簡易運搬具
【課題】 保管等に嵩張らず、しかも荷物形状に応じて効率的にこれを収納して運搬できる。
【解決手段】運搬者が握る取手1と、取手1に設けられた開口11と、開口11に付設された挟持体2とを備え、変形自在な一枚の包装部材3を袋状にしてその袋開口部31を開口11内に挿入して、挟持体2と開口11の開口縁たる当接面131との間で袋開口部31を挟持する。挟持体2は開口11内で旋回腕22によって旋回移動可能に支持されており、開口縁131との間で袋開口部31を挟持した状態で袋開口部31が開口11から引き出される方向へ移動した時に当接面131に接近するように旋回移動させられる。
【解決手段】運搬者が握る取手1と、取手1に設けられた開口11と、開口11に付設された挟持体2とを備え、変形自在な一枚の包装部材3を袋状にしてその袋開口部31を開口11内に挿入して、挟持体2と開口11の開口縁たる当接面131との間で袋開口部31を挟持する。挟持体2は開口11内で旋回腕22によって旋回移動可能に支持されており、開口縁131との間で袋開口部31を挟持した状態で袋開口部31が開口11から引き出される方向へ移動した時に当接面131に接近するように旋回移動させられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は簡易運搬具に関し、特に、風呂敷やスカーフのような包装部材を使用して物品を簡易に運搬できるようにした簡易運搬具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等で無料配布される樹脂製のいわゆるレジ袋を、資源の有効利用や回収廃棄の手間軽減等の観点から廃止して、繰り返し使用可能な専用買物かごへ転換することが推奨されつつある。なお、特許文献1には袋の開口部を、ヒンジ部で折り曲げ可能な一対の嵌合片で挟持する提げ手が開示されている。
【特許文献1】特開2000−238798
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、専用買物かごはその定形性のために、保管や、少量の荷物の持ち運びにも嵩張るという問題があるとともに、球形の荷物等は直径が寸法上の制約を越えると十分な収容容積があるにもかかわらず収納できないという問題もある。
【0004】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、保管等に嵩張らず、しかも荷物形状に応じて効率的にこれを収納して運搬できる簡易運搬具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本第1発明では、運搬者が握る取手(1)と、取手(1)に設けられた開口(11)と、開口(11)に付設された挟持体(2)とを備え、変形自在な一枚の包装部材(3)を袋状にしてその袋開口部(31)を上記開口(11)内に挿入して、挟持体(2)と開口(11)の開口縁(131)との間で袋開口部(31)を挟持するとともに挟持体(2)は袋開口部(31)が開口(11)から引き出される方向へ移動した時に開口縁(131)に接近するように構成されている。
【0006】
本第1発明において、変形自在な一枚の包装部材を拡げて荷物を入れ、この荷物を包むように包装部材を袋状にする。その後、挟持体と開口縁の間に包装部材の袋開口部を挿入する。取手を握って袋状の包装部材を持ち上げると、包装部材内の荷物の自重で袋開口部は開口から引き出されようとするが、挟持体が開口縁に接近するように移動して挟持体と開口縁の間隔が狭まり、取手からの袋開口部の脱落が阻止されて、包装部材が取手に吊り下げられる。
【0007】
本第1発明によれば、荷物を収納する袋部に、繰り返し使用可能な包装部材を使うことができるから、資源の無駄な消費が避けられるとともに、回収廃棄の手間も軽減される。そして、包装部材は折り畳んで小スペースで保管することができるとともに、異形の荷物であっても包装部材が自由に変形することによって無駄な空間を生じることなく効率的に収納し運搬することができる。
【0008】
本第2発明では、上記挟持体(2)は開口(11)内で旋回腕(22)によって旋回移動可能に支持されており、開口縁(131)との間で袋開口部(31)を挟持した状態で袋開口部(31)が開口(11)から引き出される方向へ移動した時に開口縁(131)に接近するように旋回移動させられる。
