説明

簡易建物

【課題】施工コストが安価で、骨組み部分のデザインの変更が容易であると共にデザインを変える施工が容易にできる簡易建物を提供する。
【解決手段】本発明に係る簡易建物1において、左右の柱3、3と、柱3の上端を繋ぐ前枠7と、妻垂木23と、柱の前面覆い部53と柱の側面覆い部55とを有する柱カバー33と、前枠の前面覆い部39と前枠の上端に係止する前枠係止部41とを有する前枠カバー31と、妻垂木の側面覆い部59と屋根パネルを押さえるパネル押さえ部51とを有する妻垂木カバー35と、パネル押さえ具29とを備え、柱3は柱カバー33を前面から取り付け自在であり、前枠7は前枠カバー31を取り付け自在であり、妻垂木23は妻垂木カバー35とパネル押さえ具29のいずれかを取り付け自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンルーム等の簡易建物に関する。
【背景技術】
【0002】
サンルール等の簡易建物において、柱、前枠及び妻垂木の骨組み部分を、一般的な金属質感のものから木質感等の他のデザインのものに変更して、デザイン性を向上することが望まれている。
これに対して、非特許文献1には、柱と、梁と、屋根を備えるカーポートにおいて、屋根の前枠と側枠とに、木質感のデザインがされた枠を用いることが開示されている。
この非特許文献1の技術では、木質感のデザインが要求されている枠には金属質の枠に換えて木質感のデザインを施した枠を用いて施工している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】第96頁 三協立山アルミ「MYLish/マイリッシュシリーズ」2010年 9月発行 カタログNo.STX0423D 三協立山アルミニウム株式会社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1の技術では、枠のデザインが異なる毎に、異なるデザインを施した枠をストックしておく必要があるので、施工コストが嵩むという不都合がある。
【0005】
そこで、本発明は、施工コストが安価で、骨組み部分のデザインの変更が容易であると共にデザインを変える施工が容易にできる簡易建物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、左右の柱と、柱の上端を繋ぐ前枠と、妻垂木と、柱の前面覆い部と柱の側面覆い部とを有する柱カバーと、前枠の前面覆い部と前枠の上端に係止する前枠係止部とを有する前枠カバーと、妻垂木の側面覆い部と屋根パネルを押さえるパネル押さえ部とを有する妻垂木カバーと、屋根パネルを押さえるパネル押さえ具とを備え、柱は柱カバーを前面から取り付け自在であり、前枠は前枠カバーを取り付け自在であり、妻垂木は妻垂木カバーとパネル押さえ具のいずれかを取り付け自在であることを特徴とする簡易建物である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、骨組み部分を構成する柱、前枠、妻垂木に、各々カバーを後付けすることによりデザインの変更ができるから、デザインの異なる柱や前枠や妻垂木を別にストックしておかなくて済むので、施工コストを安価にできる。
柱、前枠及び妻垂木に各々カバーを取り付けてデザインを変更するので、デザイン変更が容易であると共にデザインを変えた施工が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態にかかる簡易建物であり、(a)は図6に示すA−A断面図であり、(b)は(a)に示すK部であって、前枠カバー、妻垂木カバ及び柱カバーを取り付けていない状態を示す断面図である。
【図2】(a)は図1に示すB−B断面図であり、(b)は(a)に示すL部であって、前枠カバー、妻垂木カバ及び柱カバーを取り付けていない状態を示す断面図である。
【図3】本実施の形態にかかる簡易建物の柱部分を示す図であり、(a)は柱の下側部を示す側面図、(b)は(a)に示すC−C断面図であり、(c)は(a)の図において柱カバーを取り付けていない状態を示す側面図である。
【図4】図1に示すE−E断面図である。
