説明

粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法

【課題】最適設計を短時間で行なうことが可能な粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法を提供する。
【解決手段】粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法は、設計仕様に基づいて構造体の形状を決定する第1工程と、形状が決定された構造体で設計仕様から要求される重要部位の配置および重要部位の機械的特性値を決定する第2工程と、形状が決定された構造体から重要部位を除いた非重要部位に対して位相最適化手法を適用して非重要部位の機械的特性値分布を求める第3工程と、機械的特性値分布から求めた非重要部位の変位が、設計仕様から要求される変位となるように機械的特性値分布を修正する第4工程とを有し、重要部位を機械的特性値を備えた焼結部で構成し、非重要部位を修正した機械的特性値分布を有する焼結部で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法に関する。
【0002】
粉末材料を用いた積層造形法においては、粉末焼結材の粉末層を形成してその所定部にレーザ光を照射して焼結し、焼結部が形成されている粉末層の上に新たな粉末層を形成してその所定部にレーザ光を照射して新たな焼結部を形成すると共に下層の焼結部と一体化させることを繰り繰り返すことで三次元形状の構造体を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−1714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、構造体を均質な焼結部で構成するため造形時間が長くなり、製造コストが増加するという問題がある。そこで、構造体の中で、高い強度が必要とされる部分は高密度焼結部で、高い強度が不要な部分は低密度焼結部でそれぞれ構成することで造形時間の短縮を図ることが行なわれるようになっている。しかし、高強度部分と非高強度部分を製造しようとする構造体内でどのように配置するかという構造決定は設計者が知識や経験に基づいて試行錯誤の上行なっている。このため、構造決定、すなわち、構造設計に長時間要すると共に、決定された構造が必ずしも最適な設計であるとは限らないという問題もある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、最適設計を短時間で行なうことが可能な粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法は、粉末焼結材の粉末層を形成し該粉末層の所定部にレーザ光を照射して焼結層を形成し、該焼結層が形成されている粉末層の上に新たな粉末層を形成しその所定部にレーザ光を照射して新たな焼結層を形成すると共に先に形成した焼結層と一体化させることを繰り返すことにより三次元形状の焼結部からなる構造体を製造する粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法において、
設計仕様に基づいて前記構造体の形状を決定する第1工程と、
形状が決定された前記構造体で前記設計仕様から要求される重要部位の配置および該重要部位の機械的特性値を決定する第2工程と、
形状が決定された前記構造体から前記重要部位を除いた非重要部位に対して位相最適化手法を適用して該非重要部位の機械的特性値分布を求める第3工程と、
前記機械的特性値分布から求めた前記重要部位および前記非重要部位の変位、応力、応力および変位が、前記設計仕様から要求される変位、応力、応力および変位にそれぞれなるように該機械的特性値分布を修正する第4工程とを有し、
前記重要部位を前記機械的特性値を備えた焼結部で構成し、前記非重要部位を前記修正した機械的特性値分布を有する焼結部で構成する。
ここで、設計仕様とは、例えば、構造体の使用方法、強度的な設計指標(許容応力、変位等)、および形状を含む概念である。
【0007】
本発明に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法において、前記第4工程の代りに、前記機械的特性値分布を複数の区分に分割し該区分毎に求めた平均機械的特性値から前記重要部位および前記非重要部位の変位、応力、応力および変位が、前記設計仕様から要求される変位、応力、応力および変位にそれぞれなるように該各平均機械的特性値の修正を行なう第4A工程を有し、修正された各平均機械的特性値を有する焼結部で該非重要部位を構成することができる。
【0008】
本発明に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法において、前記設計仕様は、一定値以上の強度、一定値以下の変位、および一定値以上の強度かつ一定値以下の変位のいずれか1とすることができる。
本発明に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法において、前記機械的特性値は、ヤング率あるいは密度のいずれかとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1〜4記載の粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法においては、構造体を重要部位と非重要部位に分け、重要部位の機械的特性値は設計仕様に基づいて設定し、非重要部位は位相最適化手法を適用して求めた機械的特性値分布を設計仕様から要求される応力および変位となるように修正したものを設定するので、最適設計を短時間で行なうことが可能となる。
