説明

粒子散布装置及び画像形成装置

【課題】粒子の散布対象から装置を離間させた構成で、不均一な散布を低減すること。
【解決手段】粒子(RSS1)が散布される散布対象物(B)に隙間を空けて配置され粒子(RSS1)を保持して回転する粒子保持体(2)と、散布対象物(B)に対向する粒子保持体(2)の対向面(2a)と対向面(2a)とは逆側の面(2b)との間を貫通する貫通孔(3)と、対向面(2a)の第1開口(3a)と、対向面(2a)とは逆側の面(2b)の第2開口(2b)と、貫通孔(3)に粒子(RSS1)を充填する粒子充填部材(11)と、散布位置(Q2)において、第2開口(3b)側に配置され、第2開口(3b)から貫通孔(3)に進入して貫通孔(3)に保持された粒子(RSS1)を第1開口(3a)から散布対象物(B)に向けて押出して散布する粒子散布部材(12)と、を備えた粒子散布装置(RSS)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子散布装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴によって画像を記録する、いわゆる、インクジェット記録方式の画像形成装置のなかには、液に起因する媒体の湾曲や、画像の滲み等を、低減させるために、液を吸収可能な微小な粒子で、中間転写体を被覆して、被覆された粒子上に液滴で画像を記録し、その後、前記画像を媒体に転写するものがある。このように、対象物を粒子で被覆して画像形成を行う技術として、特許文献1,2に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特許第3801371号公報には、表面に粘着層(7a)を有し、ローラ(6a,6b,6c)によって回転可能に支持された中間転写ベルト(7)と、前記中間転写ベルト(7)に接触し、吸水性を有する粉末状のセット剤を前記中間転写ベルト(7)に回転して塗布する塗布ローラ(3)と、前記塗布ローラ(3)に接触し、セット剤を前記塗布ローラ(3)に回転して補給するセット剤補給ローラ(2)とを有する記録装置が記載されている。
特許文献1に記載の技術では、補給ローラ(2)と塗布ローラ(3)と中間転写ベルト(7)が、それぞれ、接触したまま回転して、セット剤が、セット剤補給ローラ(2)から塗布ローラ(3)の表面に移り、塗布ローラ(3)の表面から粘着層(7a)に移ることで、中間転写ベルト(7)に塗布される。なお、特許文献1では、各ローラ(2,3)毎に設けられたブレード(2a,3a)によって、ローラ(2,3)上のセット剤の量が調節、均一化されて、中間転写ベルト(7)に塗布される。
【0004】
特許文献2としての特開2000−272108号公報には、中間転写ベルト(21)と、セット剤(11)を前記中間転写ベルト(21)に塗布する断面星型の塗布ローラ(13)と、セット剤(11)を前記塗布ローラ(13)に補給するローラ状の補給ブラシ(12)と、が設けられた構成が記載されている。特許文献2に記載の技術では、補給ブラシ(12)が回転して、回転する塗布ローラ(13)の表面(16)に形成された断面星型の凹凸部に、セット剤(11)を補給する。そして、特許文献2に記載の技術では、前記塗布ローラ(13)が回転して、前記表面(16)のセット剤(11)が、中間転写ベルト(21)に接触し、中間転写ベルト(21)に移動して付着する。なお、特許文献2では、凹部に入り込んだセット剤(11)は、二層以上粒子が凝集した状態で、中間転写ベルト(21)に凸状に付着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3801371号公報(「0015」〜「0016」、図1、図2)
【特許文献2】特開2000−272108号公報(「0008」、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、粒子の散布対象から装置を離間させた構成で、不均一な散布を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の粒子散布装置は、
粒子が散布される散布対象物に対向し且つ隙間を空けて配置され、粒子を保持して、回転移動する粒子保持体と、
前記粒子保持体が前記散布対象物に対向する前記粒子保持体の対向面と、前記粒子保持体の対向面とは逆側の面と、の間を貫通する貫通孔と、
前記対向面に開口する前記貫通孔の第1開口と、
前記対向面とは逆側の面に開口する前記貫通孔の第2開口と、
前記貫通孔に粒子を充填する粒子充填部材と、
前記粒子充填部材に対して前記粒子保持体の回転移動方向下流側に予め設定され且つ粒子を前記散布対象物に散布する散布位置において、前記第2開口側に配置され、前記貫通孔に保持された粒子を前記第1開口から前記散布対象物に向けて押出して散布する粒子散布部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粒子散布装置において、
第2開口から第1開口に近付くに連れて、内部の断面が広くなる前記貫通孔、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の粒子散布装置において、
前記粒子保持体に網目状に形成された前記貫通孔
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の粒子散布装置において、
粒子が充填される充填位置において、前記粒子保持体の一方の面側から粒子を押して、前記貫通孔に粒子を充填する前記粒子充填部材と、
前記充填位置において、前記粒子保持体の他方の面に接触して、前記貫通孔を閉塞する貫通孔閉塞部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の粒子散布装置において、
前記粒子保持体に対して、粒子を押しながら回転して、前記貫通孔に粒子を充填する前記粒子充填部材、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の粒子散布装置において、
前記粒子保持体を回転可能に支持する前記貫通孔閉塞部材、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項7に記載の発明の画像形成装置は、
液滴を受容する液体受容性粒子が散布される散布対象物としての像保持体と、
前記像保持体上に保持された前記液体受容性粒子に、液滴を吐出して画像を形成する液滴吐出部と、
前記像保持体上に形成された画像を媒体に転写する転写部材と、
前記液体受容性粒子を、前記像保持体に散布する請求項1乃至6のいずれかに記載の粒子散布装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,7に記載の発明によれば、粒子散布部材が粒子保持体と散布対象物との間に配置されている場合に比べて、粒子の散布対象から装置を離間させた構成で、不均一な散布を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、貫通孔の内部の断面が、第2開口から第1開口に近付くに連れて広くならない場合に比べて、散布後の貫通孔内に粒子が残り難くすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、粒子保持体が網目状の貫通孔に粒子を保持して、粒子を連続的に散布することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、粒子を、粒子保持体の一方の面側から貫通孔に充填しても、粒子保持体の他方の面側から粒子がすり抜けることを防止することができる。
請求項5に記載の発明によれば、粒子充填部材に粒子を搬送させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、貫通孔閉塞部材が支持部材を兼用しない場合に比べて、部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、実施例1の画像形成部の説明図である。
【図3】図3は実施例1の粒子散布装置の説明図であり、図3Aは粒子散布装置の全体説明図、図3Bは充填ブレードの説明図である。
【図4】図4は実施例1の保持ベルトの説明図であり、図4Aは実施例1の保持ベルト表面の要部説明図、図4Bは図4AにおけるIVB−IVB線断面図である。
【図5】図5は実施例1の直線ブラシの斜視図である。
【図6】図6は実施例2の充填ロールの説明図であり、実施例1の図3Bに対応する図である。
【図7】図7は実施例3の回転ブラシの説明図であり、図7Aは回転ブラシの斜視図であって実施例1の図5に対応する図、図7Bは回転ブラシの駆動機構の説明図である。
【図8】図8は実施例4の保持ベルトの説明図で実施例1の図4に対応する図であり、図8Aは実施例4の保持ベルト表面の要部説明図、図8Bは図8AにおけるVIIIB−VIIIB線断面図である。
【図9】図9は実施例5の保持ベルトの説明図で実施例1の図4に対応する図であり、図9Aは実施例5の保持ベルト表面の要部説明図、図9Bは図9AのIXB−IXB線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0018】
(複写機Uの概要)
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、画像形成装置本体の一例としてのプリンタ部U1と、画像読取り部の一例としてのイメージスキャナU2と、自動原稿搬送装置U3とを有している。
前記自動原稿搬送装置U3は、イメージスキャナU2上面の透明な原稿台の一例であるプラテンガラスPG上に支持されている。
【0019】
前記自動原稿搬送装置U3は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿収容部の一例としての原稿給紙トレイTG1を有している。前記原稿給紙トレイTG1に収容された複数の各原稿Giは順次プラテンガラスPG上の複写位置、すなわち、原稿搬送部材の一例としてのプラテンロールGR1の圧接位置を通過する際に画像が読取られる。画像が読取られた原稿は、原稿排出部材の一例としての原稿排出ロールGR2により搬送され、原稿排出部の一例としての原稿排紙トレイTG2に排出されるように構成されている。
前記自動原稿搬送装置U3は、その後端部に設けた左右方向に延びる図示しないヒンジ軸により前記プラテンガラスPG上面に対して回動可能であり、原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置く場合に上方に回動される。
【0020】
前記イメージスキャナU2は、作業者であるユーザが複写開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIを有している。
前記透明なプラテンガラスPGの下方には原稿画像を読み取るための露光光学系Aが配置されている。
前記自動原稿搬送装置U3で自動搬送原稿走査時にプラテンガラスPG上面に搬送されて前記複写位置を通過する原稿または手動設置原稿走査時に手動でプラテンガラスPG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、固体撮像素子CCDで電気信号に変換される。
【0021】
画像処理部IPSは、固体撮像素子CCDから入力されるR:レッド、G:グリーン、B:ブルーの電気信号をY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像データに変換して、画像形成用の画像データとして吐出部駆動回路DLに出力する。前記吐出部駆動回路DLは、前記画像形成用の画像データに基づいて、液滴吐出部の一例としてのインクヘッドIHy,IHm,IHc,IHkを制御する制御信号を出力する。
なお、前記操作部UI、画像処理部IPS、吐出部駆動回路DL、電源回路Eなどの動作は制御部の一例としてのコントローラCにより制御される。
【0022】
図2は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、実施例1の画像形成部の説明図である。
図1、図2において、プリンタ部U1の中央部には、中間転写ユニットの一例としてのベルトモジュールBMが支持されている。前記ベルトモジュールBMは、像保持体の一例としての中間転写ベルトBと、像保持体駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力作用部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としての複数の従動ロールRf、および転写対向部材の一例としての転写バックアップロールT2aを含むベルト支持ロール(Rd,Rt,Rw,Rf,T2a)とを有している。そして、前記中間転写ベルトBは前記ベルト支持ロール(Rd,Rt,Rw,Rf,T2a)により矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0023】
