説明

粉末圧縮成型品取出し装置及びこの装置を備えた回転式粉末圧縮成型装置

【課題】粉末圧縮成型品を一個ずつ良品と不良品とに選別し確実に取出することができる粉末圧縮成型品取出し装置を提供する。
【解決手段】取出し装置3は、転送円盤21、ガイド31、及び排出部61,68を備える。円盤21は、回転盤11の臼取付け部11a上面に一部が重なるように配設され回転盤の回転方向と順方向に回転盤の回転と同期回転され、その周部に成型品Cが一個ずつ収容されるポケット22を周方向に一定間隔で有する。ポケット外への成型品の外れを防止するガイド31を、転送円盤21の周部の一部を覆って設ける。臼上に押し出された成型品Cの転送円盤21への受け渡し位置に対し円盤21の回転方向下流側に排出部61,68を設ける。第1の排出部61でポケット22内の成型品Cに空気圧を付与してこの成型品を転送円盤21外に排出し、排出部61を通過したポケット22内の成型品Cを第2の排出部68で転送円盤21外に排出することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式粉末圧縮成型機で製造された錠剤等の粉末圧縮成型品を取出して良品と不良品とに選別する粉末圧縮成型品取出し装置、及びこの取出し装置と回転式粉末圧縮成型機を備えて錠剤等を製造する回転式粉末圧縮成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品排出位置に不良品を取出す固定の不良品スクレーパを有した不良品排出器を設け、前記排出位置の上流側に、排出位置とそこから待避した通過位置との間をエアーシリンダで往復される良品スクレーパを有した良品排出器を設けて、回転盤により移動される製品を良品と不良品とに分けて取出すように構成された回転式粉末圧縮成型機の製品排出装置が、知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この製品排出装置では、製品を成型する際の成型荷重を検出するロードセル等の荷重センサの検出信号から成型品が良品か不良品であるのかをコントローラで判別し、製品が良品である場合、排出位置に良品スクレーパを移動させて良品を回転盤外に取出し、製品が不良品である場合、待避位置に良品スクレーパを移動させて不良品を通過させて、その下流側の不良品スクレーパで不良品を回転盤外に取出すようにしている。
【0004】
又、従来、回転盤の製品排出位置に良品取出し用スクレーパを設けるとともに、この上流側に空気圧式の不良品排出装置を設けた製品取出し装置が、知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
この製品取出し装置では、製品を成型する際の成型荷重を検出するロードセル等の荷重センサの検出信号から成型品が良品か不良品であるのかを判定器で判別し、製品が良品である場合、不良品排出装置を動作させずにスクレーパによって良品を取出し、製品が不良品である場合、それがスクレーパに達する前に不良品排出装置を動作させて、この装置から噴出される圧縮空気で下杵先端から不良品を吹き飛ばすようにしている。
【0006】
又、従来、周縁部に製品が収容される平面視略U字形状の窪みが周方向に一定間隔で設けられた小型の円板を、テーブル(回転盤)の周縁部に取付けられた母型(臼)の下面に接して、テーブルと同期回転するように設け、この円板の下面に接して設けられた支持板に不良品用排出穴と良品用排出穴を設けて、回転錠剤機から取出される錠剤を選択手段により分別して不良品用排出穴又は良品用排出穴から選択的に排出できるようにした回転錠剤機からの錠剤の取出し搬送装置が、知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
この取出し搬送装置では、錠剤の排出場所において、下方へ軸方向移動される上ポンチが錠剤を母型からテーブルの下方へ押下げることで、母型から排出させるとともにこの錠剤を円板の窪み内に落とすようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−271793号公報
【特許文献2】実開平6−77997号公報
【特許文献3】特開平6−23018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の製品排出装置は、良品スクレーパをエアーシリンダで移動させるため、その応答に時間が掛かリ易い。そのため、回転盤の回転が高速化するほど、良品の取出しに困難を来たし易くなる。
【0010】
特許文献2の製品取出し装置は、空気圧力で不良品を取出すので、回転盤の回転が高速化するほど、取出しの信頼性が低下する、という課題がある。
【0011】
つまり、例えば付着性が強い粉末原料を圧縮成型する場合、又は下杵の上面の凹みが深い場合、或いは下杵の上面に刻印付与部がある場合等、圧縮成型された錠剤を製品取出し位置で回転盤に取付けられた臼上に押出す下杵と錠剤との付着強度が強い場合、更には錠剤の空気圧力を受ける面積が小さい場合等には、回転盤の高速回転に伴い、噴出された空気が錠剤に作用する時間が極小となり、錠剤を下杵から外すに十分な力を与え難くなる。したがって、下杵で押出された不良錠剤の取出し不良を生じることがある。又、これに対処して、不良品排出装置での空気の噴き出し圧力を高めると、不良錠剤の取出しは確実化するが、吹き飛ばされた不良錠剤の勢いが強くなるので、吹き飛ばされ錠剤を受ける部材に錠剤が強く衝突するに伴い、この不良錠剤が周囲に跳ね返り易くなって、時として、排出される良品に混ざる恐れが考えられる。
【0012】
又、特許文献3の錠剤の取出し搬送装置は、上ポンチが母型から錠剤を押出すことで、この錠剤が上ポンチから落下することが前提となっている。しかし、錠剤の製造は通常数トンから数十トンの成型荷重で粉末原料を圧縮成型するので、圧縮成型された錠剤は、上杵の先端に付着していて、何らかの外力を与えない限り、上杵から外すことはできないが、この点についてどのような技術手段であるのか特許文献3には記載がない。そのため、特許文献3の錠剤の取出し搬送装置は、実際のところ上杵からその下方に配置された円板の窪みに錠剤を受け渡すことができない。
【0013】
仮に、圧縮成型された錠剤が上杵から外れて母型から下方に排出されるとしても、その錠剤は円板の窪みに落下される際に遠心力の影響を受けるので、テーブル(回転盤)に同期回転している円板の窪みに確実に収容されるように落下する保証がない。そして、このことは、テーブル(回転盤)の回転が高速化するほど顕在化する。更に、特許文献3の技術では、上ポンチで母型の下方へ錠剤を押出すために、この上ポンチの上下方向のストロークが長く、この移動に応じた動作時間が必要であるので、テーブル(回転盤)の回転を高速化するには適していない。
【0014】
以上のように前記各公報に記載の従来技術は、いずれも回転盤の回転を高速化しようとする場合に、圧縮成型された錠剤等の製品を、良品と不良品とに選別して確実に取出すには不向きである、という課題がある。
【0015】
