説明

粉末消泡剤

【課題】広い温度範囲(2〜95℃)で消泡性に優れる粉末消泡剤を提供することである。
【解決手段】疎水性シリカ(A1)及び−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(A2)を含んでなる疎水性シリカ分散液(A)と、親水性シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の多孔質粉体(B)とからなることを特徴とする粉末消泡剤を用いる。多孔質粉体(B)は0.5〜1000m2/gのBET比表面積と、10〜500ml/100gのDBP吸油量とを有することが好ましい。疎水性シリカ分散液(A)及び多孔質粉体(B)の合計重量に基づいて、(A)の含有量が1〜70重量%、(B)の含有量が30〜99重量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末消泡剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性キャリヤ(リン酸、ポリリン酸、炭酸などのアルカリ金属塩)に疎水性シリカとロウ(凝固点40〜120℃)とを吸収させた粉末消泡剤(特許文献1)等が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開昭57−180408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の粉末消泡剤では、高い温度(およそ80〜95℃)では良好な消泡性を発揮するが、低い温度(およそ2〜75℃)では十分な消泡性が得られないという問題がある。すなわち、本発明の目的は、広い温度範囲(2〜95℃)で消泡性に優れる粉末消泡剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に達した。すなわち本発明の粉末消泡剤の特徴は、疎水性シリカ(A1)及び−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(A2)を含んでなる疎水性シリカ分散液(A)と、親水性シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の多孔質粉体(B)とからなることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の粉末消泡剤は、従来の粉末消泡剤に比べて、広い温度範囲(2〜95℃)で優れた消泡性能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
疎水性シリカとは、親水性シリカを疎水化処理した酸化ケイ素微粒子を意味する。
一方、親水性シリカとは、疎水化処理していない酸化ケイ素微粒子を意味する。
疎水化処理は、親水性シリカを疎水化剤で処理する公知の方法(たとえば、特公昭42−26179号公報)により達成できる。
【0008】
親水性シリカとしては、湿式法シリカ(シリカヒドロゲル中の水分を、70℃以下の沸点を持ち、かつ水との混和性を有する溶媒(メタノール、アセトン、ギ酸メチル、酢酸メチル等)にて置換した後、加熱して該溶媒を除去することにより得られるコロイドシリカ)、熱分解法シリカ(四塩化ケイ素を焼いて生じたシリカ煤からなるコロイドシリカ)及び溶融固体法シリカ(ケイ酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウムイオンを滴下することにより凝集して得られるシリカ粒子)等が含まれる。
これらのうち、消泡性の観点等から、熱分解法シリカ及び溶融固体法シリカが好ましく、さらに好ましくは溶融固体法シリカである。
【0009】
親水性シリカの体積平均粒子径(μm)は、1〜50が好ましく、さらに好ましくは1.5〜40、特に好ましくは2〜30である。この範囲であると消泡性がさらに向上する。
なお、親水性シリカの体積平均粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準拠したレーザー回折式粒度分析計{例えば、Leeds&Northrup社製Microtrac Model No.MT3300EX}を用い、電気伝導度(25℃)0.1mS/m以下の脱イオン水1000重量部に、測定試料濃度0.1重量%となるように測定試料を添加して測定分散液を調製して、測定温度25±5℃で測定した後、水の屈折率として1.333を、測定試料の屈折率として文献値(「A GUIDE FOR ENTERING MICROTRAC ”RUN INFORMATION”(F3)DATA」、Leeds&Northrup社作成)を用いて、50%積算体積平均粒子径として求められる。
【0010】
親水性シリカのBET法による比表面積(m2/g)は、100〜450が好ましく、さらに好ましくは150〜400、特に好ましくは250〜350である。この範囲であると消泡性はさらに向上する。
