説明

粉末洗浄剤組成物

【課題】水との接触で生じるペースト状の溶け残り、特に洗濯機の洗剤トレイに残留するペースト状の溶け残りを低減できる粉末洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】水との接触で発泡する過炭酸ナトリウムを炭素数12〜16の脂肪酸で被覆してなる被覆発泡性過炭酸ナトリウムを3〜50質量%含有する粉末洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の節水志向により洗濯機の浴比(洗濯水と衣類の質量比)が低下する傾向にある。このような低浴比での洗濯における粉末洗浄剤の問題点としては、使用する水の量が十分でないことによる粉末洗剤の溶解不良に起因する衣類への溶け残りがおきる場合があるということである。また、使用水量の低下は、洗濯機の洗剤を充填するトレイ上でのペースト状の洗剤残留を引き起こし、全ての洗剤が洗浄に使用されず、洗浄力が低下するとともに、使用者にトレイの掃除といった、あらたなる手間をかけさせることになってしまう。そのため、例えば特許文献1のように、ベース洗剤に充填剤粒子を添加することにより、自由流動性を高めることで、水による洗剤粒子の分散性を上げ、上記のような課題を解決するような工夫が行われている。
【0003】
特許文献2には、発泡することで溶解性に優れることが記載されており、特に錠剤型洗剤に配合することで錠剤の溶解性を向上させることが記載されている。また、特許文献3には、非イオン界面活性剤で被覆した過炭酸ナトリウムを過熱することで発泡性過炭酸ナトリウムを得る製法と非イオン界面活性剤で被覆された浮上性の発泡性過炭酸ナトリウムが記載されている。また、特許文献4には、温度を挙げて発泡性を持たせた過炭酸ナトリウムの表面を非イオン界面活性剤で被覆する製法が記載されている。また、特許文献5には、炭素数6〜24のモノカルボン酸塩で被覆した過炭酸ナトリウムはプレス成形に優れ、該被覆過炭酸ナトリウムをプレス成形したタブレットは長期保存安定性に優れることが記載されている。また、特許文献6には固体ペルオキシ化合物の安定化のために脂肪酸カルボン酸塩及びスルホン酸塩型又は硫酸塩型界面活性剤を被覆剤として用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平7−509267号公報
【特許文献2】特開昭50−070286号公報
【特許文献3】特開昭59−195505号公報
【特許文献4】特開平1−129100号公報
【特許文献5】特開2005−213051号公報
【特許文献6】特表2000−502033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、水との接触で生じるペースト状の溶け残り、特に洗濯機の洗剤トレイに残留するペースト状の溶け残りを低減できる粉末洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、洗剤の溶け残りについて検討した結果、洗濯機の洗剤分散用トレイ内に残存している水分と、新たに投入した洗剤とが接触した場合、洗剤成分中の、界面活性剤のゲル化、水溶性無機塩(炭酸ナトリウム、ボウ硝、シリケート)の水和物ネットワークの形成による固化、及びゼオライトのチキソトロピー性発現による粘土状物への変化等が起こり、それが溶け残りに関係していることを見出している。本発明者らは、洗剤の溶け残りの課題を解決できる方法を検討した結果、脂肪酸で処理された発泡性炭酸ナトリウムを含有させることで改善できることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、水との接触で発泡する過炭酸ナトリウム(以下、原料発泡性過炭酸ナトリウムという場合もある)を炭素数12〜16の脂肪酸で被覆してなる被覆発泡性過炭酸ナトリウム(以下、単に被覆発泡性過炭酸ナトリウムという場合もある)を3〜50質量%含有する粉末洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水との接触で生じるペースト状の溶け残り、特に洗濯機の洗剤トレイに残留するペースト状の溶け残りを低減できる粉末洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
粉末洗浄剤組成物から形成されるペースト状の溶け残りは、粉末洗浄剤組成物が少量の水に接触し、濡れることにより、粒子どうしが局部的に溶解し、一体化することで生じる。使用水を低減した条件などでは、洗濯機のトレイ中では、注水中に溶けきらず、一部のペーストが残留しやすくなる。また、洗濯槽内で洗濯時間中に溶解しきらないペーストが存在すると、洗濯終了後に衣類にペースト状の溶け残りが残留することになる。
【0010】
