説明

粒子状物質のグラファイトコーティング

グラファイト含浸樹脂コーティングを有するコーティングされた粒子状物質が提供されている。油田粒子状物質は、砂利パックサンド、粒状ベントナイト、粉末ギルソナイト、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ロックウール、寸断された紙、金属球体、セラミックビーズ、堅果の殻、粉砕ゴム、プラスチックビーズ、白雲母、焼成石油コークス及びパーライトのいずれを含んでもよい。樹脂は、天然樹脂、合成樹脂、水溶性樹脂、および有機樹脂の中の1種以上をバインダーとして含んでよい。更に詳述すると、樹脂は、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂等の有機皮膜形成樹脂を含んでよい。これとは別に、樹脂は、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びキサンタンガム等の皮膜形成能のある水溶性ポリマーを含んでよい。更にこれとは別に、樹脂は、ラテックス樹脂やアクリル樹脂等の樹脂分散エマルジョンを含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラファイト含浸コーティングを有する粒子状物質に関し、さらに詳細には、掘削流体、仕上げ流体、または坑井刺激流体などに一般的に加えられる、グラファイト含浸コーティングを有する粒子状物質に関する。
【背景技術】
【0002】
石油採掘添加剤、仕上げ添加剤、刺激添加剤、逸泥防止用(“LC”または“LCM”)添加剤、浸潤・トルク添加剤、および抵抗低減添加剤の技術においては、種々の製品が使用されている。これらはいずれも、地面に掘った穴に約10ポンド/bblの濃度でポンプ移送する際の摩擦の影響を少なくすることによって機能的に改良することができる。
【0003】
このような物質の例を表1に示す。
【0004】
【表1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、減摩コーティングを有する油田粒子状物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的、ならびに、下記の詳細な説明を考察すれば明らかになる他の目的は、グラファイト含浸コーティングを有する油田粒子状物質を提供することによって達成される。油田粒子状物質は、表1に記載の粒子状物質(これらに限定されない)のいずれを含んでもよい。本発明の目的に適うよう、“粒子状物質(particulate)”とは、繊維と繊維状物質を含む。
【0007】
コーティングは、天然樹脂、合成樹脂、水溶性樹脂、および有機樹脂の1種以上で構成されるバインダーを含んでよい。樹脂はさらに、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、およびエポキシ樹脂等の有機皮膜形成樹脂を含んでよい。これとは別に、バインダーは、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびキサンタンガム等の、皮膜形成能のある水溶性ポリマーを含んでよい。さらにこれとは別に、バインダーは、ラテックス樹脂やアクリル樹脂等の樹脂分散エマルジョンを含んでよい。さらにこれとは別に、バインダーは、ワックスまたはパラフィンを含んでよい。
【0008】
本発明の他の態様においては、グラファイトは、天然フレークグラファイト、天然非晶質グラファイト、または合成グラファイトであってよく、グラファイト粒子の粒径は0.001ミクロン〜850ミクロンの範囲である。コーティングされた粒子状物質の粒径は、5ミクロンから30,000ミクロンの範囲であってよい。
【0009】