なお、比表面積は、JIS R1626−1996(一点法)に準拠して測定される値である{測定試料:50mg(200℃で15分間加熱処理したサンプル)、吸着量の測定方法:定溶法、吸着質:混合ガス(N270体積%、He30体積%)、測定平衡相対圧:0.3、装置:たとえば、大倉理研社製、全自動粉体表面測定装置 AMS−8000}。
【0011】
親水性シリカのフタル酸ジ-n-ブチル(DBP)吸油量(ml/100g)は、10〜500が好ましく、さらに好ましくは50〜400、特に好ましくは100〜300である。この範囲であると消泡性はさらに良好となる。
なお、DBP吸油量は、JIS K5101−1991に準拠して測定される値である[多孔質粉体にDBPを滴下しつつ練り合わせ、全体がかたい1つの塊となる点を終点とする]。
【0012】
疎水性シリカについて、体積平均粒子径(μm)は、BET法による比表面積(m2/g)及びフタル酸ジ-n-ブチル(DBP)吸油量(ml/100g)は、それぞれ、親水性シリカと同様であり、好ましい範囲も同じである。
なお、疎水性シリカの体積平均粒子径は、「電気伝導度(25℃)0.1mS/m以下の脱イオン水」及び「 水の屈折率として1.333」を、「メタノール{純度99重量%以上、和光純薬工業(株)製}」及び「メタノールの屈折率として1.329」に変更したこと以外、親水性シリカの体積平均粒子径と同様にして求められる。
【0013】
疎水化剤としては、シリコーンオイル及び変性シリコーンオイル等が含まれる。
シリコーンオイルとしては、動粘度10〜3000(mm2/s、25℃)のジメチルシロキサン等が挙げられ、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサン等も含まれる。
変性シリコーンとしては、上記のジメチルシロキサンのメチル基の一部を炭素数2〜6のアルキル基、炭素数2〜4のアルコキシル基、フェニル基、水素原子、ハロゲン(塩素及び臭素等)原子、及び/又は炭素数2〜6のアミノアルキル基等に置き換えたもの等が含まれる。
【0014】
疎水化剤の使用量(重量%)としては、親水性シリカの重量に基づいて、5〜70が好ましく、さらに好ましくは7〜50、特に好ましくは10〜30である。この範囲であると消泡性がさらに優れる。
疎水化処理の温度(℃)としては、100〜400が好ましく、さらに好ましくは150〜350、特に好ましくは200〜300である。
【0015】
疎水化処理には、溶媒{炭化水素油、動粘度(mm2/s、40℃)5〜30のパラフィンオイル及びプロセスオイル等}及び反応触媒(硫酸、硝酸、塩酸、ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−ニトロ安息香酸、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)等が使用できる。
【0016】
疎水性シリカ(A1)は市場から容易に入手でき、商品名として、Nipsilシリーズ(SS−10、SS−40、SS−50及びSS−115等、日本シリカ株式会社);AEROSILシリーズ(R972、RX200、RY200、R202、R805及びR812等、日本アエロジル株式会社);TS−530、TS−610、TS−720等(キャボットカーボン社);Sipernatシリーズ(D10、D17、C600及びC630等、デグサジャパン株式会社);REOLOSILシリーズ(MT−10、DM−10及びDM−20S等、株式会社トクヤマ);並びにSYLOPHOBICシリーズ(100、702、505及び603等、富士シリシア化学株式会社)等が挙げられる。
【0017】
−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(A2)としては、鉱物油、動植物油及び合成潤滑油等が挙げられる。この流動点(℃)は、−50〜0が好ましく、さらに好ましくは−40〜−5、特に好ましくは−30〜−10である。この範囲であると消泡性はさらに向上する。なお、流動点は、JIS K 2269−1987(3.流動点試験法)に準拠して測定される。
鉱物油としては、スピンドル油、マシン油及び冷凍機油等が挙げられる。
動植物油としては、魚油、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、トウモロコシ油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油及びパーム核油等が挙げられる。
合成潤滑油としては、ポリオレフィン油(α―オレフィン油)、ポリグリコール油、ポリブテン油、アルキルベンゼン油(アルキレート油)及びイソパラフィン油等が挙げられる。
【0018】
炭化水素油(A2)は市場から容易に入手でき、例えば、表1の商品等が挙げられる。
【表1】

【0019】
疎水性シリカ(A1)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)[疎水性シリカ(A1)及び炭化水素油(A2)の合計]の重量に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.3〜15、特に好ましくは0.5〜10である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0020】
