粉粒体容器
【課題】一枚の展開図型シートからの組み立てによって意匠性に優れ、簡易的な砂時計機能を持った粉粒体包装容器を得る。
【解決手段】単一の展開図形シートを折り曲げて形成する天板部と底板部と側面をもつ筒状の箱体において、筒状の箱を形成するために必要な折目線に加えて、曲線からなる折目線を箱側面の複数個所に設け、前記曲線からなる側部折目線を箱体外部から見て谷折りにするとともに、曲線からなる側部折目線に沿って側面の中央部を容器中央に向かってへこませることによって、くびれ部および断面鼓形の空所を形成する粉粒体容器を提供する。
また、鼓形の空所中央のくびれ部が、粉粒体の流通を制限し落下速度を制限するに適する間障になるよう設定し、砂時計を模した粉粒体容器を提供する。
【解決手段】単一の展開図形シートを折り曲げて形成する天板部と底板部と側面をもつ筒状の箱体において、筒状の箱を形成するために必要な折目線に加えて、曲線からなる折目線を箱側面の複数個所に設け、前記曲線からなる側部折目線を箱体外部から見て谷折りにするとともに、曲線からなる側部折目線に沿って側面の中央部を容器中央に向かってへこませることによって、くびれ部および断面鼓形の空所を形成する粉粒体容器を提供する。
また、鼓形の空所中央のくびれ部が、粉粒体の流通を制限し落下速度を制限するに適する間障になるよう設定し、砂時計を模した粉粒体容器を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開図型シートから組み立て可能であり粒状の固体を収容するに適した包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から包装容器の形態として、展開図型に切り抜いたシートを組み立てることで筒状の箱体となる容器がある(たとえば特許文献1)。
また、粒状の固体を収容するものとして、砂時計がある。砂時計はガラス製が一般的であるが、複数の部品を組み立てるカード型砂時計キットも知られている。(特許文献2、3)さらに、プラスチックのブロー成型あるいは射出成型製の砂時計も知られている。(特許文献4)
【0003】
一般消費者向けの包装容器は商品性を高める要素の一つであるため、箱体外観の意匠性に配慮することが求められる。特許文献5は意匠性に配慮し箱の側板部を二等辺三角形で構成した容器である。特許文献6は曲線の折り目を入れて側板部を曲面にしている。
【特許文献1】実用新案登録第3100554号
【特許文献2】実用新案登録第3110474号
【特許文献3】公開実用新案平2−166400号
【特許文献4】特開平5−281371号
【特許文献5】特開2007−331784号
【特許文献6】特開2005−1711号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般消費者向けの包装容器は商品性を高める要素の一つであるため、箱体外観の意匠性に配慮することが求められる。本発明は、一枚の展開図型シートからの組み立てによって低コストで得られ、意匠性にも優れた粉粒体包装容器を提供する。
この包装容器は、たとえば食卓にて楽しく配置できる備品として、あるいは粒状商品(入浴剤や岩塩、ラムネなどの菓子、他)を販売する際に店頭にて消費者の注目を集めることを目的とした容器として提供する。
【0005】
また、従来の砂時計は、ガラス製あるいは、合成樹脂をブロー成型や射出成型したものであるため、シートを組み立てて得られる容器に比べて製造コストのかかるものであった。
本発明は従来の砂時計よりも簡単低コストに得られ、簡易的な砂時計機能を持った粉粒体包装容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための第1の手段は、単一の展開図形シート(紙状薄板)を折り曲げて形成する天板部と底板部と側板部をもつ筒状の箱体において、筒状の箱を形成するために必要な折目線に加えて、曲線からなる側部折目線を箱側板部の複数個所に設け、前記曲線からなる側部折目線を箱体外部から見て谷折りにするとともに、曲線からなる側部折目線に沿って側板部の中央部を容器中央に向かってへこませることによって、くびれ部および断面鼓形の空所を形成する粉粒体容器である。
【0007】
第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段により形成された粉粒体容器において、鼓形の空所中央のくびれ部が、収容する粉粒体の流通を制限し落下速度を制限するに適する間障であり、砂時計を模した容器である。