【0009】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の簡易運搬具によれば、保管等に嵩張らず、しかも荷物形状に応じて効率的にこれを収納して運搬することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1には簡易運搬具の正面図を示し、図2にはその側面図を示す。簡易運搬具Hは取手1を備えており、当該取手1は略矩形で一定幅のリング状に成形されて、その内空間は略矩形の開口11となっている。取手1の略矩形断面(図2)をなす上辺は運搬者が握る握り部12となっている。また、取手1の下辺13は、開口縁を構成するその上面が後方(図2の右方)へ向けて傾斜して当接面131となっている。上記開口11内には下辺13に沿う上方位置に挟持体2が配設されている。挟持体2は円柱形をなし、その外周面には長手方向へ延びる滑り止めのローレット溝21(図1)が周方向へ多数形成されている。
【0012】
挟持体2の両端にはそれぞれ板状の旋回腕22の先端(下端)221がピン23によって結合されている。旋回腕22は取手1の左右の側辺14,15に沿った開口11内に上下方向へ向いて互いに平行に位置しており、その基端(上端)222はそれぞれ軸体24によって各側辺14,15に回動可能に支持されている。旋回腕22の先端221の旋回軌跡Lは途中で当接面131と交差している。なお、必ずしも交差させる必要はないが、交差させた方が挟持体2と当接面131による後述の袋開口部の挟持が効率的になされる。旋回腕22と側辺14の間には図3に示すような比較的弱いバネ力のバネ部材25が一端251を側辺14に、他端252を旋回腕22に固定されて設けてある。旋回腕22はバネ部材25のバネ力によって当接面131に向けて旋回付勢されており、挟持体2の外周面が当接面131に接している。このようなバネ部材25を設けると、挟持体2は取手1の姿勢変化に無関係に常時開口11内に位置させられるから好ましい。
【0013】
簡易運搬具Hを使用する場合には、変形自在な一枚の包装部材、例えば風呂敷3を図4に示すように拡げて荷物4を入れ、この荷物4を包むように風呂敷3の四隅をつまんで袋開口部31とし、風呂敷3全体を袋状にする(図5)。その後、簡易運搬具Hの取手1内の挟持体2を図6に示すように当接面131から離間する方向へバネ力に抗して前方へ旋回させ、挟持体2と当接面131の間の開口11内に、四隅をつまんで生じた袋開口部31を後方から挿入する。続いて、挟持体2をバネ力で当接面131方向へ戻り旋回させると、図7に示すように挟持体2と当接面131との間に袋開口部31が挟持される。
【0014】
この状態で取手1を握って袋状の風呂敷3を持ち上げると、風呂敷3内の荷物4の自重で袋開口部31は開口11外へ引き出されようとするが、摩擦力で引かれる挟持体2は当接面131にさらに近接するように旋回移動して挟持体2と当接面131の間隔が狭まるから、取手1からの袋開口部31の脱落が確実に阻止されて、風呂敷3が取手1に吊り下げられる。なお、挟持体2と当接面131の間の開口11内へ袋開口部31を挿入する際に、袋開口部31の挿入と同時に挟持体2を当接面131から離間する方向へバネ力に抗して押圧旋回させるようにしても良い。
【0015】
このようにして荷物4を収納した風呂敷3を簡易運搬具Hで運んだ後、荷物4を取り出す場合には、風呂敷3を床面上等に置いて荷物4の自重を解消し、挟持体2を掴んで当接面131から離間する方向へ旋回させた後に袋開口部31を開口11外へ引き出す。この際、袋開口部31を一旦開口11内へ挿入する方向へ押し込んで挟持体2を当接面131から離間する方向へ押圧旋回させ、この状態を維持しつつ袋開口部31を開口11外へ引き出すようにしても良い。
【0016】
本実施形態の簡易運搬具Hによれば、荷物4を収納する袋部に、繰り返し使用可能な風呂敷3を使うことができるから、資源の無駄な消費が避けられるとともに、回収廃棄の手間も軽減される。そして、風呂敷3は折り畳んで小スペースで保管することができるとともに、異形の荷物4であっても風呂敷3が自由に変形することによって無駄な空間を生じることなく効率的に収納し運搬することができる。なお、風呂敷3に代えてスカーフ等を使用することもでき、また、風呂敷等は必ずしも四角形である必要はない。
【0017】