このようなペースト状の溶け残りの防止に対して、少量の水による洗剤粒子の合一を妨げる手段として、洗剤粒子の中に粒子径の大きな粒子比較的溶解性の低い粒子を充填剤粒子として後添加することが従来提案されている。このような充填剤粒子は、スペーサー粒子として合一したペーストを分断する作用で、ある程度ペーストの残留性を改善できる。しかしながら、このような粒子の添加のみでは、洗剤ペーストの分断化は不十分であり、効果の発現が低い。そこで、本発明では、スペーサー粒子の内部よりガスが発生するようなしくみを加えることで、洗剤ペーストのガス圧による強制的な分断を促進し、ペーストの崩壊分散性を高めたものである。また、洗濯機の洗剤トレイ上に形成されたペースト状の溶け残りに関しては、上記本発明のしくみにより、洗剤ペーストの崩壊分散性を高めるとともに、洗剤ペーストと洗剤トレイの底面との間にガスを発生させることによる、ペースト状の溶け残りのトレイからの剥離を促す効果も得られ、効果的である。本発明では、このような機能を有する粒子として、発泡性を有する過炭酸ナトリウムの表面を特定量の炭素数12〜16の脂肪酸で被覆した粒子を用いるものである。
【0011】
<被覆発泡性過炭酸ナトリウム>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、所定量の炭素数12〜16の脂肪酸で被覆された発泡性の過炭酸ナトリウム(被覆発泡性過炭酸ナトリウム)を含有する。
【0012】
被覆発泡性過炭酸ナトリウムは、原料発泡性炭酸ナトリウムの表面を、特定の脂肪酸を特定量用いて被覆することで得られる。
【0013】
原料発泡性過炭酸ナトリウムは、水との接触により発泡する、例えば水に溶解する際に発泡する過炭酸ナトリウムであればよく、一般の過炭酸ナトリウムを加熱処理することで得られる。例えば、特開昭52−103045号公報や特開平10−231106号公報に記載される加熱処理を行った過炭酸ナトリウムや特開平11−1307号に記載の遷移金属化合物を配合してなる過炭酸ナトリウムを用いてもよい。更に、特開平10−194710号記載の炭酸、重炭酸、硫酸アルカリで被覆安定化させた発泡性過炭酸ナトリウムを用いてもよい。これらのうち、熱処理により得られる発泡性過炭酸ナトリウムが好ましく用いられる。具体的には、後述する好ましい発泡量5〜30mL/gを得るために過炭酸ナトリウムを100〜140℃で5〜80分加熱処理することで調製した発泡性過炭酸ナトリウムを用いることが好ましい。処理温度と時間を適宜調整することで発泡量を調整することできる。
【0014】
原料発泡性過炭酸ナトリウムの発泡性は、原料発泡性過炭酸ナトリウム1gを100mLの蒸留水(和光純薬工業製)の入ったビーカー(200mL[内径60mm、高さ90mm])中(20℃)に投入し、攪拌子(長さ35mm、直径8mm、例えば型式:ADVANTEC社製、テフロン(登録商標)丸型細型(円柱形状))で攪拌下(500rpm)、3分間に発生するガス量を測定する方法により、計3回の測定結果のなかで最高の発泡量が20℃で5〜30mL/gの範囲にあるものが好ましい。
【0015】
また、原料発泡性過炭酸ナトリウムの平均粒径は、粉末洗浄剤組成物の溶け残り抑制の観点から、20〜2000μmが好ましく、100〜1500μmがより好ましく、200〜1000μmが特に好ましい。
【0016】
原料発泡性過炭酸ナトリウムの被覆に用いる脂肪酸は、洗剤ペーストの溶け残り抑制の観点から、炭素数12〜16の脂肪酸であり、炭素数12〜14が好ましく、更に炭素数12の脂肪酸が好ましい。
【0017】
粉末洗浄剤組成物のペースト状の溶け残りを抑制する観点から、原料発泡性過炭酸ナトリウム100質量部に対して前記脂肪酸を1〜30質量部被覆することが好ましい。該脂肪酸の被覆量は、原料発泡性過炭酸ナトリウム100質量部に対して、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部が更に好ましい。被覆に用いるその他の剤として、本効果に影響を与えないために、非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールなどの非イオン性の化合物を挙げることができる。またゼオライトなどを含有する粉末洗剤には、過炭酸ナトリウム自体の安定性の観点からホウ酸又はホウ酸塩の被覆を併用してもよい。しかしながら、本発明ではその他の被覆剤は脂肪酸の被覆量の同等未満すなわち[その他被覆剤]/[脂肪酸]の質量比が1未満であることが好ましく、更には0.5以下が好ましく、特には発泡性過炭酸ナトリウムと脂肪酸のみを用いることが好ましい。最も好ましい組合せは発泡量が5〜30mlの能力を有する発泡性過炭酸ナトリウム100質量部に対して、炭素数12の脂肪酸を2〜7質量部被覆した被覆発泡性過炭酸ナトリウムを用いることである。
【0018】
