粉粒体施用機
【課題】 多条施用形態の粉粒体施用機では、複数基のシャッタ毎に操作する操作具が複数ある場合は、操作が煩雑であり、ご操作の原因になりやすい。このご操作によって多量の残留物が一度に回収パイプに排出されると、この回収パイプにおいて搬送詰まりを生じ易いこととなる。
【解決手段】 多条施用形態の多数基の粉粒体繰出装置1を並設すると共に、これら各繰出装置1の各残留排出口2を送風搬送の回収パイプに連通して、各排出口2から排出される残留物をこの回収パイプを通して機外へ回収可能に設けた粉粒体施用機において、各残留排出口2には、同一操作具4によって開閉操作すると共に、回収搬送方向にわたって異なる開度に設定のシャッター5を設けたことを特徴とする。
【解決手段】 多条施用形態の多数基の粉粒体繰出装置1を並設すると共に、これら各繰出装置1の各残留排出口2を送風搬送の回収パイプに連通して、各排出口2から排出される残留物をこの回収パイプを通して機外へ回収可能に設けた粉粒体施用機において、各残留排出口2には、同一操作具4によって開閉操作すると共に、回収搬送方向にわたって異なる開度に設定のシャッター5を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、施肥機や、播種機等のように、肥料や、種子等の粉粒体を施用する粉粒体施用機において、施用後に機体内部に残留した残留物を機外へ取出し回収する残留物回収装置に関するもので、回収搬送の詰まりをなくして、的確で、円滑な取出回収を行わせるものである。又、この施用機は、苗植機の施用装置部として併用する形態とすることもできる。
【背景技術】
【0002】
多条施用形態の粉粒体繰出装置を並設し、これら各繰出装置の各残留排出口を送風搬送の回収パイプに連通して、各排出口におけるシャッタの開きにより排出する残留物をこの回収パイプを通して機外へ回収可能に設けた粉粒体施用機において、これら多数基のうち一部の回収シャッタと、全部のシャッタとに切替えて開閉操作する操作具を設ける技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2004ー242635号公報(第2頁、第1頁、図1、図2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多条施用形態の粉粒体施用機では、複数基のシャッタ毎に操作する操作具が複数ある場合は、操作が煩雑であり、ご操作の原因になりやすい。このご操作によって多量の残留物が一度に回収パイプに排出されると、この回収パイプにおいて搬送詰まりを生じ易いこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、多条施用形態の多数基の粉粒体繰出装置1を並設すると共に、これら各繰出装置1の各残留排出口2を送風搬送の回収パイプ3に連通して、各排出口2から排出される残留物をこの回収パイプ3を通して機外へ回収可能に設けた粉粒体施用機において、各残留排出口2には、同一操作具4によって開閉操作すると共に、回収搬送方向にわたって異なる開度に設定のシャッター5を設けたことを特徴とする粉粒体施用機の構成とする。機体の進行によって各繰出装置1による粉粒体の繰出が行われて多条施用形態に行われる。この施用作業が終わると各繰出装置1に残留している粉粒体があるとは、この残留物を機外へ取出して回収する。このとき各排出口2のシャッタ5を開いて行うが、単一の操作具4を開方向へ操作すると全各繰出装置1の排出口2のシャッタ5が同じに開かれる。そして、各シャッタ5の開度は、予め各排出口2部毎に異なる開度に設定されるため、この開度に応じた粉粒体の排出量のもとに回収パイプ3へ排出される。このように各排出口2から排出される残留粉粒体が、この回収パイプ3を流れる送風によって搬送回収される。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、多条基並設の排出口2の各シャッタ5は、予め開度が搬送詰まりのないようなけいたいに各々異にして設定されているために、単一操作具4を開き操作すると、各シャッタ5をこれら設定されている所定の開度に同時に開くことができるため、誤操作や、部分的なシャッタの操作忘れ等をなくして、回収パイプ3における残留物の円滑な送風搬送を行わせて、この回収搬送の詰まりをなくすることができ、操作性を簡単で、容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図例の基づいて、この発明の粉粒体施用機として施肥装置を苗植機に装着して、土壌面に施肥しながら苗を植え付けて行くものである。