説明

米粉入りそば麺

【課題】従来困難とされていた米粉を添加したそば麺を提供することであり、ゆでても切れない、のどごしが良く、歯切れの良い食感を有するそば麺の最適な材料割合・製造方法を確立し、米を米飯以外の食材として提供することにより国内余剰米の消費拡大に貢献する。
【解決手段】所定混合比のそば粉と小麦粉、米粉を混練してそば生地を製造する。混合比は、そば粉:小麦粉:米粉:水の重量割合で、ほぼ6:3:1:4である。使用する小麦粉の主成分はスペルト小麦とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉入りそば(蕎麦)麺に関し、詳しくは、そばの風味に富み、小麦粉の割合を増やすことなく、米粉を用いたそば麺の原料割合、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、そば麺を作る場合、図2のその製造工程を順に示すように、例えば、そば粉60%(重量)と小麦粉40%(重量)とからなるそばの原料を用意し、これら原料総重量の40%に相当するの水を添加させる。そして、これらの原料及び水を製麺機で丹念に混練して腰の強い生そば(そば生地)を作る。そば粉とつなぎに使用する小麦粉の配合割合に応じて8割そば、7割そばなどと名称が変わる。かつては手打ちであったが、現在は機械製のものも多く作られている。
【0003】
また、特許文献1には、日本そばを除く麺類の製造工程において、予め米粉を重量の1倍以上の水に浸漬処理後、この浸漬処理米粉を浸漬水とともに、若しくは浸漬水と分離した後、小麦粉に対する米粉の添加量が1〜50重量%になるように小麦粉を加え、製麺することを特徴とする米粉を混入した、日本そばを除く麺類の改良製造法が提案されている。
【0004】
しかし特許文献1は日本そば以外の麺を作成するために米粉を混入した技術であって、同文献の第2ページ後段に、「日本そばにはほとんど無効であり、・・・、そば粉にその原因があると推定されるがその機構は全く不明である。」とあるように米粉を添加してつくるそばの製造には成功していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭57−4220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、そばを製造するとき、米粉を添加し、米粉の消費拡大と併せて、ゆでても切れない、のどごしが良く、歯切れの良い食感を有するそばを作成することである。
【0007】
一般にそば粉に含まれるタンパク質は小麦粉と違ってグルテンを形成しないので、水だけを加えて練ってもまとまりにくい。また、米粉もそば同様グルテンを形成しない。そのため、小麦粉の混合比を高めることなく、使用小麦の25%重量を米粉に替え、できるだけそば粉の混合比を高め、従来のそばよりも切れにくく、風味をもつそばを作ることを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】
【0008】
所定混合比のそば粉と小麦粉と米粉に、水を加えて混練することによってそば生地を製造し、該そば生地を裁断して得られる米粉入りそば麺であって、前記小麦粉の主原料がスペルト小麦であることを特徴とする米粉入りそば麺である。
【0009】
前記そば粉と小麦粉と米粉と水の重量割合が、ほぼ6:3:1:4であることを特徴とする米粉入りそば麺である。
【0010】
使用する小麦粉の主成分をスペルト小麦にすることにより、つなぎとしての粘土が高くなり、小麦粉を減らした分を米粉に置き換えても充分に従来のそばに対向しうる品質が得られた。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のそば粉に小麦粉を添加して作るそばと同じように、そばの風味に富み、かつ、歯切れの良い食感を有する美味しいそばを得ることができる。
【0012】
そばを作る場合、そば粉に小麦粉を添加しているが、小麦粉の価格高騰のあおりを受けて、小麦粉に替わる材料として身近にある米粉を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明のそば製造方法の全工程図。
【図2】図2は、従来そばの製造方法の全工程図。
【図3】図3は、そばの配合割合による食味評価の結果。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、本発明のそばの製造方法では、まず、そば粉を60%(重量)に小麦粉30%(重量)、米粉10%(重量)とからなるそば原料を用意し、このそば原料に対して40%(重量)の水を添加して、十分時間をかけて混練りしてそば生地を作る。製麺機で裁断してそばをつくる。その後、従来と同様に所定の時間そば生地を熱湯でゆで、そばつゆとともに腰の強いそばとして客に提供する。
【0015】
そば粉と小麦粉、米粉の混合比を6:3:1とし、水を原料の40%(重量)以上添加したそばは、ゆでても切れず、長い形状を保つことができる。また、そば粉を60%(重量)使用することから、得られるそばは、そば本来の風味の強いものである。そば粉が60%(重量)以下になると、得られるそばが十分な風味が得られにくい。
【0016】
本発明で使用する小麦粉は、スペルト小麦を使用することを必須としている。澱粉の粘度が高くなり、食感にも大きく影響を及ぼす。ゆでても切れにくく、のどごしが良く、歯切れの良いそばができる。
【0017】
図3は、そばの配合、及び小麦粉の原料(通常の小麦とスペルト小麦)を変えてそばを作り、評価した結果である。
通常の小麦粉で、小麦粉の25%を米粉に変えただけでは(実例3)では、うどんのように白く、そばらしくならなかったが、スペルト小麦を使うことにより(実例1)最初はやや白いが、2〜3日経過すると本来のそばの色に変化し、香りも良く、通常のそばと遜色ない非常においしいそばを得ることができた。
【0018】
加工施設内の温度や湿度が影響するが、水の使用量は基本的には、原料重量の40%以上用いる。
【0019】
米粉の製粉技術は、胴搗き製粉、気流粉砕、ロール粉砕等あるが製粉技術や米粉の粒子の大きさについては問わない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定混合比のそば粉と小麦粉と米粉に、水を加えて混練することによってそば生地を製造し、該そば生地を裁断して得られる米粉入りそば麺であって、前記小麦粉の主原料がスペルト小麦であることを特徴とする米粉入りそば麺。
【請求項2】
前記そば粉と小麦粉と米粉と水の重量割合が、ほぼ6:3:1:4であることを特徴とする請求項1に記載した米粉入りそば麺。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−41515(P2011−41515A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191926(P2009−191926)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(309019512)有限会社 ほっと今庄 (1)
【Fターム(参考)】