図1、図2において、前記ベルトモジュールBMの右上部の駆動ロールRdと対向する位置には、粒子固定材供給装置の一例としての粘着材塗布装置NTが設けられている。前記粘着材塗布装置NTは、粒子固定材の一例としての粘着材NT1を収容する粘着材収容部NT2と、粘着材NT1を中間転写ベルトBに塗布する塗布部材の一例としての、ゴム材料等でできた軟質性塗布ロールNT3と、粘着材収容部NT2の粘着材NT1を軟質性塗布ロールNT3に供給する供給部材の一例としての、スチール等でできた硬質性供給ロールNT4とを有している。
前記粘着材塗布装置NTは、軟質性塗布ロールNT3と硬質性供給ロールNT4とを予め設定された接触圧で接触させながら、中間転写ベルトBの回転速度に対して予め設定された回転速度差を設けて回転させて、塗布位置Q1で、中間転写ベルトBに粘着材NT1を塗布する。これにより、中間転写ベルトB上には、予め設定された厚さの粘着材NT1の層が形成される。
なお、粘着材NT1としては、例えば、有機溶剤等が使用可能であり、表面張力40mN/m以下、粘度10mPa・s以上のジオール型のポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン誘導体などが好適に使用可能である。
【0024】
前記塗布位置Q1に対して、前記中間転写ベルトBの回転方向下流側には、粒子散布装置RSSが設けられている。前記粒子散布装置RSSは、中間転写ベルトBと対向する散布位置Q2において、散布対象物の一例としての中間転写ベルトBに対して、液体受容性粒子の一例としてのインク受容性粒子RSS1を散布する。散布された前記インク受容性粒子RSS1は、中間転写ベルトB表面の粘着剤NT1に吸着されて保持される。
前記散布位置Q2に対して、前記中間転写ベルトBの回転方向下流側には、均し部材の一例としての均しロールNRが設けられている。前記均しロールNRは、中間転写ベルトBと対向する均し位置Q3において、中間転写ベルトB上に層状に散布された前記インク受容性粒子RSS1を平坦化して均す。
【0025】
前記均し位置Q3に対して、前記中間転写ベルトBの回転方向下流側には、前記インクヘッドIHk,IHc,IHm,IHyが、中間転写ベルトBの回転方向に沿って、色K,C,M,Yの順に設けられている。
前記インクヘッドIHy〜IHkは、前記吐出部駆動回路DLからの制御信号に応じて、中間転写ベルトBと対向する画像形成位置Q4y,Q4m,Q4c,Q4kにおいて、像保持体の一例としての中間転写ベルトB表面に保持されたインク受容性粒子RSS1に、液滴の一例としてのインクを吐出して画像を形成する。
なお、実施例1では、前記インクヘッドIHy〜IHkは、いわゆる、フルライン型のインクヘッドにより構成されており、印刷可能な記録シートSの最大幅に対応した前後方向の長さを有している。
前記各画像形成位置Q4y〜Q4kを通過した中間転写ベルトBは、前記転写バックアップロールT2aに対応して配置された転写ロールT2bとの対向する領域である転写領域Q5を通過する。
【0026】
図1において、プリンタ部U1の下部には、媒体の一例としての記録シートSを収容した媒体収容部の一例としての給紙トレイTR1〜TR3および給紙用媒体搬送路SH1が設けられている。また、前記給紙用媒体搬送路SH1には手差給紙部TR4から記録シートSが給紙できるように構成されている。前記給紙トレイTR1〜TR3に収容された記録シートSは、予め設定された時期、すなわち、タイミングで媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsで1枚づつ分離される。分離された記録シートSは、複数の媒体搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、媒体給紙時期調整部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。また、手差給紙部TR4から給紙された記録シートSは搬送ロールRaにより、レジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、前記中間転写ベルトB上に形成された多色画像または単色画像が転写領域Q5に移動するのに時期を合わせて、転写領域Q5に搬送される。
【0027】
前記記録シートSは、前記転写領域Q5を通過する際に転写部材T2に挟持される。ここで、前記転写部材T2の転写バックアップロールT2aは、転写ロールT2bに向かう方向に加圧されており、中間転写ベルトBを転写ロールT2b側に押して、転写ロールT2bと中間転写ベルトBとにより、記録シートSが挟持される。そして、熱源を内蔵した転写ロールT2bが、中間転写ベルトB上に保持された前記インク受容性粒子RSS1を、加熱し、インク受容性粒子RSS1の粘度を上昇させて、記録シートSに転写させる。
すなわち、前記転写部材T2により、中間転写ベルトB上の画像がインク受容性粒子RSS1と共に、記録シートSに転写される。
前記転写バックアップロールT2aと、転写ロールT2bとにより、実施例1の転写部材T2が構成される。
【0028】
転写領域Q5において、記録シートSに画像が転写された中間転写ベルトBは、像保持体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbが配置された清掃位置Q6を通過する。前記清掃位置Q6において、ベルトクリーナCLbは、清掃部材の一例としての清掃ブレードCLb1により、転写されずに中間転写ベルトB上に残留したインク受容性粒子RSS1や、記録シートSの紙粉等を、除去して回収する。
【0029】
画像が転写された前記記録シートSは、転写後媒体案内部材の一例としての転写後シートガイドSG、媒体搬送部材の一例としてのシート搬送ベルトHBにより定着装置Fに搬送される。
