説明

米飯加工包装食品

【課題】 個々に包装される米飯も具材も、包装の外から中味をみることができ、しかも、これらの包装を一緒にパッケージするのに、紙製の箱やその類似形態の包装材を用いることなく包装して包装コストを下げると共に、包装形態をコンパクトにできるようにした米飯加工包装食品を提供すること。
【解決手段】 上面開口部を透明なフィルム3でシールして米飯2を収容したトレー状容器1の上に、透明フィルムで形成した袋状容器4に具材5を収容して密封した当該袋状容器4を重ね、重ねた状態の両容器1,4を透明なフィルム、好ましくはシュリンクフィルム6により包装し、前記両容器に収容された米飯2と具材5が外部から視認できるようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は常温下で長時間保存できる米飯と、この米飯に混ぜ込んでいわゆる混ぜご飯を作るための様々な具材とを、フィルム、好ましくはシュリンクフィルムによって1つの包装体に包装した米飯加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から炊いた米飯をプラスチック製の密封容器に包装して常温下で保存できるようにした加工食品は「包装米飯」と称されて特許文献1や2などにより公知である。また、このような長時間常温で保存できる包装米飯と、この米飯にかけて食するカレーのルーのようなに別に包装された具材とを、紙箱製のパッケージに包装した米飯加工食品も特許文献3などにより公知である。
【0003】
特許文献2に開示されているような公知の米飯加工包装食品は、通常、米飯と具材とを別々に不透明な容器や袋などの包装材で個々に包装した上で、2つの包装体を紙製の個装パッケージに一緒に収容した包装形態を採ったものが殆んどである。なお、本明細書において、米飯加工包装食品とは、米飯とそれに掛けたり混ぜたりする具材を組合せた形態の加工包装食品を指すものとする。
【0004】
しかし、上記のように、個々に包装した米飯と具材とを、紙箱のような外装パッケージで包装する形態であると、個々に包装された米飯と具材は、それぞれの中味が紙製の包装パッケージの外からは見えない。また、個々に包装された米飯と具材の包装体を、それぞれ紙製パッケージの外に出しても、個々に不透明な包装材に包装されている米飯と具材は、個々の包装を解かない限り、つまり開封しない限り外からは見ることはできない。
【0005】
上記のように従来の米飯加工包装食品は、米飯も具材も包装の外から内容物が全く見えないという難点があるほか、個々に包装された米飯と具材の包装体が、紙製などのパッケージに包装されているため、このパッケージへの印刷や製函を不可欠とする関係で、外装コストがきわめて高く付くという問題がある。
【特許文献1】特許第3731370号公報
【特許文献2】特許第3671483号公報
【特許文献3】特開平8−308515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では、個々に包装される米飯も具材も、包装の外から中味をみることができ、しかも、これらの包装を一緒にパッケージするのに、紙製の箱やその類似形態の包装材を用いることなく包装して包装コストを下げると共に、包装形態をコンパクトにできるようにした米飯加工包装食品を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明米飯加工包装食品の構成は、上面開口部を透明なフィルムでシールして米飯を収容したトレー状容器の上に、透明フィルムで形成した袋状容器に具材を収容して密封した当該袋状容器を重ね、重ねた状態の両容器を透明なフィルム、好ましくはシュリンクフィルムにより包装し、前記両容器に収容された米飯と具材が外部から視認できるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、前記具材は、米飯を混ぜご飯にするための具材であるが、掛けご飯にするための具材であってもよい。また、上記シュリンクフィルム包装体の上面と下面、又は、少なくとも上面には、商品表示等をした表示ラベルを貼付した構成とする。