トラクタ車体6の後方部に多条植付形態の苗植装置7と、多条施肥形態の施肥装置8を装着したものである。車体6は、シート9の下側にエンジン10を搭載し、ステップフロア11前部にステアリングハンドル12を有し、このエンジン10によって前部のミッションケース13の伝動機構を伝動して、前輪14、及び後輪15を駆動走行する乗用四輪駆動走行形態に構成している。シート10の後側に施肥装置8を搭載し、苗植付と同時に施肥作用を行うことができる。前記ミッションケース13の後方には、PTO軸16を取出して、前記施肥装置8や、苗植装置7等に連動する。車体6後端部のリヤフレーム17には、平行リンク形態のリフトリンク18を上下回動自在に連結して、リフトシリンダ19の伸縮によって昇降回動可能に設け、このリヤフレーム17の上方に施肥装置8を搭載している。
【0007】
前記苗植装置7は、苗植フレーム20の上方に、マット状形態に育苗された苗を収容して繰出する苗タンク21有し、後端部には、この苗タンク21から繰出るされる苗を分離保持して植付ける植付爪22を配置し、又、下側部には、これら苗植装置7全体を支持して土壌面を滑走しながら該植付爪22による苗植付面を均平にするセンタフロート23と、この左右両側のサイドフロート24とを設けて、多条植形態に構成している。各フロート23、24は、苗植フレーム20に対してフロートアーム25を介して上下調節可能に支持され、このフロートアーム25の後端部の揺動軸26周り上下回動自在に支持される。特に、センタフロート23の揺動によって、土壌面の深さを検出して、前記リフトシリンダ19を伸縮する油圧回路の昇降制御弁を切替連動して、苗植装置7を昇降制御して土壌面の深さ変化に拘らず、植付爪22による苗植付深さを一定に維持するように構成している。このような苗植フレーム20の中央部前端部が、前記リフトリンク18の後端のヒッチリンク27にローリング軸28介してローリング可能に装着される。
【0008】
前記施肥装置8は、粉粒体である肥料を収容するホッパー29と、この肥料を繰り出す繰出装置1と、この繰出装置1の繰出ロール30の回転によって繰り出された肥料を案内して土壌面の施肥溝部へ搬送案内する施肥ホース31と、この施肥ホース31部へ送風する送風フアン32、及び送風パイプ33と等から構成される。これら各ホッパー29、繰出装置1、繰出ロール30、施肥ホース31、及び送風パイプ33等は横方向に並設されて、多条植形態の苗植装置7の並び列に沿うように構成される。これら繰出装置1等の並び列の横端部に送風フアン32を設けて、該横方向の送風パイプ33と、回収パイプ3へ連通させて、送風させるように構成している。この送風パイプ33は、各繰出装置1の前側下部に沿って設け、又、この各繰出装置1の排出口2から排出される残留肥料を受けて横方向へ搬送する回収パイプ3は、後側下部に沿って設ける。この回収パイプ3の該送風フアン32と反対側の先端部は、回収ホース34を連通して、各繰出装置1に残留していた肥料を回収パイプ3を経6て搬送して所定の容器の回収することができる。これら送風スアン32から送風パイプ33と、回収パイプ3への連通分岐部に、切替弁35を設けて、この切替弁35を切替操作して施肥作業時は送風パイプ33側へ送風し、残留物回収時は回収パイプ3側へ送風するように切替送風案内させる。
【0009】
前記各繰出装置1の繰出ケース36には、繰出ロール30がロール軸37によって軸装されて、この繰出ロール30の回転によって上側の繰出室38に供給される肥料を直下の繰出口39へ繰出して、前記各施肥ホース34へ繰り出すものである。各繰出装置1のロール軸37の相互間はロール連動軸40で連結されて、一部の動力源を経て伝動回転される。各繰出ケース36の繰出室38上にはホッパー29が連通され、肥料を供給することができる。繰出室38の繰出ロール30の上側には繰出シャッタ41を設け、繰出作用を行わせる時はこの繰出シャッタ41を開き、残留肥料を回収する時はこの繰出シャッタ42を閉鎖して、該ホッパー29側から供給される残留肥料をこの後側の排出口2側へ排出案内するように構成している。各繰出室38の後側に形成の排出口2は、後側下部にわたって下り傾斜に形成して、この各排出口2を一連の回収パイプ3に連通している。この各排出口2に横方向のシャッタ軸によって開閉回動される回収シャッタ5を設ける。各シャッタ5はピニオンギヤ43を一体的に有して、各繰出装置1の後側に横方向に沿って軸架された操作軸44上に配置の操作ギヤ45に噛合して、この操作軸の横は支部に設けるレバー操作具4を手動回動することによって、これら操作ギヤ45とピニオンギヤ43の噛合により各回収シャッタ5を同時に回動することができる。又、残留物を回収する時は、各繰出装置1をリヤフレーム17に対して支持軸46の周りに後方へ回動可能にして、繰出室38や排出口2等を後方下がりに傾斜して排出し易い形態に構成している。この繰出装置1の傾斜回動には、該リヤフレーム17上のブラケット47と繰出ケース36との間に、長穴48を形成した連結板49とこの長穴48に嵌合する係合ピン50、及び、係止具51等を設けて、該繰出装置1の後傾斜位置(図4)を維持したり、正規繰出位置(図3)を固定することができる。
