説明

粒子凝集のための流体混合方法及び装置

空気力学的凝集器(10)は、気体流れから粒子の除去を促進するために、気体流れ中の汚染物質粒子の混合及び凝集を助ける。凝集器(10)は、気体流れが流れるダクト(11)に取り付けられている。凝集器(10)は、複数の平面板(12)によって構成されている。平面板(12)は、ダクトを多数の平行通路に分割するために、気体の全流れ方向に伸延し、ダクト(11)の幅を横切って連続的な間隔を有している。ダクト(11)は、気体流れ内の通路の上流に大規模乱流を生成するために、構成物が構成され及び/又は構成物を有する。乱流によって汚染物質粒子が運ばれるような大きさ及び/又は強さの小規模乱流区域を作るために、翼部品(13)が各通路に供給される。各翼部品(13)は、対応するそれぞれの通路の中央に位置し、気体流れの全流動方向に連続的に間隔を有する複数のシャープエッジ翼(15)を備える。粒子が小規模乱流に支配されるように、サブストリームの大規模乱流によって、各サブストリームはそれぞれの通路内の小規模乱流区域を通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、一般に粒子凝集のための流体混合方法及び装置に関する。特に、単独ではないが、気体流れから汚染粒子を排除する汚染防止のための使用に適している。
【0002】
適切な実施例として、本願発明は空気力学の粒子凝集に向けられている。粒子規模の乱流は粒子の相互作用や凝集に利用される。これにより、その後の気体流れから粒子をろ過または除去する作業が容易になる。
【0003】
本出願はオーストラリア特許出願番号2003902014及び2004900593の優先権を主張している。これらの開示内容は、本願で言及されており、本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0004】
多くの産業工程によって、空気中に小さな有害粒子が放出される。これらの粒子はとても細かいサブミクロンの有害化合物の粒子を含むことがある。これらの細かい粒子は、人間の呼吸器系に入ることができるため、公衆衛生に重大な被害をもたらす。毒性の組合せと吸込みの容易さの判明により、世界中の政府による直径10ミクロン以下の粒子(PM10)(特に2.5ミクロン以下の粒子(PM2.5))放出について、より強制的に規制するための法の制定が促進された。
【0005】
空気中のより小さい粒子の放出は、空気汚染の視覚効果とは、ほぼ逆の関係を有する。例えば、石炭焼却設備において、排気筒の不透明性は、大部分が飛灰のごく少数の細かい微粒子によって決定される。なぜなら、光の消灯率は光の波長0.1〜1ミクロン付近でピークに達するからである。
【0006】
細かい粒子の規制の重要性は、汚染物質の質量よりも、放出される汚染物質の粒子の数を考慮することにより、理解することができる。一般的な石炭燃焼工程による飛灰において、2ミクロン以下の汚染物質の粒子は、全粒子数の97%であるが、汚染物の全質量の7%に過ぎない。汚染物の質量の93%を取り除いた基準(より呼吸に有毒な97%の粒子を含むが)から、2ミクロン以上の粒子を全て取り除く工程は、効率的と考えられる。
【0007】
気体流れからダストや他の汚染物質の粒子を取り除くため、種々の方法が用いられてきた。これらの方法は、一般に気体流れから大きな粒子を取り除くのに適しているが、小さな粒子(特にPM2.5の粒子)を効率的に取り除くことはできない。
【0008】
多くの汚染制御の方法は、その後の工程である対応汚染物質の除去に有益な反応又は相互作用を促進するため、特有の粒を個々の要素間で接触させる。例えば、水銀を取り除くために汚染された気体流れに活性炭のような吸着剤が入れられたり(吸着)、二酸化硫黄を取り除くためにカルシウムが入れられたりする。加えて、衝突/凝着によって粒子が凝集されて大きな粒子となり(これにより回収可能な粒子となる)、または、個別粒子の物理的特性が、収集及び/又は選別が容易な凝集体の物理特性に変えられる。
