説明

粉体搬送装置

【課題】乳糖などのように、30ないし50℃程度の温度で軟化して、接触角が大きくなり、ステンレス容器のコーナーや、吹き出し口部などに付着、あるいは固着する薬品が数多くあり、重要なコンタミを解消する手段を提供する。
【解決手段】送波用の強力超音波振動子と、前記の超音波振動子から伝送された強力超音波を、実時間で超音波エネルギーへと、共振吸収するローインピイダンス超音波共振吸収振動子を、適当なる距離を有して、一対として構成することにより、有限の形状から生じるところの定常波に囚われること無く、意図した系(例えばfd54khz)の超音波振動を実現することが可能となり、これまで物品のもつ、形状から発するところの、定常波に支配された強力なる超音波振動を、初めて進行する振動波として、操作可能とし、これを応用した新しい各種の粉体搬送手段、及び各種粉体の新しい搬送方法により解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を搬送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉体を搬送する装置には、フイダーと呼ばれる電・磁気作用を応用した、小物部品などを搬送する装置などが、粉体用に改良されて、利用されてきた。(例えば特許文献1参照)
【0003】
また、トレーあるいはホッパーと呼ばれる、粉体の搬送や、粉体の挿入に用いられている容器と、大型のステンレス円板等の回転体を、組み合わせて用いることにより、数グラム単位の薬を、オートマチックに、かつスピイディに分包することにより、患者各自の、また各様の処方箋にもとづく薬を、スピィディに分包して、供給するサービスが、実現されてきた。(例えば非特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特願平4−320172号公報
【非特許文献1】「トーショー会社案内2007」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べたように、薬用に用いられる粉体は多種多様で、例えば乳幼児用の乳糖などの粉体は、30℃から50℃程度の温度でも軟化して、接触角が大きくなり、ステンレス容器のコーナや、吹き出し口部などに付着、あるいは固着する。
【0006】
また上記の微細な粉体は、温度だけでなく、粉体と金属面との接触により起こる、物理的な付着のほかに、電気的な吸着や活成化あるいは、化学的な反応による吸着などの、各種の吸着機構が作用していることは、従来から考察されているところである。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた、諸問題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、従来からの粉体を直線状に動かす、有限の大きさから成るトレーや、或るいはほぼ四角錐の形状の、散薬ホッパ−等の粉体搬送手段に付着、あるいは固着する微粉体を、スム−ズに搬送および分包などするために、その系の持つ振動に、初めて着目したものである。
【0009】
第1図に、ほぼ四角錐の形状から構成される、散薬ホッパーの共振特性を示した。例えばドライブに適する20khzから80khzの間でも、共振ポイントは、図示するように20ないし30ポイントと多数存在する。このために超音波振動の共振インピーダンスは、数キロオオムから数10キロオオムと、極めてハイインピイーダンスと成る。かつ振動が分散されるので、強性な超音波領域の振動を励振することが、極めて難しいという問題があつた。
【0010】
特に散薬ホッパ−等は、おおむね全自動散薬分封機の最下部に位置しており、近くには小袋に分封するための、硫酸紙用の熱圧着ヒータ等の熱源が設置されるので、微粉体をスムーズに処理するには、その条件が極めて悪い。
【0011】
また前記の散薬ホッパ−などの形状は、前述したように、ほぼピラミット状の四角錐の形状からなり、共振特性は第1図に示すように、例えばドライブに適する20khzから、80khzの間でも、20ないし30ポイントと、無数に存在するところの共振特性から成っている。
【0012】
このため、散薬ホッパー等の系の振動の共振時のインピーダンスは、1kオオムから数10kオオムと、極めてハイ・インピダンスと成り、かつ超音波領域の振動が分散されるので強性な超音波領域の振動を、励振することが、極めて難しいという問題を存した。
【0013】
また加えて、粉体を直線状に搬送するトレー等は、一般的に概略筆箱状の形状の、その一方の片端が切り取られた形状等から構成されており、またその下部には、複数枚の圧電バイモルフ等から成る駆動源が、適当な角度を有して構成される事で、作用方向に粉体が自走する機能からなっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前記トレーや、前記の散薬ホッパアーの、それぞれの系が、その共振周波数をそれぞれに存するために、本発明に於いては、超音波振動の作用点を小数ポイントから作用するよう構成して成り、また適当な距離をおいた対極には、ほぼ同様の超音波共振吸収振動子から成る、超音波振動の小数ポイントから構成される吸収点を、存したことを特徴となしたものである。
