説明

粉末又はペースト状の物質の計量−分配装置

【課題】簡素で製造コストが安く安全性が高い計量−分配装置の駆動ユニットの提供。
【解決手段】計量−分配装置100には計量−分配ユニット120の受け入れ装置110及び駆動ユニット130が備えられている。前記駆動ユニットは駆動軸135を備えている。計量−分配ユニットは給送穴124と当該給送穴内に配置され、駆動軸に結合することができる閉塞部材122とを備えている。給送穴の開口断面積の閉塞位置と最大開放位置は、閉塞部材の給送穴内での中心長手軸線に沿った直線動作及び閉塞部材の形状により変化可能である。駆動軸を閉塞部材に結合し且つ給送穴を開くために駆動ユニットは前記計量−分配ユニットに向かって直線動作する。閉塞部材は駆動軸との結合が完了するまで閉塞ばねによって閉塞位置に保持される。前記結合過程中の前記給送穴の早期開放を防止するために駆動軸は駆動ユニットの前進動作と反対方向への動作を制限できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは粉末又はペースト形態の投与物質のための計量−分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような計量−分配装置は、特に、少量の投与物質を高い精度で目標容器内へ計量しながら供給するために使用される。このような目標容器は、多くの場合、計量−分配装置から給送される物質の量を計量するために秤上に設置され、続いて、所定の目的に従って更に処理することができるようになされる。分配されるべき物質は、例えば、計量ヘッドを備えた計量−分配ユニット内に配置される。
【0003】
例えば、染色粉末のような乾燥し且つ/又は粉末の粉流体のための計量−分配装置は、公知の技術分野に属し且つ現在使用されている。例えば、測定された量の物質を分配するための装置が米国特許第5,145,009A号に記載されており、この装置は、下面に閉塞可能な出口を有する計量−分配ユニットを備えている。閉塞部材は、直径が上方に向かって小さくなっている円錐形の本体として構成されており、これは、出口穴を開くために垂直方向下方へ動かすことができ且つ開放位置にあるときに回転して物質を出口穴に向かって進めるための手段が設けられている。当該計量−分配ユニットは、更に、当該計量−分配ユニットの頂部から突出しており且つ駆動機構に結合されている駆動軸によって左右に動かされる。当該計量−分配ユニットは、その下面に設けられた締結フランジによって、当該計量−分配装置の駆動ユニットに結合されている。幾つかの加圧シリンダが、計量−分配ユニットのカバーに当接しており、当該計量−分配ユニットは、そのストローク動作によって、出口穴、従って、計量−分配ユニットの給送量が影響を受けるようになされている。
【0004】
この装置の加圧シリンダは、計量−分配ユニットの上方に配置されている支持部材上に設けられている。計量−分配ユニットは、その位置がスピンドルによって上下に調節することができ且つ回転可能な弁体のための駆動機構を担持している。別のモーターがスピンドルを起動させる。当該スピンドルは、支持部材に結合されている回転可能に拘束されたスピンドルナットと結合しており、それによって、支持部材、加圧シリンダ及びクラッチ継手を備えた駆動機構が垂直方向に動かされる。
【0005】
作動位置においては、加圧シリンダの調整部材は、計量−分配ユニットのカバーに接触しているか又はほぼ接触しており、その結果、調整部材は、弁の開放のために使用することができるようになされている。
【0006】
カップリングクラッチの係合及び弁体の動きは、2つの異なる駆動装置によって行われる。この駆動ユニットにおいては、種々の高さの投与物質容器を使用することができる。クラッチ係合及び弁体の開放動作のための別個の駆動装置を備えているにも拘わらず、クラッチ係合段階における弁体の直線的な移動により、投与物質が不意に計量−分配ユニットから漏れ出るのが許容される危険性が常に存在する。これは、例えば、支持部材が投与物質容器に近すぎる位置に設置されている場合に起こり得る。更に、この不意の開放は、2つのクラッチ半体が相対的に径方向へ又はそれらの回転角度方向にずらされ、従って、相互係合状態となる代わりに相対的に押し付けられる場合には、嵌合係止クラッチが使用されている場合にも起こり得る。
【0007】
物質の放出が早すぎると、特に有毒な物質を備えた計量−分配装置のユーザーにとって危険となり得る。しかしながら、危険性のない物質の場合にも、不所望な放出は望ましくない。これは、特に、粉末混合物の個々の成分が駆動ユニット内へ順に配置される計量−分配ユニットから同じ目標容器内へ分配される複数の粉末が集められるべきである場合には厄介である。
【0008】
位置変換器を備えた極めて高価なコントローラ及び高価なステッピングモーターが使用されない限り、クラッチ係合は、手動によって制御され且つ行われなければならない。これは、ユーザーによる深い注意と、自動化されたクラッチ係合と比較して極めて長い設置時間とを必要とする。
【0009】
スピンドル調整支持部材及び加圧シリンダを備えたUS 5,145,009 Aに記載されている駆動ユニットは、極めて複雑な設計構造を特徴としており且つ位置変換器を備えた極めて高価なステッピングモーターを必要としている。これらのステッピングモーターの位置検知信号は、マイクロコンピュータによって処理され、当該ステッピングモーターは、相応してマイクロコンピュータによって制御される。これらのモーターは、クラッチ係合位置に達するとすぐに停止する必要があるので、機構及び電子回路に課される要件は極めて高い。この駆動ユニットにおいては、少なくとも設置された計量−分配ユニットの高さ従ってクラッチの位置を知ること及びこの高さを手動によってコントローラに入力することも必要である。別の方法として、給送穴の早すぎる開放が防止されるべきである場合には、少なくともクラッチの位置は、例えば光センサによって判定されなければならない。しかしながら、手動による入力は、不正確であるかも知れず且つ上記した問題につながるかも知れない。更に、センサーの使用は、投与物質がセンサー部品に付着してセンサーの感度が低下せしめられ得るので、特に計量−分配装置においては汚染の危険性という問題がある。(特許文献1参照)
【特許文献1】米国特許第5,145,009 A号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、設計が簡素で好ましい製造コストを有し且つ最も安全度が高い計量−分配ユニットに自動的に接続することができるようにしたことを特徴とする計量−分配装置の駆動ユニットを形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記解決課題は、特許請求の範囲の独立項に記載された特徴を有する計量−分配装置及び方法によって達成される。
【0012】