したがって、本発明の目的は、回転盤の回転が高速化された条件下であっても、粉末圧縮成型品を、一個ずつ良品と不良品とに選別して確実に取出すことができる粉末圧縮成型品取出し装置及びこの装置を備えた回転式粉末圧縮成型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明の粉末圧縮成型品取出し装置は、回転盤に取付けられた臼とこの臼に対して上下動可能に設けられた上杵と下杵により前記臼内の粉末を圧縮成型し、圧縮成型された成型品が前記下杵により前記臼上に押出される回転式粉末圧縮成型機の周りに設置されて、前記臼上の成型品を前記回転盤外に取出す粉末圧縮成型品取出し装置において、周部に複数のポケットを周方向に一定間隔で有していて前記回転盤の臼取付け部上面に一部が重なるように配設され、前記回転盤の回転方向と順方向に前記回転盤の回転と同期回転される転送円盤であって、前記各ポケットが前記転送円盤の周面及び上下両面に夫々開放されている前記転送円盤と;前記臼上に押出された成型品の受け渡し位置から前記転送円盤の周部の一部を覆って設けられて前記ポケット外への成型品の外れを防止するガイドと;前記受け渡し位置に対し前記転送円盤の回転方向下流側に位置して前記ガイドに取付けられて前記ポケット内の成型品に空気圧を付与してこの成型品を前記転送円盤外に排出する第1の排出部と;この第1の排出部を基準に前記転送円盤の回転方向下流側に配設されて前記ポケット内の成型品を前記転送円盤外に排出する第2の排出部と;を具備することを特徴としている。
【0017】
この発明では、回転盤と転送円盤との同期回転により、下杵で臼上に押し上げられた錠剤等の粉末圧縮成型品を、その下杵への付着強度が高い場合でも、下杵から物理的に外して転送円盤の各ポケットに一個ずつ受け渡すことができる。そして、この転送円盤による前記成型品の搬送に伴い、第1の排出部で空気圧によりポケット内の良品又は不良品に係る成型品を排出でき、この後、第2の排出部で不良品又は良品に係る成型品をポケット外に排出できる。
【0018】
本発明の好ましい形態である請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1の排出部が前記ガイドに取付けられた排出ヘッドを有していて、この排出ヘッドが、前記転送円盤の回転により移動される前記ポケット内の成型品にその上側から圧縮空気を吹き付けて、この成型品を前記ポケットの下側に排出させる噴気ノズルを有していることを特徴としている。
【0019】
この発明は、請求項1の発明において、更に、ポケット内の粉末圧縮成型品をそれが自由落下する方向に圧縮空気で排出するので、転送円盤による粉末圧縮成型品の搬送速度が高速であっても、それに対応してポケット外へ成型品を排出することができる。なお、この発明において、排出される成型品は、良品に係る成型品であっても、或いは不良品に係る成型品であっても差し支えない。
【0020】
又、本発明の好ましい形態である請求項3の発明は、前記第1の排出部で不良品に係る成型品を前記転送円盤外に排出するとともに、前記第2の排出部で良品に係る成型品を自由落下させて前記転送円盤外に排出することを特徴としている。
【0021】
この発明は、請求項1又は2の発明において、更に、良品に係る成型品が圧縮空気で排出されないので、この成型品を割れや欠けを生じないで排出できる。
【0022】
又、本発明の好ましい形態である請求項4の発明は、前記回転式粉末圧縮成型機が備える圧力センサが所定値から外れた成型圧力を検出したことに基づいて、この検出に係る不良成型品を前記第1の排出部により前記転送円盤外に排出することを特徴としている。
【0023】
この発明は、請求項3の発明において、更に、成型品の成型荷重を検出する圧力センサの検出を元に、不良品と判定された成型品を第1の排出部から転送円盤外に排出するので、良品と不良品とを選別して取出すことができる。
【0024】
又、本発明の好ましい形態である請求項5の発明は、前記転送円盤に、前記受け渡し位置から前記第2の排出部が配置される製品排出位置の間際までの領域にわたる負圧室を設け、この負圧室と前記各ポケット内を個別に連通する吸引通路を前記転送円盤に設けたことを特徴としている。
【0025】
この発明は、請求項1から4の内のいずれかの発明において、更に、ポケットに収められた成型品を安定させた状態で転送し、1個ずつ良品と不良品に選別して取出すことができる。
【0026】
又、本発明の好ましい形態である請求項6の発明は、前記回転盤の外部で前記ポケット内の成型品を非接触で検査する検査機を、前記受け渡し位置の下流側に位置して前記転送円盤の近傍に配設したことを特徴としている。
【0027】
この発明は、請求項1から5のうちのいずれかの発明において、更に、転送円盤による成型品の転送途中で、回転式粉末圧縮成型機の外部に配置された検査機により、各ポケット内の成型品を非接触で検査するので、回転式粉末圧縮成型機で製造された成型品を全数検査することができる。
【0028】
又、本発明の好ましい形態である請求項7の発明は、前記検査機が所定値から外れた検査情報を検出したことに基づいて、この検出に係る不良成型品を前記転送円盤外に前記第1の排出部により排出することを特徴としている。
【0029】
この発明は、請求項6の発明において、更に、成型品を全数検査する検査機の検出を元に、不良品と判定された成型品を第1の排出部から転送円盤外に排出するので、良品と不良品とを選別して取出すことができる。
【0030】
又、本発明の好ましい形態である請求項8の発明は、前記受け渡し位置の下流側で前記ポケット内の成型品に非接触で印刷する印刷機を、前記回転盤の外部でかつ前記転送円盤の近傍に配設したことを特徴としている。
【0031】
この発明は、請求項1から7の内のいずれかの発明において、更に、転送円盤の各ポケットに収められた成型品に対して、この成型品を識別するための印刷情報を成型品に印刷することができる。
【0032】
又、本発明の好ましい形態である請求項9の発明は、前記転送円盤をサーボモータで回転させることを特徴としている。
【0033】
この発明は、請求項1から8の内のいずれかの発明において、更に、回転盤に対する転送円盤の同期回転を容易に調整することができる。
【0034】
又、前記課題を解決するために、請求項10に係る発明の粉末圧縮成型装置は、回転盤に取付けられた臼とこの臼に対応して上下動可能に設けられた上杵と下杵により前記臼内の粉末を圧縮成型し、圧縮成型された成型品が前記下杵により前記臼上に押出される回転式粉末圧縮成型機と;この粉末圧縮成型機の周りに設置されて、前記臼上の成型品を前記回転盤外に取出す前記請求項1から9の内のいずれか一項に記載の粉末圧縮成型品取出し装置と:を具備することを特徴としている。
【0035】
この発明によれば、回転盤の回転が高速化された条件下であっても、粉末圧縮成型品を、一個ずつ良品と不良品とに選別して確実に取出せるとともに、取出される成型品の全数検査ができる請求項1から9の内のいずれか一項に記載の粉末圧縮成型品取出し装置を備えた回転式粉末圧縮成型装置を提供できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、回転盤の回転が高速化された場合にも、粉末圧縮成型品を、一個ずつ良品と不良品とに選別して確実に取出すことができる粉末圧縮成型品取出し装置及びこの装置を備えた回転式粉末圧縮成型装置を提供できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態に係る回転式粉末圧縮成型装置の打錠機と転送円盤等のレイアウトを概略的に示す図である。
【図2】第1実施形態に係る回転式粉末圧縮成型装置が備える取出し装置を回転盤の一部とともに示す平面図である。
【図3】図2中F3−F3線に沿う断面図である。
【図4】図2中F4−F4線に沿う断面図である。
【図5】図2の取出し装置が有した不良品排出部を示す断面図である。
【図6】(A)(B)は図2の取出し装置が有した転送円盤による錠剤取出し動作の第1段階と第2段階を順に示す断面図である。
【図7】(A)(B)は図2の取出し装置が有した転送円盤による錠剤取出し動作の第3段階と第4段階を順に示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る回転式粉末圧縮成型装置が備える取出し装置を回転盤の一部とともに示す平面図である。
