説明

粉末充填装置

【課題】容器を載置台から切り離すようにして計量器に載置して重量を計測しながら充填を行うようにしていたので、構造、機構が複雑になるという問題があり、重量を計測しつつ充填を行う粉末充填装置を提供する。
【解決手段】供給された容器2を支持するプレート18と、ベース(回転体)12の下面に取り付けたロードセル22とをベース12を貫通する連結部材20で連結し、粉末充填手段48によって粉末を充填しつつロードセル22によりその重量を計測する。前記連結部材20をロックするロック手段24と、容器2をグリップしてバイブレータ56により振動を付与するタッピング手段50を設け、ロック状態でタッピングを行った後、ロックを解除して、ロードセル22で計測しつつさらに充填を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器内に粉末を充填する粉末充填装置に係り、特に、ロードセルによって重量を計測して充填を行う粉末充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内に粉末を充填する場合、特に、かさ密度が大きく変化する粉末を充填する場合には、規定量の粉末を容器から溢れさせることなく充填するために、充填中にタッピングを行うことによって容器に振動を与えてかさ密度を増加させる必要がある。ところが、充填重量を計測しながら充填を行う重量計測式充填装置では、容器を載せるびん台がロードセルに連結されており、びん台上の容器にタッピングを行うと、その振動がびん台からロードセルに伝わってロードセルを振動させることになり,重量の計測が正確に行えないという問題が発生する。また、場合によってはロードセルを破損してしまうおそれがあるという問題があった。なお、ここでいう「かさ密度」とは、体積既知の容器に粉体を一定方法で充填し、粒子間の空隙も含めた体積で、粉体の質量を除した値である。
【0003】
そこで、粉末を充填する容器を計測器と切り離した状態で振動を与えるようにした粉末充填装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された粉末充填装置(発明の名称はフレコンバックの袋詰め装置)は、基台の上に計量器を載せ、その上に袋受け台を積み重ねるように載せ、また、計量器の上方にフレコンバックを吊り下げるフレームを支持させ、さらに、計量器から袋受け台を僅かに浮き上がらせて保持するリフトと、袋受け台をさらに持ち上げてリフトへ繰り返し落下させる激震装置とを基台に支持させて設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−18205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載された発明の構成は、袋を持ち上げて計量器とのつながりを外した状態で大部分の粉粒体を充填し、タッピング(激震装置によって繰り返し落下させる)を行ってかさ密度を増加させ、その後、袋を計量器に載置して重量を計測しながら充填を行うようにしている。このように袋を持ち上げて計量器から切り離すようにしているので、構造、機構が複雑になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、供給された容器を支持するプレートと、ベースの下方に固定されたロードセルと、ベースを貫通し、ベース上方の前記プレートとベース下方の前記ロードセルとを連結する連結部材と、容器に粉末を充填する充填手段とを備え、前記プレート上の容器に所定重量の粉末を充填する粉末充填装置において、前記ベースに設けられ、前記連結部材に干渉しないアンロック位置と、前記連結部材を把持するロック位置とに切り換え可能なロック手段と、前記プレート上の容器に振動を付与するタッピング手段とを設け、前記ロック手段をロック位置に切り換えてから、タッピング手段を作動させて容器に振動を付与することにより容器内に充填された粉末のかさ密度を増加させ、その後、ロック手段をアンロック位置に切り換えて、ロードセルにより重量を計測しつつ充填を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