一つの計量−分配装置は、少なくとも1つの計量−分配ユニットを受け入れるための装置と、少なくとも1つの駆動ユニットとを含んでいる。当該駆動ユニットは駆動軸を備えている。当該計量−分配ユニットは、前記駆動ユニット内に配備出来ると共に取り外すこともできるように設計されており、少なくとも1つの給送穴と少なくとも1つの閉塞部材とを備えており、当該少なくとも1つの閉塞部材は、前記給送穴に配置されており且つ当該計量−分配装置の作動状態において前記駆動軸に結合することができる。閉塞部材の給送穴の中心長手軸線に沿った直線動作により且つ当該閉塞部材の形状により、前記給送穴の開口断面は、閉塞位置と最大開放位置との間で変更可能である。駆動軸を閉塞部材に結合するため及び給送穴を開くために、駆動ユニットは、計量−分配ユニットに向かう直線動作によって進入させることができるような構造とされている。計量−分配ユニットの閉塞部材は、閉塞部材と駆動軸との間の結合係合が完了するまで、閉塞部材によって閉塞位置に保持される。結合段階において給送穴が早期に開き得るのを防止するために、駆動軸は、駆動ユニットに対して駆動ユニットの進入方向と反対方向への直線動作を制限している。
【0013】
駆動ユニットの進入動作に対して駆動軸の動作を制限する必要がある理由は、閉塞部材を開く動作が駆動ユニットの直線動作によって同様にもたらされるからである。この制限を行うために、駆動ユニット上に形成された制限ストッパ及び駆動軸上に設けられた対抗ストッパが設けられている。対抗ストッパが制限ストッパに当接するとすぐに、駆動ユニットの進入方向への駆動軸の更なる動作がもたらされ、駆動軸は、閉塞部材を直線変位経路に沿って押し、それよって、給送穴は自由な状態に設定される。
【0014】
閉塞部材を定位置に保持する閉塞ばねの力は、駆動軸を駆動ユニットの進入動作に抗して移動させるのに必要な対抗力よりも大きい必要がある。この対抗力は、例えば、駆動軸の重量及び変位に伴う摩擦力に対応し、又は、駆動軸が駆動モーターに抗してばねの引っ張り力下に保持される場合には、引っ張りばねのばね力に対応する。
【0015】
結局、駆動軸を閉塞部材に結合するためには、駆動ユニットを動かし且つ当該駆動ユニットを計量−分配ユニットに対して整合させるために特別な予防措置は必要とされない。上記の構造は、個々の交換可能な計量−分配ユニットの製造公差のみならず例えばスピンドル及び駆動モーターの慣性によってもたらされる駆動ユニットの進入の避けることができない変動による長さの差を補償する。これは、例えば位置変換器のような高価なセンサー及びセンサーの信号を更に処理するための信号処理ユニットを使用することを不必要とする。
【0016】
特に、粘着性の又はペースト状の粘稠性の投与物質は、付加的な機械的補助なしでは給送穴を介して流動しないであろう。従って、投与物質にとっては、閉塞部材及び駆動軸が回転状態とされ得るような構造とされている場合が有利である。これは、閉塞部材と給送穴を備えている計量−分配ユニットのハウジングとの間の相対的な動きを生じさせる。この相対的な動きは、給送穴を通る投与物質の流通を促進する。
【0017】
これらの種類の投与物質を計量−分配ユニットから給送する補助となる更に別の手段として、当該計量−分配装置には、前記閉塞部材に衝撃を伝えることができる衝撃機構を備えられているのが好ましい。これらの衝撃は、前記閉塞部材の給送穴に対する現在の位置と独立しており且つ閉塞部材の開放及び閉塞と独立している。
【0018】
衝撃機構によって発生される衝撃は、駆動軸によって閉塞部材に伝えられることが特に有利であることがわかった。駆動軸及び閉塞部材はそれ自体ほんの小さな質量を有するだけであるので、衝撃が計量−分配ユニットのハウジングに適用される場合に必要とされるよりもかなり小さい衝撃エネルギが必要とされる。結局、衝撃機構及び駆動ユニットの機械的な構成部品は、比較的小さな寸法によって設計することができ、計量−分配装置全体の機械的構成部品は摩耗を減らすことができる。更に、例えば、計量−分配装置の制御及び調整のために使用され且つ目標容器内へ分配される質量を測定するように機能する力測定セルのような周辺装置に対して著しく小さな作用が存在し、測定値を集めるプロセスに対して著しく小さな干渉が存在するだけである。計量−分配装置が設置される支持台の緩衝に課される要件もまた、それによってかなり減少せしめられる。
【0019】
衝撃を発生させる手段として、衝撃機構は、テンション機構及びレバーを有することが好ましい。レバーがテンション機構によって解放されるとすぐに、当該レバーは、衝撃ばね又は閉塞ばねによって加速される。加速度の方向に応じて、レバーは、駆動軸上に形成された衝撃面積か又は例えば衝撃振幅の装置のための調整装置に属するストッパにぶつかるであろう。当該衝撃は衝撃波を発生し、衝撃波は、駆動軸を介して閉塞部材へと伝わり、当該閉塞部材において、これらの衝撃波は、極めて迅速であるが開口部からの距離に対して短い閉塞部材の変位を生じさせる。この変位が大きな剪断力に達するまで大きくなると、この変位は、閉塞部材の表面からの投与物質の少なくとも瞬間的な分離を惹き起こす。これによって、給送流通断面の付着面積が小さくされるので、投与物質は、重力及び一連の幾つかの衝撃作用によって外部へと給送することができる。
【0020】
当該レバーは更に、より高い衝撃エネルギを得るために、ハンマー質量を有することができる。
【0021】
レバーと衝撃表面特に遊び調整ねじとの間の衝撃動作の遊びを設定する機構を果たす少なくとも1つの遊び調整装置がレバーに設けられるのが好ましい。衝撃動作の自由な遊びを調整することによってレバーの加速距離を変化させることができるので、衝撃エネルギを設定することができる。
【0022】
更に、衝撃機構はまた、衝撃の振幅のための調整装置特にレバーのための調整可能な端部ストッパをも備えることができる。この端部ストッパは、衝撃動作のための振幅を制限する機能を果たす。これは、一方では、衝撃エネルギに対する影響力を有し、他方では流通断面の開口誤差を制限することができる。開口誤差は、衝撃によってもたらされるハウジングに対する閉塞部材の軸線方向の位置の瞬間的な変化が、駆動ユニットの進入のための設定に対応する大きさよりも大きな通路断面積が、短い時間間隔で開放状態に設定されるという作用を有することによって生じる。衝撃の振幅を制限することによって、この開口誤差は、予知可能となり且つ駆動ユニットの進入を減らすことによって考慮することができる。衝撃振幅調整装置自体が極めて大きなばね定数の弾性を有している場合には、反対方向の異常な量の加速度が高速撹拌の終了時に似た衝撃の直後に発生されるであろう。これによって、付加的な投与物質自体が閉塞部材から分離する。
【0023】
衝撃振幅調整装置のみならず遊び調整装置は、自動的な調整を行うために、アクチュエータ駆動装置を備えることができる。
【0024】
レバーを備えたテンション機構の代わりに、前記衝撃機構は、駆動軸に結合された衝撃伝達部材及び受け入れ装置に対して当接している王冠型スリーブを備えることができる。衝撃は、王冠型スリーブ上に形成されたノコギリ歯状の輪郭に沿って従動する衝撃伝達部材の動きによって、衝撃を発生させ且つ駆動軸に伝達させることができる。
【0025】
