説明

簡易型カプセル計数機

【課題】この発明の目的は、カプセルをカプセル用容器の狭い口へ簡単に投入することができ、カプセルの計数とカプセル用容器への投入とを迅速かつ確実に行うことができる簡易型カプセル計数機を提案することにある。
【解決手段】ハウジング内に、カプセルを投入するホッパと、ホッパ内のカプセルを横1列に複数個整列させ、順次下向きに送り出すマガジンと、該マガジンの列に対応する複数個の貫通孔の列を前後に複数行配置するとともに、前記マガジンのカプセルを送り出す下端に接するようほぼ水平に設置され、前記マガジンの列に向けて進退自由としたカプセル計数板と、該カプセル計数板の貫通孔から排出されるカプセルを順次投入する、カプセル計数板の下部に設けたカプセル排出部材とを備え、
前記カプセル排出部材の排出口からカプセル計数板の貫通孔に対応する所定量のカプセルをカプセル用容器に充填したことを特徴とする簡易型カプセル計数機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はボディとキャップからなる各種カプセルに粉体や液状、あるいはシロップ状の内容物を充填したカプセル類を、所定量計数した上でカプセル用容器に投入するために使用する簡易型カプセル計数機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボディとキャップからなる各種カプセルに粉体や液状、あるいはシロップ状の内容物を充填したのち、所定量のカプセルを計数した上でカプセル用容器に投入するための機構は以下のようになっていた。
1)ホッパから重量センサを設けた計数部にカプセルを供給し、所定の重量になったところで供給を中止して、所定量のカプセルをカプセル用容器に投入するもの。
2)ホッパから振動コンベア等でカプセルを搬送し、搬送路に設けた計数センサで所定数までカウントして、所定量に達したところで搬送を中止して、所定量のカプセルをカプセル用容器に投入するもの。
3)ホッパからカプセル用容器に向けてカプセルを放出させ、落下途中の個々のカプセルを光センサ等で計数しつつ、所定量に達したところで放出を中止して、所定量のカプセルをカプセル用容器に投入するもの。
【0003】
しかしながら、前記所定量のカプセルを計数した上でカプセル用容器に投入するための機構においては、カプセルの移動中に各種のセンサで計数した上、カプセル用容器に投入するものであるために、計数時にカウントミスが生じやすいという問題点があった。
【0004】
しかも、前記所定量のカプセルを計数した上でカプセル用容器に投入するための機構においては、各種のセンサを使用しているためにその設置に手間がかかる上、大きなコストアップ要因となり、ひいては、装置全体のコスト削減にも影響が出てしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特にありません
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、従来例の上記欠点を解消するため種々の方策が試みられたが、例えば所定の列のカプセル投入孔を設けたカプセル計数板の上にカプセルを供給し、すべてのカプセル投入孔にカプセルが充填された後にこれをカプセル用容器に投入するようにした場合、カプセル計数板の上へのカプセルを供給、すべてのカプセル投入孔へのカプセルの充填、カプセルのカプセル用容器への投入、の各作業を手作業で行わなければならなかった。
そのため、カプセル投入孔へのカプセルの充填ミスや、カプセルをカプセル用容器の狭い口へ投入しにくい等、改善すべき点が多々あって実用上大きな問題となっていた。
【0007】
したがって、この発明の第1の目的は、カプセルの計数を種々の高価なセンサを用いることなく効率よく、かつ計数ミスなく行うことができる簡易型カプセル計数機を提案することにある。
【0008】
この発明の第2の目的は、カプセルをカプセル用容器の狭い口へ簡単に投入することができ、カプセルの計数とカプセル用容器への投入とを迅速かつ確実に行うことができる簡易型カプセル計数機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、この発明の簡易型カプセル計数機は、ハウジング内に、カプセルを投入するホッパと、ホッパ内のカプセルを横1列に複数個整列させ、順次下向きに送り出すマガジンと、該マガジンの列に対応する複数個の貫通孔の列を前後に複数行配置するとともに、前記マガジンのカプセルを送り出す下端に接するようほぼ水平に設置され、前記マガジンの列に向けて進退自由としたカプセル計数板と、該カプセル計数板の貫通孔から排出されるカプセルを順次投入する、カプセル計数板の下部に設けたカプセル排出部材とを備え、
