とすることができるポンプ13および逆止め弁23を用いて実現される。
【0048】
圧力スイッチ10は、リレー24によって弁9およびポンプ13の機能を管理する。
【0049】
制御ボタン6によって装置5が作動させられると温水回路2と冷水回路3が連結され、それが冷水回路3内の圧力の増加を引き起こす。圧力を上げるために、圧力スイッチ10はリレー24を接続し、それが弁9’を閉じ、ポンプ13を動作するようにセットする。水分配点4での水の温度が所要値であるときには温と冷水回路は連結を絶たれたままになる。ポンプ13の動作が圧力を圧力スイッチ10に対するアラーム・レベルより下に減少させ、それがポンプ13を停止させ弁9’を開く。
【0050】
放出の手段8をボイラ22の上流にある点に連結させることによって図1に示す中間貯蔵装置をなくすことが可能である。これが施設を簡素化し、コストを削減し、スペースを節約する。
【0051】
与えられた他の実施形態(図示せず)は、装置5を、知られているタイプの、温水回路2と冷水回路3を連結する手動作動弁に換えて成り、感温手段をなくしており、施設の温度がいつ所要値に達したか決定しなくてはならないのはユーザである。
【0052】
このようにすれば投資コストも下がる。この改善は、ユーザのための利便性に関して一定の低減を伴うことは事実だが、特定のタイプの施設、例えばセカンド・ホームのような消費指数が低い施設ではそれが不都合にはなり得ない。
【0053】
図3は、装置5の一具体的実施形態を示す。この具体的な実施形態では、装置5は、標準化されたコネクタまたは連結装置(connection)29、29’を用いて市販品のなかの任意の蛇口4に連結することができる。接合部は装飾カバー21で覆われ、そこからは本例の場合、ばねによって作動させられるボタンから成る制御要素6だけが突き出している。ボタン6が作動させられた場合、装置5は、感熱ばねのような、備えられた感温手段によって決められる期間中、温水回路および冷水回路を作動させる。温水回路2から得られる水が所要の温度に達すると装置は、温水回路2と冷水回路3の間の連通を停止させ水が水分配点4を経由して流れ出ることを可能にする。ここに示す具体的な実施形態の場合、温水が所要の温度に達するとボタン6は再度その元の位置に戻り、ユーザに温水の利用が可能であることを示す。住宅における水消費施設のための所要温度の値は一般的に38℃である。
【0054】
図5から7に蛇口31が示されているが、その蛇口には蛇口の放出口に本発明による節水装置5が連結されている。単に蛇口がその放出口の所に有するフィルタを装置5に換えることによって、施設に今ある蛇口に装置を連結することができ、したがって家庭内の流水施設の本発明による節水施設への変換を容易にしている。
【0055】
装置5の構成物および機能を図6および7を参照して以下に説明する。これらの図で、本発明の目的である部分を装置5を通して見ることができるが、その中にその別個の要素を識別することができる。前記装置5は、例えば蛇口からの放出口フィルタ用に設けられたねじ山を使用して蛇口31にねじ止めすることができる本体を備え、ブロック機構(この機構はブロック要素39およびブロック要素39に貫通開口40をブロックさせる力を与えるばね36を備える)によって閉鎖することができる水が通過するための貫通開口40を備える。ブロック要素39の動作は、戻り止め手段片42を備える戻り止め手段要素によって止められるが、その戻り止め手段片は、その動作が感熱ばね37の伸張によって管理される可変部分の要素つまり楔43がその中に導入されるランナを備える。復帰ばね41は、戻り止め片42に弾性動作を及ぼし、それが楔43が常に開口つまり片42のランナの上側端部に接触することを確実にし、このようにして戻り止め手段片42が垂直方向の上下運動をもって片43の水平運動に応答することを確実にすることができる。装置5は、ここに示す例のように水放出口の所にフィルタ34を備えることもできる。
【0056】
その装置の機能は下記の通りである。図6に示されている貫通開口40がブロックされている状態から始めて、ユーザは、温水回路および冷水回路から蛇口31への引き入れ口を同時に開く。これは、今知られている蛇口の制御機構による簡単な方式で行うことができる。この位置では、開口40を開くように働くばね36の力は、ばね41によって下向きに押される戻り止め手段42によりキャンセルされる。
【0057】
水の温度が、図7に示されるように所定のレベルに達すると、感熱ばね37が伸張して楔43の動作を引き起こし、それが片42を持ち上げさせ、それと共に戻り止め手段の効力が消失し、ばね36がブロック要素39を移動させ、開口40のブロックを解除して温水の噴流35が装置5のフィルタ34を経由して蛇口から出現することを可能にする。機構による温度変化への応答をより良くするために感熱ばねは、プローブ38の延長部、例えば蛇口31内部に導入されている熱伝導性材料の細片またはワイヤを組み込むことができる。