脂肪酸は融点を有することから、粒子の被覆剤として扱い易いことは言うまでもないが、本発明の重要な作用として、脂肪酸で被覆することで、粒子が水と接触した際の溶解性が低下するため粒子の溶解性の制御が可能となることにある。本発明では、この制御された溶解性に発泡性過炭酸ナトリウム粒子自体の発泡の作用が伴うことによって、粉末洗浄剤組成物のペースト形成が妨げられ、水との接触で生じるペースト状の溶け残りを低減できるできるものと推察される。
【0019】
前記脂肪酸による被覆方法は、脂肪酸の溶融温度以上かつ原料発泡性過炭酸ナトリウムの熱処理温度以下、具体的には40℃〜70℃の範囲で脂肪酸を加熱し溶融させ、そこに原料発泡性過炭酸ナトリウムを投入し均一混合し冷却するか、あるいは脂肪酸の融液を発泡性過炭酸ナトリウムにスプレーしながら均一混合して冷却する方法、更には発泡性過炭酸ナトリウムの粒子と固体の脂肪酸(粒子状、フレーク状、もしくはパウダー状)を混合しながら過熱し、脂肪酸を溶かしながら処理し冷却する方法などが好適に用いられる。上記のような処理をするには、加熱冷却装置を備えた、混合機や造粒機が好適に用いられる。
【0020】
被覆発泡性過炭酸ナトリウムの平均粒径の下限値は、粉末洗浄剤組成物、更には後述のベース洗剤粒子の間に入り、好適な粒子間隔を得ることで、粉末洗浄剤組成物のペーストの形成を抑制し、溶け残りを抑制するために、20μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、200μm以上が特に好ましい。また、被覆発泡性過炭酸ナトリウムの平均粒径の上限値は、被覆発泡性過炭酸ナトリウムが粉末洗浄剤組成物中に偏ることなく、粉末洗浄剤組成物のペーストの形成による溶け残りを無くす観点から、2000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましく、800μm以下が特に好ましい。
【0021】
なお本発明の粒子の平均粒径は、前記被覆発泡性過炭酸ナトリウム及びその他の粒子も実施例記載のロータップ型ふるい振とう機によって求められた、質量平均である。
【0022】
<粉末洗浄剤組成物>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、被覆発泡性過炭酸ナトリウムの他に、通常添加される洗剤成分、例えば、各種の界面活性剤、ビルダー、酵素、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、柔軟化剤、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)香料等を含有することができる。
【0023】
また、本発明の粉末洗浄剤組成物中の被覆発泡性過炭酸ナトリウムの含有量は、粒子間の膠着化を妨ぎ、溶け残り抑制に好適な粒子間隔及び粒子群内の分散状態を得る観点から、3質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上が更に好ましい。また、洗浄性能の観点から、50質量%以下であり、40質量%以下が好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0024】
本発明の粉末洗浄剤組成物の平均粒径は、粉立ちの観点から100μm以上が好ましく、150μm以上がより好ましく、200μm以上が特に好ましく、溶解性の観点から、2000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましく、700μm以下が特に好ましい。なお、本発明の粉末洗浄剤組成物を、被覆発泡性過炭酸ナトリウムと、これ以外の成分(例えば、被覆発泡性過炭酸ナトリウム以外の全成分)を含有するベース洗剤とを混合して調製することもでき、その場合、当該ベース洗剤の平均粒径も前記範囲であることが好ましい。
【0025】
本発明の粉末洗浄剤組成物の溶け残り抑制効果は、洗濯機自動投入口を考慮し且つ厳しい条件に設定された際のトレイ残留量と、溶解速度によって求める。具体的には実施例記載の方法で求めたトレイ残留量が30%以下であることが好ましく、27%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。
【0026】
また、本発明の粉末洗浄剤組成物は、実施例記載の60秒溶解率が78%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0027】
本発明の粉末洗浄剤組成物の用途は特に限定されず、衣料用洗剤、食器用洗剤、台所用洗剤、風呂用洗剤、住居用洗剤、自動車用洗剤、金属用洗浄剤等として好適に用いられる。なかでも、衣料用粉末洗浄剤組成物として好適である。
【0028】