【図9】図8の取出し装置が有した不良品排出部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図7を参照して詳細に説明する。
【0039】
図1中符号1は回転式粉末圧縮成型装置(本明細書では成型装置と略称する。)を示している。成型装置1は、回転式粉末圧縮成型機例えば錠剤を製造する回転式打錠機(本明細書では打錠機と略称する。)2と、粉末圧縮成型品取出し装置(本明細書では取出し装置と略称する。)3を具備している。
【0040】
図1中符号5は装置格納筐体を示しており、この装置格納筐体5に打錠機2と取出し装置3とが格納されている。装置格納筐体5の前後左右の筐体側面は、装置格納筐体5の内部を透視可能に形成されているとともに、開閉可能である。又、図1中符号6はコントローラユニットを示している。
【0041】
打錠機2は、図2及び図3に示すように回転盤11と、複数の臼13と、臼13と同数の上杵15及び下杵16を備えている。回転盤11は図示しない回転盤駆動機構により回転される。この回転盤11の回転方向を図2中矢印Aで示す。回転盤駆動機構は回転盤11を高速で回転させることができるようになっている。ここで高速回転とは毎分70回転以上の回転を指している。
【0042】
回転盤11は、図3に示す臼取付け部11aと、上杵ガイド部11bと、下杵ガイド部11cを有している。臼取付け部11aにはその周方向に沿って一定間隔毎に臼13が取付けられている。これら臼13の上面は臼取付け部11aの上面と面一である。なお、図1及び図2中符号Bは、平面的に見て各臼13の中心を通る回転盤側ピッチサークルを示している。回転盤11は、予め用意された複数種の中から選択されたものが、回転盤駆動機構及び回転盤の支持部(いずれも図示しない)に対して本実施形態では着脱可能であるが、着脱できなくてもよい。着脱式の回転盤11は、その杵立て数を変更する場合、回転盤11を装置格納筐体5外で洗浄する場合等に着脱される。
【0043】
上杵ガイド部11bは、臼取付け部11aの上側に設けられていて、各臼13の真上に位置する上杵ガイド孔12を、臼13と同数有している(図3に一個のみ図示)。下杵ガイド部11cは、臼取付け部11aの下側に設けられていて、各臼13の真下に位置する下杵ガイド孔14を、臼13と同数有している(図3に一個のみ図示)。
【0044】
各上杵15は、上杵ガイド孔12に対して個別に摺動可能に挿入されていて、図示しない上杵案内軌道により回転盤11の回転に伴って上杵ガイド孔12を摺動して上下動され、それにより、上杵15の下部からなる杵先部が、臼13の上下方向に貫通された臼孔内に上方から挿脱されるようになっている。
【0045】
各下杵16は、下杵ガイド孔14に対して個別に摺動可能に挿入されていて、図示しない各種の下杵用案内部材により回転盤11の回転に伴って下杵ガイド孔14を摺動して上下動されるようになっている。下杵16の上部からなる杵先部は、臼孔に常に挿入された状態を保持していて、この臼孔の底をなしている。
【0046】
打錠機2はその回転盤11の回転されることに伴い以下のように圧縮成型品である錠剤を製造する。
【0047】
まず、粉末供給位置に配置された粉末供給器17(図2参照)から圧縮すべき粉末原料が臼13の臼孔に供給される。臼13内に供給された粉末は、下杵案内部材の内の図示しない重量調節レールを下杵16が通過するに伴って秤量された後に、圧縮成型位置で図示しない圧縮ロール間を通過するに伴い互に近づく方向に下降又は上昇される上杵15と下杵16により圧縮成型される。この圧縮成型時に上杵15又は下杵16等に作用する荷重(成型圧力)は、図1に示したロードセル等からなる圧力センサ18で検出されるようになっている。圧縮成型された成型品例えば錠剤C(図4及び図5参照)は、受け渡し位置に移動されて、この位置で下杵16により臼13上に押出される。なお、この受け渡し位置において上杵15は、臼13の上方へ離脱して粉末供給器17より高い位置に配置されるようになっている。受け渡し位置を通過した臼13は再び粉末供給器17にその下側から対向しつつ下降されて、その臼孔への粉末供給がなされる。そして、こうした成型サイクルが回転盤11の回転により繰り返される。
【0048】
圧縮成型された錠剤Cは、その厚み方向中央部に円形の周面を有し、この中央部の両側に前記周面から盛り上がった盛り上がり部位を有している。なお、盛り上がり部位は杵先の凹み形状に対応して形成されるもので、図示の場合、球面の一部をなして盛り上がっているが、盛り上がり部位は、平坦な端面を有して形成されることもある。
【0049】
取出し装置3は、打錠機2の周りに設置されて臼13上に押出された錠剤(成型品)Cを一錠ずつ取出して転送し、この転送中に良品と不良品とを選別して回転盤11の外に排出するために設けられている。この取出し装置3は、転送円盤21と、ガイド31と、検査機51と、印刷機55と、例えば不良品排出部をなした第1の排出部61と、例えば良品排出部をなした第2の排出部68と具備している。
【0050】
図2に示すように転送円盤21は、その周部に複数のポケット22を周方向に一定間隔で有している。平面的に見て各ポケット22の中心を通る転送円盤側ピッチサークルDの径は、回転盤側ピッチサークルBの径の略1/2であることが好ましい。ここで略1/2とは、ピッチサークルDの径(例えば460mmであるが、これに限定されない。)がピッチサークルBの径の1/2であることを含んでいる。各ポケット22は、転送円盤21の回転に伴い後述の回転中心軸21aを中心に水平面に沿って円の移動軌跡を描いて移動される。
【0051】
ポケット22の数は打錠機2の杵立て数の1/2乃至はこの1/2に相当する数から1をマイナスした数に設定されている。具体的には、打錠機2の杵立て数が32本の場合、ポケット22の数は16に設定され、打錠機2の杵立て数が36本の場合、ポケット22の数は18に設定される。又、打錠機2の杵立て数が45本の場合、ポケット22の数は22に設定され、打錠機2の杵立て数が49本の場合、ポケット22の数は24に設定される。このように杵立て数に応じたポケット22の設定において、転送円盤側ピッチサークルDは、前記ピッチサークルBの径が460mmの場合230mm又は228mmに設定することが、周方向に隣接するポケット22の中心間距離(1ピッチ)の誤差を最小にできる点で好ましい。
【0052】
各ポケット22は、転送円盤21の周面及び上面と下面に夫々開放して設けられていて、その内面は、成型品押し面例えば錠剤押し面22aと、保持面22bと、逃げ面22cとで形成されている。
【0053】
図6(B)の一部で代表して示すように錠剤押し面22aは、円弧状であり、図中Eで示した内面領域を占めている。この錠剤押し面22aは、ポケット22の中心と転送円盤21の中心とを通る直線Fを境に、転送円盤21の回転方向上流側に設けられている。保持面22bは、円弧状であり、錠剤押し面22aに連続して、図中Gで示した内面領域を占めている。この保持面22bは直線Fを境に転送円盤21の回転方向下流側に設けられている。相連続した錠剤押し面22aと保持面22bとがなした内面領域は、ポケット22に納められた錠剤Cの周面に嵌合されるようになっている。
【0054】
逃げ面22cは、円弧状であり、保持面22bに連続し直線Fを境に転送円盤21の回転方向下流側に設けられている。逃げ面22cは図中Hで示した内面領域を占めている。この逃げ面22cは、ポケット22に嵌合される錠剤Cに対して回転盤11の回転方向上流側に隣接する錠剤との干渉を避けるようにポケット22の入口を広げて形成されている。なお、逃げ面22cは円弧状に制約されず、前記干渉を避けることができる形状であれば、直線状等その他の形状であってもよい。
【0055】