【0058】
図7の位置から始めて、ユーザが一度蛇口31を閉めてしまった場合、ユーザは、希望すれば制御装置またはボタン33を押して装置5を図6の節水位置に戻すことができ、それによって装置5は再度使用に応じられるようになる。
【0059】
図1に示す例には本発明の範囲に含まれる数多くの変形形態が存在する。したがって放出手段8は、例えばタンク11からの汲み出しポンプ(その機能は、ここに示された例で弁9が制御される方法と同様な方式をもって圧力スイッチ10で管理される)を含むことができる。このようにすれば温水回路2から冷水回路3への水のより速い移送速度を達成することができる。タンク11を空にするためのポンプ13をこの目的に使用することも可能である。この場合、水分配点4でそれぞれ温水が要求されるのか冷水が要求されるのかに依存してポンプ13が中間タンク13を満たすかまたはそれを空にするような方法で、圧力スイッチ10および14によって制御される電気弁のシステムがポンプ13の引き入れ口および放出口に取り付けられる。他の変形形態では、施設は、スイッチ10および14を同じ装置で提示することもあり、一方同じように弁9および9’は同じ機能を実行する三方弁に置き換えることができる。ここに示された例においてタイマ17によって決められた時間は、その代わりに、その間で放出装置8が作動させられ、再使用装置12が作動を停止させられる時間が温水回路2と冷水回路3の間の連通時間に一致するように、装置5の機能あるいは冷水回路3内の1点での圧力または温度によって決めることができる。その他の実施形態は、リレー18不付きのこともあり、タイマ17を含む。他に考え得る変形形態では、再使用装置12を中間タンク11と温水回路2への取り入れ口の間に連結する構成とする。例えば再使用装置12を不付きとするか中間タンク11を含むことも可能である。この場合、放出装置8を1つのオール・オア・ナッシング圧力制御開弁に、その弁が冷水回路3の圧力が温水回路2の圧力にまで下がったときに開いて水を他方の回路または用途に再使用させるようにして縮小することができる。一方、本発明は、図に示される個々の施設に限定されるものではなく、その施設は、例えば、住宅で集中衛生温水システムを有する施設に適用することができ、またはビルディングで温水および冷水のための集中回路を伴う施設を含む。
【0060】
図2の例には本発明の範囲に含まれる数多くの変形形態が存在する。例えば一代替実施形態では、弁9’の機能を調整器7によって実現することができない場合にはこの弁を逆止め弁で置き換えることによって省略することができる。このようにすると圧力スイッチ10からの信号を直接ポンプ13に接続することが可能である。当業者ならばここに開示された実施形態の複数の組合せをも思い付かれよう。
【0061】
同じように水分配点に設置されている装置5は、温水のための所要温度を調整するためにその他の知られているタイプの制御要素を備えることが可能である。それがここに示されたものとは別の構成を有すること、具体的にはそれが一体化され蛇口31、4とのアセンブリを形成することも可能である。その他の知られたタイプの可視または可聴信号を生成して、水分配点4での温度が所要温度に達したことをユーザに知らせることも可能である。
【0062】
制御要素6は、それを非稼動にするためにスロットまたはフランジ(図示せず)を備えることも可能であり、その場合装置22を図7の位置に戻すために装置5を手動で押して開口40のブロックを解除する。水の温度を調整可能な方式で決定することを可能にするために或る機構を組み込み、装置が開くように感熱ばね37を伸張させることも可能である。これは、例えば感熱ばね37にねじりを引き起こす、装置内にある回転片を用いて、またはその他の知られている手段によって達成することができる。ここに示された要素と同様な電子的な同等物を含むこと、例えば感温ばねをサーモスタットに置き換え、電気弁または同等物を手段とするなどサーモスタットの信号を用いて戻り止め手段システムを作動させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による流水を消費する施設の線図である。
【図2】流水施設の線図である。
【図3】温水および冷水用の蛇口に連結された、本発明による節水装置の側面図である。
【図4】節水装置の内部要素ならびにその水回路および蛇口への連結を見ることができる、図3の装置の平面図である。
【図5】本発明による装置を備える家庭用蛇口の透視図である。
【図6】蛇口からの水の流出をブロックする機構を伴う装置の内部要素を上から見た図である。
