説明

米粒代用食品

【課題】糖質を多量に摂取することから起きる肥満や生活習慣病の予防・治療を目的として、外観、風味においてご飯と類似し、しかも糖質含量が非常に少ない米粒代用食品品を提供する。
【解決手段】 豆腐を原料とし、40重量%〜60重量%の範囲内の重さまで水切りされているとともに、平均径が2.8mm〜4.6mmの範囲内の寸法の粒状に加工されることによって、ご飯粒に類似した食感を付与する。
粒状の豆腐の表面をゼラチン又はオオバコ種皮の成分によってコーティングすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米粒代用食品に関し、特に木綿豆腐を原料とし、米粒の代わりに主食として摂取することのできる食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,糖類、糖質食品の過剰摂取が生活習慣病につながるとの研究結果や学説が多数発表されている。また、糖質をカットした食事をすることにより、必要なエネルギーや栄養を保ちつつ体重を減少できるとの報告がなされている(特許文献1)。この特許文献1記載の食品はパンやクッキーなどであって、主食として摂取し得るものではなかった。
【0003】
他方、蒟蒻を原料として粒状に加工し、低カロリーの米粒代用食品か提案されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
【0004】
【特許文献1】特許第3687049号公報
【特許文献2】特開平05− 304904号公報
【特許文献3】特開平07−265011号公報
【特許文献4】特開2003−235494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2〜4記載の米粒代用食品は蒟蒻を原料とし、糖質をほとんど含まず、低カロリーで満腹感は得られるものの、蛋白質などの必要な栄養が含まれておらず、主食として毎日摂取することは難しい。
【0006】
本発明はかかる状況において、食品衛生上安全で、糖質をほとんど含まず、毎日でも米に代わって主食として摂取しうる米粒代用食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る米粒代用食品は、豆腐を原料とし、40重量%〜60重量%の範囲内の重さまで水切りされているとともに、平均径が2.8mm〜4.6mmの範囲内の寸法の粒状に加工されることによって、ご飯粒に類似した食感を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る米粒代用食品の製造方法は、豆腐を原料として飯粒に類似した食感を有する米粒代用食品を製造するにあたり、原料豆腐を上下のプレートで挟み、豆腐1丁当たり1.5kgf以上の荷重を加えて原料豆腐が40%〜60%の範囲内の重さになるまで水切りした後、2.8mm〜4.6mmの範囲内の内径の孔を通過させながら2.8〜4.6mmの範囲内の長さで切断することによって粒状に加工するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る米粒代用食品の製造方法は、豆腐を原料としてご飯粒に類似した食感を有する米粒代用食品を製造するにあたり、原料豆腐を上下のプレートで挟み、豆腐1丁当たり1.5kgf以上の荷重を加えて原料豆腐が40%〜60%の範囲内の重さになるまで水切りした後、7メッシュを超え4メッシュ未満の範囲の目開きを有する網目を用いて裏ごしをすることによって粒状に加工するようにしたことを特徴とする。
【0010】
本件発明者らは、十分な量の蛋白質を含むが、糖質含有量が少なく、日常よく摂取されている豆腐に着目し、豆腐から米に代わりうる食品を製造することを思いついた。
【0011】
豆腐は一般に水分を多く含み、しかも豆腐特有の臭いがしてそのままでは米の代替物とはなりえない。そこで、豆腐から水分を除去するとともに粒状に成形することにより、食感及び豆腐臭の問題を解決できることが判明した。
【0012】
水切りは豆腐の重量が原料豆腐の半分程度、つまり40重量%〜60重量%の範囲内の重さになるまで行うのがよく、豆腐を上下のプレート、例えば俎板で挟み、重錘を乗せて重力により水気を切るのが好ましい。なお、豆腐に加える荷重は豆腐1丁あたり1.5kgf以上とするのがよい。1.5kgf未満では相当の長時間をかけないと十分に水切りを行うことができないからである。
【0013】
水切りした豆腐を粒状にする場合、押出しや裏ごしによる成形がよい。例えば、押出しによって成形する場合、オリフィスの口径を2.8mm〜4.6mm程度とするのが好ましい。