前記ハウジング内において、貫通孔が空のカプセル計数板を前記マガジンの下端において前進させることにより、順次カプセル計数板の各行の貫通孔の列にカプセルを満たし、
次いで、貫通孔がカプセルで満たされたカプセル計数板を前記マガジンの下端から引き出して、前記カプセル計数板の貫通孔から順次カプセルをカプセル排出部材に投入し、
該カプセル排出部材の排出口に応じて配置されたカプセル用容器に、前記カプセル排出部材の排出口からカプセル計数板の貫通孔に対応する所定量のカプセルを充填したことを特徴とするものである。
【0010】
この発明の簡易型カプセル計数機は、前記カプセル計数板が、前記ハウジング内に設けたガイドレールに係合するスライド部をその両側に形成されていることをも特徴とするものである。
【0011】
この発明の簡易型カプセル計数機は、前記カプセル計数板が、カプセル用容器の容量に応じた数の貫通孔が形成された複数の種類を用意されており、適宜交換して使用することをも特徴とするものである。
【0012】
この発明の簡易型カプセル計数機は、前記マガジンが、ハウジング内に設置した駆動モータと、駆動モータの回転軸に取り付けた偏心カムにより、前記マガジンを前記ホッパ内に向けて進退するよう昇降自在とされていることをも特徴とするものである。
【0013】
この発明の簡易型カプセル計数機は、前記マガジンが、上部マガジンと下部マガジンとで構成され、かつそれぞれ透明素材とすることにより、カプセルの詰まりや破損等を確認することができるとともに、分解しやすくしてメンテナンスを容易としたことをも特徴とすものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、数十個単位のカプセルの計数を効率よく、かつ計数ミスなく行うことができる簡易型カプセル計数機を提供することが可能となった。
【0015】
またこの発明によれば、カプセルをカプセル用容器の狭い口へ簡単に投入することができ、カプセルの計数とカプセル用容器への投入とを迅速かつ確実に行うことができる簡易型カプセル計数機を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の簡易型カプセル計数機の一実施例を示す正面図である。
【図2】その側面図である。
【図3】(a)は上部マガジンの拡大正面図、(b)はその側面図、(c)および(d)はそれぞれカプセル投入口の例を示すものである。
【図4】(a)は下部マガジンの拡大正面図、(b)はその側面図、(c)および(d)はそれぞれカプセル投入口の例を示すものである。
【図5】(a)はカプセル計数板の平面図、(b)はその側面図である。
【0017】
以下、この発明の簡易型カプセル計数機の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
先ず、図1および図2を用いてこの発明による簡易型カプセル計数機の概略の構成を予め説明する。
この実施例の簡易型カプセル計数機は、脚部12によって所定の高さに支持されたハウジング11内に取り付けられている。
すなわち、カプセル31を投入するホッパ13がハウジング11の上部に配置され、ホッパ13の下部には横長の開口部が形成されている。そしてこの横長の開口部には、ホッパ13内のカプセル31を横1列に複数個整列させて、順次下向きに送り出すマガジン14の上端がホッパ13に向けて進退可能に保持されている。
【0018】
カプセル計数板15は、前記マガジン14のカプセル31を送り出す下端に接するようほぼ水平に設置されている。
該カプセル計数板15は、図5(a)に示すように横1列に複数個整列させたカプセル31の列に対応する複数個の貫通孔16の列16−1が前後に複数の行16−2となるよう配置され、前記マガジン14の列に向けて複数の行16−2が進退自由になっている。
【0019】
前記カプセル計数板15は、前記ハウジング11内に設けたガイドレール21に係合するスライド部22をその両側に形成されている。したがって、カプセル計数板15の前面に取り付けた取っ手23を持って前後に操作すれば、カプセル計数板15は、前記マガジン14のカプセル31を送り出す下端に接して水平に自在に進退することができる。
