説明

粒子線治療システムの照射装置

【課題】
本発明の目的は、陽子ビーム等の粒子ビームを走査する走査電磁石の電源容量を大きくすることなく、患部に線量を均一に照射できる粒子線治療システムの照射装置を提供することにある。
【解決手段】
陽子ビームの1スピル(1回のビーム取出し時間)で標的領域(患部)に対して陽子ビームを一往復走査する際に、陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で順番に各スピルの照射開始位置をずらして照射する。また、陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で定めた複数の位置からランダムに順番を選び、選ばれた順番に各スピルの照射開始位置をずらして照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽子,炭素,ヘリウム等の粒子ビームを用いた粒子線治療システムの照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、癌治療の手段として、陽子線治療システムが用いられている。陽子線治療では、患者の患部(標的領域)の線量分布を均一にすることが求められている。しかし、陽子線治療システムで生成する陽子ビーム強度は、時間的に一定ではない。散乱体を用いて陽子ビームを広げ、患部に照射する散乱体照射法では、患部全体を一度に照射するため、陽子ビーム強度の変化で、患部の線量分布が不均一になることは少ない。但し、陽子ビームのエネルギーや患部形状に応じた治具を準備する必要がある。
【0003】
一方、患部全体を一度に照射せずに、陽子ビームを走査して患部に照射する走査照射法がある(非特許文献1)。この照射法では、患部形状に応じた治具の準備は軽減されるが、陽子ビームの時間的な非一様性の影響を受けやすく、患部の線量分布を均一にできないという課題があった。
【0004】
これを解決する方法として、陽子ビームの1スピル(1回のビーム取出し時間)で、走査経路を複数回走査(マルチペイント)する方法が知られている。この場合、1走査経路を走査する期間は、1スピルの一部分(走査回数分の1)となる。即ち、短い時間間隔で1走査経路を走査する。このような短い時間間隔では、陽子ビーム強度は一定とみなせるので、1走査経路上の線量分布は均一とみなせる。この走査を繰り返し行うので、その合計の線量分布も均一とみなせる。
【0005】
図2に、この従来の照射法の概要を示す。図2(a)のように、患部上の走査経路(a〜b)を走査するとする。図2(b)のように、1スピルでこの走査経路をm回走査する場合、1スピルの(1/m)の時間で、この走査経路を走査することになる。この間ビーム電流は一定とみなせ、この走査経路の線量分布は一様とみなせる。
【0006】
【非特許文献1】W. T. Chu, B. A. Ludewigt and T. R. Renner, Rev. Sci. Instrum. 64, 2055-2122, 1993.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2の従来の照射法では、短時間で陽子ビームを1走査経路に走査し、これを繰り返す必要がある。このため、陽子ビームを走査する走査電磁石の電源容量が大きくなるという課題がある。
【0008】
本発明の目的は、陽子ビーム等の粒子ビームを走査する走査電磁石の電源容量を大きくすることなく、患部に線量を均一に照射できる粒子線治療システムの照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、陽子ビームの1スピル(1回のビーム取出し時間)で標的領域(患部)に対して陽子ビームを一往復走査する際に、陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で順番に各スピルの照射開始位置をずらして照射する。
【0010】
また、本発明は、1スピルで標的領域に対して陽子ビームを一往復走査する際に、陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で定めた複数の位置からランダムに順番を選び、選ばれた順番に各スピルの照射開始位置をずらして照射する。
【0011】
また、本発明は、1スピルで標的領域に対して陽子ビームをワンパスで走査する際に、陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で定めた複数の位置からワンパス走査終了位置の次の位置を選び、選ばれた位置を各スピルの照射開始位置として照射する。
【0012】
また、本発明は、1スピルで標的領域に対して陽子ビームをワンパスで走査する際に、陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で定めた複数の位置からランダムに位置を選び、選ばれた位置を各スピルの照射開始位置として照射する。
【0013】
