粉末充填用フィーダ及びこれを備えた回転式粉末圧縮成型機
【課題】フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランス調節が容易、かつ、原料のブロッキングを抑制可能な粉末充填用フィーダを提供する。
【解決手段】原料回収部22が形成された一端部21a、原料出口部23が形成された他端部21b、これら両端部にわたる内側枠部21c及び外側枠部21dを有したフィーダ本体21に、本体内を流動する原料の量の調節機構31を設ける。調節機構は、第1可動堰(堰部)32と、第2可動堰34と、開度調節部材41を備える。第1可動堰を内側枠部21cと外側枠部21dのうちの一方に設ける。第2可動堰を第1可動堰に接離するように他方の枠部に取付ける。第2可動堰は第1可動堰の開度規制部32bとの間に上方に開放されるとともに内外両枠部間の幅よりも狭い隙間Gを形成する開度規制部34bを有する。開度調節部材をフィーダ本体に取付け、この部材で可動堰を動かして隙間の幅を変える。
【解決手段】原料回収部22が形成された一端部21a、原料出口部23が形成された他端部21b、これら両端部にわたる内側枠部21c及び外側枠部21dを有したフィーダ本体21に、本体内を流動する原料の量の調節機構31を設ける。調節機構は、第1可動堰(堰部)32と、第2可動堰34と、開度調節部材41を備える。第1可動堰を内側枠部21cと外側枠部21dのうちの一方に設ける。第2可動堰を第1可動堰に接離するように他方の枠部に取付ける。第2可動堰は第1可動堰の開度規制部32bとの間に上方に開放されるとともに内外両枠部間の幅よりも狭い隙間Gを形成する開度規制部34bを有する。開度調節部材をフィーダ本体に取付け、この部材で可動堰を動かして隙間の幅を変える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回転式打錠機の臼に圧縮成型される打錠原料を供給するオープンフィーダ等の粉末充填用フィーダ及びこれを備えた回転式打錠機等の回転式粉末圧縮成型機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転盤の臼取付け部上に配置されたオープンフィーダは、原料回収部と、原料出口部と、複数の固定の堰を有している(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
原料出口部は、フィーダ内を流動した原料のうちで臼に供給されなかった余剰分を臼取付け部上に逃がすために設けられている。原料回収部は、原料出口部から出た余剰原料を回転盤の回転に伴ってフィーダ内に受入れるために設けられている。又、堰は、フィーダの上側に配置されたホッパから適時補給された原料のフィーダ内での流量を規制しつつ、フィーダ内で流動する原料の密度むらを抑制するために設けられている。
【0004】
堰が動かないように固定されたオープンフィーダは、このフィーダ内での原料の流量を調節できない。そのため、余剰原料の量が少ないと、回転式打錠機の運転時間の経過とともに、フィーダ内の原料の量が不足し、臼への充填不足を生じて錠剤等の粉末圧縮成型品の質量がばらつく因子になる。この逆に、余剰原料が原料回収部での回収能力を超える程度に多いと、回転式打錠機の運転時間の経過とともに、原料回収部で余剰原料が溢れて回転盤からこぼれ、それに伴い、原料の損失と打錠機の周囲が汚れる事態を招くことがある。
【0005】
従来、こうした不具合を改善するために、フィーダ内での原料の流量を可変する調節機構が組込まれたオープンフィーダが提供されている。このフィーダの調節機構は、フィーダ内で原料出口部に向けて流動する原料の流動方向と交叉して設けられた回転軸と、この軸に固定された板状のダンパと、フィーダ外に突出された回転軸の一端部に取付けられた調節つまみと、回転軸を任意の回転位置で固定するロックねじを有している。ダンパの長さはフィーダの内面間の幅と略同じであり、これに対して臼の臼孔の直径は遥かに小さい。
【0006】
この調節機構では、ロックねじを緩めた状態で、調節つまみを手動で回すことにより、この調節摘みの回転操作角と同じ角度だけ回転軸及びダンパが上下方向に回転される。それにより、回転盤の臼取付け部上面とこれより上方に配設されたダンパの先端縁との間の距離で決まる開度(開口面積)を変えることができるので、この開度に見合ってフィーダ内での原料の流量が調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭54−98849号公報
【特許文献2】特開2010−94717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記構成の調節機構で調節された開度は、回転盤の臼取付け部の上面に対してダンパが略垂直に連続するように配置された場合に最小であり、前記上面と略平行にダンパが配置された場合に最大となる。開度が最小又は最大となる位置にダンパが配設されることは一般的ではなく、通常、ダンパは上下方向に斜めとなって使用される。つまり、フィーダ内を原料出口部に向けて流動する原料の流動方向を基準に、回転軸に連結されたダンパの基端部に対しダンパの先端縁を下方でかつ前記基端部より前記流動方向の下流側に位置させて、ダンパは斜めに配設される。
【0009】
これにより、フィーダ内を原料出口部に向けて流動する原料は、臼取付け部でそれより下方への原料の移動が妨げられた条件下で、斜めのダンパで下方に導かれ、ダンパの先端縁と回転盤の臼取付け部の上面との間の隙間に向けて集められる。これに伴い、ダンパ付近の原料の密度が高められながら、既述のように前記隙間に向けて集められた原料が前記隙間を通過する。こうして隙間を通過した原料の高さはダンパの下縁の高さで規定され、この原料高さに相当する原料厚み範囲で臼の臼孔に原料が充填される。
【0010】
臼孔に原料が充填される場合、臼孔の略真上の原料が臼孔に充填されるが、臼孔の略真上からダンパの長手方向に外れている原料は、臼孔に充填されない。既述のようにダンパの長さはフィーダの内面間の幅と略同じである。これに対して、ダンパの長さは臼孔の直径は遥かに小さい。このため、充填されなかった原料の量は、臼孔に充填される原料の量に比べて遥かに多い。充填されなかった原料は余剰原料となる。
【0011】
この余剰原料は、ダンパの下縁の位置が低くなるようにダンパを調節することで、減らすことができる。しかし、この調節に伴い、臼孔の略真上の原料の高さが臼孔に対する充填深さより低くなった場合は、充填不足を生じて、錠剤等成型品の質量を変動させる因子となることがある。これとともに、フィーダから流出する余剰原料が減少するに伴いフィーダに回収される余剰原料が減って、フィーダ内を流動する原料の流量と臼孔に充填される充填量とバランスが崩れることもある。
【0012】
この逆に、ダンパの下縁の位置が高くなるようにダンパを調節することで、臼孔の略真上の原料の高さを高くして、充填不足をなくすことができる。しかし、この調節に伴い、臼孔への充填量に比較して臼孔に充填されない原料の量が格段に増えるので、フィーダから流出する余剰原料とフィーダに回収される余剰原料とのバランスが崩れることがある。
【0013】
こうした事情からフィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとるダンパの調節が難しく、その改善が望まれている。
【0014】
更に、従来の調節機構では、上下方向に斜めとなって使用されるダンパを原因とする原料の流動抵抗が大きいので、原料の滞留現象(ブロッキング現象)を生じ易い。特に、原料が粉末成分を多く含んでいる場合は前記ブロッキング現象が顕在化する。
【0015】
ブロッキング現象が起こると原料の適正な流動が妨げられる。更に、粗い粒子と細かい粒子とが混合されている原料の場合は、ブロッキング現象や余剰原料の過度な流動に伴って、粒子の粒度差による分離現象(分級現象)を生じて、ブロッキングされた原料での粒子層の偏り、つまり、偏析現象を発生することがある。こうした現象がフィーダ内で生じると、臼に充填される原料の充填密度が変動するので、錠剤等の粉末圧縮成型品の質量を変動させる因子になるとともに、粉末圧縮成型品が錠剤である場合は、一錠あたりの主薬の含有量に変動を及ぼすことがある。
【0016】
ブロッキング現象の発生は、調節機構のダンパを動かして前記開度を大きくすれば防止できることがある。しかし、この場合、フィーダ内を流動する原料の量が増え過ぎるので、フィーダの原料回収部で余剰原料が溢れる事態を招くことは避けられない。
【0017】
本発明の目的は、フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能な粉末充填用フィーダ及びこれを備えた回転式粉末圧縮成型機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明は、原料回収部が形成された一端部、原料出口部が形成された他端部、これら両端部にわたる内側枠部、及び前記両端部にわたる外側枠部を有したフィーダ本体に、この本体内を前記原料出口に向けて流動する原料の流量を調節する調節機構が設けられた粉末充填用フィーダを前提としている。
【0019】
そして、前記目的を達成するために、請求項1の発明は、前記調節機構が、開度規制部を有して前記内側枠部と外側枠部とのうちの一方の枠部に設けられた少なくとも一個の堰部と、上方に開放されるとともに前記内外両枠部間の幅よりも狭い幅の隙間を前記開度規制部との間に形成する他の開度規制部を有し、かつ、前記隙間に近付く程狭くなる間隔を前記堰部との間に形成して前記堰部に接離するように他方の枠部に取付けられた少なくとも一個の可動堰と、前記フィーダ本体に取付けられて前記可動堰を動かして前記隙間の幅を変える開度調節部材と、を具備したことを特徴としている。
【0020】
請求項1の発明で、フィーダ本体の一端部とは、粉末充填用フィーダが回転式粉末圧縮成型機の回転盤が有した臼取付け部上に配設されたセット状態で、回転盤の回転方向を基準として上流側に配置される端部を指しており、同様に、フィーダ本体の他端部とは、前記セット状態で回転方向下流側に配置される端部を指している。更に、フィーダ本体の内側枠部とは、前記セット状態で臼孔の移動軌跡で囲まれた領域の内側に配置される枠部を指しており、同様に、フィーダ本体の外側枠部とは、前記セット状態で臼孔の移動軌跡で囲まれた領域の外側に配置される枠部を指している。
【0021】
請求項1の発明で、堰部は、内側枠部又は外側枠部に一体に形成された固定の堰部であっても、或いは内側枠部又は外側枠部に対して移動可能に取付けられた可動式の堰部であっても差し支えない。請求項1の発明で、可動堰は、垂直軸線まわりを回転可能にフィーダ本体に取付けられていても、水平に移動するようにフィーダ本体に取付けられていても良い。
【0022】
請求項1の発明で、堰部の開度規制部及び可動堰の他の開度規制部を、堰部及び可動堰の下流側先端部で担うことは、これらの部材の構成を単純にできる点で好ましい。しかし、これには制約されず、堰部及び可動堰の中間部好ましくはこれら堰の下流側端の近傍に、これら堰部及び可動堰の例えば全幅にわたり上下方向に延びて設けられ、かつ、堰部の場合は可動堰方向に突出し、又、可動堰の場合は堰部方向に突出された突部等を、開度規制部として用いることも可能である。更に、堰部及び可動堰の開度規制部をこれらの下流側先端部で形成する場合、平面視において真っ直ぐではなく互に近付くように湾曲する等曲がった開度規制部とすることが可能である。このように構成することは、開度規制部間の隙間を通過しようとする原料を溜める傾向が高められるに伴い、臼の臼孔に原料を充填する性能が高められるため、臼孔が大きい等のように臼への原料充填量が多い場合に適している。又、堰部及び可動堰の開度規制部は、その上部を切欠く等により下部のみが開度規制部として機能するように構成することも可能である。このように構成することは、開度規制部の上側を通って原料がオーバーフローし易くなるので、堰部及び可動堰間が下流側ほど狭まるように設けられていることに伴い、これら堰部及び可動堰間で原料が塞き止められて分級現象が起きる可能性を低減させる上で好ましい。
【0023】
請求項1の発明で、可動堰を動かす開度調節部材は、堰部の開度規制部及び可動堰の他の開度規制部との間の隙間の幅を変えるために、可動堰を垂直軸線まわりに回転させる構成であっても、可動堰を堰部に対し接離するように水平に移動させる構成であってもよい。
【0024】
この請求項1の発明の粉末充填用フィーダによれば、開度調節部材の操作により可動堰を堰部に接離するように動かして、堰部が有した開度規制部と可動堰が有した他の開度規制部との間に形成された隙間の幅を変えることで、調節機構の開度を変えて、フィーダ本体内を流動する原料の量を調節できる。
【0025】
請求項1の発明の粉末充填用フィーダでは、前記隙間に近付く程、堰部と可動堰との間の間隔が狭いので、フィーダ本体内を流動する原料は前記隙間のみを通って流動し臼孔に充填される。この場合、隙間の幅が内側枠部と外側枠部間の幅より狭いので、原料を、臼への充填量に見合った最小必要限度の流量でフィーダ本体内に流動させながら臼孔に充填させることができる。したがって、フィーダ本体内を流動する原料の流量と臼孔への原料の充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、充填に供されない余剰原料を極力減らすことが可能である。
【0026】
更に、請求項1の発明の粉末充填用フィーダでは、既述のように堰部と可動堰との間隔が、これら堰部の開度規制部と可動堰が有した他の開度規制部との間に形成された隙間に近づく程狭いので、開度規制部間の隙間に向けて流動する原料が堰部と可動堰とで押されるに伴い、原料の密度は隙間に近づく程が上がろうとする。しかし、前記隙間を含めて堰部と可動堰との間は上方に開放されていて、原料は上方へ逃げることができる。このため、原料が堰部と可動堰との間でブロッキング現象を起こすことが抑制される。したがって、原料の流量を規定する前記隙間に原料を円滑に流通させることが可能である。
【0027】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記開度調節部材が前記外側枠部の外側から操作可能であることを特徴としている。
【0028】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、更に、開度調節部材がフィーダ本体の外側枠部に取付けられているので、回転式粉末圧縮成型機の運転中に、粉末充填用フィーダを回転盤の臼取付け部上から外すことなく、開度調節部材を操作してフィーダ本体内を流動する原料の量を調節できる。
【0029】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記開度調節部材が少なくとも180度の角度範囲を水平軸線まわりに回転可能に設けられていて、この開度調節部材と前記可動堰とが、前記開度調節部材の回転を前記可動堰の動きに変換させる変換手段により接続されていることを特徴としている。
【0030】
この請求項3の発明で、開度調節部材として、水平軸線まわりに例えば360度を超えて回転され、それに伴う進退により横方向に可動堰を動かす部材例えばねじを用いて、可動堰を例えば水平に移動させることも可能である。これとともに、変換手段の構成は、開度調節部材に適合して構成すればよい。
【0031】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、更に、水平軸線まわりの回転角度が180度以上の開度調節部材の回転操作を、変換手段により可動堰の横方向の動きに変換させて、前記隙間の幅を変えることができる。このため、可動堰の位置を調節する開度調節部材の回転操作角度を、従来に比べて2倍以上確保できる。それに伴い、フィーダ本体を流動する原料の流量調節をより容易に行うことが可能である。
【0032】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記可動堰が上下方向に延びる孔部を有し、この可動堰が前記いずれかの枠部に垂直軸線まわりに回転可能に支持されていて、前記開度調節部材が、水平軸線まわりに回転可能に支持された基軸部、及びこの基軸部に連続して設けられかつ前記孔部を貫通しこの孔部とともに前記変換手段を形成する偏心軸を有しており、前記開度調節部材の回転の固定とこの固定の解除を担うロック手段が前記外側枠部に取付けられていることを特徴としている。
【0033】
この請求項4の発明では、請求項3の発明において、更に、ロック手段による開度調節部材の回転の固定が解除された状態で、開度調節部材が水平軸線まわりに180度以上回転操作されると、この部材の偏心軸が、基軸部の中心軸線の周りを円運動するように180度以上回転されるため、回転可能に支持された可動堰の孔部とこれを貫通している偏心軸との相対的位置が変化する。この変化に伴い、孔部の長手方向に延びる縁のうちの片方が偏心軸で押されるので、可動堰は垂直軸線まわりを支点として回転される。つまり、開度調節部材の回転操作が変換手段により可動堰の動きに変換されて、前記隙間の開度が変わる。この場合、既述のように開度調節部材の回転操作量が従来に比べて2倍以上確保されているので、フィーダ本体内を流動する原料の量の調節をより容易に行うことができる。又、調節された開度は、ロック手段により開度調節部材の回転を固定することで維持される。
【0034】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記可動堰が支持されていない方の前記枠部に前記堰部が垂直軸線まわり回転可能に支持されているとともに、前記堰部が上下方向に延びる孔部を有し、前記偏心軸が前記可動堰の孔部とともに前記堰部の孔部に貫通されていて、前記開度調節部材の回転操作により前記堰部と前記可動堰部とが互に逆方向でかつ接離するように回転されることを特徴としている。
【0035】
この請求項5の発明で、回転可能な堰部の長さと、回転可能な可動堰の長さとは同じであることが好ましいが、異なっていても差し支えない。
