説明

米飯供給装置

【課題】板状の米飯の潰れを防止し、また板状の米飯の厚さを変化させることのできる米飯供給装置を提供する。
【解決手段】米飯を板状にして送り出す少なくとも一対のローラ50a、50bと、前記各ローラを送り出し方向に回転させる駆動手段19aと、前記一対のローラ間の相対的距離を変動させる距離変動手段Lと、予め設定されるタイミングで、前記距離変動手段を動作させるように制御する距離制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を板状に成形して送り出す米飯供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米飯供給装置では、米飯を板状に成形して供給する機能を有している。そして、送り出した板状の米飯を所定の長さに分割し、この分割された板状米飯を例えば海苔シート上に供給して海苔巻き等を製造する用途などに利用されている。
【0003】
ここで、板状の米飯は、少なくとも一対のローラに挟まれ、このローラの回転駆動により排出部まで送り出されるようになっている。
【0004】
ところで、板状の米飯の送り出し動作を行う際における前記一対のローラ間の距離は、例えば1.5mmとされており、送り出し直後の板状の米飯の厚さは例えば7mm程度となっている。
【0005】
従来、この種の米飯供給装置に関連する技術としては、本出願人の出願に係る特開2004−49170号公報等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−49170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来技術では、前記一対のローラの回転により所定長さの板状の米飯が送り出され、当該板状の米飯を分割シャッタで分割された後においても、後続の板状の米飯が前記一対のローラで挟まれた状態が保持されていた。
【0008】
この保持状態が所定時間にわたって継続された場合には、板状の米飯が潰れてしまい、前記一対のローラによる送り出しを再開した際に、上述のように通常時には約7mm程となる板状の米飯の厚さが3mm程度まで低減してしまうことが確認されている。
【0009】
このように米飯の厚さが低減されると、板状の米飯を用いた食品の食感を損なうという問題があった。
【0010】
また、従来技術では、前記一対のローラ間の距離が固定されていたので、板状の米飯の厚さに変化をつけることができないという難点もあった。
【0011】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、板状の米飯の潰れを防止し、また板状の米飯の厚さを変化させることのできる米飯供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯供給装置は、米飯を板状にして送り出す少なくとも一対のローラと、前記各ローラを送り出し方向に回転させる駆動手段と、前記一対のローラ間の相対的距離を変動させる距離変動手段と、予め設定されるタイミングで、前記距離変動手段を動作させるように制御する距離制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1に記載の発明について、前記予め設定されるタイミングは、前記一対のローラの回転により送り出された板状の米飯が分割手段により分割されて、前記駆動手段が停止するタイミングであり、そのタイミングで、前記距離制御手段は、前記距離変動手段によって、前記一対のローラ間を最接近させて板状の米飯の送り出しを行う第1の状態から、前記一対のローラ間を最離間させて板状の米飯の送り出しを停止させた第2の状態へと前記一対のローラ間の相対的距離を変動させ、その後、所定の条件に基づいて前記一対のローラ間の相対的距離を前記第2の状態から前記第1の状態に戻すまでを1サイクルとして動作させるように制御することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1に記載の発明について、前記予め設定されるタイミングは、前記一対のローラの回転による板状の米飯の送り出し動作の途中のタイミングであり、そのタイミングで、前記距離制御手段は、前記距離変動手段によって、前記一対のローラ間を最接近させて板状の米飯の送り出しを行う第1の状態と、前記一対のローラ間を前記第1の状態よりも離間させて板状の米飯の送り出しを行う第3の状態との間で前記一対のローラ間の相対的距離を変動させるように制御することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1から請求項3の何れかに記載の発明について、前記一対のローラ間の相対的距離を直接的または間接的に検出する検出手段をさらに備え、前記距離制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記距離変動手段を動作させるように制御することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1から請求項4の何れかに記載の発明について、前記距離変動手段は、前記一対のローラの一方に係合されて、当該一方のローラを他方のローラに対して離間・近接移動させるリンク機構で構成され、前記駆動手段は、前記リンク機構に接続されるモータで構成されることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項5に記載の発明について、前記モータの回転数を検出する回転数検出手段をさらに備え、前記検出手段は、前記回転数検出手段の検出結果に基づいて前記一対のローラ間の相対的距離を間接的に算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、予め設定されるタイミングで距離変動手段を動作させるように制御して、板状の米飯の潰れを防止し、または板状の米飯の厚さを変化させることのできる米飯供給装置を提供することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、板状の米飯の潰れを効果的に防止することのできる米飯供給装置を提供することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、板状の米飯の厚さを効果的に変化させることのできる米飯供給装置を提供することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、距離変動手段をより的確なタイミングで動作させることのできる米飯供給装置を提供することができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、比較的簡易且つ安価な構成で、板状の米飯の潰れを防止し、または板状の米飯の厚さを変化させることのできる米飯供給装置を提供することができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、比較的簡易且つ安価な構成で相対的距離を間接的に算出して、より的確に板状の米飯の潰れを防止し、または板状の米飯の厚さを変化させることのできる米飯供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る米飯供給装置を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る米飯供給装置の断面図である。
【図3】本実施の形態に係る米飯供給装置の要部を拡大して示す斜視図である。
【図4】本実施の形態に係る米飯供給装置に装着されるローラユニットの分解斜視図である。
【図5】本実施の形態に係る米飯供給装置に装着されるローラユニットの斜視図である。
【図6】本実施の形態に係る米飯供給装置に装着されたローラユニットとその周辺構造を示す斜視図である。
【図7】本実施の形態に係る米飯供給装置が備えるリンク機構の構成例を示す側面図である。
【図8】本実施の形態に係る米飯供給装置が備えるリンク機構の構成例の他の状態を示す側面図である。
【図9】本実施の形態に係る米飯供給装置が備えるリンク機構の構成例を示す一部透視図である。
【図10】本実施の形態に係る米飯供給装置が備えるリンク機構の構成例の他の状態を示す一部透視図である。
【図11】本実施の形態に係る米飯供給装置が備える制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図12】本実施の形態に係る米飯供給装置で実行されるシャリ供給動作制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本実施の形態に係る米飯供給装置が備える制御部の他の概略構成を示すブロック図である。
【図14】本実施の形態に係る米飯供給装置で実行されるシャリ供給動作制御処理の他の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る米飯供給装置Mは、米飯R(例えば、炊飯され酢や砂糖等の調味料が混合された米飯R)が投入されるホッパ1と、ホッパ1から供給された米飯Rを解す米飯解し部2と、米飯解し部2で解された米飯Rを上段ローラ5(5a、5b)および下段ローラ50(50a、50b)を用いて上方より下方へ板状に圧縮して送り出すローラユニット4と、ローラユニット4によって送り出される連続した板状の米飯Rを搬送方向と直交する方向に分割する分割シャッタ6と、分割シャッタ6で分割された板状の米飯Rを受け、進退移動するプレート8と、ローラユニット4、分割シャッタ6、プレート8および後述する駆動手段といった装置全体の駆動を制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御手段(距離制御手段も兼ねる)としての制御部10とを備えている。
【0027】