【0008】
第3の課題解決手段は、箱の天板部と底板部が正方形または長方形または正多角形である、第1または2の課題解決手段の粉粒体容器である。
【0009】
第4の課題解決手段は、第1または2の課題解決手段と同様の折目線を側板部に有し、その折目線の上下に折り目線が無い筒状側板部を設けた筒状容器であって、筒状側板部に嵌合する円形の蓋材によって封をする粉粒体容器である。
【0010】
第5の課題解決手段は、鼓体が多段に形成された第1〜第4の課題解決手段のいずれかに記載の粉粒体容器である。
【0011】
第6の課題解決手段は、くびれ部に嵌合する外形形状を有する複数の容器と、請求項1〜6のいずれかに記載の容器を組み合わせた、粉粒体容器セットである。
【発明の効果】
【0012】
上記第1〜6の発明による効果は次の通りである。
すなわち、外装デザインを任意に施すことにより、意匠性のある粉粒体容器とすることができ、台所や食卓などを楽しく装飾することができる。
【0013】
消費者向けの包装容器としては、長方体状の包装容器と比較して側板部に曲面を有する異形の容器で消費者の関心を高める。
【0014】
第2の課題解決手段による効果は、消費者向けの包装容器として使用した場合に、商品を中に入れて上下を反転すると商品が流れ落ちるという面白さを持ち合わせることにより、消費者の関心を高める。
また、粉粒体の粒形、粒度、乾燥程度を適切に選び、かつ、くびれ部通路の形状等を適切に設定すれば、砂時計風の機能が得られ、不正確ながら時間計測に用いることができ、玩具として卓上で楽しむことができる。
【0015】
本発明は一枚のシートから組み立てることで、ガラスや複数の部品から形成する従来の砂時計や粉粒体容器と比較して製造工程を簡略化できる。
【0016】
第3〜6の課題解決手段による効果は、箱体の天板部および底板部の形状を適切に選べば、展開可能なシートによって意匠性のある粉粒体容器が得られ、装飾品として用いることができる。
【0017】
第6の課題解決手段による効果は、本体くびれ部による容積減少を嵌合する容器によって補うことができる。また、セット販売に適し、たとえば消費者の嗜好に合わせて数種類を組み合わせるような販売形式に活用できる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図1〜5は本発明の第1の実施例を示す。
図1〜5では、箱体側板部のうち向かい合う2面に2本ずつ曲線の折り目を入れ、それを他の折り目とは反対の方向に折ること、すなわち箱体外部から見て谷折りにすることによって箱体の側板部中央部をへこませた形状になる。このとき内部は鼓形の空所となる。接着や固定をしない状態でも曲面部が平面に戻ることなく、図1の状態で安定した構造になる。
【0019】
この容器に、鼓状の内部空間の半分まで粉粒体を入れると、容器の上下反転によって粉粒体が移動する砂時計風の機能を得られる。
【0020】
シートの材質はPET(ポリエチレンテレフタラート)やPP(ポリプロピレン)などをシート状にしたもの、各種厚紙、あるいはこれらの合成材料を用いることができる。
特に内部を見ることを目的にする場合に最も適する材料は、PET製で厚みが0、2mm前後の薄板である。PETは透明度が高く折り曲げに強い素材であるため、組み立て式の透明な包装箱の材料として広く用いられている。
【0019】
材料となる透明もしくは半透明のシートに着色や印刷を施すことにより意匠性の高い箱体を得ることもできる。収納する粉粒体によっては図5の展開図から立体形を形成したままで粉粒体容器として使用できる場合もあるが、重合部分を接着することにより、吸湿性のある粉粒体の収納も可能である。
【0021】
この容器の内部に入れる粉粒体は中心の落下穴を滞りなく通過するために乾燥した粒状のものが適している。たとえば、入浴剤、岩塩、ラムネなどの菓子、ふりかけ、芳香剤、砂などである。また、一般的な砂時計の場合では砂の大きさに対して落下穴の大きさが6倍以上必要といわれており、この容器の内部に入れる粉粒体は落下穴の6分の1以下が適する。
【0022】
