説明

粒子を分離する方法および装置

本発明は流体内で重力を使用して粒子流から粒子部分を分離する方法に関する。この方法で各回収手段に回収された粒子部分が供給される。発明によると流体および回収手段は互いに移動の相対方向を規定して移動する。流体に対して分離される粒子の移動を移動の相対方向に制限するための手段が設けられる。また発明は方法を実施する装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前提部分に記載された方法および請求項15の前提部分に記載された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法および装置は当技術分野で知られている。この種の装置および方法は、例えば、ドイツの特許文献1に記載されている。しかし流体を移動させる手段が長くなり過ぎることから、この装置で得られた結果は好ましくない。結果として、粒子はかなり広い水平面に分布するので、分離に対して悪い影響を与える。したがって、この公知の方法および装置はかなり改良の余地がある。
【特許文献1】DE 1 119 191
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的はこの公知の方法を改良することにあり、特に、材料のタイプに関して正しくは重い粒子部分に属する粒子に第2の部分が混入しない、またはその逆も含めた、良好な分離を行なうことを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、互いに密度に関して異なるだけでなく、寸法および/または形状に関しても異なる粒子が材料のタイプに応じて有効に分離できることが分かった。本発明で使用される「重力の影響下で鉛直速度の差に基づいて分離する」という用語は(ジギングとして知られるように)鉛直方向の振動運動を回避し、より一般的には粒子を水平面に分布させる乱流を回避することを意味する。したがって実際には、粒子の落下時間は重力および粒子と流体との相互作用で決定されるものであり、装置から粒子に作用する他の力で決定されるものではない。乱流に関する以前の文献では、本出願のように液体媒体に粒子を加える結果から生じる乱流は考慮されなかったことが注目される。換言すれば、乱流は粒子が存在しない容器内流体の乱流に関するものであった。本出願の「重い粒子」は流体内を他の粒子(軽い粒子)よりもより速く落下する粒子であると理解される。移動の相対方向は鉛直から角度のある方向であり、第1および第2の回収手段は鉛直から角度をもって配置され、移動の相対方向の水平成分の方向は第1と第2の回収手段間の線によって規定される方向に垂直ではない。
【0005】
回収手段が移動している最中に、流体をその上に静止状態で位置させることは可能である。このような場合、粒子流に衝撃を加えるか、供給物を回収手段とともに移動させるような方法を実施しなければならない。当技術分野における通常の知識を有する者は、普通の実験によって決定できるので、パラメーターの正確な寸法に関する説明を必要としない。しかし、好ましい実施形態によると、流体は鉛直から直角に搬送される。
【0006】
粒子流の供給および回収手段は固定の状態にすることができ、これにより装置の技術的構造が簡単になり、操作の間の信頼性が確保される。それに加えて、乱流は最小限となり、最適な分離に貢献することになる。
【0007】
本発明によると、バッフルは流体を移動させ、かつ分離を改良するという2つの機能を満足させる。
このやり方で、優れた分離が達成できる。
【0008】
粒子をほぼ円形の水平断面を有する容器に導入し、流体を容器の周りに円周方向に一様に移動させるのが好ましい。
このような場合、流体内に導入された粒子は放射状に分布するのが好ましい。実際には回転軸の付近の分離は有効でないので、容器のこの部分は分離から除かれる。例えば、容器内に同心状に配置した円筒を設けることによって有効な分離を実現することができる。この鉛直に向いた円筒を共に回転させ、バッフルを円筒に取り付けることが好ましい。
【0009】
ほぼ円形の水平断面を有する容器の使用は安価であり、分離を阻害する乱流はほとんど生じない。
好ましい実施形態によると、流体は液体媒体である。
【0010】
液体媒体では落下抵抗がより大きくなるので、落下時間は長くなる。これは相対方向において粒子がより長い距離にわたって運ばれ、より良好な分離を容易にすることを意味する。
【0011】
非常に有利な実施形態によると、液体媒体は水性媒体、特に水である。
水は安価で、不活性でかつ毒性のない液体媒体である。
重要な適用によると、粒子流は廃棄物流の粒子で形成される。第1の実施形態によると、分離される廃棄物流は分離される金属粒子を含む。金属は販売でき、廃棄物流の一部は換金できる。
【0012】
別の実施形態によると、粒子流はプラスチック粒子を含む。
このやり方で発明は細かく破砕したプラスチック屑などのプラスチックを分離する方法を提供する。
【0013】
プラスチックの分離は流体として空気を使用すると非常に有効であることが示された。
さらに改良された分離では、粒子は流体に導入される前に、分級処理を施される。
重要な実施形態によると、粒子は寸法に応じて、移動の相対方向の様々な位置で液体媒体に導入され、最大の粒子は回収手段に最も近くなる。
【0014】