【0009】
しかしながら、これらの相互作用が行われるためには、それぞれの接触が行われなければならない。通常の送気ダクト内の多くの産業汚染物質は、種々の理由により接触が困難である。例えば、反応/相互作用の時間は短く(0.5〜1秒程度)、排気ガスを介してまばらに広がっていくため(大量の流れに対して)、そして送気ダクトの大きさは汚染粒子の大きさに比べ大きいためである。
【0010】
通常、産業工程の出口からの排気ガスは大きなダクトにより運ばれる。ダクトは、均一に、そしてできるだけ乱流やエネルギー損失が少なくなるように、排気ガスをいくつかの下流回収装置(例えば、電動集塵機、バックフィルターまたはサイクル回収機)へ輸送する。通常、途中で発生するような乱流は、回転翼の周り、内部ダクトの支柱/補強部の周り、拡散スクリーンを通る等のガスの大規模な迂回で発生する。この乱流は、常にダクト規模であり、望ましい流れに訂正できるように可能な限り短いものである。
【0011】
同様に、混合装置が特定の利用(例えば特定の汚染物質の収着)のために用いられるとき、それらは、通常、大規模乱流場(ダクト幅やダクト高さのオーダーである)を生む装置であり、気体が通過する程度の短いカーテン状に設置される。
【0012】
流れの混合を促進するためには、混合チャンバー内で渦発生器を使用することが知られている。さらに、渦発生器は、ダクト又はチャンバーの寸法程度の大規模乱流を発生させる。
【0013】
微粒子(例えば飛灰)、気体(例えばSO2)、ミスト(例えばNO)又は元素(例えば水銀)のいずれであっても、産業排気筒内でより収集が困難な汚染物質は、直径がマイクロメータ(すなわち、10-6メータ)のオーダーの粒である。それらは小さいため、全流体流れのほんのわずかな容積割合を占めるのみである。例えば、直径1μmの粒子(粒子が球体だと仮定する)は、1cm3の気体のうち、占める容積は0.00005%以下である。10μmですら、0.05%に増加するのみである。水銀のような汚染物質が、存在する粒全部のわずか100万分の数個(ppm)からなるとき、粒子の大きさに対して、産業送気管気体によって送られる粒の間隔/距離が大きいことは明らかである。それ故、大規模の混合(渦発生器による場合でさえ)は「成り行き任せ」の作業であり、効率が大変悪い。
【0014】
さらに、流れている流体内に混入された小さな粒子は、流れから出る十分な力がなければ、粒子は流体流れの流線に沿って流れる。すなわち、もし流体の粘性力が粒子の内部力を支配する場合、粒子は流体についていく。ダクト規模の状況を混合する公知の乱流は、粒子よりも数桁規模で大きい。粒子の観点から見たとき、これらは決して大混乱ではなく、むしろ比較的スムーズである。ダクト内の乱流又は基準混合領域を通過する粒子の方向の変化は多いが、変化は全て粒子のサイズ又はスケールに比べると長いレンジである。その結果、流れ内の粒子は、周りの粒子と相互作用せずに、おおよそ同じ経路を流れる。
【0015】
全流体流れの質量のうちわずかな比率を占めるとても小さな汚染物質粒子の衝突率を最大化しようとしているシステムは、最大の効果を得るために、小規模乱流(すなわち、粒子スケール)を取り入れるべきである。粒子スケール乱流によって、微小粒子は様々な速度で多くの異なる軌跡に沿って移動し、これにより相互作用と凝集を促進することができる。あいにく、従来の設計原理では、十分にこれらの基準に的を絞ることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、改良された流体流れ中の細かい粒子の混合(同じ粒または他の導入された粒のいずれも)または相互作用を成し遂げ、これにより、より効率的な粒子の凝集又はより大きな粒子との収着を促進するために、粒子凝集のための流体を混合する方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
