説明

粉末冶金用鉄基粉末

【課題】抜出性に優れた粉末冶金用鉄基粉末を提供する。
【解決手段】鉄粉1と、上記鉄粉1の表面に少なくとも一部が付着する結合剤2と、上記鉄粉1の表面に付着した結合剤2に少なくとも一部が付着する合金成分3と、上記鉄粉1に対して少なくとも一部が遊離状態にある潤滑剤4と、上記鉄粉1の表面に付着した結合剤2に少なくとも一部が付着する流動性改善剤5と、上記鉄粉1に対して少なくとも一部が遊離状態にあるメラミンシアヌレート6と、を含有する粉末冶金用鉄基粉末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末冶金用鉄基粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、「鉄粉の表面に流動性改善粒子を結合剤を介して付着させてなることを特徴とする粉末冶金用鉄基粉末。」が開示され([請求項1])、「前記流動性改善粒子がPMMAおよび/またはPE…」である旨が記載されている([請求項7])。このような粉末冶金用鉄基粉末は、「優れた流動性を有し、粉末冶金の用途に好適」であるとされている([0011])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−332423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らが特許文献1に記載された粉末冶金用鉄基粉末についてさらに検討を行なったところ、抜出力が高く、抜出性が不十分であることが明らかとなった。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、抜出性に優れた粉末冶金用鉄基粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、メラミンシアヌレートをさらに添加することで、粉末冶金用鉄基粉末の抜出力が低くなることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)を提供する。
(1)鉄粉と、上記鉄粉の表面に少なくとも一部が付着する結合剤と、上記鉄粉の表面に付着した結合剤に少なくとも一部が付着する合金成分と、上記鉄粉に対して少なくとも一部が遊離状態にある潤滑剤と、上記鉄粉の表面に付着した結合剤に少なくとも一部が付着する流動性改善剤と、上記鉄粉に対して少なくとも一部が遊離状態にあるメラミンシアヌレートと、を含有する粉末冶金用鉄基粉末。
【0007】
(2)上記メラミンシアヌレートの平均粒径が、3〜20μmである、上記(1)に記載の粉末冶金用鉄基粉末。
【0008】
(3)上記メラミンシアヌレートの含有量が、上記鉄粉および上記合金成分の合計100質量部に対して0.01〜0.2質量部である、上記(1)または(2)に記載の粉末冶金用鉄基粉末。
【0009】
(4)上記流動性改善剤の含有量が、上記鉄粉および上記合金成分の合計100質量部に対して0.05〜0.4質量部である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粉末冶金用鉄基粉末。
【0010】
(5)上記流動性改善剤が、(メタ)アクリル樹脂である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載に粉末冶金用鉄基粉末。
【0011】
(6)上記(メタ)アクリル樹脂の平均粒径が、0.01〜2μmである、上記(5)に記載の粉末冶金用鉄基粉末。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、抜出性に優れた粉末冶金用鉄基粉末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の粉末冶金用鉄基粉末を概略的に示す模式図である。
【図2】充填試験機の要部を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[粉末冶金用鉄基粉末]
図1は、本発明の粉末冶金用鉄基粉末を概略的に示す模式図である。まず、図1に基づいて、本発明の粉末冶金用鉄基粉末(以下、「本発明の鉄基粉末」ともいう)を概略的に説明する。
【0015】
本発明の鉄基粉末は、主成分である鉄粉1のほか、結合剤2、合金成分3、潤滑剤4、流動性改善剤5、および、メラミンシアヌレート6を含有している。
結合剤2の少なくとも一部は鉄粉1の表面に付着しており、合金成分3の少なくとも一部がこの結合剤2に付着している。すなわち、合金成分3は、結合剤2を介して、鉄粉1の表面に付着(結合)している。
潤滑剤4は、成形時の抜出性を改善するために添加されるものであり、基本的には鉄粉1の表面に付着せず、潤滑剤4の少なくとも一部は鉄粉1に対して遊離状態にある。
【0016】
また、流動性改善剤5の少なくとも一部が結合剤2に付着している。より詳細には、流動性改善剤5は、鉄粉1の表面に付着した結合剤2において、合金成分3が付着した部位以外の部位を埋めるようにして、付着している。
結合剤2の付着力は鉄粉1どうしの付着力よりも大きいため、結合剤2の露出部位が多くなると鉄粉1の流動性が劣る傾向にあると考えられる。