炭化水素油(A2)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)[疎水性シリカ(A1)及び炭化水素油(A2)の合計]の重量に基づいて、80〜99.9が好ましく、さらに好ましくは85〜99.7、特に好ましくは90〜99.5である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0021】
疎水性シリカ分散液(A)には、疎水性シリカ(A1)及び炭化水素油(A2)以外に、他の構成成分(シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン化合物、水溶性高分子、天然ワックス、合成ワックス、炭素数12〜30のアルコール、炭素数12〜30のカルボン酸エステル及び炭素数8〜30の脂肪酸アミド等)を含んでもよい。さらに、添加剤(公知の界面活性剤、増粘剤、防腐剤及び溶剤等)を含んでもよい。他の構成成分及び添加剤は、それぞれ2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の構成成分のうち、シリコーンオイルとしては、公知のシリコーンオイル等が含まれ、疎水化剤として用いられるシリコーンオイル及び変性シリコーンオイル等が使用できる。
他の構成成分のうち、ポリオキシアルキレン化合物、水溶性高分子、天然ワックス、合成ワックス、炭素数12〜30のアルコール、炭素数12〜30のカルボン酸エステル及び炭素数8〜30の脂肪酸アミドとしては、公知のもの(たとえば、特開2005−313039号公報)等が使用できる。
添加剤としては、公知のもの(たとえば、特開2005−313039号公報)等が使用できる。
他の構成成分及び/又は添加剤を含有する場合、これらの合計含有量(重量%)は、疎水性シリカ(A1)の重量に基づいて、1〜7000が好ましく、さらに好ましくは100〜6000、特に好ましくは200〜5000である。
【0022】
疎水性シリカ分散液(A)は、疎水性シリカ(A1)、炭化水素油(A2)、並びに必要により他の構成成分及び/又は添加剤を均一に混合することにより得られる。
均一に混合する装置としては、均一混合できる装置であれば制限なく、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ニーダー及びラインミキサー等が使用できる。なお、これらの装置は任意に組み合わせて使用できる。
【0023】
多孔質粉体(B)としては、親水性シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種であれば制限ないが、炭酸カルシウム及び親水性シリカが好ましく、さらに好ましくは親水性シリカである。
なお、親水性シリカとしては、疎水性シリカを疎水化処理を行う前の上記親水性シリカ(湿式法シリカ、熱分解法シリカ及び溶融固体法シリカ等)等が挙げられる{体積平均粒子径は、上記の親水性シリカと、同じでも、相違してもよく、多孔質粉体(B)としての親水性シリカの体積平均粒子径は後述する。}。
【0024】
多孔質粉体(B)のBET比表面積(m2/g)は、0.5〜1000が好ましく、さらに好ましくは50〜800、特に好ましくは100〜500である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0025】
多孔質粉体(B)のフタル酸ジ-n-ブチル(DBP)吸油量(ml/100g)は、10〜500が好ましく、さらに好ましくは50〜400、特に好ましくは100〜300である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0026】
多孔質粉体(B)の体積平均粒子径(μm)は、0.1〜1000が好ましく、さらに好ましくは3〜500、特に好ましくは5〜300である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
なお、多孔質粉体(B)の体積平均粒子径は、親水性シリカの体積平均粒子径測定法と同様にして求められる。
【0027】
疎水性シリカ分散液(A)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)及び多孔質粉体(B)の合計重量に基づいて、1〜70が好ましく、さらに好ましくは10〜65、特に好ましくは20〜60である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0028】
多孔質粉体(B)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ分散液(A)及び多孔質粉体(B)の合計重量に基づいて、30〜99が好ましく、さらに好ましくは35〜90、特に好ましくは40〜80である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0029】