大まかな形態の1つにおいて、本願発明は、流体流れ中に大規模乱流を発生させ、該流体流れを複数のサブストリームに分配し、各サブストリーム中に構成物を供給して、該構成物の付近に小規模乱流区域を生成し、各サブストリームが小規模乱流に支配されるように、そのそれぞれの小規模乱流区域に各サブストリームを通過させる、ステップを備える流体流れ中における物質の混合促進方法を提供する。
【0018】
他の形態において、流体流れの流路と、流体流れをそれぞれの通路を流れるサブストリームに分配する該流路内の複数の通路と、該複数の通路より上流の該流体流れ内で大規模乱流を生み出す手段と、構成物付近で小規模乱流区域を生み出すための各通路の構成物とを備え、使用時には、大規模乱流によって各通路のサブストリームが該小規模乱流区域を通過する、流体流れ中のサブストリームの混合を促進するための装置を提供する。
【0019】
各構成物は好ましくは、対応するそれぞれのサブストリームの中央に位置し、適切に全流体流れの流れ方向に伸延する平面内に連続して並べられた複数の間隔を有する翼を備える。翼は、連続小規模乱流区域を供給するのに十分に近づいているが、間隔は空けられている。翼は、一般的に平面フレームに取り付けられる。平面フレームは通路の中央平面に位置し、全流体流れの流れ方向に伸延する。
【0020】
各翼は、一般的に、流体流れの全流れ方向に対して斜めに傾けられたシャープエッジ部分を有する伸長した部品である。翼は任意に歯状のエッジ部分を有してもよい。
【0021】
凝集器は、流体流れの全流動方向に伸延し、流路に対して横に間隔を有する複数の平行(一般的に平面)部品をさらに備え、通路は平面部品の隣接する組の間で定まる。しかしながら、通路は、固形の分配器で構成される必要はなく、それぞれのサブストリームについて概念的な通路であっても良い。
【0022】
発明の一実施形態として、流路が空気ダクトであって、流体流れが産業工程からの排気ガス流れであって、物質が汚染物質粒子を含む。この実施形態は、発明には、汚染物質粒子を取り除くことを目的として、排気ガス流れによって運ばれるミクロン又はサブミクロン規模の汚染物質粒子の位置、速度及び経路を巧みに扱い、大きく凝集してより簡単に粒子を取り除くために、気体流れ内でお互いに及び/又は他の粒子と衝突する見込みが増加し、及び/又は気体流れに導入された粒子のより大きな粒子と衝突し相互作用する見込みが増加する乱流の利用を含まれる。
【0023】
この工程は、以下の基本要素ステップを含む。
(i)排気ガス流れ中で大乱流の原因となるための適切な規模の大規模乱流流れの発生
(ii)気体流れのそれぞれの通路のサブストリームへの分配
(iii)サブストリームの小規模乱流への従属
「大規模乱流」及び「大乱流」とは、ダクト寸法オーダー規模の乱流を意味する。すなわち、ダクト全体に渡って影響が広がる乱流を意味する。
【0024】
「小規模乱流」、「小乱流」及び「粒子規模乱流」は、乱流に各粒子が乗り、これにより空気力学的粒子凝集を増すのに十分に小規模な乱流を意味する。この乱流は、通常、翼のすぐ周辺の区域に制限される。
【0025】
小規模乱流区域において(一般に各通路の中央部に沿って縦方向に広がる)、粒子は完全に乗せられ、乱流流れに支配される。この乱流流れによって、小粒子間の衝突及び相互作用が促進されて粒子が凝集する。
【0026】
上流の大規模乱流は、通常、流路の形状(例えば、曲り、分岐、縮小及び拡大)に影響される。しかしながら、もし流体流れ内で通路に入る不十分な大規模乱流がある場合は、柱及び偏向板のような障害物を通路から上流の流路に導入することにより、付加的な大規模乱流が流体流れの中に与えられる。
【0027】
乱流流体流れがそれぞれの通路のサブストリームに分配されたとき、サブストリームは大規模乱流に支配される。その結果として、各サブストリームの粒子はそれぞれの小規模乱流区域を通過し、小乱流(すなわち粒子規模)に支配される。
【0028】