また、構造体の重要部位は高密度の焼結部で、非重要部位は非高密度の焼結部から形成するようにできるので、造形(焼結)時間の短縮を図ることができる。
【0010】
特に、請求項2記載の粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法においては、機械的特性値分布を複数の区分に分割し区分毎の平均機械的特性値で表すので、非重要部位の構造が簡素化され、製造が容易になる。
請求項3記載の粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法においては、重要部位に対しては強度、変位、あるいは強度かつ変位のいずれかを設定し、非重要部位に対しては位相最適化手法を適用することで、最適構造を自動的に得ることが可能になる。
請求項4記載の粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法においては、機械的特性値にヤング率あるいは密度を採用するので、粉末材料を用いた積層造形法で構造体を製造することが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は粉末材料を用いた積層造形法による構造体の作製状態を示す説明図、図2は本発明の第1の実施の形態に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法の手順を示すフロー図、図3は本発明の第2の実施の形態に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法の手順を示すフロー図である。
【0012】
粉末材料を用いた積層造形法による構造体を製造する場合、例えば、図1に示すように、ステージ10上に設けられたベースプレート11上に形成した粉末焼結材の粉末層12の所定部にレーザ発振器(図示せず)から発生したレーザ光を鏡13で反射させることにより粉末層12に照射して焼結部14を形成し、焼結部14が形成されている粉末層12の上に新たな粉末層15を形成し鏡13の角度を調整することで所定部にレーザ光を照射して新たな焼結部16を形成すると共に先に形成した焼結部14と一体化させることを繰り返すことによりベースプレート11上に三次元形状の構造体17を成形している。
【0013】
ここで、符号18は粉末用の型枠であり、ステージ10は型枠18内で昇降可能に設けられ、ステージ10を一定距離だけ下降させることで型枠18の上部に開口した空間部を形成し、この空間部に粉末焼結材を充填することにより粉末層が形成される。また、ステージ10を型枠18内で上端部まで上昇させることにより、構造体17を取り出すことができる。なお、粉末層15の表面上のレーザ光の走査速度とレーザ光の走査ピッチを調整することで、レーザ光の照射エネルギー密度を制御することができ、焼結部の密度、従って、材楼強度(ヤング率)を調整することができる。
【0014】
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法は、設計仕様に基づいて構造体の形状を決定する第1工程と、形状が決定された構造体で設計仕様から要求される重要部位の配置および重要部位の機械的特性値の一例であるヤング率(重要部位ヤング率)を決定する第2工程と、形状が決定された構造体から重要部位を除いた非重要部位に対して位相最適化手法を適用して非重要部位を構成する焼結部のヤング率分布を求める第3工程と、ヤング率分布から求めた重要部位および非重要部位の応力並びに変位が、設計仕様から要求される応力および変位となるようにヤング率分布を修正する第4工程とを有している。以下詳細に説明する。
【0015】
設計仕様から製造しようとする構造体の概略形状を求め、粉末造形法による製造上の制約を加味して構造体の具体的な形状を決定する(以上、第1工程)。具体的な形状が決定されると、設計仕様に基づいて応力解析を行ない、一定値以上の強度を有しかつ形状保持性が要求される領域、すなわち、高強度かつ高硬度が要求される領域を重要部位と定義して、重要部位の配置を決定すると共に、重要部位ヤング率を、例えば、高密度焼結部のヤング率とする(以上、第2工程)。なお、レーザ光の照射で得られる焼結部の密度(すなわち強度)とレーザ光の照射エネルギー密度との関係、および焼結部の強度とヤング率の関係をそれぞれ予め求めておき、ヤング率の決定に際しては、レーザ光の照射で製造が可能な焼結部のヤング率を採用するようにする。
【0016】
次いで、形状が決定された構造体から重要部位を除いた非重要部位を求める。そして、非重要部位において目標応力とヤング率の関係を予め定義し、構造体内の応力解析を行なって各場所での応力を求め、各場所の応力が予め設定した目標応力となるようにヤング率を修正する。これによって、非重要部位のヤング率分布が得られる(位相最適化)。
【0017】
ここで、目標応力とヤング率の関係としては、例えば、ヤング率に対して応力が段階的に変化する関係を用いる。これによって、非重要部位のヤング率分布を離散的にすることができ、粉末造形法による製造が容易になる。また、ヤング率の修正では、目標応力が解析応力より小さい場合は、高い応力が作用する部分であることを示しているので構造強度を向上させる必要があり、ヤング率を大きくし、反対に、目標応力が解析応力より大きい場合は、低い応力しか作用しない部分であることを示しているので構造強度を下げることができ、ヤング率を小さくする。そして、非重要部位内の各場所での解析応力が解析応力を満足するようになった時点でヤング率の変更を終了する(以上、第3工程)。
【0018】