【0020】
前記カプセル計数板15の貫通孔16から排出されるカプセル31は、カプセル計数板16の下部に設けたホッパ状のカプセル排出部材17に自然に落下する。そして、該カプセル排出部材17の下端を絞って形成した排出口18に対応するよう、カプセル用容器19の口を位置決めし、カプセル排出部材17からカプセル31を落下させれば、カプセル計数板15の貫通孔16に対応する数のカプセル31がカプセル用容器19に投入され、充填されるのである。
【0021】
その際、前記ハウジング11内においては、貫通孔16が空のカプセル計数板15を前記マガジン14の下端において前進させることにより、順次カプセル計数板15の各行16−2の貫通孔16の列16−1にカプセル31が満たされていく。
その後、すべての貫通孔16がカプセル31で満たされたカプセル計数板15を前記マガジン14の下端から引き出していくと、前記カプセル排出部材17においては支持手段がなくなって各行16−2の貫通孔16の列16−1から順次カプセル31が落下してカプセル排出部材17に投入されるのである。
【0022】
前記カプセル計数板15としては、カプセル用容器19の容量に応じた数の貫通孔16が形成された複数の種類を用意されている。したがって、所定の数の貫通孔16を設けたカプセル計数板15を適宜交換して使用することにより、投入すべき数のカプセル31をカプセル用容器19に正確かつ迅速に充填することができるのである。
【0023】
この実施例の簡易型カプセル計数機において、前記マガジン14の背面には偏心カム24が取り付けられている。この偏心カム24は、ハウジング11内に設置した駆動モータ25の回転軸26に取り付けられており、駆動モータ25を駆動することによって前記マガジン14を前記ホッパ13内に向けて進退させるものである。
このように、前記マガジン14を昇降自在とすることにより、ホッパ13内に開口部から突き出されたマガジン14の山形断面の端部が各カプセル31をすくい取って、下つぼまりのテーパ27から長尺の整列孔28に導入する。その際、マガジン14の上下のピストン運動によって確実にカプセル31を整列孔28に引き込むことができる。
【0024】
この実施例の簡易型カプセル計数機は、図3(a),(b)および図4(a),(b)に示すように、前記マガジン14を上部マガジン41と下部マガジン51とで構成している。いずれも、山形断面の端部から下つぼまりのテーパ27を経て下端まで達する長尺の整列孔28を備えた構造となっている。42,52はネジで固定するための取付片である。図3(c),(d)および図4(c),(d)はいずれも下つぼまりのテーパ27部分から長尺の整列孔28までのサイズの違いを示すものである。
ちなみに、φn1は整列孔28の径×テーパ27深さが11×11mm、テーパ27の上端が13.9mmであり、φn2は整列孔28の径×テーパ27深さが9.5×9.5mm、テーパ27の上端が11.1mmである。
【0025】
上部マガジン41と下部マガジン51は、それぞれ透明素材としてあり、カプセル31の詰まりや破損等を確認することができるとともに、上部マガジン41と下部マガジン51をそれぞれ分解可能としてあるので、カプセル31の詰まりや破損等があった場合のメンテナンスをきわめて容易に行なうことができるのである。
【0026】
a)この実施例の簡易型カプセル計数機の使用に際しては、先ず多数のカプセル31をホッパ13に投入しておく。
b)次いで、ハウジング11内に設置した駆動モータ25を駆動し、回転軸26に取り付けた偏心カム24により、前記マガジン14を前記開口部からホッパ13内に向けて進退させる。
c)すると、前記ホッパ13内に開口部から突き出されたマガジン14の山形断面の端部が各カプセル31をすくい取って、下つぼまりのテーパ27から長尺の整列孔28に導入する。その際、マガジン14の上下のピストン運動によって確実にカプセル31を整列孔28に引き込むことができる。
d)そこで、貫通孔16が空のカプセル計数板15を前記マガジン14の下端において前進させることにより、順次カプセル計数板15の各行16−2の貫通孔16の列16−1にカプセル31が満たされていく。
e)その後、すべての貫通孔16がカプセル31で満たされたカプセル計数板15を前記マガジン14の下端から引き出していくと、前記カプセル排出部材17においては支持手段がなくなって各行16−2の貫通孔16の列16−1から順次カプセル31が落下してカプセル排出部材17に投入されるのである。
f)前記カプセル計数板15の貫通孔16から排出されるカプセル31は、カプセル計数板16の下部に設けたホッパ状のカプセル排出部材17に自然に落下し、該カプセル排出部材17の下端を絞って形成した排出口18からカプセル用容器19に投入され、所定数が充填されるのである。
【0027】
もちろん、カプセル用容器19の容量に応じた数の貫通孔16が形成された複数の種類のカプセル計数板15が用意されているので、カプセル計数板15を適宜交換して使用することにより、投入すべき数のカプセル31をカプセル用容器19に正確かつ迅速に充填することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、この発明の簡易型カプセル計数機は、粉体や液状、あるいはシロップ状の内容物を充填したカプセル類のみならず、同様の計数の必要な物品であれば、この発明の趣旨を変えない限り、種々の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
11 ハウジング
12 脚部
13 ホッパ
14 マガジン
15 カプセル計数板
16 貫通孔
16−1 列
16−2 行
17 カプセル排出部材
18 排出口
19 カプセル用容器
21 ガイドレール
22 スライド部
23 取っ手
24 偏心カム
25 駆動モータ
26 回転軸
27 テーパ
28 整列孔
31 カプセル
41 上部マガジン
42 取付片
51 下部マガジン
52 取付片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に、カプセルを投入するホッパと、ホッパ内のカプセルを横1列に複数個整列させ、順次下向きに送り出すマガジンと、該マガジンの列に対応する複数個の貫通孔の列を前後に複数行配置するとともに、前記マガジンのカプセルを送り出す下端に接するようほぼ水平に設置され、前記マガジンの列に向けて進退自由としたカプセル計数板と、該カプセル計数板の貫通孔から排出されるカプセルを順次投入する、カプセル計数板の下部に設けたカプセル排出部材とを備え、
前記ハウジング内において、貫通孔が空のカプセル計数板を前記マガジンの下端において前進させることにより、順次カプセル計数板の各行の貫通孔の列にカプセルを満たし、
次いで、貫通孔がカプセルで満たされたカプセル計数板を前記マガジンの下端から引き出して、前記カプセル計数板の貫通孔から順次カプセルをカプセル排出部材に投入し、
該カプセル排出部材の排出口に応じて配置されたカプセル用容器に、前記カプセル排出部材の排出口からカプセル計数板の貫通孔に対応する所定量のカプセルを充填したことを特徴とする簡易型カプセル計数機。
【請求項2】
前記カプセル計数板が、前記ハウジング内に設けたガイドレールに係合するスライド部をその両側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の簡易型カプセル計数機。
【請求項3】
前記カプセル計数板が、カプセル用容器の容量に応じた数の貫通孔が形成された複数の種類を用意されており、適宜交換して使用することを特徴とする請求項1に記載の簡易型カプセル計数機。
【請求項4】
前記マガジンが、ハウジング内に設置した駆動モータと、駆動モータの回転軸に取り付けた偏心カムにより、前記マガジンを前記ホッパ内に向けて進退するよう昇降自在とされていることを特徴とする請求項1に記載の簡易型カプセル計数機。
【請求項5】
前記マガジンが、上部マガジンと下部マガジンとで構成され、かつそれぞれ透明素材とすることにより、カプセルの詰まりや破損等を確認することができるとともに、分解しやすくしてメンテナンスを容易としたことを特徴とする請求項1に記載の簡易型カプセル計数機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−84287(P2011−84287A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236730(P2009−236730)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(503413503)
【出願人】(503413514)
【Fターム(参考)】