なお、下段ローラ50(50a、50b)の周面には、板状の米飯を送り出す際のシャリ潰れを低減する複数の凹部51が長手方向にわたって形成されている。
【0028】
そして、ホッパ1、米飯解し部2、ローラユニット4、分割シャッタ6およびプレート8を上方から下方に向かって配置することにより構成されている。
【0029】
また、米飯供給装置Mの前面側には、液晶表示部を備えるタッチパネル11が設けられている。
【0030】
そして、ユーザがタッチパネル11を操作することにより、板状米飯Rの厚さ、分割された板状米飯Rの長さ等が設定可能になっている。
【0031】
なお、設定内容に応じて上段ローラ5のトルクと、下段ローラ50の回転速度と分割シャッタ6の分割タイミングが規定され、これにより、設定内容に合った厚さの連続した板状米飯Rがローラユニット4から送り出され、当該板状米飯Rが設定内容に合った長さに分割シャッタ6で分割される。
【0032】
また、下段ローラ50を構成する一対のローラ50a、50bの内、装置前面側のローラ50aは、後述するリンク機構Lにより、ローラ50bとの相対距離が所定のタイミングで変動するように構成されている。なお、リンク機構Lの構成等の詳細については後述する。
【0033】
分割された米飯Rは、例えばシート状の海苔がセットされて後退位置に移動したプレート8上に落下して載置される。そして、当該プレート8が前進位置に移動し、米飯R上に所望の具材を載せた後に米飯供給装置Mの右側手前に設けられたスタートボタン9を押下することで、当該プレート8の前後が隆起して上方で合わさり、海苔巻きが作製される。
【0034】
ここで、米飯解し部2は、複数の解し羽根3を有しており、解し羽根3の回転によってホッパ1からの米飯Rを解しながらローラユニット4に供給するようになっている。
【0035】
また、ローラユニット4は、複数対の上段ローラ5、下段ローラ50が米飯Rの供給方向に沿って配置されている。これら複数対の上段ローラ5、下段ローラ50は、米飯Rの供給方向の上流側から下流側に向かって間隔が狭められるように配置されており、駆動手段(図示せず)により回転駆動されることで米飯Rを板状に圧縮しながら下方に移送する。
【0036】
さて、図2および図3に示すように、前述したローラユニット4は、米飯供給装置Mに形成されたユニット収容室12内に着脱可能に収容されている。ユニット収容室12は前方に開口しており、カバー部材13が取り付けられると当該ユニット収容室12が閉塞され、内部に位置するローラユニット4が隠蔽される。
【0037】
ユニット収容室12の底面には、ローラユニット4の前後位置を規制する規制溝(図示せず)が横方向に延びて形成されている。したがって、カバー部材13を取り外してローラユニット4を前方からユニット収容室12に押し込んで規制溝に嵌め込むことにより、当該ローラユニット4は前後の動きが規制されるとともに、横方向(ローラ5の軸方向)には移動可能な状態となる。なお、ローラユニット4の前後位置の規制は規制溝以外でもよく、例えばローラユニット4を前後を支持する枠体などでもよい。
【0038】
図4および図5において、ローラユニット4は、前述した複数の(ここでは2対の)上段ローラ5、下段ローラ50と、これらのローラ5、50を支持するフレーム14とで構成されている。
【0039】
ローラ50aはフレーム14に支持されておらず、距離変動手段としてのモータ19aおよびリンク機構L(L1、L2)(図6等参照)によってローラ50bとの間隔が変化するように移動可能な構造になっている。なお、リンク機構Lの詳細については後述する。
【0040】
これにより、ユーザがタッチパネル11を操作することにより板状米飯Rを所望の厚さに設定すると、当該設定に応じた量だけモータ19aが回転し、ローラ50aが移動してローラ50bとの間隔が調整される。
【0041】
ユニット収容室12内には、図6に示すように、駆動手段の駆動力を搬送するギア列などの駆動力搬送部16bおよび搬送された駆動力をローラ5に伝達して回転駆動するための軸継手16aが組み付けられた伝達ユニット16がローラユニット4の一方側に配置されている。軸継手16aは各ローラ5に対応して設けられており、当該軸継手16aがローラ5と同軸上で結合されることにより、駆動手段の駆動力により当該ローラが回転駆動される。
【0042】
なお、ローラ50aと結合される軸継手16aはリンク機構Lに回転自在に支持されており、当該リンク機構Lにより前述のように移動する。
【0043】
即ち、ローラ50aを支持するローラ用位置決め部材17bはリンク機構L1に回転自在に支持されており、モータ19aの駆動により他方のリンク機構L2と同期して動作して、ローラ50bとの間隔が変化するようにローラ50aを移動させる。
【0044】
なお、ローラユニット4の伝達ユニット16とは反対側には、ローラユニット4を位置決めするための位置決め部材17が配置されている。
【0045】
また、位置決め部材17はシャフト20に支持されてローラ5の軸方向に移動可能となっている。