【0036】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、更に、開度調節部材を回転操作することで、回転可能に支持された可動堰だけではなく、この可動堰に対向して回転可能に支持された堰部も同時に逆方向でかつ互に接離する方向に動かされる。それにより、開度規制部間に形成された隙間の開度が変わって、フィーダ本体内を流動する原料の量を調節できる。
【0037】
請求項6の発明の回転式粉末圧縮成型機は、回転盤の臼取付け部に複数取付けられた臼の臼孔に、前記臼取付け部上に配設された粉末充填用フィーダから原料を充填し、前記臼孔内の原料を圧縮成型する回転式粉末圧縮成型機において、前記粉末充填用フィーダが請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の粉末充填用フィーダであるとともに、このフィーダが備えた堰部と可動堰との間の隙間が、前記臼孔の回転軌跡上に形成されていることを特徴としている。
【0038】
この請求項6の発明は例えば錠剤を生産する回転式打錠機等に適用できる。この場合、回転盤の一回転で錠剤の製造が完結される回転式打錠機に限らず、回転盤の一回転中に複数の錠剤が製造される所謂複式の回転式打錠機にも適用可能である。
【0039】
請求項6の発明の回転式粉末圧縮成型機は、請求項1から5のうちのいずれか粉末充填用フィーダを備えているので、フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0040】
尚、請求項6の発明を複式の回転式打錠機に適用した場合、この打錠機で回転方向上流側の粉末充填用フィーダから流出した余剰粉末は、このフィーダに直接回収されるのではなく、同粉末充填用フィーダに対して回転方向下流側に隣接された粉末充填用フィーダにその原料回収部を通って回収される。したがって、このような複式の回転式打錠機でも、フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0041】
請求項7の発明の回転式粉末圧縮成型機は、請求項6の発明において、前記隙間を通過する原料の高さが前記臼孔への原料充填深さと略同じ高さ以上となるように前記隙間によって原料の流れを規制することを特徴としている。
【0042】
請求項7の発明では、請求項6の発明において、更に、臼孔に対する原料の充填不足が防止されて、製造される成型品の質量を規格範囲内に保持することが可能である。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能な粉末充填用フィーダ及びこれを備えた回転式粉末圧縮成型機を提供可能である、という効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係るオープンフィーダを備えた回転式打錠機の構成を展開して概略的に示す図である。
【図2】回転盤の一部とともに図1のオープンフィーダを示す平面図である。
【図3】オープンフィーダが備える調節機構を図2中F3−F3線に沿って示す断面図である。
【図4】図2のオープンフィーダの可動堰と開度調節部材とを組立て・分解する際における可動堰と開度調節部材との関係を示す図である。
【図5】図3中F5―F5線に沿って示す断面図である。
【図6】図2のオープンフィーダの第1、第2の可動堰間の隙間と回転盤に取付けられた臼との関係を図2中矢印F6方向から見て示す断面図である。
【図7】(A)及び(B)は本発明の第2実施形態に係るオープンフィーダが備える可動堰を示す平面図及び側面図である。
【図8】図7のオープンフィーダの第1、第2の可動堰間の隙間と回転盤に取付けられた臼との関係を示す断面図である。
【図9】回転盤の一部とともに本発明の第3実施形態に係るオープンフィーダを示す平面図である。
【図10】回転盤の一部とともに本発明の第4実施形態に係るオープンフィーダを示す平面図である。
【図11】回転盤の一部とともに本発明の第5実施形態に係るオープンフィーダを示す平面図である。
【図12】回転盤の一部とともに本発明の第6実施形態に係るロータリー型のオープンフィーダを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図6を参照して詳細に説明する。
【0046】
図1に示すように回転式粉末圧縮成型機例えば回転式打錠機(以下打錠機と略称する。)1は、臼取付け部2aを有した回転盤2(図2参照)を備え、複数の臼3が臼取付け部2aの周部に回転盤2の周方向に一定間隔で取付けられている。なお、臼3はダイとも称されているので、臼取付け部2aをダイ取付け部と称することもできる。
【0047】
打錠機1はその原料供給位置に配置された粉末充填用フィーダ例えば後述のオープンフィーダ(以下フィーダと略称する。)4、及び原料ホッパ5を備えている。フィーダ4は、その上方に配設された原料ホッパ5から適時補給される原料を、臼3の臼孔3aに充填するために設けられている。なお、原料とは、粉末のみならず顆粒その他も含んでおり、更に、これらの混合物も含んでいる。又、臼孔3aは成型孔とも称されていると共に、臼孔3aは一つのダイに複数設けられる場合もある。
【0048】
打錠機1は、各臼3の夫々に個別に対応して配設された上杵6と下杵7を備えている。なお、上杵6は上パンチ、下杵7は下パンチとも称されている。これら上杵6と下杵7は上下動可能に回転盤2に設けられている。上杵6の先端部(下端部)は臼3の臼孔3aに対してその上方から挿脱される。下杵7の先端部(上端部)は、臼3の臼孔3aに対して下方から上向きに挿入された状態を保持していて、臼孔3aの底をなしている。これら上杵6と下杵7は、回転盤2の回転に伴って打錠機1が備える図示しない(後述する質量調節軌道8及び低下軌道15を除く)各種の案内軌道等を摺動し、それにより、軸線方向に必要量動かされる。
【0049】
下杵7の下端が摺動する質量調節軌道(重量調節軌道ともいう。)8は、原料供給位置において回転盤2の臼取付け部2aの下方に配設されている。質量調節軌道8は、質量調節機構9により昇降可能に支持されている。この質量調節機構9は、軌道昇降用モータ9aと、昇降軸9bと、歯車9cと、駆動歯車9dを有している。
【0050】
昇降軸9bは、図示しないガイドに沿って昇降され、その上端部に質量調節軌道8が連結されている。歯車9cは、内周歯車部及び外周歯車部を有していて、その内周歯車部を昇降軸9bの下部に形成された雄ねじ部に噛み合わせて設けられている。駆動歯車9dは、歯車9cの外周歯車部に噛み合わされていて、軌道昇降用モータ9aにより回転される。したがって、質量調節機構9の軌道昇降用モータ9aの正逆回転に従い、昇降軸9bとともに質量調節軌道8が昇降される。
【0051】
低下軌道15は、フィーダ4の下方で、かつ、質量調節軌道8の直前に配設されている。図2中符号15aは低下軌道15の終端部を示しているとともに、符号8eは質量調節軌道8の始端部を示している。
【0052】
低下軌道15に従って下杵7が下降されるに伴い、フィーダ4内の原料が臼孔3aに充填される。この直後に下杵7が低下軌道から質量調節軌道8の傾斜面8aを摺動して上がることに伴い、臼孔3aの一部の粉末がフィーダ4内に吐き出される。次いで、下杵7が質量調節軌道8の傾斜面の上端に連続した水平面8bを摺動することに伴い、フィーダ4が備える後述の摺り切り部材24で臼3の上面が摺り切られる。それによって、臼3への粉末供給量(充填量)が決まる。言い換えれば、生産しようとする錠剤の質量(重量)が秤量される。したがって、質量調節軌道8の高さ位置が変更されることにより、生産しようとする錠剤の質量が変更(補正)される。
【0053】
打錠機1はその圧縮成型位置に配設された上下の圧縮成型ロール(以下圧縮ロールと略称する。)10,11を備えている。圧縮成型位置は回転盤2の回転方向を基準に、フィーダ4が配設された原料供給位置の下流側に設定されている。
【0054】
上側の圧縮ロール10は回転盤2の臼取付け部2aの上方に配置され、下側の圧縮ロール11は回転盤2の臼取付け部2aの下方に配置されている。圧縮ロール10,11は、これらの間を上杵6と下杵7が通過する際に、これら上杵6と下杵7を互に近付くように移動させて、臼3内の原料を圧縮成型する。尚、圧縮成型は、予備圧縮とこの後に行われる本圧縮とで行うこともでき、この場合、夫々の圧縮位置に上下の圧縮ロールが配設される。
【0055】
打錠機1は、その排出位置に配設されたスクレーパ12を備えている。排出位置は回転盤2の回転方向を基準に圧縮成型位置の下流側に設定されている。この排出位置の下流側にフィーダ4が配設された前記原料供給位置が設定されている。
【0056】
スクレーパ12は図2に示した臼3及び臼孔3aの回転軌跡A(この軌跡の中心線で代表する。)と交差して臼取付け部2a上に配設されている。このスクレーパ12によって、排出位置で下杵7により臼孔3aから押し出された錠剤(粉末圧縮成型品)が、下杵7から外されて、臼取付け部2a上から回転盤2の外部に取出される。
【0057】
次に、図2〜図6を参照してフィーダ4について詳しく説明する。フィーダ4は、図2に示すようにフィーダ本体21と、摺り切り部材24と、調節機構31を備えている
フィーダ本体21はアルミニウムダイカストや合成樹脂等により枠状に形成されている。つまり、フィーダ本体21は、その長手方向の一端部21aと他端部21bと、これらにわたる内側枠部21cと外側枠部21dを有している。このフィーダ本体21の上面及び下面は夫々開放されている。
【0058】
フィーダ本体21の一端部21aは、フィーダ本体21内を流動する原料の流動方向(この方向は回転盤2の回転方向と同じで、図2では反時計回りの方向である。)を基準に。他端部21b及び調節機構31の上流側に位置する端部である。この一端部21aにその下面に開放する原料回収部22が設けられている。原料回収部22は、フィーダ本体21内と一端部21aの上流側外部とを連通する溝で形成されている。この原料回収部22により、回転盤2の回転に伴いフィーダ4に向けて移動された余剰原料がフィーダ本体21内に回収される。
【0059】
フィーダ本体21の他端部21bは、フィーダ本体21内での原料の流動方向を基準に、一端部21a及び調節機構31の下流側に位置する端部である。この他端部21bに原料出口部23が形成されている。この原料出口部23は、フィーダ本体21内を流動した原料のうちで臼3の臼孔3aに充填されなかった余剰原料を、回転盤2の臼取付け部2a上に流出させるために設けられている。更に、フィーダ本体21の他端部21bにねじ止めにより摺り切り部材24が着脱可能に取付けられている。摺り切り部材24は他端部21bの下面から突出されて臼取付け部2aの上面に接している。
【0060】
フィーダ本体21の内側枠部21cは、フィーダ4が臼取付け部2a上に配設されたセット状態で、回転盤2の中心部に近い方に位置する枠部であり、外側枠部21dは、同セット状態で回転盤2の外周面に近い方に位置する枠部である。これら内側枠部21cと外側枠部21dは、フィーダ4の前記セット状態で例えば臼3の回転軌跡Aと略平行となるように曲がった原料接触側面を有している。
【0061】
フィーダ本体21は固定堰26を有している。この固定堰26は、一端部21a側で内側枠部21cと外側枠部21dとにわたって設けられている。固定堰26の上下端の高さはフィーダ本体21の上下端の高さと略同じである。固定堰26はその下方に開放する原料通過溝を有している。尚、この原料通過溝の位置の識別を容易にするために図2ではハッチングを付して示した。
【0062】
フィーダ4は回転盤2の近傍に配置されたフィーダ支持部材13にねじ止め等により支持されて臼取付け部2a上にセットされる。このセット状態で、フィーダ本体21の下端は臼取付け部2aの上面から僅かに離れているが、摺り切り部材24は臼取付け部2aの上面に接している。更に、同セット状態で、フィーダ本体21の一端部21aと他端部21b、摺り切り部材24、及び固定堰26は、臼3の回転軌跡Aと交叉して配置され、かつ、内側枠部21cは臼3の回転軌跡Aで囲まれる領域の内側に配置され、外側枠部21dは前記領域の外側に配置されている。
【0063】
尚、図2中符号27は外側枠部21dにその下面より突出して取付けられたシール材を示している。このシール材27は、フェルトなどからなり、前記セット状態で臼取付け部2aの上面に接して、フィーダ本体21外への原料の漏れを防止している。
【0064】
更に、前記セット状態で調節機構31の後述する間隙Gは、図2に示されるように臼3が有した臼孔3aの回転軌跡A上に設けられている。これとともに、前記セット状態でのフィーダ4に対する低下軌道15の終端部15a及び質量調節軌道8の始端部8eの配置は図2に示されている。つまり、調節機構31とフィーダ本体21の他端部21bとの間、正確には調節機構31の後述する間隙Gの下流側で、かつ、他端部21bの上流側のフィーダ本体内領域の下方に、終端部15a及び始端部8eが配設されている。
【0065】
調節機構31は、フィーダ本体21内を流動する原料の流量を調節するために、フィーダ本体21の一端部21aと他端部21bとの間に位置してフィーダ本体21に取付けられている。この調節機構31は、堰部例えば第1可動堰32と、この第1可動堰32に横方向から接離するように設けられた第2可動堰34と、開度調節部材41を備えている。なお、第1可動堰32に代えて固定の堰部とすることも可能である。
【0066】
第1可動堰32は、内側枠部21cと外側枠部21dとのうちの一方、例えば回転軌跡Aで囲まれた領域内に配設された内側枠部21cの堰取付け部25に取付けられている。
【0067】
即ち、堰取付け部25は、図3及び図4に示すように内側枠部21cに一体に設けられていて、斜面25a(図2参照)と座部25bを有している。第1可動堰32は座部25b上に配設される円筒状の固定端部32aを有している。図3及び図4に示すように先端部のみにねじ部が形成された支点ねじ33を固定端部32aに下向きに通して座部25bに取外し可能にねじ込むことにより、第1可動堰32は、支点ねじ33の垂直な中心軸線(垂直軸線)まわりに回転可能に支持されている。この回転により、第1可動堰32は、第2可動堰34に水平方向から接離するようにフィーダ本体21の幅方向に動かされる。
【0068】
こうして取付けられた第1可動堰32は、前記流動方向を基準として堰取付け部25の斜面25aに対し下流側に配設されている。第1可動堰32は、臼取付け部2aの上面に対して略直角に起立するように配設される板状部を少なくとも有している。尚、第1可動堰32は、その強度を高める上で上縁を横方向に折り曲げてもよい。第1可動堰32の下縁の高さはフィーダ本体21の下端の高さと略同じであり、第1可動堰32の上縁の高さはフィーダ本体21の上端の高さと略同じである。第1可動堰32は開度規制部32bを有している。本実施形態では、第1可動堰32の構成を単純化するために、第1可動堰32の自由端を開度規制部32bとして利用している。
【0069】
第1可動堰32の長さと略同じ長さの第2可動堰34は、第1可動堰32が設けられていない方の枠部、例えば回転軌跡Aで囲まれた領域から外れて配設された外側枠部21dの堰取付け部35に取付けられている。
【0070】
即ち、堰取付け部35は、堰取付け部25と同様の構成であり、外側枠部21dに一体に設けられていて、図2に示すように斜面35aと座部35bを有している。第2可動堰34は座部35b上に配設される円筒状の固定端部34aを有している。先端部のみにねじ部が形成された支点ねじ36を固定端部34aに下向きに通して座部35bに取外し可能にねじ込むことにより、第2可動堰34は、支点ねじ36の垂直な中心軸線(垂直軸線)まわりに回転可能に支持されている。この回転により、第2可動堰34は、第1可動堰32に水平方向から接離するようにフィーダ本体21の幅方向に動かされる。
【0071】
こうして取付けられた第2可動堰34は、前記流動方向を基準として堰取付け部35の斜面35aに対し下流側に配設されている。第2可動堰34は、臼取付け部2aの上面に対して略直角に起立するように配設される板状部を少なくとも有している。尚、第2可動堰34は、その強度を高める上で上縁を横方向に折り曲げてもよい。第2可動堰34の下縁の高さはフィーダ本体21の下端の高さと略同じであり、第2可動堰34の上縁の高さはフィーダ本体21の上端の高さと略同じである。第2可動堰34は開度規制部34bを有している。本実施形態では、第2可動堰34の構成を単純化するために、第2可動堰34の自由端を他の開度規制部34bとして利用している。
【0072】
第2可動堰34の開度規制部34bと第1可動堰32の開度規制部32bとの間に、上方に開放された隙間G(図2及び図6参照)が形成されている。これら開度規制部32bと開度規制部34bは、隙間Gの幅Wが最小に調節された状態では共に臼孔3aの回転軌跡Aの近くに配設され、又、開度が大きくなる程、回転軌跡Aから離れて配設される。
【0073】
隙間Gの幅Wは内側枠部21cと外側枠部21dとの間の幅よりも狭い。第1可動堰32と第2可動堰34との間の隙間Gによって、この隙間Gを通過する原料の高さH2(図6参照)が臼孔3aへの原料充填深さH1(図6参照)と略同じ高さ以上となるように原料の流れが規制されるようになっている。これとともに、最小に調節された隙間Gの幅Wは、図6に示すように臼孔3aの直径より広く、かつ、臼3の直径より狭いことが好ましい。
【0074】
以上のようにフィーダ本体21に取付けられた第1可動堰32と第2可動堰34は、これらの間の間隔が、原料の流量調節用の隙間Gに近付く程狭くなるように互に逆向きに傾いて配設されている(図2参照)。
【0075】
開度調節部材41は、可動堰、つまり、本実施形態の場合、第1可動堰32と第2可動堰34を共に動かしてこれらの間に形成された隙間Gの幅を変えるために、フィーダ本体21に取付けられていて、外側枠部21dの外側から操作可能である。
【0076】
詳しくは、開度調節部材41は、図2に示すように第1基軸部42と、第2基軸部43と、偏心軸44を有している。第1基軸部42と第2基軸部43は例えば同径の円形軸部からなる。偏心軸44の両端に第1基軸部42と第2基軸部43が夫々連続され、これら第1基軸部42と第2基軸部43の中心軸線に対して偏心軸44の中心軸線は偏心している。
【0077】