そこで、流動性改善剤5が、結合剤2を覆うように付着することで、結合剤2の露出部位が減少し、鉄粉1の流動性改善が期待される。
なお、図1には示さないが、流動性改善剤5は結合剤2ではなく、鉄粉1に直接付着していてもよい。
【0017】
また、メラミンシアヌレート6が、基本的には鉄粉1の表面に付着せずに、その少なくとも一部が鉄粉1に対して遊離状態で存在する。
本発明の鉄基粉末は、このようなメラミンシアヌレート6を含有することにより、抜出力が低下し、抜出性に優れる。
その理由は明らかではないが、メラミンシアヌレート6は、一般的に、雲母状の粒子形状を有するとされ、そのへき開により、摩擦力を低減する効果があると考えられる。特に、粉末冶金の成形では、粉末を金型に充填する際、メラミンシアヌレート6が優先的に金型壁面に付着し、これが、成形圧縮時、抜出時に、金型と鉄粉1との直接の接触、焼き付きを防ぐのではないかと考えられる。もっとも、これら以外の理由やメカニズムによって抜出性に優れる場合であっても、本発明の範囲内であるものとする。
【0018】
次に、本発明の鉄基粉末に含有される各成分について、詳細に説明する。
【0019】
〔鉄粉〕
鉄粉は、その製造方法によって種々の鉄粉があるが、アトマイズ鉄粉、還元鉄粉を使用するのが好ましい。これらの鉄粉は、表面に凹凸が存在するため、圧粉した際に凹凸が絡み合うことで、成形体および焼結体の強度が高くなる。
なお、一般的に粉末粒子の表面に細かな凹凸があると、粒子間の接触面積が小さくなり、粒子間付着力が小さくなることが知られている。もっとも、アトマイズ鉄粉や還元鉄粉の表面に存在する凹凸の曲率は0.1〜50μm−1と比較的小さく、付着力を低減するには十分ではない。
鉄粉の平均粒径は、50〜200μmであるのが好ましく、70〜100μmであるのがより好ましい。鉄粉の平均粒径が小さすぎるとハンドリングや成形性に問題を生じる場合があり、大きすぎると精密形状を成形できず強度が不足する場合があるが、鉄粉の平均粒径が上記範囲内であれば、ハンドリングや成形性に優れ、十分な強度を得られる。
なお、鉄粉の平均粒径は、レーザー回折法により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径である。
【0020】
〔結合剤〕
結合剤としては、加熱により溶融するものであっても加熱により固化するものであってもよいが、固化した後で潤滑性を有するものが好ましい。その理由は、鉄粉の摩擦力を低下させて鉄粉の流動性を良好にして、成形初期の粒子再配列を促すためである。
結合剤の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸;ステアリン酸モノアミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアロアミドなどのアミドワックス;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
結合剤の含有量は、後述する黒鉛粉、Cu粉、Ni粉といった合金成分を鉄粉表面に付着するものであり、その量は、付着させるのに必要な量だけあればよく、焼結時に消滅させるという観点から可能な限り少ない方がよいという理由から、鉄粉および合金成分の合計100質量部に対して、0.05〜0.8質量部であるのが好ましく、0.1〜0.4質量部であるのがより好ましい。
【0021】
〔合金成分〕
合金成分としては、例えば、黒鉛粉、Cu粉、Ni粉、Mo粉、Cr粉、V粉、Si粉、Mn粉、これら金属の酸化物等が挙げられ、これらを1種単独でも用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
合金成分の含有量としては、強度を発揮できる必要最小限の量を使うという観点から、鉄粉および合金成分の合計量に対する合金成分の量(合金成分量/(鉄粉量+合金成分量)×100)が、0.01〜5質量%であるのが好ましく、0.05〜2質量%であるのがより好ましい。
【0022】
〔潤滑剤〕
潤滑剤としては、例えば、金属石鹸、アミドワックス、ポリアミド、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等が挙げられる。
これらのうち、流動性や抜出性を含めた成形性がよく、バランスがとれているという理由から、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸;ステアリン酸モノアミド、エチレンビスステアロアミドなどアミドワックス;等が好ましく用いられる。
潤滑剤の平均粒径は、1〜150μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
このような潤滑剤は、結合剤が固化した後に添加されるため、基本的には、鉄粉表面に付着せず、少なくとも一部は鉄粉に対して遊離状態にある。このため、潤滑剤を「遊離潤滑剤」ともいう。
なお、潤滑剤の平均粒径は、レーザー回折法により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径である。