この場合のラベルの大きさは、シュリンクフィルム包装体の上面又は下面の全面乃至略全面を覆う大きさではなく、ラベルの外周より外側に前記トレー状容器の中身である米飯の一部、及び、袋状容器の中味である具材の一部が見える程度の大きさに形成したラベルが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、米飯加工包装食品を、上面開口部を透明なフィルムでシールして米飯を収容したトレー状容器の上に、透明フィルムで形成した袋状容器に具材を収容して密封した当該袋状容器を重ね、重ねた状態の両容器を透明なシュリンクフィルムにより包装して一個の包装体に形成したので、店頭などに並べた状態のまま、つまり、包装を開封することなく、内容物を外から視認することができる。また、紙製の箱状パッケージを用いないので、全体をコンパクトに形成でき、運搬,保管,陳列などにおいて便宜であるほか、外装材の包装コスト、即ち、製函コストやその箱への印刷コストがかからないので、コスト的にもきわめて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明食品の実施の形態例について、添付した図面を参照して説明する。図1は本発明による米飯加工包装食品の一例の全体の外観形態を例示した斜視図、図2は図1の米飯加工包装食品のうち、米飯をトレー状容器に収容して包装した米飯包装体の斜視図、図3は図2の米飯に混ぜて使用する具材を袋状容器に収容して密封した具材包装体の斜視図、図4は上面用のラベルと下面用のラベルの斜視図である。
【0011】
図1,図2において、1はポリプロピレン製のトレー容器であり、公知の包装米飯に使用されている容器と同様の形態である。本発明で使用している容器は、その収容部が公知の包装米飯用のトレー状容器の収容部よりも深く形成されたものである点で異なる。深くした理由は、後述する具材4をこの容器1に収容された米飯2に混ぜ込む際、米飯2や具材4がこの容器1から溢れるのを防ぐためである。また、容器1の撓み強さを確保するためにも、収容部を深く形成することが望ましい。
【0012】
上記のトレー状容器1は上面側の開口部外周にフランジ部1aが形成され、常法により炊飯された米飯2をこの容器1の深さの略1/2〜3/4くらいまで収容し、このあと透明なガスバリア性のフィルムによる蓋3が熱接着により施されて、収容した米飯2を常温により長時間保存できるように形成されている。
【0013】
本発明で使用する上記米飯2は、現在市販されている包装米飯の含有水分を100とすると、それに比べ含有水分を80〜95程度の固めに炊き上げた米飯である。固めに炊き上げた米飯2を用いる理由は、この米飯2は後述する具材5を混ぜたいわゆる混ぜご飯にして食するため、市販されている包装米飯の炊き上がり含有水分率であると、水分が多過ぎて混ぜご飯としての風合いを損なうからである。また、混ぜる具材の内容(例えば、粉末状や顆粒状の具材の場合と水分を含んだり液状の具材の場合)によって本発明で使用する米飯2の含水率は変わるが、いずれにしろ包装米飯よりも固めに炊き上げられたものである。なお、米飯2の炊き水にPH度調整剤や耐熱性芽胞菌の抑制剤,脱酸素材などの調整剤を加える場合は、公知手法による。
【0014】
上記蓋3に使用する透明なフィルムには、開封の仕方や容器の材質などについての印刷表示3aが施されるが、この印刷表示3aがあっても収容されている米飯2は、透明な蓋3の全体を通して外から視認できる。蓋3を通して収容されている米飯2を視認するためにこの蓋3は、その全体が透明である必要はなく、その透明エリアは、後に説明するラベル7の大きさとの関係もあるが、少なくとも、この容器1の外周部に沿ったエリア、例えば、全周、或は、外周上における上下部や左右側などの一部エリアが透明であれば足りる。
【0015】
次に、図1,図3において、4は混ぜご飯用、又は、掛けご飯用の具材5を収容したほぼ平坦な透明の袋状容器であり、この容器4の大きさは、大きくても上記トレー状容器1の上面側開口部の平面形状よりも小さく、また、使用する具材容器4の個数も、調理する混ぜご飯の内容によって異なるが、少なくとも当該容器4の1つの又は1つ以上が用いられる。なお、本発明における具材5には、調理した固形物(野菜,肉など)のほか、単独の調味した汁やタレなどが含まれるものとする。
【0016】
上記の具材用袋状容器4は、常温保存ができるように調理された具材5を収容したほぼ平坦な姿で、米飯2を収容したトレー状容器1の蓋3の上面に載置される。具材用の袋状容器4も透明なプラスチックフィルム製であるから、この容器4の外から収容された具材5の状況,状態を視認することができる。
【0017】
本発明では、米飯2を収容したトレー状容器1の蓋3の上に、前記の具材用の袋状容器4を重ねるように載置し、前記容器1の上に袋状容器4を重ね載置した状態で、容器全体をシュリンクフィルム6によりシュリンク包装している(図1参照)。シュリンクフィルム6も透明であるから、米飯2,具材5とも、重ねた容器1,4に前記フィルム6による外装がほどこされても、外部から視認することができる。
【0018】