容器を載置するプレートと、ロードセルとを連結部材で連結し、粉末充填手段から容器内に粉末を充填しつつロードセルにより計測を行う粉末充填装置に、プレート上の容器に振動を与えるタッピング手段と、前記連結部材をロックするロック手段を設け、連結部材をロックした状態で容器に対しタッピングを行うようにしたので、ロードセルによる重量の計測に影響を与えることがなく、また、ロードセルを損傷するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は回転式の粉末充填装置の全体の配置およびこの充填装置で順次行われる各工程を示す平面図である。(実施例1)
【図2】図2(a)は前記実施例装置の要部の縦断面図、図2(b)は被ロック部材の平面図である。 である。
【図3】図3はタッピングを行うバイブレータおよびグリッパを示す平面図、
【発明を実施するための形態】
【0009】
回転体の外周部に円周方向等間隔で複数の容器載置プレートが配置されて、回転体を上下に貫通する連結ロッドの上端に連結され、また、回転体の下面にロードセルが固定されて、前記連結ロッドの下端に連結されており、容器載置プレート上に載置されている容器に、粉末充填手段から規定量の粉末を充填する。前記ベースには、前記連結部材に干渉しないアンロック位置と、連結部材を把持するロック位置とに切り換え可能なロック手段と、前記プレート上の容器に振動を付与するタッピング手段とを設け、前記ロック手段をロック位置に切り換えてから、タッピング手段を作動させて容器に振動を付与することにより容器内に充填された粉末のかさ密度を増加させ、その後、ロック手段を前記ロック位置からアンロック位置に切り換えて、ロードセルによって容器への充填量を計測しつつ充填を行うことにより、タッピングによる振動によってロードセルに影響を与えないようにするという目的を達成する。
【0010】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。容器2は供給コンベヤ4によって搬送され、インフィードスクリュー6により所定の間隔にピッチ切りされた後、入口スターホイール8を介して 供給位置Aで粉末充填装置10に供給される。供給された容器2は、回転体12の回転によって回転搬送される間に、規定重量の粉末の充填が行われ、その後、出口スターホイール14を介して排出コンベヤ16上に排出され、この排出コンベヤ16によって搬送されて次の工程に送られる。
【0011】
前記粉末充填装置10は、回転体12の外周部に円周方向等間隔で複数の容器載置プレート18が配置されている。この容器載置プレート18は、回転体12を上下に貫通する縦方向の連結部材(連結ロッド)20の上端に取り付けられている。この連結ロッド20の下端部は、回転体12の下面側に取り付けたロードセル22に連結されており、前記容器載置プレート18上に載せた容器2の重量をロードセル22によって計測できるようになっている。なお、回転体12が請求項1に記載したベースである。
【0012】
前記回転体12の上面の連結ロッド20が貫通している部分の周囲に、前記容器載置プレート18とロードセル22とを連結する連結ロッド20をロックして容器載置プレート18の振動をロードセル22に伝達しないロック位置と、ロックを解除して容器載置プレート18上の容器2の重量をロードセル22が計測可能なアンロック位置とに切り換え可能なロック手段24が設けられている。この実施例では、前記連結ロッド20の外周面に被ロック部材26が設けられており、ロック手段24は、前記回転体12の上面に固定され、連結ロッド20の周囲を囲むケース28内に収容されて、前記被ロック部材26を上下から把持して押圧するロック位置と、上下に離隔して前記被ロック部材26に干渉しないアンロック位置とに切り換えられるようになっている。
【0013】
被ロック部材26は、連結ロッド20の外周部に形成したやや小径の部分20a(図2(b)参照)の周囲に冠着された変形可能な弾性体からなっている。この被ロック部材26は、全体としてほぼ球形をしており、上下方向の中央部26bが最も大径で、この中央部に向かって上下に傾斜面26a、26cが形成されている。この上下の傾斜面26a、26cに、連結ロッド20の軸線に対して傾斜した方向の溝26dが形成されている。
【0014】
一方、ロック手段24は、前記ケース28内に収容された上下2つのピストン30、32を備えている。ケース28は、回転体12の上面に形成された凹部12a内に気密を保持して固定された底面部34と、円筒部36aと天面部36bとを有し、円筒部36aの下端に形成されたフランジ36cが回転体12の上面に固定されたカップ状部36とを有している。
【0015】