この開度調節部材41は、内側枠部21cに第1基軸部42を水平軸線まわりに回転自在に支持させるとともに、外側枠部21dに第2基軸部43を水平軸線まわりに回転自在に支持させることによって、フィーダ本体21の幅方向に延びてフィーダ本体21に回転可能に取付けられている。第2基軸部43は外側枠部21dを貫通してフィーダ本体21外に突出されており、その突出端に摘み45が設けられている。
【0078】
開度調節部材41は外側枠部21dの側方からフィーダ本体21に対して挿脱可能である。この開度調節部材41の回転を固定するとともにこの固定を解除するためのロック手段例えばロックねじ46が、フィーダ本体21に外側枠部21dに上方から進退可能にねじ込まれている。
【0079】
ロックねじ46を上下方向に進退操作することにより、このロックねじ46の先端は第2基軸部43に接離可能である。ロックねじ46で第2基軸部43が上方から押し付けられることにより、開度調節部材41は不用意に回転しないように固定される。又、ロックねじ46を上昇させてその先端が第2基軸部43から離された状態では、開度調節部材41の回転及びフィーダ本体21に対する挿脱が可能である。
【0080】
尚、ロックねじ46からなるロック手段は構成及び操作が単純である点で好ましいが、ロック手段は、他の構成でもよい。例えば、第2基軸部43をねじ軸とし、これにロックナットを螺合し、このロックナットを締めてフィーダ本体21の外側枠部21dに接触させることにより、開度調節部材41の回転を固定し、かつ、ロックナットを緩めることにより前記固定の解除をするロック手段を採用することも可能である。
【0081】
開度調節部材41は、変換手段により、可動堰(つまり、本実施形態の場合、第1可動堰32及び第2可動堰34)と接続されている。変換手段は、開度調節部材41の回転を、第1可動堰32及び第2可動堰34の動きに変換させるために設けられている。
【0082】
この変換手段は、例えば図3及び図5で代表して示すように第1可動堰32及び第2可動堰34の夫々に上下方向に延びて設けられた孔部47と、これら孔部47を貫通した偏心軸44とで形成されている。孔部47の幅は偏心軸44の径よりも僅かに大きい。これとともに、図5に示すように孔部47の縁は半円状に面取りされていることが好ましい。この面取りにより、第1可動堰32及び第2可動堰34が横方向に回転される際、孔部47と偏心軸44とが競って、第1可動堰32及び第2可動堰34の横方向回転が妨げられることを抑制可能である。
【0083】
尚、図3及び図4中符号48は、第1可動堰32及び第2可動堰34の夫々の孔部47の下側に連続して設けられた通孔を示している。この通孔48を第1基軸部42及び第2基軸部43は通過可能である。そのため、ロックねじ46を緩めるとともに支点ねじ33,36を外して、図4で代表して示すように通孔48が第1基軸部42と第2基軸部43に対向するように第1可動堰32及び第2可動堰34を持ち上げた状態とすることにより、開度調節部材41をフィーダ本体21から挿脱することが可能である。これによって、第1可動堰32及び第2可動堰34と開度調節部材41をフィーダ本体21に着脱することができる。
【0084】
次に、原料ホッパ5を経由してフィーダ本体21内に補給された原料のフィーダ本体21での流量を調節する手順を説明する。この調節は、打錠機1の運転中に、ロックねじ46を緩めた上で、摘み45を掴んで開度調節部材41を回転させることで行う。
【0085】
詳しくは、開度調節部材41が回転操作されると、偏心軸44が、第1基軸部42及び第2基軸部43の中心軸線の周りを円運動するように回転されて、支点ねじ33で回転可能に枢支された第1可動堰32の孔部47とこれを貫通している偏心軸44との相対的位置が変化する。これと同時に、支点ねじ36で回転可能に枢支された第2可動堰34の孔部47とこれを貫通している偏心軸44との相対的位置も変化する。
【0086】
それに伴い、孔部47の長手方向に延びる縁のうちで片方の縁が、偏心軸44で押されるので、いずれも斜めに設けられた第1可動堰32と第2可動堰34が、それらの枢支部(支点ねじ33又は支点ねじ36)を支点として互に逆方向に回転される。つまり、開度調節部材41の回転が変換手段により第1可動堰32と第2可動堰34の横方向の回転に変換される。したがって、これら第1可動堰32の開度規制部32bと第2可動堰34の開度規制部34bとの間に形成された隙間Gの幅(開度)が変わって、フィーダ本体21内を流動する原料の量が調節される。
【0087】
この調節では、既述のように偏心軸44と孔部47からなる変換手段で、水平軸線まわりの開度調節部材41の回転を、第1可動堰32と第2可動堰34の垂直軸線まわりの回転に変換している。このため、図2中実線位置に配置された第1可動堰32と第2可動堰34の開度規制部32bと開度規制部34bとの間に最小の隙間Gが形成された状態(この状態での第1可動堰32と第2可動堰34の配置を図2中実線で示す。)から開度調節部材41を水平軸線まわりに180度回転させることで、隙間Gが最大に広がった状態となる(この状態での第1可動堰32と第2可動堰34の配置を図2中二点鎖線で示す。)。
【0088】
尚、隙間Gの開度を狭くする場合、隙間Gを広げる方向の開度調節部材41の回転方向と同方向に、開度調節部材41を更に180度回転させてもよく、若しくは、隙間Gを広げる方向の開度調節部材41の回転方向とは逆に開度調節部材41を180度回転させても差し支えない。
【0089】
こうして摘み45を回転操作して開度規制部材41を水平軸線まわりに180度の角度範囲で回転させることで、開度規制部32b,34b間の隙間Gの幅を調節できる。この場合、調節に必要なだけ開度規制部材41を水平軸線まわりに回転させる量を従来に比べて2倍以上確保できる。このため、フィーダ本体21内を流動する原料の量の微かな調節を容易に行うことができる。
【0090】
なお、既述した従来のオープンフィーダと比較すれば、この従来のフィーダの調節機構の調節つまみとダンパの回転角は同じであるので、調節摘みを理論上は最大で略90度の角度範囲を回転操作可能である。しかし、原料を前記隙間に通過させるためには、前記開度をある程度以上確保する必要があるので、ダンパの位置を調節する調節摘みの回転角度は90度より小さい。このため、フィーダ内で流動する原料の量を臼への充填量に見合って適正に調節する上で、前記ダンパを微妙に回転させる調節操作が困難である。特に、このような問題は、ダンパの先端縁の長さが長いほど、更には、回転盤の回転数が高速になるほど顕著になる。こうした問題は、実施形態1のフィーダ4では既述のように改善することができた。
【0091】
調節機構31の開度が調節されると、この機構の第1可動堰32と第2可動堰34との間の隙間Gより上流側にある原料が、回転盤2の回転にしたがって隙間Gを通過する。このとき、隙間Gを通過した原料の直下に臼孔3aが臨んでおり、この臼孔3aの底をなした下杵7は低下軌道15により下降を継続している状態にある。よって、隙間Gを通過した原料が臼3の臼孔3aに吸込まれるように充填される。
【0092】
この場合、隙間Gを通過する原料の高さH2が臼孔3aへの原料充填深さH1と略同じ高さ以上となるように、隙間Gで原料の流れを規制しているので、臼孔3aに対する原料の充填不足が防止される。これにより、製造される成型品の質量を規格範囲内に保持することが可能である。
【0093】
しかも、隙間Gに近付く程、第1可動堰32と第2可動堰34との間の間隔Gが狭くなっているので、フィーダ本体21内を流動する原料は隙間Gのみを通って流動して、既述のように臼孔3aに充填される。この場合、第1可動堰32の開度規制部32bと第2可動堰34の開度規制部34bとの間に形成された隙間Gの幅Wは、フィーダ本体21の内側枠部21cと外側枠部21d間の幅より狭いので、原料を、臼3への充填量に見合った最小必要限度の流量でフィーダ本体21内に流動させながら臼孔3aに充填させることができる。
【0094】
したがって、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と臼孔3aへの原料の充填量とのバランスをとる調節が容易であるとともに、充填に供されない余剰原料を極力減らすことが可能である。これにより、過度な余剰粉末の流動が抑制されるに伴い、こうした流動を原因として分級現象が生じることを抑制可能である。
【0095】
既述の操作による原料の流量調節が適正か否かは、調節によるフィーダ4の原料出口部23から排出された余剰原料が、フィーダ本体21内の原料の量の過不足がないことを、打錠機1の運転状況から確認することで決められる。そして、適正な調節が確認された後は、ロックねじ46が締め付けられる。それにより、開度調節部材41が不用意に回転しないように固定されて調節機構31の適正開度が保持される。
【0096】
こうしたフィーダ4内での原料流量の調節によって、余剰原料がフィーダ本体21の一端部で、回収しきれずに臼取付け部2a上から溢れることが抑制されると共に、臼3の臼孔3aへの原料の充填量が不足して製造される錠剤の質量が変動することが抑制されるので、錠剤質量の安定性を確保することが可能である。
【0097】
以上の調節をする上で操作される開度調節部材41の摘み45は、フィーダ本体21が有した外側枠部21dの外部でかつ側方に突出されており、又、ロックねじ46は、外側枠部21dの外部上方に突出されている。このため、打錠機1の運転中に、フィーダ4を回転盤2の臼取付け部2a上から外すことなく、ロックねじ46及び開度調節部材41の摘み45を操作して、フィーダ本体21内を流動する原料の量を調節できる。
【0098】
又、以上の調節では、第1可動堰32と第2可動堰34との間隔が相互間の隙間Gに近づく程狭いので、隙間Gに向けて流動する原料の密度は、原料が第1可動堰32と第2可動堰34とでフィーダ本体21の幅方向に押されて上がろうとする。しかし、隙間Gを含めて第1可動堰32と第2可動堰34との間は上方に開放されているので、原料は上方へ逃げることができる。こうした原料の挙動は、隙間Gを通過しようとする原料の高さH2を、臼孔3aへの原料充填深さH1と略同じ高さ以上と保持する上で有効である。
【0099】
原料が上方へ逃げることで隙間Gに向けて流動する原料の密度の上昇が抑制されるため、原料が第1可動堰32と第2可動堰34との間でブロッキング現象を起こすことが抑制される。よって、フィーダ本体21内での原料の流量を規定する隙間Gに原料を円滑に流通させることが可能である。
【0100】
こうしたブロッキング現象の抑制に伴い、原料が粗い粒子と細かい粒子とが混合されている場合であっても、粒子の粒度差による分離現象(分級現象)に基づく偏析現象が抑制される。したがって、臼3に充填される原料の充填密度が一定化されて、錠剤の質量変動が抑制されるとともに、一錠あたりの主薬の含有量に変動を抑制することが可能となる。
【0101】
以上説明したように前記構成のフィーダ4によれば、打錠機1の運転中にフィーダ本体21内を流動する原料の量を容易に調節可能で、この調節を担う調節機構31の可動堰に起因する原料のブロッキング現象を抑制することが可能である。
【0102】
本発明の第2の実施の形態について、図7及び図8を参照して説明する。第2実施形態は以下説明する構成を除いて第1実施形態と同じであるので、以下の説明において第1実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図7及び図8に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0103】
第2実施形態は、第2可動堰34と、堰部としての第1可動堰32の構成が以下のように第1実施形態とは異なる。
【0104】
即ち、図8に示すように第1可動堰32と第2可動堰34は相対向する側面にガイド面37を有している。これらのガイド面37は、前記側面間の相互間隔が上側程次第に狭くなるように傾いて設けられている。言い換えれば、第1可動堰32と第2可動堰34との間の隙間Gから上流側を見た場合に略ハの字形状をなすように傾斜して設けられている。更に、ガイド面37は、図7(A)(B)に示すように前記側面の一部に設けられているが、前記側面の全体にわたって設けることも可能である。
【0105】
こうしたガイド面37を有した第1可動堰32と第2可動堰34との間を流通しようとする原料は、第1可動堰32と第2可動堰34の相対向する側面に接しながらこれらの間を隙間Gに向けて流動されるので、この原料はガイド面37によって下向きの力を受けつつ導かれる。このため、第1可動堰32と第2可動堰34との間に下側から臨んで移動される臼3の臼孔3aに対する原料の充填性能が向上され、それに伴い、打錠機1で成形される錠剤の質量変動を抑制することが可能である。
【0106】
なお、この第2実施形態で、ガイド面37は、第2可動堰34、及び固定又は可動する堰部(つまり第1可動堰32)の相対向する側面全体を傾斜させて形成してもよく、或いは、第2可動堰34、及び固定又は可動する堰部(つまり第1可動堰32)の相対向する側面の少なくとも一部、例えば隙間G側の端部部位のみに形成しても良い。更に、ガイド面37は、斜面以外にも上下方向に円弧をなす面で形成することも可能であるとともに、このガイド面37は、原料の流動方向を基準として隙間Gに近づくに従って次第に傾きが大きくなるように形成しても良い。
【0107】
図7(A)(B)に示すように第1可動堰32と第2可動堰34はその自由端部に端部斜面38を有している。これら端部斜面38は、上下方向に延びていて第1可動堰32と第2可動堰34の高さ方向全長にわたって形成されている。端部斜面38は、ガイド面37及びその上側に連続した可動堰側面部39(図7(B)参照)との間に図7(A)に示すように鈍角を形成して、これらガイド面37及び可動堰側面部39に対して斜めに連続されている。
【0108】
調節機構31の開度を最小にしたときに、第1可動堰32と第2可動堰34の端部者面38は互に接して隙間Gをなくすことが可能である。このため、調節機構31の開度を最小にした状態を基準として次第に開度を増やす調節方法を採用することが可能である。これとともに、臼3の臼孔3aが小さく小径な錠剤を製造する場合や、充填深さが浅く薄い錠剤を製造する場合等は、調節機構31の隙間Gをなくした状態で錠剤を製造することにより、流動する原料を塞き止めて臼3の臼孔3aへの充填性能を高めつつ、原料出口部23から出る原料と原料回収口22に回収される原料の量をつり合わせて、原料回収口22で回収される原料が溢れないようにすることが可能である。
【0109】
第2実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第1実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく既述の作用を有している。従って、この第2実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0110】
本発明の第3の実施の形態について、図9を参照して説明する。第3実施形態は以下説明する構成を除いて第1実施形態と同じであるので、以下の説明において第1実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図9に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0111】
第3実施形態は、原料がフィーダ本体21内を蛇行しながら流動するように複数の調節機構、例えば第1調節機構31Aと第2調節機構31Bを設けた点が、第1実施形態とは異なる。
【0112】
詳しくは、第1調節機構31Aは、堰部例えば内側枠部21cの堰取付け部25に回転可能に枢支された第1可動堰32と、外側枠部21dの堰取付け部35に回転可能に枢支された第2可動堰34と、開度調節部材41と、ロックねじ46とで形成されている。第1調節機構31Aが有した第1可動堰32の長さと第2可動堰34の長さは異なっていて、例えば、第2可動堰34の方が第1可動堰32より短い。
【0113】
このため、第1調節機構31Aの隙間Gを規定する第1可動堰32の開度規制部32bと第2可動堰34の開度規制部34bも前記流動方向にずれていて、例えば開度規制部34bは開度規制部32bの上流側に配設されている。更に、開度規制部32bと開度規制部34bは、第1調節機構31Aの開度が最小に調節された状態(図9中実線で示すように第1可動堰32と第2可動堰34が配設された状態。)で、共に臼孔3aの回転軌跡A上若しくはその近くに配設され、又、前記開度が大きくなる程、回転軌跡Aから離れて配設されるようになっている。これとともに、第1調節機構31Aの隙間Gは、例えば外側枠部21dと対向するように第1調節機構31Aの開度規制部32bと開度規制部34bとの間に形成されている。
【0114】
第1調節機構31Aの下流側に配設された第2調節機構31Bは、第1調節機構31Aと同様な構成である。つまり、第2調節機構31Bは、内側枠部21cに設けられた堰部例えば堰取付け部25に回転可能に支持された第1可動堰32と、外側枠部21dの堰取付け部35に回転可能に枢支された第2可動堰34と、開度調節部材41と、ロックねじ46とで形成されている。
【0115】
第2調節機構31Bが有した第1可動堰32の長さと第2可動堰34の長さは異なっていて、例えば、第1調節機構31Aとは逆に第1可動堰32の方が第2可動堰34より短い。このため、第2調節機構31Bの隙間Gを規定する第1可動堰32の開度規制部32bと第2可動堰34の開度規制部34bは前記流動方向にずれていて、例えば開度規制部32bは開度規制部34bの上流側に配設されている。
【0116】
更に、開度規制部32bと開度規制部34bは、第2調節機構31Bの開度が最小に調節された状態(図9中実線で示すように第1可動堰32と第2可動堰34が配設された状態。)で、共に臼孔3aの回転軌跡A上若しくはその近くに配設され、又、前記開度が大きくなる程、回転軌跡Aから離れて配設されるようになっている。これとともに、第2調節機構31Bの隙間Gは、例えば内側枠部21cに対向するように第2調節機構31Bの開度規制部32bと開度規制部34bとの間に形成されている。