【0010】
前記回収パイプ3に連通する各排出口2の回収シャッタ5は送風フアン32の側では開度を大きく設定し、これと反対の側では、これに対して開度を適宜小さくして、各ピニオンギヤ43を操作ギヤ45に噛み合わせる。例えば、全八条基の施肥形態では、左右四条基毎のシャッタ5の開度を大G、小Sに変更する形態では、該送風フアン32側の四条基のシャッタ5の開度を大きくGし、これとは反対側の四条基のシャッタ5の開度を小さくSする。そして操作具4を開き側へ回動するときはこれら大G、小Sの各開度関係を維持した状態のままで開かれ、又、全閉したときは、八条基全シャッタ5が完全に閉鎖するように構成する。このような各回収シャッタ5の開度は、各一条基毎、又は数条基毎に順次に変更設定することもできる。又、これの開度を、前記操作ギヤ45に対するピニオンギヤ43の噛み合い位置を変える等によって、変更調節することができるように構成することも可能である。
【0011】
苗植作業時に施肥を行うときは、前記切替弁35を回収パイプ3閉鎖側に操作して、送風フアン32による送風を送風パイプ33側に送ると共に、繰出シャッタ41を開いて繰出ロール30を回転させる。この繰出ロール30の回転によってホッパー29の肥料が繰出室38から繰出口39を経て施肥ホース31へ繰り出される。このように各繰出口39から施肥ホース31へ繰り出された肥料は、前記送風パイプ33からの送風によって送り出されて苗植付土壌面に吹き込まれる。苗植作業が終わって各施肥ホッパー29や、繰出室38等に残留する肥料を取出回収するときは、前記切替弁35を操作して送風フアン32による送風を回収パイプ3側へ案内すると共に、操作具4を操作して各排出口2の回収シャッタ5を開く。このとき前記各排出口2におけるシャッタ5による開度が、この回収パイプ3の搬送方向の上手側の四条基部では大きくG、下手側の四条基部では小さくS開かれるため、全ての排出口2から同時に残留物が排出されると共に、この回収パイプ3に排出される残留物は、この回収パイプ3内の風圧で円滑に搬送される。この搬送方向に伴って各排出口2からの排出量が少なくなるため、回収パイプ3の搬送量が満杯状態にならないで、搬送停滞や、搬送詰まり等を起すことなく円滑に搬送されて、終端部の回収ホース34から取り出される。このような残留物の回収において、回収シャッタ5の開度が小さく設定されている排出口2部における残留物量が多いことがあるが、この場合はこの部分の排出時間が長くかかることになるが、回収パイプ3の搬送量は少ないため、排出が速やかに行われる。
【0012】
前記送風フアン32は、モータ55によって駆動するが、このブロワケース56に連結する吸入ダクト57の吸入口58を、エンジン1の位置するエンジンルーム内に連通して、このエンジン10による加熱風を吸引して、送風パイプ33や回収パイプ3へ送風するように構成して、これら施肥ホース31や回収パイプ3等における肥料の流れを円滑に行わせるように維持する。又、回収パイプ3の終端部に湿度センサ52を設けて、この湿度センサ52によってこの回収パイプ3を排出される残留肥料の湿度を検出することによって、この検出湿度をモニターに表示させるように構成する。これによって残留物の所定の詰まり対策を講じるように作業する。
【0013】