シュリンクフィルム6により包装(外装)された前記2種類の容器1と4の包装体は、その上面と下面に、商品名(調理名称),出来上がりの写真などの商品表示を印刷した上面ラベル7と、この商品の原材料名,内容量,作り方,注意書き,メーカー名(又は販売者名)などを表示した下面ラベル8とが、それぞれ貼付される。両ラベル7,8の裏面には、両剥離系の粘着層(図に表われず)が形成されており、この粘着層によってラベル7,8はシュリンクフィルム6に貼着される。
【0019】
上記の両ラベル7,8は、その大きさ,形状が前記トレー状容器1の上面開口部の平面形状よりも小さく形成されており、上面ラベル7を貼着しても、トレー状容器1の中の米飯2と包装容器4の中の具材5の一部は外から見える。
【0020】
上記のように形成された本発明による米飯加工包装食品は、シュリンクフィルム6の包装終端側を覆った下面ラベル8を外して前記フィルム6を包装体から剥がし、重なっていた米飯2のトレー状容器1と具材5の袋状容器4を別け、少なくとも米飯2をトレー状容器1のまま電子レンジ又は湯煎して加熱する。なお、米飯2と具材5の加熱方法としては、混ぜご飯の種類によってフライパンなどで炒めることもある。
【0021】
次に、トレー状容器1の蓋3を外して加熱された米飯2に袋状容器4に入っている具材5を振りかけ米飯2の中に箸やスプーンなどにより混ぜ込むと、トレー状容器1の米飯2の中に具材5が混ざった「混ぜご飯」が完成するので、これをその容器1のまま、或は、他の茶碗や皿に移して食す。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は以上の通りであって、包装米飯と包装具材とをそれぞれ透明なプラスチックフィルムの蓋や袋を用いて個々に包装したことにより、米飯と具材の個々の包装体を重ねた状態においても、それぞれの中味を包装体を開封したり、重ねた状態を解かなくても外部から視認することができて便利である。
【0023】
また、上記米飯と具材は、個々の包装体を重ねた状態でシュリンクフィルムで包装して、混ぜご飯用の米飯と具材を1個の包装体に形成しているが、この包装状態においても、シュリンク包装の外からであっても個々の中味を視認することができるほか、包装体全体をコンパクトな包装形態(外観)とすることができるので、需要者(消費者)にとっては、中味をパッケージの外から確認できるほか、外装用箱が使用されていないので廃棄物も少なくて便利であり、また、流通業者などの業者にとっは、パッケージがコンパクトであることにより運搬,保管,陳列などにおいて至って取扱い易いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による米飯加工包装食品の一例の全体の外観形態を例示した斜視図。
【図2】図1の米飯加工包装食品のうち、米飯をトレー状容器に収容して包装した米飯包装体の斜視図。
【図3】図2の米飯に混ぜて使用する具材を袋状容器に収容して密封した具材包装体の斜視図。
【図4】上面用のラベルと下面用のラベルの斜視図。
【符号の説明】
【0025】
1 トレー状容器
2 米飯
3 蓋
4 袋状容器
5 具材
6 シュリンクフィルム
7 上面ラベル
8 下面ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口部を透明なフィルムでシールして米飯を収容したトレー状容器の上に、透明フィルムで形成した袋状容器に具材を収容して密封した当該袋状容器を重ね、重ねた状態の両容器を透明フィルムにより包装し、前記両容器に収容された米飯と具材が外部から視認できるようにしたことを特徴とする米飯加工包装食品。
【請求項2】
具材は、前記米飯を混ぜご飯にするための具材である請求項1の米飯加工包装食品。
【請求項3】
フィルムによる包装体の上面、又は、上面と下面に、商品表示等をした表示ラベルを貼付した請求項1又は2の米飯加工包装食品。
【請求項4】
上面の表示ラベルは、そのラベルの外周より外側から前記トレー状容器の中の米飯と袋状容器の中の具材を見ることができる大きさに形成した請求項1〜3のいずれかの米飯加工包装食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−284789(P2009−284789A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139032(P2008−139032)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(508001914)株式会社 旬の風 (1)
【Fターム(参考)】