【0015】
さらに詳しくは、本発明は前記の散薬ホッパー及び前記のトレーに、それぞれ強力な超音波の振動源となる超音波振動子と、前記の超音波振動子の発する強力な超音波振動を、実時間で吸収するための比較的ロウインーピダンスから成る超音波共振吸収振動子とを、1組となすことで、初めてドライブ時に定常波を発生させることなく、粉体のクリイニング効果を、ドライブ時のワンセグメント・ワンセグメントの実時間内において飽和することなく、得ることが可能となるという、画期的な効果を得たものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図1及び図2に基ずき説明する。
【0017】
第1図においては、本発明に用いる共振周波数が20khzないし、80khz程度の、動作周波数を有する、超音波振動子の共振特性を示した。
本発明では、図中の54khzに、もっともローインピダンスを示す共振点が存するので、本発明では、前記の共振点をドライブ周波数として用いた。
【0018】
また第2図においては、ほぼピラミット状の四角錐の形状から構成される、ステンレス製の散薬ホツパアー1を示した。また送波用の超音波振動子2を、前記の散薬ホッパ−1の上部に、小数ポイントから成り、作用するよう構成した。
【0019】
さらに前記の散薬ホツパー1の下部には、受波用の超音波共振吸収振動子3をしめした。
【0020】
前記の受波用の超音波共振吸収振動子3は、低インピーダンス化のため、その終端を主にトランジスター等のスイッチング素子、あるいは抵抗性素子、またはインダクタンス素子等から成る、ロウインピーダンス素子等により、少なくても数オオム程度、あるいは理想的には1オオム以下ないし0.1オオム程度まで、終端処理されるものである。
【0021】
また、ステンレス・ホッパー下部の舌片4は、一定の時間間隔で、下方向に開閉されることにより、数グラム単位の薬量を、硫酸紙上に供給するものである。
【0022】
上述したように、さらに詳しくは、本発明によって成る粉体搬送装置は、強力な超音波を発生する送波用の強力超音波振動子2と、前記の超音波振動子2から伝送された強力な超音波を、実時間で超音波エネルギーへ、共振吸収する、ロウインピーダンス超音波共振吸収振動子3を適当な距離を有して、一対として構成することにより、有限の形状から生じるところの定常波に初めて、くつそくされること無く、意図した系(例えばfd54khz)の超音波振動を、初めて自由に実時間での、エネルギーの伝送と、その伝送された超音波エネルギーの共振吸収を実現するという快挙を、成し遂げたものであり、本発明によって成る産業上の波及効果は、極めて大なることが、推測されるところのものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態を示す超音波振動子の共振特性
【図2】散薬ホッパー
【図3】送波用超音波振動子
【図4】受波用超音波共振吸収振動子
【符号の説明】
【0024】
1 散薬ホツパー本体
2 送波用超音波振動子
3 受波用超音波共振吸収振動子
4 舌片
5 小数ポイント作用点1
6 小数ポイント作用点2
7 リード線
8 アース線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、粉体搬送用トレー及び散薬ホッパー等に、代表される各種の粉体搬送手段において、超音波の振動源となる超音波振動子と、前記の超音波振動子と適当なる距離をおいた対極に、ほぼ同様の超音波共振吸収振動子を存し、前記の超音波振動子の発する超音波振動を、実時間で共振吸収するための、前記の超音波共振吸収振動子とを、一対と成すことにより、前記トレー及び前記ホッパー等に、代表される各種の粉体搬送用手段において、ドライブによる定常波の発生を見ること無く、系の振動周波数で励振されることを、特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
本発明による、超音波の振動源となる超音波振動子、及び超音波共振吸収振動子の構成が、ランジュバン型振動子の基本構成からよって成ることを特徴とする、請求項1記載の粉体搬送装置。
【請求項3】
本発明による、超音波の振動源となる超音波振動子、及び超音波共振吸収振動子の作用点が、少数ポイントから成ることを特徴とする、請求項1記載の粉体搬送装置。
【請求項4】
本発明によって成る超音波共振吸収振動子が、主にトランジスター等の、スイッチング素子、あるいは抵抗性素子または、インダクタンス系素子などの、ロウインピーダンス素子等から成り、少なくとも数オオム程度、あるいは理想的には1オオム以下、ないし0.1オオム程度まで、終端処理されたことを特徴とする、請求項1記載の粉体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−247473(P2008−247473A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117702(P2007−117702)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(593130382)
【Fターム(参考)】