上記した衝撃機構の衝撃周波数は、駆動軸の回転速度に依存する。幾つかのタイプの粉末の分配においては、これは、計量−分配ユニットの給送量の減少につながり得る。従って、好ましい概念として、王冠型スリーブは、当該王冠型スリーブを回転駆動させる形態で受け入れ装置に支持される。王冠型スリーブを回転駆動する駆動モーターを使用することによって、駆動軸と王冠型スリーブとの間の相対回転速度は自由に選択することができる。
【0026】
“王冠型スリーブ”という用語はまた、かさ歯車、及び王冠形状を有する直線形状装置、例えば衝撃を発生させるために適当な手段が従動し得る歯形状を有するラック歯車を包含している。
【0027】
本発明がセンサーを使用することを必要としない場合でさえ、クラッチ係合を監視するためのセンサーを設けることはもちろん可能である。このセンサーは、閉塞部材が駆動軸に正確に結合されていることを確保するために、制御及び調整ユニットにフィードバック信号を送信する機能を果たすことができる。当該信号はまた、ゼロ点を検知するために使用することもできる。このゼロ点は、給送穴の開口断面積がゼロでなくなる直前での閉塞部材を計量−分配ハウジングに対する閉塞部材の軸線方向の位置を示している。これは、各々のクラッチ係合位置が相互に異なっている種々の高さの計量−分配ユニットが使用される場合に重要である。
【0028】
駆動軸の直線動作の制限された範囲により、センサーは、端部ストッパに対する駆動軸の位置を検知することができる。従って、駆動軸は、同時にセンサーのピックアップ部材としても機能する。駆動軸の適切な構造により、センサーは、駆動機構ハウジングによって、投与物質による有害な影響及び汚染から保護することができる一方で、駆動軸のみがこれらの影響ファクタに曝される。
【0029】
給送穴の不意の開放に対する更に良好な安全性を達成するための手段として、計量−分配ユニットの閉塞部材は、その外形形状が円筒形であるように設計することができ且つ給送穴を閉塞するように機能する少なくとも1つの閉塞部分を有することができる。閉塞部分に隣接した閉塞部材は、投与物質を外部へ給送するように機能する給送部分を有することができ、当該給送部分は、円筒形の外周から凹んでいる少なくとも1つの表面凹部を備えている。
【0030】
このように、円筒形状の閉塞部材は、給送穴内での直線的動作を有し且つ軸線方向の長さによって閉塞部材を著しく不意に開放され難くする可能性を提供する円筒形の閉塞部分を備えている。更に、当該円筒形の閉塞部分は、閉塞部材の関連する軸線方向の動作がこの場合には給送穴の開放につながらないので、閉塞状態においてもまた衝撃が閉塞部材に付与され得ることを可能にする。閉塞状態において閉塞部材に衝撃を与える可能性は、粉末粒子を振り落とし、当該粉末粒子は、例えば、静電的に帯電し且つ閉塞部材の下面へ付着し得る。
【0031】
衝撃機構の設計に応じて、衝撃は、移動方向に関する駆動軸に種々のレベルの加速度を惹き起こす。以下においては、衝撃機構によって又は幾つかの場合には閉塞ばねによって惹き起こされる閉塞部材の最も大きな起こり得る加速度は、ピーク加速度と称されるであろう。従って、衝撃機構の設計に応じて、当該ピーク加速度は、例えば、ある方向においてのみ発生することがあり、一方、これと反対方向においては、遙かに低い加速度レベルが生じる。これはまた、給送量にも影響を及ぼす。種々の投与物質を使用する広範な実験においては、重力方向に抗するように閉塞部材に作用するピーク加速度は、幾つかの粉末においては、重力と同じ方向へのピーク加速度よりも大きな給送量を形成するということを確認することができた。このことは、上記の凹部を満たす投与物質が、その慣性の結果として、凹部から流れ出し且つピーク加速度が重力方向に抗する方向に発生する場合に当該投与物質自体が閉塞部材からより良好に分離する傾向がより強くなるという事実によって説明できる。重力と同じ方向のピーク加速度によると、これらの粉末は、圧縮状態となり、従って、凹部内でより堅く詰め込まれる傾向がある。
【0032】
上記したように、ピーク加速度は、給送量に重要な影響を及ぼす。閉塞ばね特にそのばね力はピーク加速度のための制御ファクタであるので、当該計量−分配ユニット内に、当該計量−分配ユニット内に含まれる投与物質の特性に適合させた閉塞ばねを設置することができる。閉塞ばねを適切な大きさとし且つ/又は異なる大きさの初期張力によって閉塞ばねを付勢することによって、異なるばね特性を達成することができる。上記した衝撃振幅調整装置の作用により、給送性能が更に高められる。
【0033】
多くの粉末においては、閉塞部材が給送穴内へ後退せしめられたときに、凹部から部分的にのみ解放された投与物質が給送穴の縁に捕捉され且つ当該凹部から一掃されるのを観察することができる。
【0034】
自ずから明らかであるように、計量−分配ユニット内に含まれる投与物質は、粉末に限られず、ペースト又は液体とすることもできる。
【0035】
クラッチとしては、摩擦クラッチ、かみ合いクラッチ等のような種々の分離可能な嵌合ロック型又は接触力型のクラッチが設けられる。例えば、標準規格ENDIN ISO 14583によるねじボルトに類似しているクラッチ部品の外形形状を有する外形プラグ結合を使用することは特に有利である。
【0036】
この標準規格に従って、本発明による計量−分配装置の駆動軸は、6個の丸い突出部を有する外形を有する連結部分を備えることができ、閉塞部材は、これに適合する内部の6個の丸い突出部を有する外形を有する連結部分を有することができる。
【0037】
本発明の計量−分配装置が分配プロセス準備状態とされる過程は、以下のステップを含むことができる。
【0038】
a.第一のステップにおいて、駆動ユニットが計量−分配ユニットを挿入する位置にセットされる。
【0039】
b.第二のステップにおいて、計量−分配ユニットが受け入れ装置内にセットされる。
【0040】
c.第三のステップにおいて、駆動ユニットが、計量−分配ユニットに向かう方向へ直線経路に沿って動かされ、駆動軸のクラッチ部分が閉塞部材のクラッチ部分と係合し、センサーがクラッチ係合の完了を検知し且つ制御及び調整ユニットに計量−分配装置が作動準備状態にあるという信号を送る。
【発明の実施の形態】
【0041】
本発明による計量−分配装置の詳細は、図面に示されている実施例の説明に提供されている。
【0042】
図1には、正面断面図で表されている第一の実施形態における計量−分配装置100が示されている。当該計量−分配装置は、基本的に、受け入れ装置110と駆動ユニット130とを備えている。図示されている受け入れ装置110は、象徴的な方法で、支持部材111によって、例えば作業台のような支持ベース上に載置される。受け入れ装置110は更に、2つの直線ガイド112を備え、駆動ユニット130の搬送部材131が、当該直線ガイドに沿ってガイドされて直線動作を行う。
【0043】
