説明

粒子分散組成物

【課題】酸化亜鉛粒子の分散が長期化されている粒子分散組成物の提供。
【解決手段】水溶性セルロースエーテル0.30〜3.0質量%、体積平均粒子径が100μm以下である酸化亜鉛粒子20〜70質量%、および水を含有する粒子分散組成物。この粒子分散組成物に含有させる水溶性セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース塩から選択された一種または二種以上であると良い。粒子分散組成物は、それ自体または樹脂を配合してコーティング剤に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化亜鉛粒子が水に分散した粒子分散組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筐体や構造物等の表面保護のためのコーティング剤として、油性のコーティング剤が従来から使用されている。その一方で、地球環境保全の観点から、水性のコーティング剤が現在汎用されるようになってきている。
【0003】
ところで、コーティング剤に酸化亜鉛を分散させれば、コーティング膜の紫外線遮蔽性および脱臭性が向上する。また、分散させる酸化亜鉛が導電性を有していれば、コーティング膜の表面抵抗値が低下するので、コーティング膜の帯電防止性が向上する。このような特性が向上した膜を形成するための水性コーティング剤を製造するには、酸化亜鉛粒子が分散している組成物が使用される。
【0004】
特許文献1には液状の酸化亜鉛粒子分散組成物の記載がある。当該文献には、アルミニウムを1mol%含有する平均粒子径200μmの酸化亜鉛粒子とカルボキシメチルセルロース溶液とが混合されたスラリーが記載されている。また、特許文献2には、酸化亜鉛を任意的に含有させることが可能なセルロース粒子分散液が記載されている(当該分散液に分散するセルロースは、水溶性セルロースエーテルではない)。
【特許文献1】特開平5−283081号公報
【特許文献2】特開2000−327837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸化亜鉛粒子分散組成物の調製後に時間が経過すると、酸化亜鉛粒子の分散が維持されず、前記分散液に上澄みが発生し、やがては酸化亜鉛粒子が沈殿する問題がある。そのため、酸化亜鉛粒子の分散が安定し、当該分散が長時間維持される酸化亜鉛粒子分散組成物が望まれる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、酸化亜鉛粒子の分散が長期化されている粒子分散組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、酸化亜鉛粒子と水とを含む粒子分散組成物に水溶性セルロースエーテルを所定量以上含ませれば、酸化亜鉛粒子の分散時間が長くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、水溶性セルロースエーテル0.30〜3.0質量%、体積平均粒子径が100μm以下である酸化亜鉛粒子20〜70質量%、および水を含有する粒子分散組成物である。前記水溶性セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース塩から選択された一種または二種以上であると良い。また、前記酸化亜鉛粒子は、その体積平均粒子径が10μm以下であることが好ましい。
【0009】
本発明に係る粒子分散組成物を、それ自体をコーティング剤として使用することができる。また、本発明に係る粒子分散組成物と、樹脂とを混合し、これをコーティング剤として使用しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る粒子分散液は、所定量以上の水溶性セルロースエーテルを含有しているので、酸化亜鉛粒子が長時間安定して分散する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の粒子分散組成物は、水溶性セルロースエーテル、および酸化亜鉛粒子を水に分散含有させたものである。更に添加剤を含有させたものであっても良い。以下に本発明の粒子分散組成物を成分ごとに説明する。
【0012】
(水溶性セルロースエーテル)
本発明における「水溶性セルロースエーテル」は、水100質量部に対して3.0質量部溶解させることができるセルロースエーテルである。そして、「セルロースエーテル」とは、セルロースの水酸基をエーテルに置換した化合物をいう。
【0013】
水溶性セルロースエーテルは、その一種または二種以上が選択される。水溶性セルロースエーテルとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、セチルセルロース、ステアリルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースアンモニウム等)がある。このうち、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース塩が好ましい。また、1質量%水溶液の粘度(測定温度:25℃、測定機器:B型粘度計、粘度計回転数:60rpm)が概ね100mPa・secである水溶性セルロースエーテルを選択した場合には、本発明に係る粒子分散組成物をコーティング剤に使用したときのコーティング膜厚の調整および同膜の機械的物性が良好となる。