図3に示すように転送円盤21はその一部を前記受け渡し位置において臼取付け部11a上面に重なるように配設されている。この配設により、図1及び図2に示すように転送円盤側ピッチサークルDと回転盤側ピッチサークルBとは、外接するように受け渡し位置で一致されている。
【0056】
転送円盤21は、矢印Aで示した回転盤11の回転方向と順方向に回転盤11の回転と同期して回転されるようになっている。この転送円盤21の回転方向を矢印Iで示す。回転盤11に対する転送円盤21の同期回転は、ポケット22の数で杵立て数を割り切れる場合には歯車列を介して回転盤11と転送円盤21を連結することも可能であるが、本実施形態では図3に示したサーボモータ24を用いて転送円盤21を回転盤11に同期回転させている。
【0057】
図3中符号25は取出し装置3のベースを示している。このベース25上に複数の柱を介してモータ支持ベース26が固定されていて、このモータ支持ベース26にサーボモータ24が固定されている。サーボモータ24は転送円盤21の真下に配置されていて、その出力軸24aは継手27を介して転送円盤21の回転中心軸21aに連結されている。回転中心軸21aは、鉛直方向に延びていて、転送円盤21の中央部に位置して下方に突設されている。
【0058】
サーボモータ24の駆動により、回転盤11の1ピッチ回転、つまり、臼13の中心間距離だけ回転盤11が回転されるタイミングを合わせて、転送円盤21の1ピッチ回転、つまり、ポケット22の中心間距離だけ転送円盤21が回転される。それにより、回転盤11に取付けられた臼13と転送円盤21のポケット22が受け渡し位置で一致されるようになっている。
【0059】
サーボモータ24は、コントロールユニット6の入力操作盤71を操作して回転盤11の杵立て数をコントロールユニット6の制御装置72に入力することにより、コントロールユニット6のモータドライバ73を介して既述のように駆動される。こうした駆動により、着脱式の回転盤11が交換されて杵立て数等が変わった場合に、それに合わせて回転盤11の1ピッチ回転のタイミングに、転送円盤21の1ピッチ回転のタイミングを一致させることができる。
【0060】
したがって、回転盤11に対して転送円盤21を同期回転させる操作を容易に行うことができる。これとともに、回転盤11の杵立て数に適合する転送円盤側ピッチサークルDを有した転送円盤を、回転盤11の種類毎に用意する必要がなくなる。そのため、複数種の回転盤11に対して転送円盤21を共通して使用できるから、転送円盤21の在庫管理が容易になる。なお、サーボモータ24は矢印I方向の正転だけではなく逆方向に転送円盤21を回転させることも可能である。
【0061】
ガイド31はベース25に立設された柱に支持されている。このガイド31は、受け渡し位置でポケット22に受け渡された錠剤Cがポケット22外に外れることを防止するために、前記受け渡し位置から転送円盤21の周部の一部を覆っている。
【0062】
図3等に示すようにガイド31は、側部ガイド部材32と、下ガイド部材36と、上ガイド部材41を備えている。
【0063】
図2に示すように側部ガイド部材32は、円弧状をなしていて、転送円盤21の周面の一部に近接しかつこの一部を覆って設けられている。側部ガイド部材32の一端は受け渡し位置に配置され、他端側部位は回転盤11の外部に配置されている。この側部ガイド部材32の一端側部位32aは、残りの他端側部位とは別部材で形成されていて、図2に示すように前記他端側部位に対して枢軸33により連結されている。そのため、一端側部位32aは、枢軸33を中心に転送円盤21の周面に対して接離するように回動可能である。
【0064】
この一端側部位32aと前記他端側部位とわたって金属製の板ばね34が取付けられている。この板ばね34は、一端側部位32aが外力を受けて転送円盤21の周面から離れる方向に回動された後に、前記外力が消失するに伴い一端側部位32aを転送円盤21の周面に近接する位置に戻すために設けられている。一端側部位32aは前記粉末供給器7の上流側近傍に位置されている。
【0065】
板ばね34の長手方向中間部の上縁に上向きの突起(図示しない)が設けられている。この突起を検出する近接センサ35がガイド31に取付けられている。したがって、万が一、下杵16が異常に上昇した状態で受け渡し位置を通過する場合や、錠剤Cが転送円盤21とガイド31の一端側部位32aとの間に挟まれた場合等により、近接センサ35から前記突起が所定距離以上離れた場合、この近接センサ35は前記一端側部位32aが粉末供給器7に近寄るように回動されたことを検出する信号をコントロールユニット6の制御装置72に出力する。この信号に入力に基づいて制御装置72は、成型装置1の運転を強制停止させる制御をすると同時に、制御装置72に接続された報知器75が報知動作例えば警報音を出すようにこの報知器75を制御するようになっている。
【0066】
下ガイド部材36は、転送円盤21より少し大径の円板の一部を円弧状に切欠いた形状をなしていて、その切り欠かれた部分を回転盤11の臼取付け部11aの周面に近接させて前記柱に固定されている。下ガイド部材36は転送円盤21に下側から重なるように設けられている。この下ガイド部材36の上面は臼取付け部11aの上面と同じ高さである。そのため、下ガイド部材36の周部の一部が、側部ガイド部材32が延びる方向の長さ範囲にわたり、ポケット22を下側から覆うように転送円盤21の下側に配置されている。
【0067】
この下ガイド部材36の周部に上側から側部ガイド部材32が固定されている。下ガイド部材36の下面に前記回転中心軸21aが貫通する軸受ハウジング37(図3参照)が固定されていて、これに軸受を介して回転中心軸21aが回転自在に支持されている。
【0068】
図3〜図5に示すように下ガイド部材36の上面に遮蔽部材38が固定されている。遮蔽部材38は、転送円盤21にその周部を除いて設けた負圧室21bの下面開口を閉じている。これとともに遮蔽部材38の略半周領域は遮蔽凸部38a(図4参照)をなしている。遮蔽凸部38aは転送円盤21内に挿入されている。転送円盤21の略半周を占めるように設けられていて、この転送円盤21によって後述する吸引通路が閉じられるようになっている。遮蔽部材38の回転盤側部位は、臼取付け部11aの上面を受け渡し部において覆っている。
【0069】
そのため、負圧室21bは、前記受け渡し位置から後述する第2の排出部が配置される製品排出位置の間際までの略半周領域にわたって設けられている。言い換えれば、側部ガイド部材32が延びる方向の長さ範囲にわたる負圧室21bが、転送円盤21の略半周にわたり設けられている。
【0070】
転送円盤21には、各ポケット22と負圧室21bとを連通させる複数の吸引通路39が設けられている。これら吸引通路39の一端は、転送円盤21の内部に開口され、他端はポケット22の奥部例えば錠剤押し面22aに開口されている。各吸引通路39の一端は、転送円盤21の回転に従い、負圧室21bに臨んでいる間この負圧室21bと連通され、遮蔽凸部38aに臨んでいる間この遮蔽凸部38aによって負圧室21bとの連通を妨げられるようになっている。
【0071】
図3に示すように下ガイド部材36にバキューム管40が接続され、このバキューム管40は遮蔽部材38が有した通気孔38bを通じて負圧室21bに連通されている。バキューム管40は、図1に示すようにコントロールユニット6の真空吸引装置74に連通されている。したがって、真空吸引装置74が運転されるに伴い負圧室21b内が陰圧となり、その圧力が負圧室21bに連通している吸引通路39を通じてポケット22に波及するようになっている。真空吸引装置74は、その運転が転送円盤21の同期回転中は継続されるように制御装置72により制御される。