【図7】感熱戻り止め手段が装置を開き、蛇口からの水の流出を解放している位置にある図6に対応する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水回路および冷水回路ならびに両方の回路に共通の少なくとも1つの水分配点を備えるタイプの流水を消費する施設において、
前記冷水回路が、前記温水回路より低い圧力で動作すること、
前記温水回路および冷水回路のための共通の水分配点の所に位置する少なくとも1つの装置であって、ユーザが作動させることができ、水が前記温水回路から前記水分配点を経由して前記冷水回路へ通過することを可能にする制御要素を備えた装置、および
前記冷水回路内に設置され、前記温水回路から得られる水量を放出するための手段
を特徴とする施設。
【請求項2】
共通の水分配点の所に設置された前記装置が、感温手段を介して前記2つの回路が連通状態にある時間を決定することを特徴とする請求項1に記載の施設。
【請求項3】
前記温水回路と前記冷水回路の間の圧力差が、前記冷水回路に設置された圧力調整器によってもたらされることを特徴とする請求項1または2に記載の施設。
【請求項4】
前記放出の手段が、冷水の前記冷水回路への取り込みを遮断し、前記放出機構を開くための装置および前記冷水回路の圧力に感応する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の施設。
【請求項5】
前記放出手段が、前記放出機構を開き、前記冷水回路を閉じるために前記装置を開閉する時間を調整する時間感応式手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の施設。
【請求項6】
前記時間感応式手段がタイマを備え、前記タイマの作動時間が据え付け中に決められることを特徴とする請求項5に記載の施設。
【請求項7】
前記温水回路および冷水回路に共通の水分配点の所に設置された前記装置の温度に感応する前記手段が、感熱ばねを備えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の施設。
【請求項8】
前記温水回路および冷水回路に共通の水分配点の所に設置された前記装置が、前記装置を市場で知られている蛇口に連結することを可能にする連結装置を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の施設。
【請求項9】
前記温水回路から得られた水量を放出するための前記手段が、前記温水回路から得られた水量を再び前記施設へ送り返すためのポンプおよび前記ポンプの始動および停止を管理するための感圧手段を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の施設。
【請求項10】
前記施設の前記温水回路から得られる水量を放出する前記手段が、水を前記冷水回路から前記施設の前記温水回路内に設置された温水発生器の上流にある前記施設の1点に移送するための手段を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の施設。
【請求項11】
前記水を移送するための前記手段が、ポンプ、逆止め弁、および前記ポンプの機能または停止を決定する、前記冷水回路の圧力に感応する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の施設。
【請求項12】
前記温水回路から得られる水量を放出するために前記冷水回路内に設置された前記手段が、中間貯蔵タンクを備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の施設。
【請求項13】
前記タンクが、少なくとも充填の低レベルを検出するための検出器を備え、前記タンクの容量が大体50リットルであることを特徴とする請求項12に記載の施設。
【請求項14】
前記施設が、前記中間タンクを前記冷水回路に連結する再使用のための手段を備えることを特徴とする請求項12または13に記載の施設。
【請求項15】
前記タンク内のレベルに感応し、前記タンクが所要の安全レベルにまで満たされていない場合には前記ポンプの始動を妨げる手段を有することを特徴とする請求項14に記載の施設。
【請求項16】
前記水放出機構が運転動作中である場合には前記水再利用機構の動作を妨げる手段を有することを特徴とする請求項14または15に記載の施設。
【請求項17】
前記再利用機構の動作を妨げる前記手段が、リレーを備えることを特徴とする請求項16に記載の施設。
【請求項18】
温水を消費する前のある時間内に水分配点を介して前記温水回路の温水を前記冷水回路に移送し、前記移送の終りに温水回路からの水が水分配点で消費のための所要の温度を有するようにし、続いて前記冷水回路へ移送される水量を供給する、温水回路および冷水回路ならびに少なくとも1つの共通の水分配点を備えるタイプの流水を消費する施設において水を節約するための方法。