スーパーマーケット等で買い物をする場合には図8に示すように買い物かご5内に風呂敷3を拡げておき、この状態で購入商品を買い物かご5内に入れてレジを通った後、商品を包むように風呂敷3の四隅をつまんで全体を袋開口部31を有する袋状にして(図9)、既述の手順で袋開口部31を挟持体2と取手1の当接面131との間に挟持させる。
【0018】
図10に示すように、風呂敷3の袋開口部31を挟持体2の上方からこれの前側周面を経て当接面131との間に挿入するようにすると、風呂敷3の開口11からの脱落がさらに確実に阻止される。
【0019】
図11に示すように風呂敷3を四つ折りにすると、つまんだ四つ角部の下方に四つの小さな袋部32(うち二つを図示)が形成されるから、四つ角部を袋開口部31として既述の手順で挟持体2と取手1の当接面131との間に挿入し挟持させることにより、各袋部32内に小物商品等を手軽に収納して運搬することができる。
【0020】
図12に示すように、旋回腕22の基端222から上方へ操作アーム223を延ばしておく。このようにすると、バネ部材のバネ力を大きくした場合にも、操作アーム223を掴んで挟持体2をバネ力に抗して当接面131から離間する方向へ容易に旋回させることができる。
【0021】
(第2実施形態)
図13に示すように、板材を略L字断面に成形して挟持体6としても良い。図13において、挟持体6は金属板材を略L字断面に屈曲成形したもので、その水平部が挟持部61に、起立部が旋回腕部62になっている。旋回腕部62の上端621は欠円形に湾曲させられて軸体24の外周に回動可能に装着されており、挟持体6を後方(図13の右方)へ旋回させると挟持部61は次第に当接面131に接近する。本実施形態では第1実施形態におけるバネ部材25は設けられていない。
【0022】
このような構造において、挟持体6と当接面131の間の開口11内に、上記第1実施形態で説明したように、風呂敷等の四隅をつまんで生じた袋開口部を後方から挿入する。袋開口部の挿入と同時に挟持体6を当接面131から離間する方向へ押圧旋回させる。この状態で取手1を握って袋状の風呂敷を持ち上げると、風呂敷内の荷物の自重で袋開口部は開口11外へ引き出されようとするが、摩擦力で引かれる挟持体6は当接面131にさらに近接するように後方へ旋回移動して挟持部61と当接面131の間隔が狭まるから、この間に袋開口部がさらに強く挟着されて、取手1からの袋開口部の脱落が確実に阻止され、風呂敷が取手1に吊り下げられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態を示す、簡易運搬具の正面図である。
【図2】簡易運搬具の側面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】簡易運搬具の使用過程を示す風呂敷の斜視図である。
【図5】簡易運搬具の使用過程を示す、袋状にした風呂敷の側面図である。
【図6】簡易運搬具の使用過程を示す側面図である。
【図7】簡易運搬具の使用過程を示す側面図である。
【図8】簡易運搬具の他の使用過程を示す、買い物かご内に風呂敷を拡げた斜視図である。
【図9】簡易運搬具の他の使用過程を示す、買い物かご内の風呂敷を袋状にした斜視図である。
【図10】簡易運搬具による風呂敷の他の吊下げ方法を示す側面図である。
【図11】簡易運搬具による風呂敷のさらに他の吊下げ方法を示す側面図である。
【図12】簡易運搬具の他の構造を示す側面図である。
【図13】本発明の第2実施形態を示す簡易運搬具の断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1…取手、11…開口、131…当接面(開口縁)、2…挟持体、22…旋回腕、3…風呂敷(包装部材)、31…袋開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は簡易運搬具に関し、特に、風呂敷やスカーフのような包装部材を使用して物品を簡易に運搬できるようにした簡易運搬具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケット等で無料配布される樹脂製のいわゆるレジ袋を、資源の有効利用や回収廃棄の手間軽減等の観点から廃止して、繰り返し使用可能な専用買物かごへ転換することが推奨されつつある。なお、特許文献1には袋の開口部を、ヒンジ部で折り曲げ可能な一対の嵌合片で挟持する提げ手が開示されている。
【特許文献1】特開2000−238798