次に、主として図7に基づいて、前記操作具4を、回収シャッタ5の操作と、送風切替弁35の操作との併用形態に構成して、単一化したものである。前記シャッタ軸42の周りに、このシャッタ軸42と一体のプレート60と、回動自在の回収レバー操作具4とを設け、この操作具4の係合ピン61をこのプレート60の長穴62に嵌合して、この操作具4をラック63を形成したレバーガイド64に沿って回動するように構成する。この操作具4と前記切替弁35との間をワイヤー65とスプリング66を介して連結し、操作具4を回動することによって、施肥作用位置Pから、係合ピン61がプレート60の長穴63の端に係合する送風切替位置P1までは、ワイヤー65等を介して切替弁35を施肥位置から残留物回収位置側へ回動して、回収パイプ3へ送風する状態とする。そして、更にこの操作具4を回動するとこの係合ピン61によってプレート60を回動して、シャッタ軸42を回動して回収シャッタ5を開く回収位置P2に回動するように構成している。更には、前記ブロワー56の吸入ダクト57に外気を吸入するための開閉弁67を設ける形態では前記ワイヤー65をこの開閉弁67にも連結して、これら切替弁35を残留物回収位置側へ回動すると共に、開閉弁67を開いて外気を吸入するように構成している。このように吸入ダクト57の開閉弁67を開くことによって結露を防止することができる。又、前記吸入ダクト57は後輪6回転周部位置に接近して配置するため、この開閉弁67による開閉口を、車体6の後輪15位置に接近しないようにできるだけ離間した位置に配置して、後輪回転によって跳ね上げられる泥水の飛散を受け難い位置に設定する。
【0014】
又、前記施肥ホッパー29内は、露結し易い個所であるが、この施肥ホッパー29の内部に前記吸入ダクト57、又はエンジン10の排気を案内する排気パイプを連通して、この排気熱でホッパー29内部を加温するように構成することによって、露結をなくして円滑な肥料の繰り出しを行わせるように構成することもできる。
【0015】
次に、主として図10基づいて、前記繰出装置1をシート9の後側のリヤステップフロア70上に配置する形態においては、運転者が施肥ホッパー29内に肥料を供給したり、前記繰出装置1を支持軸46の周りに後側へ回動傾斜する場合、このリヤステップフロア70上を踏むことがあり、このときこのリヤステップフロア70上に位置するゴムチューブ製の送風パイプ33を踏んで、変形させたり、押し潰すことがある。そこで、このリアステップフロア70上の送風パイプ33の上側に位置して、左右の繰出装置1間にわたって連結するリフトレバー71を設ける。前記各繰出装置1の回動はこのリフトレバー71を把持して行う。従って運転者がこのリフトレバー71を誤って踏み付けることがなく、送風パイプ33を踏むこともなくなり、送風パイプ33のガードバーの役割を果たす。
【0016】
次に、主として図11に基づいて、前記各繰出装置1の施肥ホッパー29に櫛状形態の撹拌器75を撹拌軸76の周りに回動自在に設けて、一側端のレバー77操作で回動することができる。この撹拌器75はホッパー29内の網78の下側に設けて、肥料の塊を細かく砕くものである。各繰出装置1毎の撹拌軸76は横方向へ連結されて、この一端側に単一レバー77を設けている。
【0017】
次に、主として図12、図13に基づいて、前記ホッパー29の撹拌器75を苗植機の苗植装置7を昇降操作する苗植レバー79によって連動回動するもので、この苗植えレバー79を植え付け位置、又は非植え付け位置の上げ位置へ操作することによって、前記撹拌器75を撹拌軸76の回りにワイヤー80連動によって回動させる。又、図13のように、この櫛形状形態に形成した撹拌器75を、撹拌軸76の方向に沿って揺動させることができる。この形態では、この撹拌器75の下側のホッパー口81に沿って、この撹拌器75と齟齬する形態の櫛形状形態の抵抗器82を設けて、塊肥料の細砕効果を高めることができるとともに、この撹拌器75を抵抗器82と齟齬させて止めることによってホッパー口81の一部、又は全部を閉鎖するシャッタを兼ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】繰出装置部の側断面図。
【図2】その回収シャッタ部の開作動を示す側断面図。
【図3】その繰出装置部の側面図。
【図4】その作動状態を示す側面図。
【図5】その繰出装置部の正面図。
【図6】その平面図。
【図7】その回収シャッタを操作する操作具部の連動機構図。
【図8】苗植機の側面図。
【図9】その平面図。
【図10】一部別例を示す繰出装置部の平面図。
【図11】一部別例を示すホッパー撹拌器部の正面図と、側面図。
【図12】そのホッパー撹拌器部の作動状態を示す側面図と、正面図。
【図13】一部別例を示すホッパー撹拌器部の平面図。
【符号の説明】
【0019】
1 繰出装置
2 排出口
3 回収パイプ
4 操作具
5 回収シャッタ
32 送風フアン
43 ピニオンギヤ
44 操作軸
45 操作ギヤ
【技術分野】
【0001】