【0072】
上ガイド部材41は、側部ガイド部材32が延びる方向の長さ範囲にわたって側部ガイド部材32に固定されている。上ガイド部材41は、前記長さ範囲にわたって転送円盤21の上側に近接して配置され、同範囲でポケット22を上側から覆っている。この上ガイド部材41の上面に前記近接センサ35が取付けられている。
【0073】
図2に示すように上ガイド部材41は検査用窓部42と印刷用窓部43を有している。検査用窓部42は、近接センサ35を基準に転送円盤21の回転方向下流側に位置して、ポケット22に収められた錠剤をガイド31の上方に露出させるために設けられている。印刷用窓部43も、近接センサ35を基準に転送円盤21の回転方向下流側に位置して設けられている。この印刷用窓部43は検査用窓部42に対しても転送円盤21の回転方向下流側に設けられている。
【0074】
検査用窓部42と印刷用窓部43は、例えば上ガイド部材41の一部を切り欠くことで形成されているが、通孔により形成することも可能である。又、ガイド31において、上ガイド部材41は側部ガイド部材32と一体に形成することが可能であるとともに、上ガイド部材41は省略することも可能である。
【0075】
検査機51は、図1に示すように回転盤11の外部で転送円盤21の近傍に配設されている。この検査機51は、転送円盤21のポケット22への錠剤の受け渡し位置の下流側で、かつ、後述の不良品を排出する第1の排出部61の上流側に位置している。検査機51は、転送円盤21の各ポケット22内の錠剤を一個一個非接触で非破壊検査するものであり、検査機スタンド51aに支持された検査ヘッド51bを有している。検査機スタンド51aは装置格納筐体5のデッドスペースに配置される。検査ヘッド51bは検査用窓部42に対向してその上方に配置されている。
【0076】
この検査機51として例えば分光分析器を好適に使用できる。この分析器は、ポケット22内の検査対象である錠剤Cに検査ヘッド51bが有する照明光源により近赤外光を照射するとともに、それに伴い錠剤で反射された反射光を検査ヘッド51bが有する受光センサで受光して、この反射光をスペクトラメーターでスペクトル分析し、その分析データを評価装置で処理することで、錠剤の成分・硬度・均質性、及び湿度等の内で少なくとも成分を分析して取得することができる。こうした分光分析仕様の検査機として、例えばリッカーマン株式会社製の「VisioNIR」を挙げることができ、この分光分析器によれば、現状で毎分100個の錠剤の成分を分析できる能力があることが知られている。検査機51が得た1錠毎の検査データは制御装置72に供給されるとともに、この制御装置72の図示しない記憶部に記憶されるようになっている。
【0077】
検査機51の既述の配設により、その検査ヘッド51bは、回転盤11の臼取付け部11aと上杵ガイド部11bとの間の狭い空間ではなく、回転盤11の最外周より外側に配置されていて、それにより、打錠機2の外部で錠剤の検査データを取得するので、以下の利点がある。
【0078】
第1に、検査ヘッド51bを配置する上で回転盤11が制約となることが殆どなく、装置格納筐体5内のデッドスペースを利用して配置できるので、配置上の自由度が高い。これとともに、回転盤11の構成に適合させて検査ヘッド51bを配置する工夫が不要であるので、容易に検査ヘッド51bを配置できる。第2に、回転盤11の最外周より内側の領域は、そこに浮遊する原料粉末の量が多く、この浮遊粉末が近赤外光の一部を吸収し又は反射するので、受光センサの取得データがばらついて、検査上の誤差を招き易い。しかし、既述のように打錠機2の外部で錠剤Cの検査データを取得するので、浮遊粉末の影響が軽微な状態で検査をすることが可能となり、その検査精度を向上できる。第3に、第2の理由から、浮遊粉末を検査位置で排除するためのエアーパージをする必要がなく、この点でも構成が簡単となり、かつ、容易に検査ヘッド51bを配置できる。
【0079】
図1に示すように印刷機55は、検査機51と同様に回転盤11の外部で、転送円盤21のポケット22への錠剤の受け渡し位置の下流側で、かつ、後述の第1の排出部61の上流側に位置して転送円盤21の近傍に配設されている。印刷機55は、転送円盤21の各ポケット22内一個ずつ収められた錠剤に対して非接触で印刷するものであり、印刷機スタンド55aに支持された印刷ヘッド55bを有している。印刷機スタンド55aは装置格納筐体5のデッドスペースに配置される。印刷ヘッド55bは印刷用窓部43に対向してその上方に配置されている。
【0080】
この印刷機55として例えばインクジェットプリンタを好適に使用できる。この印刷機55として、例えば株式会社キーエンス製のインクジェットプリンタ「MK−9000」を挙げることができる。この印刷機によれば、現状で毎分1万ショットの印刷ができる能力があることが知られている。
【0081】
図1に示すように第1の排出部61は、検査機51及び印刷機55に対して転送円盤21の回転方向下流側に配設されている。図5に示すように第1の排出部61は、排出ヘッド62及び不良品受け63を備えている。排出ヘッド62は、ガイド31の例えば上ガイド部材41に取付けられていて、噴気ノズル62aを有している。噴気ノズル62aは、上ガイド部材41に開けられた噴気孔41aに連続していて、この噴気孔41aを通して、その直下に移動してくるポケット22内の錠剤に圧縮空気を下向きに吹き付けるようになっている。圧縮空気を図1に示した強制排除装置76から吐出される圧縮空気を噴気ノズル62aに導く送気管64が、排出ヘッド62に接続されている。
【0082】
強制排除装置76は、図示しない圧縮空気を生成するエアーポンプ、圧縮空気を溜めるアキュムレータ、及び電磁開閉弁等を有していて、その電磁開閉弁は制御装置72から供給される制御信号に従い開閉される。前記制御信号は、例えば前記圧力センサ18が検出した成型荷重(打錠圧力)が所定値から外れていて制御装置72の図示しない判定部で判定された場合に、強制排除装置76に供給される。それにより、電磁開閉弁が瞬間的に開かれて、送気管64に送られた圧縮空気が噴気ノズル62aからポケット22内の錠剤に向けて噴出されるようになっている。強制排除装置76及び第1の排出部61は、ポケット22内から目的とする錠剤例えば不良品にかかる錠剤に空気圧を付与し、この錠剤を強制的に転送円盤21の外部に排除するための第1の強制排除手段をなしている。
【0083】
なお、強制排除装置76により強制排除を行わせるためのトリガー信号は、圧力センサ18の出力信号に代えて、検査機51で得た検査信号を用いることができる。不良品に係る錠剤を排出する場合には、検査機51が成分異常を検出した不良品に係る検出信号が制御装置72に入力させればよい。
【0084】
第1の排出部61の不良品受け63は導管からなり、その一端部からなる受入れ端部が下ガイド部材36に連結されている。受入れ端部は、ポケット22から吹き落とされる錠剤を受けるように排出ヘッド62の真下に配置されている。不良品受け63の少なくとも受入れ端部側の内面には、受入れる錠剤の割れや欠けを抑制するためのクッション材を内張りすることが好ましい。不良品受け63の他端部に図1に示した第1の排出シュート65が接続されている。この第1の排出シュート65は装置格納筐体5の筐体側面を貫通している。
【0085】
図1に示すように良品に係る錠剤を排出する第2の排出部68は、検査機51及び印刷機55並びに第1の排出部61に対して転送円盤21の回転方向下流側で、かつ、ガイド31の斜めとなった終端部に連続して設けられている。良品を排出する第2の排出部68は、前記負圧室21bの負圧が波及しない領域で、かつ、転送円盤21の下側に配設されている。この第2の排出部68は上面がかなり大きく開口された容器である。第2の排出部68の少なくとも開口端部側の内面には、受入れる錠剤の割れや欠けを抑制するためのクッション材を内張りすることが好ましい。第2の排出部68の底壁に図1に示した第2の排出シュート69が接続されている。この第2の排出シュート69は装置格納筐体5の側面を貫通している。