本発明の粉末消泡剤の形態としては、疎水性シリカ分散液(A)と多孔質粉体(B)とからなるものであれば特に限定されることなく、塊状(重量平均粒子径:10mm以上50mm未満)、粒状(重量平均粒子径:50μm以上10mm未満)、粉末状(重量平均粒子径:0.05μm以上50μm未満)等が挙げられるが、作業性等の観点から、粉末状または粒状が好ましく、特に好ましくは粉末状である。
なお、粉末消泡剤の重量平均粒子径は、JIS K0069−1992(粒子径45μm以上の粒子が多い場合は6.1乾式ふるい分け試験方法、粒子径45μm以下の粒子が多い場合は6.2湿式ふるい分け試験方法)に準拠して測定される。
【0030】
本発明の粉末消泡剤の製造方法としては特に制限は無いが、攪拌混合装置に疎水性シリカ分散液(A)及び多孔質粉体(B)を仕込み、攪拌混合する方法が好ましい。攪拌混合装置に(A)及び(B)を仕込む方法としては、(A)及び(B)の全量を一括して投入する方法(1)、(A)の全量に(B)を少量ずつ連続又は分割して投入する方法(2)、(B)の全量に(A)を少量ずつ連続又は分割して投入する方法(3)、(A)と(B)を同時に少量ずつ連続又は分割して投入する方法(4)等が適用できる。
これらのうち、製造効率の観点等から、(B)の全量に(A)を少量ずつ連続又は分割して投入する方法(4)が好ましい。
【0031】
攪拌混合装置としては、公知の攪拌混合装置が使用でき、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、ニーダー、ラインミキサー、リボンミキサー、傾胴ミキサー、オムニミキサー及びヘンシェルミキサー等が例示される。
【0032】
本発明の粉末消泡剤は、水性発泡液に対して効果的であり、建材(コンクリート、モルタル、プラスター等)用消泡剤及び塗料(水性塗料、紙塗工塗料等)用消泡剤等として使用することができる。
これらのうち、建材用消泡剤として適しており、さらにモルタル及びプラスター用消泡剤として好適である。
これらのモルタル及びプラスターとしては、ドロマイト又はセメント(ケイ酸石灰質セメント及びアルミン酸石灰質セメント等)及び石膏(α石膏及びβ石膏等)等の水硬化性物質を主成分とし、水、水溶性高分子、珪砂等の細骨材、高炉スラグ、フライアッシュ及びシリカヒューム等の混和材料、並びにナイロン、ポリプロピレン、ガラス、スチール及びカーボン等の繊維補強材等を適宜含むもの等が挙げられる。
【0033】
本発明の粉末消泡剤の使用量(重量%)は、水性発泡液の重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.03〜15、特に好ましくは0.05〜10である。この範囲であると、消泡性がさらに良好となる。
【0034】
本発明の粉末消泡剤は、公知の添加剤(材)を併用することができる。併用できる添加剤としては、増粘剤、防水剤、遅延剤、早強剤、促進剤、減水剤、高性能減水剤、起泡剤、発泡剤、AE剤、高性能AE剤、急結剤、凝結剤、膨張剤、潤滑剤、水和熱低減剤、防凍剤、ポンプ圧送向上剤、アルカリ骨材反応抑制剤、エフロレッセンス防止剤、ポリマー混和剤、防錆剤及び他の界面活性剤等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
次に、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下、特記しない限り部は重量部を、%は重量%を意味する。
<実施例1>
ステンレスビーカーに炭化水素油(a21)[ピュアスピンE、流動点0℃、コスモ石油ルブリカンツ(株)製]99.9部と疎水性シリカ(a11)[Nipsil SS−10、BET比表面積87m2/g、DBP吸油量200ml/100g、体積平均粒子径3μm、東ソー・シリカ(株)製]0.1部を投入した後、ホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G、タイテック(株)製)にて4000rpmで攪拌しつつ、180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌をして疎水性シリカ分散液(a1)を得た。なお、分散度試験[JIS K5600−2−5:1999(ISO 1524:1983に対応)]にて5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
次にリボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)に親水性シリカ(b1)[Nipsil KQ、BET比表面積220m2/g、DBP吸油量220ml/100g、体積平均粒子径20μm、東ソー・シリカ(株)製]30部を仕込み、攪拌しながら疎水性シリカ分散液(a1)70部を一定速度で10分かけて滴下した。さらに0.5時間攪拌して均一化して、本発明の粉末消泡剤1を得た。
【0036】