この発明は、施肥機や、播種機等のように、肥料や、種子等の粉粒体を施用する粉粒体施用機において、施用後に機体内部に残留した残留物を機外へ取出し回収する残留物回収装置に関するもので、回収搬送の詰まりをなくして、的確で、円滑な取出回収を行わせるものである。又、この施用機は、苗植機の施用装置部として併用する形態とすることもできる。
【背景技術】
【0002】
多条施用形態の粉粒体繰出装置を並設し、これら各繰出装置の各残留排出口を送風搬送の回収パイプに連通して、各排出口におけるシャッタの開きにより排出する残留物をこの回収パイプを通して機外へ回収可能に設けた粉粒体施用機において、これら多数基のうち一部の回収シャッタと、全部のシャッタとに切替えて開閉操作する操作具を設ける技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2004ー242635号公報(第2頁、第1頁、図1、図2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多条施用形態の粉粒体施用機では、複数基のシャッタ毎に操作する操作具が複数ある場合は、操作が煩雑であり、ご操作の原因になりやすい。このご操作によって多量の残留物が一度に回収パイプに排出されると、この回収パイプにおいて搬送詰まりを生じ易いこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、多条施用形態の多数基の粉粒体繰出装置1を並設すると共に、これら各繰出装置1の各残留排出口2を送風搬送の回収パイプ3に連通して、各排出口2から排出される残留物をこの回収パイプ3を通して機外へ回収可能に設けた粉粒体施用機において、各残留排出口2には、同一操作具4によって開閉操作すると共に、回収搬送方向にわたって異なる開度に設定のシャッター5を設けたことを特徴とする粉粒体施用機の構成とする。機体の進行によって各繰出装置1による粉粒体の繰出が行われて多条施用形態に行われる。この施用作業が終わると各繰出装置1に残留している粉粒体があるとは、この残留物を機外へ取出して回収する。このとき各排出口2のシャッタ5を開いて行うが、単一の操作具4を開方向へ操作すると全各繰出装置1の排出口2のシャッタ5が同じに開かれる。そして、各シャッタ5の開度は、予め各排出口2部毎に異なる開度に設定されるため、この開度に応じた粉粒体の排出量のもとに回収パイプ3へ排出される。このように各排出口2から排出される残留粉粒体が、この回収パイプ3を流れる送風によって搬送回収される。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、多条基並設の排出口2の各シャッタ5は、予め開度が搬送詰まりのないようなけいたいに各々異にして設定されているために、単一操作具4を開き操作すると、各シャッタ5をこれら設定されている所定の開度に同時に開くことができるため、誤操作や、部分的なシャッタの操作忘れ等をなくして、回収パイプ3における残留物の円滑な送風搬送を行わせて、この回収搬送の詰まりをなくすることができ、操作性を簡単で、容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図例の基づいて、この発明の粉粒体施用機として施肥装置を苗植機に装着して、土壌面に施肥しながら苗を植え付けて行くものである。トラクタ車体6の後方部に多条植付形態の苗植装置7と、多条施肥形態の施肥装置8を装着したものである。車体6は、シート9の下側にエンジン10を搭載し、ステップフロア11前部にステアリングハンドル12を有し、このエンジン10によって前部のミッションケース13の伝動機構を伝動して、前輪14、及び後輪15を駆動走行する乗用四輪駆動走行形態に構成している。シート10の後側に施肥装置8を搭載し、苗植付と同時に施肥作用を行うことができる。前記ミッションケース13の後方には、PTO軸16を取出して、前記施肥装置8や、苗植装置7等に連動する。車体6後端部のリヤフレーム17には、平行リンク形態のリフトリンク18を上下回動自在に連結して、リフトシリンダ19の伸縮によって昇降回動可能に設け、このリヤフレーム17の上方に施肥装置8を搭載している。
【0007】