表1の物質のいずれかの上のグラファイト含浸コーティングは、グラファイト通常もたらす全ての利点(すなわち、低摩擦、非反応性、無公害性、および導電性)をもたらす。天然フレークグラファイト、天然非晶質グラファイト、および合成グラファイト等の、種々のタイプのグラファイトを使用することができる。しかしながら、耐久性のあるコーティングを作製するには、特殊な方法を使用しなければならない。コーティング作製上の問題のうちで最も重要なものは、グラファイトが電荷をもたず、板状結晶間の結び付きが弱いという事実が一部原因となって、グラファイトを表面に接着させることが困難である、という点である。これとは対照的に、ほとんどの無機物質は全般的に電気陰性であり、無機物質によっては、同じ粒子中に陰性電荷と陽性電荷の両方を有するものがある。したがって、コーティングは、グラファイトをカプセル封入し、そして支持体に接着するバインダー(好ましくは、樹脂またはポリマー)を含むことが不可欠である。したがって、 (たとえば、温度、触媒、あるいは、水および/または有機溶媒の蒸発除去によって)グラファイト/バインター混合物が硬化する際には、塗布に必要とされる程度に、そして塗布に必要とされる時間にわたって支持体に接着するように、グラファイトをバインダー中に分散させることがこの方法の重要な部分である。後で示すように、バインダーは、水溶性ポリマーであっても、水ベースのエマルジョンであっても、あるいは溶媒ベースの炭化水素であってもよい。バインダーは、有機皮膜形成樹脂(たとえば、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、およびエポキシ樹脂);皮膜形成能のある水溶性ポリマー〔たとえば、デンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、およびキサンタンガム(XCポリマー)〕;樹脂分散エマルジョン(たとえば、ラテックス樹脂やアクリル樹脂);またはワックスやパラフィン;を含んでよい。
【0010】
小さな粒子をコーティングするには、過不足のない量のバインダーとグラファイトを支持体に噴霧するか、あるいは過不足のない量のバインダーおよびグラファイトと支持体とを混合するのが効果的である。好ましい方法は、空気や熱によって、高品質の均一コーティングを作製するための時間を短縮することが可能である、適切なサイズの混合機もしくはブレンダーを使用することである。2層または3層の薄いコーティングを作製することにより、1層の厚めコーティングを使用して通常得られるより高品質のコーティングが得られる。
【0011】
粒子状物質の場合(具体的には、本明細書の実施例3を参照)、本発明の方法は、既知量の堅果の殻(または他の支持体)に既知量のスリップ・プレートNo.3〔イリノイ州シカゴのスーペリアー・グラファイト社(Superior Graphite Co.)から市販の、グラファイトと樹脂の予備混合配合物〕を加えること;乾燥したような触感が得られるまで混合すること;次いで配合されたグラファイトとバインダーをより一層の量加えること;を含む。所望の量のコーティングが付与されるまで、この手順を繰り返す。グラファイト/バインダーの量は、最初の状態を上回る重量増加から算出される。
【0012】
これとは逆の手順〔すなわち、既知量のバインダーに堅果の殻(または他の任意の支持体)を加えること〕も効果的である。樹脂が支持体に浸透して重合し始めたら、グラファイトを加える。しかしながらこの方法には、支持体に結び付かない過剰のグラファイトを除去しなければならないという点で、追加の工程が付け加えられる。
【0013】
表1に記載の支持体は、種々のバインダーを使用してコーティングすることができ、コーティングされた粒子の粒径は、約+20ミクロン〜−6.3ミリメートルの範囲であってよい。コーティングの厚さは、約3ミル(0.076ミリメートル)からコーティングされている粒子の直径の3倍まで変動可能である。支持体に対するグラファイトの重量%は、1重量%未満から97重量%まで変動可能であり、さらに好ましくは約5重量%から95重量%まで変動可能である。
【0014】
30重量%のグラファイトを含有するエポキシ樹脂でセラミックビーズをコーティングすることができる。これとは別に、セラミックビーズは、高アミロペクチンデンプンとNaCMCを脱イオン水中に分散させて得られる水溶性混合物でコーティングすることができる。この場合、分岐鎖グルコシドが、より一般的なアミラーゼデンプンよりもビーズに対する強い接着をもたらす。デンプンに次いで、少量のNa-CMCとグルタルアルデヒドを、貯蔵安定性を確保するために殺生物剤として加える。
【0015】
CMCはアニオン性である。水和コロイドは、コロイドの組成に関係なく、どんな電気陰性部位に対しても吸着する。これにより、乾燥バインダーに“強靭性”が加わり、その結果、遊離水を除去(たとえば、135°Fに加熱する)した後に、ビーズ表面にグラファイトが保持される。
【0016】