小規模乱流の使用は、直観でわかるものではない。通常、気体流れの圧力低下は可能な限り低いのが望ましい。そのため、公知の粒子混合システムは、通常、大規模乱流を使用する。しかしながら、上記したように、これらは非効率である。小規模乱流はより良い粒子の混合を促進するが、大きな圧力損失を招く。本発明は、各通路の制限された範囲でのみ小規模乱流を用いることにより、圧力損失を最小にすることができる。各通路の流体サブストリーム内の大規模乱流によって、各サブストリームの粒子はその区域を通り、確実に粒子規模の混合に支配される。
【0029】
小規模乱流は、シャープエッジの翼で作られる渦の形をしている。好ましくは、個々の細かい粒子を完全に乗せ、乱流流れに従い、これによって粒子間の衝突及び相互作用の結果を招き、より効率的な粒子凝集を行うために、小さく、強さの弱い多数の渦が使用される。小さな粒子は、大粒子を形成するために、互いに凝集する。小さな粒子は、さらに、大粒子と流体流れ内で凝集する。凝集した粒子は、その後、公知の方法で気体流れから容易に取り除くことができる。
【0030】
他の実施形態において、1つまたはそれ以上の種類の大粒子が、汚染物質粒子を取り除くために気体流れに導入される。汚染物質粒子が大粒子と接触したとき、それらはそれらと付着し、またはそれらと反応する傾向にあり、それにより、大粒子とともに流体流れから取り除くことができる。細かい汚染物質粒子は、小規模乱流区域の渦に乗せられるが、各サブストリーム内の大粒子は乗せられないか、より小さい範囲で乗せられる。小粒子及び大粒子の相対運動は、これらの高効率の衝突を招き、大(除去)粒子により、細かい(汚染物質)粒子の除去がより効率的となる。
【0031】
渦によって生成される小規模乱流流れのストークス数は、細かい汚染物質粒子が運ばれ、大除去粒子は運ばれないように選ばれる。一般的に、1よりもはるかに小さいストークス数は、確実に細かい汚染物質粒子を運搬する。粒子の大除去粒は、それらが運ばれないように、1よりもはるかに大きいストークス数を有している。実際的な観点から、流体流れ中で発生した渦または渦は、10mmのオーダーである。
【0032】
汚染物質粒子は、気体、液体又は固体で形成されてもよい。大粒子は液体又は固体で形成されるものである(例えば水滴)。
【0033】
除去粒は、汚染物質粒子(二酸化硫黄のような)と化学反応して、第三の物質(例えば石膏)を形成するような、カルシウムのような化学物質であっても良い。これに代えて、粒子の除去粒は吸収又は吸着(汚染物質水銀粒子と吸着する炭素粒子)によって汚染物質粒子を取り除くことができる。または、衝突接着によって汚染物質と凝集することにより、粒子の除去粒で単純に細かい汚染物質を取り除くことができる。
【0034】
発明をより十分に理解し実施するために、例を通して、添付した図を参照し、実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1〜6は、本発明の一実施形態たる空力凝集器を示している。図1に示すように、凝集器10は、通常産業工程からの排気ガスの流れを受けるダクト11に内装されている。
【0036】
凝集器10は、多数の通常の平面部品(金属平板12のような)から成る。平面部品は、ダクト11の縦方向に(つまり全体的な気体流れの方向)に伸延しており、ダクトの幅全体にわたって横方向に間隔が空けられている。通路は平板12の間に形成されており、気体流れは、それぞれの通路を通して流れるサブストリームに分岐される。図2に示すように、平板12は、垂直に設置されているが、所望により、水平に設置してもよい。さらに、平板12は、硬くある必要はない。所望により、穴のあいた平板を使用することもできる。
【0037】
翼部品13は、平板12の間に設置されている。各翼部品13は、二つの隣接した平板12間の各通路の中央に設置され、図5でより明確に示すように、平板12と平行に伸延している。
【0038】