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、専用買物かごはその定形性のために、保管や、少量の荷物の持ち運びにも嵩張るという問題があるとともに、球形の荷物等は直径が寸法上の制約を越えると十分な収容容積があるにもかかわらず収納できないという問題もある。
【0004】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、保管等に嵩張らず、しかも荷物形状に応じて効率的にこれを収納して運搬できる簡易運搬具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本第1発明では、運搬者が握る取手(1)と、取手(1)に設けられた開口(11)と、開口(11)に付設された挟持体(2)とを備え、変形自在な一枚の包装部材(3)を袋状にしてその袋開口部(31)を上記開口(11)内に挿入して、挟持体(2)と開口(11)の開口縁(131)との間で袋開口部(31)を挟持するとともに挟持体(2)は袋開口部(31)が開口(11)から引き出される方向へ移動した時に開口縁(131)に接近するように構成されている。
【0006】
本第1発明において、変形自在な一枚の包装部材を拡げて荷物を入れ、この荷物を包むように包装部材を袋状にする。その後、挟持体と開口縁の間に包装部材の袋開口部を挿入する。取手を握って袋状の包装部材を持ち上げると、包装部材内の荷物の自重で袋開口部は開口から引き出されようとするが、挟持体が開口縁に接近するように移動して挟持体と開口縁の間隔が狭まり、取手からの袋開口部の脱落が阻止されて、包装部材が取手に吊り下げられる。
【0007】
本第1発明によれば、荷物を収納する袋部に、繰り返し使用可能な包装部材を使うことができるから、資源の無駄な消費が避けられるとともに、回収廃棄の手間も軽減される。そして、包装部材は折り畳んで小スペースで保管することができるとともに、異形の荷物であっても包装部材が自由に変形することによって無駄な空間を生じることなく効率的に収納し運搬することができる。
【0008】
本第2発明では、上記挟持体(2)は開口(11)内で旋回腕(22)によって旋回移動可能に支持されており、開口縁(131)との間で袋開口部(31)を挟持した状態で袋開口部(31)が開口(11)から引き出される方向へ移動した時に開口縁(131)に接近するように旋回移動させられる。
【0009】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の簡易運搬具によれば、保管等に嵩張らず、しかも荷物形状に応じて効率的にこれを収納して運搬することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1には簡易運搬具の正面図を示し、図2にはその側面図を示す。簡易運搬具Hは取手1を備えており、当該取手1は略矩形で一定幅のリング状に成形されて、その内空間は略矩形の開口11となっている。取手1の略矩形断面(図2)をなす上辺は運搬者が握る握り部12となっている。また、取手1の下辺13は、開口縁を構成するその上面が後方(図2の右方)へ向けて傾斜して当接面131となっている。上記開口11内には下辺13に沿う上方位置に挟持体2が配設されている。挟持体2は円柱形をなし、その外周面には長手方向へ延びる滑り止めのローレット溝21(図1)が周方向へ多数形成されている。
【0012】
挟持体2の両端にはそれぞれ板状の旋回腕22の先端(下端)221がピン23によって結合されている。旋回腕22は取手1の左右の側辺14,15に沿った開口11内に上下方向へ向いて互いに平行に位置しており、その基端(上端)222はそれぞれ軸体24によって各側辺14,15に回動可能に支持されている。旋回腕22の先端221の旋回軌跡Lは途中で当接面131と交差している。なお、必ずしも交差させる必要はないが、交差させた方が挟持体2と当接面131による後述の袋開口部の挟持が効率的になされる。旋回腕22と側辺14の間には図3に示すような比較的弱いバネ力のバネ部材25が一端251を側辺14に、他端252を旋回腕22に固定されて設けてある。旋回腕22はバネ部材25のバネ力によって当接面131に向けて旋回付勢されており、挟持体2の外周面が当接面131に接している。このようなバネ部材25を設けると、挟持体2は取手1の姿勢変化に無関係に常時開口11内に位置させられるから好ましい。
【0013】