【0117】
このように配設された第1調節機構31Aと第2調節機構31Bにより、フィーダ本体21内を流動する原料の流動を方向付けることができる。この場合、第1調節機構31Aと第2調節機構31Bでは、その開度が最小のとき最も原料の流れを方向付けする作用が強い。
【0118】
前記流れの方向付けについて説明する。第2調節機構31Bの上流側に配設された第1調節機構31Aでは、この第1調節機構31Aの開度を規定する開度規制部32bと開度規制部34bとの間の隙間Gを通る原料の流れが、第1可動堰32の傾斜に従って方向付けられて、矢印Bで示すように図9において斜め下方向、つまり、外側枠部21dに向けて隙間Gを通過する。同様に、第1調節機構31Aの下流側に配設された第2調節機構31Bでは、この第2調節機構31Bの開度を規定する開度規制部32bと開度規制部34bとの間の隙間Gを通る原料の流れが、第2可動堰34の傾斜に従って方向付けられて、矢印Cで示すように図9において斜め上方、つまり、内側枠部21cに向けて隙間Gを通過する。
【0119】
したがって、フィーダ本体21内で原料が蛇行しながら流動するので、臼3の臼孔3aに対する原料の充填性能を向上できる場合がある。しかも、第2調節機構31Bの隙間Gが原料出口部23に近い位置で形成されていることに加えて、第2可動堰34が、原料出口部23が設けられた内側枠部21cに向けて原料を隙間Gに通過させる。このため、フィーダ本体21内での原料の流動並びに余剰粉末の原料出口部23の通過が円滑に行われる。
【0120】
第3実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第1実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく既述の作用を有している。従って、この第3実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0121】
尚、第3実施形態において、第1可動堰32と第2可動堰34の長さを変えてこれらが有した開度規制部を原料の流動方向にずらしたが、これに代えて、第1可動堰32と第2可動堰34の長さを略同じとし、かつ、これら第1可動堰32の枢支部をなす支点ねじ33と第2可動堰34の枢支部をなす支点ねじ36との位置関係を、原料の流動方向にずらせて設けることにより、これらの開度規制部を原料の流動方向にずらすようにしてよい。
【0122】
本発明の第4の実施の形態について、図10を参照して説明する。第4実施形態は以下説明する構成を除いて第1実施形態と同じであるので、以下の説明において第1実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図10に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0123】
第4実施形態は、フィーダ4がそのフィーダ本体21に着脱可能な調節カートリッジ51を備えているとともに、この調節カートリッジ51に調節機構31を配設した点が、第1実施形態とは異なる。
【0124】
詳しくは、第4実施形態で、調節カートリッジ51は、フィーダ本体21にその上方から着脱可能に支持されるカートリッジベース52と、これに設けられた例えば一つの調節機構31とを備えている。尚、調節機構は複数設けることも可能である。
【0125】
カートリッジベース52は、上流側ベース枠部52a、下流側ベース枠部52b、内側ベース枠部52c、及び外側ベース枠部52dを、略四角枠状に連結してなる。上流側ベース枠部52aの両端部及び下流側ベース枠部52bの両端部は、フィーダ本体21の内側枠部21cと外側枠部21dに取外し可能なねじを用いて上方から着脱可能に止められている。こうしてフィーダ本体21にカートリッジベース52が取付けられた状態で、内側ベース枠部52cはフィーダ本体21の内部に臨んだ内側枠部21cの側面に重なって配置されているとともに、外側ベース枠部52dはフィーダ本体21の内部に臨んだ外側枠部21dの側面に重なって配置されている。
【0126】
堰取付け部25は内側ベース枠部52cの側面に一体に設けられ、同様に、堰取付け部35は外側枠部21dの側面に一体に設けられている。
【0127】
調節機構31は、堰部、例えば堰取付け部25に回転可能に枢支された第1可動堰32と、外側ベース枠部52dの堰取付け部35に回転可能に枢支された第2可動堰34と、開度調節部材41と、ロックねじ(ロック手段)46とで形成されている。
【0128】
開度調節部材41の第1基軸部42は内側ベース枠部52cに形成した孔52eに挿入され回転可能に支持されている。外側ベース枠部52dに形成された通孔52fとフィーダ本体21の外側枠部21dに形成された通孔21eは、互に連通されている。これらの通孔21e,52fに開度調節部材41の第2基軸部43が貫通され、かつ、回転可能に支持されている。
【0129】
第4実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第1実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく作用を有している。従って、この第4実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0130】
更に、第4実施形態では、フィーダ4がそのフィーダ本体21に着脱可能な調節カートリッジ51を備えている。このため、圧縮成型される原料の種類に見合った構成の調節機構31を有した調節カートリッジ51をフィーダ本体21に付け替えてフィーダを使用可能であり、このようにする場合は、フィーダ本体21の共通化を図る上で好ましい。
【0131】
本発明の第5の実施の形態について、図11を参照して説明する。第5実施形態は以下説明する構成を除いて第4実施形態と同じであるので、以下の説明において第4実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図11に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0132】
第5実施形態は、フィーダ本体21に着脱可能な調節カートリッジ51を、回転盤2の周方向に位置調節可能にフィーダ本体21に取付けた点が、第4実施形態とは異なる。
【0133】
詳しくは、第5実施形態で、調節カートリッジ51は、フィーダ本体21にその上方から着脱可能に支持されるカートリッジベース52と、これに設けられた例えば一つの調節機構31とを備えている。尚、調節機構は複数設けることも可能である。
【0134】
カートリッジベース52は、上流側ベース枠部52a、下流側ベース枠部52b、内側ベース枠部52c、及び外側ベース枠部52dを、略四角枠状に連結してなる。上流側ベース枠部52aの両端部及び下流側ベース枠部52bの両端部は、フィーダ本体21の内側枠部21cと外側枠部21dに上方から接触されていて、カートリッジベース52をフィーダ本体21に支持している。
【0135】
こうしてフィーダ本体21にカートリッジベース52が取付けられた状態で、内側ベース枠部52cはフィーダ本体21の内部に臨んだ内側枠部21cの側面に重なって配置されているとともに、外側ベース枠部52dはフィーダ本体21の内部に臨んだ外側枠部21dの側面に重なって配置されている。これら内側ベース枠部52cと外側ベース枠部52dの上部は、いずれもフィーダ本体21の上面より高く突出されている。
【0136】
更に、外側ベース枠部52dは、その上部から側方に折れ曲がって外側枠部21dの条面に重なる側方突出部52gを有している。この側方突出部52gには少なくとも一個の長孔53が開けられている。長孔53は臼3の回転軌跡Aと略平行に延びて形成されている。カートリッジベース52は、上方から長孔53を通って外側枠部21dに取外し可能にねじ込まれた固定ねじ54で、フィーダ本体21に取付けられている。この固定ねじ54を緩めた状態で、カートリッジベース52は長孔53の長さ範囲で回転盤2の周方向にフィーダ本体21に対して移動可能である。長孔53を有した側方突出部52gと固定ねじ54は、カートリッジ保持手段をなしている。
【0137】
堰取付け部25は内側ベース枠部52cの側面に一体に設けられ、同様に、堰取付け部35は外側ベース枠部52dの側面に一体に設けられている。
【0138】
調節機構31は、堰部、例えば堰取付け部25に回転可能に枢支された第1可動堰32と、外側ベース枠部52dの堰取付け部35に回転可能に枢支された第2可動堰34と、開度調節部材41と、ロックねじ(ロック手段)46とで形成されている。第1可動堰32及び第2可動堰34の下端から上端までの高さは、内側ベース枠部52c及び外側ベース枠部52dの高さと略同じである。
【0139】
開度調節部材41の第1基軸部42は、内側ベース枠部52cに形成した孔52eに挿入され回転可能に支持されている。開度調節部材41の第2基軸部43は、外側ベース枠部52dに形成された通孔52fに貫通されて回転可能に支持されている。第2基軸部43は外側ベース枠部52dの上方に配設されている。このようにカートリッジベース52のみに支持された開度調節部材41は、外側枠部21dに拘束されていないので、カートリッジベース52とともに移動可能である。又、開度調節部材41の回転の固定とその解除を担うロックねじ(ロック手段)46は、側方突出部52gに上方からねじ込まれて第2基軸部43に接離可能に設けられている。
【0140】
第5実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第4実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく作用を有している。従って、この第5実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0141】
しかも、第5実施形態では、長孔53の範囲で調節カートリッジ51の配置を回転盤2の周方向に沿って調節可能である。この場合、固定ねじ54等を含んだカートリッジ保持手段が、フィーダ本体21の外側枠部21dに設けられているので、回転式の打錠機1の運転中に、回転盤2の臼取付け部2a上からフィーダ4を外すことなく、調節カートリッジ51の位置を調節できる。こうした位置調節により、調節機構31が最適に機能するように調節カートリッジ51を配置させて、原料の物性などに応じて臼3への原料充填の最適化を図ることができる。
【0142】
更に、第5実施形態でも、第4実施形態と同様に、フィーダ4がそのフィーダ本体21に着脱可能な調節カートリッジ51を備えているので、圧縮成型される原料の種類に見合った構成の調節機構31を有した調節カートリッジ51をフィーダ本体21に付け替えてフィーダを使用可能であり、フィーダ本体21の共通化を図る上で好ましい。
【0143】
本発明の第6の実施の形態について、図12を参照して説明する。第6実施形態は以下説明する構成を除いて第3実施形態と同じであるので、以下の説明において第3実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図12に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0144】
第6実施形態は、フィーダ4がロータリー式の原料供給装置61を備えた点が、第3実施形態とは異なる。
【0145】
詳しくは、第6実施形態で、原料供給装置61は、例えば第1調節機構31Aとこれに対して下流側に配設された第2調節機構31Bとの間に配設されている。この原料供給装置31は、円筒壁62と、攪拌体63と、攪拌用モータ64等を備えて構成されている。
【0146】
円筒壁62はフィーダ本体21に取付けられていて、その一部は平面視においてフィーダ本体21の外側枠部21dより側方に突出するように設けられている。円筒壁62の高さとフィーダ本体21の高さは略同じであり、円筒壁62の下端とフィーダ本体21の下端とは面一に連続している。この円筒壁62のフィーダ本体21外に突出された部位の下端部位は底板62cで閉じられている。
【0147】
円筒壁62のフィーダ本体21内に臨んだ部位には、この部位の下面に開放する入口62aと出口62bとが夫々切り欠くように形成されている。入口62aは出口62bよりも第1調節機構31A及び原料回収部22に寄せて設けられていて、この入口62aにより円筒壁62内とフィーダ本体21内とが第1調節機構31A側で連通されている。出口62bは入口62aよりも第2調節機構31B及び原料出口部23に寄せて設けられていて、この出口62bにより円筒壁62内とフィーダ本体21内とが第2調節機構31B側で連通されている。このため、フィーダ本体21内を原料回収口22から原料出口23に向けて流動しようとする原料は、その途中で、フィーダ本体21内から入口62aを通って円筒壁62内に流入し、更に、円筒壁62から出口62bを通ってフィーダ本体21内に流出することが可能である。
【0148】
攪拌体63は円筒壁62内に収容されている。この攪拌体63は、円筒壁62内の中央部に配置される攪拌体コア部63aと、このコア部の周面から側方に突出された複数の攪拌羽根63bとから形成されている。攪拌体コア部63aは、円筒壁62の閉じた下端部位又は、円筒壁62の上端を閉じて設けられた図示しない天板に、垂直軸線まわりを回転自在に支持されている。
【0149】
円筒壁62の上方に配設された攪拌用モータ64はその回転動力で攪拌体63を回転駆動する。又前記図示しない天板には、図示しない原料ホッパの出口に連なる原料入口65が開口されている。この原料入口65は円筒壁62の閉じた下端部位に対向して設けられている。攪拌用モータ64は回転盤2が回転されることに連動して起動されて攪拌体63を回転させる。
【0150】
このため、原料入口65を通って円筒壁62内に供給された原料を、攪拌体63により攪拌しながらフィーダ本体21内に補給できる。これにより、フィーダ本体21内で原料がブロック化することを防止できるとともに、それに伴い原料補給に伴うフィーダ本体21内での原料の流動化が促進されて、臼3に対する原料の充填精度を向上させることが可能である。
【0151】
第6実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第3実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく作用を有している。従って、この第6実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0152】
更に、第6実施形態では、第3実施形態と同様に、フィーダ本体21内での原料の流動並びに余剰粉末の原料出口部23への通過を円滑に行わせることが可能である。
【符号の説明】
【0153】
1…回転式の打錠機(回転式粉末圧縮成型機)、2…回転盤、2a…臼取付け部、3…臼、3a…臼孔、H1…臼孔の充填深さ、4…オープンフィーダ、21…フィーダ本体、21a…フィーダ本体の一端部、21b…フィーダ本体の他端部、21c…フィーダ本体の内側枠部、21d…フィーダ本体の外側枠部、22…原料回収部、23…原料出口部、31…調節機構、32…第1可動堰(堰部)、32b…開度規制部、33…支点ねじ、34…第2可動堰、34b…開度規制部、36…支点ねじ、37…ガイド面、G…隙間、W…隙間の幅、H2…隙間を通る原料の高さ、41…開度調節部材、42…第1基軸部、43…第2基軸部、44…偏心軸(変換手段)、45…摘み、46…ロックねじ(ロック手段)、47…孔部(変換手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回転式打錠機の臼に圧縮成型される打錠原料を供給するオープンフィーダ等の粉末充填用フィーダ及びこれを備えた回転式打錠機等の回転式粉末圧縮成型機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転盤の臼取付け部上に配置されたオープンフィーダは、原料回収部と、原料出口部と、複数の固定の堰を有している(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
原料出口部は、フィーダ内を流動した原料のうちで臼に供給されなかった余剰分を臼取付け部上に逃がすために設けられている。原料回収部は、原料出口部から出た余剰原料を回転盤の回転に伴ってフィーダ内に受入れるために設けられている。又、堰は、フィーダの上側に配置されたホッパから適時補給された原料のフィーダ内での流量を規制しつつ、フィーダ内で流動する原料の密度むらを抑制するために設けられている。
【0004】
堰が動かないように固定されたオープンフィーダは、このフィーダ内での原料の流量を調節できない。そのため、余剰原料の量が少ないと、回転式打錠機の運転時間の経過とともに、フィーダ内の原料の量が不足し、臼への充填不足を生じて錠剤等の粉末圧縮成型品の質量がばらつく因子になる。この逆に、余剰原料が原料回収部での回収能力を超える程度に多いと、回転式打錠機の運転時間の経過とともに、原料回収部で余剰原料が溢れて回転盤からこぼれ、それに伴い、原料の損失と打錠機の周囲が汚れる事態を招くことがある。
【0005】
従来、こうした不具合を改善するために、フィーダ内での原料の流量を可変する調節機構が組込まれたオープンフィーダが提供されている。このフィーダの調節機構は、フィーダ内で原料出口部に向けて流動する原料の流動方向と交叉して設けられた回転軸と、この軸に固定された板状のダンパと、フィーダ外に突出された回転軸の一端部に取付けられた調節つまみと、回転軸を任意の回転位置で固定するロックねじを有している。ダンパの長さはフィーダの内面間の幅と略同じであり、これに対して臼の臼孔の直径は遥かに小さい。
【0006】
この調節機構では、ロックねじを緩めた状態で、調節つまみを手動で回すことにより、この調節摘みの回転操作角と同じ角度だけ回転軸及びダンパが上下方向に回転される。それにより、回転盤の臼取付け部上面とこれより上方に配設されたダンパの先端縁との間の距離で決まる開度(開口面積)を変えることができるので、この開度に見合ってフィーダ内での原料の流量が調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭54−98849号公報