前記苗植装置7は、苗植フレーム20の上方に、マット状形態に育苗された苗を収容して繰出する苗タンク21有し、後端部には、この苗タンク21から繰出るされる苗を分離保持して植付ける植付爪22を配置し、又、下側部には、これら苗植装置7全体を支持して土壌面を滑走しながら該植付爪22による苗植付面を均平にするセンタフロート23と、この左右両側のサイドフロート24とを設けて、多条植形態に構成している。各フロート23、24は、苗植フレーム20に対してフロートアーム25を介して上下調節可能に支持され、このフロートアーム25の後端部の揺動軸26周り上下回動自在に支持される。特に、センタフロート23の揺動によって、土壌面の深さを検出して、前記リフトシリンダ19を伸縮する油圧回路の昇降制御弁を切替連動して、苗植装置7を昇降制御して土壌面の深さ変化に拘らず、植付爪22による苗植付深さを一定に維持するように構成している。このような苗植フレーム20の中央部前端部が、前記リフトリンク18の後端のヒッチリンク27にローリング軸28介してローリング可能に装着される。
【0008】
前記施肥装置8は、粉粒体である肥料を収容するホッパー29と、この肥料を繰り出す繰出装置1と、この繰出装置1の繰出ロール30の回転によって繰り出された肥料を案内して土壌面の施肥溝部へ搬送案内する施肥ホース31と、この施肥ホース31部へ送風する送風フアン32、及び送風パイプ33と等から構成される。これら各ホッパー29、繰出装置1、繰出ロール30、施肥ホース31、及び送風パイプ33等は横方向に並設されて、多条植形態の苗植装置7の並び列に沿うように構成される。これら繰出装置1等の並び列の横端部に送風フアン32を設けて、該横方向の送風パイプ33と、回収パイプ3へ連通させて、送風させるように構成している。この送風パイプ33は、各繰出装置1の前側下部に沿って設け、又、この各繰出装置1の排出口2から排出される残留肥料を受けて横方向へ搬送する回収パイプ3は、後側下部に沿って設ける。この回収パイプ3の該送風フアン32と反対側の先端部は、回収ホース34を連通して、各繰出装置1に残留していた肥料を回収パイプ3を経6て搬送して所定の容器の回収することができる。これら送風スアン32から送風パイプ33と、回収パイプ3への連通分岐部に、切替弁35を設けて、この切替弁35を切替操作して施肥作業時は送風パイプ33側へ送風し、残留物回収時は回収パイプ3側へ送風するように切替送風案内させる。
【0009】
前記各繰出装置1の繰出ケース36には、繰出ロール30がロール軸37によって軸装されて、この繰出ロール30の回転によって上側の繰出室38に供給される肥料を直下の繰出口39へ繰出して、前記各施肥ホース34へ繰り出すものである。各繰出装置1のロール軸37の相互間はロール連動軸40で連結されて、一部の動力源を経て伝動回転される。各繰出ケース36の繰出室38上にはホッパー29が連通され、肥料を供給することができる。繰出室38の繰出ロール30の上側には繰出シャッタ41を設け、繰出作用を行わせる時はこの繰出シャッタ41を開き、残留肥料を回収する時はこの繰出シャッタ42を閉鎖して、該ホッパー29側から供給される残留肥料をこの後側の排出口2側へ排出案内するように構成している。各繰出室38の後側に形成の排出口2は、後側下部にわたって下り傾斜に形成して、この各排出口2を一連の回収パイプ3に連通している。この各排出口2に横方向のシャッタ軸によって開閉回動される回収シャッタ5を設ける。各シャッタ5はピニオンギヤ43を一体的に有して、各繰出装置1の後側に横方向に沿って軸架された操作軸44上に配置の操作ギヤ45に噛合して、この操作軸の横は支部に設けるレバー操作具4を手動回動することによって、これら操作ギヤ45とピニオンギヤ43の噛合により各回収シャッタ5を同時に回動することができる。又、残留物を回収する時は、各繰出装置1をリヤフレーム17に対して支持軸46の周りに後方へ回動可能にして、繰出室38や排出口2等を後方下がりに傾斜して排出し易い形態に構成している。この繰出装置1の傾斜回動には、該リヤフレーム17上のブラケット47と繰出ケース36との間に、長穴48を形成した連結板49とこの長穴48に嵌合する係合ピン50、及び、係止具51等を設けて、該繰出装置1の後傾斜位置(図4)を維持したり、正規繰出位置(図3)を固定することができる。
【0010】
前記回収パイプ3に連通する各排出口2の回収シャッタ5は送風フアン32の側では開度を大きく設定し、これと反対の側では、これに対して開度を適宜小さくして、各ピニオンギヤ43を操作ギヤ45に噛み合わせる。例えば、全八条基の施肥形態では、左右四条基毎のシャッタ5の開度を大G、小Sに変更する形態では、該送風フアン32側の四条基のシャッタ5の開度を大きくGし、これとは反対側の四条基のシャッタ5の開度を小さくSする。そして操作具4を開き側へ回動するときはこれら大G、小Sの各開度関係を維持した状態のままで開かれ、又、全閉したときは、八条基全シャッタ5が完全に閉鎖するように構成する。このような各回収シャッタ5の開度は、各一条基毎、又は数条基毎に順次に変更設定することもできる。又、これの開度を、前記操作ギヤ45に対するピニオンギヤ43の噛み合い位置を変える等によって、変更調節することができるように構成することも可能である。