【0014】
また、水切りした豆腐を裏ごしによって粒状に成形する場合、網目が4メッシュ(目開き4.699mm)では粒が大きすぎて、摂取した場合に豆腐特有の風味が出てしまい、7メッシュ(目開き2.794mm)では粒が小さすぎて米粒の食感が得られず、どちらも好ましくない。そこで、7メッシュ(目開き2.794mm)を超え、4メッシュ(目開き4.699mm)未満の範囲の目開きの網目を採用するのがよい。もっとも好ましい結果を示したのは、日本薬局方2号(4.25mm角)のふるいを通して得た製品であり、ご飯と同様の風味及び食感を示した。
【0015】
粒状の豆腐は卵かけご飯、お茶漬け、丼物、チャーハン、ちらし寿司に使用できるが、巻き寿司、いなり寿司、おにぎりなど、形状をまとめる必要がある場合には使い難い。そこで、粒状の豆腐の表面をゼラチンなどでコーティングすると、形状をまとめることができることが分かった。
【0016】
すなわち、本発明によれば、粒状の豆腐の表面をゼラチン又はオオバコ種皮の成分によってコーティングした米粒代用食品を提供することができる。
【0017】
具体的には、得られた粒状の豆腐に対してゼラチン粉末をふりかけて加温することによって粒状豆腐の表面をゼラチンによってコーティングすることができる。
【0018】
また、得られた粒状の豆腐に対してオオバコ種皮粉末をふりかけることによって粒状豆腐の表面をオオバコ種皮によってコーティングすることができる。
【0019】
ゼラチン粉末の使用量は粒状豆腐に対し0.6重量%〜1.7重量%程度でよい。なお、ゼラチンの場合は、混合に際して加温するのがよく、その温度は、25°C〜30°C程度でよい。オオバコ種皮の使用量は粒状豆腐に対し0.3重量%〜0.4重量%程度でよい。コーティングされた粒状豆腐が温かいうちに押し固め、成形することによって、握り寿司、巻き寿司、押し寿司、おにぎり等の食品を得ることができる。
【0020】
本発明に係る米粒代用食品は冷凍保存することもできる。その場合は、高野豆腐のような黄色又はうすい褐色に変化しやすいので注意を要する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る米粒代用食品は、外観及び風味がご飯粒に類似し、それ自体としては糖質がほとんど含まれていないので、ご飯の代替品として摂取し得る。従来、糖質をカットした食生活を続けようとしても、それが長期にわたると、糖質を主食とする食生活が捨てきれず、また元の木阿弥に戻ってしまう事例が多々見られたが、本発明によれば、そのような結果を来すことなく、特別な努力を要することなく、必要な蛋白質を摂取しつつ、糖質を押さえた食生活をおくることが可能である。従って、生活習慣病の予防、治療に大いに貢献しうるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0023】
市販の木綿豆腐(重さ360g)を朴木製の板上に置き、同様の板を乗せて豆腐を挟み、豆腐1丁当たり1.6kgfの重錘を置いて水切りし、豆腐重量を180gとした。これを日本薬局方2号(4.25mm角)ふるいを用いて裏ごしを行い、粒状豆腐(平均径4.25mm)を得た。
【実施例2】
【0024】
実施例1で得られた粒状豆腐180gに対してオオバコ種皮粉末0.5g〜0.7gをふりかけた。
【実施例3】
【0025】
実施例1で得られた粒状豆腐180gに対してゼラチン粉末1g〜3gをふりかけ、少し加温した。
【実施例4】
【0026】
実施例1で得られた粒状豆腐130gを丼に入れ、生卵をかけ、醤油で味付けすると、普通の卵かけご飯であった。
【実施例5】
【0027】
実施例1で得られた粒状豆腐130gを丼に入れ、塩辛、アミ、梅干、おかか、塩鮭などを添え、お茶(又は清し汁)をかけ、食すると、白米の場合と全く同様のお茶漬けであった。
【実施例6】
【0028】
実施例1で得られた粒状豆腐130gを丼にいれる。砂糖や味醂の代わりにカロリーの低い市販の甘味料を使い、親子丼の具を調理し、この具を丼の粒状豆腐の上からかけたところ、白米の場合と何ら変わらない美味しい親子丼であった。
【実施例7】
【0029】
実施例1で得られた粒状豆腐130gを丼に入れる。海老、いか、ピーマン(彩り)などを原料とし、焙煎ふすま(又は焙煎ぬか)とグルテンを主成分とし少量のおおばこ種皮を加えた食品素材(特許第3687049号)を用いて天ぷらを作り、丼の粒状豆腐の上にのせ、砂糖や味醂の入っていない天つゆをかけ、食したところ、白米の場合と何ら変わらない天丼であった。
【実施例8】
【0030】