【特許文献2】特開2010−94717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記構成の調節機構で調節された開度は、回転盤の臼取付け部の上面に対してダンパが略垂直に連続するように配置された場合に最小であり、前記上面と略平行にダンパが配置された場合に最大となる。開度が最小又は最大となる位置にダンパが配設されることは一般的ではなく、通常、ダンパは上下方向に斜めとなって使用される。つまり、フィーダ内を原料出口部に向けて流動する原料の流動方向を基準に、回転軸に連結されたダンパの基端部に対しダンパの先端縁を下方でかつ前記基端部より前記流動方向の下流側に位置させて、ダンパは斜めに配設される。
【0009】
これにより、フィーダ内を原料出口部に向けて流動する原料は、臼取付け部でそれより下方への原料の移動が妨げられた条件下で、斜めのダンパで下方に導かれ、ダンパの先端縁と回転盤の臼取付け部の上面との間の隙間に向けて集められる。これに伴い、ダンパ付近の原料の密度が高められながら、既述のように前記隙間に向けて集められた原料が前記隙間を通過する。こうして隙間を通過した原料の高さはダンパの下縁の高さで規定され、この原料高さに相当する原料厚み範囲で臼の臼孔に原料が充填される。
【0010】
臼孔に原料が充填される場合、臼孔の略真上の原料が臼孔に充填されるが、臼孔の略真上からダンパの長手方向に外れている原料は、臼孔に充填されない。既述のようにダンパの長さはフィーダの内面間の幅と略同じである。これに対して、ダンパの長さは臼孔の直径は遥かに小さい。このため、充填されなかった原料の量は、臼孔に充填される原料の量に比べて遥かに多い。充填されなかった原料は余剰原料となる。
【0011】
この余剰原料は、ダンパの下縁の位置が低くなるようにダンパを調節することで、減らすことができる。しかし、この調節に伴い、臼孔の略真上の原料の高さが臼孔に対する充填深さより低くなった場合は、充填不足を生じて、錠剤等成型品の質量を変動させる因子となることがある。これとともに、フィーダから流出する余剰原料が減少するに伴いフィーダに回収される余剰原料が減って、フィーダ内を流動する原料の流量と臼孔に充填される充填量とバランスが崩れることもある。
【0012】
この逆に、ダンパの下縁の位置が高くなるようにダンパを調節することで、臼孔の略真上の原料の高さを高くして、充填不足をなくすことができる。しかし、この調節に伴い、臼孔への充填量に比較して臼孔に充填されない原料の量が格段に増えるので、フィーダから流出する余剰原料とフィーダに回収される余剰原料とのバランスが崩れることがある。
【0013】
こうした事情からフィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとるダンパの調節が難しく、その改善が望まれている。
【0014】
更に、従来の調節機構では、上下方向に斜めとなって使用されるダンパを原因とする原料の流動抵抗が大きいので、原料の滞留現象(ブロッキング現象)を生じ易い。特に、原料が粉末成分を多く含んでいる場合は前記ブロッキング現象が顕在化する。
【0015】
ブロッキング現象が起こると原料の適正な流動が妨げられる。更に、粗い粒子と細かい粒子とが混合されている原料の場合は、ブロッキング現象や余剰原料の過度な流動に伴って、粒子の粒度差による分離現象(分級現象)を生じて、ブロッキングされた原料での粒子層の偏り、つまり、偏析現象を発生することがある。こうした現象がフィーダ内で生じると、臼に充填される原料の充填密度が変動するので、錠剤等の粉末圧縮成型品の質量を変動させる因子になるとともに、粉末圧縮成型品が錠剤である場合は、一錠あたりの主薬の含有量に変動を及ぼすことがある。
【0016】
ブロッキング現象の発生は、調節機構のダンパを動かして前記開度を大きくすれば防止できることがある。しかし、この場合、フィーダ内を流動する原料の量が増え過ぎるので、フィーダの原料回収部で余剰原料が溢れる事態を招くことは避けられない。
【0017】
本発明の目的は、フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能な粉末充填用フィーダ及びこれを備えた回転式粉末圧縮成型機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明は、原料回収部が形成された一端部、原料出口部が形成された他端部、これら両端部にわたる内側枠部、及び前記両端部にわたる外側枠部を有したフィーダ本体に、この本体内を前記原料出口に向けて流動する原料の流量を調節する調節機構が設けられた粉末充填用フィーダを前提としている。
【0019】
そして、前記目的を達成するために、請求項1の発明は、前記調節機構が、開度規制部を有して前記内側枠部と外側枠部とのうちの一方の枠部に設けられた少なくとも一個の堰部と、上方に開放されるとともに前記内外両枠部間の幅よりも狭い幅の隙間を前記開度規制部との間に形成する他の開度規制部を有し、かつ、前記隙間に近付く程狭くなる間隔を前記堰部との間に形成して前記堰部に接離するように他方の枠部に取付けられた少なくとも一個の可動堰と、前記フィーダ本体に取付けられて前記可動堰を動かして前記隙間の幅を変える開度調節部材と、を具備したことを特徴としている。
【0020】
請求項1の発明で、フィーダ本体の一端部とは、粉末充填用フィーダが回転式粉末圧縮成型機の回転盤が有した臼取付け部上に配設されたセット状態で、回転盤の回転方向を基準として上流側に配置される端部を指しており、同様に、フィーダ本体の他端部とは、前記セット状態で回転方向下流側に配置される端部を指している。更に、フィーダ本体の内側枠部とは、前記セット状態で臼孔の移動軌跡で囲まれた領域の内側に配置される枠部を指しており、同様に、フィーダ本体の外側枠部とは、前記セット状態で臼孔の移動軌跡で囲まれた領域の外側に配置される枠部を指している。
【0021】
請求項1の発明で、堰部は、内側枠部又は外側枠部に一体に形成された固定の堰部であっても、或いは内側枠部又は外側枠部に対して移動可能に取付けられた可動式の堰部であっても差し支えない。請求項1の発明で、可動堰は、垂直軸線まわりを回転可能にフィーダ本体に取付けられていても、水平に移動するようにフィーダ本体に取付けられていても良い。
【0022】
請求項1の発明で、堰部の開度規制部及び可動堰の他の開度規制部を、堰部及び可動堰の下流側先端部で担うことは、これらの部材の構成を単純にできる点で好ましい。しかし、これには制約されず、堰部及び可動堰の中間部好ましくはこれら堰の下流側端の近傍に、これら堰部及び可動堰の例えば全幅にわたり上下方向に延びて設けられ、かつ、堰部の場合は可動堰方向に突出し、又、可動堰の場合は堰部方向に突出された突部等を、開度規制部として用いることも可能である。更に、堰部及び可動堰の開度規制部をこれらの下流側先端部で形成する場合、平面視において真っ直ぐではなく互に近付くように湾曲する等曲がった開度規制部とすることが可能である。このように構成することは、開度規制部間の隙間を通過しようとする原料を溜める傾向が高められるに伴い、臼の臼孔に原料を充填する性能が高められるため、臼孔が大きい等のように臼への原料充填量が多い場合に適している。又、堰部及び可動堰の開度規制部は、その上部を切欠く等により下部のみが開度規制部として機能するように構成することも可能である。このように構成することは、開度規制部の上側を通って原料がオーバーフローし易くなるので、堰部及び可動堰間が下流側ほど狭まるように設けられていることに伴い、これら堰部及び可動堰間で原料が塞き止められて分級現象が起きる可能性を低減させる上で好ましい。
【0023】
請求項1の発明で、可動堰を動かす開度調節部材は、堰部の開度規制部及び可動堰の他の開度規制部との間の隙間の幅を変えるために、可動堰を垂直軸線まわりに回転させる構成であっても、可動堰を堰部に対し接離するように水平に移動させる構成であってもよい。
【0024】
この請求項1の発明の粉末充填用フィーダによれば、開度調節部材の操作により可動堰を堰部に接離するように動かして、堰部が有した開度規制部と可動堰が有した他の開度規制部との間に形成された隙間の幅を変えることで、調節機構の開度を変えて、フィーダ本体内を流動する原料の量を調節できる。
【0025】
請求項1の発明の粉末充填用フィーダでは、前記隙間に近付く程、堰部と可動堰との間の間隔が狭いので、フィーダ本体内を流動する原料は前記隙間のみを通って流動し臼孔に充填される。この場合、隙間の幅が内側枠部と外側枠部間の幅より狭いので、原料を、臼への充填量に見合った最小必要限度の流量でフィーダ本体内に流動させながら臼孔に充填させることができる。したがって、フィーダ本体内を流動する原料の流量と臼孔への原料の充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、充填に供されない余剰原料を極力減らすことが可能である。
【0026】
更に、請求項1の発明の粉末充填用フィーダでは、既述のように堰部と可動堰との間隔が、これら堰部の開度規制部と可動堰が有した他の開度規制部との間に形成された隙間に近づく程狭いので、開度規制部間の隙間に向けて流動する原料が堰部と可動堰とで押されるに伴い、原料の密度は隙間に近づく程が上がろうとする。しかし、前記隙間を含めて堰部と可動堰との間は上方に開放されていて、原料は上方へ逃げることができる。このため、原料が堰部と可動堰との間でブロッキング現象を起こすことが抑制される。したがって、原料の流量を規定する前記隙間に原料を円滑に流通させることが可能である。
【0027】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記開度調節部材が前記外側枠部の外側から操作可能であることを特徴としている。
【0028】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、更に、開度調節部材がフィーダ本体の外側枠部に取付けられているので、回転式粉末圧縮成型機の運転中に、粉末充填用フィーダを回転盤の臼取付け部上から外すことなく、開度調節部材を操作してフィーダ本体内を流動する原料の量を調節できる。
【0029】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記開度調節部材が少なくとも180度の角度範囲を水平軸線まわりに回転可能に設けられていて、この開度調節部材と前記可動堰とが、前記開度調節部材の回転を前記可動堰の動きに変換させる変換手段により接続されていることを特徴としている。
【0030】
この請求項3の発明で、開度調節部材として、水平軸線まわりに例えば360度を超えて回転され、それに伴う進退により横方向に可動堰を動かす部材例えばねじを用いて、可動堰を例えば水平に移動させることも可能である。これとともに、変換手段の構成は、開度調節部材に適合して構成すればよい。
【0031】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、更に、水平軸線まわりの回転角度が180度以上の開度調節部材の回転操作を、変換手段により可動堰の横方向の動きに変換させて、前記隙間の幅を変えることができる。このため、可動堰の位置を調節する開度調節部材の回転操作角度を、従来に比べて2倍以上確保できる。それに伴い、フィーダ本体を流動する原料の流量調節をより容易に行うことが可能である。
【0032】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記可動堰が上下方向に延びる孔部を有し、この可動堰が前記いずれかの枠部に垂直軸線まわりに回転可能に支持されていて、前記開度調節部材が、水平軸線まわりに回転可能に支持された基軸部、及びこの基軸部に連続して設けられかつ前記孔部を貫通しこの孔部とともに前記変換手段を形成する偏心軸を有しており、前記開度調節部材の回転の固定とこの固定の解除を担うロック手段が前記外側枠部に取付けられていることを特徴としている。
【0033】
この請求項4の発明では、請求項3の発明において、更に、ロック手段による開度調節部材の回転の固定が解除された状態で、開度調節部材が水平軸線まわりに180度以上回転操作されると、この部材の偏心軸が、基軸部の中心軸線の周りを円運動するように180度以上回転されるため、回転可能に支持された可動堰の孔部とこれを貫通している偏心軸との相対的位置が変化する。この変化に伴い、孔部の長手方向に延びる縁のうちの片方が偏心軸で押されるので、可動堰は垂直軸線まわりを支点として回転される。つまり、開度調節部材の回転操作が変換手段により可動堰の動きに変換されて、前記隙間の開度が変わる。この場合、既述のように開度調節部材の回転操作量が従来に比べて2倍以上確保されているので、フィーダ本体内を流動する原料の量の調節をより容易に行うことができる。又、調節された開度は、ロック手段により開度調節部材の回転を固定することで維持される。
【0034】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記可動堰が支持されていない方の前記枠部に前記堰部が垂直軸線まわり回転可能に支持されているとともに、前記堰部が上下方向に延びる孔部を有し、前記偏心軸が前記可動堰の孔部とともに前記堰部の孔部に貫通されていて、前記開度調節部材の回転操作により前記堰部と前記可動堰部とが互に逆方向でかつ接離するように回転されることを特徴としている。
【0035】
この請求項5の発明で、回転可能な堰部の長さと、回転可能な可動堰の長さとは同じであることが好ましいが、異なっていても差し支えない。
【0036】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、更に、開度調節部材を回転操作することで、回転可能に支持された可動堰だけではなく、この可動堰に対向して回転可能に支持された堰部も同時に逆方向でかつ互に接離する方向に動かされる。それにより、開度規制部間に形成された隙間の開度が変わって、フィーダ本体内を流動する原料の量を調節できる。
【0037】
請求項6の発明の回転式粉末圧縮成型機は、回転盤の臼取付け部に複数取付けられた臼の臼孔に、前記臼取付け部上に配設された粉末充填用フィーダから原料を充填し、前記臼孔内の原料を圧縮成型する回転式粉末圧縮成型機において、前記粉末充填用フィーダが請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の粉末充填用フィーダであるとともに、このフィーダが備えた堰部と可動堰との間の隙間が、前記臼孔の回転軌跡上に形成されていることを特徴としている。
【0038】
この請求項6の発明は例えば錠剤を生産する回転式打錠機等に適用できる。この場合、回転盤の一回転で錠剤の製造が完結される回転式打錠機に限らず、回転盤の一回転中に複数の錠剤が製造される所謂複式の回転式打錠機にも適用可能である。
【0039】
請求項6の発明の回転式粉末圧縮成型機は、請求項1から5のうちのいずれか粉末充填用フィーダを備えているので、フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0040】
尚、請求項6の発明を複式の回転式打錠機に適用した場合、この打錠機で回転方向上流側の粉末充填用フィーダから流出した余剰粉末は、このフィーダに直接回収されるのではなく、同粉末充填用フィーダに対して回転方向下流側に隣接された粉末充填用フィーダにその原料回収部を通って回収される。したがって、このような複式の回転式打錠機でも、フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0041】
請求項7の発明の回転式粉末圧縮成型機は、請求項6の発明において、前記隙間を通過する原料の高さが前記臼孔への原料充填深さと略同じ高さ以上となるように前記隙間によって原料の流れを規制することを特徴としている。
【0042】
請求項7の発明では、請求項6の発明において、更に、臼孔に対する原料の充填不足が防止されて、製造される成型品の質量を規格範囲内に保持することが可能である。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、フィーダ本体内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能な粉末充填用フィーダ及びこれを備えた回転式粉末圧縮成型機を提供可能である、という効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係るオープンフィーダを備えた回転式打錠機の構成を展開して概略的に示す図である。
【図2】回転盤の一部とともに図1のオープンフィーダを示す平面図である。
【図3】オープンフィーダが備える調節機構を図2中F3−F3線に沿って示す断面図である。
【図4】図2のオープンフィーダの可動堰と開度調節部材とを組立て・分解する際における可動堰と開度調節部材との関係を示す図である。
【図5】図3中F5―F5線に沿って示す断面図である。
【図6】図2のオープンフィーダの第1、第2の可動堰間の隙間と回転盤に取付けられた臼との関係を図2中矢印F6方向から見て示す断面図である。
【図7】(A)及び(B)は本発明の第2実施形態に係るオープンフィーダが備える可動堰を示す平面図及び側面図である。
【図8】図7のオープンフィーダの第1、第2の可動堰間の隙間と回転盤に取付けられた臼との関係を示す断面図である。
【図9】回転盤の一部とともに本発明の第3実施形態に係るオープンフィーダを示す平面図である。
【図10】回転盤の一部とともに本発明の第4実施形態に係るオープンフィーダを示す平面図である。
【図11】回転盤の一部とともに本発明の第5実施形態に係るオープンフィーダを示す平面図である。
【図12】回転盤の一部とともに本発明の第6実施形態に係るロータリー型のオープンフィーダを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図6を参照して詳細に説明する。
【0046】