【0086】
前記構成を備えた成型装置1の動作を説明する。打錠機2が運転されることにより、その回転盤11の高速回転(70rpm以上)に同期して取出し装置3の転送円盤21が回転される。
【0087】
回転盤11の回転に従い、臼13内に秤量して取込まれた粉末は、打錠機2の臼13と上杵15と下杵16とで圧縮成型されて錠剤Cとなる。こうした錠剤Cの製造の際、粉末が圧縮成型される度に、一個一個の錠剤Cについての打錠圧力が圧力センサ18で検出され、その検出データは制御装置72に送信される。これとともに、製造された錠剤Cは、回転盤11の受け渡し位置に達した状態で、既に下杵16で臼13上に押し出されていて、この受け渡し位置で転送円盤21に受け渡される。
【0088】
この受け渡しの状況を図6(A)(B)及び図7(A)(B)を参照して説明する。
【0089】
受け渡しポイントP(受け渡し位置)、つまり、回転盤側ピッチサークルBと転送円盤側ピッチサークルDが一致するポイントに、臼13上に押し出された錠剤Cが近付いた状態を図6(A)に示す。この状態では、受け渡しポイントPにその上流側から近付きつつある錠剤(なお、他の錠剤との識別を容易にするために符号Ceで示す。)を受取るポケット(なお、他のポケットとの識別を容易にするために符号22dで示す。)の入口部に、錠剤Ceが配置されていて、この錠剤Ceはポケット22dの奥部から離れている。
【0090】
図6(A)の状態から回転盤11と転送円盤21との同期回転が進行して、錠剤Ceが受け渡しポイントPの直前に到達した状態を図6(B)に示す。この状態では、錠剤Ceとポケット22dとの相対位置が変わって、錠剤Ceの円周面がポケット22dの錠剤押し面22a及び保持面22bに接するように錠剤Ceがポケット22dの奥部に嵌合された状態に位置される。この場合、錠剤Ceに対し回転盤11及び転送円盤21の回転方向上流側から接した転送円盤21のポケット間部位21eが、回転盤側ピッチサークルBに交叉し始める。
【0091】
図6(B)の状態から回転盤11と転送円盤21との同期回転が更に進行して、錠剤Ceが受け渡しポイントPに到達した状態を図7(A)に示す。この状態では、ポケット22dへの錠剤Ceの嵌合が維持されたままで、回転盤側ピッチサークルBに対するポケット間部位21eの交叉が深くなる。それにより、ポケット22dの入口が側部ガイド部材32によって錠剤Cが通過できないように狭められる。例えばポケット22dの入口が側方から側部ガイド部材32の一端側部位32aで半分程度覆われるようになる。これとともに、同ポケット22dが上方から上ガイド部材41の回転盤側端部で略半分程度覆われるようになる。又、図7(A)の状態までは、下杵16の上端面に錠剤Cが付着している。
【0092】
図7(A)の状態から回転盤11と転送円盤21との同期回転が更に進行して、錠剤Ceが受け渡しポイントPを通過した直後の状態を図7(B)に示す。この状態は図6(A)の状態と同じである。この図7(B)の状態では、ポケット22dが受け渡しポイントPを通過して回転盤側ピッチサークルBから離れるように移動するので、それに伴い、ポケット22dの錠剤押し面22aが、錠剤Ceを回転盤側ピッチサークルBから離れる方向に押圧する。それにより、下杵16に付着している錠剤Ceが物理的に下杵16から外されて、この錠剤Ceがポケット22dに受け渡される。
【0093】
したがって、下杵16への錠剤Ceの付着強度が高い場合でも、この錠剤Ceが確実に回転盤11側から転送円盤21のポケット22に受け渡される。しかも、この受け渡しは、回転盤11の回転が低速であっても、本実施形態にように高速であっても確実になされる。そして、錠剤Cの前記受け渡しにおいて高圧空気を吹くことがないので、受け渡し部において原料粉末が飛散することもない。
【0094】
前記受け渡しとともに、ポケット22dに通じている吸引通路39が負圧室21bに連通する。そのため、吸引通路39にポケット22d内の錠剤Ceが吸付けられ、それにより、錠剤Ceはポケット22dで安定した状態に保持される。
【0095】
こうした回転盤11側から転送円盤21への錠剤Ceの受け渡しの際、前記同期回転により、回転方向下流側に錠剤押し面22aを有したポケット間部位21eが、錠剤Ceに衝撃を与えることがない。これとともに、錠剤Ceは既述のように側部ガイド部材32と上ガイド部材41で覆われている。そのため、ポケット22dの外部に飛び出すことがない。こうした錠剤Ceの飛び出し防止は、この錠剤が第1の排出部61又は第2の排出部68から排出されるまでガイド31によって継続される。
【0096】
ポケット間部位21eは、前記錠剤Ceに対して回転盤11の回転方向上流側に隣接した錠剤(識別のため図6(B)及び図7(A)(B)では符号Cfで示す。)側に逃げ面22cを有しているので、以上の受け渡しにおいて、ポケット間部位21eが受け渡しポイントPに到達したとき、ポケット間部位21eが錠剤Cfに接して、錠剤Cfがポケット間部位21eで回転盤11の中心部側に弾かれることがない。
【0097】
そして、転送円盤21の各ポケット22が、受け渡しポイントPを通過するたびに、以上説明した受け渡し動作が繰り返されるので、転送円盤21の各ポケット22に錠剤が1錠ずつ受け渡されて、この転送円盤21の回転に従いガイド31の終端に向けて転送(搬送)される。こうした搬送において、ポケット22の奥部内面に錠剤Cが吸付けられているので、既述のように錠剤Cが安定することに加えて、錠剤Cが側部ガイド部材32に擦れて傷付けられることを抑制できる。
【0098】
以上のように一個ずつポケット22に収められることにより整列して搬送される錠剤Cは、その移動途中で、検査用窓部42及び検査ヘッド51bの下側を通過する。そのため、既に動作状態にある検査機51は、検査用窓部42に臨んだポケット22内の錠剤Cを非接触で検査する。この検査は、検査用窓部42に錠剤が対向するたびに実施されるので、打錠機2の外部で、この打錠機2で製造された錠剤を全数検査することができる。
【0099】
この検査において、錠剤Cは既述のように真空吸着により安定した姿勢に保持されているので、照射された検査光(近赤外光)の反射方向は一定するため、検査精度を保証できる。更に、打錠機2の外部で以上のように検査をするので、回転盤11部分で浮遊している粉末原料の影響を受け難くなり、この点でも、検査精度を保証できる。この検査機51が取得した検査データは制御装置72に送信されて記憶される。
【0100】
次に、前記搬送動作により前記検査位置を通過した錠剤Cは、印刷位置において印刷用窓部43及び印刷ヘッド55bの下側を通過する。印刷用窓部43に錠剤Cが臨む度に、制御装置72での制御によりタイミングを合わせて印刷機55がインクジェット方式で高速の印刷動作をして、既述のように製造された錠剤(裸錠とも生錠とも称することがある。)Cの表面に印刷が施される。
【0101】
この印刷では例えばロゴマーク、コード(製造ロット番号)等が印刷される。この印刷において、印刷される錠剤Cの地の色(粉末原料の色)とは異なる色インクを用いて印刷することが好ましい。それにより、印刷されたロゴマーク等の表記内容が錠剤Cの地の色に対して確実に識別され易くなるので、前記表記内容が容易に視認できるようになる。
【0102】
なお、前記印刷は、圧力センサ18の検出データを元に良品と判断された錠剤Cだけに選択してその錠剤に施すようにしても良いが、本実施形態のように全ての錠剤Cに印刷を施す方が、製品管理上好ましい。