また、本発明は、1スピルで走査経路の途中まで陽子ビームを走査し、次のスピルで走査経路の途中から陽子ビームの走査を継続する際に、照射野内の走査経路を分割した走査線の本数と、1スピルで走査する走査線の本数との最小公倍数を、分割した走査線の本数で割った回数分、各走査線に対する陽子ビームの走査を繰り返して照射する。
【0014】
以下、本発明のビーム照射方法と線量分布を均一にする効果を、図1を用いて説明する。ビーム電流波形は、簡略化して直線で示している。図1(b)で、陽子ビームの照射時刻t1,t2,t3,…ti,…tmが、ビーム電流I1,I2,I3,…Ii,…Imに対応する。ビーム照射は、1スピルで走査経路を一往復させる。この場合、走査経路上の照射位置y1,y2,y3,…yk、…y2が、ビーム電流I1,I2,I3,…Im に対応する。走査経路(y1〜yk)の走査長をL、走査回数をm、照射位置yiとyi+1(i=1〜(k−1))との距離をΔとすると、2L=mΔの関係が成り立つ。
【0015】
走査経路上で、走査毎の照射開始位置をΔ=2L/mずつずらした時の照射位置とビーム電流との関係を表1に示す。1回目の走査は、照射位置y1 から照射を開始する。この時、照射位置y1,y2,y3,…に、ビーム電流I1,I2,I3,…が照射され、照射位置ykで折り返されて、yk-1,yk-2,…を通って、照射位置y2にビーム電流Im が照射される。2回目の走査では、照射開始位置がy2になる。この時、照射位置y2にビーム電流I1が照射され、照射位置ykで折り返されて、照射位置y1にビーム電流Imが照射される。このように、照射開始位置をy1,y2,y3,y4,…とずらしていき、yk で折り返して、y2,y1,y2,y3,…に戻るものとする。
【0016】
表1のように、各照射位置のビーム電流の合計はΣIi(i=1〜m)となる。照射は走査経路を往復するので、i=1,k以外の照射位置でのビーム電流の合計は2ΣIi となる。即ち、図1(a)の走査経路上のビーム電流の値は同じになる。各照射位置での線量はビーム電流に比例するので、任意のビーム波形に対して、患部の線量分布は均一になる。このように、ビーム照射の開始位置を一定間隔ずらして照射することにより、患部の線量分布を均一にできる。
【0017】
【表1】

【0018】
1スピルで走査経路を一往復する場合、照射開始位置をずらして照射する方法としては、上記のように一定間隔ずらす他に、1つの走査経路上で照射開始位置をランダムに決める方法がある。この方法でも、照射開始位置をランダムに決めた後では、走査経路上に照射開始位置が一様に並ぶので、患部の線量分布が均一になる。
【0019】
以上の照射は、1スピルで走査経路を一往復する場合であるが、1スピルで走査経路を一方向のみ(ワンパス)で走査する場合もある。この場合、照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で定めた複数の照射位置の中で、ワンパス終了位置の次の位置を選び、そこを各スピルの照射開始位置として照射する。また、照射開始位置をランダムに選択して照射する場合もある。
【0020】
また、上記の照射は、1スピルで走査経路を一往復またはワンパスで走査する場合であるが、1スピルで走査経路の途中までを走査し、次のスピルで、その途中から引き続き照射を続ける場合もある。この場合、照射野内の走査経路を分割した走査線の本数と、1スピルで走査する走査線の本数の最小公倍数を用いて、その最小公倍数を、照射野内の走査経路を分割した走査線の本数で割った回数だけ、各走査線を走査する(リペイントする)。即ち、走査経路を分割した走査線の本数をk、1スピルで走査できる走査線の本数をhとし、その最小公倍数をnとすると、各走査線のリペイント回数はn/k、スピル数はn/hとなる。走査線の長さは、L/kである。この時、kとhの最小公倍数を大きくすれば、線量分布の均一性はより良くなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、陽子ビーム等の粒子ビームを走査する走査電磁石の電源容量を大きくすることなく、患部に線量を均一に照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。図1は、本発明による陽子線治療システムの陽子ビーム照射方法の一実施例を示す概略説明図で、(a)は陽子ビームの走査経路を示す図、(b)は陽子ビーム電流の時間変化を示す図である。(a)で、1は照射野、2は走査経路、3は照射開始位置である。(b)で、陽子ビーム電流波形は、簡略化して直線で示している。
【0023】
照射野1において、走査経路2に沿って陽子ビームを走査する。走査経路2を一往復する陽子ビームの走査をm回繰り返す。図1(b)で、陽子ビームの照射時刻t1,t2,t3,…tmが、ビーム電流I1,I2,I3,…Imに対応する。走査経路2上に、走査を繰り返す際の照射開始位置3を、等間隔Δで、y1,y2,y3,…ykと配置する。走査経路(y1〜yk)の走査長をL、走査回数をm、照射位置yiとyi+1(i=1〜(k−1))との距離をΔとすると、2L=mΔの関係が成り立つ。走査経路上で、走査毎の照射開始位置をΔ=2L/mずつずらす。