材料と形状が同一の粒子では、落下時間は粒子の寸法に常に依存するということが当てはまる。粒子を分級してその寸法に応じて異なる位置で液体に導入することによって、粒子の寸法による広がりが最大限に減少される。「回収手段に最も近い」というときは、これは移動の相対方向の水平方向成分を意味する。矩形のスリットまたは棒のあるドラムスクリ−ンを使用すると有利である。これはまだ有効に分離できる粒子の寸法範囲を有意義に増加させることを示すものである。また液体を使用して分離を行なう前に、流体として空気を使用する分離を行なうことは有利である。
【0015】
発明による方法はバッチ操作で実施することはできるが、連続操作の方がより好ましい。好ましい実施形態によると、第1の比較的重い粒子部分および第2の比較的軽い粒子部分をコンテナの下側で分離してコンテナのそれぞれの排出開口を通して排出する。
【0016】
また発明は、容器の中心に鉛直に配置された軸から容器の円周壁に向かって放射上に延びるバッフルを有する容器を備え、容器の下側には排出手段のある少なくとも2つの回収手段を備えた、粒子を分離する装置に関する。
【0017】
容器内に導入された液体媒体をともに動かすことの可能なバッフルを駆動する手段を設けるのが好ましい。
好ましくは少なくとも10枚のバッフル、好ましくは少なくとも20枚のバッフル、より好ましくは少なくとも30枚のバッフルを備える。
【0018】
また、容器の外周壁は、使用に際して流体に接したときに軸と同じ回転数で回転するように構成されることが好ましい。
これは外周壁にバッフルを取り付けることで簡単に実現できる。様々な利点がある。第1に、乱流が減少して良好な分離に貢献する。第2に、回転外周壁と固定外周壁との間に粒子が滞留しなくなるので、操作の安全性が増す。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、流体の鉛直速度は、ほぼ円形の水平断面を有するコンテナの供給水準に存在していた流体が、流体の一循環の間に少なくとも回収手段にまで移動するような速度である。このやり方では、非常に低い最終速度の粒子も回収手段に運ばれ、円周方向にみて最後の回収手段にほぼ集められる。例えば、回収手段の近辺またはそこから排出された後で、排出流から流体を抜き取って不純物を除去した後、これを分離される粒子流が導入される供給水準に選択的に戻すことによって流体のこのような鉛直速度が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を以下の実験の方法により図面を参照して説明するが、発明による処理を実施する装置の図面は1つしかない。
図1は発明による方法を実施するのに適した装置1の一部を剥がした図を示す。装置は壁3のある容器2で構成される。容器2はバッフル5を有する内側円筒4を備える。バッフル5は限られた数しか表示されないが、装置は実際には50枚のバッフルを有し、直径は1mである。内側円筒4は図示しないモータで駆動される。供給容器6を介して処理される粒子流は容器2の外壁3と内側円筒4の間の少なくともほぼ全距離にわたってその上に供給される。バッフル5間に沿って運ばれる水などの液体媒体には乱流はほとんどなく、抜群の分離が達成できる。容器2の底部に固定の受け容器7が設けられ、そこに様々な粒子部分が集められる。各受け容器7の床は傾斜し、排出管に接続され上部が開放されたチャンネルを備える。ノズルからのジェット流によってチャンネルへの経路を案内された粒子はチャンネルを介して排出される(図示しない)。最後に、液体媒体よりも密度の小さい分離される粒子を含む液体媒体の供給に使用される供給開口8の概略図を示す。この場合の液体媒体には、流体としての水とポリエチレン/ポリプロピレン粒子混合物などのプラスチック粒子とが混合したものがある。このような場合は、分離されたプラスチック粒子を除去するため、容器2の頂部側に回収手段が設けられる。
【実施例】
【0021】
実験では、まず炉灰をふるい選別したあと、最初の分離(磁気)を行い、続いて落下分離を行なった。
(ふるい選別)
大規模の実験において、廃棄物焼却装置からの炉灰を湿った状態でふるい選別し、非常に粗い部分と非常に細かい部分、すなわち2−6mmの部分と50ミクロン−2mmの部分とを生成した。
(磁気分離)
水中の落下速度による分離の前に、2−6mmの部分を最初に表1に示す条件において回転ドラム式渦電流分離機で処理した。分析から推測した供給物および生成物の流れに関するデータを表2に示す。この処理においては、18極(9つのN極と9つのS極)の磁気ローターで、1分当たり1000回転で通常方向とは逆に回転するローターを有する分離機を使用した。磁界の変化が固定点におけるローターの磁界の完全サイクルを意味するとして、分離は1秒当たり150(=9×1000/60)の磁界変化で実施された。磁束密度は磁気ローター上で材料を運ぶコンベアベルトの表面で約0.3テスラであった。材料はローター軸の約66cm下の水準で3つの回収容器に集めた(1:ローター軸から45cm以上、2:ローター軸から30と45cmの間、3:ローター軸から30cm未満)。含水比を15%に増加するために、ふるい選別した湿った部分に約100kgの供給水を加えた。供給物の粒子寸法を考慮して、毎秒当たりの磁界変化数を非常に低くした。しかし、供給量を小さくした2つの操作実験(表3)によると、ローター速度を大きくすると軽い磁性粒子は非鉄部分に引きずられて非鉄生成物に悪い影響を与えるが、ローターの速度を2000rpmに増加させても濃縮物内の回収された非鉄化合物の量は意味のあるほど増加しない。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