【0011】
苗植作業時に施肥を行うときは、前記切替弁35を回収パイプ3閉鎖側に操作して、送風フアン32による送風を送風パイプ33側に送ると共に、繰出シャッタ41を開いて繰出ロール30を回転させる。この繰出ロール30の回転によってホッパー29の肥料が繰出室38から繰出口39を経て施肥ホース31へ繰り出される。このように各繰出口39から施肥ホース31へ繰り出された肥料は、前記送風パイプ33からの送風によって送り出されて苗植付土壌面に吹き込まれる。苗植作業が終わって各施肥ホッパー29や、繰出室38等に残留する肥料を取出回収するときは、前記切替弁35を操作して送風フアン32による送風を回収パイプ3側へ案内すると共に、操作具4を操作して各排出口2の回収シャッタ5を開く。このとき前記各排出口2におけるシャッタ5による開度が、この回収パイプ3の搬送方向の上手側の四条基部では大きくG、下手側の四条基部では小さくS開かれるため、全ての排出口2から同時に残留物が排出されると共に、この回収パイプ3に排出される残留物は、この回収パイプ3内の風圧で円滑に搬送される。この搬送方向に伴って各排出口2からの排出量が少なくなるため、回収パイプ3の搬送量が満杯状態にならないで、搬送停滞や、搬送詰まり等を起すことなく円滑に搬送されて、終端部の回収ホース34から取り出される。このような残留物の回収において、回収シャッタ5の開度が小さく設定されている排出口2部における残留物量が多いことがあるが、この場合はこの部分の排出時間が長くかかることになるが、回収パイプ3の搬送量は少ないため、排出が速やかに行われる。
【0012】
前記送風フアン32は、モータ55によって駆動するが、このブロワケース56に連結する吸入ダクト57の吸入口58を、エンジン1の位置するエンジンルーム内に連通して、このエンジン10による加熱風を吸引して、送風パイプ33や回収パイプ3へ送風するように構成して、これら施肥ホース31や回収パイプ3等における肥料の流れを円滑に行わせるように維持する。又、回収パイプ3の終端部に湿度センサ52を設けて、この湿度センサ52によってこの回収パイプ3を排出される残留肥料の湿度を検出することによって、この検出湿度をモニターに表示させるように構成する。これによって残留物の所定の詰まり対策を講じるように作業する。
【0013】
次に、主として図7に基づいて、前記操作具4を、回収シャッタ5の操作と、送風切替弁35の操作との併用形態に構成して、単一化したものである。前記シャッタ軸42の周りに、このシャッタ軸42と一体のプレート60と、回動自在の回収レバー操作具4とを設け、この操作具4の係合ピン61をこのプレート60の長穴62に嵌合して、この操作具4をラック63を形成したレバーガイド64に沿って回動するように構成する。この操作具4と前記切替弁35との間をワイヤー65とスプリング66を介して連結し、操作具4を回動することによって、施肥作用位置Pから、係合ピン61がプレート60の長穴63の端に係合する送風切替位置P1までは、ワイヤー65等を介して切替弁35を施肥位置から残留物回収位置側へ回動して、回収パイプ3へ送風する状態とする。そして、更にこの操作具4を回動するとこの係合ピン61によってプレート60を回動して、シャッタ軸42を回動して回収シャッタ5を開く回収位置P2に回動するように構成している。更には、前記ブロワー56の吸入ダクト57に外気を吸入するための開閉弁67を設ける形態では前記ワイヤー65をこの開閉弁67にも連結して、これら切替弁35を残留物回収位置側へ回動すると共に、開閉弁67を開いて外気を吸入するように構成している。このように吸入ダクト57の開閉弁67を開くことによって結露を防止することができる。又、前記吸入ダクト57は後輪6回転周部位置に接近して配置するため、この開閉弁67による開閉口を、車体6の後輪15位置に接近しないようにできるだけ離間した位置に配置して、後輪回転によって跳ね上げられる泥水の飛散を受け難い位置に設定する。
【0014】
又、前記施肥ホッパー29内は、露結し易い個所であるが、この施肥ホッパー29の内部に前記吸入ダクト57、又はエンジン10の排気を案内する排気パイプを連通して、この排気熱でホッパー29内部を加温するように構成することによって、露結をなくして円滑な肥料の繰り出しを行わせるように構成することもできる。
【0015】
次に、主として図10基づいて、前記繰出装置1をシート9の後側のリヤステップフロア70上に配置する形態においては、運転者が施肥ホッパー29内に肥料を供給したり、前記繰出装置1を支持軸46の周りに後側へ回動傾斜する場合、このリヤステップフロア70上を踏むことがあり、このときこのリヤステップフロア70上に位置するゴムチューブ製の送風パイプ33を踏んで、変形させたり、押し潰すことがある。そこで、このリアステップフロア70上の送風パイプ33の上側に位置して、左右の繰出装置1間にわたって連結するリフトレバー71を設ける。前記各繰出装置1の回動はこのリフトレバー71を把持して行う。従って運転者がこのリフトレバー71を誤って踏み付けることがなく、送風パイプ33を踏むこともなくなり、送風パイプ33のガードバーの役割を果たす。
【0016】
次に、主として図11に基づいて、前記各繰出装置1の施肥ホッパー29に櫛状形態の撹拌器75を撹拌軸76の周りに回動自在に設けて、一側端のレバー77操作で回動することができる。この撹拌器75はホッパー29内の網78の下側に設けて、肥料の塊を細かく砕くものである。各繰出装置1毎の撹拌軸76は横方向へ連結されて、この一端側に単一レバー77を設けている。
【0017】
次に、主として図12、図13に基づいて、前記ホッパー29の撹拌器75を苗植機の苗植装置7を昇降操作する苗植レバー79によって連動回動するもので、この苗植えレバー79を植え付け位置、又は非植え付け位置の上げ位置へ操作することによって、前記撹拌器75を撹拌軸76の回りにワイヤー80連動によって回動させる。又、図13のように、この櫛形状形態に形成した撹拌器75を、撹拌軸76の方向に沿って揺動させることができる。この形態では、この撹拌器75の下側のホッパー口81に沿って、この撹拌器75と齟齬する形態の櫛形状形態の抵抗器82を設けて、塊肥料の細砕効果を高めることができるとともに、この撹拌器75を抵抗器82と齟齬させて止めることによってホッパー口81の一部、又は全部を閉鎖するシャッタを兼ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】繰出装置部の側断面図。
【図2】その回収シャッタ部の開作動を示す側断面図。
【図3】その繰出装置部の側面図。
【図4】その作動状態を示す側面図。
【図5】その繰出装置部の正面図。
【図6】その平面図。
【図7】その回収シャッタを操作する操作具部の連動機構図。
【図8】苗植機の側面図。
【図9】その平面図。
【図10】一部別例を示す繰出装置部の平面図。
【図11】一部別例を示すホッパー撹拌器部の正面図と、側面図。
【図12】そのホッパー撹拌器部の作動状態を示す側面図と、正面図。
【図13】一部別例を示すホッパー撹拌器部の平面図。
【符号の説明】
【0019】
1 繰出装置
2 排出口
3 回収パイプ
4 操作具
5 回収シャッタ
32 送風フアン
43 ピニオンギヤ
44 操作軸
45 操作ギヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多条施用形態の粉粒体繰出装置(1)を並設すると共に、これら各繰出装置(1)の各残留排出口(2)を送風搬送の回収パイプ(3)に連通して、各排出口(2)から排出される残留物をこの回収パイプ(3)を通して機外へ回収可能に設けた粉粒体施用機において、各残留排出口(2)には、同一操作具(4)によって開閉操作すると共に、回収搬送方向にわたって異なる開度に設定のシャッター(5)を設けたことを特徴とする粉粒体施用機。
【請求項1】
多条施用形態の粉粒体繰出装置(1)を並設すると共に、これら各繰出装置(1)の各残留排出口(2)を送風搬送の回収パイプ(3)に連通して、各排出口(2)から排出される残留物をこの回収パイプ(3)を通して機外へ回収可能に設けた粉粒体施用機において、各残留排出口(2)には、同一操作具(4)によって開閉操作すると共に、回収搬送方向にわたって異なる開度に設定のシャッター(5)を設けたことを特徴とする粉粒体施用機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−29214(P2008−29214A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203260(P2006−203260)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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