【0046】
次に、図7から図10を参照して、リンク機構L1(L2)について説明する。
【0047】
なお、リンク機構L1とL2は対称の関係となるが、構成自体は同様であるので、リンク機構L1の構成についてのみ述べる。
【0048】
ここで、図7および図8はリンク機構L1の動作状態を示し、図9および図10はリンク機構L1の動作に伴うローラ50aと50bの間隔の変動を示している。
【0049】
図7〜図10において、リンク機構L1は、矢印D1、D2方向に往復動作可能な連接節(ロッド)100と、図上、連接節100の左端においてピン200を介して回動可能に連結され、矢印D10、D20方向に揺動可能な従動節101と、図上、連接節100の右端においてピン201を介して回動可能に連結され、モータ19aの駆動力を伝達する原動節102とを備えている。
【0050】
モータ19aには、雄ねじを有する回転軸150が連結され、その回転軸150の下端側には前記雄ねじと螺合される雌ねじを有し、矢印D3、D4方向に昇降される作動子151が回転可能に取り付けられている。
【0051】
原動節102には、前記作動子151と係合されて、この作動子151を摺動させる案内溝102bを有する作動部102aが設けられている。
【0052】
なお、図6に示すように、原動節102は、ロッド400を介して他方側のリンク機構L2と連結され、モータ19aによる駆動力を伝達するようになっている。
【0053】
これにより、例えばモータ19aを正回転させた場合に、作動子151はD3方向に徐々に移動し、その移動に合わせてD3方向の力が、原動節102、ピン201および連接節100によりD1方向の力に変換される。
【0054】
また、例えばモータ19aを逆回転させた場合に、作動子151はD4方向に徐々に移動し、その移動に合わせてD4方向の力が、原動節102、ピン201および連接節100によりD2方向の力に変換される。
【0055】
一方、従動節101において、ピン200に近い下端側には下段ローラ50aが回転軸501を介して回転可能に設けられている。なお、片方の下段ローラ50bはフレーム14の側板14a(14b)の下方側に回転可能に設けられている。
【0056】
また、従動節101の上端部は上段ローラ5aと同軸に回転可能に支持されている。
【0057】
これにより、連接節100のD1方向、D2方向の動きに合わせて、従動節101は矢印D10またはD20の方向に揺動される。
【0058】
したがって、従動節101に設けられている下段ローラ50aも従動節101の動きに合わせてD10方向またはD20方向に揺動されることとなる。
【0059】
これにより、下段ローラ50aと50bとの間隔が、図9および図10に示すよう間隔A1から間隔A2の範囲で変動可能とされる。
【0060】
そして、制御部10の制御により、予め設定されるタイミングで、距離変動手段としてのモータ19aおよびリンク機構Lを動作させるように制御される。
【0061】
ここで、予め設定されるタイミングは、例えばローラ50a、50bの回転により送り出された板状の米飯が分割シャッタ6(分割手段の一例)により分割されて、モータ19aが停止するタイミングとすることができる。
【0062】
そして、そのタイミングで、制御部10は、リンク機構Lによって、一対のローラ50a、50b間を最接近させて板状の米飯の送り出しを行う第1の状態(例えば、図10に示すようにローラ50a、50b間の距離がA2の状態)から、一対のローラ50a、50b間を最離間させて板状の米飯の送り出しを停止させた第2の状態(例えば、図9に示すようにローラ50a、50b間の距離がA1の状態)へとローラ50a、50b間の相対的距離を変動させる。
【0063】
次いで、その後、所定の条件(例えば、所定時間に経過、あるいは所定のスイッチ操作等)に基づいて一対のローラローラ間の相対的距離を前記第2の状態から前記第1の状態に戻すまでを1サイクルとして動作させるように制御する。
【0064】
距離A1および距離A2は、適宜設定可能であるが、例えば、距離A1を3.5mm、距離A2を1.5mmとすることができる。
【0065】
これにより、ローラ50a、50bの回転により送り出された板状の米飯が分割シャッタ6により分割されて、モータ19aが停止した際には、ローラ50a、50b間の相対的距離がA2からA1に変動され、ローラ50a、50b間に挟まれた板状の米飯に対する圧力を低減することができる。
【0066】
したがって、ローラ50a、50bによる板状の米飯の送り出しが再開された場合に、従来のように板状の米飯が潰れて送り出される事態を回避することができ、常に均等な厚さ(例えば7mm厚)の板状の米飯を提供することができる。
【0067】
また、予め設定されるタイミングの別の例として、一対のローラ50a、50bの回転による板状の米飯の送り出し動作の途中のタイミングとすることができる。
【0068】