図1に示すように回転式粉末圧縮成型機例えば回転式打錠機(以下打錠機と略称する。)1は、臼取付け部2aを有した回転盤2(図2参照)を備え、複数の臼3が臼取付け部2aの周部に回転盤2の周方向に一定間隔で取付けられている。なお、臼3はダイとも称されているので、臼取付け部2aをダイ取付け部と称することもできる。
【0047】
打錠機1はその原料供給位置に配置された粉末充填用フィーダ例えば後述のオープンフィーダ(以下フィーダと略称する。)4、及び原料ホッパ5を備えている。フィーダ4は、その上方に配設された原料ホッパ5から適時補給される原料を、臼3の臼孔3aに充填するために設けられている。なお、原料とは、粉末のみならず顆粒その他も含んでおり、更に、これらの混合物も含んでいる。又、臼孔3aは成型孔とも称されていると共に、臼孔3aは一つのダイに複数設けられる場合もある。
【0048】
打錠機1は、各臼3の夫々に個別に対応して配設された上杵6と下杵7を備えている。なお、上杵6は上パンチ、下杵7は下パンチとも称されている。これら上杵6と下杵7は上下動可能に回転盤2に設けられている。上杵6の先端部(下端部)は臼3の臼孔3aに対してその上方から挿脱される。下杵7の先端部(上端部)は、臼3の臼孔3aに対して下方から上向きに挿入された状態を保持していて、臼孔3aの底をなしている。これら上杵6と下杵7は、回転盤2の回転に伴って打錠機1が備える図示しない(後述する質量調節軌道8及び低下軌道15を除く)各種の案内軌道等を摺動し、それにより、軸線方向に必要量動かされる。
【0049】
下杵7の下端が摺動する質量調節軌道(重量調節軌道ともいう。)8は、原料供給位置において回転盤2の臼取付け部2aの下方に配設されている。質量調節軌道8は、質量調節機構9により昇降可能に支持されている。この質量調節機構9は、軌道昇降用モータ9aと、昇降軸9bと、歯車9cと、駆動歯車9dを有している。
【0050】
昇降軸9bは、図示しないガイドに沿って昇降され、その上端部に質量調節軌道8が連結されている。歯車9cは、内周歯車部及び外周歯車部を有していて、その内周歯車部を昇降軸9bの下部に形成された雄ねじ部に噛み合わせて設けられている。駆動歯車9dは、歯車9cの外周歯車部に噛み合わされていて、軌道昇降用モータ9aにより回転される。したがって、質量調節機構9の軌道昇降用モータ9aの正逆回転に従い、昇降軸9bとともに質量調節軌道8が昇降される。
【0051】
低下軌道15は、フィーダ4の下方で、かつ、質量調節軌道8の直前に配設されている。図2中符号15aは低下軌道15の終端部を示しているとともに、符号8eは質量調節軌道8の始端部を示している。
【0052】
低下軌道15に従って下杵7が下降されるに伴い、フィーダ4内の原料が臼孔3aに充填される。この直後に下杵7が低下軌道から質量調節軌道8の傾斜面8aを摺動して上がることに伴い、臼孔3aの一部の粉末がフィーダ4内に吐き出される。次いで、下杵7が質量調節軌道8の傾斜面の上端に連続した水平面8bを摺動することに伴い、フィーダ4が備える後述の摺り切り部材24で臼3の上面が摺り切られる。それによって、臼3への粉末供給量(充填量)が決まる。言い換えれば、生産しようとする錠剤の質量(重量)が秤量される。したがって、質量調節軌道8の高さ位置が変更されることにより、生産しようとする錠剤の質量が変更(補正)される。
【0053】
打錠機1はその圧縮成型位置に配設された上下の圧縮成型ロール(以下圧縮ロールと略称する。)10,11を備えている。圧縮成型位置は回転盤2の回転方向を基準に、フィーダ4が配設された原料供給位置の下流側に設定されている。
【0054】
上側の圧縮ロール10は回転盤2の臼取付け部2aの上方に配置され、下側の圧縮ロール11は回転盤2の臼取付け部2aの下方に配置されている。圧縮ロール10,11は、これらの間を上杵6と下杵7が通過する際に、これら上杵6と下杵7を互に近付くように移動させて、臼3内の原料を圧縮成型する。尚、圧縮成型は、予備圧縮とこの後に行われる本圧縮とで行うこともでき、この場合、夫々の圧縮位置に上下の圧縮ロールが配設される。
【0055】
打錠機1は、その排出位置に配設されたスクレーパ12を備えている。排出位置は回転盤2の回転方向を基準に圧縮成型位置の下流側に設定されている。この排出位置の下流側にフィーダ4が配設された前記原料供給位置が設定されている。
【0056】
スクレーパ12は図2に示した臼3及び臼孔3aの回転軌跡A(この軌跡の中心線で代表する。)と交差して臼取付け部2a上に配設されている。このスクレーパ12によって、排出位置で下杵7により臼孔3aから押し出された錠剤(粉末圧縮成型品)が、下杵7から外されて、臼取付け部2a上から回転盤2の外部に取出される。
【0057】
次に、図2〜図6を参照してフィーダ4について詳しく説明する。フィーダ4は、図2に示すようにフィーダ本体21と、摺り切り部材24と、調節機構31を備えている
フィーダ本体21はアルミニウムダイカストや合成樹脂等により枠状に形成されている。つまり、フィーダ本体21は、その長手方向の一端部21aと他端部21bと、これらにわたる内側枠部21cと外側枠部21dを有している。このフィーダ本体21の上面及び下面は夫々開放されている。
【0058】
フィーダ本体21の一端部21aは、フィーダ本体21内を流動する原料の流動方向(この方向は回転盤2の回転方向と同じで、図2では反時計回りの方向である。)を基準に。他端部21b及び調節機構31の上流側に位置する端部である。この一端部21aにその下面に開放する原料回収部22が設けられている。原料回収部22は、フィーダ本体21内と一端部21aの上流側外部とを連通する溝で形成されている。この原料回収部22により、回転盤2の回転に伴いフィーダ4に向けて移動された余剰原料がフィーダ本体21内に回収される。
【0059】
フィーダ本体21の他端部21bは、フィーダ本体21内での原料の流動方向を基準に、一端部21a及び調節機構31の下流側に位置する端部である。この他端部21bに原料出口部23が形成されている。この原料出口部23は、フィーダ本体21内を流動した原料のうちで臼3の臼孔3aに充填されなかった余剰原料を、回転盤2の臼取付け部2a上に流出させるために設けられている。更に、フィーダ本体21の他端部21bにねじ止めにより摺り切り部材24が着脱可能に取付けられている。摺り切り部材24は他端部21bの下面から突出されて臼取付け部2aの上面に接している。
【0060】
フィーダ本体21の内側枠部21cは、フィーダ4が臼取付け部2a上に配設されたセット状態で、回転盤2の中心部に近い方に位置する枠部であり、外側枠部21dは、同セット状態で回転盤2の外周面に近い方に位置する枠部である。これら内側枠部21cと外側枠部21dは、フィーダ4の前記セット状態で例えば臼3の回転軌跡Aと略平行となるように曲がった原料接触側面を有している。
【0061】
フィーダ本体21は固定堰26を有している。この固定堰26は、一端部21a側で内側枠部21cと外側枠部21dとにわたって設けられている。固定堰26の上下端の高さはフィーダ本体21の上下端の高さと略同じである。固定堰26はその下方に開放する原料通過溝を有している。尚、この原料通過溝の位置の識別を容易にするために図2ではハッチングを付して示した。
【0062】
フィーダ4は回転盤2の近傍に配置されたフィーダ支持部材13にねじ止め等により支持されて臼取付け部2a上にセットされる。このセット状態で、フィーダ本体21の下端は臼取付け部2aの上面から僅かに離れているが、摺り切り部材24は臼取付け部2aの上面に接している。更に、同セット状態で、フィーダ本体21の一端部21aと他端部21b、摺り切り部材24、及び固定堰26は、臼3の回転軌跡Aと交叉して配置され、かつ、内側枠部21cは臼3の回転軌跡Aで囲まれる領域の内側に配置され、外側枠部21dは前記領域の外側に配置されている。
【0063】
尚、図2中符号27は外側枠部21dにその下面より突出して取付けられたシール材を示している。このシール材27は、フェルトなどからなり、前記セット状態で臼取付け部2aの上面に接して、フィーダ本体21外への原料の漏れを防止している。
【0064】
更に、前記セット状態で調節機構31の後述する間隙Gは、図2に示されるように臼3が有した臼孔3aの回転軌跡A上に設けられている。これとともに、前記セット状態でのフィーダ4に対する低下軌道15の終端部15a及び質量調節軌道8の始端部8eの配置は図2に示されている。つまり、調節機構31とフィーダ本体21の他端部21bとの間、正確には調節機構31の後述する間隙Gの下流側で、かつ、他端部21bの上流側のフィーダ本体内領域の下方に、終端部15a及び始端部8eが配設されている。
【0065】
調節機構31は、フィーダ本体21内を流動する原料の流量を調節するために、フィーダ本体21の一端部21aと他端部21bとの間に位置してフィーダ本体21に取付けられている。この調節機構31は、堰部例えば第1可動堰32と、この第1可動堰32に横方向から接離するように設けられた第2可動堰34と、開度調節部材41を備えている。なお、第1可動堰32に代えて固定の堰部とすることも可能である。
【0066】
第1可動堰32は、内側枠部21cと外側枠部21dとのうちの一方、例えば回転軌跡Aで囲まれた領域内に配設された内側枠部21cの堰取付け部25に取付けられている。
【0067】
即ち、堰取付け部25は、図3及び図4に示すように内側枠部21cに一体に設けられていて、斜面25a(図2参照)と座部25bを有している。第1可動堰32は座部25b上に配設される円筒状の固定端部32aを有している。図3及び図4に示すように先端部のみにねじ部が形成された支点ねじ33を固定端部32aに下向きに通して座部25bに取外し可能にねじ込むことにより、第1可動堰32は、支点ねじ33の垂直な中心軸線(垂直軸線)まわりに回転可能に支持されている。この回転により、第1可動堰32は、第2可動堰34に水平方向から接離するようにフィーダ本体21の幅方向に動かされる。
【0068】
こうして取付けられた第1可動堰32は、前記流動方向を基準として堰取付け部25の斜面25aに対し下流側に配設されている。第1可動堰32は、臼取付け部2aの上面に対して略直角に起立するように配設される板状部を少なくとも有している。尚、第1可動堰32は、その強度を高める上で上縁を横方向に折り曲げてもよい。第1可動堰32の下縁の高さはフィーダ本体21の下端の高さと略同じであり、第1可動堰32の上縁の高さはフィーダ本体21の上端の高さと略同じである。第1可動堰32は開度規制部32bを有している。本実施形態では、第1可動堰32の構成を単純化するために、第1可動堰32の自由端を開度規制部32bとして利用している。
【0069】
第1可動堰32の長さと略同じ長さの第2可動堰34は、第1可動堰32が設けられていない方の枠部、例えば回転軌跡Aで囲まれた領域から外れて配設された外側枠部21dの堰取付け部35に取付けられている。
【0070】
即ち、堰取付け部35は、堰取付け部25と同様の構成であり、外側枠部21dに一体に設けられていて、図2に示すように斜面35aと座部35bを有している。第2可動堰34は座部35b上に配設される円筒状の固定端部34aを有している。先端部のみにねじ部が形成された支点ねじ36を固定端部34aに下向きに通して座部35bに取外し可能にねじ込むことにより、第2可動堰34は、支点ねじ36の垂直な中心軸線(垂直軸線)まわりに回転可能に支持されている。この回転により、第2可動堰34は、第1可動堰32に水平方向から接離するようにフィーダ本体21の幅方向に動かされる。
【0071】
こうして取付けられた第2可動堰34は、前記流動方向を基準として堰取付け部35の斜面35aに対し下流側に配設されている。第2可動堰34は、臼取付け部2aの上面に対して略直角に起立するように配設される板状部を少なくとも有している。尚、第2可動堰34は、その強度を高める上で上縁を横方向に折り曲げてもよい。第2可動堰34の下縁の高さはフィーダ本体21の下端の高さと略同じであり、第2可動堰34の上縁の高さはフィーダ本体21の上端の高さと略同じである。第2可動堰34は開度規制部34bを有している。本実施形態では、第2可動堰34の構成を単純化するために、第2可動堰34の自由端を他の開度規制部34bとして利用している。
【0072】
第2可動堰34の開度規制部34bと第1可動堰32の開度規制部32bとの間に、上方に開放された隙間G(図2及び図6参照)が形成されている。これら開度規制部32bと開度規制部34bは、隙間Gの幅Wが最小に調節された状態では共に臼孔3aの回転軌跡Aの近くに配設され、又、開度が大きくなる程、回転軌跡Aから離れて配設される。
【0073】
隙間Gの幅Wは内側枠部21cと外側枠部21dとの間の幅よりも狭い。第1可動堰32と第2可動堰34との間の隙間Gによって、この隙間Gを通過する原料の高さH2(図6参照)が臼孔3aへの原料充填深さH1(図6参照)と略同じ高さ以上となるように原料の流れが規制されるようになっている。これとともに、最小に調節された隙間Gの幅Wは、図6に示すように臼孔3aの直径より広く、かつ、臼3の直径より狭いことが好ましい。
【0074】
以上のようにフィーダ本体21に取付けられた第1可動堰32と第2可動堰34は、これらの間の間隔が、原料の流量調節用の隙間Gに近付く程狭くなるように互に逆向きに傾いて配設されている(図2参照)。
【0075】
開度調節部材41は、可動堰、つまり、本実施形態の場合、第1可動堰32と第2可動堰34を共に動かしてこれらの間に形成された隙間Gの幅を変えるために、フィーダ本体21に取付けられていて、外側枠部21dの外側から操作可能である。
【0076】
詳しくは、開度調節部材41は、図2に示すように第1基軸部42と、第2基軸部43と、偏心軸44を有している。第1基軸部42と第2基軸部43は例えば同径の円形軸部からなる。偏心軸44の両端に第1基軸部42と第2基軸部43が夫々連続され、これら第1基軸部42と第2基軸部43の中心軸線に対して偏心軸44の中心軸線は偏心している。
【0077】
この開度調節部材41は、内側枠部21cに第1基軸部42を水平軸線まわりに回転自在に支持させるとともに、外側枠部21dに第2基軸部43を水平軸線まわりに回転自在に支持させることによって、フィーダ本体21の幅方向に延びてフィーダ本体21に回転可能に取付けられている。第2基軸部43は外側枠部21dを貫通してフィーダ本体21外に突出されており、その突出端に摘み45が設けられている。
【0078】
開度調節部材41は外側枠部21dの側方からフィーダ本体21に対して挿脱可能である。この開度調節部材41の回転を固定するとともにこの固定を解除するためのロック手段例えばロックねじ46が、フィーダ本体21に外側枠部21dに上方から進退可能にねじ込まれている。
【0079】
ロックねじ46を上下方向に進退操作することにより、このロックねじ46の先端は第2基軸部43に接離可能である。ロックねじ46で第2基軸部43が上方から押し付けられることにより、開度調節部材41は不用意に回転しないように固定される。又、ロックねじ46を上昇させてその先端が第2基軸部43から離された状態では、開度調節部材41の回転及びフィーダ本体21に対する挿脱が可能である。
【0080】
尚、ロックねじ46からなるロック手段は構成及び操作が単純である点で好ましいが、ロック手段は、他の構成でもよい。例えば、第2基軸部43をねじ軸とし、これにロックナットを螺合し、このロックナットを締めてフィーダ本体21の外側枠部21dに接触させることにより、開度調節部材41の回転を固定し、かつ、ロックナットを緩めることにより前記固定の解除をするロック手段を採用することも可能である。
【0081】
開度調節部材41は、変換手段により、可動堰(つまり、本実施形態の場合、第1可動堰32及び第2可動堰34)と接続されている。変換手段は、開度調節部材41の回転を、第1可動堰32及び第2可動堰34の動きに変換させるために設けられている。
【0082】
この変換手段は、例えば図3及び図5で代表して示すように第1可動堰32及び第2可動堰34の夫々に上下方向に延びて設けられた孔部47と、これら孔部47を貫通した偏心軸44とで形成されている。孔部47の幅は偏心軸44の径よりも僅かに大きい。これとともに、図5に示すように孔部47の縁は半円状に面取りされていることが好ましい。この面取りにより、第1可動堰32及び第2可動堰34が横方向に回転される際、孔部47と偏心軸44とが競って、第1可動堰32及び第2可動堰34の横方向回転が妨げられることを抑制可能である。
【0083】
尚、図3及び図4中符号48は、第1可動堰32及び第2可動堰34の夫々の孔部47の下側に連続して設けられた通孔を示している。この通孔48を第1基軸部42及び第2基軸部43は通過可能である。そのため、ロックねじ46を緩めるとともに支点ねじ33,36を外して、図4で代表して示すように通孔48が第1基軸部42と第2基軸部43に対向するように第1可動堰32及び第2可動堰34を持ち上げた状態とすることにより、開度調節部材41をフィーダ本体21から挿脱することが可能である。これによって、第1可動堰32及び第2可動堰34と開度調節部材41をフィーダ本体21に着脱することができる。
【0084】
次に、原料ホッパ5を経由してフィーダ本体21内に補給された原料のフィーダ本体21での流量を調節する手順を説明する。この調節は、打錠機1の運転中に、ロックねじ46を緩めた上で、摘み45を掴んで開度調節部材41を回転させることで行う。
【0085】
詳しくは、開度調節部材41が回転操作されると、偏心軸44が、第1基軸部42及び第2基軸部43の中心軸線の周りを円運動するように回転されて、支点ねじ33で回転可能に枢支された第1可動堰32の孔部47とこれを貫通している偏心軸44との相対的位置が変化する。これと同時に、支点ねじ36で回転可能に枢支された第2可動堰34の孔部47とこれを貫通している偏心軸44との相対的位置も変化する。
【0086】