自ずから明らかなように、駆動ユニット130が受け入れ装置110に対して直線動作を行うためには、駆動ユニット130と受け入れ装置110との間に適当な駆動源が設けられる必要がある。これは、例えば、自己保持型スピンドル駆動装置とすることができる。“自己保持型”という用語は、駆動源が起動される場合にのみ動作が生じ、例えば重力の作用下での外部作用ファクタの結果としては動作は生じない機械的装置の特性を示している。本発明においては、直線動作又はより正確に表現すると駆動ユニットの位置の移動及び給送穴を開閉する動作は、スピンドル駆動装置のスピンドルの回転によってのみなされる。その動作比率特にスピンドルねじのピッチは、スピンドルとスピンドルナットとの間の摩擦力が駆動ユニット130の重力より大きくなるように選択される。
【0044】
駆動ユニット130は、直線ガイド112同士の間に配置され且つ搬送部材131に結合されているモーター132を含んでいる。モーター132としては、市販によって入手可能な電動モーター、ステッピングモーター、歯車モーターの殆どのみならず空気圧モーター又は油圧モーターも使用することができる。モーター132のモーター軸には付随スリーブ133が結合されており、当該付随スリーブ133は、モーター132のトルクを付随して動くローラー軸134を介して駆動軸135に伝える。駆動軸135は、付随スリーブ133内で直線運動するように拘束されており且つ回転駆動させることができる。駆動軸135の回転軸線は本質的に垂直方向を向いている。
【0045】
この実施形態における付随ピン134は、4つの回転可能に支持されたローラー136、137を担持している。回転軸線に近接して配置されている内側ローラー136は、同時に、付随スリーブ133を回転軸線に直角な方向に横切る穴138内に保持されており、モータートルクのモーメントの伝達を行う。穴138の長手方向伸長部は、モーター132に近づく方向の上方端部ストッパ139と、モーターから離れる方向の下方端部ストッパ140とを更に形成しており、それによって、軸線方向の駆動軸135の直線動作の範囲を定めている。付随ローラー軸134と付随スリーブ133との間には、更に、付勢ばね142が設けられており、当該付勢ばね142は、内側ローラー136を下方端部ストッパ140へと当接させている。この結果、駆動軸が非結合状態にあるときに、モーターから離れる方向に面している駆動軸135の端部は、常に、搬送部材131に対して規定された位置をとる。
【0046】
外側ローター137は、衝撃を駆動軸135に伝える機能を果たす。これらの衝撃は、搬送部材131に堅固に結合されている王冠状スリーブ141によって発生される。外側ローター137は、駆動軸135の回転によって王冠状スリーブ141のノコギリ歯状王冠外形形状に従って動くので、振動動作又は衝撃が、駆動軸135に堅固に結合されている付随ローラー軸134によって駆動軸135に付与される。従って、駆動軸135の一回転当たりの衝撃の数は、王冠状の外形の歯の数に依存する。個々の衝撃の衝撃エネルギは、王冠の外形の設計及び駆動軸135の回転数によって選択することができる。
【0047】
図1は、計量−分配ユニット120が受け入れ装置110内の定位置に設置されていることを意味する作動状態における計量−分配装置100を示している。計量−分配ユニット120は、ハウジング123、閉塞部材122及び閉塞ばね121を備えている。閉塞ばね121は、駆動軸135にかかる押圧力が閉塞ばね121のばね力に打ち勝つ時点まで閉塞部材122を閉塞位置に保持する。閉塞位置においては、閉塞部材122は、ハウジング123内に形成されている給送穴124を閉塞している。計量−分配ユニット120の構造及び機能並びに閉塞部材122の設計は、後の図7に説明において更に詳細に説明する。
【0048】
王冠状の外形は、ノコギリ歯パターンで設計されていて、王冠状の外形の立ち上がっているねじ山の斜面によってばね部材例えば計量−分配ユニット120の閉塞ばね121が引っ張り状態に配置される一方で、ほぼ垂直に下降しているねじ山斜面がばね部材をその引っ張り付勢状態から解放するようになされている。この設計の王冠状の外形は、従動部材の方向すなわち回転の向きを指示するが、下降しつつあるねじ山斜面において閉塞部材122の極めて高い加速度が達成されるのを可能にする。
【0049】
従動ローラー軸134上には、位置指示リング143が配置されており、当該位置指示リング143によって、搬送部材131に対する駆動軸135の瞬間的な位置を検知することができる。これは、センサー113例えば光学的誘導センサー又は音響センサーによって達成されるのが好ましい。位置の監視は種々の利点を提供する。例えば、種々の高さの計量−分配ユニット120が使用される場合には、クラッチ係合を簡単な方法で監視することができ、特に、装置のゼロ点を達成することができる。このゼロ点は、閉塞部材122のハウジング123に対する開放動作の開始時を示し、従って、正確には、内側ローラー136が上方の端部ストッパ139と接触状態となり且つ/又は外側ローラー137が王冠状スリーブ141と接触状態となる時点を示す。もちろん、接触状態が最小であり、滑動領域に摩擦が存在しないか又はほんの少ししか存在しない場合には、付随軸134及びローラー136,137の代わりに、4つの滑動領域を備えた簡単な滑動部材を使用することもできる。
【0050】
図2においては、図1の計量−分配装置100が再度正面断面図によって示されており、駆動軸135は閉塞部材122に結合されている。搬送部材131は、ゼロ点を通過し且つ閉塞部材122上に形成されている凹部125が出口通路の断面が開放されてハウジング123内に含まれている投与物質900が計量−分配ユニット120から流出できるように給送穴内に配置される位置まで進入せしめられている。
【0051】
更なる図面の説明においては、同じ参照番号によって特定されている部材は、大部分は図1及び2に記載されている構成部品と同一である。
【0052】
図2に明確に示されているように、外側ローラー137は、閉塞ばね121のばね力によって、王冠スリーブの王冠状外形に対して押し付けられて重力及び付勢ばね142の力による抵抗に打ち勝つ。駆動軸135が回転状態に設定されるとすぐに、従動ローラー134の心棒によって駆動軸に結合されている外側ローラー137は王冠状外形形状に沿って追従し、それによって、駆動軸135の振動直線動作がもたらされ且つ閉塞部材122に伝えられる。
【0053】
図3は、断面図で見ることができる第二の実施形態における計量−分配装置200を概略的に図示しており、この図では、駆動軸135は閉塞部材122に結合されていない。当該第二の実施形態は、王冠状スリーブをねじによって搬送部材110に堅固に結合させる代わりに、回転駆動源に応答して回転可能であるように設計された王冠状スリーブ241を備えている。王冠状スリーブ241は、回転スラストベアリング214を介して搬送部材131に当接され且つモーター215によって駆動することができる。図示された実施形態においては、回転駆動源に応答して、回転可能な王冠状スリーブ241は、駆動軸135と同軸に配置されている。しかしながら、絶対的な要件は存在せず、王冠状スリーブ241の回転軸線はまた、駆動軸135の中心長手軸線に対して任意の角度で配置させることができる。本実施形態における駆動軸135は、衝撃を発生させるために回転動作に設定される必要はない。むしろ、駆動軸135の回転及び衝撃周波数は、必要に応じて別個に選択することができる。