カップ状部36の天面36bの内周側に、連結ロッド20の外周面に沿って下方へ延びるパイプ状部36dが形成され、また、下方の底面部34の内周側にも、連結ロッド20の外周面に沿って上方へ延びるパイプ状部34aが形成されている。カップ状部36の円筒部36aの内周面と前記上下のパイプ状部36d、34aとの間に、上下2個のピストン30、32が摺動可能に嵌合している。これら上下のピストン30、32間にスプリング38が介装されて、上下のピストン30、32をそれぞれ上方と下方に付勢している。上下のピストン30、32の内周面および外周面にそれぞれシールリング(符号は省略)が嵌着されて気密を保持している。上方ピストン30の下面内周部と,下方ピストン32の上面内周部に、それぞれ前記被ロック部材26の傾斜面26a、26cに密着する傾斜面30a、32aが形成されている。また、上方ピストン30の上面外周部と、下方ピストン32の下面外周部にそれぞれ環状の溝が形成されてケース28との間に上下の圧力室40、42が形成されている。これら上下の圧力室40、42には、図示しないエア供給源からエアを給排できるようになっており、両圧力室40、42にエアを導入すると、上方のピストン30が下降するとともに、下方のピストン32が上昇して上下から前記被ロック部材26に圧着されて前記連結ロッド20をロックする。なお、上下の圧力室40、42にエアを導入していない場合、上下のピストン30、32は前記被ロック部材26と接触しない。
【0016】
容器載置プレート18に載せられた容器2の上方に粉末充填手段48が配置されている(図2参照)。この粉末充填手段48は、ノズル48aの下端外周に容器2の上部を覆うフード48bが取り付けられている。このフード48bの上部に排気出口48cが設けられている。また、この充填手段48は、図示はしないが流量を無段階に調節できる自動弁を備えており、充填流量を変更して充填を行うことができる。
【0017】
この実施例に係る粉末充填装置10は、大流量で短時間に大量の粉末の充填を行う大投充填と、容器2内に充填される規定量まで小流量で調整しつつ充填を行う小投充填の二段階の充填を行うようになっており、この大投充填と小投充填の間に容器2に振動を与えて粉末のかさ密度を増加させ、容器2から粉末が溢れ出ないようにしている。そこで、大投充填区間C〜Dと小投充填区間H〜Jの間にタッピング区間E〜Fを設置し、この区間E〜Fで、各容器載置プレート18に対応して設けたタッピング手段50によってタッピングを行う。
【0018】
タッピング手段50は、図2および図3に示すように、容器載置プレート18上に載せられている容器2をグリップするグリッパ52と、図示しないエア供給源から配管54を通して送られたエアによって前記グリッパ52を振動させ、このグリッパ52の振動を容器2に伝達してタッピングを行うエアバイブレータ56を備えている。前記グリッパ52は、エアバイブレータ56に取り付けられたグリッパ開閉用シリンダ58によって開閉されるようになっており、開放した状態で移動してきたグリッパ52を、図1のロードセルロック区間D〜E内で、グリッパ開閉用シリンダ58の作動によって閉じて容器2を把持させ、次のタッピング区間E〜Fでタッピングを行い、その後、ロードセルアンロック区間F〜G内でグリッパ52を開放して容器2を離すようになっている。前記グリッパ52の容器2を把持する面52aは、容器2を両側から確実に把持できるようにV字状の把持面が形成されている。また、前記容器載置プレート18の、回転体12の半径方向内方側の端部に、支持体62(図2参照)が固定されており、タッピング手段50はこの支持体62上に載せられて振動による移動が許容されるようになっている。
【0019】
前記構成の粉末充填装置10の作動について説明する。供給コンベヤ4によって搬送されてきた容器2は、インフィードスクリュー6によってピッチ切りされ、入口スターホイール8を介して、回転体12の容器載置プレート18上に供給される(容器供給位置A)。容器2の供給による振動が収まった後、風袋計測区間B〜Cで風袋(容器2の重量)の計測が行われる。風袋の計測が終了した後、大投充填開始位置Cで大投充填が開始される。この大投充填開始位置Cから回転体12の約半周に亘る回転の間粉末充填手段48から大投充填が行われ、大投充填終了位置Dで大投充填が終了する。この大投充填区間C〜Dで、容器2内に充填される規定の全重量のうちの大部分(例えば、85%あるいは90%)の粉末が充填される。
【0020】