それに伴い、孔部47の長手方向に延びる縁のうちで片方の縁が、偏心軸44で押されるので、いずれも斜めに設けられた第1可動堰32と第2可動堰34が、それらの枢支部(支点ねじ33又は支点ねじ36)を支点として互に逆方向に回転される。つまり、開度調節部材41の回転が変換手段により第1可動堰32と第2可動堰34の横方向の回転に変換される。したがって、これら第1可動堰32の開度規制部32bと第2可動堰34の開度規制部34bとの間に形成された隙間Gの幅(開度)が変わって、フィーダ本体21内を流動する原料の量が調節される。
【0087】
この調節では、既述のように偏心軸44と孔部47からなる変換手段で、水平軸線まわりの開度調節部材41の回転を、第1可動堰32と第2可動堰34の垂直軸線まわりの回転に変換している。このため、図2中実線位置に配置された第1可動堰32と第2可動堰34の開度規制部32bと開度規制部34bとの間に最小の隙間Gが形成された状態(この状態での第1可動堰32と第2可動堰34の配置を図2中実線で示す。)から開度調節部材41を水平軸線まわりに180度回転させることで、隙間Gが最大に広がった状態となる(この状態での第1可動堰32と第2可動堰34の配置を図2中二点鎖線で示す。)。
【0088】
尚、隙間Gの開度を狭くする場合、隙間Gを広げる方向の開度調節部材41の回転方向と同方向に、開度調節部材41を更に180度回転させてもよく、若しくは、隙間Gを広げる方向の開度調節部材41の回転方向とは逆に開度調節部材41を180度回転させても差し支えない。
【0089】
こうして摘み45を回転操作して開度規制部材41を水平軸線まわりに180度の角度範囲で回転させることで、開度規制部32b,34b間の隙間Gの幅を調節できる。この場合、調節に必要なだけ開度規制部材41を水平軸線まわりに回転させる量を従来に比べて2倍以上確保できる。このため、フィーダ本体21内を流動する原料の量の微かな調節を容易に行うことができる。
【0090】
なお、既述した従来のオープンフィーダと比較すれば、この従来のフィーダの調節機構の調節つまみとダンパの回転角は同じであるので、調節摘みを理論上は最大で略90度の角度範囲を回転操作可能である。しかし、原料を前記隙間に通過させるためには、前記開度をある程度以上確保する必要があるので、ダンパの位置を調節する調節摘みの回転角度は90度より小さい。このため、フィーダ内で流動する原料の量を臼への充填量に見合って適正に調節する上で、前記ダンパを微妙に回転させる調節操作が困難である。特に、このような問題は、ダンパの先端縁の長さが長いほど、更には、回転盤の回転数が高速になるほど顕著になる。こうした問題は、実施形態1のフィーダ4では既述のように改善することができた。
【0091】
調節機構31の開度が調節されると、この機構の第1可動堰32と第2可動堰34との間の隙間Gより上流側にある原料が、回転盤2の回転にしたがって隙間Gを通過する。このとき、隙間Gを通過した原料の直下に臼孔3aが臨んでおり、この臼孔3aの底をなした下杵7は低下軌道15により下降を継続している状態にある。よって、隙間Gを通過した原料が臼3の臼孔3aに吸込まれるように充填される。
【0092】
この場合、隙間Gを通過する原料の高さH2が臼孔3aへの原料充填深さH1と略同じ高さ以上となるように、隙間Gで原料の流れを規制しているので、臼孔3aに対する原料の充填不足が防止される。これにより、製造される成型品の質量を規格範囲内に保持することが可能である。
【0093】
しかも、隙間Gに近付く程、第1可動堰32と第2可動堰34との間の間隔Gが狭くなっているので、フィーダ本体21内を流動する原料は隙間Gのみを通って流動して、既述のように臼孔3aに充填される。この場合、第1可動堰32の開度規制部32bと第2可動堰34の開度規制部34bとの間に形成された隙間Gの幅Wは、フィーダ本体21の内側枠部21cと外側枠部21d間の幅より狭いので、原料を、臼3への充填量に見合った最小必要限度の流量でフィーダ本体21内に流動させながら臼孔3aに充填させることができる。
【0094】
したがって、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と臼孔3aへの原料の充填量とのバランスをとる調節が容易であるとともに、充填に供されない余剰原料を極力減らすことが可能である。これにより、過度な余剰粉末の流動が抑制されるに伴い、こうした流動を原因として分級現象が生じることを抑制可能である。
【0095】
既述の操作による原料の流量調節が適正か否かは、調節によるフィーダ4の原料出口部23から排出された余剰原料が、フィーダ本体21内の原料の量の過不足がないことを、打錠機1の運転状況から確認することで決められる。そして、適正な調節が確認された後は、ロックねじ46が締め付けられる。それにより、開度調節部材41が不用意に回転しないように固定されて調節機構31の適正開度が保持される。
【0096】
こうしたフィーダ4内での原料流量の調節によって、余剰原料がフィーダ本体21の一端部で、回収しきれずに臼取付け部2a上から溢れることが抑制されると共に、臼3の臼孔3aへの原料の充填量が不足して製造される錠剤の質量が変動することが抑制されるので、錠剤質量の安定性を確保することが可能である。
【0097】
以上の調節をする上で操作される開度調節部材41の摘み45は、フィーダ本体21が有した外側枠部21dの外部でかつ側方に突出されており、又、ロックねじ46は、外側枠部21dの外部上方に突出されている。このため、打錠機1の運転中に、フィーダ4を回転盤2の臼取付け部2a上から外すことなく、ロックねじ46及び開度調節部材41の摘み45を操作して、フィーダ本体21内を流動する原料の量を調節できる。
【0098】
又、以上の調節では、第1可動堰32と第2可動堰34との間隔が相互間の隙間Gに近づく程狭いので、隙間Gに向けて流動する原料の密度は、原料が第1可動堰32と第2可動堰34とでフィーダ本体21の幅方向に押されて上がろうとする。しかし、隙間Gを含めて第1可動堰32と第2可動堰34との間は上方に開放されているので、原料は上方へ逃げることができる。こうした原料の挙動は、隙間Gを通過しようとする原料の高さH2を、臼孔3aへの原料充填深さH1と略同じ高さ以上と保持する上で有効である。
【0099】
原料が上方へ逃げることで隙間Gに向けて流動する原料の密度の上昇が抑制されるため、原料が第1可動堰32と第2可動堰34との間でブロッキング現象を起こすことが抑制される。よって、フィーダ本体21内での原料の流量を規定する隙間Gに原料を円滑に流通させることが可能である。
【0100】
こうしたブロッキング現象の抑制に伴い、原料が粗い粒子と細かい粒子とが混合されている場合であっても、粒子の粒度差による分離現象(分級現象)に基づく偏析現象が抑制される。したがって、臼3に充填される原料の充填密度が一定化されて、錠剤の質量変動が抑制されるとともに、一錠あたりの主薬の含有量に変動を抑制することが可能となる。
【0101】
以上説明したように前記構成のフィーダ4によれば、打錠機1の運転中にフィーダ本体21内を流動する原料の量を容易に調節可能で、この調節を担う調節機構31の可動堰に起因する原料のブロッキング現象を抑制することが可能である。
【0102】
本発明の第2の実施の形態について、図7及び図8を参照して説明する。第2実施形態は以下説明する構成を除いて第1実施形態と同じであるので、以下の説明において第1実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図7及び図8に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0103】
第2実施形態は、第2可動堰34と、堰部としての第1可動堰32の構成が以下のように第1実施形態とは異なる。
【0104】
即ち、図8に示すように第1可動堰32と第2可動堰34は相対向する側面にガイド面37を有している。これらのガイド面37は、前記側面間の相互間隔が上側程次第に狭くなるように傾いて設けられている。言い換えれば、第1可動堰32と第2可動堰34との間の隙間Gから上流側を見た場合に略ハの字形状をなすように傾斜して設けられている。更に、ガイド面37は、図7(A)(B)に示すように前記側面の一部に設けられているが、前記側面の全体にわたって設けることも可能である。
【0105】
こうしたガイド面37を有した第1可動堰32と第2可動堰34との間を流通しようとする原料は、第1可動堰32と第2可動堰34の相対向する側面に接しながらこれらの間を隙間Gに向けて流動されるので、この原料はガイド面37によって下向きの力を受けつつ導かれる。このため、第1可動堰32と第2可動堰34との間に下側から臨んで移動される臼3の臼孔3aに対する原料の充填性能が向上され、それに伴い、打錠機1で成形される錠剤の質量変動を抑制することが可能である。
【0106】
なお、この第2実施形態で、ガイド面37は、第2可動堰34、及び固定又は可動する堰部(つまり第1可動堰32)の相対向する側面全体を傾斜させて形成してもよく、或いは、第2可動堰34、及び固定又は可動する堰部(つまり第1可動堰32)の相対向する側面の少なくとも一部、例えば隙間G側の端部部位のみに形成しても良い。更に、ガイド面37は、斜面以外にも上下方向に円弧をなす面で形成することも可能であるとともに、このガイド面37は、原料の流動方向を基準として隙間Gに近づくに従って次第に傾きが大きくなるように形成しても良い。
【0107】
図7(A)(B)に示すように第1可動堰32と第2可動堰34はその自由端部に端部斜面38を有している。これら端部斜面38は、上下方向に延びていて第1可動堰32と第2可動堰34の高さ方向全長にわたって形成されている。端部斜面38は、ガイド面37及びその上側に連続した可動堰側面部39(図7(B)参照)との間に図7(A)に示すように鈍角を形成して、これらガイド面37及び可動堰側面部39に対して斜めに連続されている。
【0108】
調節機構31の開度を最小にしたときに、第1可動堰32と第2可動堰34の端部者面38は互に接して隙間Gをなくすことが可能である。このため、調節機構31の開度を最小にした状態を基準として次第に開度を増やす調節方法を採用することが可能である。これとともに、臼3の臼孔3aが小さく小径な錠剤を製造する場合や、充填深さが浅く薄い錠剤を製造する場合等は、調節機構31の隙間Gをなくした状態で錠剤を製造することにより、流動する原料を塞き止めて臼3の臼孔3aへの充填性能を高めつつ、原料出口部23から出る原料と原料回収口22に回収される原料の量をつり合わせて、原料回収口22で回収される原料が溢れないようにすることが可能である。
【0109】
第2実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第1実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく既述の作用を有している。従って、この第2実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0110】
本発明の第3の実施の形態について、図9を参照して説明する。第3実施形態は以下説明する構成を除いて第1実施形態と同じであるので、以下の説明において第1実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図9に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0111】
第3実施形態は、原料がフィーダ本体21内を蛇行しながら流動するように複数の調節機構、例えば第1調節機構31Aと第2調節機構31Bを設けた点が、第1実施形態とは異なる。
【0112】
詳しくは、第1調節機構31Aは、堰部例えば内側枠部21cの堰取付け部25に回転可能に枢支された第1可動堰32と、外側枠部21dの堰取付け部35に回転可能に枢支された第2可動堰34と、開度調節部材41と、ロックねじ46とで形成されている。第1調節機構31Aが有した第1可動堰32の長さと第2可動堰34の長さは異なっていて、例えば、第2可動堰34の方が第1可動堰32より短い。
【0113】
このため、第1調節機構31Aの隙間Gを規定する第1可動堰32の開度規制部32bと第2可動堰34の開度規制部34bも前記流動方向にずれていて、例えば開度規制部34bは開度規制部32bの上流側に配設されている。更に、開度規制部32bと開度規制部34bは、第1調節機構31Aの開度が最小に調節された状態(図9中実線で示すように第1可動堰32と第2可動堰34が配設された状態。)で、共に臼孔3aの回転軌跡A上若しくはその近くに配設され、又、前記開度が大きくなる程、回転軌跡Aから離れて配設されるようになっている。これとともに、第1調節機構31Aの隙間Gは、例えば外側枠部21dと対向するように第1調節機構31Aの開度規制部32bと開度規制部34bとの間に形成されている。
【0114】
第1調節機構31Aの下流側に配設された第2調節機構31Bは、第1調節機構31Aと同様な構成である。つまり、第2調節機構31Bは、内側枠部21cに設けられた堰部例えば堰取付け部25に回転可能に支持された第1可動堰32と、外側枠部21dの堰取付け部35に回転可能に枢支された第2可動堰34と、開度調節部材41と、ロックねじ46とで形成されている。
【0115】
第2調節機構31Bが有した第1可動堰32の長さと第2可動堰34の長さは異なっていて、例えば、第1調節機構31Aとは逆に第1可動堰32の方が第2可動堰34より短い。このため、第2調節機構31Bの隙間Gを規定する第1可動堰32の開度規制部32bと第2可動堰34の開度規制部34bは前記流動方向にずれていて、例えば開度規制部32bは開度規制部34bの上流側に配設されている。
【0116】
更に、開度規制部32bと開度規制部34bは、第2調節機構31Bの開度が最小に調節された状態(図9中実線で示すように第1可動堰32と第2可動堰34が配設された状態。)で、共に臼孔3aの回転軌跡A上若しくはその近くに配設され、又、前記開度が大きくなる程、回転軌跡Aから離れて配設されるようになっている。これとともに、第2調節機構31Bの隙間Gは、例えば内側枠部21cに対向するように第2調節機構31Bの開度規制部32bと開度規制部34bとの間に形成されている。
【0117】
このように配設された第1調節機構31Aと第2調節機構31Bにより、フィーダ本体21内を流動する原料の流動を方向付けることができる。この場合、第1調節機構31Aと第2調節機構31Bでは、その開度が最小のとき最も原料の流れを方向付けする作用が強い。
【0118】
前記流れの方向付けについて説明する。第2調節機構31Bの上流側に配設された第1調節機構31Aでは、この第1調節機構31Aの開度を規定する開度規制部32bと開度規制部34bとの間の隙間Gを通る原料の流れが、第1可動堰32の傾斜に従って方向付けられて、矢印Bで示すように図9において斜め下方向、つまり、外側枠部21dに向けて隙間Gを通過する。同様に、第1調節機構31Aの下流側に配設された第2調節機構31Bでは、この第2調節機構31Bの開度を規定する開度規制部32bと開度規制部34bとの間の隙間Gを通る原料の流れが、第2可動堰34の傾斜に従って方向付けられて、矢印Cで示すように図9において斜め上方、つまり、内側枠部21cに向けて隙間Gを通過する。
【0119】
したがって、フィーダ本体21内で原料が蛇行しながら流動するので、臼3の臼孔3aに対する原料の充填性能を向上できる場合がある。しかも、第2調節機構31Bの隙間Gが原料出口部23に近い位置で形成されていることに加えて、第2可動堰34が、原料出口部23が設けられた内側枠部21cに向けて原料を隙間Gに通過させる。このため、フィーダ本体21内での原料の流動並びに余剰粉末の原料出口部23の通過が円滑に行われる。
【0120】
第3実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第1実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく既述の作用を有している。従って、この第3実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0121】
尚、第3実施形態において、第1可動堰32と第2可動堰34の長さを変えてこれらが有した開度規制部を原料の流動方向にずらしたが、これに代えて、第1可動堰32と第2可動堰34の長さを略同じとし、かつ、これら第1可動堰32の枢支部をなす支点ねじ33と第2可動堰34の枢支部をなす支点ねじ36との位置関係を、原料の流動方向にずらせて設けることにより、これらの開度規制部を原料の流動方向にずらすようにしてよい。
【0122】
本発明の第4の実施の形態について、図10を参照して説明する。第4実施形態は以下説明する構成を除いて第1実施形態と同じであるので、以下の説明において第1実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図10に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0123】
第4実施形態は、フィーダ4がそのフィーダ本体21に着脱可能な調節カートリッジ51を備えているとともに、この調節カートリッジ51に調節機構31を配設した点が、第1実施形態とは異なる。
【0124】
詳しくは、第4実施形態で、調節カートリッジ51は、フィーダ本体21にその上方から着脱可能に支持されるカートリッジベース52と、これに設けられた例えば一つの調節機構31とを備えている。尚、調節機構は複数設けることも可能である。
【0125】
カートリッジベース52は、上流側ベース枠部52a、下流側ベース枠部52b、内側ベース枠部52c、及び外側ベース枠部52dを、略四角枠状に連結してなる。上流側ベース枠部52aの両端部及び下流側ベース枠部52bの両端部は、フィーダ本体21の内側枠部21cと外側枠部21dに取外し可能なねじを用いて上方から着脱可能に止められている。こうしてフィーダ本体21にカートリッジベース52が取付けられた状態で、内側ベース枠部52cはフィーダ本体21の内部に臨んだ内側枠部21cの側面に重なって配置されているとともに、外側ベース枠部52dはフィーダ本体21の内部に臨んだ外側枠部21dの側面に重なって配置されている。
【0126】
堰取付け部25は内側ベース枠部52cの側面に一体に設けられ、同様に、堰取付け部35は外側枠部21dの側面に一体に設けられている。