<実施例2>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a21)99.7部及び疎水性シリカ(a11)0.3部に変更した以外以外実施例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a2)を得た。
次に親水性シリカ(b1)30部及び疎水性シリカ分散液(a1)70部を、親水性シリカ(b2)[Nipsil NA、BET比表面積160m2/g、DBP吸油量250ml/100g、体積平均粒子径12μm、東ソー・シリカ(株)製]35部及び疎水性シリカ分散液(a2)65部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の粉末消泡剤2を得た。
【0037】
<実施例3>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a21)99.5部及び疎水性シリカ(a11)0.5部に変更した以外以外実施例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a3)を得た。
次に親水性シリカ(b1)30部及び疎水性シリカ分散液(a1)70部を、親水性シリカ(b3)[Nipsil ER、BET比表面積100m2/g、DBP吸油量180ml/100g、体積平均粒子径11μm、東ソー・シリカ(株)製]40部及び疎水性シリカ分散液(a3)60部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の粉末消泡剤3を得た。
【0038】
<実施例4>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a22)[ピュアスピンG、流動点−10℃、コスモ石油ルブリカンツ(株)製]95部及び疎水性シリカ(a12)[Nipsil SS−50、BET比表面積75m2/g、DBP吸油量170ml/100g、体積平均粒子径1μm、東ソー・シリカ(株)製]5部に変更した以外以外実施例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a4)を得た。
次に親水性シリカ(b1)30部及び疎水性シリカ分散液(a1)70部を、親水性シリカ(b4)[SYLYSIA 370、BET比表面積300m2/g、DBP吸油量300ml/100g、体積平均粒子径6μm、富士シリシア化学(株)製]55部及び疎水性シリカ分散液(a4)45部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の粉末消泡剤4を得た。
【0039】
<実施例5>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a23)[スタノールLP−35、流動点−50℃、エッソ石油(株)製]90部及び疎水性シリカ(a13)[Sipernat D10、BET比表面積90m2/g、DBP吸油量230ml/100g、体積平均粒子径5μm、デグサジャパン(株)製]10部に変更した以外以外実施例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a5)を得た。
次に親水性シリカ(b1)30部及び疎水性シリカ分散液(a1)70部を、親水性シリカ(b5)[SYLYSIA 530、BET比表面積500m2/g、DBP吸油量160ml/100g、体積平均粒子径3μm、富士シリシア化学(株)製]70部及び疎水性シリカ分散液(a5)30部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の粉末消泡剤5を得た。
【0040】
<実施例6>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a21)90部及び疎水性シリカ(a13)[Sipernat D10、BET比表面積90m2/g、DBP吸油量230ml/100g、体積平均粒子径5μm、デグサジャパン(株)製]10部に変更した以外以外実施例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a6)を得た。
次に親水性シリカ(b1)30部及び疎水性シリカ分散液(a1)70部を、親水性シリカ(b6)[SYLYSIA 710、BET比表面積700m2/g、DBP吸油量100ml/100g、体積平均粒子径3μm、富士シリシア化学(株)製]80部及び疎水性シリカ分散液(a6)20部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の粉末消泡剤6を得た。
【0041】
<実施例7>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a21)85部及び疎水性シリカ(a11)15部に変更した以外実施例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a7)を得た。
次に親水性シリカ(b1)30部及び疎水性シリカ分散液(a1)を70部を、炭酸マグネシウム(b7)[商品名:金星、BET比表面積130m2/g、DBP吸油量130ml/100g、体積平均粒子径6μm、林化成(株)製]50部及び疎水性シリカ分散液(a3)50部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の粉末消泡剤7を得た。
【0042】
<実施例8>
炭化水素油(a21)99.9部及び疎水性シリカ(a11)0.1部を、炭化水素油(a22)80部及び疎水性シリカ(a11)20部に変更した以外実施例1と同様にして、疎水性シリカ分散液(a8)を得た。
次に親水性シリカ(b1)30部及び疎水性シリカ分散液(a1)を70部を、カーボンブラック(b8)[ケッチェンブラックEC、BET比表面積800m2/g、DBP吸油量360ml/100g、体積平均粒子径40μm、ライオン(株)製]60部及び疎水性シリカ分散液(a8)40部に変更した以外実施例1と同様にして、本発明の粉末消泡剤8を得た。
【0043】
<実施例9>
ステンレスビーカーに炭化水素油(a22)90部と疎水性シリカ(a11)9.9部とシリコーンオイル(c1)[TSF551−500、ジーイー東芝シリコーン]0.1部とを投入した後、ホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G、タイテック(株)製)にて4000rpmで攪拌しつつ、180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌をして疎水性シリカ分散液(a9)を得た。なお、分散度試験[JIS K5600−2−5:1999(ISO 1524:1983に対応)]にて5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
次にリボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)に酸化アルミニウム(b9)[UA−5035、BET比表面積0.5m2/g、DBP吸油量15ml/100g、体積平均粒子径15μm、昭和電工(株)製]70部を仕込み、攪拌しながら疎水性シリカ分散液(a9)30部を一定速度で10分かけて滴下した。さらに0.5時間攪拌して均一化して、本発明の粉末消泡剤9を得た。
【0044】
<実施例10>
ステンレスビーカーに炭化水素油(a22)80部と疎水性シリカ(a11)10部を投入した後、ホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G、タイテック(株)製)にて4000rpmで攪拌しつつ、180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌後、25℃まで冷却を行い、ポリオキシアルキレン化合物(c2)[ニューポールLB−1715、三洋化成工業(株)]10部を投入して、1000rpmで0.5時間攪拌して疎水性シリカ分散液(a10)を得た。なお、分散度試験[JIS K5600−2−5:1999(ISO 1524:1983に対応)]にて5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
次にリボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)に酸化チタン(b10)[EC−100、体積平均粒子径0.4μm、BET比表面積27m2/g、DBP吸油量30ml/100g、体積平均粒子径0.4μm、チタン工業(株)製]80部を仕込み、攪拌しながら疎水性シリカ分散液(a10)20部を一定速度で10分かけて滴下した。さらに0.5時間攪拌して均一化して、本発明の粉末消泡剤10を得た。
【0045】
<実施例11>
炭化水素油(a22)80部及びポリオキシアルキレン化合物(c1)10部を、炭化水素油(a22)70部及びポリオキシアルキレン化合物(c1)20部に変更した以外実施例10と同様にして、疎水性シリカ分散液(a11)を得た。
次に酸化チタン(b10)80部及び疎水性シリカ分散液(a10)20部を、炭酸カルシウム(b11)[エスカロン♯2200、BET比表面積2.2m2/g、DBP吸油量35ml/100g、体積平均粒子径2μm、三共精粉(株)製]90部及び疎水性シリカ分散液(a7)10部に変更した以外実施例10と同様にして、本発明の粉末消泡剤11を得た。
【0046】
<実施例12>
炭化水素油(a22)90部、疎水性シリカ(a11)9.9部及びシリコーンオイル(c1)0.1部を、炭化水素油(a22)29部、疎水性シリカ(a11)1部及びシリコーンオイル(c1)29部に変更した以外実施例5と同様にして、疎水性シリカ分散液(a12)を得た。
次に酸化アルミニウム(b9)70部及び疎水性シリカ分散液(a9)30部を、タルク(b12)[ミストロンベーパー、BET比表面積17m2/g、DBP吸油量50ml/100g、ソブエクレー(株)製]99部及び疎水性シリカ分散液(a8)1部に変更した以外実施例5と同様にして、本発明の粉末消泡剤12を得た。
【0047】
<比較例1>
ステンレスビーカーに炭化水素油(a24)[AROMAX 1、流動点5℃、富士興産(株)製]90部と疎水性シリカ(a11)10部を投入した後、ホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G、タイテック(株)製)にて4000rpmで攪拌しつつ、180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌をして疎水性シリカ分散液(a9)を得た。なお、分散度試験[JIS K5600−2−5:1999(ISO 1524:1983に対応)]にて5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
次にリボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)に親水性シリカ(b2)40部を仕込み、攪拌しながら疎水性シリカ分散液(a13)60部を一定速度で10分かけて滴下した。さらに0.5時間攪拌して均一化して、比較用の粉末消泡剤13を得た。
【0048】
<比較例2>
ステンレスビーカーに、約100℃に加熱したマイクロクリスタリンワックス[Hi−Mic1080、凝固点87℃、日本精蝋(株)製]95部と疎水性シリカ(a11)5部を投入した後、ホモジナイザー(ハイフレックスディスパーサーHG−92G、タイテック(株)製)にて4000rpmで攪拌しつつ、180℃まで昇温し、この温度にてさらに3時間加熱攪拌をして疎水性シリカ分散液(a10)を得た。なお、分散度試験[JIS K5600−2−5:1999(ISO 1524:1983に対応)]にて5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
次にリボンミキサー機(RMA−0045T、アルファ社製)に炭酸ナトリウム[純度99%以上、和光純薬工業(株)製]90部を仕込み、約100℃に加温した疎水性シリカ分散液(a10)10部を攪拌しながら一定速度で10分かけて滴下した。さらに0.5時間攪拌して均一化して、比較用の粉末消泡剤14を得た。
【0049】
実施例1〜12及び比較例1〜2で得た疎水性シリカ分散液(A)について表2に、粉末消泡剤について表3にそれぞれの組成(数値は重量部を示す)を示した。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
<消泡性評価方法>
実施例及び比較例で得た粉末消泡剤1〜14を用いて、以下のようにしてモルタルを調製し、消泡性の評価を行い、その結果を表5に示した。
表4に示した配合成分を所定温度(2、25、60又は95℃)で12時間温調を行い、配合成分のうち減水剤及び水以外の成分を表4の配合量で、モルタルミキサー[型式:C138A−486、(株)丸東製作所製]を用いて10秒間空練りした後、減水剤及び水を表4の配合量で加えて、3分間混練してモルタルを得た。次いでJIS A 1128:1999に準拠して、モルタルエアーメーター[型式:C13−S、(株)丸東製作所製]でモルタルに含まれる空気含有量を測定した。
【0053】
【表4】

【0054】
表4において、配合成分は、以下のものを使用した。
セメント :普通ポルトランドセメント、太平洋セメント(株)製
α型半水石膏:YGK、吉野石膏(株)製
珪砂6号 :愛知八草地区乾燥珪砂
減水剤 :三洋レベロン、三洋化成工業(株)製
増粘剤 :メチルセルロース(90SH−30000)、信越化学(株)製
【0055】
【表5】

【0056】
本発明の粉末消泡剤1〜8は、比較用の粉末消泡剤1〜3に比べ、広い温度範囲(2〜95℃)で空気量が低く、温度依存性のない極めて優れた消泡性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性シリカ(A1)及び−50〜2℃の流動点を有する炭化水素油(A2)を含んでなる疎水性シリカ分散液(A)と、親水性シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種の多孔質粉体(B)とからなることを特徴とする粉末消泡剤。
【請求項2】
多孔質粉体(B)が0.5〜1000m2/gのBET比表面積と、10〜500ml/100gのDBP吸油量とを有する請求項1に記載の粉末消泡剤。
【請求項3】
疎水性シリカ分散液(A)及び多孔質粉体(B)の合計重量に基づいて、(A)の含有量が1〜70重量%、(B)の含有量が30〜99重量%である請求項1又は2に記載の粉末消泡剤。

【公開番号】特開2007−253014(P2007−253014A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78464(P2006−78464)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】