【0014】
なお、上記水溶性セルロースエーテルは、第一工業製薬社製「セロゲン」、日本製紙社製「サンローズ」、信越化学工業社製「メトローズシリーズ」、ダイセル社製「CMCダイセル」、ダイセル社製「HECダイセル」等として上市されている。
【0015】
水溶性セルロースエーテルの量は、粒子分散組成物において0.30〜3.0質量%である。0.30質量%に満たない場合には、酸化亜鉛粒子の分散安定性が悪いため、調製してから数日以内の粒子分散組成物に上澄み液や酸化亜鉛粒子の沈殿が発生する。一方、3.0質量%を越える場合には、粒子分散組成物調製過程における水溶性セルロースエーテル含有水が高粘度化するので、酸化亜鉛粒子が十分分散している粒子分散組成物の調製が難しくなる。また、3.0質量%を超える場合には、チクソ性に乏しい粒子分散組成物となって、粒子分散組成物の取り扱いが煩雑になる。酸化亜鉛粒子が十分分散し、その分散が長時間持続し、且つ、チクソ性に優れた粒子分散組成物を実現するためには、水溶性セルロースエーテルの量が、0.5〜2.5質量%であることが好ましく、0.8〜2.2質量%であることが更に好ましい。
【0016】
(酸化亜鉛粒子)
酸化亜鉛は、不純物が含まれていても良く、酸化亜鉛の純度は、概ね98%以上である。また、異種元素がドープされて導電性を付与した酸化亜鉛(導電性酸化亜鉛)も本発明の酸化亜鉛に該当する。この導電性酸化亜鉛のX線回折パターンは、酸化亜鉛の回折パターンと一致するのが通常である。なお、導電性酸化亜鉛調製のためにドープする異種元素は、アルミニウム、ガリウム、インジウム等の第IIIB族元素;ゲルマニウム、スズ等のIVB族元素;およびFeから選択された一種以上が通常である。
【0017】
酸化亜鉛粒子の粒子径は、特に限定されないが、体積平均粒子径(以下、単に「平均粒子径」という)が大きい粒子であるとその自重により分散が長時間安定しないので、平均粒子径が100μm以下である。本発明において通常選定する酸化亜鉛粒子は、50μm以下である。分散安定性および粒子分散組成物調製の容易さの観点からは、10μm以下が良く、8μm以下が好ましく、6μm以下が更に好ましい。
【0018】
ここで、平均粒子径は、レーザ回折・散乱法による測定値を採用する。つまり、酸化亜鉛粒子の全体積を100%とし、x軸が粒子径、y軸が酸化亜鉛粒子の累積体積である累積曲線を求めたときに、累積体積50%に達する値が平均粒子径である。
【0019】
比表面積、嵩比容、吸油量等の酸化亜鉛特性は、特に限定されない。例えば、比表面積が0.1〜50m/g、嵩比容が100〜400ml/100g、吸油量が10〜25ml/100gである。また、酸化亜鉛の体積抵抗率も特に限定されない。酸化亜鉛の体積抵抗率は、一般的には5×108Ω・cm以下である。酸化亜鉛が導電性酸化亜鉛である場合、その体積抵抗率は、10000Ω・cm以下であると良い。以上の比表面積、嵩比容、吸油量、および体積抵抗率の範囲を満足する導電性酸化亜鉛を、市場で入手することは可能である。この入手可能な酸化亜鉛としては、例えば、ハクスイテック株式会社が販売する導電性酸化亜鉛(商品名「23−K」)がある。
【0020】
粒子分散組成物中における酸化亜鉛粒子の含有量は、20〜70質量%である。70質量%を超える場合、酸化亜鉛粒子の分散が安定せず、20質量%に満たない場合、粒子分散組成物における水の比率が高まるから、粒子分散組成物を有するコーティング剤でコーティング膜形成する際の乾燥が煩雑になると共にコーティング膜内における気泡発生量が多くなる。酸化亜鉛粒子の含有量は、25〜66質量%であると良く、30〜60質量%であると好ましい。
【0021】
(水)
水の量は、水溶性セルロースエーテルおよび酸化亜鉛粒子の量、並びに添加剤の有無に応じて変動するため、特に限定されない。その量は、20〜75質量%であると良い。
【0022】
(添加剤)
本発明の粒子分散組成物には、任意に添加剤を含有させることができる。その添加剤としては、例えば、導電性付与剤、有機溶剤、脱泡剤、消泡剤、湿潤剤、分散剤が挙げられる。この例示した中の導電性付与剤としては、酸化インジウムスズ等の金属酸化物、カーボンブラック等の炭素材が挙げられる。また、有機溶剤としては、水と混合可能な揮発性有機溶剤が好ましく、アルコール類(メタノール、エタノール等)、エステル類、ケトン類(メチルエチルケトン等)、セロソルブ等が挙げられる。
【0023】
本発明の粒子分散組成物は水溶性セルロースエーテルおよび酸化亜鉛粒子を水に混合して調製される。このときの混合では、公知の分散・攪拌機を混合機として使用すると良い。その混合機としては、例えば、ディスパー、ホモジナイザー、ボールミル、ロッキングミル、ビーズミル、遊星ミル、振動ミル、超音波分散機が挙げられる。ミルを使用する場合には、メディアを使用することなく混合できる遊星ミルを選択することが、混合後のメディアの分離が不要かつ粒子分散組成物へのメディア磨耗粉混入が無いので好適である。
【0024】
本発明の粒子分散組成物における酸化亜鉛粒子および水溶性セルロースエーテルがコーティング膜成分になるので、粒子分散組成物自体をコーティング剤として使用できる。
【0025】