【請求項19】
前記回路へ移送される前記水の供給が、中間貯蔵およびそれに続く前記水回路を経由する、前記施設の水分配点への移送の工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
水を前記冷水回路から、前記施設の前記温水回路内に設置された温水発生器の上流にある前記施設の1点へ移送することを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
ユーザが作動させることができる制御要素および感温手段を備え、前記感温手段によってその動作位置を決めることができ、温水回路および冷水回路に共通の水放出点のための蛇口に連結できるタイプの請求項1乃至17のいずれか1項に記載する施設を実現し、請求項18乃至20のいずれか1項に記載の方法を実現するためのエネルギーを節約するための装置であって、
前記蛇口からの出力口に連結することができる本体要素と、
前記蛇口から消費へ向かう水のための貫通開口と、
前記貫通開口のためのブロック要素と、
前記貫通開口の前記ブロック要素の動作を引き起こし、続いて前記貫通開口を解放するための手段と、
前記感温手段の機能として前記ブロック要素の前記動作を制御するための手段
を備えることを特徴とする装置。
【請求項22】
前記感温手段が感熱ばねを備えることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ブロック要素の動作を引き起こすための前記手段が、ばねを備えることを特徴とする請求項21または22に記載の装置。
【請求項24】
前記ブロック要素の前記動作を制御する前記手段が、前記ばねによって前記ブロック要素の前記動作を引き起こすための前記手段に与えられる力への抵抗力を与えることが可能な、解放可能な戻り止め手段を備えることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記ユーザが制御する要素が、ユーザが前記装置を水の通過がブロックされ、前記戻り止め手段が前記ブロック機構の動作をブロックする位置に位置させることを可能にすることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記水の放出口の所でフィルタを組み込むことを特徴とする請求項21乃至25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記戻り止め手段の機構が、一片の可変部分であって、前記可変部分の動作が前記感熱ばねによって管理されて前記可変部分片およびランナを備える一片の動作を引き起こし、前記ランナ内に前記可変部分が導入され、前記片が前記ブロック機構に戻り止め動作をもたらす一片の可変部分、ならびに前記可変部分要素の前記ランナの端部の1つへの接触を確実にする弾性の復帰手段を備えることを特徴とする請求項24乃至26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記制御要素が、作動させることができ、前記戻り止め手段機構の動作を前記弾性力をブロックする位置にするボタンから成ることを特徴とする請求項25乃至27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記制御要素が、前記装置を手動で押して前記貫通開口のブロックを解除するために溝またはフランジを伴うことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記感温手段が、前記蛇口の内部に導入される、プローブの延長部を備えることを特徴とする請求項21乃至29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記感温手段が前記貫通開口の解放をもたらす温度を、調整可能な方式で決定する機構を備えることを特徴とする請求項21乃至30のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−502870(P2008−502870A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515972(P2007−515972)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/ES2005/000333
【国際公開番号】WO2005/124036
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506417245)
【Fターム(参考)】