簡易運搬具Hを使用する場合には、変形自在な一枚の包装部材、例えば風呂敷3を図4に示すように拡げて荷物4を入れ、この荷物4を包むように風呂敷3の四隅をつまんで袋開口部31とし、風呂敷3全体を袋状にする(図5)。その後、簡易運搬具Hの取手1内の挟持体2を図6に示すように当接面131から離間する方向へバネ力に抗して前方へ旋回させ、挟持体2と当接面131の間の開口11内に、四隅をつまんで生じた袋開口部31を後方から挿入する。続いて、挟持体2をバネ力で当接面131方向へ戻り旋回させると、図7に示すように挟持体2と当接面131との間に袋開口部31が挟持される。
【0014】
この状態で取手1を握って袋状の風呂敷3を持ち上げると、風呂敷3内の荷物4の自重で袋開口部31は開口11外へ引き出されようとするが、摩擦力で引かれる挟持体2は当接面131にさらに近接するように旋回移動して挟持体2と当接面131の間隔が狭まるから、取手1からの袋開口部31の脱落が確実に阻止されて、風呂敷3が取手1に吊り下げられる。なお、挟持体2と当接面131の間の開口11内へ袋開口部31を挿入する際に、袋開口部31の挿入と同時に挟持体2を当接面131から離間する方向へバネ力に抗して押圧旋回させるようにしても良い。
【0015】
このようにして荷物4を収納した風呂敷3を簡易運搬具Hで運んだ後、荷物4を取り出す場合には、風呂敷3を床面上等に置いて荷物4の自重を解消し、挟持体2を掴んで当接面131から離間する方向へ旋回させた後に袋開口部31を開口11外へ引き出す。この際、袋開口部31を一旦開口11内へ挿入する方向へ押し込んで挟持体2を当接面131から離間する方向へ押圧旋回させ、この状態を維持しつつ袋開口部31を開口11外へ引き出すようにしても良い。
【0016】
本実施形態の簡易運搬具Hによれば、荷物4を収納する袋部に、繰り返し使用可能な風呂敷3を使うことができるから、資源の無駄な消費が避けられるとともに、回収廃棄の手間も軽減される。そして、風呂敷3は折り畳んで小スペースで保管することができるとともに、異形の荷物4であっても風呂敷3が自由に変形することによって無駄な空間を生じることなく効率的に収納し運搬することができる。なお、風呂敷3に代えてスカーフ等を使用することもでき、また、風呂敷等は必ずしも四角形である必要はない。
【0017】
スーパーマーケット等で買い物をする場合には図8に示すように買い物かご5内に風呂敷3を拡げておき、この状態で購入商品を買い物かご5内に入れてレジを通った後、商品を包むように風呂敷3の四隅をつまんで全体を袋開口部31を有する袋状にして(図9)、既述の手順で袋開口部31を挟持体2と取手1の当接面131との間に挟持させる。
【0018】
図10に示すように、風呂敷3の袋開口部31を挟持体2の上方からこれの前側周面を経て当接面131との間に挿入するようにすると、風呂敷3の開口11からの脱落がさらに確実に阻止される。
【0019】
図11に示すように風呂敷3を四つ折りにすると、つまんだ四つ角部の下方に四つの小さな袋部32(うち二つを図示)が形成されるから、四つ角部を袋開口部31として既述の手順で挟持体2と取手1の当接面131との間に挿入し挟持させることにより、各袋部32内に小物商品等を手軽に収納して運搬することができる。
【0020】
図12に示すように、旋回腕22の基端222から上方へ操作アーム223を延ばしておく。このようにすると、バネ部材のバネ力を大きくした場合にも、操作アーム223を掴んで挟持体2をバネ力に抗して当接面131から離間する方向へ容易に旋回させることができる。
【0021】
(第2実施形態)
図13に示すように、板材を略L字断面に成形して挟持体6としても良い。図13において、挟持体6は金属板材を略L字断面に屈曲成形したもので、その水平部が挟持部61に、起立部が旋回腕部62になっている。旋回腕部62の上端621は欠円形に湾曲させられて軸体24の外周に回動可能に装着されており、挟持体6を後方(図13の右方)へ旋回させると挟持部61は次第に当接面131に接近する。本実施形態では第1実施形態におけるバネ部材25は設けられていない。
【0022】