また、本発明の粒子分散組成物と、樹脂、着色顔料、体質顔料、防錆顔料、金属顔料、乾性油、分散剤、乾燥剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、安定剤、皮張り防止剤、かび防止剤、防腐剤、凍結防止剤等とを混合して、コーティング剤として使用できる。
【0026】
粒子分散組成物に混合させる上記樹脂には、水への溶解性がある水溶性型樹脂、水への分散性があるエマルション型樹脂、および水溶性型樹脂とエマルション型樹脂との中間性質を有するコロイダルディスパージョン樹脂から選択された一種または二種以上の水性樹脂を使用することが好ましい。そして樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン樹脂が例示される。また、樹脂の混合量は、粒子分散組成物における酸化亜鉛粒子および水溶性セルロースエーテルの総質量部100に対して、30〜400質量部であると良い。
【0027】
コーティング剤を使用する場合のコーティング方法には、当該組成物の粘性およびチクソ性に応じて適宜な方法を選択すると良い。建築物の床面や壁面等にコーティングする場合には、ブレード塗、へら塗、刷毛塗、スプレー塗等を選択すると良く、フィルムやシート状の基材にコーティングする場合には、スクリーン印刷法、ロールコート法等を選択すると良い。なお、粒子分散組成物のコーティング膜厚は、数μm〜数十μmであると良く、当該膜に更にコーティング剤をコーティングしても良い。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0029】
以下の通り、実施例および比較例の粒子分散組成物を調製した。なお、以下の実施例および比較例の調製におけるセルロースエーテルは、ヒドロキシセルロースエーテルがダイセル社製「HECダイセルSP600」であり、カルボキシメチルセルロースナトリウムがダイセル社製「CMCダイセル1190」を意味する。また、添加剤は、固形分濃度が40質量%である花王社製「ポイズ530」を意味する。
【0030】
(実施例1)
1.0質量%ヒドロキシエチルセルロース水溶液15.0g、導電性酸化亜鉛(ハクスイテック社製「23−K」)30.0g、および添加剤0.30gを配合した。この配合物を、遊星ミル(シンキー社製「ARE−250」)を使用し、公転2000rpm、自転800rpmの条件で3分間混合し、実施例1の粒子分散組成物を調製した。
【0031】
(実施例2)
1.0質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液30.0g、導電性酸化亜鉛(ハクスイテック社製「23−K」)30.0g、および添加剤0.30gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、実施例2の粒子分散組成物を調製した。
【0032】
(実施例3)
1.0質量%ヒドロキシエチルセルロース水溶液30.0g、酸化亜鉛(ハクスイテック社製「2種」)30.0g、および添加剤0.30gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、実施例3の粒子分散組成物を調製した。
【0033】
(実施例4)
1.5質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液30.0g、および導電性酸化亜鉛(ハクスイテック社製「23−K」)30.0gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、実施例4の粒子分散組成物を調製した。
【0034】
(実施例5)
2.0質量%ヒドロキシエチルセルロース水溶液30.0g、導電性酸化亜鉛(ハクスイテック社製「23−K」)30.0g、および添加剤3.0gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、実施例5の粒子分散組成物を調製した。
【0035】
(実施例6)
2.0質量%ヒドロキシエチルセルロース水溶液30.0g、導電性酸化亜鉛(ハクスイテック社製「23−K」)30.0g、および添加剤0.30gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、実施例6の粒子分散組成物を調製した。
【0036】
(実施例7)
3.0質量%ヒドロキシエチルセルロース水溶液30.0g、導電性酸化亜鉛(ハクスイテック社製「23−K」)20.0g、および添加剤0.20gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、実施例7の粒子分散組成物を調製した。
【0037】
(実施例8)
3.0質量%ヒドロキシエチルセルロース水溶液37.5g、酸化亜鉛(ハクスイテック社製焼成亜鉛華)12.5g、および添加剤0.15gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、実施例8の粒子分散組成物を調製した。
【0038】
(比較例1)
0.5質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液30.0g、導電性酸化亜鉛(ハクスイテック社製「23−K」)30.0g、および添加剤0.60gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、比較例1の粒子分散組成物を調製した。