この場合には、制御部10は、リンク機構Lによって、一対のローラローラ50a、50b間を最接近させて板状の米飯の送り出しを行う第1の状態(例えば、図10に示すようにローラ50a、50b間の距離がA2の状態)と、一対のローラ50a、50b間を前記第1の状態よりも離間させて板状の米飯の送り出しを行う第3の状態(例えば、図9に示すようにローラ50a、50b間の距離がA1の状態、あるいは距離A1よりも短い距離とした状態)との間で一対のローラローラ50a、50b間の相対的距離を変動させるように制御する。
【0069】
これにより、板状の米飯の送り出し途中で厚さに変化を付けることができる。
【0070】
即ち、例えば所定の時間間隔でローラ50a、50b間の距離をA1→A2→A1→A2・・・と変化させることにより、送り出された板状の米飯の幅方向に、所定間隔の溝を形成することができる。
【0071】
そして、例えば海苔巻き等の製造用に前記溝を形成した板状の米飯を適用する場合には、この溝に沿って具材を並べることができ、作業の効率化を図ることができる。
【0072】
次に、図11および図12を参照して、本実施の形態に係る米飯供給装置Mの制御系の構成および処理内容について説明する。
【0073】
図11のブロック図に示す構成例では、制御部10は、CPU等を備える制御基板600と、板状の米飯の厚みの調整に用いられる厚み調整センサ601とから構成され、前記モータ19aで構成される厚み調整モータは、制御基板600からの制御信号に基づいて動作するようになっている。
【0074】
なお、厚み調整センサ601は、特には限定されないが、例えばモータ19aの回転軸に接続されて、その回転数を検出するエンコーダ等で構成することができる。この場合には、エンコーダの出力に基づいてモータ19aの回転数からローラ50a、50b間の距離を間接的に算出することとなる。また、既存のセンサ装置を用いて、ローラ50a、50b間の距離を直接的に検出するようにしてもよい。
【0075】
ここで、図12のフローチャートを参照して、上記構成の制御部10で実行されるシャリ供給動作制御処理の処理手順について説明する。
【0076】
この処理が開始されると、まずステップS10で、図9に示すように連接節100が矢印D1方向に移動するようにモータ(厚み調整モータ)19aを起動する。これにより、従動節101が矢印D10方向への移動を開始し、ローラローラ50a、50b間の相対的距離が距離A1から徐々に狭まっていく。
【0077】
次いで、ステップS11では、厚み調整センサ601がオンされたか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS12に移行する。
【0078】
ステップS12では、厚み調整センサ601の検出信号に基づいて厚み位置の情報を更新してステップS13に移行する。
【0079】
ステップS13では、予め設定した厚み位置(例えば、図10に示す間隔A2(1.5mm等))に到達したか否かが判定される。
【0080】
そして、「No」の場合にはステップS11まで戻って同様の処理を繰り返し、「Yes」の場合にはステップS14に移行して、モータ19aを停止する。
【0081】
次いで、ステップS15では、シャリ供給処理を実行してからステップS16に移行する。なお、シャリ供給処理の詳細な処理内容については省略するが、板状の米飯を予め設定した量を計測して上段ローラ5および下段ローラ50によって送り出し、切断刃で分割する処理である。
【0082】
続いて、ステップS16では、図10に示すように連接節100が矢印D2方向に移動するようにモータ(厚み調整モータ)19aを起動する。これにより、従動節101が矢印D20方向への移動を開始し、ローラローラ50a、50b間の相対的距離が距離A2から徐々に広がっていく。
【0083】
次いで、ステップS17では、厚み調整センサ601がオンされたか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS18に移行する。
【0084】
ステップS18では、厚み調整センサ601の検出信号に基づいて厚み位置の情報を更新してステップS19に移行する。
【0085】
ステップS19では、予め設定した厚み位置(例えば、図9に示す間隔A1(3.5mm等))に到達したか否かが判定される。
【0086】
そして、「No」の場合にはステップS17まで戻って同様の処理を繰り返し、「Yes」の場合にはステップS20に移行して、モータ19aを停止して一連の処理を終了する。
【0087】
これにより、ローラ50a、50bの回転により送り出された板状の米飯が分割シャッタ6により分割されて、モータ19aが停止した際には、ローラ50a、50b間の相対的距離がA2からA1に変動され、ローラ50a、50b間に挟まれた板状の米飯に対する圧力を低減することができる。したがって、ローラ50a、50bによる板状の米飯の送り出しが再開された場合に、従来のように板状の米飯が潰れて送り出される事態を回避することができ、常に均等な厚さの板状の米飯を提供することができる。