衣料用の場合の好ましい組成を以下に示す。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤を必要に応じ配合することができる。陰イオン界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルコールのエトキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩若しくはそのアルキルエステル塩、又は脂肪酸塩等が挙げられる。特に、炭素数が10〜18、好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
【0029】
非イオン界面活性剤としては、高級アルコールのエチレンオキシド(以下「EO」という)付加物、若しくはEO/プロピレンオキシド(以下「PO」という)付加物、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等が挙げられる。特に炭素数が10〜16のアルコールのEO1〜10モル付加物が皮脂汚れの除去、耐硬水性、生分解性の点、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩との相性の点で好ましい。
【0030】
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミノプロピルベタイン等が、陽イオン界面活性剤としては、モノ(又はジ)長鎖アルキル型第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0031】
粉末洗浄剤組成物中の界面活性剤の配合量は、5〜50質量%が好ましい。溶解性のために、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下であり、洗浄力のために、より好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。また前記界面活性剤濃度範囲の条件下において、界面活性剤中の非イオン界面活性剤が占める割合は、好ましくは5〜100質量%、より好ましくは20〜100質量%、及び陰イオン界面活性剤が占める割合は、好ましくは5〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%である。
【0032】
更に詳しく制限する場合、前記界面活性剤濃度範囲並びに前記界面活性剤中を占める非イオン界面活性剤濃度範囲及び前記界面活性剤中を占める陰イオン界面活性剤濃度範囲の条件下で、界面活性剤中に非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤を合計が占める割合が、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%であることが好ましい。
【0033】
(ビルダー)
ビルダーとしては、無機ビルダーおよび有機ビルダーが挙げられる。
【0034】
無機ビルダーとしては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウムなどのアルカリ性無機塩や、硫酸塩、亜硫酸塩、硫酸水素塩、塩酸塩、リン酸塩等の水溶性無機塩類などを配合することができる。また、水軟化剤として、ゼオライトなどの結晶質アルミノ珪酸塩、非晶質アルミノ珪酸塩などのアルミノ珪酸塩が挙げられる。有機ビルダーとしては、例えばニトリロトリ酢酸塩(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸塩(EDTA)クエン酸塩やフマル酸塩等の水溶性有機酸塩類、ポリアクリル酸又はその塩、カルボキシメチルセルロースやポリエチレングリコールなどの高分子化合物等、が挙げられる。
【0035】
粉末洗浄剤組成物中のビルダーの配合量としては、1〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましい。
【0036】
(その他の成分)
また、その他の洗浄成分として、酵素、漂白剤(水との接触で発泡しない過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、柔軟化剤、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)香料等を含有することができるが、それらの粉末洗浄剤組成物中の含有量としては、配合目的に応じて、0.1〜60質量%、更に0.1〜50質量%から選択することができる。
【0037】
脂肪酸処理した発泡性過炭酸ナトリウム以外の粉末洗浄剤組成物を構成している成分の一部又は全部は、洗浄剤としての基本組成であるベース洗剤を構成していてもよい。ベース洗剤は、基本的には、界面活性剤とビルダーを主剤として構成されており、任意に自由水を含有してもよい。更には、本発明ではベース洗剤を構成している複数成分が緊密混合された粒子ないし粉末をベース洗剤粒子というものとする。緊密混合は、単純に各成分を混ぜただけのものではなく、後述するように、複数の成分が1つの粒子として造粒されたもの、又は複数の成分がスラリー化された後、乾燥され、必要に応じて粉砕及び/又は造粒するなどして得られたものを指す。ベース洗剤粒子とする場合は、ビルダー以外の表面改質剤、香料、蛍光染料及びシリコーンなど抑泡剤、着色剤等の任意成分を、製造コストや製造工程の簡便化の観点から、噴霧ないし添加してベース洗剤粒子表面に存在させてもよく、又は粒子化の工程で構成成分と伴に混合することで含有してもよい。その場合、該任意成分の安定性のみならず、粉末洗浄剤組成物の溶解性を考慮した上で配合される。