【図5】図1に示すF−F断面図である。
【図6】本実施の形態にかかる簡易建物の斜視図である。
【図7】本実施の形態にかかる簡易建物において、柱、前枠、腕木、後側方立、垂木掛け、妻垂木及び垂木を組み立てた骨組み構造と、この骨組み構造に前枠カバー、柱カバー及び妻垂木カバーを取付けた外観を比較して示す斜視図であり、(a)は骨組み構造に各カバーを取付けた外観を示す斜視図であり、(b)は骨組み構造の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図6及び図7において、斜線ハッチは木目模様部分を示している。図6に示すように、本実施の形態にかかる簡易建物1は、家の出入口に隣接して設けたサンルームであり、左右の柱3、3と、床5と、柱3、3間に固定した前枠7と、前壁9と、左右の側壁11、11と、屋根13とを備えており、各前壁9、側壁11、11には、各々引き違いサッシ15が設けてあり開閉自在になっている。
図1に示すように、前枠7は柱3、3の上端に固定してあり、柱固定部の前側には雨樋10が前枠7の長手方向に沿って形成されている。雨樋10の左右両端は前枠7にねじ固定されたキャップ12により塞がれている。前枠7の前側壁10はその前側面が円弧状にデザインされている。
家の壁17(躯体)には躯体側方立18が固定されており、躯体側方立18の上端には垂木掛け21が躯体17に固定されている。
躯体側方立18と前枠7との間には、腕木19が架設されている。
図6及び図2に示すように、屋根13には、左右の妻垂木23と、左右の妻垂木23間で間隔をあけて配置した複数の垂木25とが設けてあり、妻垂木23と垂木25との間及び垂木25、25間には屋根パネル27が設けてある。図1に示すように、各妻垂木23と垂木25とは各々垂木掛け21と前枠7とに固定されている。
図2に示すように、垂木25には、左右の屋根パネル27を押えるパネル押さえ具29がねじ22により固定されている。妻垂木23のパネル押さえについては、後述する。
【0010】
本実施の形態にかかる簡易建物1には、更に、前枠カバー31と、柱カバー33と、妻垂木カバー35と、柱カバーの取付金具37とが設けてあるので、以下にこれらのカバー31、33、35及び取付金具37について説明する。前枠カバー31と、柱カバー33と、妻垂木カバー及び後述するコーナーカバー70は、アルミニウム合金形材でできており、表面に木質感のデザインが施されている。尚、簡易建物1における支柱3、前枠7、妻垂木23及びその他の部位を形成する形材は表面に金属質のデザインが施されている。
【0011】
図1及び図6に示すように、前枠カバー31は、前枠7の長手方向に沿って取付けてあり、前枠7の前面覆い部39と、前枠係止部41と、ねじ止め部43とが設けてある。前枠係止部41は、前側覆い部39の上端部に形成されており、前枠7の前側壁10aの上端に上から係止している。ねじ止め部43は、前面覆い部39の後側に設けてあり、前枠7の下側面にねじ45によりねじ固定されている。
前枠カバー31の前面覆い部39は、その前側面が平面状にデザインされており、前枠7の前側壁10aが円弧状の曲面になっているのに対して異なる形状にしてある。前面覆い部39の後側面には、前側係止部41の下側で前枠7の前側壁に下方に向けて当接する第1当接部42と、ねじ止め部43の上側でねじ止め部43と協同して上下方向に二又状になって当接する第2当接部44が設けてある。
【0012】
一方、図3に示すように、左右の柱3、3には、柱カバー33が取付けてあるが、柱3の前側面(正面)には柱カバー33を取付ける為の取付金具37が上下方向に所定の間隔をあけて固定されている。
取付金具37は柱3の正面にねじ止めするねじ止め部47と、前側に向けて起立する左右の起立部49とを有し、各起立部49の先端には互いに対向する側に向けて突設する係止部51が設けてある。
柱カバー33は、柱3の前面覆い部53と、柱3の側面覆い部55とを有し、側面覆い部55と前面覆い部53とは一体に形成されている。前面覆い部53には、中空部54が形成されており、雨樋10に接続された雨水排出パイプ56が収納可能になっている。
前面覆い部53には、取付金具37の起立部49に係止する左右の被係止部57が形成されている。左右の被係止部57は互い対応する側と反対側に向けて突設する突部になっている。側面覆い部55には、柱3の側面に当接する当接部59が形成されている。
【0013】
図6に示すように、妻垂木カバー35は、妻垂木23の長手方向に沿って設けてあり、図2に示すように、妻垂木23の側面覆い部59とパネル押さえ部61とを備え、パネル押さえ部61を妻垂木23の上面に載せてパネル押さえ部61をねじ63で妻垂木23に固定されている。妻垂木カバー35において、側面覆い部59の下端には妻垂木23の下面側に向けて突出する突部65が形成されている。
【0014】
また、本実施の形態では、図1及び図6に示すように、腕木19と妻垂木23との間に側面パネル64が取りつけてあり、側面パネル64は、図4に示すように、腕木19に設けたパネル押さえ部67で保持されていると共に、図5に示すように、躯体方立17に固定した屋根側面竪枠69のパネル押さえ部68により保持されている。
尚、図6に示すように、前枠7の左右端と妻垂木23と柱3との接合部にはコーナーカバー70が取り付けてある。
【0015】
次に、本実施の形態にかかる簡易建物1の施工、作用効果について説明する。
簡易建物1の施工は、左右の支柱3、3を立設し、躯体側方立18を躯体に固定し、柱3、3間に前枠7を固定し、前枠7と躯体側方立18との間に左右の腕木19を架設する。そして、前壁9、左右の側壁11を設けると共に、垂木掛け21と前枠7との間に各妻垂木23、23及び垂木25を取付けて、屋根パネル27及び側面パネル64を取り付ける。
各柱3、3、前枠7、妻垂木23で構成される骨組み部分は、各々表面が金属質感のデザインであり、図7(b)に示すように、この簡易建物では、全体として所定の形状で金属質感のデザインを得ることができる。また、前枠7及び妻垂木23の断面図と柱部分の側面図を図1(b)、図2(b)、図3(c)に示すように、所定形状のデザインを得ることができる。
【0016】
一方、骨組み部分を木質感で異なる形状のデザインに変えたい場合には、まず、柱3では、図3(a)(b)に示すように、柱3の正面に取付金具37を上下に所定間隔をあけてねじで固定し、取付金具37の係止部51、51間の外側に柱カバー33の被係止部57、57を押し込んで係止部51と被係止部57との弾性変形により両者を嵌合固定する。
尚、排水パイプ56がある柱3には柱カバー33の中空54に排水パイプ56を収納して柱3に取付ける。
前枠カバー31の取り付けは、図1(a)に示すように、前枠カバー31の前側覆い部39を前枠7の前側壁10aの前面に当てて、前枠係止部41を前枠7の前側壁10aの上端に上から係止して前側覆い部39よりも後側にあるねじ止め部43をねじ45で前枠7に止める。
妻垂木カバー35の取り付けは、図2(a)に示すように、側面覆い部59を妻垂木23の側面に当てて、上面部を妻垂木23の上面にかけて、上面部をパネル押さえ具29用のねじ63で妻垂木23に止めて、パネル押さえ部61で屋根パネル27を押える。
【0017】
本実施の形態によれば、金属質感のデザインの簡易建物1の骨組み部分を構成する柱3、3に柱カバー33を取り付け、前枠7に前枠カバー31と取り付け、妻垂木23に妻垂木カバー35を取り付けることにより、図7(b)に示すような金属質感のデザインの簡易建物1に対して、図7(a)に示すような木質感がある所定形状のデザインに変更ができるから、木質感にデザインを施した柱や前枠や妻垂木を別に用意してストックしておかなくて済むので、施工コストを安価にできる。
柱3、3、前枠7及び妻垂木23に各カバー33、31、35を取付けて簡易建物1のデザインを変更するので、デザイン変更が容易であると共にデザインを変えた施工が容易である。
ここで、図7に本実施の形態にかかる簡易建物において、各カバー33、31、35を取り付けた骨組み構造と、各カバー33、31、35を取り付けていない骨組み構造とを比較して示している。本実施の形態によれば、図7(b)に示す簡易建物1の骨組み構造において、図7(a)に示すように、簡易建物1の骨組み構造のうちの柱3に柱カバー33を、前枠7に前枠カバー31を、妻垂木23に妻垂木カバー35を取り付けるだけで、簡易建物1の骨組み構造全体として異なる印象のデザインに容易に変更することができる。
柱カバー33は、柱3の前方からの押し込み作業で取り付けできるから、取り付け作業が容易である。
柱カバー33は、柱3に取り付けた取付金具37を覆って、取付金具37の係止部に被係止部を嵌合して固定するので、取付金具37が見えないと共に柱カバー33をねじ固定しないから、外観が良い。
柱カバー33には、前面覆い部39に中空54を形成しているので、排水パイプ56がある柱3では排水パイプ56も一緒に覆うことができ、排水パイプ56部分を含めた統一したデザインを施すことができる。
前枠カバー31は、前枠係止部41を前枠7の前側壁10aの上端に上から係止しているので、ねじ止め箇所が少なくて済み、施工し易い。
前枠カバー31では、ねじ止め部43が前面覆い部39よりも後側にあるのでねじ止め部43を止めるねじ45が前側から見え難いので、外観が良い。
前枠カバー31を前枠7に取り付けることにより、前枠7の前側壁10aが成す湾曲形状のデザインに対して、前面覆い部39が成す平面状のデザインに変更できる。
前枠カバー31の前側覆い部39には、その後面に第1当接部42と第2当接部44を設けているので、湾曲した前側壁10aに対して前枠カバー31を安定な収まりにできる。
妻垂木カバー35には、パネル押さえ部61が一体に設けてあり、別途パネル押さえ具を必要としないので、部品点数を少なくできる。
妻垂木カバー35には、パネル押さえ部61をパネル押さえ具用のねじ63で妻垂木23に固定できるので、妻垂木カバー35を固定する為のねじが不要であるから、部品点数を少なくできる。
【0018】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、簡易建物1はサンルームに限らず、テラスや物置等の屋根のある他の建物であっても良い。
柱カバー33、妻垂木カバー35及び前枠カバー31は、各々木質調のデザインに限らず、赤、青等の色を付けたものであっても良く、また模様を付したものであっても良い。
柱カバー33、前枠カバー31、妻垂木カバー35の材質は限定されず、例えば樹脂材であっても良い。
例えば、柱カバー33の前面覆い部53、前枠カバー31の前面覆い部39及び妻垂木カバー35の側面覆い部59を湾曲面に形成しても良く、柱カバー33、前枠カバー31、妻垂木カバー35の形状は限定されない。
柱カバー33は、柱3の前面と前面に隣接する左右の両側面とを覆うものであっても良い。
妻垂木カバー35には、妻垂木23の下面を覆う下面覆い部を設けても良い。
前枠カバー31には、前枠7の下面を覆う下面覆い部を設けても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 簡易建物
3 柱
7 前枠
23 妻垂木
29 パネル押さえ具
31 前枠カバー
33 柱カバー
35 妻垂木カバー
39 前面覆い部(前枠カバー)
41 前枠係止部(前枠カバー)
53 前面覆い部(柱カバー)
55 側面覆い部(柱カバー)
59 側面覆い部(妻垂木カバー)
61 パネル押さえ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の柱と、柱の上端を繋ぐ前枠と、妻垂木と、柱の前面覆い部と柱の側面覆い部とを有する柱カバーと、前枠の前面覆い部と前枠の上端に係止する前枠係止部とを有する前枠カバーと、妻垂木の側面覆い部と屋根パネルを押さえるパネル押さえ部とを有する妻垂木カバーと、屋根パネルを押さえるパネル押さえ具とを備え、柱は柱カバーを前面から取り付け自在であり、前枠は前枠カバーを取り付け自在であり、妻垂木は妻垂木カバーとパネル押さえ具のいずれかを取り付け自在であることを特徴とする簡易建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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