各翼部品13の構造は、図3及び図4でより詳細に示されている。各翼部品13は、一般的な平板の長方形フレーム14によって構成されている。フレーム14は、使用中、一組の隣接する平板12の間の通路中央で、ダクト天板から吊るされている。各フレーム14は、翼15を多数有する。翼15は、一般にフレームの平板に設置され、間隔の空けられた直立状態である。各翼15は、一般的に、断面が「Z」の金属ストリップであり、通路を通る気体流れの方向に傾けられている。好ましくは、各翼15の垂直エッジ17は、深さTd、間隔又はピッチTpを有する歯16を形成する波形である。
【0039】
図3に示すように、翼長Vlは、気体流れ方向における翼15の本体の寸法である。翼間隔Vsは、歯を除く連続する翼間の距離である。翼幅Vwは、気体流れを横切る方向における翼15本体の寸法である。通路幅Pwは、隣り合う平板12間の内部距離又は間隔である。
【0040】
ダクトの幅全体を各通路に分割するために、たくさんの平板12が供給される。そして、隣接する平板間の各通路の中央に翼部品が位置するように、たくさんの翼部品13が供給される。一般的な通路幅はおよそ275mmである。一般的な通路幅は、100mmから750mmまでの範囲であるが、通路幅Pw対翼幅Vwの割合は、最小2.5から最大25の間に維持される。
【0041】
各フレーム14の翼15は、連続する翼が先の翼の流れの跡又は影に位置するように、縦に間隔をとっている。連続する翼15の間隔Vsは、案内翼によって生じる流れ跡の大きさとおおよそ同じである。このように、隣接する翼によって生じる微小乱流間(もしくは、少なくとも微小乱流の続く範囲)に重なりが生じる。
【0042】
翼15により発生した流れ跡は、気体流れを横断する方向における翼の幅Vw(及び気体流れに平行な方向の翼の長さVl)に比例する。描かれた実施例において、VsはおおよそVlに等しい。翼間隔Vsは、0.5Vwから8Vwの範囲が適切である。同様に、翼長Vlは、0.5Vwから8Vwの範囲が適切である。
【0043】
もし歯が翼に使用されるなら、歯の深さは一般に0.25Vwから2Vwであり、歯のピッチは一般に0.5Vwから2Vwである。
【0044】
凝集器は受身であるということも注意すべきである。すなわち、有効な範囲で凝集器の構成物は充電または電化されない。
【0045】
使用時、ダクト11内の気体流れは、大規模または大きい乱流に支配される。通常、産業排気ダクトに一般に見られる拡大、収縮、湾曲、分岐、デフレクター、翼、張り及び他の物理的構成の存在は、気体流れに大規模乱流を与えるのに十分である。例えば、気体流れを方向付けるデフレクター翼18は、気体流れにおいて、分離及び長距離の乱流の原因となる。しかしながら、もし凝集器10に達した時、気体流れで不十分な大乱流があった場合、必要な大乱流を供給するため、流れ分裂器はダクト11に加えられる。例えば、構成物を含む乱流が無い凝集器10のすぐ前のダクト(仮に、4つのダクト径が等しいとすれば)に十分な長さがある場合、流れ分裂器はダクトに加えられるべきである。
【0046】
適切な流れ分裂器は、大規模乱流の原因となるように、気体流れを通っていっぱいに広がって、ダクト11に取り付けられた100mm径のパイプ9(又は代替として100mmx100mmの角材)が並んだものである。そのようなパイプ9は、1メートル以下でダクトを横切って取り付けられるべきである。当業者にとって、凝集器10のすぐ前に不十分な大規模乱流がある場合、気体流れに大乱流を取り入れるために、多くの異なる物理的な構成物を凝集器10の上流に使用できることは明らかである。
【0047】
気体流れが凝集器10を通る時、隣接する平板13間の各通路を通って流れるサブストリームに分割される。図5の流線によって示されるように、気体流れの大乱流は、各サブストリームの粒子が対応する通路内の翼部品13を通過するサブストリームに続いていく。サブストリーム内の大規模、長距離の乱流によって、通路内のサブストリームのほぼ全部が、通路の中央に位置する翼部品13を通って循環する。
【0048】