定着装置Fは、加熱回転部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧回転部材の一例としての加圧ロールFpとを有しており、前記加熱ロールFhおよび加圧ロールFpの圧接領域により定着領域Q7が形成されている。前記記録シートS上の画像は前記定着領域Q7を通過する際に、加熱定着される。すなわち、加熱ロールRhによって、記録シートS上のインク受容性粒子RSS1が、ガラス転移点以上に加熱されて、軟化又は溶融し、且つ、加圧ロールFpによって圧力が加えられることで、インク受容性粒子RSS1が、画像と共に、記録シートSに定着される。
【0030】
画像が定着された記録シートSは、排出用媒体搬送路SH2または両面記録用媒体搬送路SH3に搬送される。排出用媒体搬送路SH2に搬送されたシートは、媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに排出され、両面記録用媒体搬送路SH3に搬送された記録シートSは表裏反転されてから前記レジロールRrに再送される。
前記符号Rp,Rs,Ra,Rr,SG,HB,SH1,SH2,SH3等で示された要素により、媒体搬送装置の一例としてのシート搬送装置SHが構成されている。
前記符号SH1,SH2,SH3で示された要素により、媒体搬送路の一例としてのシート搬送路(SH1〜SH3)が構成されている。また、前記符号Rp,Rs,Ra,Rr,HB等で示された要素により、媒体搬送部材の一例としてのシート搬送部材(Rp,Rs,Ra,Rr,HB)が構成されている。
【0031】
(粒子散布装置RSSの説明)
図3は実施例1の粒子散布装置の説明図であり、図3Aは粒子散布装置の全体説明図、図3Bは充填ブレードの説明図である。
図4は実施例1の保持ベルトの説明図であり、図4Aは実施例1の保持ベルト表面の要部説明図、図4Bは図4AにおけるIVB−IVB線断面図である。
図3Aにおいて、実施例1の粒子散布装置RSSは、中間転写ベルトB側が開放された筐体1を有している。前記筐体1の内部下方には、前記中間転写ベルトBに対向し且つ隙間を空けて配置された無端帯状の粒子保持体の一例としての保持ベルト2が配置されている。
【0032】
図4において、実施例1の保持ベルト2には、中間転写ベルトBと対向する保持ベルト2の対向面の一例としての外周面2aと、前記外周面2aとは逆側の保持ベルト2の面の一例としての内周面2bとを貫通する複数の貫通孔3が形成されている。実施例1では、複数の貫通孔3として、断面円形状の孔が、網目状の一例として、いわゆる、千鳥配列状に並べられた構成をしている。図3、図4において、前記貫通孔3は、外周面2aに形成された第1開口3aと、内周面2bに形成された第2開口3bとを有する。前記貫通孔3に、インク受容性粒子RSS1が密に充填されると、インク受容性粒子RSS1が凝集され、貫通孔3とインク受容性粒子RSS1との密着が強められ、インク受容性粒子RSS1が、貫通孔3に保持される。
【0033】
なお、実施例1では、保持ベルト2と中間転写ベルトBとの間の前記隙間は3mmとなるように設定されている。また、実施例1では、前記保持ベルト2として、厚さ50μmのステンレスの薄板に、直径50μmの孔が形成されたものを使用する。なお、前記保持ベルト2としては、例えば、厚さ数十μm〜数百μm程度のステンレスの薄板に、インク受容性粒子RSS1の大きさや散布量等に応じて、直径が数十μm〜数百μm程度の孔が形成されたものを使用可能である。また、貫通孔3は、エッチング加工や電子ビーム加工、プレス加工などによって形成することが可能である。
【0034】
図3において、前記保持ベルト2は、駆動部材の一例としての駆動バックアップロール4と、前記駆動バックアップロール4の左側に空間を空けて配置された従動部材の一例としての従動ロール6とによって、回転可能に支持される。
前記駆動バックアップロール4は、保持ベルト2を、図3Aに示す矢印Yb方向、いわゆる、時計回り方向に回転駆動させる。また、前記駆動バックアップロール4は、保持ベルト2の駆動バックアップロール4に巻きつく部分の内周面2bに接触して、貫通孔3の第2開口3bを閉塞する。よって、実施例1の駆動バックアップロール4は、貫通孔閉塞部材と兼用されている。
なお、実施例1では、前記駆動バックアップロール4は、表面が弾性材料の一例としてのゴムによって被覆されており、保持ベルト2との密着性が高められている。また、実施例1では、中間転写ベルトBの回転速度と保持ベルト2の回転速度が等しくなるように設定されている。
【0035】
前記駆動バックアップロール4の右側上方には、インク受容性粒子RSS1を供給する粒子供給部7が設けられている。
前記粒子供給部7は、インク受容性粒子RSS1を収容する収容容器8を有している。前記収容容器8には、下方左側の保持ベルト2に向かって開放された開口8aが形成されている。前記収容容器8の内部には、インク受容性粒子RSS1を攪拌して開口8aに送る粒子攪拌部材9が設けられている。前記粒子攪拌部材9は、上下方向に延びる回転軸9aと、前記回転軸9aに支持されて収容容器8内のインク受容性粒子RSS1を攪拌する攪拌羽根9bとを有している。前記粒子攪拌部材9は、図示しない駆動源によって回転し、インク受容性粒子RSS1が収容容器8内で凝集することを低減する。
なお、実施例1の粒子供給部7においては、重力及び粒子攪拌部材9の攪拌によって、インク受容性粒子RSS1が移動し、開口8aから外部に供給される。
【0036】
図3A、図3Bにおいて、前記保持ベルト2を挟んで、駆動バックアップロール4と対向する位置には、板状の粒子充填部材の一例としての充填ブレード11が配置されている。
前記充填ブレード11は、弾性変形可能に構成されており、基端部11aが収容容器8に支持され、先端部11bが保持ベルト2に接触している。
前記充填ブレード11の先端部11aは、予め設定された圧力で保持ベルト2に押し当てられており、前記粒子供給部7によって供給されたインク受容性粒子RSS1は、充填位置Q11において、保持ベルト2の貫通孔3に充填される。
ここで、図3Bにおいて、実施例1では、充填位置Q11における貫通孔3の第2開口3bは駆動バックアップロール4によって閉塞されている。したがって、前記充填ブレード11によって、インク受容性粒子RSS1が一方の第1開口3aから貫通孔3内部に充填されても、インク受容性粒子RSS1が、他方の第2開口3bから外部にすり抜けない。よって、インク受容性粒子RSS1が、保持ベルト2の外周面2a側から押し込まれて、密に充填される。したがって、インク受容性粒子RSS1は、貫通孔3内で凝集されると共に、貫通孔3とインク受容性粒子RSS1との密着がより強くなり、他方が閉塞されていない場合に比べて、貫通孔3内に確実に保持される。