続いて、非重要部位のヤング率分布を構成する各ヤング率の値を用いて重要部位および非重要部位の変位、すなわち構造体としての変位が、設計仕様から要求される変位(設計変位)となるように各ヤング率の値を修正する。構造体内のある場所、例えば、重要部位の変位が設計変位より大きい場合は、変位を低減させる必要があり、非重要部位のヤング率分布を構成する各ヤング率の値を大きくし、重要部位の変位が設計変位より小さい場合は、非重要部位のヤング率分布を構成する各ヤング率の値を小さくする。そして、構造体内の各場所での変位が設計変位を満足するようになった時点でヤング率の値の修正を終了する。これによって、修正したヤング率の値からなる修正ヤング率分布を得ることができる(以上、第4工程)。なお、設計変位を満足する修正ヤング率分布が得られない場合は、重要部位の領域の再定義を行ない、重要部位の再配置および重要部位ヤング率の再決定を行なう。
従って、重要部位を高密度焼結部で構成し、非重要部位を修正ヤング率分布を有する焼結部で構成するようにすると、最適設計の構造体が得られる。
【0019】
図3に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法は、第1の実施の形態に係る粉末造形法を用いた構造体の設計方法と比較して、第4工程の代りに第4A工程を行なうことが特徴となっている。従って、第4A工程について説明する。
【0020】
第3工程で得られ非重要部位のヤング率分布が、明確に離散化されない場合、ヤング率分布を複数の区分に分割し、区分毎に、例えば荷重平均による平均ヤング率を求めて、平均ヤング率分布を形成する。次いで、重要部位および非重要部位、すなわち構造体内の各場所での応力並びに変位が、設計仕様から要求される応力(設計応力)および変位(設計変位)となるように各平均ヤング率の値を修正する。特に、構造体内の重要部位に関しては、応力が設計応力を満足していても、変位が設計変位より大きい場合は、変位を低減させる必要があり、非重要部位のヤング率分布を構成する各ヤング率の値を大きくする。
【0021】
そして、構造体内の各場所での応力および変位が共に設計応力および設計変位を満足するようになった時点で平均ヤング率の修正を終了する。これによって、各平均ヤング率の修正値が決まり、平均ヤング率分布は修正値からなる修正平均ヤング率分布となる(以上、第4A工程)。なお、設計応力および設計変位を満足する修正平均ヤング率分布が得られない場合は、重要部位の領域の再定義を行ない、重要部位の再配置および重要部位ヤング率の再決定を行なう。
従って、重要部位を高密度焼結部で構成し、非重要部位を修正平均ヤング率分布を有する焼結部で構成するようにすると、最適設計の構造体が得られる。
【実施例】
【0022】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
先ず、図4に示すように、構造物の一例である射出成形用金型の入れ子の形状を決定した。入れ子の構造は直方体(六面体)ABCDEFGHで、縦100mm、幅35mm、高さ30mmである(第1工程)。そして、表層面を重要部位と定義し、レーザ照射で得られる最高密度の焼結部、すなわち、最高強度(最高ヤング率)の焼結部で構成する。ここで、最高ヤング率は150GPaである。(第2工程)。
【0023】
次いで、直方体(六面体)ABCDEFGHから表層面(重要部位)を除いた非重要部位に対して位相最適化手法を適用して非重要部位のヤング率分布を求める(第3工程)。位相最適化手法では、入れ子の縦方向をX方向、幅方向をY方向、高さ方向をZ方向に設定し、三次元解析モデルの使用要素は節点間距離2.5mmの六面体形状とし、境界条件として、面ABCDには射出成形圧Pとして29.7MPaの圧力が負荷され、面EFGHではZ方向への変形を拘束し、面AEHDおよび面BFGCではX方向への変形を拘束し、面AEFBおよび面DHGCではY方向への変位を変形を拘束した。また、目標応力とヤング率の関係は、図5に示すように、ヤング率に対して目標応力が段階的に変化するようにした。なお、位相最適化手法では、ヤング率が150GPaを超える場合は一律150GPaとし、収束の判断は要素のヤング率の度数分布を用いて、解析ステップ数で変化が認められない時点とした。
【0024】
解析ステップ数を変化させたときのヤング率の度数分布の推移を図6に示す。この例の場合、ステップ開始時(ステップ0)は、構造体を全て高密度焼結部とした。ステップ数が進むにつれ、ヤング率の度数分布が変化するが、ステップ数が30以上になるとヤング率の度数分布の変化がほとんどなく、収束したと判断できる。従って、ステップ数が30の場合のヤング率の度数分布を非重要部位を構成する焼結部のヤング率分布とした。これから、ヤング率に対して応力が段階的に変化する関係を用いることによって、非重要部位を構成する焼結部のヤング率分布を離散的にできることが確認される。
【0025】
図6(F)に示すように、非重要部位のヤング率分布は、10GPa未満、30GPa以上40GPa未満、40GPa以上50GPa未満、および150GPaの4区分に離散化される。ここで、レーザ照射により焼結を行なう場合、焼結部のヤング率を30GPa以上40GPa未満の範囲と40GPa以上50GPa未満の範囲に制御することは困難なので、30GPa以上40GPa未満の範囲と40GPa以上50GPa未満の範囲のヤング率分布に対して平均化を行ない、図7に示すようにヤング率分布を3区分にまとめ、この平均化ヤング率分布を用いて非重要部位の応力および変位が設計仕様から要求される応力および変位となるように平均ヤング率の修正を行なった(第4A工程)。
【0026】