(液体媒体内での分離)(処理b)
この第1の処理の生成物1および2を組み合わせて、その一部、すなわち約80kgを 環状容器の幅にわたって材料を供給して水中の落下速度に応じて分離した。環状容器の側面は、外側円筒直径が1m、同心の内側円筒直径が0.5mで、両方の円筒は高さ1mの(一致する)縦軸を有する円筒で形成され、一様に循環する運動で移動する水が充填され、下側には循環方向に連続して配置された6つの等しい受け容器を備える。水は回転する内側円筒に取り付けられ径方向に延びるバッフル回転翼によって移動させた(エンジン出力2kw)。水の乱流を制限するためにバッフルは共に回転する外壁に接続した。回転速度は5rpmにした。重い非鉄部分は供給点の後方の第1の受け容器に集まり、非鉄金属の少ない軽い部分は続く2つの受け容器に集まった。この湿式分離は非鉄で金属の少ない部分の有機材料が減少する結果となる。このことは、主として砂と石で構成された前記材料は浸出の結果として環境に金属を放出することがなくなることを意味する。これで道路舗装などの材料として良好に使用できる。有機材料の部分は容器の縁から排出したが、幾分かは容器の底の他の受け容器内に入った。表4は軽い生成物および重い生成物内の非金属、アルミニウムおよび重い非鉄の重量を示す。これで分かるように、90%以上がアルミニウムを少量しか含まない重い非鉄金属からなる(これは重い非鉄金属の販売力に関して非常に好ましい)。軽い部分は主として砂およびマグナス分離の手段によりアルミニウム濃縮物の形に分離できるいくらかの非鉄を含む。非鉄、特にアルミニウムを非常にわずかしか含まないことが特許的に明白であるので、3.5と7mmの間の寸法部分は分析されなかった。以上を要約すると、従来の方法に比べて、記載された装置および方法は回転率が大きく、磨耗がほとんどなく、またエネルギー消費が少ない優れた分離が容易になるといえる。
【0025】
【表4】

特定の測定が実施されなかったという事実は、値が重要でないと通常見なされたからであり、表では「/」で示した。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による処理を実施する装置を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子流の粒子を容器内において重力の影響下で鉛直速度の差に基づいて分離し、流体および粒子を移動の相対方向を規定するほぼ水平方向に移動させ、第1の位置で第1の粒子部分を回収手段に集め、第1の位置から多少移動した第2の位置で第2の粒子部分を回収手段に集めるとともに、流体を移動の相対方向に移動させるために手段を設けた、粒子流から粒子部分を分離する方法において、
手段は最大に広がる粒子部分の最大に広がる粒子の広がり直径の最大3倍、好ましくは最大2倍、最も好ましくは1倍未満に配置することを特徴とする方法。
【請求項2】
水平断面がほぼ円形の容器に粒子を導入し、かつ流体を容器の円周方向に一様に移動させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
容器内に配置され、容器の中心に縦方向に配置された軸から容器の円周壁に向かい径方向に延びるバッフルによって手段が形成されたコンテナを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
流体として液体媒体を使用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
液体媒体は粒子よりも小さい密度のものを使用することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
液体媒体は水性媒体であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
粒子流は廃棄物流の粒子で形成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
分離される廃棄物流は金属粒子を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
粒子流はプラスチック粒子を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
流体に導入する前に、粒子の分級処理を行なうことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
流体内への導入は、より大きい粒子が回収手段に最も近くなるように、相対移動経路に沿う異なった位置に粒子寸法に依存するやり方で行なうことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
コンテナの下側において第1の比較的重い粒子部分と第2の比較的軽い粒子部分とを分離してコンテナのそれぞれの排出開口を介して排出することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
排出はジェット流を使用して行なうことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
流体の鉛直速度は、ほぼ円形水平断面を有するコンテナの供給水準に最初に存在した流体が流体の一回転の間に少なくとも回収手段にまで移動するような速度であることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
容器に同心状に配置された軸から容器の円周壁の方向に放射するバッフルを有する容器
を備え、容器の底部または頂部に排出手段を有する少なくとも2つの回収手段を備えた、粒子の分離装置において、
少なくとも10枚のバッフルがあり、好ましくは少なくとも20枚のバッフルがあり、一層好ましくは少なくとも30枚のバッフルがあることを特徴とする装置。
【請求項16】
流体に接して使用される容器の外周壁は軸と同一の回転速度で回転するように構成されたことを特徴とする請求項15に記載の装置。

【公表番号】特表2006−520688(P2006−520688A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507854(P2006−507854)
【出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000186
【国際公開番号】WO2004/082838
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(500292149)テクニッシェ ユニヴァージテート デルフト (14)
【Fターム(参考)】