このような構造において、挟持体6と当接面131の間の開口11内に、上記第1実施形態で説明したように、風呂敷等の四隅をつまんで生じた袋開口部を後方から挿入する。袋開口部の挿入と同時に挟持体6を当接面131から離間する方向へ押圧旋回させる。この状態で取手1を握って袋状の風呂敷を持ち上げると、風呂敷内の荷物の自重で袋開口部は開口11外へ引き出されようとするが、摩擦力で引かれる挟持体6は当接面131にさらに近接するように後方へ旋回移動して挟持部61と当接面131の間隔が狭まるから、この間に袋開口部がさらに強く挟着されて、取手1からの袋開口部の脱落が確実に阻止され、風呂敷が取手1に吊り下げられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態を示す、簡易運搬具の正面図である。
【図2】簡易運搬具の側面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】簡易運搬具の使用過程を示す風呂敷の斜視図である。
【図5】簡易運搬具の使用過程を示す、袋状にした風呂敷の側面図である。
【図6】簡易運搬具の使用過程を示す側面図である。
【図7】簡易運搬具の使用過程を示す側面図である。
【図8】簡易運搬具の他の使用過程を示す、買い物かご内に風呂敷を拡げた斜視図である。
【図9】簡易運搬具の他の使用過程を示す、買い物かご内の風呂敷を袋状にした斜視図である。
【図10】簡易運搬具による風呂敷の他の吊下げ方法を示す側面図である。
【図11】簡易運搬具による風呂敷のさらに他の吊下げ方法を示す側面図である。
【図12】簡易運搬具の他の構造を示す側面図である。
【図13】本発明の第2実施形態を示す簡易運搬具の断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1…取手、11…開口、131…当接面(開口縁)、2…挟持体、22…旋回腕、3…風呂敷(包装部材)、31…袋開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬者が握る取手と、前記取手に設けられた開口と、前記開口に付設された挟持体とを備え、変形自在な一枚の包装部材を袋状にしてその袋開口部を前記開口内に挿入して、前記挟持体と前記開口の開口縁との間で前記袋開口部を挟持するとともに前記挟持体は前記袋開口部が前記開口から引き出される方向へ移動した時に前記開口縁に接近するように構成されている簡易運搬具。
【請求項2】
前記挟持体は前記開口内で旋回腕によって旋回移動可能に支持されており、前記開口縁との間で前記袋開口部を挟持した状態で当該袋開口部が前記開口から引き出される方向へ移動した時に前記開口縁に接近するように旋回移動させられる請求項1に記載の簡易運搬具。
【請求項1】
運搬者が握る取手と、前記取手に設けられた開口と、前記開口に付設された挟持体とを備え、変形自在な一枚の包装部材を袋状にしてその袋開口部を前記開口内に挿入して、前記挟持体と前記開口の開口縁との間で前記袋開口部を挟持するとともに前記挟持体は前記袋開口部が前記開口から引き出される方向へ移動した時に前記開口縁に接近するように構成されている簡易運搬具。
【請求項2】
前記挟持体は前記開口内で旋回腕によって旋回移動可能に支持されており、前記開口縁との間で前記袋開口部を挟持した状態で当該袋開口部が前記開口から引き出される方向へ移動した時に前記開口縁に接近するように旋回移動させられる請求項1に記載の簡易運搬具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−29440(P2009−29440A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192714(P2007−192714)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【特許番号】特許第4079988号(P4079988)
【特許公報発行日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(598060970)オオクラエンジニアリング 株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【特許番号】特許第4079988号(P4079988)
【特許公報発行日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(598060970)オオクラエンジニアリング 株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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