【0103】
前記のように錠剤Cに直接印刷できることにより、錠剤Cの表面に刻印を与えるための刻印付与部となる凹凸を上杵15及び下杵16の杵先面に設ける必要がなくなる。そのため、低コストの上杵15及び下杵16を用いることができる。これとともに、印刷機55による印刷のパターンの変更は極めて容易であるので、従来のように同一径の上杵15及び下杵16であっても、互に異なる刻印付与部が形成された多数種類の上杵15及び下杵16を、錠剤の製造メーカで用意して置く必要がなくなる。したがって、同一径の上杵15及び下杵16を、これらの杵先部と同径でかつ互いに異なる種類の錠剤製造に共通使用できるので、この点でも低コストの上杵15及び下杵16を用いることができる。
【0104】
前記搬送動作(転送動作)により、前記印刷位置を通過した錠剤Cは、第1の排出位置例えば不良品排出位置に達して、この位置から第1の排出部61で転送円盤21の外部に取出される。
【0105】
つまり、不良品に係る錠剤Cが納められたポケット22が、不良品受け63の入口に臨む度に、制御装置72での制御によりタイミングを合わせて強制排除装置76の電磁開閉弁が極短時間開かれる。それにより、排出ヘッド62の噴気ノズル62aから圧縮空気が高速で下向きに噴き出されて、噴気ノズル62aの直下に位置されている不良品に係る錠剤Cに排出方向に向かう空気の圧力が付与される。この圧力は吸引通路39の真空吸着力より遥かに大きい。したがって、不良品に係る錠剤Cはそれが収まっているポケット22から下方の不良品受け63へ吹き飛ばされる。
【0106】
このように空気圧力を用いた転送円盤21の下方への不良品排出(成型品排出)は、錠剤Cの自重を利用できるので、比較的低い空気圧でも排出の正確性が高く、高速応答性がある。これとともに、空気圧が比較的に低くても良いことに伴い、吹き飛ばされた錠剤Cを受ける第1の成型品受けである不良品受け63に衝突する衝撃が小さくなるので、第1の成型品排出位置で取出される錠剤Cの割れ及び欠けを抑制する上で好ましい。
【0107】
以上のように転送円盤21から強制排出された不良品に係る錠剤Cは、不良品受け63から第1の排出シュート65を通って、装置格納筐体5の外に配置された図示しない第1の受け容器に導出される。
【0108】
一方、前記印刷位置を通過した錠剤Cの内で良品に係る錠剤Cが不良品排出位置に達しても、第1の排出部61での圧縮空気の吹き出しは行われないので、この良品に係る錠剤Cは不良品排出位置を通過する。この場合、不良品排出位置では不良品受け63の入口が上向きに開口しているにも拘らず、良品に係る錠剤Cは、それが納められたポケット22に吸引通路39で吸付けられているので、不良品受け63に落下することなく、不良品排出位置を通過できる。
【0109】
更に、不良品排出位置を通過した良品に係る錠剤Cは、前記搬送動作によりガイド31の終端を通過して第2の成型品排出位置である良品排出位置に達する。この位置に良品に係る錠剤Cが到達した時点で、この錠剤Cが収められているポケット22に連通されている吸引通路39は、遮蔽部材38の遮蔽凸部38aに対向して、転送円盤21の負圧室21bとの連通が断たれた状態になる。
【0110】
それにより、ポケット22に対する錠剤Cの保持力が消失するに伴い、この良品に係る錠剤は、その自重と、転送円盤21の回転に従い作用する遠心力とにより、ポケット22から離脱する。こうして離脱された良品に係る錠剤Cは、側部ガイド部材32の終端部に形成された斜面32b(図2参照)に当たって、その下方に配置されている第2の排出部68に落下して収容される。転送円盤21から排出された良品に係る錠剤Cは、第2の排出部68から第2の排出シュート69を通って、装置格納筐体5の外に配置された図示しない第2の受け容器に導出される。
【0111】
本実施形態では、既述のように不良品に係る錠剤Cを第1の排出部61で排出した後に、良品に係る錠剤Cを第2の排出部68で自重等を利用して排出し、この良品排出において高圧空気を噴き付けないので、取出される良品に係る錠剤Cに割れや欠けを生じ難い。
【0112】
以上説明したように前記実施形態によれば、回転盤11の回転が高速であるにも拘らず、打錠機2で製造された錠剤Cを、一個ずつ転送円盤21のポケット22に受け渡すことにより整列させながら転送することができ、この転送の途中において検査機51で検査をするので、取出される錠剤Cを全数検査することができる。
【0113】
更に、前記のように転送円盤21のポケット22に受け渡された錠剤Cが1錠ずつ転送される途中で不良品に係る錠剤Cを転送円盤21外に排出するとともに、ガイド31の終端に連続する位置で良品に係る錠剤Cを転送円盤21外に排出するので、各錠剤Cを一個ずつ良品と不良品とに確実に選別して取出すことができる。
【0114】
しかも、不良品に係る錠剤Cを転送円盤21外に排出するのに空気圧を利用したので、高速対応が可能である。
【0115】
その上、転送円盤21外への良品に係る錠剤Cの排出は、遠心力と自重とを利用して自由落下させて行われる。そのため、良品に係る錠剤Cがその取出しをガイドする壁部がある場合のようにこの壁部に錠剤が静電気で付着し、それを原因として、以後取出される良品に係る錠剤Cが詰まって取出し不良を生じることがなく、それに伴い良品に係る錠剤Cに後続の錠剤が衝突して割れや欠けを生じることもない。
【0116】
次に、図8及び図9を参照して本発明の第2実施形態を説明する。この説明において、第1実施形態と同じ構成については、第1実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0117】
第2実施形態では、第1の排出部61が良品に係る錠剤(成型品)を排出する良品排出部をなしており、第2の排出部68が不良品に係る錠剤(成型品)を排出する不良品排出部をなしている。
【0118】
図9に示すように第1の排出部61は、噴気ノズル62a及び良品受け63を備えている。
【0119】
噴気ノズル62aは、下ガイド部材36を厚み方向に貫通して設けられた噴気孔で形成されている。噴気ノズル62aは、その真上に移動してくるポケット22内の良品に係る錠剤に圧縮空気を上向きに吹き付けるようになっている。この噴気ノズル62aには、図1に示した強制排除装置76から吐出される圧縮空気を導く送気管64が接続されている。
【0120】
良品受け63は、導管からなり、その一端部からなる受入れ端部が上ガイド部材41に、この部材に開口された通孔41bを覆って連結されている。良品受け63の受入れ端部は、ポケット22から吹き上げられる錠剤を受けるように噴気ノズル62aの真上に配置されている。良品受け63の少なくとも受入れ端部側の内面には、受入れる錠剤の割れや欠けを抑制するためのクッション材を内張りすることが好ましい。良品受け63の他端部に図1に示した第1の排出シュート65が接続されている。
【0121】
そのため、転送円盤21の回転によりそのポケット22内に1錠ずつ収められて転送される錠剤Cが、前記第1の排出部61が設けられた良品排出部位置に到達して噴気ノズル62a及び通孔41bに臨むようになると、それにタイミングを合わせて噴気ノズル62aから圧縮空気が上向きに噴出される。したがって、良品に係る錠剤Cは通孔41bを通って良品受け63に吹き飛ばされて、それにより、良品に係る錠剤Cがポケット22から排出される。又、不良品に係る錠剤Cが良品排出部位置に到達しても、前記の吹き出しは行われず、しかも、錠剤Cより遥かに小径の噴気ノズル62aに錠剤Cが落ち込むことはないので、不良品に係る錠剤Cは良品排出部位置を通過することができる。
【0122】
