説明

籾殻と米糠からなる固形燃料

【課題】 米作の副産物として大量に発生している籾殻と米糠を燃料として有効活用する。
【解決手段】籾殻と米糠はそのままでも燃焼するが取り扱いが面倒であり燃焼に際しても籾殻は特有の臭いを生ずる点を解決するため米糠と混合し固形化することにより取り扱いしやすくするとともに燃焼効率を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は籾殻に米糠をバインダーとして加え固形化し燃焼効率を高めた固形燃料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本では米の生産に伴う籾殻が毎年300万トン発生しその約3割は廃棄物や焼却処分されている。また、玄米を精米する段階で米糠は約10%、100万トン程度の膨大な量となっており、用途は主として油採取用・飼料・肥料・食品加工用であるが、それらの用途に使用される量は約33万トンと限られ利用が生産量に追いつかない現状にある。その結果、残されたものは廃棄物化し焼却処分されている。
この有効に活用されていない籾殻と米糠を固形化し燃料とすることにより米作地域における冬期の安価な燃料の供給が可能である。
【0003】
近年地球温暖化防止のため循環型バイオマス燃料を使用する薪ストーブが見直されている。本発明はこのような薪ストーブの需要家に安価で安定した籾殻と米糠を原料とした燃料を提供することを目的とするものである。
【0004】
米糠を原料とした固形燃料の先行技術としては特開平9−296187と特開2000−230181があるがこれは米糠の他に植物油や廃油、アルコール、可燃性プラスチック等を混合したものであるが本発明は籾殻と米糠のみを使用しているため非常に安価で安全である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−296187
【特許文献2】特開2000−230181
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
籾殻は嵩張り取り扱いが面倒な上、着火しずらく熱量が3630kcal/kgで木質の4020kcal/kgに比べると1割程度少ないがこれを解決し優れた着火性と熱量を持たせた籾殻固形燃料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る籾殻はそのままだと嵩比重が0.12と小さいので嵩比重を0.3〜0.4程度まで上げるため粉砕または擂り潰す。
【0008】
粉砕または擂り潰した籾殻を固形化するためセルロースやリグニンを多く含む米糠をバインダーとして加え加水後混合し圧縮する。
【発明の効果】
【0009】
籾殻の成分はセルロースが70wt%以上、発熱量は3630kcal/kgであり他の灯油や薪に比べると小さいが粉砕または擂り潰すことにより嵩比重を大きくし密度を上げることにより発熱量を増やすことが出来る。
【0010】
本発明ではこの籾殻を固形化するためバインダーとして米糠を使用するがその成分としては脂質 17.9wt%糖質 39.0wt%繊維 7.4wt%水分 12.2wt%その他 10.7wt%であり、グルテンや、糖類等が多分に含まれているためバインダーとして適当であるとともに油脂分が多いため発熱量が多くなり燃料として使用できる十分な熱量を得ることが出来、籾殻の燃焼効率を上げることができる。
【0011】
薪ストーブを使用している場合は米糠の脂質の燃焼により発熱量は多いので補助燃料としても使えるし特にストーブの構造は同じもので良い。
【0012】
米糠を使用する利点の一つとして籾殻を燃焼した際に生ずる独特の臭いを減少する効果がある。
【0013】
本発明の固形炭800gの燃焼実験の結果着火後30分程度炎を上げて燃焼しその後炭火状態になり中心部は800℃以上になり1時間後でもその温度は500℃であった。このように炭火状態が長く続くのは籾殻に含まれる珪酸のためである。
このような特徴からビニールハウス等の暖房には十分使用可能である。
【0014】
籾殻固形燃料の燃焼試験結果を下記に示す。
【0015】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】籾殻を粉砕又は擂り潰して使用した場合のフローチャートである
【図2】製品の方形または円柱状、ウエハー状にした外形図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
粉砕した籾殻または擂り潰した籾殻と米糠を1:1で混合し水を0.2の割合で混ぜミキサーで練り合わせ型に入れ圧縮したまま過熱固化してから型より取り出し乾燥する。
乾燥は夏であれば天日乾燥も可能で2〜3時間程度で乾燥する。
【0018】
形状は円柱、方形、ウエハー状とし乾燥しやすくし燃焼性をよくするため貫通した通気孔を複数個あけてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本特許は籾殻にバインダーとして米糠を加え固形化したことを特徴とする固形燃料。
【請求項2】
本特許は粉砕または擂り潰したした籾殻にバインダーとして米糠を加え固形化し燃焼効率をたかめたことを特徴とする固形燃料。

【図1】
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【図2】
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