【0038】
なお、酵素、漂白活性化剤及び本発明の脂肪酸被覆された発泡性炭酸ナトリウム以外の漂白剤は、通常別途粒状化された粒子(例えば、平均重量粒子径100μm〜2000μm)として配合することが一般的であり、本発明ではこれら粒子をベース洗剤とは別成分として考えるものとする。また抑泡剤、香料又は柔軟化剤は、組成物中の含有濃度を高める場合、他の成分による悪い影響を受ける場合、或いは粒状化することで粉末物性上、有利な場合は、別途粒子化して該剤の目的に特化した粒子として配合する場合があり、その場合もまた、該成分はベース洗剤以外の要件とする。
【0039】
本発明に用いられるベース洗剤は、(A)界面活性剤5〜80質量%、(B)ビルダー1〜80質量%及び任意の水分を含有すること、好ましくは(A)界面活性剤、(B)ビルダー及び任意の水分の合計が、ベース洗剤中の90質量%以上、より好ましくは95質量%以上を占めることが好ましく、特には実質的に(A)界面活性剤、(B)ビルダー及び任意の水分からなることが最も好ましい。各質量%はベース洗剤中の含有量である。
【0040】
(A)界面活性剤としては、前記した界面活性剤を公知の組合せで配合することができ、陰イオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。従来、ゲル化を生じやすいと考えられているような界面活性剤や界面活性剤の組合せであっても、本発明によると溶解性改善に優位である。界面活性剤は、ベース洗剤中の含有量として、5〜80質量%、更には10〜50質量%含有することがより好ましい。特には前記界面活性剤濃度範囲において、陰イオン界面活性剤をベース洗剤中に1〜50質量%及び非イオン界面活性剤を1〜50質量%含有することが最も好ましい。
【0041】
また(B)ビルダーとしては、ベース洗剤中の含有量として、1〜80質量%、更には5〜70質量%含有することがより好ましい。特には前記ビルダー濃度範囲において、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩を1〜70質量%、ゼオライトなどの結晶性又は非晶質アルミノ珪酸塩を0〜50質量%、2号珪酸ナトリウム又は結晶性層状珪酸ナトリウムのアルカリ金属珪酸塩を0〜50質量%、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及び塩化ナトリウムなどのその他水溶性無機塩を0〜20質量%、クエン酸塩等の水溶性有機酸塩を0〜10質量%、並びにポリアクリル酸(塩)及びポリアクリル酸−マレイン酸コポリマー(塩)などのアクリル酸系ポリマーを0〜20質量%、ポリエチレングリコールを0〜10質量%含有することが最も好ましい。
【0042】
なおベース洗剤中の各種成分の濃度限定は、前記の粉末洗剤組成物中の、界面活性剤濃度限定、各種界面活性剤濃度及びビルダー濃度の濃度限定の条件を伴った上での限定であってもよい。
【0043】
また前記ベース洗剤中の濃度と伴に示されたビルダーの分類は、粉末洗浄剤組成物中のビルダーの分類として扱うことができる。
【0044】
前記ベース洗剤の一部又は全部は(A)界面活性剤及び(B)ビルダーが緊密に混合された1つの粉末又は粒状のベース洗剤粒子であることが好ましく、その製造方法としては、公知の方法で製造することができる。例えば、界面活性剤とビルダーのスラリーを調製して噴霧乾燥し、必要に応じて、水や非イオン性化合物を用いて高密度粒子化する方法、或いは、無機粒子とアクリル酸系ポリマーのスラリーを噴霧乾燥させ、該粒子に液状の或いは溶解させた非イオン界面活性剤を吸蔵させる方法、粉末のアルカリ剤に非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤の酸剤の混合溶液を添加し、アルカリ剤の表面で中和させ、必要に応じて非晶質アルミノ珪酸塩や非晶質シリカなどの吸油担体を併用して造粒粒子を調整する方法、界面活性剤とビルダー成分の粉末成分を捏和・混合したペースト状ないし粘ちょう状体を押し出し造粒する方法がある。ベース洗剤粒子の表面は、ゼオライトやタルクなどの微粉末で表面処理されることが好ましい。ベース洗剤粒子の平均粒径は前記の粉末洗剤組成物の粒径範囲であることが好ましい。
【0045】