物質は、1重量%未満〜約50重量%のグラファイトを使用して処理することができる。処理は、部分コーティングであってもよいし、あるいは最大で約15ミル(38.1ミリメートル)までのグラファイト皮膜であってもよい。使用目的によっては、水中または油中の極めて長期間の供給のために、グラファイトを樹脂(もしくはポリマー)バインダー中に分散させることが有用であることが見出されており、あるいは地面に掘った穴に移送される流体中にグラファイト含有バインダーを溶解させ、その結果、高性能の粒状固体からグラファイトが除かれる、というような一時的な供給のために配合することもできる。その場合には、グラファイトは、97重量%という高い値であってもよい。しかしながら、グラファイト処理した粒子状物質を使用することは、ただ単にグラファイトを導入するための方法ではなく、グラファイトが結び付く基材の性能を改良するための方法でもある。
【0017】
ドリル・イン(drill-in)および仕上げ流体添加剤
現在の仕上げ流体技術では、坑井を仕上げるために高純度で高密度のブライン(たとえば、臭化亜鉛/臭化カルシウムやギ酸セシウム/ギ酸カリウム)が使用されるときに、ペイゾーン中への流体損失を少なくするために標準サイズの炭酸カルシウム粒子(sized calcium carbonate particles)を使用する場合が多い。
【0018】
炭酸カルシウム粒子を使用する場合の1つの問題は、それらが掘削した穴中にブラインと共にポンプ移送されるときに、互いに衝突する粒子のかたまりによってポンプ移送摩擦が増大することである。この問題は、石油会社によって、改良が必要であると認識されている点である。いずれにしても、特に長さが数千フィートの水平掘削坑井においては、グラファイトコーティングされた粒子を使用することで、ポンプ移送効率の大幅な向上が実現される。
【0019】
炭酸カルシウムをコーティングすると摩擦係数が約0.3から約0.08に減少し、炭酸カルシウム粒子のグラファイトコーティングは、コーティングされていない粒子に比べてレオロジーに重要な影響を及ぼさない。炭酸カルシウムは、15%HClマッドアシッド(15% HCl mud acid)中に100%溶解する。炭酸カルシウムが、生産ゾーンにおける孔隙のスロートをふさぐような大きさに作製され、10〜25ポンド/bbl以上の濃度で使用することができる。坑井がフロー状態になると、生産ストリングに入ってくる産出オイルによって、グラファイトコーティング物質が孔隙から強制的に出される。しかしながら、グラファイトの一時的な薄いコーティングを有する炭酸カルシウムは、いったん産出油層に入った後も、依然として酸に対して溶解し得る。グラファイトの表面が親油性であるので、グラファイトコーティングされた炭酸カルシウムは、コーティングされていない無機物質に比べて簡単に孔隙から出る、と思われる。
【0020】
ドリル・インおよび仕上げの際、XC-ポリマー(すなわちキサンタンガム)、デンプン、またはヒドロキシエチルセルロース〔いずれもWSP(水溶性ポリマー)として知られている〕等の親水性ポリマーを炭酸カルシウムと共に使用して、1ml/30分未満の極めて低いAPI流体損失をもたらすことができる。
【0021】
グラファイトコーティングの寿命は、バインダーの種類と組成を変えることによって制御することができる。約1時間以下の短時間の寿命を得るために、デンプンやヒドロキシエチルセルロースから製造される水溶性バインダーを使用することができる。数時間のコーティング寿命を得るには、アクリルエマルジョン等の浸透性皮膜を使用して製造されるバインダーを使用するのが最良である。高い耐水性を有する長寿命コーティングを得るには、グラファイトを充填したエポキシベースのコーティングを使用するのが好ましい。それぞれの場合において、コーティング中のグラファイト含有物に起因する形成上の損傷の可能性は、以下の2つの理由から極めて低いと思われる:1)グラファイトは極めて小さな粒径(10ミクロン未満)を有すること;および2)粒子1個当たりのグラファイトの重量%を、少量の汚染物質のレベルにまで下げることができること。
【実施例】
【0022】
実施例1