本発明の容器において鼓状の空所の半分まで粉粒体を入れるとするならば、その容量は、底板部および組み立て後の高さが本発明の容器に等しい柱状の箱体の体積と比較して、およそ6分の1である。なぜならその体積は、底面(本発明の底板部にあたる部分)が同じで高さが2分の1の錐とほぼ等しい。さらに、錐の体積は柱の体積の3分の1であるから、2分の1×3分の1柱状の体積の6分の1が容積となる。
【0023】
本発明の落下穴は容器のくびれ部に相当し、上から見た形は多角形である。この多角形の辺の数は側部折目線形成前の箱体側面の数に等しく、一辺の長さ(図5の2a、2b)は、それぞれの側面の幅から側部折目線の横幅(図4の6)を引いた長さである(箱体側面の幅が異なるならば2a、2bの長さも異なる)。
【0024】
容器くびれ部に相当する落下穴の大きさは、側部折目線の位置および形状によって調節可能であるから、収納する粉粒体の粒度や粒形、吸湿度などを考慮して、ある程度の精度ではあるが粉粒体の落下速度を任意に設定可能である。
【0025】
本発明は側面が側部折目線に沿う曲面構造であるため、側部折目線の位置または形状を変更すれば箱体の高さも変わる。たとえば、箱体の展開図における側部折目線の位置および形状を変更し、そのほかの部分を変更しない場合、くびれ部の幅(図5の2a)をが広くなり側部折目線の幅(図の6)が短くなれば、組み立て後の容器側面の反りは緩やかになり、容器の組み立て後の高さは高くなる。
【0026】
箱体の組み立て後の寸法(縦、横、高さ)および落下穴の大きさ考慮して展開図を作成するには、底板部に垂直かつ採寸する1側面に垂直な断面図または正面図を作成し、側面の縦幅(図5の7)を割り出す。たとえば、図4のように側面図を作成し、箱体の寸法と落下穴の一辺2bに合わせて設定した曲線7a〜cの側面図上の長さを測る。7a〜cの長さが、図5の展開図における側面の高さ7に等しくなるように箱の展開図を作成する。
【実施例2】
【0028】
図6〜8は本発明第2の実施例を示す。実施例1に示した粉粒体容器の両側部のくびれ部に三角柱状容器を嵌合させ、全体としてほぼ立方体に形成する。全体をさらに箱や紙袋などで梱包しても良い。とくに湿気を避ける必要があるものを入れる場合はフィルムで覆う。このようにすれば、実施例1でのくびれ部による容積減少を補うことができる。本体である実施例1の内容物が減少すれば、三角柱状容器から内容物を補充することができる。また、包装容器として使用する場合にはセット販売に適し、たとえば消費者の嗜好に合わせて数種類を組み合わせるような販売形式に活用できる。
【0027】
図9は本発明第3の実施例を示す。この例では4つの側面それぞれに1本ずつ側部折目線を設け、それぞれの側面を左隣の側部折目線に沿ってへこませている。
なお、実施例3は実施例1の箱体と鼓状の空所の形状は同じである。実施例1は向かい合う面が線対称に折られているのに対し、実施例3箱体中央部を中心点とした点対称に折られている。
【0028】
図10は本発明第4の実施例を示す。この例では、四角柱に近かった実施例3(図9)の側面数を増やし、五角柱に近い形状にしている。図9と同じく、側面それぞれに1本ずつ側部折目線を設け、それぞれの側面を左隣の側部折目線に沿ってへこませている。
【0029】
図11は本発明第5の実施例を示す。
この例では、図1の側面の構造を縦方向に2つ繰り返すことにより2つのくびれ部を持つ粉粒体容器となる。
【0030】
この例では、図10の側面の上部と下部を伸ばし、天板部と底板部が円形の粉粒体容器を形成する。
なお、本発明は上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、側板部を中央に向かってへませることによりくびれ部をつくるという本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。たとえば、側部折目線は曲線でなく複数の直線からなる折れ線であっても、側部折目線に沿って側板部を折り曲げることができる程度の鈍い角度での屈折ならばよい。また、図10のように側辺と接する側部折目線があるならば、側部折目線と側辺が接する二点や側辺が、天板部あるいは底板部と接していなくても良く、これは図10以外の実施例についても同様である。そのため側部折目線と、天板部または底板部の間に任意の側辺を施すことにより天板部底板部の形状を変更することもできる。
あるいは、実施例に記載の形状に左右対称な形状も考えられる。また、上記実施例はすべて上下対称の形状となっているが、たとえば天板部からくびれ部の距離と、底板部からくびれ部の距離を変えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】斜視図および、くびれ部をXの位置で水平方向に切断したときの断面図。本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。この例では4つの側面のうち向かい合う2面に二本ずつ側部折目線を設け、その他の2面を側部折目線に沿ってへこませている。
【図2】
【0032】
正面図。図1と同じく本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。
【図3】上面図。図1と同じく本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。
【図4】側面図。図1と同じく本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。
【図5】展開図。図1と同じく本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。
【0033】
【図6】斜視図。本発明請求項6の実施例である。上の図は請求項1、2、3に記載した粉粒体容器と、そのくびれ部に嵌合する2つの容器であり、3つの容器が下の図のようにまとまることでセット販売等に利用できることを示す。
【0034】
【図7】斜視図(右上)と三面図。図6に記載の、くびれ部に嵌合する容器を示す。
【図8】展開図。図6に記載の、くびれ部に嵌合する容器を示す。
【0035】
【図9】展開図(上)と斜視図およびくびれ部をXの位置で水平方向に切断したときの断面図(下)。請求項1、2、3に記載の粉粒体容器の例を示す。この例では4つの側面それぞれに1本ずつ側部折目線を設け、それぞれの側面を左隣の側部折目線に沿ってへこませている。
【0036】
【図10】展開図(上)と斜視図およびくびれ部をXの位置で水平方向に切断したときの断面図(下)。請求項1、2、3に記載の粉粒体容器の例を示す。この例では、四角柱に近かった図9の側面を増やし、五角柱に近い形状にしている。図9と同じく、側面それぞれに1本ずつ側部折目線を設け、それぞれの側面を左隣の側部折目線に沿ってへこませている。
【0037】
【図11】展開図(上)と斜視図(下)。請求項1、2、3、5に記載の粉粒体容器の例を示す。この例では、図1の側面の構造を縦方向に2つ繰り返すことにより2つのくびれ部を持つ粉粒体容器となる。
【0038】
【図12】展開図(上)と斜視図(下)。請求項4に記載の粉粒体容器の例を示す。この例では、図10の側面の上部と下部を伸ばし、天板部と底板部が円形の粉粒体容器を形成する。
【符号の説明】
【0039】
容器の材料である紙状展開図型シートの厚みは省略している。ただし、断面図においては省略せず、実際の厚みより厚く表記している。
・破線1 側部折目線
・2 くびれ部
・2a、2b くびれ部の幅であり、落下穴の1辺の長さ。実施例の説明用符号。
・3 鼓状の空所
・4 商品取り出し口となる孔
・5 フラップ
・6 側部折目線の幅。実施例説明用の符号。
・7 展開図における側面の縦幅(組み立て後の容器の高さとは異なる)実施例説明用の符号。
・展開図中の破線は山折り。
・展開図中の二点鎖線は谷折り。
・一点鎖線X 断面図の位置を表す。
・指定の無い破線 かくれ線
・
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開図型シートから組み立て可能であり粒状の固体を収容するに適した包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から包装容器の形態として、展開図型に切り抜いたシートを組み立てることで筒状の箱体となる容器がある(たとえば特許文献1)。
また、粒状の固体を収容するものとして、砂時計がある。砂時計はガラス製が一般的であるが、複数の部品を組み立てるカード型砂時計キットも知られている。(特許文献2、3)さらに、プラスチックのブロー成型あるいは射出成型製の砂時計も知られている。(特許文献4)
【0003】
一般消費者向けの包装容器は商品性を高める要素の一つであるため、箱体外観の意匠性に配慮することが求められる。特許文献5は意匠性に配慮し箱の側板部を二等辺三角形で構成した容器である。特許文献6は曲線の折り目を入れて側板部を曲面にしている。
【特許文献1】実用新案登録第3100554号
【特許文献2】実用新案登録第3110474号
【特許文献3】公開実用新案平2−166400号
【特許文献4】特開平5−281371号
【特許文献5】特開2007−331784号
【特許文献6】特開2005−1711号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般消費者向けの包装容器は商品性を高める要素の一つであるため、箱体外観の意匠性に配慮することが求められる。本発明は、一枚の展開図型シートからの組み立てによって低コストで得られ、意匠性にも優れた粉粒体包装容器を提供する。
この包装容器は、たとえば食卓にて楽しく配置できる備品として、あるいは粒状商品(入浴剤や岩塩、ラムネなどの菓子、他)を販売する際に店頭にて消費者の注目を集めることを目的とした容器として提供する。
【0005】
また、従来の砂時計は、ガラス製あるいは、合成樹脂をブロー成型や射出成型したものであるため、シートを組み立てて得られる容器に比べて製造コストのかかるものであった。
本発明は従来の砂時計よりも簡単低コストに得られ、簡易的な砂時計機能を持った粉粒体包装容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための第1の手段は、単一の展開図形シート(紙状薄板)を折り曲げて形成する天板部と底板部と側板部をもつ筒状の箱体において、筒状の箱を形成するために必要な折目線に加えて、曲線からなる側部折目線を箱側板部の複数個所に設け、前記曲線からなる側部折目線を箱体外部から見て谷折りにするとともに、曲線からなる側部折目線に沿って側板部の中央部を容器中央に向かってへこませることによって、くびれ部および断面鼓形の空所を形成する粉粒体容器である。
【0007】
第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段により形成された粉粒体容器において、鼓形の空所中央のくびれ部が、収容する粉粒体の流通を制限し落下速度を制限するに適する間障であり、砂時計を模した容器である。
【0008】
第3の課題解決手段は、箱の天板部と底板部が正方形または長方形または正多角形である、第1または2の課題解決手段の粉粒体容器である。
【0009】
第4の課題解決手段は、第1または2の課題解決手段と同様の折目線を側板部に有し、その折目線の上下に折り目線が無い筒状側板部を設けた筒状容器であって、筒状側板部に嵌合する円形の蓋材によって封をする粉粒体容器である。
【0010】
第5の課題解決手段は、鼓体が多段に形成された第1〜第4の課題解決手段のいずれかに記載の粉粒体容器である。
【0011】
第6の課題解決手段は、くびれ部に嵌合する外形形状を有する複数の容器と、請求項1〜6のいずれかに記載の容器を組み合わせた、粉粒体容器セットである。
【発明の効果】
【0012】
上記第1〜6の発明による効果は次の通りである。
すなわち、外装デザインを任意に施すことにより、意匠性のある粉粒体容器とすることができ、台所や食卓などを楽しく装飾することができる。
【0013】
消費者向けの包装容器としては、長方体状の包装容器と比較して側板部に曲面を有する異形の容器で消費者の関心を高める。
【0014】
第2の課題解決手段による効果は、消費者向けの包装容器として使用した場合に、商品を中に入れて上下を反転すると商品が流れ落ちるという面白さを持ち合わせることにより、消費者の関心を高める。
また、粉粒体の粒形、粒度、乾燥程度を適切に選び、かつ、くびれ部通路の形状等を適切に設定すれば、砂時計風の機能が得られ、不正確ながら時間計測に用いることができ、玩具として卓上で楽しむことができる。
【0015】
本発明は一枚のシートから組み立てることで、ガラスや複数の部品から形成する従来の砂時計や粉粒体容器と比較して製造工程を簡略化できる。
【0016】
第3〜6の課題解決手段による効果は、箱体の天板部および底板部の形状を適切に選べば、展開可能なシートによって意匠性のある粉粒体容器が得られ、装飾品として用いることができる。
【0017】
第6の課題解決手段による効果は、本体くびれ部による容積減少を嵌合する容器によって補うことができる。また、セット販売に適し、たとえば消費者の嗜好に合わせて数種類を組み合わせるような販売形式に活用できる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図1〜5は本発明の第1の実施例を示す。
図1〜5では、箱体側板部のうち向かい合う2面に2本ずつ曲線の折り目を入れ、それを他の折り目とは反対の方向に折ること、すなわち箱体外部から見て谷折りにすることによって箱体の側板部中央部をへこませた形状になる。このとき内部は鼓形の空所となる。接着や固定をしない状態でも曲面部が平面に戻ることなく、図1の状態で安定した構造になる。
【0019】
この容器に、鼓状の内部空間の半分まで粉粒体を入れると、容器の上下反転によって粉粒体が移動する砂時計風の機能を得られる。
【0020】
シートの材質はPET(ポリエチレンテレフタラート)やPP(ポリプロピレン)などをシート状にしたもの、各種厚紙、あるいはこれらの合成材料を用いることができる。
特に内部を見ることを目的にする場合に最も適する材料は、PET製で厚みが0、2mm前後の薄板である。PETは透明度が高く折り曲げに強い素材であるため、組み立て式の透明な包装箱の材料として広く用いられている。
【0019】
材料となる透明もしくは半透明のシートに着色や印刷を施すことにより意匠性の高い箱体を得ることもできる。収納する粉粒体によっては図5の展開図から立体形を形成したままで粉粒体容器として使用できる場合もあるが、重合部分を接着することにより、吸湿性のある粉粒体の収納も可能である。
【0021】
この容器の内部に入れる粉粒体は中心の落下穴を滞りなく通過するために乾燥した粒状のものが適している。たとえば、入浴剤、岩塩、ラムネなどの菓子、ふりかけ、芳香剤、砂などである。また、一般的な砂時計の場合では砂の大きさに対して落下穴の大きさが6倍以上必要といわれており、この容器の内部に入れる粉粒体は落下穴の6分の1以下が適する。
【0022】
本発明の容器において鼓状の空所の半分まで粉粒体を入れるとするならば、その容量は、底板部および組み立て後の高さが本発明の容器に等しい柱状の箱体の体積と比較して、およそ6分の1である。なぜならその体積は、底面(本発明の底板部にあたる部分)が同じで高さが2分の1の錐とほぼ等しい。さらに、錐の体積は柱の体積の3分の1であるから、2分の1×3分の1柱状の体積の6分の1が容積となる。
【0023】
本発明の落下穴は容器のくびれ部に相当し、上から見た形は多角形である。この多角形の辺の数は側部折目線形成前の箱体側面の数に等しく、一辺の長さ(図5の2a、2b)は、それぞれの側面の幅から側部折目線の横幅(図4の6)を引いた長さである(箱体側面の幅が異なるならば2a、2bの長さも異なる)。
【0024】
容器くびれ部に相当する落下穴の大きさは、側部折目線の位置および形状によって調節可能であるから、収納する粉粒体の粒度や粒形、吸湿度などを考慮して、ある程度の精度ではあるが粉粒体の落下速度を任意に設定可能である。
【0025】
本発明は側面が側部折目線に沿う曲面構造であるため、側部折目線の位置または形状を変更すれば箱体の高さも変わる。たとえば、箱体の展開図における側部折目線の位置および形状を変更し、そのほかの部分を変更しない場合、くびれ部の幅(図5の2a)をが広くなり側部折目線の幅(図の6)が短くなれば、組み立て後の容器側面の反りは緩やかになり、容器の組み立て後の高さは高くなる。
【0026】
箱体の組み立て後の寸法(縦、横、高さ)および落下穴の大きさ考慮して展開図を作成するには、底板部に垂直かつ採寸する1側面に垂直な断面図または正面図を作成し、側面の縦幅(図5の7)を割り出す。たとえば、図4のように側面図を作成し、箱体の寸法と落下穴の一辺2bに合わせて設定した曲線7a〜cの側面図上の長さを測る。7a〜cの長さが、図5の展開図における側面の高さ7に等しくなるように箱の展開図を作成する。
【実施例2】
【0028】
図6〜8は本発明第2の実施例を示す。実施例1に示した粉粒体容器の両側部のくびれ部に三角柱状容器を嵌合させ、全体としてほぼ立方体に形成する。全体をさらに箱や紙袋などで梱包しても良い。とくに湿気を避ける必要があるものを入れる場合はフィルムで覆う。このようにすれば、実施例1でのくびれ部による容積減少を補うことができる。本体である実施例1の内容物が減少すれば、三角柱状容器から内容物を補充することができる。また、包装容器として使用する場合にはセット販売に適し、たとえば消費者の嗜好に合わせて数種類を組み合わせるような販売形式に活用できる。
【0027】
図9は本発明第3の実施例を示す。この例では4つの側面それぞれに1本ずつ側部折目線を設け、それぞれの側面を左隣の側部折目線に沿ってへこませている。
なお、実施例3は実施例1の箱体と鼓状の空所の形状は同じである。実施例1は向かい合う面が線対称に折られているのに対し、実施例3箱体中央部を中心点とした点対称に折られている。
【0028】
図10は本発明第4の実施例を示す。この例では、四角柱に近かった実施例3(図9)の側面数を増やし、五角柱に近い形状にしている。図9と同じく、側面それぞれに1本ずつ側部折目線を設け、それぞれの側面を左隣の側部折目線に沿ってへこませている。
【0029】
図11は本発明第5の実施例を示す。
この例では、図1の側面の構造を縦方向に2つ繰り返すことにより2つのくびれ部を持つ粉粒体容器となる。
【0030】
この例では、図10の側面の上部と下部を伸ばし、天板部と底板部が円形の粉粒体容器を形成する。
なお、本発明は上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、側板部を中央に向かってへませることによりくびれ部をつくるという本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。たとえば、側部折目線は曲線でなく複数の直線からなる折れ線であっても、側部折目線に沿って側板部を折り曲げることができる程度の鈍い角度での屈折ならばよい。また、図10のように側辺と接する側部折目線があるならば、側部折目線と側辺が接する二点や側辺が、天板部あるいは底板部と接していなくても良く、これは図10以外の実施例についても同様である。そのため側部折目線と、天板部または底板部の間に任意の側辺を施すことにより天板部底板部の形状を変更することもできる。
あるいは、実施例に記載の形状に左右対称な形状も考えられる。また、上記実施例はすべて上下対称の形状となっているが、たとえば天板部からくびれ部の距離と、底板部からくびれ部の距離を変えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】斜視図および、くびれ部をXの位置で水平方向に切断したときの断面図。本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。この例では4つの側面のうち向かい合う2面に二本ずつ側部折目線を設け、その他の2面を側部折目線に沿ってへこませている。
【図2】
【0032】
正面図。図1と同じく本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。
【図3】上面図。図1と同じく本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。
【図4】側面図。図1と同じく本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。
【図5】展開図。図1と同じく本発明請求項1、2、3に記載した粉粒体容器の例を示す。
【0033】
【図6】斜視図。本発明請求項6の実施例である。上の図は請求項1、2、3に記載した粉粒体容器と、そのくびれ部に嵌合する2つの容器であり、3つの容器が下の図のようにまとまることでセット販売等に利用できることを示す。
【0034】
【図7】斜視図(右上)と三面図。図6に記載の、くびれ部に嵌合する容器を示す。
【図8】展開図。図6に記載の、くびれ部に嵌合する容器を示す。
【0035】
【図9】展開図(上)と斜視図およびくびれ部をXの位置で水平方向に切断したときの断面図(下)。請求項1、2、3に記載の粉粒体容器の例を示す。この例では4つの側面それぞれに1本ずつ側部折目線を設け、それぞれの側面を左隣の側部折目線に沿ってへこませている。
【0036】
【図10】展開図(上)と斜視図およびくびれ部をXの位置で水平方向に切断したときの断面図(下)。請求項1、2、3に記載の粉粒体容器の例を示す。この例では、四角柱に近かった図9の側面を増やし、五角柱に近い形状にしている。図9と同じく、側面それぞれに1本ずつ側部折目線を設け、それぞれの側面を左隣の側部折目線に沿ってへこませている。
【0037】
【図11】展開図(上)と斜視図(下)。請求項1、2、3、5に記載の粉粒体容器の例を示す。この例では、図1の側面の構造を縦方向に2つ繰り返すことにより2つのくびれ部を持つ粉粒体容器となる。
【0038】
【図12】展開図(上)と斜視図(下)。請求項4に記載の粉粒体容器の例を示す。この例では、図10の側面の上部と下部を伸ばし、天板部と底板部が円形の粉粒体容器を形成する。
【符号の説明】
【0039】
容器の材料である紙状展開図型シートの厚みは省略している。ただし、断面図においては省略せず、実際の厚みより厚く表記している。
・破線1 側部折目線
・2 くびれ部
・2a、2b くびれ部の幅であり、落下穴の1辺の長さ。実施例の説明用符号。
・3 鼓状の空所
・4 商品取り出し口となる孔
・5 フラップ
・6 側部折目線の幅。実施例説明用の符号。
・7 展開図における側面の縦幅(組み立て後の容器の高さとは異なる)実施例説明用の符号。
・展開図中の破線は山折り。
・展開図中の二点鎖線は谷折り。
・一点鎖線X 断面図の位置を表す。
・指定の無い破線 かくれ線
・
【特許請求の範囲】
【請求項1】
[0040]
単一の展開図形シート(紙状薄板)を折り曲げて形成する天板部と底板部と側面をもつ筒状の箱体において、筒状の箱を形成するために必要な折目線に加えて、曲線からなる折目線を箱側面の複数個所に設け、前記曲線からなる側部折目線を箱体外部から見て谷折りにするとともに、曲線からなる側部折目線に沿って側面の中央部を容器中央に向かってへこませることによって、くびれ部および断面鼓形の空所を形成する粉粒体容器。
【請求項2】
[0041]
鼓形の空所中央のくびれ部が、粉粒体の流通を制限し落下速度を制限するに適する間障である砂時計を模した請求項1の粉粒体容器。
【請求項3】
箱の天板部と底板部が正方形または長方形または正多角形である、第1または2の課題解決手段の粉粒体容器。
【請求項4】
[0042]
第1または2の課題解決手段と同様の折目線を側板部に有し、その折目線の上下に折り目線が無い筒状側板部を設けた筒状容器であって、筒状側板部に嵌合する円形の蓋材によって封をする粉粒体容器
【請求項5】
[0043]
くびれ部および鼓状の空所が多段に形成された請求項1〜4のいずれかに記載の粉粒体容器。
【請求項6】
[0044]
くびれ部に嵌合する外形形状を有する複数の容器と、請求項1〜5のいずれかに記載の容器を組み合わせた、粉粒体容器セット。
【請求項1】
[0040]
単一の展開図形シート(紙状薄板)を折り曲げて形成する天板部と底板部と側面をもつ筒状の箱体において、筒状の箱を形成するために必要な折目線に加えて、曲線からなる折目線を箱側面の複数個所に設け、前記曲線からなる側部折目線を箱体外部から見て谷折りにするとともに、曲線からなる側部折目線に沿って側面の中央部を容器中央に向かってへこませることによって、くびれ部および断面鼓形の空所を形成する粉粒体容器。
【請求項2】
[0041]
鼓形の空所中央のくびれ部が、粉粒体の流通を制限し落下速度を制限するに適する間障である砂時計を模した請求項1の粉粒体容器。
【請求項3】
箱の天板部と底板部が正方形または長方形または正多角形である、第1または2の課題解決手段の粉粒体容器。
【請求項4】
[0042]
第1または2の課題解決手段と同様の折目線を側板部に有し、その折目線の上下に折り目線が無い筒状側板部を設けた筒状容器であって、筒状側板部に嵌合する円形の蓋材によって封をする粉粒体容器
【請求項5】
[0043]
くびれ部および鼓状の空所が多段に形成された請求項1〜4のいずれかに記載の粉粒体容器。
【請求項6】
[0044]
くびれ部に嵌合する外形形状を有する複数の容器と、請求項1〜5のいずれかに記載の容器を組み合わせた、粉粒体容器セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−46246(P2012−46246A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207272(P2010−207272)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(510249140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(510249140)
【Fターム(参考)】
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