ベース洗剤粒子は、(A)界面活性剤、(B)ビルダー及び任意の水を主として含有するが、粉末洗浄剤組成物に配合される成分のうち、ベース洗剤が除外される成分である香料、蛍光染料、シリコーンなどの抑泡剤などの一部または全部は、ベース洗剤粒子に取り込まれていてもよい。ベース洗剤粒子はベース洗剤の成分の一部から構成されていてもよく、2種以上の構成成分の異なるベース洗剤粒子の組合せであってもよい。例えば、アルカリ金属炭酸塩の一部を除いた上で、界面活性剤とビルダーによるベース洗剤粒子を製造し、該ベース洗剤粒子に除いておいたアルカリ金属炭酸塩をドライ混合したものであってもよい。またアルカリ金属炭酸塩もまた造粒処理や非イオン界面活性剤又はポリエチレングリコール(PEG)などで表面処理したベース洗剤粒子にしてもよく、前記界面活性剤を主剤とするベース洗剤粒子と混合してもよい。すなわちベース洗剤の一部又は全部が1種又は複数のベース洗剤粒子であってもよい。
【0046】
また、本発明の粉末洗浄剤組成物中のベース洗剤の含有量は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、また、ペースト溶け残り抑制の観点から、97質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が最も好ましい。
【0047】
粉末洗浄剤組成物は、被覆発泡性過炭酸ナトリウムと、ベース洗剤と、下記粒子とを含んで構成される、下記組成表で示される組成物であることが好ましい。なお各粒子の平均粒径は前記の粉末洗浄剤組成物の粒径範囲であることが好ましい。
・被覆発泡性過炭酸ナトリウム 3〜50質量%
・ベース洗剤 30〜97質量%
・酵素粒子(プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、リパーゼなどが挙げられる。タンパク質として0.5〜90質量%含有する粒子) 0〜5質量%
・漂白活性化剤の粒子 0〜10質量%
・ベントナイト粒子 0〜40質量%
・その他粒子 0〜5質量%
合計 100質量%
【0048】
該組成表において、ベース洗剤は、(A)界面活性剤5〜80質量%及び(B)ビルダー1〜80質量%を含有することが好ましい。
【0049】
本発明の被覆発泡性過炭酸ナトリウムによる、ペースト状物の溶け残り抑制効果は、前記組成物表において、ベース洗剤中に界面活性剤を5〜60質量%、特には10〜50質量%、ゼオライトを1〜60質量%、特には1〜50質量%、炭酸ナトリウムを10〜60質量%、特には20〜50質量%を配合するような場合に特に有効である。更には、該組成物表において、構成成分やその濃度範囲は、前記したベース洗剤で説明した各種濃度に従うことが好ましい。特には前記組成物表において、ベース洗剤中の50〜100質量%はベース洗剤粒子からなることが好ましい。
【0050】
本発明は、被覆発泡性過炭酸ナトリウムを、ペースト状物の溶け残りの課題が懸念される洗浄剤に添加するだけで、該課題を改善するという簡便性を有するだけでなく、被覆発泡性過炭酸ナトリウムによる漂白剤としての効果もまた有するという点からも利用性に優れた発明である。
【実施例】
【0051】
〔1〕評価方法
下記の実施例及び比較例で採用した測定法ないし評価法を以下に示す。
(1−1)粉末洗剤組成物の平均粒径
目開き125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの9段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの顆粒を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(株式会社平工製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け5分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留した粒子の質量を測定し、各篩上の粒子の質量割合(%)を算出した。受け皿から順に目開きの小さな篩上の粒子の質量割合を積算していき合計が50%となる粒径を平均粒径とした。
【0052】
(1−2)トレイ残留量
容量70mLの舟型プラスチックトレイ(バランストレイ、100mm×60mm×25mm、アズワン株式会社製)に20℃の水道水を30mL添加する。その上に粉末洗浄剤組成物40gを添加し、20℃で1時間静置する。その後、トレイを逆さにして、粉末を落とし、水にぬれてペースト化し、トレイに貼りついた洗剤ペーストの質量を測定する。この洗剤ペーストが貼りついたトレイを、35度の傾斜がついた台に固定する。次に直径5cmの円形の面に250μmの穴が500個あいたシャワーノズルをトレイ底面より5cm上方に固定し、そこから20℃の水道水を0.06MPaの水圧でシャワーし、トレイの中のペーストを20秒間洗い流す。残ったペーストを乾燥した後、質量を測定し、次式によってトレイ残留量の割合を算出した。
トレイ残留量(%)=〔シャワー後にトレイに残った洗剤の質量(g)/シャワー前のペーストの質量(g)〕×100