例えば、図4のABCD面におけるZ方向の平均変位は、図6(F)および図7に示すヤング率分布の場合、図8に示すように12μm程度発生するので、図7に示す3区分を有するヤング率分布において、中央の度数分布に対応するヤング率を増加させてZ方向の変位の減少を図った。そのときのZ方向の平均変位の推移を図8に示す。中央の度数分布に対応するヤング率を増加させることでZ方向の平均変位を減少させることができ、図9に示すように、中央の度数分布に対応するヤング率を70GPa増加させたヤング率分布とすることで、Z方向の変位を、入れ子全体をレーザ照射で得られる最高ヤング率(150GPa)の焼結部で構成した場合に近い変位まで減少することが確認できた。従って、表層面を150GPaのヤング率を有する焼結部で構成し、非重要部位を図9に示すヤング率分布を有する焼結部で構成するようにすると、最適設計の入れ子が得られる。
【0027】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、実施の形態および実施例では、設計仕様として一定値以上の強度が要求される領域を重要部位としたが、一定値以下の変位が要求される領域を重要部位としてもよい。
また、機械的特性値として密度を採用してもよい。この場合、レーザ光の照射で得られる焼結部の密度とレーザ光の照射エネルギー密度との関係、および焼結部の密度とヤング率の関係をそれぞれ予め求めておく必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】粉末材料を用いた積層造形法による構造体の作製状態を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法の手順を示すフロー図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法の手順を示すフロー図である。
【図4】実施例の入れ子の説明図である。
【図5】目標応力とヤング率の関係を示すグラフである。
【図6】(A)〜(G)はヤング率の度数分布の推移を示すグラフである。
【図7】平均化したヤング率の度数分布を示すグラフである。
【図8】入れ子のZ方向の平均変位の推移を示すグラフである。
【図9】平均ヤング率分布を修正した修正平均ヤング率の度数分布のグラフである。
【符号の説明】
【0029】
10:ステージ、11:ベースプレート、12:粉末層、13:鏡、14:焼結部、15:粉末層、16:焼結部、17:構造体、18:型枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末焼結材の粉末層を形成し該粉末層の所定部にレーザ光を照射して焼結層を形成し、該焼結層が形成されている粉末層の上に新たな粉末層を形成しその所定部にレーザ光を照射して新たな焼結層を形成すると共に先に形成した焼結層と一体化させることを繰り返すことにより三次元形状の焼結部からなる構造体を製造する粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法において、
設計仕様に基づいて前記構造体の形状を決定する第1工程と、
形状が決定された前記構造体で前記設計仕様から要求される重要部位の配置および該重要部位の機械的特性値を決定する第2工程と、
形状が決定された前記構造体から前記重要部位を除いた非重要部位に対して位相最適化手法を適用して該非重要部位の機械的特性値分布を求める第3工程と、
前記機械的特性値分布から求めた前記重要部位および前記非重要部位の変位、応力、応力および変位が、前記設計仕様から要求される変位、応力、応力および変位にそれぞれなるように該機械的特性値分布を修正する第4工程とを有し、
前記重要部位を前記機械的特性値を備えた焼結部で構成し、前記非重要部位を前記修正した機械的特性値分布を有する焼結部で構成することを特徴とする粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法。
【請求項2】
請求項1記載の粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法において、前記第4工程の代りに、前記機械的特性値分布を複数の区分に分割し該区分毎に求めた平均機械的特性値から前記重要部位および前記非重要部位の変位、応力、応力および変位が、前記設計仕様から要求される変位、応力、応力および変位にそれぞれなるように該各平均機械的特性値の修正を行なう第4A工程を有し、修正された各平均機械的特性値を有する焼結部で該非重要部位を構成することを特徴とする粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法。
【請求項3】
請求項1および2のいずれか1項に記載の粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法において、前記設計仕様は、一定値以上の強度、一定値以下の変位、および一定値以上の強度かつ一定値以下の変位のいずれか1であることを特徴とする粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法において、前記機械的特性値は、ヤング率あるいは密度のいずれかであることを特徴とする粉末材料を用いた積層造形法による構造体の設計方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−231490(P2008−231490A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71507(P2007−71507)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年12月3日 精密工学会発行の「2006年度 精密工学会九州支部 福岡地方講演会 講演論文集」に発表
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】