図6の影をつけた部分19で示すように、サブストリームが翼部品13を通る時、サブストリームは、小規模又は小さい乱流に支配される。傾けられた翼15は、粒子規模で乱流を作り、各通路でサブストリーム内の粒子間で相互作用及び衝突を促進し、粒子の凝集を増加させる。翼11の付近で作られた小規模の乱流のため、サブストリーム内の粒子が乱流内で運ばれ、衝突及び付着の可能性が明らかに増加する。付着工程は、表面相互作用(吸着、化学吸着または吸収過程)、分子相互作用(ヴァンデルヴァールス力の結果となる)、またはウエッティング工程(ミストと他のミスト小滴又は固体粒子との衝突の結果となる)であってもよい。
【0049】
小規模または小さな乱流は、多数の小さな渦(一般には10〜15mm)の性質を帯びている。翼15の傾けられた表面、シャープエッジ及び不連続またはジグザグの構成は、各サブストリームに沿って多数の渦を作る渦発生器としての役割を果たす。これらの渦は、とても小さく、気体流れ中の細かい汚染物質粒子を運ぶ。
【0050】
翼15によって発生する渦のパターンは、横向きに渦巻く動作、翼に平行に一直線に並ぶものも含むと考えられている。これらの寸法は、翼の間隔、翼長さ及び翼の幅によって決まる。そして、一連の逆回転渦構造も含むと考えられている。これらの寸法は、翼の歯16によって決まる。翼15周辺の流速は、平均流速よりも実質的に小さいと考えられている。
【0051】
小乱流の区域は、各通路の中央に制限されているが、各サブストリームの大乱流によって、サブストリームの粒子が粒子規模の乱流に支配されるように、サブストリームがこの区域を通過する。その上、小規模乱流を各通路の中央範囲に制限することで、凝集器の全圧降下は最小となる。
【0052】
以上では、発明の一実施形態を説明した。当業者にとって明らかな改良は、請求項に伴って定義されている発明の範囲から外れずに行うことができる。例えば、本発明は特に気体流れ中の粒子の混合について言及したが、液体のような他の流体流れ中の混合に適用することもできる。
【0053】
さらに、翼の形状及び配置を変えることもできる。図7(a)〜(e)は、図示した凝集器に使用された翼の代替形状を表したものである。
【0054】
小乱流を強めるため、及び翼のすぐ下流の範囲に集中させるため、翼15に歯16を供給するのが好ましいが、それはこの創造の本質ではない。小乱流の区域はいくつかの適当な形状の翼(例えば、ロッド、バー、フィンなど)によって作ることができる。そして、翼が前の翼の跡の後ろに一直線に並べられ、連続する翼間に跡が完全に形成されるように間隔を空けることで、小乱流の区域は連続する翼間に集中する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態たる凝集器を有するダクトの平面図である。
【図2】図1の凝集器の平面図である。
【図3】図1の凝集器の翼部品部分の断面図である。
【図4】図3の翼部品の翼の斜視図である。
【図5】大規模乱流を表した図1の凝集器部分の概略断面図である。
【図6】小規模乱流領域を表した図3の翼部品の部分概略断面図である。
【図7】(a)〜(e)は、代替翼の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流れ中に大規模乱流を発生させ、
該流体流れを複数のサブストリームに分配し、
各サブストリーム中に構成物を供給して、該構成物の付近に小規模乱流区域を生成し、
各サブストリームが小規模乱流に支配されるように、そのそれぞれの小規模乱流区域に各サブストリームを通過させる、
ステップを備える流体流れ中における物質の混合促進方法。
【請求項2】
各構成物が対応する各サブストリームの中央に位置する請求項1記載の方法。
【請求項3】
該構成物は、全体の流体流れの流動方向に伸延する平面内に連続的に並べられた複数の間隔を有する翼を備え、該翼の間隔は連続的な小規模乱流区域を供給するのに十分に接近している請求項2記載の方法。
【請求項4】
該流体流れが産業工程からの排気ガスであり、該サブストリームが汚染物質粒子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