なお、実施例1では、前記充填ブレード6はポリウレタンにより構成される。
【0037】
図5は実施例1の直線ブラシの斜視図である。
前記充填位置Q11において、インク受容性粒子RSS1が充填された保持ベルト2は、中間転写ベルトBにインク受容粒子RSS1を散布する前記散布位置Q2を通過する。
図3A、図5において、前記散布位置Q2では、保持ベルト2の内周面2b側に、粒子散布部材の一例としての直線ブラシ12が前後方向に移動可能に支持されている。前記直線ブラシ12は、保持ベルト2の幅に対応して前後に延びるブラシ支持部12aと、前記ブラシ支持部12aに支持され、保持ベルト2の第2開口3aから前記貫通孔3内部に進入可能な掻き出し部の一例としてのブラシ部12bとを有する。
【0038】
前記直線ブラシ12は、図示しない振動用の駆動源によって、前後方向に振動し、ブラシ部12bが、貫通孔3内を掻きながら、貫通孔3に保持されたインク受容性粒子RSS1を、第1開口3aから中間転写ベルトBに向けて押し出す。
なお、前記直線ブラシ12のブラシ部12bの材質としては、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステルなどが使用可能である。また、実施例1では、直線ブラシ12を、周波数が150Hzで、振幅が0.5mmとなるように振動させており、周波数は数十Hz〜数百Hzの範囲で、振幅は数mm以下の範囲で変更可能である。
【0039】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、画像形成時には、中間転写ベルトB上に、粘着剤NT1が塗布され、実施例1の粒子散布装置RSSによって、インク受容性粒子RSS1が散布される。中間転写ベルトB上のインク受容性粒子RSS1は、均し位置Q3において平坦化された後に、画像形成位置Q4y〜Q4kにおいて、インクヘッドIHy〜IHkからインクが吐出されて、画像が形成される。インク受容性粒子RSS1上に形成された画像は、インク受容性粒子RSS1と共に、記録シートSに転写されて定着され、画像の記録された記録シートSが排紙トレイTRhに排出される。
これにより、実施例1の複写機Uでは、インクの液体成分が、インク受容性粒子RSS1に吸収されて、記録シートSの湾曲や画像の滲みなどが低減される。
【0040】
この際に、実施例1の粒子散布装置RSSでは、粒子供給部7からインク受容性粒子RSS1が供給され、保持ベルト2が充填位置Q11を通過する際に、充填ブレード11によって、保持ベルト2の貫通孔3にインク受容性粒子RSS1が充填される。保持ベルト2のインク受容性粒子RSS1が充填された部分は、散布位置Q2に向けて回転して移動する。保持ベルト2のインク受容性粒子RSS1が充填された部分が、散布位置Q2を通過する際に、保持ベルト2の幅方向に振動する直線ブラシ12によって、貫通孔3内のインク受容性粒子RSS1が掻き落とされ、中間転写ベルトBに向けてインク受容性粒子RSS1が散布される。
【0041】
ここで、特許文献1のように、中間転写ベルトBの表面に粘着層が形成されて、中間転写ベルトB自体が粘着性を有する構成では、インク受容性粒子RSS1が中間転写ベルトB上に散布、塗布されて、中間転写ベルトBの粘着性が経時的に劣化し、インク受容性粒子RSS1の吸着能力が落ちて、インク受容性粒子RSS1が保持できなくなる恐れがある。
これに対して、実施例1では、粘着剤NT1が塗布位置Q1で塗布されて、中間転写ベルトB表面の粘着性が維持されており、中間転写ベルトB自体が粘着性を有する構成に比べて、経時的な変化が少なく、インク受容性粒子RSS1が吸着可能である。
【0042】
また、粘着剤NT1が、中間転写ベルトBに供給、塗布される場合において、特許文献2の構成を適用すると、インク受容性粒子RSS1を供給、塗布する複数の凹部を有する塗布ローラが、中間転写ベルトB表面の粘着剤NT1に接触する。したがって、中間転写ベルトB表面の粘着剤NT1が塗布ローラに付着する。
これにより、インク受容性粒子RSS1が塗布ローラから離れ難くなったり、塗布ローラの凹部に対するインク受容性粒子RSS1の収容量不足になって、インク受容性粒子RSS1の充填が不十分になったりする恐れがある。したがって、特許文献2の構成では、インク受容性粒子RSS1の散布、塗布能力が低下する恐れがある。
これに対して、実施例1の粒子散布装置RSSでは、保持ベルト2が中間転写ベルトBから離間した状態で、インク受容性粒子RSS1を散布位置Q2において中間転写ベルトBに散布している。したがって、実施例1では、保持ベルト2が中間転写ベルトBに接触する場合に比べて、保持ベルト2に粘着剤NT1が付着し難く、散布能力が低下し難い。
【0043】
ここで、仮に、特許文献2に記載の塗布ローラを中間転写ベルトBから離間させて、塗布ローラの凹部内のインク受容性粒子RSS1を、例えば、ブラシ等の粒子散布部材で掻き落として散布させる場合、塗布ローラと中間転写ベルトBとの間に、ブラシなどを配置する構成が考えられる。
しかしながら、この構成では、塗布ローラと中間転写ベルトBとの間に、粒子散布部材を配置する空間を確保する必要が生じる。よって、塗布ローラと中間転写ベルトBとの間隔を狭めるには限界があり、散布されるインク受容性粒子RSS1の落下距離を短くするには限界がある。粒子が掻き落とされる位置は中間転写ベルトBに近い方が、落下距離が短くなってバラツキが少なくて好ましいことから、この構成で、インク受容性粒子RSS1を散布すると、落下距離が長くなるため、インク受容性粒子RSS1が中間転写ベルトB上に不均一に散布される恐れがある。
これに対して、実施例1の粒子散布装置RSSでは、直線ブラシ12が保持ベルト2の第2開口3b側、すなわち、内周面2b側に配置されており、散布位置Q2における保持ベルト2と中間転写ベルトBとの間隔を限界まで狭くすることが可能になっている。したがって、実施例1の粒子散布装置RSSでは、直線ブラシ12が中間転写ベルトB側に配置される場合に比べて、インク受容性粒子RSS1が不均一に散布されることが低減される。
【0044】
また、実施例1の粒子散布装置RSSでは、保持ベルト2の貫通孔3にインク受容性粒子RSS1が充填されて、散布位置Q2において、直線ブラシ12が第2開口3b側から第1開口3a側にインク受容性粒子RSS1を押出して、インク受容性粒子RSS1を散布する。
したがって、凹部にインク受容性粒子RSS1を充填して保持させる場合に比べて、インク受容性粒子RSS1が、外部に出易く、凹部の隅などに残留することが低減されており、予め設定された量のインク受容性粒子RSS1を散布し易い。また、インク受容性粒子RSS1が貫通孔3を通って中間転写ベルトBに散布されており、凹部に保持されたインク受容性粒子RSS1を掻き落とす場合に比べて、飛散が低減される。
【実施例2】
【0045】
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0046】
図6は実施例2の充填ロールの説明図であり、実施例1の図3Bに対応する図である。
図6において、実施例2の粒子散布装置RSSは、実施例1の充填ブレード11に替えて、粒子充填部材の一例としての充填ロール11′を有する。
前記充填ロール11′は、充填位置Q11において、開口8aの下方に回転可能に支持されている。前記充填ロール11′は、保持ベルト2に予め設定された圧力で押し当てられており、保持ベルト2に従動して回転する。
【0047】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の粒子散布装置RSSでは、板状の充填ブレード11に替えて、回転する充填ロール11′によって、保持ベルト2にインク受容性粒子RSS1を充填する。したがって、仮に、インク受容性粒子RSS1の移動性、いわゆる、流動性が悪くても、充填ロール11′の回転に伴って、インク受容性粒子RSS1が充填位置Q11に搬送される。したがって、実施例2では、搬送力のない実施例1の充填ブレード11によって充填する場合に比べて、流動性が低い粒子でも、保持ベルト2に充填させ易い。
【実施例3】
【0048】
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0049】
図7は実施例3の回転ブラシの説明図であり、図7Aは回転ブラシの斜視図であって実施例1の図5に対応する図、図7Bは回転ブラシの駆動機構の説明図である。
図7において、実施例3の粒子散布装置RSSは、実施例1の直線ブラシ12に替えて、粒子散布部材の一例としての回転ブラシ12′を有する。
前記回転ブラシ12′は、保持ベルト2の幅に応じて、前後に延びるブラシ支持軸12a′と、前記ブラシ支持軸12a′に支持された掻き出し部の一例としてのブラシ部12b′とを有する。前記回転ブラシ12′のブラシ部12b′は、前記ブラシ支持軸12a′の周りに放射状に延びて形成されている。
【0050】
図7において、前記回転ブラシ12′は、散布位置Q2に配置された左右方向に移動可能に支持された支持部13に回転可能に支持されており、ブラシ部12b′の保持ベルト2側の部分が、保持ベルト2の第2開口3aから前記貫通孔3内部に進入可能に配置されている。
図7Bにおいて、前記支持部13は、回転ブラシ12′に対応して前後に延びる支持部本体13aを有する。前記支持部本体13aの前後には、右方に突出して、ブラシ支持軸12a′を回転可能に支持する軸支持部13b,13cが形成されている。前記支持部本体13aの後端には、駆動源支持部13dが形成されている。前記駆動源支持部13dには、前記回転ブラシ12′を回転させる回転用の駆動源14が支持されており、前記ブラシ支持軸12a′の後端部に駆動力を伝達する。
前記支持部13は、前後方向に振動させる振動用の駆動源16から駆動力が伝達されて前後方向に振動する。したがって、実施例3では、振動用の駆動源16から駆動力が伝達されると、回転ブラシ12′と回転用の駆動源14とが、支持部13と共に幅方向に振動する。
なお、実施例3の回転ブラシ12′は、図7Aにおいて、矢印Yc方向、すなわち、前側から見て反時計回りに回転するように設定されている。
【0051】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の粒子散布装置RSSでは、散布位置Q2において、回転ブラシ12′が幅方向に振動しながら、回転して、貫通孔3内のインク受容性粒子RSS1を押出して散布する。したがって、実施例3では、ブラシが幅方向にのみ振動して、インク受容性粒子RSS1を掻き落とす場合に比べて、ブラシ部12b′が回転する方向にも移動して、インク受容性粒子RSS1を掻き落としており、貫通孔3内にインク受容性粒子RSS1が残り難い。
特に、実施例3の場合には、回転ブラシ12′がYc方向に回転しており、回転ブラシ12′の保持ベルト2に接触する部分は、保持ベルト2の移動するYb方向に対して反対側に移動する。したがって、実施例3では、回転ブラシ12′と保持ベルト2とが接触する部分において、回転ブラシ12′の接触部分が保持ベルト2と同じ方向に移動するように、回転ブラシ12′が回転する場合に比べて、互いの相対的な速度差が大きく、接触時の掻き出し力が上昇して、貫通孔3内にインク受容性粒子RSS1が残り難い。
【実施例4】
【0052】
次に本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0053】
図8は実施例4の保持ベルトの説明図で実施例1の図4に対応する図であり、図8Aは実施例4の保持ベルト表面の要部説明図、図8Bは図8AにおけるVIIIB−VIIIB線断面図である。
図8において、実施例4の粒子散布装置RSSは、実施例1の保持ベルト2に替えて、実施例4の保持ベルト2′を有する。実施例4の保持ベルト2′には、図8Bに示すように、内周面2b′から外周面2a′に近付くに連れて、内部の断面が広くなる貫通孔3′が形成されている。すなわち、実施例4の貫通孔3′は、いわゆる、テーパ状に形成されており、第1開口3a′が大きく、第2開口3b′が小さく形成されている。
【0054】
(実施例4の作用)
前記構成を備えた実施例4の粒子散布装置RSSでは、保持ベルト2′の貫通孔3′にインク受容性粒子RSS1が保持されて、散布位置Q2において、インク受容性粒子RSS1が散布される。