【0054】
駆動軸135及び閉塞部材122の回転は、給送穴領域での粉末粒子の擦り砕きにつながり得る。特に、壊されやすい粉末例えば薬効成分においては、薬効成分の医療効果は、表面積の増加又は表面構造の破壊により、粉末粒子自体の擦り砕きの結果として著しく変化し得る。回転駆動源に応答して回転することができる王冠状スリーブ241を備えた第二の実施形態においては、このような作用を著しく回避することができる。
【0055】
衝撃の硬度、衝撃の時間間隔及び振幅は、回転速度及び王冠状の外形に依存する。この要件は、衝撃エネルギの調整可能性を大きく制限する。投与物質により良好に適合することができる計量−分配装置を提供するために、図4〜6に示されている種々の実施形態が提案されている。
【0056】
図4は、駆動軸135が閉塞部材122に結合されていない状態の第三の実施形態による計量−分配装置300を正面断面図によって概略的に図示している。王冠状スリーブ及び外側ローラーの代わりに、当該第三の実施形態には衝撃機構360が設けられている。
【0057】
衝撃機構360は、レバー367とテンション機構361とを備えており、テンション機構361の王冠状ホイール362はモーターによって駆動される。レバー367の第一の端部は搬送部材331上に枢動可能に支持されており、当該レバーの反対側の第二の端部は、テンション機構361の作用が伝えられる接触ローラー368を担持している。駆動軸135上に衝撃面領域336が形成されている。駆動軸135が閉塞部材122に結合する間に、駆動軸135は、衝撃面領域336が遊び調整装置365にぶつかり、それによってレバー367の接触ローラー368が押されてテンション機構361の王冠状ホイール362と接触するまで、付随スリーブ333に対して直線状に動かされる。搬送部材331が更に前進すると、接触ローラー368が王冠状のホイール362に当接し、その結果、駆動軸135は、搬送部材の前進動作の方向と反対方向に更に動くことができないので、閉塞ばね121のばね力に打ち勝ち且つ給送穴124を開放させる。
【0058】
モーターが王冠状ホイール362を回転状態にするとすぐに、接触ローラー368は、王冠状外形輪郭に追従し且つそれによって生じた衝撃をレバー367によって駆動軸135へと伝える。衝撃振幅調整装置366においては、接触ローラー368が王冠状の外形の溝の底部に達する前にレバー367が衝撃振幅調整装置366に当接するようになる結果として衝撃の振幅を制限することができる。
【0059】
図5は、駆動軸135が閉塞部材122に結合された状態の図4の計量−分配装置300を本質的に正面断面図で示している。図4と比較すると、閉塞ばね121が接触ローラー368を王冠状ホイール362に押し付けている形態が容易に明らかとなる。王冠状ホイール362が回転し始めるとすぐに、接触ローラー368は王冠状輪郭に従い、それによって衝撃が発生され、当該衝撃は、レバー367によって駆動軸135及び閉塞部材122に伝えられる。当該図面において更に概要が明確に示されているように、衝撃振幅調整装置366は、調整アクチュエータ390に結合されており、これは、動作中に衝撃エネルギ及び衝撃振幅が変わることを可能にする。衝撃振幅調整装置366自体は、搬送部材331内に形成された薄い厚みの可撓性部分369によって図5に象徴的に表されている極めて高いばね常数による弾性を有している。衝撃振幅調整装置366のこれらの弾性により、高速攪拌の終了時に匹敵するレバー367、駆動軸135及び閉塞部材122の異常に高い加速度が、衝撃の直後に反対方向に発生される。これによって、より多くの物質を閉塞部材122から分離させることができる。
【0060】
駆動軸135が閉塞部材122に結合されるとすぐに、搬送部材が進入方向へ更に移動することによって、閉塞部材122がハウジング123に対して変位せしめられ、給送穴124は開放されるであろう。もちろん、王冠状ホイール362を真っ直ぐな垂直方向経路に沿って調整可能とすることもまた可能である。この調整可能性は、給送穴124を開くか又は給送穴124の出口通路の断面積を細かく調整するために使用することができる。この場合には、搬送部材331のための駆動機構(図示せず)に対する要件を少なくすることができる。
【0061】
同様に、遊び調整装置365は各々の調整が計量−分配300の作動中にも行うことができるようにするために、アクチュエータ駆動装置を備えることができることも勿論可能である。
【0062】
上記の実施形態の全てが、各場合にピーク加速度が重力方向と反対の方向に向けられるようにして衝撃を駆動軸に付与する衝撃機構を備えている。以下においては、衝撃機構が重量方向と同じ方向への駆動軸のピーク加速度をもたらす計量−分配装置の設計を説明する。
【0063】
図6は、第四の実施形態の計量−分配装置400を正面断面図で概略的に示しており、この図においては、駆動軸135は閉塞部材122に結合されていない。王冠状スリーブ及び外側ローラーの代わりに、当該第四の実施形態には、衝撃機構460が設けられている。衝撃機構460は、ハンマー質量463を重力及び衝撃ばね464の結合した力に抗するように付勢し、続いて、当該ハンマー質量を解放するように機能する。ハンマー質量463の動きをガイドするために、当該ハンマー質量は、レバー467に堅固に結合されており、レバー467は、搬送部材431に枢動可能に結合されている第一のレバー端部と、テンション機構461の作用が伝えられる接触ローラー468を担持している第二のレバー端部とを備えている。もちろん、ハンマー質量463の動きをガイドする他の方法例えば直線ガイドもまた考えられる。
【0064】
図6に示されているテンション機構461は、本質的に、モーターと王冠状ホイール462とを備えている。もちろん、ハンマー質量463の引っ張り及び解放を行うために他の解決方法を使用することもできる。テンション機構461によってハンマー質量463が解放された後に、重力及び衝撃ばね464のばね力によって、ハンマー質量は、当該ハンマー質量が衝撃面領域436にぶつかり且つ駆動軸135に衝撃波を発生させるまで、駆動軸135上に形成された衝撃面領域436に向かって加速されるであろう。
【0065】
ハンマー質量463は、ハンマー質量463と衝撃面領域436特に固定位置に係止することができる遊び調整ねじとの間の衝撃の遊びを調整する機能を果たす少なくとも1つの遊び調整措置465を備えているのが好ましい。衝撃の遊びを調整することによって、ハンマー質量463の衝撃エネルギを調整することができる。なぜならば、ハンマー質量463の加速距離は、増大する遊びの量に従って変化し得るからである。
【0066】
更に、衝撃機構460はまた、衝撃振幅のための調整装置466、特にハンマー質量463のための調整可能な端部ストッパを含むこともできる。この端部ストッパは、衝撃動作の振幅を制限する機能を果たす。これは、一方では衝撃エネルギに対する作用を有し、他方では給送穴124の流通断面積の開口誤差に対する制限を設定することを可能にする。この開口誤差は、衝撃によって惹き起こされるハウジング123に対する閉塞部材122の軸線方向の位置の瞬間的な変化の結果として起こる。衝撃の振幅を制限することによって、この開口誤差は予想することができ且つ搬送部材431及び駆動軸135の進入動作を少なくすることによって考慮に入れることができる。
【0067】
駆動軸135は、図4に示されている付随スリーブに似た付随スリーブ433内で直線動作するように拘束されている。付随スリーブ433は、同様にモーター432によって駆動される。
【0068】
図示されている実施形態においては、駆動軸の回転軸線は垂直方向を向いている。駆動軸が垂直方向に対して所望の角度で配置することができる本発明の実施形態が可能であることは自ずから明らかであると考えられる。
【0069】
図7は、閉塞部材122を備えた計量−分配ユニット120を斜視図で示しており、計量−分配ユニット120のハウジング123が長手方向に断面されている。給送穴124は部分的に開放されている。閉塞部材122は、中心長手軸線129を中心に回転するばかりでなく中心軸線129に沿った直線動作を可能にするように設計されている。図6において、6個の丸い突出部を有する盲穴からなるクラッチ半体126が形成されているヘッド部分128が、閉塞部材122の上端において作動状態に配置されている。図面に示されていない駆動軸は、このクラッチ半体内に挿入することができる。
【0070】
ヘッド部分128とハウジング123との間に閉塞ばね121が配置されている。当該閉塞ばねの力によって、閉塞部材122が閉塞位置に非結合状態で保持されている。当該非結合状態においては、閉塞部材122上に形成されているフランジ127は、ハウジング123に対して当接するようになり、それによって、計量−分配ユニット120の閉塞位置を規定している。
【0071】
閉塞部材122は閉塞部分621を備えている。閉塞部分621は、円筒形状に設計されており且つ閉塞位置において精密な嵌合によって給送穴を閉塞する。物質を分配する位置においては、給送穴124は、少なくとも部分的に開放され、従って、効果的な穴の開口を示す流通穴を形成している。この場合には、閉塞部分621に隣接して配置されている閉塞部材122の給送部分122は、給送穴124内へ達している。
【0072】
円筒形の閉塞部分621が中心長手軸線129の方向に形成される長さが長いほど、クラッチの係合中に計量−分配ユニット120が不意に開く傾向がより低くなる。更に、より長い設計の閉塞部分621によって、給送穴124を衝撃によって開かさせることなく、給送穴124が閉塞されているときでさえ衝撃が閉塞部材122にかかってもよいようにさせる。給送穴124を閉塞させる過程において、ある種の投与物質が蓄積し且つフランジ127とハウジング123との間に捕捉されて、閉塞部材122がハウジング123に対して元の閉塞位置へと完全に戻ることができないようになることも起こり得る。閉塞部分621の長さがより長い構造においては、投与物質が捕捉されることにより、計量−分配ユニット120を再び完全に閉塞させることができないという問題を同様に複雑にする。
【0073】
閉塞部材122は、給送部分622に凹部125の形状の表面凹部を有している。凹部125の表面は、連続しており且つ給送面領域624を形成している。この実施形態における閉塞部分621は、作動位置に関して、給送部分622の下方に配置されており、これは、閉塞部材122の下端を形成していることを意味している。従って、閉塞部材122の下方端縁を形成している端面は、同面に整合された状態で、計量−分配ユニット120の給送穴124を閉塞することができる。この実施形態における給送穴124は、閉塞部分621の直径に本質的に等しい直径を有していて、閉塞部材122が精密な嵌合によって給送穴124内へ或いは給送穴124から移動することができ、それによって、給送穴124を完全に閉塞させることができるようになされている。
【0074】
図8は、種々の部材によって行われる動作の時間座標Z、Z、Z、Zばかりでなく、図3及び4に示されているクラッチの係合、開放、閉塞及びクラッチの脱係合のサイクル中の給送穴の断面積の変化Aの時間関数を概略的に示している。時間座標Z、Z、Z、Zは、段階A〜Hに更に細分されている。時間座標Z、Z、Z、Zのグラフの下方には、各段階での図7の計量−分配ユニットの断面図が示されており、閉塞部材122の位置は各々の段階に対する典型的なものである。
【0075】
作動位置への及び作動位置からの搬送部材の動作は、座標グラフZによって示されている。段階Aにおいては、閉塞部材122と駆動軸135とはまだ相互に結合されていないので、計量−分配ユニット120は受け入れ装置(図示せず)内に設置することができる。
【0076】
段階Bにおいては、駆動軸の座標グラフZによって示されているように、搬送部材は、計量−分配ユニット120に向かって前進せしめられ、駆動軸135は計量−分配ユニット120へ近づいている。クラッチ係合において補助するために、駆動軸135も同時に回転状態に設定されるのが好ましい。これは特に、図1乃至8に示されているように、閉塞部材122を駆動軸135に結合するために、差し込み可能なクラッチが使用される場合に特に重要である。駆動軸135の最小回転速度は、ここでは、搬送部材が作動位置に向かって進む速度及び例えば駆動軸の6個の丸い突出部を有する輪郭が相対的に60°だけ隔てられている不連続な回転位置においてのみ内側の6個の丸い突出部を有する輪郭内に挿入される場合には、搬送部材の進入に抗する限られた量の駆動軸135の直線動作に依存する。係合時Zが段階Bの終了時に向かって到達し、これは、駆動軸135が閉塞部材122に結合され、図4及び5に見ることが出来るように、駆動軸135がレバー上に配置されている接触ローラーを王冠状外形に当接することを意味している。ここでは、駆動軸135の重量は閉塞ばね121にかかっている。段階Bに示されているように、接触ローラーは大部分は搬送部材の位置に依存して王冠状外形形状に従い、それによって、衝撃機構の衝撃が形成され且つ駆動軸135に伝えられる。図8に示されている衝撃機構によって発生される衝撃の時間座標Zは、動作座標Z、Z、Z、Zが互いに作用し合う形態のより良い例示を提供するために、搬送部材の前進動作Zの時間座標と比較して大きく誇張されている。衝撃機構によって衝撃が発生されるとすぐに、これらの衝撃はまた、図8において閉塞部材の移動座標Zに示されているように、駆動軸135に結合されている閉塞部材122に伝えられる。しかしながら、衝撃の振幅が小さいことにより、給送穴124はこの時点ではまだ開かれていない。
【0077】
段階Cにおいては、搬送部材の前進動作は起こらない。このことは、計量−分配ユニット120内の投与物質が例えば攪拌又は振動によって分配過程に先立って調整される必要がある場合に必要とすることができる。もちろん、搬送部材の前進動作もまた中断されることなく生じ、この場合には、段階Dが段階Bのすぐ後に続く。
【0078】