第2の排出部68はガイド31の搬送終端部に連続してその下側に設けられている。この第2の排出部68は第1実施形態で説明したものと同じ構成である。そのため、良品排出部位置を通過してガイド31の搬送終端部から外れた不良品に係る錠剤Cは、前記搬送終端部から外れるに伴って自重及び遠心力の作用によって第2の排出部68に落下して収容される。
【0123】
この第2実施形態では、良品に係る錠剤Cを排出した後に、不良品に係る錠剤Cを排出するので、良品に不良品が混じる恐れが皆無である。又、仮に良品に係る錠剤の一部が第1の排出位置で排出しきれないことがあっても、その錠剤は不良品に混じるだけであるので、無駄にはなるが、良品に係る錠剤を選抜して取出す上では格別の問題ではい。
【0124】
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。したがって、この第2実施形態でも第1実施形態で既に説明した理由によって本発明の課題を解決できる。なお、第2実施形態では、各ポケット22の夫々に錠剤を真空吸着する手段は省略することも可能である。
【0125】
又、本発明は前記各実施形態には制約されない。例えば、第1の排出部61で、良品又は不良品に係る錠剤等の成型品を空気の噴き出しにより排出する場合、転送円盤21の中心側から半径方向に沿って転送円盤21の外部に斜めに圧縮空気を噴き出して、この吹き出し方向に位置してガイド31に形成した開口、例えば側部ガイド部材32及び下ガイド部材36にわたって形成した開口に通して、ポケット22内の錠剤を排出することも可能である。
【0126】
更に、圧縮空気を噴き出してポケット22から錠剤等の成型品を排出することにも制約されず、これに代えて、ガイドに吸込み開口を設けるとともに、この開口に吸込みヘッドを接続し、成型品が収められたポケットが吸込み開口に対向するタイミングに合わせて、吸込みヘッドに負圧(陰圧)を作用させることにより、第1の排出部で錠剤等の成型品を真空で吸い出して転送円盤21の外部に排出することも可能である。
【0127】
又、錠剤等の成型品を第2の排出部68で排出する場合に、補助的に空気を吹き付けることが可能であり、或いは負圧を作用させることも可能である。
【符号の説明】
【0128】
1…成型装置(回転式粉末圧縮成型装置)、2…打錠機(回転式粉末圧縮成型機)、3…取出し装置(粉末圧縮成型品取出し装置)、11…回転盤、11a…臼取付け盤、13…臼、A…回転盤の回転方向、15…上杵、16…下杵、18…圧力センサ、C…錠剤(成型品)、21…転送円盤、21b…負圧室、I…転送円盤の回転方向、22,22d…ポケット、24…サーボモータ、31…ガイド、39…吸引通路、51…検査機、55…印刷機、61…第1の排出部、62…排出ヘッド、62a…噴気ノズル、68…第2の排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転盤に取付けられた臼とこの臼に対して上下動可能に設けられた上杵と下杵により前記臼内の粉末を圧縮成型し、圧縮成型された成型品が前記下杵により前記臼上に押出される回転式粉末圧縮成型機の周りに設置されて、前記臼上の成型品を前記回転盤外に取出す粉末圧縮成型品取出し装置において、
周部に複数のポケットを周方向に一定間隔で有していて前記回転盤の臼取付け部上面に一部が重なるように配設され、前記回転盤の回転方向と順方向に前記回転盤の回転と同期回転される転送円盤であって、前記各ポケットが前記転送円盤の周面及び上下両面に夫々開放されている前記転送円盤と;
前記臼上に押出された成型品の受け渡し位置から前記転送円盤の周部の一部を覆って設けられて前記ポケット外への成型品の外れを防止するガイドと;
前記受け渡し位置に対し前記転送円盤の回転方向下流側に位置して前記ガイドに取付けられて前記ポケット内の成型品に空気圧を付与してこの成型品を前記転送円盤外に排出する第1の排出部と;
この第1の排出部を基準に前記転送円盤の回転方向下流側に配設されて前記ポケット内の成型品を前記転送円盤外に排出する第2の排出部と;
を具備することを特徴とする粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項2】
前記第1の排出部が前記ガイドに取付けられた排出ヘッドを有していて、この排出ヘッドが、前記転送円盤の回転により移動される前記ポケット内の成型品にその上側から圧縮空気を吹き付けて、この成型品を前記ポケットの下側に排出させる噴気ノズルを有していることを特徴とする請求項1に記載の粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項3】
前記第1の排出部で不良品に係る成型品を前記転送円盤外に排出するとともに、前記第2の排出部で良品に係る成型品を自由落下させて前記転送円盤外に排出することを特徴とする請求項1又は2に記載の粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項4】
前記回転式粉末圧縮成型機が備える圧力センサが所定値から外れた成型圧力を検出したことに基づいて、この検出に係る不良成型品を前記第1の排出部により前記転送円盤外に排出することを特徴とする請求項3に記載の粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項5】
前記転送円盤に、前記受け渡し位置から前記第2の排出部が配置される製品排出位置の間際までの領域にわたる負圧室を設け、この負圧室と前記各ポケット内を個別に連通する吸引通路を前記転送円盤に設けたことを特徴とする請求項1から4の内のいずれか一項に記載の粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項6】
前記回転盤の外部で前記ポケット内の成型品を非接触で検査する検査機を、前記受け渡し位置の下流側に位置して前記転送円盤の近傍に配設したことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項7】
前記検査機が所定値から外れた検査情報を検出したことに基づいて、この検出に係る不良成型品を前記第1の排出部により前記転送円盤外に排出することを特徴とする請求項6に記載の粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項8】
前記受け渡し位置の下流側で前記ポケット内の成型品に非接触で印刷する印刷機を、前記回転盤の外部でかつ前記転送円盤の近傍に配設したことを特徴とする請求項1から7の内のいずれか一項に記載の粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項9】
前記転送円盤をサーボモータで回転させることを特徴とする請求項1から8の内のいずれか一項に記載の粉末圧縮成型品取出し装置。
【請求項10】
回転盤に取付けられた臼とこの臼に対して上下動可能に設けられた上杵と下杵により前記臼内の粉末を圧縮成型し、圧縮成型された成型品が前記下杵により前記臼上に押出される回転式粉末圧縮成型機と;
この粉末圧縮成型機の周りに設置されて、前記臼上の成型品を前記回転盤外に取出す前記請求項1から9の内のいずれか一項に記載の粉末圧縮成型品取出し装置と:
を具備することを特徴とする回転式粉末圧縮成型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−156576(P2011−156576A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21487(P2010−21487)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000153801)株式会社畑鉄工所 (14)