潤滑剤の含有量は、成形を円滑に行うのに必要最小限の量を添加するという観点から、鉄粉および合金成分の合計100質量部に対して、0.05〜1.0質量部であるのが好ましく、0.1〜0.6質量部であるのがより好ましい。
【0023】
〔流動性改善剤〕
流動性改善剤としては、例えば、カーボンブラック;Al・MgO・2SiO・xHO(ケイ酸アルミン酸マグネシウム)、SiO、TiO、Feなどの金属酸化物;ポリエチレン(PE);ポリメチルメタクリレート(PMMA)および/またはポリメチルアクリレートである(メタ)アクリル樹脂;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのうち、焼結後に残渣がないという理由から、(メタ)アクリル樹脂であるのが好ましく、PMMAであるのがより好ましい。
【0024】
流動性改善剤として(メタ)アクリル樹脂を用いる場合、(メタ)アクリル樹脂の平均粒径は、0.01〜2μmが好ましく、0.01〜0.3μmがより好ましい。
平均粒径が小さすぎると、鉄粉表面の凹凸や鉄粉表面に存在する潤滑剤中に埋没する可能性があるうえ、凝集体のまま付着するおそれがある。一方、平均粒径が大きすぎると、鉄粉表面に存在する凹凸の曲率と同等となる場合があり、流動性改善剤としての意義が減少する。
これに対して、(メタ)アクリル樹脂の平均粒径が上記範囲内であれば、流動性改善剤としての意義を減少させることを抑制しつつ、鉄粉表面の凹凸等に埋没したり凝集体のまま付着したりする可能性を減じることができるため、好ましい。
なお、(メタ)アクリル樹脂の平均粒径は、レーザー回折法により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径である。
【0025】
また、流動性改善剤として(メタ)アクリル樹脂を用いる場合、(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5×10〜15×10が好ましく、6×10〜10×10がより好ましい。重量平均分子量が小さすぎると樹脂が柔らかくなり粒子間付着力が増して流動性が劣る場合があり、大きすぎると硬くなり成形時に圧粉密度を高くできず抜出性が劣る場合があるが、重量平均分子量が上記範囲内であれば、流動性が優れ、抜出性もより優れる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(ポリスチレン換算)である。
【0026】
流動性改善剤の含有量は、鉄粉および合金成分の合計100質量部に対して、0.05〜0.4質量部であるのが好ましく、0.05〜0.2質量部であるのがより好ましい。
流動性改善剤の含有量が上記範囲内であれば、流動性改善の効果に優れ、また、抜出力もより低くなる。
【0027】
〔メラミンシアヌレート〕
メラミンシアヌレートは、一般的に、雲母状の粒子形状を有するとされ、上述したように、本発明の鉄基粉末は、メラミンシアヌレートを含有することにより、抜出性に優れる。
【0028】
メラミンシアヌレートの平均粒径は、3〜20μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
メラミンシアヌレートの平均粒径が小さくなるほど抜出力が低下する傾向にあるが、流動性が阻害される場合がある。一方、メラミンシアヌレートの平均粒径が大きくなるほど抜出力が高くなる傾向にあるが、ある程度の平均粒径に到達すると抜出力が高くなりにくくなる。
メラミンシアヌレートの平均粒径が上記範囲内であれば、流動性の阻害を抑制しつつ、抜出力を低減する効果がより優れる。
なお、メラミンシアヌレートの平均粒径は、レーザー回折法により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径である。
【0029】
メラミンシアヌレートの含有量は、鉄粉および合金成分の合計100質量部に対して0.01〜0.2質量部であるのが好ましく、0.05〜0.1質量部であるのがより好ましい。
メラミンシアヌレートの含有量が少なすぎると、抜出力を低減するという効果が低減する。一方、メラミンシアヌレートの特異的な形状は流動性の観点からは必ずしも有利とはいえず、含有量が多すぎると、流動性を阻害する場合がある。
これに対して、メラミンシアヌレートの含有量が上記範囲内であれば、流動性の阻害を抑制しつつ、抜出力を低減する効果がより優れる。
【0030】
[製造方法]
次に、本発明の鉄基粉末を製造する方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)について説明する。
本発明の製造方法は、概略的には、鉄粉および合金成分を結合剤とともに加熱混合し、冷却後、潤滑剤を添加して粉末冶金用鉄基粉末を得る方法であり、潤滑剤を添加する際に、流動性改善剤およびメラミンシアヌレートを同時に添加混合する。
【0031】
より詳細には、まず、機械攪拌式混合機の一種である高速ミキサーに鉄粉を投入し、ここに、黒鉛粉、Cu粉などの合金成分とアミドワックスなどの結合剤とを添加する。これらの原料を投入した後、加熱混合を開始する。高速ミキサーにおける回転翼の回転数は、その混合槽の大きさや回転翼の形状によって異なるが、一般的には回転翼先端の周速で1〜10m/秒程度である。混合槽内の温度が結合剤の融点以上になるまで加熱混合し、融点以上の温度で1〜30分程度混合する。これらの原料を十分混合した後、混合槽内を冷却する。冷却過程で結合剤が固化するが、その際、合金成分は鉄粉の表面に付着する。