ここで、実施例4の保持ベルト2′では、断面の大きな第1開口3a′が中間転写ベルトB側を向いた状態で、貫通孔3′に保持されたインク受容性粒子RSS1が押出されて散布される。したがって、実施例4では、中間転写ベルトB側の第1開口3a′が、第2開口3bに比べて大きくない場合に比べて、貫通孔3′が中間転写ベルトB側に開放された形状となっており、インク受容性粒子RSS1が落下し易く、貫通孔3内に残留し難くなっている。
【0055】
なお、実施例4では、充填位置Q11において、大きい第1開口3aからインク受容性粒子RSS1が充填されており、小さい第2開口3b′から充填する場合に比べて、インク受容性粒子RSS1が充填され易い。また、実施例4では、充填位置Q11において、充填ブレード11によって、インク受容性粒子RSS1が押される方向に沿って、貫通孔3の断面が狭くなっており、インク受容性粒子RSS1が押される方向に沿って、貫通孔3の断面が狭くならない場合に比べて、インク受容性粒子RSS1が、貫通孔3内で凝集され易く、貫通孔3に密着し易く、保持され易い。
【実施例5】
【0056】
次に本発明の実施例5の説明をするが、この実施例5の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0057】
図9は実施例5の保持ベルトの説明図で実施例1の図4に対応する図であり、図9Aは実施例5の保持ベルト表面の要部説明図、図9Bは図9AのIXB−IXB線断面図である。
図9において、実施例5の粒子散布装置RSSは、実施例1の保持ベルト2に替えて、実施例5の保持ベルト2″を有する。
実施例5の保持ベルト2″は、線材が格子状に編まれた網目状の一例としてのメッシュ状に形成されている。したがって、前記保持ベルト2″の網目により、保持ベルト2″を貫通する複数の貫通孔3″が構成されている。前記貫通孔3″は、外周面2a″に形成された第1開口3a″と、内周面2b″に形成された第2開口3b″とを有する。
なお、実施例5では、前記保持ベルト2″は、線径が32μmのステンレスの線材が格子状に編まれた構成をしており、貫通孔3″の開口3a,3bの幅は45μmのメッシュ状に形成されている。
【0058】
(実施例5の作用)
前記構成を備えた実施例5の粒子散布装置RSSでは、実施例1の保持ベルト2に替えて、メッシュ状の保持ベルト2″で、インク受容性粒子RSS1が保持されて、インク受容性粒子RSS1が散布される。したがって、実施例5でも、実施例1と同様に、粒子散布装置RSSが中間転写ベルトBから離間した構成で、不均一な散布が低減される。
【0059】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H018)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例として複写機Uを例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。
(H02)前記各実施例において、Y,M,C,K色のインクヘッドIHy〜IHkを有する4色の画像形成装置を例示したが、これに限定されず、5色以上や、3色以下の画像形成装置にも本発明の構成を適用することが可能であり、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置にも本発明の構成を適用することが可能である。
【0060】
(H03)前記各実施例において、粒子散布装置RSSは、画像形成装置の一例としての複写機Uに設けられた構成を例示したが、これに限定されない。例えば、小麦粉や、砂糖、食塩などの粒子を散布する食品加工装置に、本発明の粒子散布装置RSSの構成を適用することが可能であり、粒子を散布する構成であれば、食品加工装置以外にも、本発明の粒子散布装置RSSの構成を適用することが可能である。
(H04)前記各実施例において、複写機UのインクヘッドIHy〜IHkは、いわゆる、フルライン型のインクヘッドIHy〜IHkによる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、移動部材の一例としてのキャリッジに支持されて、キャリッジと共にインクヘッドが移動して画像を形成する構成も可能である。
【0061】
(H05)前記各実施例において、インク受容性粒子RSS1は、中間転写ベルトB上に連続的に散布される構成を例示したが、粒子散布装置RSSがインク受容性粒子RSS1を散布する構成は、これに限定されない。例えば、粒子散布装置RSSにおける保持ベルト2〜2″やブラシ12,12′を、予め設定された時期に、停止、駆動させて、散布時期が調節された状態で、インク受容粒子RSS1を散布することも可能である。
したがって、例えば、中間転写ベルトB上において、画像が形成され得る領域にはインク受容性粒子RSS1を散布し、画像が形成され得る領域と次の画像が形成され得る領域との間の領域、いわゆる、インターイメージ領域には、インク受容性粒子RSS1を散布しないように、インク受容性粒子RSS1を散布する構成が可能である。また、画像が形成され得る領域であっても、原稿Giから読み込まれた画像データに基づいて、インクヘッドIHy〜IHkによって画像が形成されない領域であると判別可能な場合には、当該領域には、インク受容性粒子RSS1を散布しないように、インク受容性粒子RSS1を散布する構成も可能である。
【0062】
(H06)前記各実施例において、保持ベルト2〜2″には、保持ベルト2〜2″全体に渡って、貫通孔3〜3″が網目状に形成された構成を例示したが、これに限定されない。例えば、保持ベルト2〜2″の一部にのみ貫通孔3〜3″が形成された構成で、インク受容性粒子RSS1を散布する構成も可能である。
(H07)前記各実施例において、粒子保持体の一例として、無端帯状の保持ベルト2〜2″による構成を例示したが、これに限定されない。例えば、円筒体の粒子保持体の構成が可能である。
(H08)前記各実施例において、インク受容性粒子RSS1が、貫通孔3〜3″の第1開口3a〜3a″側から充填される構成を例示したが、これに限定されず、第2開口3b〜3b″側からインク受容性粒子RSS1を充填する構成も可能である。
【0063】
(H09)前記実施例4において、テーパ状の貫通孔3′では、第1開口3a′からインク受容性粒子RSS1が充填される構成が望ましいが、貫通孔3′の第2開口3b′からインク受容性粒子RSS1を充填する構成も可能である。
(H010)前記各実施例において、貫通孔閉塞部材が設けられていることが望ましいが、貫通孔閉塞部材を省略することが可能である。