【0053】
(1−3)60秒溶解率
5℃の水道水1Lを1リットルビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば岩城硝子株式会社製)の中に満たし、5℃の水温をウオーターバスにて一定に保った状態で、攪拌子(長さ35mm、直径8mm、例えば型式:ADVANTEC社製、テフロン(登録商標)丸型細型)にて水深に対する渦巻きの深さが1/3となる回転数(1000rpm)で攪拌する。0.8333±0.0010gとなるように秤量した粉末洗浄剤組成物を攪拌下に水中に投入・分散させ攪拌を続ける。投入から1分後にビーカー中の洗浄剤組成物分散液を質量既知の200メッシュの標準篩(直径100mm)で濾過し、篩上に残留した含水状態の洗浄剤組成物を篩と共に質量既知の開放容器に回収する。尚、濾過開始から篩を回収するまでの操作時間を10±2秒とする。回収した洗浄剤組成物の溶残物を105℃に加熱した電気乾燥機にて1時間乾燥し、その後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持して冷却する。冷却後、乾燥した洗浄剤組成物の溶残物と篩と回収容器の合計の質量を測定し、次式によって洗浄剤組成物の溶解率(%)を算出する。
60秒溶解率(%)=(1−T/S)×100
S:洗浄剤組成物の投入質量(g)
T:上記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する洗浄剤組成物の溶残物の乾燥質量(g)
【0054】
(2)ベース洗剤の製造例
イオン交換水を200mmの長さの攪拌羽根を有する混合槽(容量:180L)に添加し、攪拌しながら加熱した。水温が55℃に達した後に、炭酸ナトリウム(デンス灰、セントラル硝子社製)を添加し、次に硫酸ナトリウム(無水中性ボウ硝,四国化成社製)を添加して15分間攪拌した。その後40質量%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液(重量平均分子量10000、花王(株)製)を添加し、次いで塩化ナトリウム(やき塩、日本製塩社製)を添加して15分間攪拌した後、4A型ゼオライトを添加し、30分間攪拌して均質なスラリー(水分量53質量%)60kgを得た。このスラリーを噴霧乾燥して水分量1.2質量%のベース顆粒を得た。得られたベース顆粒の組成は、塩化ナトリウム8質量%、ポリアクリル酸ナトリウム12質量%、炭酸ナトリウム28質量%、硫酸ナトリウム26質量%、ゼオライト26質量%で構成されていた。次に、このベース顆粒に次のようにして界面活性剤等を添加することにより、ベース洗剤粒子を得た。
【0055】
容量5Lのレディゲミキサー(ラボミキサーM−5型松坂貿易製)に上記ベース顆粒を36質量部投入し、100rpmで攪拌を開始した。そこに、70℃の界面活性剤混合液(非イオン界面活性剤39質量%、陰イオン界面活性剤46質量%、ポリエチレングリコール2質量%及び水13質量%で構成された液体)20質量部を3分間で投入し、5分間攪拌を行った。更に、このミキサーにパルミチン酸〔花王(株)製、商品名:ルナックP−95〕1質量部を30秒間で添加し、その後3分間攪拌を行った。更にこのミキサーに結晶性シリケート2質量部、ソーダ灰24質量部とゼオライト17質量部、を投入し、表面被覆を行い、目開き1180μmの篩を用いて洗剤粒子を分級し、1180μm未満の粒径のベース洗剤粒子を得た。ベース洗剤粒子の平均粒径は320μmであった。
【0056】
実施例1
ジャケット温度を70℃に加熱した、容量5Lのレディゲミキサー(ラボミキサーM−5型、松坂貿易製)に平均粒径390μmの発泡性過炭酸ナトリウム(PC−NB(日本パーオキサイド(株)製)の顆粒1kgを添加し、130rpmの回転数で撹拌した。顆粒の温度が40℃以上となったところで、あらかじめ60℃の温度で溶融したラウリン酸(ルナックL−98、花王(株)製)10gを1分間で添加した。添加終了後、3分間攪拌し、顆粒をレディゲミキサーから排出した。顆粒の温度が室温になるまで冷却し、1000μmの篩いを通過させた。得られた顆粒(平均粒径388μm)を被覆発泡性過炭酸ナトリウムとした。得られた被覆発泡性過炭酸ナトリウム200gとベース洗剤粒子800gをよく混合して、粉末洗浄剤組成物(平均粒径320μm)を得た。この粉末洗浄剤組成物について、トレイ残留量と60秒溶解率を測定した結果を表1に示す。
【0057】
実施例2〜6
脂肪酸の被覆量を表1のように変えた以外は実施例1と同様の方法で被覆発泡性過炭酸ナトリウムを調製し、それらを用いて粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0058】
実施例7〜10
実施例3の被覆発泡性過炭酸ナトリウムを用い、ベース洗剤粒子との混合比を表1のように変えた以外は、実施例3と同様の手法で粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例11〜12