種々の粒子状物質をプラスチック製ボウル中でかき混ぜながら、粒子状物質にスリッププレートNo.3を噴霧して実験室規模のサンプルを作製した。ケーキ・ミキサーを使用してもよい。セラミックス球体、ガラス球体、プラスチック球体に、および種々の粒径の炭酸カルシウム粒子に、極めて少量のグラファイトから最大で約15ミル(38.1ミリメートル)厚さになる量の範囲でコーティングを施した。コーティングの厚さは、平均粒径d50に基づいて重量の増加量から算出した。たとえば、平均粒径が710ミクロンのセラミックス球体は、0.0158cm2の表面積を有する。粒子1個の重量は0.000497gである(セラミクス・プロパントが2.65の比重を有すると仮定して)。したがってコーティングの前と後でのサンプルの重量から、コーティングの厚さを大まかに見積もることができる。コーティングプロセス時に、持続性凝集体が形成されている形跡は認められなかった。スプレーコーティングを行い、溶媒が放出されるまでボウルをローリングすることで、凝集体の形成が防止されるようである。すなわち粒子間の結合強度が弱く、したがって凝集体が分かれて、引力もつ個々の粒子群になる。
【0023】
実施例2
250gの炭酸カルシウム(約50ミクロン)に、33重量%のグラファイトを含有する水ベースのアクリルバインダーをコーティングした。グラファイトコーティングされた炭酸カルシウムは、15HCl中にて10,000rpmで20分攪拌した後、約90%溶解した。ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、およびポリビニルアセテートをバインダーとして使用して、コーティングされた炭酸カルシウムとコーティングされたセラミックビーズの追加のサンプルを作製した。バインダーは、コーティングされた粒子に対して5〜10重量%であるの好ましく、グラファイトは、コーティングされた粒子に対して5〜15重量%であり、好ましくは7.3〜12.5重量%である。
【0024】
逸泥制御とトルク・抵抗低減のためのグラファイトコーティングされた支持体
油田においては、パイプの稼動時に、あるいは泥水を固めたり状態調節したりしているときに逸泥を起こしてはならないという確固とした考え方がある。逸泥を減少または防止するために、標準サイズの堅果の殻が長年にわたって使用されている。堅果の殻は、一般にはペカンの殻から製造されるが、より強度が高いことからクログルミの殻が好ましい。堅果の殻は、過去30年にわたって好ましいLC制御物質であった。なぜなら堅果の殻は低コストであり、さらに漏出ロス抑制物質(seepage loss material)および逸泥防止物質としても非常に効果的に機能するからである。
【0025】
油田において逸泥防止用に使用されている堅果の殻は、3つの粒径範囲にて入手することができる。
【0026】
【表2】

【0027】
表2の目的に適うよう、圧縮試験用モールドに16gの乾燥物質(この場合には堅果の殻)を充填し、物質を油圧プレスにて、ゲージの針がゼロを指すまで圧縮し、そしてモールドの高さを測定・記録することによってレジリエンスを決定する。物質を10,000psiに圧縮し、再び高さを測定する。圧力を解除し、モールドをプレスから取り除き、さらなる膨張が認められなくなるまで膨張させる。モールドの高さを測定する。最終的な高さから10,000psiでの高さを差し引いた値を10,000psiでの高さで除して得られる値に100を掛けることでレジリエンス(%)が得られる。
【0028】
実施例3
細かな堅果の殻のサンプルに、スリッププレート#3と2ES-NT(エポキシ樹脂バインダー)をコーティングした。どちらのバインダーも約30重量%のグラファイトを含有する。グラファイトコーティングされた堅果の殻は、フレッシュな水、ブライン、ディーゼル油、およびアルコール中にて容易に湿潤した。2ES-NTでコーティングされた堅果の殻は、水中で24時間攪拌した後でも元の状態のままであった(10×顕微鏡法での粒子表面の目視検査による)。グラファイトコーティングの濃度が5重量%〜23重量%の範囲の場合、グラファイトコーティングされた堅果の殻(細かい)を10,000psiにてレジリエンス試験すると、レジリエンスのわずかな向上(2〜4ポイント)が示される。弾性物質は、圧縮状態から元の状態に膨張する物質である。堅果の殻を高圧で圧縮すると、堅果の殻は、弾性固体よりも高弾性の固体(曲げたり平らにしたりすることによって)として挙動することが示される。このプロセスは、あらゆるスリーサイズの堅果の殻をコーティングする上での優れた手順であると思われる。
【0029】
グラファイトコーティングされたガラスビーズ、プラスチックビーズ、およびセラミックビーズ
理論によれば、LCMをブレンドすることが、下記の2つのメカニズムを理由として、ロストリターン問題(lost return problems)を改良する上での最良の方法であることが示される:(1)ロスゾーン(a loss zone)内部での強固な格子状構造物の形成;および(2)物質自体の機械的・物理的特性。
【0030】
水ベースの掘削流体のドリルストリングトルクは、一般に0.22〜0.27の摩擦係数を有する。これらの値は、水平穴においてより重大なものになる。さらに、固体を含まないドリル・イン流体(drill-in fluid)と仕上げ流体は、一般には高い摩擦係数を示す。グラファイトコーティングされた粒子状物質(特に、コーティングされたビーズ)は、ドリルパイプが押し込まれて穴の底部でドリルのビットが回転している間、ケーシングの摩耗、そしておそらくはドリルストリングのねじれを減少させると考えられる。
【0031】
実施例4
テネシー州コロンビアのスワルコ・アメリカ社(Swarco America Inc.)からガラスビーズを3通りのサイズ(粗い、中程度、および微細)にて入手した。7つのサンプルにグラファイトを、下記に示す重量%でコーティングした。他のメーカーのガラスビーズ、プラスチックビーズ、およびセラミックビーズも同様に選択し、グラファイトで同様にコーティングした。
【0032】
【表3】

【0033】
中程度サイズのスワルコガラスビーズ200gサンプルの5つにスリッププレートNo.3を、乾量基準百分率にて2.5重量%、4.5重量%、および22.5重量%の濃度でコーティングした。ガラス、プラスチックス、またはセラミックスのグラファイトコーティングされたビーズの利点は、最適の強度とトルクおよび抵抗低減に対してビーズが狭い粒径範囲で得られる、という点である。
【0034】
幾つかのビーズが凝集して、グラファイトでコーティングされた単一の大きな粒子になることは問題ではない。なぜなら、グラファイトとグラファイト表面との結合力は弱いからである。グラファイトは、{0001}面に沿って極めて軟らかい。したがって、バインダー対グラファイトの比及びコーティングの方法が最適化される限り、ビーズの凝集は重大な問題ではない。実際、最適の充填密度が得られるよう計算される限り、種々の粒径の球体ビーズの混合物を逸泥防止用物質として使用することができる。
【0035】
スーペリアー・グラファイト社から市販の、グレード8624のフレークグラファイト(90重量%が200メッシュを通過)を使用して、70メッシュのセラミックビーズをコーティングした。デンプン分散液を収容しているガラス瓶中にフレークグラファイトを徐々に注ぎ込んだ。スパチュラでミキシングし、次いでビーズがグラファイトで十分にコーティングされ、そしてほとんど脱凝集されるまで、1/2馬力の3ブレードプロペラミキサーによってかなり高速のミキシングを行った。200gのバッチを包肉用紙上に置き、135°Fで乾燥した。
【0036】
セラミックビーズは、鋳物業界においては、合成砂として、十分な坑井刺激をもたらすためのプロパントとして、および掘削流体中のトルク・抵抗低減剤として使用されている。掘削流体において使用するためのセラミックビーズに対する大きな問題点は、それらが有する摩損性にある。上記のグラファイトコーティングは、こうした問題点を解消する。
【0037】
漏出ロスを減少させるためのグラファイトコーティングされたパーライト
グラファイトコーティングされた30ポンド/bblのパーライトと、等重量の標準サイズの弾性黒鉛粒子(グレード9019、スーペリアー・グラファイト社から市販の認可LCM製品)を使用して、12ポンド/ガロンの海水PHMAマッド中にて行った漏出ロス試験の結果は良好であった。グラファイトコーティングされたパーライトのサンプルと、標準サイズの弾性黒鉛粒子で製造されたLCMとの間には、シーリング性能において検知しうる差は認められなかった。
【0038】
グラファイトコーティングを有するパーライトに付与される他の特性は、オイルを泥水から取り除くという点である。粒子をコーティングしているオイル被覆グラファイトは、表面に浮遊して簡単に取り出せるように設計することができる。
【0039】