次に、結合剤が固化した後、潤滑剤を添加するが、このとき同時に、流動性改善剤およびメラミンシアヌレートを添加し、混合する。この時点において、結合剤は完全に固化しているが、添加された流動性改善剤(とりわけ、(メタ)アクリル樹脂)は、平均粒径が比較的小さいため、ファンデルワールス力や静電力によって、結合剤に付着する。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
<発明例1〜14>
まず、ヘンシェルタイプの高速ミキサーに、鉄粉(JFEスチール社製 JIP(登録商標)300A、平均粒径:85μm)と、合金成分としてのCu粉および黒鉛粉と、結合剤としてのステアリン酸モノアミドおよびエチレンビスステアロアミドとを、下記第1表に示す量(単位:質量部)で添加し、加熱混合を開始した。このとき、高速ミキサーにおける回転翼の回転数を5m/秒とし、混合槽内の温度が結合剤の融点以上になるまで加熱混合し、融点以上の温度で5分間混合した。
【0034】
次に、混合槽内を60℃まで冷却した後、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛(平均粒径:15μm)と、流動性改善剤としての(メタ)アクリル樹脂(PMMA)と、メラミンシアヌレートとを、下記第1表に示す量(単位:質量部)で添加し、3分間混合し、粉末冶金用鉄基粉末(以下、単に「鉄基粉末」ともいう)を得た。
なお、用いた(メタ)アクリル樹脂の平均粒径(単位:μm)および重量平均分子量(Mw)と、メラミンシアヌレートの平均粒径(単位:μm)とについても下記第1表に示す。
【0035】
<比較例1>
メラミンシアヌレートを添加しなかった(下記第1表中「−」で示す)以外は、上記と同様にして、鉄基粉末を得た。
【0036】
<評価>
得られた鉄基粉末の充填性を、図2に示す充填試験機を用いて評価した。図2は、充填試験機の要部を模式的に示す斜視図である。評価は、容器14内に設けた長さ20mm、深さ40mm、幅1.0mmのキャビティ13内に、鉄基粉末12を充填して行なった。鉄基粉末12を充填した箱体11(長さ60mm、高さ50mm、幅25mm)は、図2中矢印Xの方向に移動し、その移動速度は200mm/秒、キャビティ13上での箱体11の保持時間は0.5秒とした。
充填した後の充填密度(充填質量/キャビティ体積)を充填前の見掛け密度の百分率で表わしたものを充填率(単位:%)とした。充填率100%は完全充填を意味する。
また、同じ試験を10回繰り返し、充填率の標準偏差の充填率の平均値に対する百分率を充填バラツキ(単位:%)として評価した。充填バラツキの値が小さいほど充填性が良好で流動性に優れるものとして評価できる。
【0037】
また、得られた鉄基粉末を用いて、11.3mmφ×11mmのタブレットの成形を、成形圧力686MPaで行い、その密度(単位:Mg/m)および抜出力(単位:MPa)を測定した。抜出力の値が低いほど抜出性に優れるものとして評価できる。
【0038】
【表1】

【0039】
第1表に示す結果から明らかなように、比較例1は抜出力が高く抜出性に劣るのに対して、発明例1〜14は抜出力が低く抜出性に優れることが分かった。
【符号の説明】
【0040】
1 鉄粉
2 結合剤
3 合金成分
4 潤滑剤
5 流動性改善剤
6 メラミンシアヌレート
11 箱体
12 鉄基粉末
13 キャビティ
14 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄粉と、
前記鉄粉の表面に少なくとも一部が付着する結合剤と、
前記鉄粉の表面に付着した結合剤に少なくとも一部が付着する合金成分と、
前記鉄粉に対して少なくとも一部が遊離状態にある潤滑剤と、
前記鉄粉の表面に付着した結合剤に少なくとも一部が付着する流動性改善剤と、
前記鉄粉に対して少なくとも一部が遊離状態にあるメラミンシアヌレートと、
を含有する粉末冶金用鉄基粉末。
【請求項2】
前記メラミンシアヌレートの平均粒径が、3〜20μmである、請求項1に記載の粉末冶金用鉄基粉末。
【請求項3】
前記メラミンシアヌレートの含有量が、前記鉄粉および前記合金成分の合計100質量部に対して0.01〜0.2質量部である、請求項1または2に記載の粉末冶金用鉄基粉末。
【請求項4】
前記流動性改善剤の含有量が、前記鉄粉および前記合金成分の合計100質量部に対して0.05〜0.4質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉末冶金用鉄基粉末。
【請求項5】
前記流動性改善剤が、(メタ)アクリル樹脂である、請求項1〜4のいずれか一項に記載に粉末冶金用鉄基粉末。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル樹脂の平均粒径が、0.01〜2μmである、請求項5に記載の粉末冶金用鉄基粉末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate