説明

粉砕機

【課題】
乾式・湿式粉砕での2次粒子(凝集)の発生や固化がなく、粉砕を短時間で処理でき、粉砕粒子分布を均一化でき、コンタミネーションがなく、分級の必要性がない。
【解決手段】
粉砕機1は、駆動軸4と、駆動軸4軸心を中心にその軸心と直交する面内で回転可能な保持プレート5と、駆動軸4の回転を往復運動として伝達するクランク部6と、クランク部6により往復動され、保持プレート5に対して摺動可能な容器ホルダー7と、容器ホルダー7により保持された粉砕容器11を駆動軸4軸心と直交する回転軸廻りに回転させる回転駆動部8と、保持プレート5の回動角を保持する支持板固定部9とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕容器内において、例えばボール或いはロッドなどの粉砕媒体によって粉砕物を微粉末状態に粉砕する粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、実験・研究室用微粒粉砕手段として、粉砕ボールなど粉砕媒体を利用した乾式或いは湿式による粉砕機の多くは転動式、振動式、遊星型、媒体撹拌方式などが知られおり、ボール(ビーズ)による粉砕媒体のサージング(波打ち)の衝撃・摩擦・剪断を利用する粉砕機がある。
【0003】
しかしながら、このような粉砕機には、下記のような問題がある。すなわち、
(1)転動式粉砕機における横型粉砕容器の低回転では、サージングが弱く、粉砕時間が長期になり、回転とボール充填量を増やせばコンタミ・凝集固化の問題は避けられず、粉砕物の粒径分布が不均一で分級が必要となる。
(2)振動モータ又は偏心加振器を利用した振動式ミル機の横型粉砕容器では、上記1と比較して均一な粒径分布になるが、それでも分級が必要となる。
(3)粉砕容器の自転・公転の回転を自由に変化できる遊星方式ボールミル機は、粉砕時間を少し長く取ることと、小径ビーズの選択により、問題の軽減を図っているが、容器中のボールのサージング効果が大きく、粉砕時の破砕熱の発生と凝集固化の問題が残る。
(4)媒体撹拌式ミル機は、縦型粉砕容器中心に回転する撹拌シャフトと、シャフトに板状撹拌羽根又は棒状突起とを有していて、容器に装填されたボールと粉砕物を撹拌する方式であるが、この方式は、サージング効果が弱いことから、この欠点をカバーするために撹拌シャフトを工夫している。しかし、粉砕処理時間が長く、強制的撹拌のため容器内壁とボールの摩耗が顕著でコンタミが多く、分級とその後始末などにも大きな問題があり、微粒粉砕効果としては上記3より効果は低い。
【0004】
このような問題を解決する従来技術例として、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献に開示された乾式ボールミル機01は、図9に示すように、底を有する円筒状の樹脂製ポット02と、このポット02の内部に収容された粉末を粉砕する多数のセラミック製のボール03と、ポット02の開口部を閉塞する蓋04とを備えていて、内部に多数のボール03とともに粉末を収容して閉塞したポット02を2本の駆動ローラ05上にセットし、その駆動ローラ05の一端側(図示右端側)に、上記ポット02の回転軸Lを所定のサイクルでわずかな角度(約2°)傾動させるべく、エアシリンダ06が設けてある。
【0005】
図9の場合、エアシリンダ06によって、駆動ローラ05(回転軸L)の右端部をわずかに下げた状態にしてあり、この状態で、ポット02を回転軸L廻りに回転して粉末を乾式粉砕してゆくと、ポット02の内部、右端部に粉末Pの固まりPAが生じる。そして、この図9の状態から所定の時間をおいた後、エアシリンダ06によって駆動ローラ05(回転軸L)の右端部をわずかに上昇させて左側に傾斜させると、ポット02の内部に生じている粉末Pの固まりPAが多数のボール03によって削られ、削られた粉末Pは多数のボール3の間を左側に向けてゆっくりと移動する。このように、多数のボール3に削られた粉末Pは、回転軸Lが所定のサイクルで傾動するのに合わせて、多数のボール03の間を左右にゆっくりと移動することから、粉末Pの粉砕が促進されて効率良くそして極めて細かく粉砕されることとなる。
【特許文献1】特開2005−66406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、粉砕物の粉砕がポットの回転運動と傾動とによって行われることから、粉末Pの粉砕が促進されて効率良くそして極めて細かく粉砕されるとしているが、ポットの傾斜によってポット内部に生じた粉末Pの固まりを多数のボールによって削り、粉砕して粉末化するに際しては、コンタミネーションや凝集固化などが避けられない。その結果、粉砕物の粒径分布が不均一となり分級が必要となることから、粉砕効率上必ずしも満足できるものではなかった。
【0007】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、粉砕容器中の粉砕媒体による粉砕物の乾式・湿式粉砕によって得られる微粒子の2次粒子(凝集)・固化などの成長を抑止し、短時間の処理時間による超微粒子粉砕を可能にした粉砕機を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、駆動力により軸廻りに回転される駆動軸と、前記駆動軸の軸心を中心として、該軸心とほぼ直交する面内において回動可能に設けられた保持プレートと、前記駆動軸の回転を往復運動として伝達するクランク部と、前記保持プレートに対して摺動可能に設けられ、前記クランク部により往復運動される容器ホルダーと、前記容器ホルダーにより保持された粉砕容器を前記軸心と直交する回転軸廻りに回転させる回転駆動部と、前記保持プレートの回動角を保持する支持板固定部とからなる乾式・湿式粉砕機を構成する。
【0009】
このような粉砕機を用いることにより、粉砕処理中における粉砕物の凝集・固化を最少にするために粉砕容器の振動・回転・傾斜の3つを基軸とした複合構造とし、粉砕物を短時間に微粉砕可能とした。
【0010】
本発明によれば、粉砕容器の回転・振動・傾動の各機能を複合化し、従来技術に見られる粉砕媒体の挙動(粉砕ボールの体積充填率74%と空隙率26%とによる粉砕において同一径の粉砕ボールを用いた場合、ボール1個当たり12の密接数を有する)とは異なる粉砕ボールの体積充填率と空隙率を利用した新たな粉砕メカニズムである、ボールのフライング効果(直線飛行)と、スパイラル効果(捻れ)と、傾斜とによる相乗効果によって、従来技術の問題であった、乾式・湿式粉砕での2次粒子(凝集)の発生及び固化、長い粉砕処理時間、粉砕粒子分布の不均一、コンタミネーション、さらに分級などを解消することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明の構造によれば、
(1)粉砕処理中における粉砕物の凝集・固化を最少化できるので、ボールの摩耗による異物の混入などに起因するコンタミネーションが生じることがない
(2)粉砕物の粒径分布が均一になり、分級の必要性がなくなる
(3)サージング現象による衝撃、摩擦、剪断を利用することがないので、粉砕時の発熱や凝集・固化が少ない
(4)したがって、短時間で粉砕物を効率的に微粉砕できる
という効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(粉砕機の構成)
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る粉砕機1の概略全体構成を示す斜視図であり、図2は粉砕機のカバーを外した状態を示す平面図であり、図3は粉砕機の要部を示す概略正面図であり、図4(A)は粉砕容器が、回転軸を中心に回転した際、容器内に収容された破砕媒体の挙動を示す概略説明図であり、図4(B)は粉砕容器が、回転軸を中心に回転しながら紙面右方向に振動移動した際の破砕媒体の挙動を示す概略説明図であり、図4(C)は粉砕容器が、回転軸を中心に回転しながら紙面左方向に振動移動した際の破砕媒体の挙動を示す概略説明図であり、図5は、本実施形態に係る粉砕機の乾式活性炭粉砕実例と代表的な遊星型ボールミル機の乾式活性炭粉砕実例とによる乾式粉砕処理時間(傾斜角45°)に対する平均粉砕粒径の推移を比較しつつ示すグラフである。
【0013】
本実施形態に係る粉砕機1は、装置本体2を覆うカバー3と、装置本体2の正面に装着された駆動軸4と、保持プレート5と、クランク部6と、容器ホルダー7と、回転駆動部8と、支持板固定部9とから構成されている。
【0014】
駆動軸4は、図2に示すように、装置本体2に取り付けられた台座2aに固定されている振動用モータM1の出力軸4aに並設し、装置本体2外方に突出するように軸受座4b,4cに軸承されている。また駆動軸4は、軸受座4b,4c間に軸止されたプーリ4dと出力軸4aに軸止されたプーリ4eに架け渡されたベルト4fを介在して、振動用モータM1から回転駆動力が伝達され、軸廻りに回転される。
【0015】
保持プレート5は、駆動軸4の突出基部に設けられた軸受10に軸承され、駆動軸4の軸心C1を中心として、その軸心C1とほぼ直交する面内において回動可能に装着されている。また保持プレート5には、その一方端部に回転用モータM2の取付部5aが設けられ、他方端部に後述する固定ねじ9aの取付部5bが設けられており、それら回転用モータ取付部5aと固定ねじ取付部5bの間に後述するガイドレール5cが形設されている。
【0016】
クランク部6は、図2及び図3に示すように、駆動軸4の突出先端部に設けられた回転板6aと、回転板6aの中心から変位した位置に回動可能にピン連結されたボールジョイント6bとによって駆動軸4の回転を往復運動として容器ホルダー7に伝達するようになっている。このボールジョイント6bの他方端は、容器ホルダー7に回動可能にピン連結されている。
【0017】
容器ホルダー7は、保持プレート5に対して摺動可能に設けられ、クランク部6により往復運動される内部中空の部材であり、有底円筒状の粉砕容器11を回転自在に収納する収納部7a,7bが形成されている。また、容器ホルダー7は、その一方端に、後述する回転駆動軸8aと共に粉砕容器11が回転可能なように従動軸11fが挿通されるようになっているとともに、その従動軸11fに軸方向に摺動可能にガイドされ、他方端に、粉砕容器11を収納部7a,7bに回転可能に収納支持するように調整可能な締付ねじ7cが螺着されている。これら回転駆動軸8aと従動軸11fと容器ホルダー7とは、同軸線C2上に設けられている。
【0018】
粉砕容器11は、図4a〜cに示すように、有底円筒体状をなしていて粉砕物と粉砕媒体を密閉収納する容器本体11aと蓋体11bとを備え、容器本体11aと蓋体11bの底部はそれぞれ半円球面状に形成されている。また粉砕容器11には、回転駆動部8の回転駆動軸8aに従動する従動軸11fが取り付けられている。この従動軸11fには、その先端部にピン11gが植設されている。
【0019】
また、容器ホルダー7は、その背面に、保持プレート5に取り付けられたガイドレール5cに摺動可能なガイドブロック7dが取り付けられ、ガイドブロック7dの一端がクランク部6のボールジョイント6bに回動可能に連結するようにピン結合されている。
【0020】
回転駆動部8は、保持プレート5に固定された回転用モータM2と、回転用モータM2の回転駆動軸8aと、回転駆動軸8aと従動軸11fとを回転可能且つ、従動軸11fを軸線C2方向に摺動可能になすように回転駆動軸8aと従動軸11fとを連結する回転コネクティングチューブ8bとから構成されている。
【0021】
この回転コネクティングチューブ8bは、その一方端が回転駆動軸8aに嵌挿し、回転駆動軸8aに軸止するように軸止ねじ8dが螺着され、他方端が従動軸11fを嵌挿して、従動軸11fがピン11gを介して軸方向に摺動可能なような長孔8cを穿設している。
【0022】
支持板固定部9は、保持プレート5の取付部5bに螺着された調整ねじ9aと、図3に示すように、装置本体2の正面パネル2bに0〜90°の範囲で、適宜間隔に穿設された複数の傾斜角度固定孔2cとから構成され、傾斜角度固定孔2cによって、保持プレート5を所望の傾斜位置に支持できるようになっている。
【0023】
なお、この支持板固定部9は、調整ねじ9aを突没自在な弾性を有する突部とし、保持プレート5を傾動することによって、その突部を傾斜角度固定孔2cに没入させることもでき、またその逆に、弾性突部を穴とし、傾斜角度固定孔2cを突没自在な弾性を有する傾斜角度固定突部にしてもよい。
【0024】
(粉砕機の動作)
このような構造からなる本発明の粉砕機1を用いることにより、容器ホルダー7を、所望な位置に傾斜した状態で粉砕容器11を回転させながら、左右に移動して振動させることができ、粉砕容器11内の活性炭11dをボール11cによって効率的に微粉砕化することができる。
【0025】
すなわち、粉砕容器11にボール11cと活性炭11dを封入し、その粉砕容器11を容器ホルダー7に装着して締付ねじ7cで固定する。振動用モータM1の駆動軸4の軸心C1を中心に、保持プレート5を、その軸心C1と直交する面内で回動して容器ホルダー7を傾動し、正面パネル2bの所望な傾斜角度固定孔2cに固定ねじ9aを嵌入して固定する。
【0026】
そして、振動用モータM1を駆動し、出力軸4aのプーリ4d、ベルト4f、駆動軸4のプーリ4dを経て駆動軸4を回転する。回転する駆動軸4の回転板6aの回転をボールジョイント6bを介在して往復運動として伝達するクランク部6によって、容器ホルダー7を往復運動させて粉砕容器11に振動をもたらす。この時、容器ホルダー7は、ガイドブロック7dを介在して保持プレート5のガイドレール5c上を往復摺動する。
【0027】
この容器ホルダー7の往復運動は、従動軸11fのピン11gが回転コネクティングチューブ8bの長孔8cを往復摺動することによって容器ホルダー7を回転駆動軸8aとの同軸線C2上で往復させることができる。
【0028】
そして、容器ホルダー7の振動運動とともに、粉砕容器11を、振動用モータM1の駆動軸4の軸心C1と直交する回転軸C2廻りに回転用モータM2によって回転させ、粉砕容器11に回転運動をもたらす。
【0029】
具体的に、本実施形態では、図4a〜bに粉砕容器11内のボール11cと、活性炭11fによる粉砕メカニズムを示す。
【0030】
予め設定された容器ホルダー7の傾斜角において、粉砕容器11に活性炭11d、同一径のボール11cが充填された粉砕動作の振動・回転が開始すると、フライングボール(直線飛行)の連続した粉砕容器11底部の半球面状壁面への突入時に発生する壁面との衝撃によりボール11cは瞬時に急激な充填率/空隙率の変化による半球面内の拡大・圧縮現象が発生する。
【0031】
さらにこの瞬時において粉砕容器11の回転は連続突入のフライングボールの半球面内での瞬時衝突・干渉によってボール11cの挙動が発生し、同時に連続するボール11cにスピン(スパイラル・捻れ)が加わり不規則な乱気流に似たボール11cの挙動が発生し、同時に連続するボールの衝撃は最密充填率になろうとする強烈な圧縮作用が発生する。 この繰り返し動作によって粉砕容器11底部の半球面状壁面とボール11c間、ボールとボール間に介在する活性炭11dは、微細化され、壁面とボールに付着し凝集しようとする微粒子も同時に解砕・粉砕される。
【0032】
この動作における瞬間的ボールの加速度は、max48Gに相当する衝撃力である。さらに求める微粒粉砕を短時間で達成するための高衝撃粉砕ができるように粉砕容器11の傾斜角度を水平0°〜垂直90°の範囲で変化させる。
【0033】
(粉砕実験例)
上述した機能は下記に示すような実験結果をもたらした。
粉砕物 材 質:活性炭
サイズ:3.5×3.5×1mm
粉砕処理:乾式粉砕
粉砕容器容量:20ml
粉砕物充填量:2.5ml
最終粉砕粒径:1μm
粉砕実験については可能な限り乾式粉砕時間を短縮し、目的の最終平均粉砕粒径1μmを達成するため予備粉砕の実施を試みた。
【0034】
1.予備粉砕の実施:
使用粉砕容器の材質:SUS製密閉容器
粉砕ボール :SUS製ボール径16mm×2個
振動回転数 :700rpm
振動振幅 :18mm
粉砕容器回転数 :30rpm
粉砕時間 :5分
粉砕効果のより平均化を図るための粉砕容器の傾斜角(0°〜90°)を45°に設定した。
上記粉砕条件に基づく粉砕結果は次の通り、
結果:粉砕時間5分の処理の結果、粒径分布の平均値は、50μmであった。この粒径は既に微粉領域を示しており、引き続き以下の本粉砕実験に移行した。
【0035】
2.本粉砕実験の実施
什器により得られた粉砕試料・平均粒径50μmを最終粒径1μm達成するため、予備粉砕で使用の粉砕ボール径16mmをSUS製小径ボール3.25mm充填量290個にし、その他は予備粉砕と同一条件で本粉砕を実施した。
結果:傾斜角45°、振動700rpm、粉砕容器回転数30rpm、粉砕時間5分で粉砕粒径4μm、その後5分の計10分で目的の平均粒径1μmを得た。
【0036】
(比較例)
図5に、本発明の粉砕機による当実験結果と、代表的な遊星型ボールミルの乾式活性炭粉砕実例とによる、振動回転数700〜1400rpmにおける乾式粉砕処理時間(傾斜角45°)に対する平均粉砕粒径の推移を比較したグラフを示す。
【0037】
(変更例)
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のような変更を加えることができる。
【0038】
本実施態様では、図2,図3に示すように、粉砕容器11の回転駆動源をモータM2としたが、例えばモータM2に代えて、図示しないウオームギアボックスなどのギア機構により粉砕容器11を回転することも可能である。この場合、回転板6aから直接ギアボックスを介在して粉砕容器11を回転することができる。
【0039】
また、粉砕容器11内に収納される粉砕媒体は、ステンレス製ボール(以下ボールと称す)11cに限らず、図6に示すようなステンレス製ロッド11eでもよいし、容器本体11aと蓋体11bの底部は、半円球面状に限らず、平面状でもよい。
【0040】
さらに、支持板固定部9の取付位置は保持プレート5の端部に限らず、図7(a)に示すように、保持プレート5の回動中心側に調整ねじ取付部5bを設けるとともに、装置本体2の正面パネル2bに、その調整ねじ取付部5bの位置に対応した傾斜角度固定孔2cを0〜90°の範囲で駆動軸4を中心に半径方向に適宜な角度間隔を置いて設けることにより、保持プレート5の回動半径が短くなり、その分、装置本体2の嵩高が抑えられ、粉砕機1全体としてコンパクト化できる。
【0041】
また、図7(b)に示すように、保持プレート5の駆動軸4に対応する位置に下方に向けて開放された軸支溝5eを設け、保持プレート5を駆動軸4に引掛けるように係合させるようにしてもよい。この場合には、上記調節ねじ取付部5bとは別に、第2の調節ねじ取付部5dを保持プレート5上部の軸支溝5eに対応する位置に設け、正面パネル2b上に、駆動軸4と同心円状に傾斜角度固定孔2eを配置し、これに固定する。これによれば、軸支溝5eを引掛けるように駆動軸4に係合させるため、保持プレート5を本体2に対して着脱可能とすることができ、メンテナンスが容易となる。
【0042】
さらにまた、傾斜角度固定孔2cは図3,図7に示したものに限らず、図8に示すように、装置本体2の正面パネル2b上に扇状に0〜90°の角度の移動範囲を持って形成された溝付き角度固定スライドガイド2dを設けてもよく、この場合、保持プレート5の固定ねじ9aに代え締め付けボルトを使用し、締め付けボルトを介在して溝付き角度固定スライドガイド2dの所望な位置に保持プレート5を傾動し、正面パネル2bに固定するようにしてもよい。このように傾斜角度固定孔2cを溝付き角度固定スライドガイド2dにすることにより、保持プレート5の傾斜角度を無段階な所望位置に固定でき、その操作も円滑に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、実施形態に係る粉砕機の概略全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態に係る粉砕機のカバーを除き、要部を示す平面図である。
【図3】図3は、実施形態に係る粉砕機の要部を示す概略正面図である。
【図4】図4は、実施形態に係る粉砕容器内のボールの挙動を示す概略説明図であり、(a)は粉砕容器が、回転軸を中心に回転した際、容器内に収容された破砕媒体の挙動を示す概略説明図、(b)は粉砕容器が、回転軸を中心に回転しながら紙面右方向に振動移動した際の破砕媒体の挙動を示す概略説明図、(c)は粉砕容器が、回転軸を中心に回転しながら紙面左方向に振動移動した際の破砕媒体の挙動を示す概略説明図である。
【図5】図5は、実施形態に係る粉砕機の乾式活性炭粉砕実例と代表的な遊星型ボールミル機の乾式活性炭粉砕実例とによる乾式粉砕処理時間(傾斜角45°)に対する平均粉砕粒径の推移を比較しつつ示すグラフである。
【図6】図6は、変更例に係る粉砕容器内のロッドの挙動を示す概略説明図である。
【図7】図7(a)及び(b)は、変更例に係る支持板固定部と傾斜角度固定孔を示す概略説明図である。
【図8】図8は、変更例に係る溝付き角度固定スライドガイドを示す概略説明図である。
【図9】図9は、従来のボールミル機の概略構成を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1…粉砕機
2…装置本体
2a…台座
2b…正面パネル
2c,2e…傾斜角度固定孔
2d…溝付き角度固定スライドガイド
3…カバー
4…駆動軸
4a…出力軸
4b,4c…軸受座
4d…プーリ
4e…プーリ
4f…ベルト
5…保持プレート
5a…回転用モータ取付部
5b,5d…固定ねじ取付部
5c…ガイドレール
5e…軸支溝
6…クランク部
6a…回転板
6b…ボールジョイント
7…容器ホルダー
7a,7b…収納部
7c…締付ねじ
7d…ガイドブロック
8…回転駆動部
8a…回転駆動軸
8b…回転コネクティングチューブ
8c…長孔
8d…軸止ねじ
9…支持板固定部
9a…固定ねじ
10…軸受
11…粉砕容器
11a…容器本体
11b…蓋体
11c…粉砕媒体(ボール)
11d…粉砕物(活性炭)
11e…ロッド
11f…従動軸
11g…ピン
C1…駆動軸の軸心
C2…同軸線
M1…振動用モータ
M2…回転用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力により軸廻りに回転される駆動軸と、
前記駆動軸の軸心を中心として、該軸心とほぼ直交する面内において回動可能に設けられた保持プレートと、
前記駆動軸の回転を往復運動として伝達するクランク部と、
前記保持プレートに対して摺動可能に設けられ、前記クランク部により往復運動される容器ホルダーと、
前記容器ホルダーにより保持された粉砕容器を前記軸心と直交する回転軸廻りに回転させる回転駆動部と、
前記保持プレートの回動角を保持する支持板固定部と
を備えることを特徴とする粉砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−190480(P2007−190480A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10376(P2006−10376)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(506020528)
【出願人】(505202235)
【Fターム(参考)】