【0127】
調節機構31は、堰部、例えば堰取付け部25に回転可能に枢支された第1可動堰32と、外側ベース枠部52dの堰取付け部35に回転可能に枢支された第2可動堰34と、開度調節部材41と、ロックねじ(ロック手段)46とで形成されている。
【0128】
開度調節部材41の第1基軸部42は内側ベース枠部52cに形成した孔52eに挿入され回転可能に支持されている。外側ベース枠部52dに形成された通孔52fとフィーダ本体21の外側枠部21dに形成された通孔21eは、互に連通されている。これらの通孔21e,52fに開度調節部材41の第2基軸部43が貫通され、かつ、回転可能に支持されている。
【0129】
第4実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第1実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく作用を有している。従って、この第4実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0130】
更に、第4実施形態では、フィーダ4がそのフィーダ本体21に着脱可能な調節カートリッジ51を備えている。このため、圧縮成型される原料の種類に見合った構成の調節機構31を有した調節カートリッジ51をフィーダ本体21に付け替えてフィーダを使用可能であり、このようにする場合は、フィーダ本体21の共通化を図る上で好ましい。
【0131】
本発明の第5の実施の形態について、図11を参照して説明する。第5実施形態は以下説明する構成を除いて第4実施形態と同じであるので、以下の説明において第4実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図11に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0132】
第5実施形態は、フィーダ本体21に着脱可能な調節カートリッジ51を、回転盤2の周方向に位置調節可能にフィーダ本体21に取付けた点が、第4実施形態とは異なる。
【0133】
詳しくは、第5実施形態で、調節カートリッジ51は、フィーダ本体21にその上方から着脱可能に支持されるカートリッジベース52と、これに設けられた例えば一つの調節機構31とを備えている。尚、調節機構は複数設けることも可能である。
【0134】
カートリッジベース52は、上流側ベース枠部52a、下流側ベース枠部52b、内側ベース枠部52c、及び外側ベース枠部52dを、略四角枠状に連結してなる。上流側ベース枠部52aの両端部及び下流側ベース枠部52bの両端部は、フィーダ本体21の内側枠部21cと外側枠部21dに上方から接触されていて、カートリッジベース52をフィーダ本体21に支持している。
【0135】
こうしてフィーダ本体21にカートリッジベース52が取付けられた状態で、内側ベース枠部52cはフィーダ本体21の内部に臨んだ内側枠部21cの側面に重なって配置されているとともに、外側ベース枠部52dはフィーダ本体21の内部に臨んだ外側枠部21dの側面に重なって配置されている。これら内側ベース枠部52cと外側ベース枠部52dの上部は、いずれもフィーダ本体21の上面より高く突出されている。
【0136】
更に、外側ベース枠部52dは、その上部から側方に折れ曲がって外側枠部21dの条面に重なる側方突出部52gを有している。この側方突出部52gには少なくとも一個の長孔53が開けられている。長孔53は臼3の回転軌跡Aと略平行に延びて形成されている。カートリッジベース52は、上方から長孔53を通って外側枠部21dに取外し可能にねじ込まれた固定ねじ54で、フィーダ本体21に取付けられている。この固定ねじ54を緩めた状態で、カートリッジベース52は長孔53の長さ範囲で回転盤2の周方向にフィーダ本体21に対して移動可能である。長孔53を有した側方突出部52gと固定ねじ54は、カートリッジ保持手段をなしている。
【0137】
堰取付け部25は内側ベース枠部52cの側面に一体に設けられ、同様に、堰取付け部35は外側ベース枠部52dの側面に一体に設けられている。
【0138】
調節機構31は、堰部、例えば堰取付け部25に回転可能に枢支された第1可動堰32と、外側ベース枠部52dの堰取付け部35に回転可能に枢支された第2可動堰34と、開度調節部材41と、ロックねじ(ロック手段)46とで形成されている。第1可動堰32及び第2可動堰34の下端から上端までの高さは、内側ベース枠部52c及び外側ベース枠部52dの高さと略同じである。
【0139】
開度調節部材41の第1基軸部42は、内側ベース枠部52cに形成した孔52eに挿入され回転可能に支持されている。開度調節部材41の第2基軸部43は、外側ベース枠部52dに形成された通孔52fに貫通されて回転可能に支持されている。第2基軸部43は外側ベース枠部52dの上方に配設されている。このようにカートリッジベース52のみに支持された開度調節部材41は、外側枠部21dに拘束されていないので、カートリッジベース52とともに移動可能である。又、開度調節部材41の回転の固定とその解除を担うロックねじ(ロック手段)46は、側方突出部52gに上方からねじ込まれて第2基軸部43に接離可能に設けられている。
【0140】
第5実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第4実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく作用を有している。従って、この第5実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0141】
しかも、第5実施形態では、長孔53の範囲で調節カートリッジ51の配置を回転盤2の周方向に沿って調節可能である。この場合、固定ねじ54等を含んだカートリッジ保持手段が、フィーダ本体21の外側枠部21dに設けられているので、回転式の打錠機1の運転中に、回転盤2の臼取付け部2a上からフィーダ4を外すことなく、調節カートリッジ51の位置を調節できる。こうした位置調節により、調節機構31が最適に機能するように調節カートリッジ51を配置させて、原料の物性などに応じて臼3への原料充填の最適化を図ることができる。
【0142】
更に、第5実施形態でも、第4実施形態と同様に、フィーダ4がそのフィーダ本体21に着脱可能な調節カートリッジ51を備えているので、圧縮成型される原料の種類に見合った構成の調節機構31を有した調節カートリッジ51をフィーダ本体21に付け替えてフィーダを使用可能であり、フィーダ本体21の共通化を図る上で好ましい。
【0143】
本発明の第6の実施の形態について、図12を参照して説明する。第6実施形態は以下説明する構成を除いて第3実施形態と同じであるので、以下の説明において第3実施形態と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、図12に示されない構成については、図1、図3〜図6を参照する。
【0144】
第6実施形態は、フィーダ4がロータリー式の原料供給装置61を備えた点が、第3実施形態とは異なる。
【0145】
詳しくは、第6実施形態で、原料供給装置61は、例えば第1調節機構31Aとこれに対して下流側に配設された第2調節機構31Bとの間に配設されている。この原料供給装置31は、円筒壁62と、攪拌体63と、攪拌用モータ64等を備えて構成されている。
【0146】
円筒壁62はフィーダ本体21に取付けられていて、その一部は平面視においてフィーダ本体21の外側枠部21dより側方に突出するように設けられている。円筒壁62の高さとフィーダ本体21の高さは略同じであり、円筒壁62の下端とフィーダ本体21の下端とは面一に連続している。この円筒壁62のフィーダ本体21外に突出された部位の下端部位は底板62cで閉じられている。
【0147】
円筒壁62のフィーダ本体21内に臨んだ部位には、この部位の下面に開放する入口62aと出口62bとが夫々切り欠くように形成されている。入口62aは出口62bよりも第1調節機構31A及び原料回収部22に寄せて設けられていて、この入口62aにより円筒壁62内とフィーダ本体21内とが第1調節機構31A側で連通されている。出口62bは入口62aよりも第2調節機構31B及び原料出口部23に寄せて設けられていて、この出口62bにより円筒壁62内とフィーダ本体21内とが第2調節機構31B側で連通されている。このため、フィーダ本体21内を原料回収口22から原料出口23に向けて流動しようとする原料は、その途中で、フィーダ本体21内から入口62aを通って円筒壁62内に流入し、更に、円筒壁62から出口62bを通ってフィーダ本体21内に流出することが可能である。
【0148】
攪拌体63は円筒壁62内に収容されている。この攪拌体63は、円筒壁62内の中央部に配置される攪拌体コア部63aと、このコア部の周面から側方に突出された複数の攪拌羽根63bとから形成されている。攪拌体コア部63aは、円筒壁62の閉じた下端部位又は、円筒壁62の上端を閉じて設けられた図示しない天板に、垂直軸線まわりを回転自在に支持されている。
【0149】
円筒壁62の上方に配設された攪拌用モータ64はその回転動力で攪拌体63を回転駆動する。又前記図示しない天板には、図示しない原料ホッパの出口に連なる原料入口65が開口されている。この原料入口65は円筒壁62の閉じた下端部位に対向して設けられている。攪拌用モータ64は回転盤2が回転されることに連動して起動されて攪拌体63を回転させる。
【0150】
このため、原料入口65を通って円筒壁62内に供給された原料を、攪拌体63により攪拌しながらフィーダ本体21内に補給できる。これにより、フィーダ本体21内で原料がブロック化することを防止できるとともに、それに伴い原料補給に伴うフィーダ本体21内での原料の流動化が促進されて、臼3に対する原料の充填精度を向上させることが可能である。
【0151】
第6実施形態は以上説明した構成及び作用以外は第3実施形態と同じ構成であると共に、この構成に基づく作用を有している。従って、この第6実施形態でも、フィーダ本体21内を流動する原料の流量と充填量とのバランスをとる調節が容易で、かつ、原料のブロッキング現象を抑制可能である。
【0152】
更に、第6実施形態では、第3実施形態と同様に、フィーダ本体21内での原料の流動並びに余剰粉末の原料出口部23への通過を円滑に行わせることが可能である。
【符号の説明】
【0153】
1…回転式の打錠機(回転式粉末圧縮成型機)、2…回転盤、2a…臼取付け部、3…臼、3a…臼孔、H1…臼孔の充填深さ、4…オープンフィーダ、21…フィーダ本体、21a…フィーダ本体の一端部、21b…フィーダ本体の他端部、21c…フィーダ本体の内側枠部、21d…フィーダ本体の外側枠部、22…原料回収部、23…原料出口部、31…調節機構、32…第1可動堰(堰部)、32b…開度規制部、33…支点ねじ、34…第2可動堰、34b…開度規制部、36…支点ねじ、37…ガイド面、G…隙間、W…隙間の幅、H2…隙間を通る原料の高さ、41…開度調節部材、42…第1基軸部、43…第2基軸部、44…偏心軸(変換手段)、45…摘み、46…ロックねじ(ロック手段)、47…孔部(変換手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料回収部が形成された一端部、原料出口部が形成された他端部、これら両端部にわたる内側枠部、及び前記両端部にわたる外側枠部を有したフィーダ本体に、このフィーダ本体内を前記原料出口に向けて流動する原料の流量を調節する調節機構が設けられた粉末充填用フィーダにおいて、
前記調節機構が、
開度規制部を有して前記内側枠部と外側枠部とのうちの一方の枠部に設けられた少なくとも一個の堰部と、
上方に開放されるとともに前記内外両枠部間の幅よりも狭い幅の隙間を前記開度規制部との間に形成する他の開度規制部を有し、かつ、前記隙間に近付く程狭くなる間隔を前記堰部との間に形成して前記堰部に接離するように他方の枠部に取付けられた少なくとも一個の可動堰と、
前記フィーダ本体に取付けられて前記可動堰を動かして前記隙間の幅を変える開度調節部材と、
を具備したことを特徴とする粉末充填用フィーダ。
【請求項2】
前記開度調節部材が前記外側枠部の外側から操作可能であることを特徴とする請求項1に記載の粉末充填用フィーダ。
【請求項3】
前記開度調節部材が少なくとも180度の角度範囲を水平軸線まわりに回転可能に設けられていて、この開度調節部材と前記可動堰とが、前記開度調節部材の回転を前記可動堰の動きに変換させる変換手段により接続されていることを特徴とする請求項2に記載の粉末充填用フィーダ。
【請求項4】
前記可動堰が上下方向に延びる孔部を有し、この可動堰が前記いずれかの枠部に垂直軸線まわりに回転可能に支持されていて、前記開度調節部材が、水平軸線まわりに回転可能に支持された基軸部、及びこの基軸部に連続して設けられかつ前記孔部を貫通しこの孔部とともに前記変換手段を形成する偏心軸を有しており、前記開度調節部材の回転の固定とこの固定の解除を担うロック手段が前記外側枠部に取付けられていることを特徴とする請求項3に記載の粉末充填用フィーダ。
【請求項5】
前記可動堰が支持されていない方の前記枠部に前記堰部が垂直軸線まわり回転可能に支持されているとともに、前記堰部が上下方向に延びる孔部を有し、前記偏心軸が前記可動堰の孔部とともに前記堰部の孔部に貫通されていて、前記開度調節部材の回転操作により前記堰部と前記可動堰部とが互に逆方向でかつ接離するように回転されることを特徴とする請求項4に記載の粉末充填用フィーダ。
【請求項6】
回転盤の臼取付け部に複数取付けられた臼の臼孔に、前記臼取付け部上に配設された粉末充填用フィーダから原料を充填し、前記臼孔内の原料を圧縮成型する回転式粉末圧縮成型機において、前記粉末充填用フィーダが請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の粉末充填用フィーダであるとともに、このフィーダが備えた堰部と可動堰との間の隙間が、前記臼孔の回転軌跡上に形成されていることを特徴とする回転式粉末圧縮成型機。
【請求項7】
前記隙間を通過する原料の高さが前記臼孔への原料充填深さと略同じ高さ以上となるように前記隙間によって原料の流れを規制することを特徴とする請求項6に記載の回転式粉末圧縮成型機。
【請求項1】
原料回収部が形成された一端部、原料出口部が形成された他端部、これら両端部にわたる内側枠部、及び前記両端部にわたる外側枠部を有したフィーダ本体に、このフィーダ本体内を前記原料出口に向けて流動する原料の流量を調節する調節機構が設けられた粉末充填用フィーダにおいて、
前記調節機構が、
開度規制部を有して前記内側枠部と外側枠部とのうちの一方の枠部に設けられた少なくとも一個の堰部と、
上方に開放されるとともに前記内外両枠部間の幅よりも狭い幅の隙間を前記開度規制部との間に形成する他の開度規制部を有し、かつ、前記隙間に近付く程狭くなる間隔を前記堰部との間に形成して前記堰部に接離するように他方の枠部に取付けられた少なくとも一個の可動堰と、
前記フィーダ本体に取付けられて前記可動堰を動かして前記隙間の幅を変える開度調節部材と、
を具備したことを特徴とする粉末充填用フィーダ。
【請求項2】
前記開度調節部材が前記外側枠部の外側から操作可能であることを特徴とする請求項1に記載の粉末充填用フィーダ。
【請求項3】
前記開度調節部材が少なくとも180度の角度範囲を水平軸線まわりに回転可能に設けられていて、この開度調節部材と前記可動堰とが、前記開度調節部材の回転を前記可動堰の動きに変換させる変換手段により接続されていることを特徴とする請求項2に記載の粉末充填用フィーダ。
【請求項4】
前記可動堰が上下方向に延びる孔部を有し、この可動堰が前記いずれかの枠部に垂直軸線まわりに回転可能に支持されていて、前記開度調節部材が、水平軸線まわりに回転可能に支持された基軸部、及びこの基軸部に連続して設けられかつ前記孔部を貫通しこの孔部とともに前記変換手段を形成する偏心軸を有しており、前記開度調節部材の回転の固定とこの固定の解除を担うロック手段が前記外側枠部に取付けられていることを特徴とする請求項3に記載の粉末充填用フィーダ。
【請求項5】
前記可動堰が支持されていない方の前記枠部に前記堰部が垂直軸線まわり回転可能に支持されているとともに、前記堰部が上下方向に延びる孔部を有し、前記偏心軸が前記可動堰の孔部とともに前記堰部の孔部に貫通されていて、前記開度調節部材の回転操作により前記堰部と前記可動堰部とが互に逆方向でかつ接離するように回転されることを特徴とする請求項4に記載の粉末充填用フィーダ。
【請求項6】
回転盤の臼取付け部に複数取付けられた臼の臼孔に、前記臼取付け部上に配設された粉末充填用フィーダから原料を充填し、前記臼孔内の原料を圧縮成型する回転式粉末圧縮成型機において、前記粉末充填用フィーダが請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の粉末充填用フィーダであるとともに、このフィーダが備えた堰部と可動堰との間の隙間が、前記臼孔の回転軌跡上に形成されていることを特徴とする回転式粉末圧縮成型機。
【請求項7】
前記隙間を通過する原料の高さが前記臼孔への原料充填深さと略同じ高さ以上となるように前記隙間によって原料の流れを規制することを特徴とする請求項6に記載の回転式粉末圧縮成型機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−22600(P2013−22600A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157185(P2011−157185)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000153801)株式会社畑鉄工所 (14)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000153801)株式会社畑鉄工所 (14)
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