段階Dにおいては、搬送部材は、計量−分配ユニット120に向かって前進せしめられ続けるが、駆動軸135はレバーに当接しており且つ接触ローラーは王冠状ホイールに当接しているので、駆動軸135は搬送部材の前進動作と反対の方向へ更に動くことができない。従って、駆動軸135は、計量−分配ユニット120に向かう方向進められ続けるか、又はより正確に表現すると、閉塞ばね121が圧縮されているときに開放段階が開始され、給送穴124が開かれ、穴の開口の断面積Aが増大しつつある。図8の段階Dにおいては、給送穴124の開放は、閉塞部材122の閉塞部分の長さXによって生じる遅れSだけ遅れて起こる。
【0079】
段階Eにおいては、計量−分配ユニット120の給送穴124は完全に開かれており、このことは、衝撃機構の衝撃周波数によって決まる開口断面積Aの純粋に振動する変化のみが起こることを意味している。
【0080】
投与物質の分配量が目標重量に近づくとすぐに、段階Fに示されているように、前進動作、より特定すると閉塞動作と反対方向への搬送部材の移動が開始される。搬送部材の前進動作と反対方向の動きの座標Zは、図8のグラフの非直線部分として示されている。これは、開放動作並びに閉塞動作が直線的な関数である必要はないことを示すことを意図している。給送穴124の閉塞は、クラッチ係合点Zに達するまでの閉塞部分の長さXに基づいて起こる。
【0081】
段階Gにおいては、計量−分配装置は、段階Cと同じ初期位置を有している。一例として、粒子が閉塞部材122の底面に付着しつつある場合には、これらは、衝撃機構によって発生される衝撃によって閉塞部材122から振り落とされる。段階Gは、段階D乃至Fによる物質の投与の更なる給送のための初期位置とすることができる。投与物質が更に分配されない場合には、閉塞部材122は、搬送部材を前進動作と反対方向に動かすことによって、駆動軸135から分離させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上、本発明を特別な実施形態を示すことによって説明したけれども、例えば、個々の実施形態を相互に結合することによって及び/又はこれらの実施形態の個々の機能ユニットを交換することによって、本発明の認識に基づいて多くの更に別の種々の実施形態を形成することができることは自ずから明らかであると考えられる。特に、駆動軸に作用し且つ例えば計量−分配ユニットのハウジングに対しても作用する2以上の衝撃機構を備えた更に別の実施形態が考えられる。2つのテンション機構又は少なくとも2つの王冠状ホイール又は王冠状スリーブを備えた衝撃機構が同様に考えられる。手動によって解除可能なクラッチと双安定閉塞ばねとを組み合わせると、この種の衝撃機構は、重力方向の及びそれと反対の方向の高い加速度が達成されるのを可能とする。従って、このような組み合わせ及びそれに代わる解決方法は本発明の一部であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、計量−分配装置の第一の実施形態を正面断面図で示しており、駆動軸は閉塞部材に結合されていない。
【図2】図2は、駆動軸が閉塞部材に結合されている状態の図1の計量−分配装置を正面断面図で示している。
【図3】図3は、計量−分配装置の第二の実施形態を正面断面図で示しており、駆動軸は、閉塞部材に結合されていない。
【図4】図4は、計量−分配装置の第三の実施形態を正面断面図で示しており、駆動軸は閉塞部材に結合されていない。
【図5】図5は、駆動軸が閉塞部材に結合されている状態の図4の計量−分配装置を正面断面図で示している。
【図6】図6は、計量−分配装置の第四の実施形態を正面断面図で示しており、駆動軸が閉塞部材に結合されていない。
【図7】図7は、閉塞部材が開放位置にある状態の計量−分配装置を三次元図で示しており、ハウジングは長手断面に切断されている。
【図8】図8は、クラッチ係合、給送穴の開閉及びクラッチの脱係合段階における図3及び4に示されている計量−分配装置の種々の部材によって行われる一連の動作を示している。
【符号の説明】
【0084】
400,300,200,100 計量−分配装置、
110 受け入れ装置、
112 内側ガイド、
113 センサー、
120 計量−分配ユニット、
121 閉塞ばね、
122 閉塞部材、
123 ハウジング、
124 給送穴、
125 凹部、
126 クラッチ半体、
127 フランジ、
128 ヘッド部分、
129 中心長手軸線、
130 駆動ユニット、
431,331,131 搬送部材、
432,332,215,132 モーター、
433,333,133 付随スリーブ、
134 付随ローラー軸、
135 駆動軸、
136 内側ローラー、
137 外側ローラー、
138 穴、
139 上方端部ストッパ、
140 下方端部ストッパ、
241,141 王冠状スリーブ、
142 付勢ばね、
143 位置指示リング、
214 回転ベアリング、
436,336 衝撃面領域、
460,360 衝撃機構、
461,361 テンション機構、
462,362 王冠状ホイール、
465,365 遊び調整装置、
466,366 衝撃振幅調整装置、
467,367 レバー、
468,368 接触ローラー、
369 厚みが薄い可撓性部分、
390 調整起動装置、
463 ハンマー質量、
464 衝撃ばね、
621 閉塞部分、
622 給送部分、
624 給送面、
900 投与物質、
S 遅れ、
X 閉塞領域621の長さ、
給送穴の面積の変化、
搬送動作の時間座標、
クラッチ完全な係合点、
駆動軸の動作の時間座標、
衝撃機構の動作の座標、
閉塞部材の動作の座標

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量−分配ユニット(120)のための少なくとも1つの受け入れ装置(110)と、少なくとも1つの駆動ユニット(130)とを備えている計量−分配装置(100,200,300,400)であり、
駆動ユニット(130)が駆動軸(135)を備えており、計量−分配ユニット(120)が、少なくとも1つの給送穴(124)と、当該給送穴(124)内に配置される少なくとも1つの閉塞部材(122)とを備えており、閉塞部材(122)は、当該計量−分配装置(100,200,300,400)の作動状態において前記駆動軸(135)に結合させることができ、閉塞部材(122)が給送穴(124)の中心長手軸線(129)に沿って直線動作ができること及び閉塞部材(122)に付与された形状により、給送穴(124)の開口断面積を閉塞位置と最大開放位置との間で変化させることができるようになされ、閉塞部材(122)の駆動軸(135)に対する結合を生じさせ且つ給送穴(124)の開放を生じさせるように機能する前記駆動ユニット(130)は、直線動作によって計量−分配ユニット(120)に向かって前進せしめられ、閉塞部材(122)は、当該閉塞部材(122)と駆動軸(135)との間のクラッチ係合過程が完了するまで閉塞ばね(121)によって前記閉塞位置に保持され、駆動軸(135)は、前記クラッチ係合過程中の給送穴(124)の早期の開放を防止するために、駆動ユニット(130)の前記前進動作と反対方向への駆動ユニット(130)に対する制限された直線動作とが可能であるようになされていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計量−分配装置(100,200,300,400)であり、