減摩コーティングを有する油田粒子状物質について開示してきた。特定の実施態様に関して本発明を説明してきたが、本発明がこれらの実施態様に限定されることはない。たとえば、表1に記載の物質の中の別の油田粒子状物質に対しても、本発明にしたがって有利にコーティングを付与することができる。さらに、本発明によりコーティングされた粒子状物質は、油田において高い有用性を有するけれども、他の使用分野(たとえば冶金)を想定される。したがって本発明は、特許請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイト含浸コーティングを有する粒子状物質。
【請求項2】
粒子状物質が、砂利パックサンド、粒状ベントナイト、粉末ギルソナイト、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ロックウール、寸断された紙、金属球体、セラミックビーズ、堅果の殻、粉砕ゴム、プラスチックビーズ、白雲母、焼成石油コークス、およびパーライトからなる群から選択される、請求項1に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項3】
グラファイト含浸コーティングが、天然樹脂、合成樹脂、水溶性樹脂、および有機樹脂の中の1種以上で構成されるバインダーを含む、請求項1又は2に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項4】
グラファイトが、天然フレークグラファイト、合成グラファイト及び非晶質グラファイトから選択される、請求項1、2又は3に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項5】
グラファイトの粒径が0.001ミクロン〜850ミクロンの範囲である、請求項4に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項6】
粒子状物質の粒径が5ミクロン〜30,000ミクロンである、請求項2に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項7】
グラファイト含浸コーティングが有機皮膜形成樹脂を含む、請求項1又は2に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項8】
有機皮膜形成樹脂が、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂の中の1種以上で構成される、請求項7に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項9】
グラファイト含浸コーティングが皮膜形成能のある水溶性ポリマーを含む、請求項1又は2に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項10】
皮膜形成能のある水溶性ポリマーが、デンプンポリマー、CMCポリマー、HECポリマー及びXCポリマーの中の1種以上で構成される、請求項9に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項11】
グラファイト含浸コーティングが樹脂分散エマルジョンを含む、請求項1又は2に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項12】
樹脂分散エマルジョンが、ラテックス樹脂及びアクリル樹脂の中の1種以上で構成される、請求項11に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項13】
グラファイト含浸コーティングがワックスを含む、請求項1又は2に記載のコーティングされた粒子状物質。
【請求項14】
グラファイト含浸コーティングがパラフィンを含む、請求項1又は2に記載のコーティングされた粒子状物質。

【公表番号】特表2008−538122(P2008−538122A)
【公表日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557165(P2007−557165)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/006460
【国際公開番号】WO2006/093805
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(506092167)スーペリアー・グラファイト・カンパニー (2)
【Fターム(参考)】