【0088】
次に、図13および図14を参照して、本実施の形態に係る米飯供給装置Mの制御系の構成および処理内容の他の実施例について説明する。
【0089】
なお、この実施例は、一対のローラ50a、50bの相対距離の変動を行うタイミングを回転による板状の米飯の送り出し動作の途中のタイミングとした場合の例である。
【0090】
図13のブロック図に示す構成例では、制御部10は、CPU等を備える制御基板600と、板状の米飯の厚みの調整に用いられる厚み調整センサ601とから構成され、前記モータ19aで構成される厚み調整モータは、制御基板600からの制御信号に基づいて動作するようになっている。
【0091】
また、この実施例では、上段ローラ5が計量ローラとして機能し、この上段ローラ5を計量ローラ用モータ602で駆動しているものとする。
【0092】
そして、計量ローラ用モータ602が備えるエンコーダからの信号が制御基板600に入力され、また制御基板600からの制御信号が計量ローラ用モータ602に入力されるようになっている。
【0093】
なお、計量ローラ(上段ローラ5)は、容積計量方式で板状の米飯を計量するために用いられる。
【0094】
次に、図14のフローチャートを参照して、上記構成の制御部10で実行されるシャリ供給動作制御処理の他の処理手順について説明する。
【0095】
この処理が開始されると、まずステップS30で計量ローラ用モータ602がオンされて板状の米飯(シャリ)の送り出しが開始される。
【0096】
そして、ステップS33でポイントA(予め設定される通過ポイントの一例)を通過したか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS34に移行する。
【0097】
ステップS34では、図9に示すように連接節100が矢印D1方向に移動するようにモータ(厚み調整モータ)19aを起動する。これにより、従動節101が矢印D10方向への移動を開始し、ローラローラ50a、50b間の相対的距離が距離A1から徐々に狭まっていく。
【0098】
次いで、ステップS35では、厚み調整センサ601がオンされたか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS36に移行する。
【0099】
ステップS36では、厚み調整センサ601の検出信号に基づいて厚み位置の情報を更新してステップS37に移行する。
【0100】
ステップS37では、予め設定した厚み位置(例えば、図10に示す間隔A2(1.5mm等))に到達したか否かが判定される。
【0101】
そして、「No」の場合にはステップS35まで戻って同様の処理を繰り返し、「Yes」の場合にはステップS38に移行して、モータ19aを停止する。
【0102】
次いで、ステップS39では、ポイントB(予め設定される通過ポイントの一例)を通過したか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS40に移行する。
【0103】
続いて、ステップS40では、図10に示すように連接節100が矢印D2方向に移動するようにモータ(厚み調整モータ)19aを起動する。これにより、従動節101が矢印D20方向への移動を開始し、ローラローラ50a、50b間の相対的距離が距離A2から徐々に広がっていく。
【0104】
次いで、ステップS41では、厚み調整センサ601がオンされたか否かが判定され、「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS42に移行する。
【0105】
ステップS42では、厚み調整センサ601の検出信号に基づいて厚み位置の情報を更新してステップS43に移行する。
【0106】
ステップS43では、予め設定した厚み位置(例えば、図9に示す間隔A1(3.5mm等)あるいは間隔A1よりも短い間隔)に到達したか否かが判定される。
【0107】
そして、「No」の場合にはステップS40まで戻って同様の処理を繰り返し、「Yes」の場合にはステップS44に移行して、モータ19aを停止する。
【0108】
次いでステップS45では、薄い部分の箇所が所定数に達したか否かが判定され、「No」の場合にはステップS46でポイントA、Bを更新した後、ステップS33に戻って、同様の処理を繰り返す。また、「Yes」の場合には処理を終了する。
【0109】
一方、ステップS31では、計量時間が予め設定される時間Nに達したか否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS32に移行して、計量ローラ用モータ602を停止して処理を終了する。
【0110】
これにより、板状の米飯の送り出し途中で厚さに変化を付けることができる。
【0111】
