説明

簡易便器

【課題】 十分な強度を有し、かつ組み立て形状もコンパクトな簡易便器を提供する。
【解決手段】 四角環状に成形された板紙製の外側環状体4と、外側環状体4内に配設され、互いに平行かつ外側環状体4の対向壁41,42に平行に延びて両端が、外側環状体4の、対向壁43,44の内側面にそれぞれ接合された板紙製の仕切壁51,52とを備える。延出片511,521を対向壁41,42との間の空間S1,S2内へ折り曲げるとともに延出片411,421を延出片511,521を覆うように折り曲げて支持部を形成し、延出片431,441を左右の仕切壁51,52の間の空間S3内へ折り曲げるとともに延出片432,442を各仕切壁51,52と対向壁41,42との間の空間S1,S2内へ折り曲げて連結壁を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は簡易便器に関し、特に紙製で折畳み可能な簡易便器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の簡易便器としては特許文献1に示されたものがある。これは一枚の板紙を打ち抜き成形したもので、組み立てる場合には全体を起立した筒状に折り曲げて胴体部とするとともに、当該胴体部の上端に形成された便座形成パネルを水平に折り曲げて便座部とするものである。
【0003】
【特許文献1】特開2003−19087
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の簡易便器は、板紙を筒状に折り曲げて成形した胴体部の強度が未だ十分でないとともに、組み立てた便器形状が既存の便器形状に近い異形体であるために、特に自動車の車内等では使用後はその都度折り畳まないと収納場所が確保できない場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、十分な強度を有し、かつ組み立て形状もコンパクトな簡易便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、下方へ開放する略逆U字断面に成形されて左右位置で前後方向へ平行に延びる支持部(11A,11B)、および左右の支持部(11A,11B)を連結する連結壁(12A,12B)を有する紙製の基台(1)と、少なくとも左右の支持部(11A,11B)間の空間(S3)内に上方へ向く凹陥状に挿置される液不透過性のシート材(2)とを備える簡易便器であって、四角環状に成形された板紙製の外側環状体(4)と、外側環状体(4)内に配設され、互いに平行かつ外側環状体(4)の一方の対向壁(41,42)に平行に延びて両端が、外側環状体(4)の、他方の対向壁(43,44)の内側面にそれぞれ接合された板紙製の仕切壁(51,52)とを備え、外側環状体(4)の一方の対向壁(41,42)にそれぞれ上方へ延びる第1延出片(411,421)を形成するとともに、他方の対向壁(43,44)には左右の仕切壁(51,52)の間でそれぞれ上方へ延びる第2延出片(431,441)と、左右の仕切壁(51,52)と一方の対向壁(41,42)との間で下方へ延びる第3延出片(432,442)とを形成し、かつ各仕切壁(51,52)には上方へ延びる第4延出片(511,521)を形成して、第4延出片(511,521)を一方の対向壁(41,42)との間の空間(S1,S2)内へ折り曲げるとともに第1延出片(411,421)を第4延出片(511,521)を覆うように折り曲げて上記支持部(11A,11B)を形成し、第2延出片(431,441)を左右の仕切壁(51,52)の間の空間(S3)内へ折り曲げるとともに第3延出片(432,442)を各仕切壁(51,52)と一方の対向壁(41,42)との間の空間(S1,S2)内へ折り曲げて上記連結壁(12A,12B)を構成する。なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0007】
本発明においては、基台は逆U字断面の左右の支持部を連結部で連結した構造となっているとともに、これら支持部、連結部が共に二重の板紙で構成されるから、荷重に対して十分な耐久力を発揮する。そして、組み立てられた基台は全体が略直方体であるから、自動車の車内にコンパクトに収納できる。さらに、基台は板紙二枚程度の厚みの平板状に折畳むことができるから、搬送容易であるとともに、折畳んだ状態で自動車の車内の空きスペースにさらに容易に収納することができる
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の簡易便器は、十分な強度を有し、かつ組み立て形状もコンパクトなものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1には簡易便器の外観を示す。簡易便器は紙製の基台1を備えており、基台1は左右に位置して前後方向へ平行に延びる支持部11A,11Bと、これら支持部11A,11Bの間を連結する連結壁12A,12Bを有している。支持部11A,11Bは矩形の長尺体で、下方へ開放する略U字断面に成形されている。
【0010】
基台1の上方からはポリエチレン等で成形された、液不透過性のシート材たる排泄袋2が被せられ、排泄袋2はその一部が、左右の支持部11A,11B間の空間S3内に上方へ向く凹陥状に挿置されている。排泄袋2の凹陥部21には不織布等からなる吸収シート3が載置されている。
【0011】
上記基台1は平板状に折畳まれた状態から以下の手順で組み立てられる。図2は、折畳んだ状態から展開した直後の基台1を示す。基台1はダンボール等の板紙を四角環状に成形した外側環状体4を有している。この外側環状体4内には、互いに平行かつ外側環状体の対向壁41,42に平行に延びて、外側環状体4の内空間を左右に三等分する仕切壁51,52が設けられており、これら仕切壁51,52の両端は外側環状体4の対向壁43,44の内側面に接合されている。
【0012】
外側環状体4の対向壁41,42にはそれぞれ上縁に、上方へ延びる相対的に大きな矩形の延出片411,421が形成されている。また、外側環状体4の対向壁43,44には左右の仕切壁51,52の間の上縁に、上方へ延びる相対的に小さな矩形の延出片431,441が形成されるとともに、左右の各仕切壁51,52と対向壁41,42との間の対向壁43,44下縁には、下方へ延びる相対的に小さな矩形の延出片432,442(一方のみ示す)が形成されている。さらに、各仕切壁51,52にはそれぞれ上縁に上方へ延びる相対的に大きな矩形の延出片511,521が形成されている。
【0013】
基台1を組み立てる場合には最初に図3に示すように、仕切壁51,52の各延出片511,521を、その上下の中間位置で折り曲げつつ、折り曲げた先端半部を、外側環状体4の各対向壁41,42の内側面に沿うようにこれら対向壁41,42との間の空間S1,S2内に略逆L字断面形状で進入させる(図3中の矢印)。
【0014】
続いて、図4に示すように、外側環状体4の各延出片411,421を、その上下の中間位置で折り曲げつつ、延出片511,521を覆って各仕切壁51,52の内側面に沿うようにこれら仕切壁51,52間の空間S3内に略逆L字断面形状で進入させる(図4中の矢印)。これにより、下方へ開放する略U字断面の支持部11A,11B(図1)が左右位置に形成される。
【0015】
次に、図5に示すように、外側環状体4の延出片431,441を左右の仕切壁51,52の間の空間S3内へ折り曲げて当該外側環状体4の内面に沿って位置させるとともに、延出片432,442を各仕切壁51,52と各対向壁41,42との間の空間S1,S2内へ折り曲げて外側環状体4の内面に沿って位置させる(図5中の矢印)。これにより、左右の支持部11A,11B(図1)の間を連結する連結壁12A,12Bが形成される。なお、図6には組み立てた基台1を裏返した状態を示す。
【0016】
組み立てた基台1を自動車の座席上等に置き、既述のように排泄袋2(図1)を被せた後、吸収シート3を載せて用を足す。用を足した後は、吸収シート3を排泄袋2内に収容して袋開口を閉めておく。
【0017】
上記基台1は、逆U字断面の左右の支持部11A,11Bを連結部12A,12Bで連結した構造であるとともに、これら支持部11A,11B、連結部12A,12Bが共に二重の板紙で構成されるから、荷重に対して十分な耐久力を発揮する。そして、基台1は全体が略直方体(図1、図6参照)であるから、組み立てた状態でも自動車の車内にコンパクトに収納できる。
【0018】
組み立てられた基台1は上記組立工程を逆に辿って図2に示す状態とし、さらに外側環状体4を四角から菱形を経て対向壁41,42,43,44が重なるように押しつぶして、図7に示すような板紙二枚程度の厚みの平板状に折畳むことができる。このようにして折畳んだ基台1は搬送容易であるとともに、自動車の車内の空きスペースにさらに容易に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す、簡易便器の斜視図である。
【図2】基台の組み立て工程を示す斜視図である。
【図3】基台の組み立て工程を示す斜視図である。
【図4】基台の組み立て工程を示す斜視図である。
【図5】基台の組み立て工程を示す斜視図である。
【図6】組み立てられた基台を裏返した状態の斜視図である。
【図7】折畳んだ状態の基台の平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1…基台、11A,11B…支持部、12A,12B…連結壁、2…排泄袋(シート材)、4…外側環状体、41,42,43,44…対向壁、411,421,431,432,441,442…延出片、51,52…仕切壁、511,521…延出片、S1,S2,S3…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方へ開放する略逆U字断面に成形されて左右位置で前後方向へ平行に延びる支持部、および左右の前記支持部を連結する連結壁を有する紙製の基台と、少なくとも左右の前記支持部間の空間内に上方へ向く凹陥状に挿置される液不透過性のシート材とを備える簡易便器であって、四角環状に成形された板紙製の外側環状体と、前記外側環状体内に配設され、互いに平行かつ前記外側環状体の一方の対向壁に平行に延びて両端が、前記外側環状体の、他方の対向壁の内側面にそれぞれ接合された板紙製の仕切壁とを備え、前記外側環状体の前記一方の対向壁にそれぞれ上方へ延びる第1延出片を形成するとともに、前記他方の対向壁には左右の前記仕切壁の間でそれぞれ上方へ延びる第2延出片と、左右の前記仕切壁と前記一方の対向壁との間で下方へ延びる第3延出片とを形成し、かつ前記各仕切壁には上方へ延びる第4延出片を形成して、前記第4延出片を前記一方の対向壁との間の空間内へ折り曲げるとともに前記第1延出片を前記第4延出片を覆うように折り曲げて前記支持部を形成し、前記第2延出片を左右の前記仕切壁の間の空間内へ折り曲げるとともに前記第3延出片を前記各仕切壁と前記一方の対向壁との間の空間内へ折り曲げて前記連結壁を構成したことを特徴とする簡易便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−100838(P2009−100838A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273314(P2007−273314)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(507321060)カネコ産業株式会社 (1)
【出願人】(507348894)株式会社中部デザイン研究所 (1)
【Fターム(参考)】