閉塞部材(122)と駆動軸(135)とが、回転動作によって駆動される機能を有するように設計されていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の計量−分配装置(300,400)であり、
衝撃機構(360,460)を備え、当該衝撃機構による衝撃は、給送穴(124)に対する閉塞部材(122)の瞬間的な位置と独立して且つ閉塞部材(122)の開閉動作と独立して閉塞部材(122)に伝えることができることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項4】
請求項3に記載の計量−分配装置(300,400)であり、
衝撃機構(360,460)によって発生される衝撃が、駆動軸(135)を介して閉塞部材(122)に伝えることができることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の計量−分配装置(300,400)であり、
衝撃機構(360,460)が、テンション機構(361,461)とレバー(367,467)とを備えていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項6】
請求項5に記載の計量−分配装置(300,400)であり、
駆動軸(135)が衝撃面領域(336,436)を備えており、レバー(367,467)が、当該レバー(367,467)と前記衝撃面領域との間の衝撃の遊びを調整する機能を果たす少なくとも1つの遊び調整装置(365,465)特に遊びねじを備えていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配装置(300,400)であり、
衝撃機構(360,460)が、衝撃振幅調整装置(366,466)特にレバー(367,467)を備えていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項8】
請求項7に記載の計量−分配装置(300,400)であり、
衝撃振幅調整装置(366,466)及び/又は遊び調整装置(365,465)が、調整起動装置(390)を備えていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項9】
請求項3乃至8のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配装置(300,400)であり、
レバー(367,467)上にハンマー質量(463)が設けられていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項10】
請求項乃至3又は4に記載の計量−分配装置(100,200)であり、
前記衝撃機構が、駆動軸(135)に結合された衝撃伝達部材を備え、更に、前記受け入れ装置(110)によって支持されている王冠状スリーブ(141,241)を備え、衝撃を発生させることができ、当該衝撃は、王冠状スリーブ(141,241)上に形成されたノコギリ歯の外形に追従することによって前記衝撃伝達部材によって駆動軸(135)に伝えることができることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項11】
請求項10に記載の計量−分配装置(200)であり、
王冠状スリーブ(241)が、回転駆動させることができる形態で受け入れ装置(110)上に支持されていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配装置(100,200,300,400)であり、
クラッチ係合過程を監視する機能を果たすセンサー(113)が設けられていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配装置(100,200,300,400)であり、
計量−分配ユニット(120)の閉塞部材(122)が主として円筒形状に設計されており、給送穴(124)を閉塞する機能を果たす閉塞部分(621)を備え、閉塞部分(621)に隣接して配置され且つ投与物質(900)を給送する機能を果たす給送部分(624)を更に備え、給送部分(624)には、円筒形の外周から凹んでいる少なくとも1つの凹部(125)が設けられていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配装置(100,200,300,400)であり、
計量−分配ユニット(120)内に含まれている投与物質(900)が、粉末、ペースト又は液体であることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配装置(100,200,300,400)であり、
閉塞ばね(121)、より特別には閉塞ばねのばね力が、計量−分配ユニット(120)内に含まれる投与物質(900)の特性に適合されていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配装置(100,200,300,400)であり、
駆動軸(135)が6個の丸い突出部を有する輪郭の結合部分を備え、閉塞部材(122)は前記6個の丸い突出部を有する輪郭に適合せしめられた内側の6個の丸い突出部を有する輪郭の結合部分を備えていることを特徴とする計量−分配装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のうちのいずれか一の項に記載の計量−分配装置(100,200,300,400)を物質分配準備状態にする方法であり、
a.第一のステップにおいて、駆動ユニット(130)が計量−分配ユニット(120)内に移動せしめられ、
b.第二のステップにおいて、計量−分配ユニット(120)が受け入れ装置(110)内に設置され、
c.第三のステップにおいて、駆動軸(135)のクラッチ部分が閉塞部材(122)のクラッチ部分と係合し、センサー(113)が前記クラッチの係合の完了を検知し且つ信号を制御装置に送信し、計量−分配装置(100,200,300,400)の調整ユニットが当該計量−分配装置(100,200,30,400)が作動準備がされていること示すまで、駆動ユニット(130)が、駆動軸(135)がゆっくりと回転する状態で計量−分配ユニット(120)に向かう方向へ直線状の変位経路に沿って動かされることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−304459(P2008−304459A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139024(P2008−139024)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland