粒体補給カートリッジ
【課題】粒体移送管へ粒体を円滑に供給することができる装置を提供することを課題とする。
【解決手段】砥粒補給カートリッジ40は、第1の扇状断面柱20側の砥粒載せ溝140に砥粒170を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱20に第2の扇状断面柱30を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、砥粒を直列に1列に並べた形態で、砥粒移送管へ補給することができるように構成した。
【効果】砥粒移送管に対する砥粒の供給が円滑になる。砥粒移送管へ砥粒を円滑に供給することができる砥粒補給カートリッジ40を提供することができる。
【解決手段】砥粒補給カートリッジ40は、第1の扇状断面柱20側の砥粒載せ溝140に砥粒170を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱20に第2の扇状断面柱30を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、砥粒を直列に1列に並べた形態で、砥粒移送管へ補給することができるように構成した。
【効果】砥粒移送管に対する砥粒の供給が円滑になる。砥粒移送管へ砥粒を円滑に供給することができる砥粒補給カートリッジ40を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒体移送管へ粒体を補給する粒体補給カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
粒体の一種に砥石に用いられる砥粒がある。この砥粒を台金に電着させると、電着砥石を製造することができる。しかし、複数の砥粒を台金に電着させるときに砥粒が台金の被電着面の特定部位に集中すると、台金の特定部位に砥粒が偏って電着された砥石が製造されるので、砥粒の偏りを防ぐ技術が必要となる。
【0003】
従来、台金に対する砥粒の分散性を考慮した電着砥石の製造方法が知られている(例えば、特許文献1(図1(a)参照。)。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来の技術の基本原理を説明する図であり、(a)に示すように、マスキングシート300は、転写紙301に固化させた熱硬化性樹脂製のインク302をフィルム303で覆ったシートである。また、インク302は、一定のピッチで開口している複数の非マスキング部304を除いて転写紙301に形成されている。
【0005】
マスキングシート300を薬品に浸してインク302をフィルム303ごとに剥ぎ取り、(b)に示すように、台金305の被電着面306に貼り付ける。次に、フィルム303のみを剥がして、(c)に示すように、電着槽内の電着液307に台金305を浸す。台金305には、複数の非マスキング部304が形成されているので、非マスキング部304に砥粒を配置させることができる。複数の非マスキング部304は、台金305の被電着面306の全体に設けられているので、砥粒を分散させて配置することができる。
【0006】
ところで、特許文献1の非マスキング部304に砥粒を配置する場合、非マスキング部304の上方に配置した砥粒移送管308のホッパ部309へ白抜き矢印のように複数の砥粒311を投入するので、(d)に示すようにホッパ部309の出口312付近で複数の砥粒311が詰まることがある。ホッパ部309の出口312付近で砥粒311が詰まると、非マスキング部304に砥粒311を供給することができなくなる。これでは、砥粒供給作業の効率悪化を招く。
【0007】
そのため、砥粒(粒体)移送管へ砥粒(粒体)を円滑に供給することができる装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−285846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、粒体移送管へ粒体を円滑に供給することができる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、粒体の外径に隙間を加えて内径とし前記粒体を直列に1列に並べた形態で移送機構で移送させる粒体移送管を備えている粒体供給装置の前記粒体移送管へ前記粒体を補給する粒体補給カートリッジであって、この粒体補給カートリッジは、前記粒体の外径に隙間を加えた径の穴が長手方向に開けられている柱状部材を、前記穴を通る切断面で切断された2個の扇状断面柱からなり、一方の扇状断面柱は中心角が180°未満である第1の扇状断面柱であって、この第1の扇状断面柱の要の部位に前記穴の一部が形成され、この穴の一部が粒体載せ溝とされ、他方の扇状断面柱は中心角が180°を超える第2の扇状断面柱であって、この第2の扇状断面柱の要の部位に前記穴の残部が形成され、この穴の残部が粒体ガイド溝となり、前記第1の扇状断面柱側の粒体載せ溝に前記粒体を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱に前記第2の扇状断面柱を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、粒体を直列に1列に並べた形態で、前記粒体移送管へ補給することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、粒体補給カートリッジは、第1の扇状断面柱側の粒体載せ溝に粒体を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱に第2の扇状断面柱を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、粒体を直列に1列に並べた形態で、粒体移送管へ補給することができるように構成したので、粒体移送管へ粒体を円滑に供給することができる。請求項1によれば、粒体移送管へ粒体を円滑に供給することができる粒体補給カートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る粒体供給装置の分解斜視図である。
【図2】粒体供給装置の断面図である。
【図3】本発明に係る粒体補給カートリッジの分解斜視図である。
【図4】図2の4部拡大図である。
【図5】本発明に係る粒体を粒体載せ溝に載せるまでの作用を説明する図である。
【図6】粒体補給カートリッジを反転させるまでの作用を説明する図である。
【図7】本発明に係るピン移動手段を作動させるまでの作用を説明する図である。
【図8】粒体を型に載せるまでの作用を説明する図である。
【図9】図1の変更実施例図である。
【図10】図3の変更実施例図である。
【図11】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、以下では、粒体は砥粒とし、ピン移動手段はレバーとして説明する。
【実施例1】
【0014】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。なお、移送機構は、重力作用を利用したものとして説明する。
図1に示されるように、砥粒供給装置10は、本体11(詳細後述)の装着穴12に、第1の扇状断面柱20(詳細後述)と第2の扇状断面柱30(詳細後述)とからなる砥粒補給カートリッジ40(詳細後述)を挿入し、本体11の上面51にストッパ52を取り付けてなる装置である。53はボルト、54は把手である。
【0015】
図2に示されるように、砥粒供給装置10は、本体11の装着穴12の下に設けられ第1の扇状断面柱20と第2の扇状断面柱30とで形成された円柱状の穴55に内面56が続くように形成されている砥粒中継管57と、この砥粒中継管57の下端に接続され砥粒中継管57の内面56に続くように形成された内面58を有する砥粒移送管60(詳細後述)と、本体11に上下方向に形成された穴71に移動自在に設けた押出し軸72を有し穴71の底73に設けた圧縮ばね74に載っている砥粒押出し機構80(詳細後述)と、本体11の下端に取り付けられ砥粒移送管60が接続されていると共に砥粒吐出口91を有している砥粒押出し管100(詳細後述)とを備えている。
【0016】
砥粒押出し機構80は、押出し軸72の下端から下方へ延びている押出しピン110(詳細後述)及びこの押出しピン110を往復移動させるために押出し軸72に取り付けられているレバー120からなる。
【0017】
砥粒補給カートリッジ40は、砥粒移送管60へ砥粒を補給するカートリッジである。131はばね受け面、132は止めピン、133はスライド用開口、134はストッパボルト、135は溝である。
【0018】
レバー120を想像線で示す位置まで押すと、押出し軸72が下降するので、押出しピン110を下降させることができる。このとき、圧縮ばね74は圧縮状態になる。押出しピン110を元の位置に戻すには、レバー120を戻せばよい。
【0019】
図3において、(a)に示されるように、砥粒補給カートリッジ40は、砥粒の外径に隙間を加えた径D1の穴55が長手方向に開けられている柱状部材を、穴55を通る切断面で切断された第1の扇状断面柱20と第2の扇状断面柱30とからなる。
【0020】
(b)に示されるように、第1の扇状断面柱20は、中心角が180°未満である扇状断面柱である。また、第1の扇状断面柱20の要の部位に穴55の一部が形成され、この穴55の一部が砥粒載せ溝140とされている。
【0021】
第2の扇状断面柱30は、中心角が180°を超える扇状断面柱である。また、第2の扇状断面柱30の要の部位に穴55の残部が形成され、この穴55の残部が砥粒ガイド溝150となっている。161、162は落下防止部材、163、164は切断面である。
【0022】
図4に示されるように、砥粒供給装置10は、前述の構成に加えて、想像線で示す砥粒170の外径D2に隙間L1を加えて内径D3とし砥粒170を直列に1列に並べた形態(詳細後述)で重力作用で移送させる砥粒移送管60と、この砥粒移送管60の出口181に、管体182の途中が接続されこの管体182内へ砥粒170が供給されると共に管体182の内径D4が砥粒171の外径D5に隙間L2、L3を加えた径である砥粒押出し管100と、この砥粒押出し管100の砥粒移送管60の出口181に対面する部位に凹状に設けられ、砥粒170を1個保持する砥粒保持凹部190と、管体182内に移動自在に収納され砥粒保持凹部190に保持された1個の砥粒を押出す先端面201を有する押出しピン110及びこの押出しピン110を実線と想像線で示すように往復移動させるレバー(図2の符号120)からなる砥粒押出し機構(図2の符号80)と、を備えている。
以上に述べた砥粒供給装置10の作用を次に述べる。
【0023】
図5において、(a)に示されるように、第1の扇状断面柱20の砥粒載せ溝140に、シャベル202上の複数の砥粒170を矢印(1)のように落とす。
(b)に示されるように、砥粒載せ溝140に複数の砥粒170が載っている。
【0024】
図6において、(a)に示されるように、複数の砥粒170が載った第1の扇状断面柱20に、第2の扇状断面柱30を矢印(2)のように合わせる。
(b)に示されるように、柱状部材となった第1の扇状断面柱20及び第2の扇状断面柱30を矢印(3)のように反転させる。
【0025】
図7において、(a)に示されるように、反転させた砥粒補給カートリッジ40を、矢印(4)のように本体11の装着穴12に挿入する。次に本体11の上面51にストッパ(図1の符号52)を取り付ける。
【0026】
(b)に示されるように、砥粒供給装置10の先端を電着槽203内の電着液204中に挿入し、電着液204に浸された金型205の表面206に砥粒供給装置10の砥粒吐出口(図4の符号91)を臨ませている。この状態からレバー120を矢印(5)のように押す。
【0027】
砥粒補給カートリッジ40は、第1の扇状断面柱20側の砥粒載せ溝(図6の符号140)に砥粒(図6の符号170)を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱20に第2の扇状断面柱30を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、砥粒を直列に1列に並べた形態で、砥粒移送管60へ補給することができるように構成したので、砥粒移送管60へ砥粒を円滑に供給することができる。したがって、砥粒移送管60へ砥粒を円滑に供給することができる砥粒補給カートリッジ40を提供することができる。
【0028】
図8において、(a)は図7(b)の8a部拡大図に相当する。レバー(図7の符号120)を押したので、押出しピン110が矢印(6)のように砥粒保持凹部190に保持された1個の砥粒170に向かって移動する。
【0029】
(b)に示されるように、押出しピン110の先端面201で押し出された砥粒170が、金型205の表面206に配置されている。また、砥粒移送管60内に直列に1列に並べた形態で重力作用で移送させる砥粒170は、押出しピン110の外周面207に接触しているので、落下することはない。
【0030】
砥粒供給装置(図7の符号10)は、砥粒移送管60と、砥粒押出し管100と、砥粒保持凹部190と、押出しピン110及びレバー(図7の符号120)からなる砥粒押出し機構(図2の符号80)と、を備えているので、レバーで移動させた押出しピン110によって、砥粒保持凹部190に保持された1個の砥粒170を押し出すだけである。そのため、砥粒供給装置は、電着液(図7の符号204)中でも問題なく使用することができる。したがって、電着液中で使用することができる砥粒供給装置を提供することができる。
【0031】
さらに、砥粒移送管60は、重力作用を利用することができるように配置されていることを特徴とする。そのため、砥粒170を移送させるために動力源を必要としない。動力源が不要であるので、動力源が必要な場合に比べて、砥粒供給装置を小型化することができる。
【0032】
加えて、粒体は、砥粒170であるので、砥石の製造工程で用いるのに適した砥粒供給装置を提供することができる。
【0033】
ところで、これまでに説明した砥粒供給装置は、砥粒を重力作用で移送させる形式であったが、より円滑に砥粒を移送させることができる実施例を次に述べる。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。なお、移送機構は、ばね機構として説明する。
図9において、図1と共通の構造については符号を流用して説明を省略する。
【0035】
砥粒供給装置10Bは、第1の扇状断面柱20B(詳細後述)と第2の扇状断面柱30B(詳細後述)との間にばね機構210(詳細後述)を設けて砥粒補給カートリッジ40B(詳細後述)を構成し、この砥粒補給カートリッジ40Bを本体11の装着穴12に挿入し、本体11の上面51にストッパ52を取り付けてなる装置である。
【0036】
ばね機構210は、砥粒補給カートリッジ40B内に充填された砥粒を押す押し部材211と、この押し部材211に連結され押し部材211に押出作用を与える圧縮ばね212と、この圧縮ばね212とストッパ52との間に設けられる当て部材213とからなる。
【0037】
加えて、砥粒移送管60は、入口側である砥粒補給カートリッジ40Bにばね機構210を備え、このばね機構210で砥粒を押出すように構成したことを特徴とする。重力作用を利用する場合に比べて、砥粒を円滑に移送させることができる砥粒供給装置10Bを提供することができる。
【0038】
図10において、図3と共通の構造については符号を流用して説明を省略する。第1の扇状断面柱20Bは、落下防止部材(図3の符号161)を備えていない。また、第2の扇状断面柱30Bも落下防止部材(図3の符号162)を備えていない。
【0039】
落下防止部材がないので、砥粒がなくなったら、先ず砥粒補給カートリッジ40Bを砥粒供給装置(図9の符号10B)に装着させたまま、ばね機構(図9の符号210)を抜き取る。次に砥粒補給カートリッジ40Bに砥粒を補給する。すなわち、砥粒の補給を円滑に実施することができる。
【0040】
尚、本発明に係る粒体は、実施の形態では砥粒を適用したが、この他に活性炭等を適用することができるので、一般の粒体を適用することは差し支えない。
また、本発明に係るピン移動手段は、実施の形態ではレバーによる手動操作としたが、シリンダ等の駆動装置で押出しピンを押出す構成であってもよい。
【0041】
加えて、本発明に係る移送機構は、実施の形態では重力作用の利用又はばね機構を適用したが、この他にスポンジ、ゴム、軟質樹脂を用いた機構を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の粒体供給装置は、電着砥石の製造に好適である。
【符号の説明】
【0043】
10、10B…砥粒供給装置、20、20B…第1の扇状断面柱、30、30B…第2の扇状断面柱、40、40B…砥粒補給カートリッジ、55…穴、60…砥粒移送管、80…砥粒押出し機構、100…砥粒押出し管、110…押出しピン、120…レバー(ピン移動手段)、140…砥粒載せ溝、150…砥粒ガイド溝、163、164…切断面、170、171…砥粒、181…出口、182…管体、190…砥粒保持凹部、210…ばね機構(移送機構)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒体移送管へ粒体を補給する粒体補給カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
粒体の一種に砥石に用いられる砥粒がある。この砥粒を台金に電着させると、電着砥石を製造することができる。しかし、複数の砥粒を台金に電着させるときに砥粒が台金の被電着面の特定部位に集中すると、台金の特定部位に砥粒が偏って電着された砥石が製造されるので、砥粒の偏りを防ぐ技術が必要となる。
【0003】
従来、台金に対する砥粒の分散性を考慮した電着砥石の製造方法が知られている(例えば、特許文献1(図1(a)参照。)。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来の技術の基本原理を説明する図であり、(a)に示すように、マスキングシート300は、転写紙301に固化させた熱硬化性樹脂製のインク302をフィルム303で覆ったシートである。また、インク302は、一定のピッチで開口している複数の非マスキング部304を除いて転写紙301に形成されている。
【0005】
マスキングシート300を薬品に浸してインク302をフィルム303ごとに剥ぎ取り、(b)に示すように、台金305の被電着面306に貼り付ける。次に、フィルム303のみを剥がして、(c)に示すように、電着槽内の電着液307に台金305を浸す。台金305には、複数の非マスキング部304が形成されているので、非マスキング部304に砥粒を配置させることができる。複数の非マスキング部304は、台金305の被電着面306の全体に設けられているので、砥粒を分散させて配置することができる。
【0006】
ところで、特許文献1の非マスキング部304に砥粒を配置する場合、非マスキング部304の上方に配置した砥粒移送管308のホッパ部309へ白抜き矢印のように複数の砥粒311を投入するので、(d)に示すようにホッパ部309の出口312付近で複数の砥粒311が詰まることがある。ホッパ部309の出口312付近で砥粒311が詰まると、非マスキング部304に砥粒311を供給することができなくなる。これでは、砥粒供給作業の効率悪化を招く。
【0007】
そのため、砥粒(粒体)移送管へ砥粒(粒体)を円滑に供給することができる装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−285846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、粒体移送管へ粒体を円滑に供給することができる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、粒体の外径に隙間を加えて内径とし前記粒体を直列に1列に並べた形態で移送機構で移送させる粒体移送管を備えている粒体供給装置の前記粒体移送管へ前記粒体を補給する粒体補給カートリッジであって、この粒体補給カートリッジは、前記粒体の外径に隙間を加えた径の穴が長手方向に開けられている柱状部材を、前記穴を通る切断面で切断された2個の扇状断面柱からなり、一方の扇状断面柱は中心角が180°未満である第1の扇状断面柱であって、この第1の扇状断面柱の要の部位に前記穴の一部が形成され、この穴の一部が粒体載せ溝とされ、他方の扇状断面柱は中心角が180°を超える第2の扇状断面柱であって、この第2の扇状断面柱の要の部位に前記穴の残部が形成され、この穴の残部が粒体ガイド溝となり、前記第1の扇状断面柱側の粒体載せ溝に前記粒体を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱に前記第2の扇状断面柱を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、粒体を直列に1列に並べた形態で、前記粒体移送管へ補給することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、粒体補給カートリッジは、第1の扇状断面柱側の粒体載せ溝に粒体を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱に第2の扇状断面柱を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、粒体を直列に1列に並べた形態で、粒体移送管へ補給することができるように構成したので、粒体移送管へ粒体を円滑に供給することができる。請求項1によれば、粒体移送管へ粒体を円滑に供給することができる粒体補給カートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る粒体供給装置の分解斜視図である。
【図2】粒体供給装置の断面図である。
【図3】本発明に係る粒体補給カートリッジの分解斜視図である。
【図4】図2の4部拡大図である。
【図5】本発明に係る粒体を粒体載せ溝に載せるまでの作用を説明する図である。
【図6】粒体補給カートリッジを反転させるまでの作用を説明する図である。
【図7】本発明に係るピン移動手段を作動させるまでの作用を説明する図である。
【図8】粒体を型に載せるまでの作用を説明する図である。
【図9】図1の変更実施例図である。
【図10】図3の変更実施例図である。
【図11】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、以下では、粒体は砥粒とし、ピン移動手段はレバーとして説明する。
【実施例1】
【0014】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。なお、移送機構は、重力作用を利用したものとして説明する。
図1に示されるように、砥粒供給装置10は、本体11(詳細後述)の装着穴12に、第1の扇状断面柱20(詳細後述)と第2の扇状断面柱30(詳細後述)とからなる砥粒補給カートリッジ40(詳細後述)を挿入し、本体11の上面51にストッパ52を取り付けてなる装置である。53はボルト、54は把手である。
【0015】
図2に示されるように、砥粒供給装置10は、本体11の装着穴12の下に設けられ第1の扇状断面柱20と第2の扇状断面柱30とで形成された円柱状の穴55に内面56が続くように形成されている砥粒中継管57と、この砥粒中継管57の下端に接続され砥粒中継管57の内面56に続くように形成された内面58を有する砥粒移送管60(詳細後述)と、本体11に上下方向に形成された穴71に移動自在に設けた押出し軸72を有し穴71の底73に設けた圧縮ばね74に載っている砥粒押出し機構80(詳細後述)と、本体11の下端に取り付けられ砥粒移送管60が接続されていると共に砥粒吐出口91を有している砥粒押出し管100(詳細後述)とを備えている。
【0016】
砥粒押出し機構80は、押出し軸72の下端から下方へ延びている押出しピン110(詳細後述)及びこの押出しピン110を往復移動させるために押出し軸72に取り付けられているレバー120からなる。
【0017】
砥粒補給カートリッジ40は、砥粒移送管60へ砥粒を補給するカートリッジである。131はばね受け面、132は止めピン、133はスライド用開口、134はストッパボルト、135は溝である。
【0018】
レバー120を想像線で示す位置まで押すと、押出し軸72が下降するので、押出しピン110を下降させることができる。このとき、圧縮ばね74は圧縮状態になる。押出しピン110を元の位置に戻すには、レバー120を戻せばよい。
【0019】
図3において、(a)に示されるように、砥粒補給カートリッジ40は、砥粒の外径に隙間を加えた径D1の穴55が長手方向に開けられている柱状部材を、穴55を通る切断面で切断された第1の扇状断面柱20と第2の扇状断面柱30とからなる。
【0020】
(b)に示されるように、第1の扇状断面柱20は、中心角が180°未満である扇状断面柱である。また、第1の扇状断面柱20の要の部位に穴55の一部が形成され、この穴55の一部が砥粒載せ溝140とされている。
【0021】
第2の扇状断面柱30は、中心角が180°を超える扇状断面柱である。また、第2の扇状断面柱30の要の部位に穴55の残部が形成され、この穴55の残部が砥粒ガイド溝150となっている。161、162は落下防止部材、163、164は切断面である。
【0022】
図4に示されるように、砥粒供給装置10は、前述の構成に加えて、想像線で示す砥粒170の外径D2に隙間L1を加えて内径D3とし砥粒170を直列に1列に並べた形態(詳細後述)で重力作用で移送させる砥粒移送管60と、この砥粒移送管60の出口181に、管体182の途中が接続されこの管体182内へ砥粒170が供給されると共に管体182の内径D4が砥粒171の外径D5に隙間L2、L3を加えた径である砥粒押出し管100と、この砥粒押出し管100の砥粒移送管60の出口181に対面する部位に凹状に設けられ、砥粒170を1個保持する砥粒保持凹部190と、管体182内に移動自在に収納され砥粒保持凹部190に保持された1個の砥粒を押出す先端面201を有する押出しピン110及びこの押出しピン110を実線と想像線で示すように往復移動させるレバー(図2の符号120)からなる砥粒押出し機構(図2の符号80)と、を備えている。
以上に述べた砥粒供給装置10の作用を次に述べる。
【0023】
図5において、(a)に示されるように、第1の扇状断面柱20の砥粒載せ溝140に、シャベル202上の複数の砥粒170を矢印(1)のように落とす。
(b)に示されるように、砥粒載せ溝140に複数の砥粒170が載っている。
【0024】
図6において、(a)に示されるように、複数の砥粒170が載った第1の扇状断面柱20に、第2の扇状断面柱30を矢印(2)のように合わせる。
(b)に示されるように、柱状部材となった第1の扇状断面柱20及び第2の扇状断面柱30を矢印(3)のように反転させる。
【0025】
図7において、(a)に示されるように、反転させた砥粒補給カートリッジ40を、矢印(4)のように本体11の装着穴12に挿入する。次に本体11の上面51にストッパ(図1の符号52)を取り付ける。
【0026】
(b)に示されるように、砥粒供給装置10の先端を電着槽203内の電着液204中に挿入し、電着液204に浸された金型205の表面206に砥粒供給装置10の砥粒吐出口(図4の符号91)を臨ませている。この状態からレバー120を矢印(5)のように押す。
【0027】
砥粒補給カートリッジ40は、第1の扇状断面柱20側の砥粒載せ溝(図6の符号140)に砥粒(図6の符号170)を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱20に第2の扇状断面柱30を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、砥粒を直列に1列に並べた形態で、砥粒移送管60へ補給することができるように構成したので、砥粒移送管60へ砥粒を円滑に供給することができる。したがって、砥粒移送管60へ砥粒を円滑に供給することができる砥粒補給カートリッジ40を提供することができる。
【0028】
図8において、(a)は図7(b)の8a部拡大図に相当する。レバー(図7の符号120)を押したので、押出しピン110が矢印(6)のように砥粒保持凹部190に保持された1個の砥粒170に向かって移動する。
【0029】
(b)に示されるように、押出しピン110の先端面201で押し出された砥粒170が、金型205の表面206に配置されている。また、砥粒移送管60内に直列に1列に並べた形態で重力作用で移送させる砥粒170は、押出しピン110の外周面207に接触しているので、落下することはない。
【0030】
砥粒供給装置(図7の符号10)は、砥粒移送管60と、砥粒押出し管100と、砥粒保持凹部190と、押出しピン110及びレバー(図7の符号120)からなる砥粒押出し機構(図2の符号80)と、を備えているので、レバーで移動させた押出しピン110によって、砥粒保持凹部190に保持された1個の砥粒170を押し出すだけである。そのため、砥粒供給装置は、電着液(図7の符号204)中でも問題なく使用することができる。したがって、電着液中で使用することができる砥粒供給装置を提供することができる。
【0031】
さらに、砥粒移送管60は、重力作用を利用することができるように配置されていることを特徴とする。そのため、砥粒170を移送させるために動力源を必要としない。動力源が不要であるので、動力源が必要な場合に比べて、砥粒供給装置を小型化することができる。
【0032】
加えて、粒体は、砥粒170であるので、砥石の製造工程で用いるのに適した砥粒供給装置を提供することができる。
【0033】
ところで、これまでに説明した砥粒供給装置は、砥粒を重力作用で移送させる形式であったが、より円滑に砥粒を移送させることができる実施例を次に述べる。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。なお、移送機構は、ばね機構として説明する。
図9において、図1と共通の構造については符号を流用して説明を省略する。
【0035】
砥粒供給装置10Bは、第1の扇状断面柱20B(詳細後述)と第2の扇状断面柱30B(詳細後述)との間にばね機構210(詳細後述)を設けて砥粒補給カートリッジ40B(詳細後述)を構成し、この砥粒補給カートリッジ40Bを本体11の装着穴12に挿入し、本体11の上面51にストッパ52を取り付けてなる装置である。
【0036】
ばね機構210は、砥粒補給カートリッジ40B内に充填された砥粒を押す押し部材211と、この押し部材211に連結され押し部材211に押出作用を与える圧縮ばね212と、この圧縮ばね212とストッパ52との間に設けられる当て部材213とからなる。
【0037】
加えて、砥粒移送管60は、入口側である砥粒補給カートリッジ40Bにばね機構210を備え、このばね機構210で砥粒を押出すように構成したことを特徴とする。重力作用を利用する場合に比べて、砥粒を円滑に移送させることができる砥粒供給装置10Bを提供することができる。
【0038】
図10において、図3と共通の構造については符号を流用して説明を省略する。第1の扇状断面柱20Bは、落下防止部材(図3の符号161)を備えていない。また、第2の扇状断面柱30Bも落下防止部材(図3の符号162)を備えていない。
【0039】
落下防止部材がないので、砥粒がなくなったら、先ず砥粒補給カートリッジ40Bを砥粒供給装置(図9の符号10B)に装着させたまま、ばね機構(図9の符号210)を抜き取る。次に砥粒補給カートリッジ40Bに砥粒を補給する。すなわち、砥粒の補給を円滑に実施することができる。
【0040】
尚、本発明に係る粒体は、実施の形態では砥粒を適用したが、この他に活性炭等を適用することができるので、一般の粒体を適用することは差し支えない。
また、本発明に係るピン移動手段は、実施の形態ではレバーによる手動操作としたが、シリンダ等の駆動装置で押出しピンを押出す構成であってもよい。
【0041】
加えて、本発明に係る移送機構は、実施の形態では重力作用の利用又はばね機構を適用したが、この他にスポンジ、ゴム、軟質樹脂を用いた機構を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の粒体供給装置は、電着砥石の製造に好適である。
【符号の説明】
【0043】
10、10B…砥粒供給装置、20、20B…第1の扇状断面柱、30、30B…第2の扇状断面柱、40、40B…砥粒補給カートリッジ、55…穴、60…砥粒移送管、80…砥粒押出し機構、100…砥粒押出し管、110…押出しピン、120…レバー(ピン移動手段)、140…砥粒載せ溝、150…砥粒ガイド溝、163、164…切断面、170、171…砥粒、181…出口、182…管体、190…砥粒保持凹部、210…ばね機構(移送機構)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒体の外径に隙間を加えて内径とし前記粒体を直列に1列に並べた形態で移送機構で移送させる粒体移送管を備えている粒体供給装置の前記粒体移送管へ前記粒体を補給する粒体補給カートリッジであって、
この粒体補給カートリッジは、前記粒体の外径に隙間を加えた径の穴が長手方向に開けられている柱状部材を、前記穴を通る切断面で切断された2個の扇状断面柱からなり、
一方の扇状断面柱は中心角が180°未満である第1の扇状断面柱であって、この第1の扇状断面柱の要の部位に前記穴の一部が形成され、この穴の一部が粒体載せ溝とされ、
他方の扇状断面柱は中心角が180°を超える第2の扇状断面柱であって、この第2の扇状断面柱の要の部位に前記穴の残部が形成され、この穴の残部が粒体ガイド溝となり、
前記第1の扇状断面柱側の粒体載せ溝に前記粒体を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱に前記第2の扇状断面柱を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、粒体を直列に1列に並べた形態で、前記粒体移送管へ補給することができることを特徴とする粒体補給カートリッジ。
【請求項1】
粒体の外径に隙間を加えて内径とし前記粒体を直列に1列に並べた形態で移送機構で移送させる粒体移送管を備えている粒体供給装置の前記粒体移送管へ前記粒体を補給する粒体補給カートリッジであって、
この粒体補給カートリッジは、前記粒体の外径に隙間を加えた径の穴が長手方向に開けられている柱状部材を、前記穴を通る切断面で切断された2個の扇状断面柱からなり、
一方の扇状断面柱は中心角が180°未満である第1の扇状断面柱であって、この第1の扇状断面柱の要の部位に前記穴の一部が形成され、この穴の一部が粒体載せ溝とされ、
他方の扇状断面柱は中心角が180°を超える第2の扇状断面柱であって、この第2の扇状断面柱の要の部位に前記穴の残部が形成され、この穴の残部が粒体ガイド溝となり、
前記第1の扇状断面柱側の粒体載せ溝に前記粒体を直列に1列に並べた形態で載せ、この第1の扇状断面柱に前記第2の扇状断面柱を合わせて、柱状部材とし、この柱状部材を傾けることで、粒体を直列に1列に並べた形態で、前記粒体移送管へ補給することができることを特徴とする粒体補給カートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−234514(P2010−234514A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88140(P2009−88140)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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