脂肪酸の種類を表1のように変えた以外は、実施例3と同様の手法で被覆発泡性過炭酸ナトリウムを調製し、それらを用いて粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0060】
比較例1
実施例1において、被覆発泡性過炭酸ナトリウムに代えて、脂肪酸で被覆しない原料発泡性過炭酸ナトリウムを用いた以外は実施例1と同様の方法で粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0061】
比較例2
実施例3の被覆発泡性過炭酸ナトリウムを用い、ベース洗剤粒子との混合比を表1のように変えた(被覆発泡性過炭酸ナトリウムが組成物中2質量%)以外は、実施例3と同様の手法で粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0062】
比較例3〜4
脂肪酸の種類を表1のように変えた以外は、実施例3と同様の手法で被覆発泡性過炭酸ナトリウムを調製し、それらを用いて粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0063】
比較例5
実施例1において、被覆発泡性過炭酸ナトリウムを配合せずに、ベース洗剤粒子のみで粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0064】
比較例6
実施例1において、被覆発泡性過炭酸ナトリウムに代えて、発泡性を有しない過炭酸ナトリウム(KCPZ−S、日本パーオキサイド製、未被覆、表中「非発泡性過炭酸ナトリウム」と表示)を用いた以外は実施例1と同様の方法で粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0065】
比較例7
実施例3において、発泡性過炭酸ナトリウムに代えて、発泡性を有しない過炭酸ナトリウム(KCPZ−S、日本パーオキサイド製、表中「非発泡性過炭酸ナトリウム」と表示)による、被覆過炭酸ナトリウムを用いた以外は実施例3と同様の方法で粉末洗浄剤組成物を得た。粉末洗浄剤組成物の組成と評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
*1 発泡性過炭酸ナトリウムに対する脂肪酸の質量%
【0068】
実施例13
ドラム式洗濯機(Na−V82、ナショナル製)の洗剤トレイに20℃の水道水を3g添加し、その上に実施例3で得られた粉末洗浄剤組成物60gを添加した。洗濯機の設定を自分流(水位:少量、洗い:7分、すすぎ:なし、脱水1分、予約:3時間)に設定し、衣類を入れずに洗濯をスタートした。洗濯が終了したあとトレイを引きだしたところ、洗剤のペーストは残留していなかった。
【0069】
比較例8
比較例5の粉末洗浄剤組成物(ベース洗剤粒子)を用いた以外は実施例13と同様の方法で行った。その結果、3gの洗剤ペーストがトレイ上に残留していた。
【0070】
以上より、本発明の炭素数12〜16の脂肪酸で被覆した発泡性過炭酸ナトリウムを含有する粉末洗浄剤組成物は、洗濯機のトレイの残留抑制効果を発揮することは明らかである。
【0071】
なお、市販の非発泡性過炭酸ナトリウムを、115℃で、20〜60分に処理することによって、発泡量が5〜30mlの発泡性過炭酸ナトリウムを調製し、該発泡性過炭酸ナトリウムを用いて、前記実施例と同様の実験を行なうと、同様にペースト状物の溶け残り抑制された粉末洗浄剤組成物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水との接触で発泡する過炭酸ナトリウムを炭素数12〜16の脂肪酸で被覆してなる被覆発泡性過炭酸ナトリウムを3〜50質量%含有する粉末洗浄剤組成物。
【請求項2】
水と接触で発泡する過炭酸ナトリウム100質量部あたりに炭素数12〜16の脂肪酸を1〜30質量部で被覆してなる被覆発泡性過炭酸ナトリウムを用いる請求項1に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項3】
ベース洗剤を30〜97質量%含有する請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項4】
ベース洗剤が、(A)界面活性剤5〜80質量%及び(B)ビルダー1〜80質量%を含有する請求項3に記載の粉末洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−158646(P2012−158646A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17733(P2011−17733)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】