(H011)前記各実施例における駆動バックアップロール4のように、保持ベルト2を支持する支持部材が充填位置Q11に設けられ、貫通孔3〜3″を閉塞する貫通孔閉塞部材を兼用する構成が望ましいが、これに限定されず、支持部材と、貫通孔閉塞部材とを別々に設けることが可能である。例えば、実施例1において、保持ベルト2に対して、内周面2bの第2開口3b側から貫通孔3内に、インク受容性粒子RSS1を充填する構成にして、外周面2a側に配置された貫通孔閉塞部材によって、外周面2a側の第1開口3aを閉塞する構成が可能である。
【0064】
(H012)前記各実施例において、複写機Uには、粘着剤塗布装置NTや、均しロールNRが設けられている構成が望ましいが、これに限定されず、粘着剤塗布装置NTや、均しロールNRが省略された複写機Uにも本発明の構成を適用することが可能である。
(H013)前記実施例3において、回転ブラシ12′は、回転に加えて、保持ベルト2の幅方向に振動する構成が望ましいが、回転のみの構成も可能である。
(H014)前記実施例3において、回転ブラシ12′と保持ベルト2との接触する部分について、回転ブラシ12′は、保持ベルト2の移動方向とは反対側に移動するように回転する構成が望ましいが、これに限定されず、保持ベルト2と同一の方向に移動するように回転する構成も可能である。すなわち、実施例3において、回転ブラシ12′が、Yc方向とは逆側に回転する構成も可能である。
【0065】
(H015)前記各実施例において、保持ベルト2〜2″の回転速度は、中間転写ベルトBの回転速度と等しくなるように設定されていたが、これに限定されず、中間転写ベルトBの回転速度に関わらず、任意の回転速度に設定することが可能である。なお、保持ベルト2〜2″の回転速度を変更することで、中間転写ベルトB上に散布されるインク受容性粒子RSS1の散布量は変更される。
(H016)前記各実施例に記載した材料や設定値は、実施例としての材料や設定値であって、これらに限定されず、本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。
(H017)前記実施例の構成は任意に組み合わせることが可能である。例えば、実施例3と実施例5の構成を組み合わせて、実施例3の充填ロール11′によって、インク受容性粒子RSS1を、実施例5の保持ベルト2″に充填する構成等も可能である。
(H018)前記各実施例において、ブラシ12,12′のブラシ部12b,12b′が貫通孔3〜3″内に進入する構成が望ましいが、ブラシ部12b,12b′は貫通孔3〜3″に進入しなくても良い。例えば、内周面2b〜2b″を擦るように、ブラシ部12b、12b′が移動する構成も可能である。
【符号の説明】
【0066】
2,2′,2″…粒子保持体、
2a,2a′,2a″…対向面、
2b,2b′,2b″…対向面とは逆側の面、
3,3′,3″…貫通孔、
3a,3a′,3a″…第1開口、
3b,3b′,3b″…第2開口、
4…貫通孔閉塞部材、
11,11′…粒子充填部材、
12,12′…粒子散布部材、
B…像保持体、散布対象物、
IHy,IHm,IHc,IHk…液滴吐出部、
Q11…充填位置、
RSS…粒子散布装置、
RSS1…粒子、液体受容性粒子、
S…媒体、
T2…転写部材、
U…画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子が散布される散布対象物に対向し且つ隙間を空けて配置され、粒子を保持して、回転移動する粒子保持体と、
前記粒子保持体が前記散布対象物に対向する前記粒子保持体の対向面と、前記粒子保持体の対向面とは逆側の面と、の間を貫通する貫通孔と、
前記対向面に開口する前記貫通孔の第1開口と、
前記対向面とは逆側の面に開口する前記貫通孔の第2開口と、
前記貫通孔に粒子を充填する粒子充填部材と、
前記粒子充填部材に対して前記粒子保持体の回転移動方向下流側に予め設定され且つ粒子を前記散布対象物に散布する散布位置において、前記第2開口側に配置され、前記貫通孔に保持された粒子を前記第1開口から前記散布対象物に向けて押出して散布する粒子散布部材と、
を備えたことを特徴とする粒子散布装置。
【請求項2】
第2開口から第1開口に近付くに連れて、内部の断面が広くなる前記貫通孔、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粒子散布装置。
【請求項3】
前記粒子保持体に網目状に形成された前記貫通孔
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子散布装置。
【請求項4】
粒子が充填される充填位置において、前記粒子保持体の一方の面側から粒子を押して、前記貫通孔に粒子を充填する前記粒子充填部材と、
前記充填位置において、前記粒子保持体の他方の面に接触して、前記貫通孔を閉塞する貫通孔閉塞部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の粒子散布装置。
【請求項5】
前記粒子保持体に対して、粒子を押しながら回転して、前記貫通孔に粒子を充填する前記粒子充填部材、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の粒子散布装置。
【請求項6】
前記粒子保持体を回転可能に支持する前記貫通孔閉塞部材、
を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の粒子散布装置。
【請求項7】
液滴を受容する液体受容性粒子が散布される散布対象物としての像保持体と、
前記像保持体上に保持された前記液体受容性粒子に、液滴を吐出して画像を形成する液滴吐出部と、
前記像保持体上に形成された画像を媒体に転写する転写部材と、
前記液体受容性粒子を、前記像保持体に散布する請求項1乃至6のいずれかに記載の粒子散布装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−67956(P2011−67956A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218422(P2009−218422)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】