即ち、例えば所定の時間間隔でローラ50a、50b間の距離をA1→A2→A1→A2・・・と変化させることにより、送り出された板状の米飯の幅方向に、所定間隔の溝(薄い部分)を所望数だけ形成することができる。そして、例えば海苔巻き等の製造用に前記溝を形成した板状の米飯を適用する場合には、この溝に沿って具材を並べることができ、作業の効率化を図ることができる。
【0112】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上の説明では、本発明の米飯供給装置を巻き寿司の製造に用いられる装置に適用した場合が示されているが、これに限定されるものではなく、例えば、具材を挟んで板状米飯を積層する押し寿司の製造など、様々な米飯供給装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0114】
M 米飯供給装置
L リンク機構
R 米飯
4 ローラユニット
5 上段ローラ
50 下段ローラ
6 分割シャッタ
8 プレート
9 スタートボタン
10 制御部
12 ユニット収容室
13 カバー部材
14 フレーム
16 伝達ユニット
16a 軸継手
16b 駆動力搬送部
17 位置決め部材
18 磁気センサ
19a モータ
20,20a,20b シャフト
21 規制部材
100 連接節
101 従動節
102 原動節
102a 作動部
102b 案内溝
150 回転軸
151 作動子
200 ピン
201 ピン
400 ロッド
501 回転軸
600 制御基板
601 厚み調整センサ
602 計量ローラ用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯を板状にして送り出す少なくとも一対のローラと、
前記各ローラを送り出し方向に回転させる駆動手段と、
前記一対のローラ間の相対的距離を変動させる距離変動手段と、
予め設定されるタイミングで、前記距離変動手段を動作させるように制御する距離制御手段と、
を有することを特徴とする米飯供給装置。
【請求項2】
前記予め設定されるタイミングは、前記一対のローラの回転により送り出された板状の米飯が分割手段により分割されて、前記駆動手段が停止するタイミングであり、
そのタイミングで、前記距離制御手段は、
前記距離変動手段によって、前記一対のローラ間を最接近させて板状の米飯の送り出しを行う第1の状態から、前記一対のローラ間を最離間させて板状の米飯の送り出しを停止させた第2の状態へと前記一対のローラ間の相対的距離を変動させ、
その後、所定の条件に基づいて前記一対のローラ間の相対的距離を前記第2の状態から前記第1の状態に戻すまでを1サイクルとして動作させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の米飯供給装置。
【請求項3】
前記予め設定されるタイミングは、前記一対のローラの回転による板状の米飯の送り出し動作の途中のタイミングであり、
そのタイミングで、前記距離制御手段は、
前記距離変動手段によって、前記一対のローラ間を最接近させて板状の米飯の送り出しを行う第1の状態と、前記一対のローラ間を前記第1の状態よりも離間させて板状の米飯の送り出しを行う第3の状態との間で前記一対のローラ間の相対的距離を変動させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の米飯供給装置。
【請求項4】
前記一対のローラ間の相対的距離を直接的または間接的に検出する検出手段をさらに備え、
前記距離制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記距離変動手段を動作させるように制御することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の米飯供給装置。
【請求項5】
前記距離変動手段は、前記一対のローラの一方に係合されて、当該一方のローラを他方のローラに対して離間・近接移動させるリンク機構で構成され、
前記駆動手段は、前記リンク機構に接続されるモータで構成されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の米飯供給装置。
【請求項6】
前記モータの回転数を検出する回転数検出手段をさらに備え、
前記検出手段は、
前記回転数検出手段の検出結果に基づいて前記一対のローラ間の相対的距離を間接的に算出することを特徴とする請求項5に記載の米飯供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−139132(P2012−139132A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292531(P2010−292531)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(591094262)鈴茂器工株式会社 (74)
【Fターム(参考)】