該物質は、該汚染物質粒子と凝集するために該流体流れに加えられた粒子を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
該流れを複数のサブストリームに分配する該ステップは、各サブストリームがそれぞれの通路を流れるよう該流れを複数の通路へ方向付けることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
流体流れの流路と、
該流体流れをそれぞれの通路を流れるサブストリームに分配する該流路内の複数の通路と、
該複数の通路より上流の該流体流れ内で大規模乱流を生み出す手段と、
構成物付近で小規模乱流区域を生み出すための各通路の該構成物とを備え、
使用時には、大規模乱流によって各通路のサブストリームが該小規模乱流区域を通過する、
流体流れ中のサブストリームの混合を促進するための装置。
【請求項8】
各構成物が対応するそれぞれの通路の中央に位置し、生成された小規模乱流区域が該構成物付近に位置する請求項7記載の装置。
【請求項9】
各構成物は、流体流れの全流動方向に伸延する平面内に連続的に並べられた複数の間隔を有する翼である請求項8記載の装置。
【請求項10】
各通路の構成物の翼は一般的に平面フレームに取り付けられており、該フレームは対応する通路の実質的中央に位置し、該流体流れの全流動方向に伸延する請求項9記載の装置。
【請求項11】
各翼が、該流体流れの全流動方向に対して斜めに傾けられたシャープエッジを有する伸長した部品である請求項9記載の装置。
【請求項12】
各翼が歯型のエッジ部分を有する請求項11記載の装置。
【請求項13】
該流体流れの全流動方向に伸延し、流路に対して横に間隔を有する複数の平行(一般的に平面)部品をさらに備え、該通路は該平面部品の隣接する組の間で定まる請求項7記載の装置。
【請求項14】
該流体流れで大規模乱流を促進するように該通路の上流の該流路に追加の構成物をさらに備える請求項7記載の装置。
【請求項15】
該流路が空気ダクトであって、該流体流れが産業工程からの排気ガスであって、該物質が汚染物質の粒子を含む請求項7記載の装置。
【請求項16】
気体流れ中の汚染物質粒子の混合及び凝集を促進するエネルギー源のない空気力学的凝集器であって、
気体流れを受けるダクトと、
該ダクトに取り付けられた複数の平行(一般的に平面)部品と、
乱流中に汚染物質粒子が運ばれる程度の大きさと強さの小規模乱流区域を生成するための各通路の構成物とを備え、
該平面部品は、気体流れの全流動方向に伸延し、実質上ダクトの全幅に渡って横に間隔を有し、各近接した平面部品の組がそれらの間の通路を決定し、
該通路の上流の気体流れ中で大規模乱流を促進するために、該ダクトに流れ代替部品が形成され及び/又は該ダクトが代替部品を有し、
各構成物は、対応するそれぞれの通路の中央に位置し、全気体流れの流れ方向に伸延する平面内に連続して並べられた間隔を有するシャープエッジ加工された複数の翼を有し、
使用において、該気体流れはそれぞれの通路を流れる複数のサブストリームに分配され、サブストリーム内の該大規模乱流によって各サブストリームがそれぞれの通路の小規模乱流の区域を通り、そこでの粒子が小規模乱流に支配される凝集器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−524560(P2006−524560A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504023(P2006−504023)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000546
【国際公開番号】WO2004/096420
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(302027480)インディゴ テクノロジーズ グループ プロプライアタリー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】