大投充填が終了した後、次のロードセルロック区間D〜Eで、ロック手段24によってロードセル22をロックする。ロック手段24のケース28内に形成されている上下の圧力室40、42に圧縮エアを導入する。両圧力室40、42にエアが導入されると、上方のピストン30が下降するとともに下方のピストン32が上昇し、これら両ピストン30、32が連結ロッド20の外面に設けられている被ロック部材26の上下の傾斜面26a、26cに圧接され、被ロック部材26を強固に把持することにより連結ロッド20をロックする。このように連結ロッド20をロックすることにより容器載置プレート18上の容器2の振動を被ロック部材26や上下のピストン30、32やケース28などを介して回転体12に伝達されることになり、ロードセル22への振動の影響を受けにくくすることができる。
【0021】
ロードセル22をロックした後、グリッパ開閉用シリンダ58の作動によってグリッパ52を閉じて容器2をグリップする。容器2をグリップすると直ちにエア供給源からエアバイブレータ56にエアを送ってグリッパ52を振動させる。ロードセルロック区間D〜Eの次がタッピング区間E〜Fになっており、この区間E〜Fで、大投充填によって所定量の粉末が充填された容器2を、グリッパ52を介して振動させることによりタッピングを行う。容器載置プレート18上に載せられた容器2を振動させても、連結ロッド20がロック手段24によってロックされているので、ロードセル22にはこの振動が直接伝達されることはなく、ロードセル22に悪影響を及ぼすことはない。
【0022】
タッピング区間E〜Fが終了すると、次が、ロードセルのアンロック区間F〜Gであり、グリッパ開閉用シリンダ58によってグリッパ52を開放して容器2を離すとともに、ロック手段24によるロック状態を解除して容器載置プレート18上の容器2の重量をロードセル22により計測可能な状態にする。
【0023】
次の区間は容器2の安定待ちおよび計測区間G〜Hであり、容器載置プレート18上でグリッパ52から解放された容器2が安定するのを待ってから重量の計測をする。その後、小投充填区間H〜Jで粉末充填手段48により小投充填を行う。この小投充填区間H〜Jでは、設定された充填量になるように調整しつつ充填を行う。充填が終了した後、容器2の安定待ちおよび計測区間J〜Kで、容器2の安定を待った後、容器2への粉末の充填終了後の最終重量の計測を行う。その後、容器排出位置Mで出口スターホイール14によって充填済みの容器2を取り出して排出コンベヤ16上に排出する。この容器2は、排出コンベヤ16によって搬送されて次の工程に送られる。なお、本実施例では、C〜Dの大投充填区間において重量を計測しながら充填を行う重量充填方式を採用しているが、必ずしも重量充填である必要はなく、決められた時間で充填するタイマー充填方式や枡などで計量された粉末を充填する定量充填方式などを採用してもよい。また、前記ロック手段も一例であり、例えば、回転体12に連結ロッド20を把持可能な機構を配置して連結ロッド20を把持することによりロックする構成としても本実施例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0024】
2 容器
12 ベース(回転体)
18 プレート(容器載置プレート)
20 連結部材(連結ロッド)
22 ロードセル
24 ロック手段
48 充填手段
50 タッピング手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された容器を支持するプレートと、ベースの下方に固定されたロードセルと、ベースを貫通し、ベース上方の前記プレートとベース下方の前記ロードセルとを連結する連結部材と、容器に粉末を充填する充填手段とを備え、前記プレート上の容器に所定重量の粉末を充填する粉末充填装置において、
前記ベースに設けられ、前記連結部材に干渉しないアンロック位置と、前記連結部材を把持するロック位置とに切り換え可能なロック手段と、前記プレート上の容器に振動を付与するタッピング手段とを設け、
前記ロック手段をロック位置に切り換えてから、タッピング手段を作動させて容器に振動を付与することにより容器内に充填された粉末のかさ密度を増加させ、その後、ロック手段をアンロック位置に切り換えて、ロードセルにより重量を計測しつつ充填を行うことを特徴とする粉末充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−49469(P2013−49469A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188734(P2011−188734)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】