実施例1で得られた粒状豆腐240gを丼に入れる。醤油とカロリー0の市販の甘味料を用いて鰻の蒲焼を作る。醤油と鰻の骨とカロリー0の市販の甘味料を用いてタレをつくり、蒲焼を粒状豆腐の上に載せ、タレをかけて食したところ、美味しい鰻重であった。
【実施例9】
【0031】
実施例1で得られた粒状豆腐130gを丼に入れる。カロリー0の市販の甘味料とオリーブ油などの植物油を使って牛肉の大和煮を作り、粒状豆腐に載せ、温泉卵を添えて食したところ、白米の場合と変わらない牛丼であった。
【実施例10】
【0032】
実施例1で得られた粒状豆腐、卵、干し小エビ、生シイタケ、ニラ、塩、豚ひき肉をフライパンで炒めたところ、美味しい焼き飯であった。
【実施例11】
【0033】
実施例2で得られた粒状豆腐を手にとってまとめて握ると、おにぎりが得られた。このおにぎりに鮭、おかか、梅干などの具を中に入れあるいはふりかけて食したところ、白米のおにぎりと何ら変わらないおにぎりであった。
【実施例12】
【0034】
実施例3で得られた粒状豆腐を手で握り、鮭、おかか、梅干などの具を中に入れあるいはふりかけて食したところ、美味しいおにぎりであった。
【実施例13】
【0035】
実施例1で得られた粒状豆腐に三杯酢を入れて味を整え、これにオオバコ種皮の粉末を粒状豆腐180gに対して0.5g〜2g程度ふりかけ、寿司飯を作った。この寿司飯を器に入れ、錦糸卵をのせ、他の寿司ねたをのせて食したことろ、白米のちらし寿司と変わらないちらし寿司であった。
【実施例14】
【0036】
実施例13で得られた寿司飯を用いて軍艦巻きを作り、食したところ、違和感なく食することができた。
【実施例15】
【0037】
実施例13で得られた寿司飯を焼き海苔の上にひろげ、干しシイタケの煮物の綿切、4等分した胡瓜、マグロ、海老などをのせて巻き、食したところ、白米の巻き寿司と同様の普通の巻き寿司であった。
【実施例16】
【0038】
実施例13で得られた寿司飯に、白ごまとみじん切りした干しシイタケ甘煮を合わせ、味付けにはカロリー0の市販の甘味料を使い、味付けしたすし揚げに入れ、食したところ、美味しいいなり寿司であった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
糖質含量の非常に少ない、毎食、抵抗なく摂取できるご飯代替の食品を簡単に提供できるので、肥満対策、生活習慣病の予防・治療に貢献することが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆腐を原料とし、40重量%〜60重量%の範囲内の重さまで水切りされているとともに、平均径が2.8mm〜4.6mmの範囲内の寸法の粒状に加工されることによって、ご飯粒に類似した食感を有することを特徴とする米粒代用食品。
【請求項2】
上記粒状の豆腐の表面がゼラチン又はオオバコ種皮の成分によってコーティングされている請求項1記載の米粒代用食品。
【請求項3】
豆腐を原料としてご飯粒に類似した食感を有する米粒代用食品を製造するにあたり、
原料豆腐を上下のプレートで挟み、豆腐1丁当たり1.5kgf以上の荷重を加えて原料豆腐が40%〜60%の範囲内の重さになるまで水切りした後、2.8mm〜4.6mmの範囲内の内径の孔を通過させながら2.8〜4.6mmの範囲内の長さに切断することによって粒状に加工するようにしたことを特徴とする米粒代用食品の製造方法。
【請求項4】
豆腐を原料としてご飯粒に類似した食感を有する米粒代用食品を製造するにあたり、
原料豆腐を上下のプレートで挟み、豆腐1丁当たり1.5kgf以上の荷重を加えて原料豆腐が40%〜60%の範囲内の重さになるまで水切りした後、7メッシュを超え4メッシュ未満の範囲の目開きを有する網目を用いて裏ごしをすることによって粒状に加工するようにしたことを特徴とする米粒代用食品の製造方法。
【請求項5】
上記得られた粒状の豆腐に対してゼラチン粉末をふりかけて加温することによって粒状豆腐の表面をゼラチンによってコーティングするようにした請求項3又は4記載の米粒代用食品の製造方法。
【請求項6】
上記得られた粒状の豆腐に対してオオバコ種皮粉末をふりかけることによって粒状豆腐の表面をオオバコ種皮によってコーティングするようにした請求項3又は4記載の米粒代用食品の製造方法。

【公開番号】特開2009−273446(P2009−273446A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130752(P2008−130752)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(504085565)
【出願人】(507386793)
【Fターム(参考)】