【0039】
(比較例2)
1.0質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液10.0g、および酸化亜鉛(ハクスイテック社製「2種」)30.0gを配合した。この配合物を、実施例1と同様にして混合し、比較例2の粒子分散組成物を調製した。この組成物は、非流動性かつ粘着性の柔軟なゴム状物であった。
【0040】
(平均粒子径)
酸化亜鉛粒子の平均粒子径(D50)は、調製した実施例および比較例の粒子分散組成物を試料とし、レーザ回折散乱式粒度測定器(日機装社製「マイクロトラックHRA」)を使用して求めた。また、同粒度測定器を使用し、平均粒子径と同様にして求めた累積曲線から、累積体積が10%に達する10%径(D10)および累積体積が90%に達する90%径(D90)を求めた。
【0041】
また上記実施例および比較例の粒子分散組成物における酸化亜鉛粒子分散の安定性確認試験を行った。当該試験においては、調製した粒子分散組成物を室温下に2週間放置して、組成物に上澄み液が発生するかの確認を行った。なお、流動性を示さなかった比較例2の組成物については、分散安定性の確認試験を行わなかった。
【0042】
表1に粒子分散性試験の結果を示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から次のことを確認することができる。水溶性セルロースエーテル濃度が0.30質量%未満である比較例1では、僅か一日後に上澄み液が発生したが、水溶性セルロースエーテル濃度が0.30質量%以上の実施例1では、分散させている酸化亜鉛濃度が比較例1よりも高濃度であるにも関わらず、二週間後に上澄み液が僅かに発生しただけである。また実施例2〜8は、実施例1と同等以上の結果であったことが分かる。
【0045】
実施例および比較例の粒子分散組成物と樹脂とを配合した後に、攪拌混合してコーティング剤を調製した。粒子分散組成物と樹脂エマルジョンの配合量の質量比率は、下記の通りである。下記ウレタンアクリル樹脂エマルジョンは、固形分濃度が34質量%である中央理化工業社製「リカボンドSU−100」を意味し、水分散ポリエステル樹脂は、固形分濃度が25質量%である東洋紡社製「バイロナールMD−1480」を意味する。
【0046】
実施例1の粒子分散組成物:ウレタンアクリル樹脂エマルジョン=15.1:29.4
実施例2の粒子分散組成物:ウレタンアクリル樹脂エマルジョン=20.1:29.4
実施例3の粒子分散組成物:ウレタンアクリル樹脂エマルジョン=20.1:14.7
実施例4の粒子分散組成物:ウレタンアクリル樹脂エマルジョン=20.0:29.4
実施例5の粒子分散組成物:ウレタンアクリル樹脂エマルジョン=21.0:29.4
実施例6の粒子分散組成物:水分散ポリエステル樹脂=20.1:40.0
実施例7の粒子分散組成物:ウレタンアクリル樹脂エマルジョン=25.1:29.4
実施例8の粒子分散組成物:ウレタンアクリル樹脂エマルジョン=20.1:3.7
【0047】
また、参考例として、粒子分散組成物を2.5質量%カルボキシメチルセルロース水溶液10.0gと、ウレタンアクリル樹脂エマルジョン29.4gとを配合してコーティング剤を調製した。
【0048】
上記調製した各コーティング剤を、アプリケータを使用してポリエステルフィルム表面に塗工した。この塗工したコーティング剤を温風で指触乾燥させた後、更に80℃の温風が循環する乾燥機内で30分間乾燥した。この乾燥により形成されたコーティング膜の表面抵抗値を、表面抵抗計(三菱油化社製表面抵抗計「ハイレスタIP」)を使用して計測した。当該計測では、コーティング膜に電圧を印加後、30秒後の抵抗値を表面抵抗として読み取った。そのときの印加電圧は、実施例1〜7では10V、実施例8では500V、とした。
【0049】
表2に計測したコーティング膜の表面抵抗を示す。
【0050】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性セルロースエーテル0.30〜3.0質量%、体積平均粒子径が100μm以下である酸化亜鉛粒子20〜70質量%、および水を含有する粒子分散組成物。
【請求項2】
前記水溶性セルロースエーテルが、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース塩から選択された一種または二種以上である請求項1に記載の粒子分散組成物。
【請求項3】
前記酸化亜鉛粒子の体積平均粒子径が、10μm以下である請求項1または2に記載の粒子分散組成物。
【請求項4】
コーティング剤に使用される請求項1〜3のいずれかに記載の粒子分散組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の粒子分散組成物と、樹脂とを含有するコーティング剤。

【公開番号】特開2008−266445(P2008−266445A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110733(P2007−110733)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000234395)ハクスイテック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】