【0024】
照射は1スピルで走査経路2を一往復するので、1回目の走査では、照射位置y1,y2,y3,…yk,…y2に、ビーム電流I1,I2,I3,…Im が照射される。照射開始位置をy1,y2,y3,y4,…とずらしていき、yk で折り返して、y2,y1,y2,y3,…に戻るものとする。これをm回繰り返すことにより、表1で示したように、任意のビーム波形に対して、患部の線量分布を均一にすることができる。
【0025】
図3に、本発明による陽子線治療システムの陽子ビーム照射装置における陽子ビームの走査電磁石システムの概略構成図を示す。図3で、4は陽子ビームを走査する走査電磁石、5は走査電磁石電源、6は走査電磁石電源5の制御システム、7は線量分布モニタである。制御システム6は、陽子ビームの走査経路が図1の走査経路2になる走査電磁石4の電流波形を演算して求め、求めた電流波形を走査電磁石4に供給するための制御信号を走査電磁石電源5に送信する。走査電磁石電源5は、制御システム6から受信した制御信号に従い、走査電磁石4の電流波形を生成して、走査電磁石4に供給する。走査電磁石4は、走査電磁石電源5から供給された電流波形に従い、磁場を発生して、図1の走査経路2上に陽子ビームを移動させる。陽子ビームの照射中は、照射野に設置した線量分布モニタ7で、線量分布の均一性を確認する。
【0026】
本実施例では、1スピルで走査経路上を一往復するだけなので、従来法(1スピルで走査経路を複数回走査)に比べて、1スピルの時間内で陽子ビームを走査する(移動させる)距離が短くなる。このため、陽子ビームを走査するための磁場の時間的変化割合が小さくなり、走査電磁石電源の電源容量を小さくできる。しかも、患部の線量分布は均一になる。
【0027】
このように、本実施例によれば、陽子ビームを走査する走査電磁石(偏向する偏向電磁石)の電源容量を大きくすることなく、患者の患部に線量を均一に照射することができる。
【0028】
次に、本発明の他の実施例を説明する。本実施例では、図1(a)における照射開始位置を、y1,y2,y3,…ykと規則的にずらすのではなく、複数の照射位置y1〜ykの中から照射開始位置をランダムに選び、そこを照射開始位置として走査経路を一往復する照射を行い、これを繰り返す。このように照射開始位置をランダムに設定して陽子ビームを照射しても、m回後には、各照射位置にビーム電流Ii が一様に照射されることになる。従って、任意のビーム波形に対して、患部の線量分布を均一にすることができる。更に、本実施例によれば、陽子ビームを走査する走査電磁石電源の制御がより簡単になる。
【0029】
次に、図4を用いて、本発明の他の実施例を説明する。図4は、本発明による陽子ビーム照射方法の他の実施例を示す概略説明図で、(a)は陽子ビームの走査経路を示す図、(b)は陽子ビーム電流の時間変化を示す図である。
【0030】
図4(a)のように、陽子ビームの走査を繰り返す際の照射開始位置3を、走査経路2上に、等間隔で、y1,y2,y3,…yk+1と配置する。照射野1において、走査経路2に沿って陽子ビームを走査する。走査経路を1スピルでワンパス走査し、ワンパス照射終了の次の照射位置を、次の照射開始位置とする。これをk回繰り返す。y1からyk+1までの距離をLとすると、間隔はΔ=L/kとなる。
【0031】
図4(b)で、陽子ビーム電流の照射時刻t1,t2,t3,…tkが、ビーム電流I1,I2,I3,…Ik に対応する。照射は1スピルで走査経路をワンパス走査するので、1回目の走査では、照射位置y1,y2,y3,…ykが、ビーム電流I1,I2,I3,…Ikに対応する。1回目のワンパス照射の終了位置がyk+1 であるので、2回目の照射開始位置はyk となり、yk-1,yk-2と走査経路を1回目とは反対に走査し、y1で折り返してy2で終了する。3回目は、照射開始位置をy3にずらして走査する。
【0032】
これをk回繰り返すことにより、表1と同様に、任意のビーム波形に対して、患部の線量分布を均一にすることができる。本実施例によれば、走査経路を1スピルでワンパス走査することにより、1スピルの時間内で陽子ビームを移動させる距離が更に短くなるので、陽子ビームを走査する走査電磁石電源の電源容量を更に小さくすることができる。
【0033】
次に、本発明の他の実施例を説明する。本実施例では、図4(a)において、陽子ビームの走査を繰り返す際の照射開始位置3を、走査経路2上に、等間隔で、y1,y2,y3,…yk,yk+1と配置する。照射野1において、走査経路2に沿って陽子ビームを走査する。走査経路を1スピルでワンパス走査し、これをk回繰り返す。y1からyk+1までの距離をLとすると、間隔はΔ=L/kとなる。
【0034】
図4(b)で、陽子ビーム電流の照射時刻t1,t2,t3,…tkが、ビーム電流I1,I2,I3,…Ikに対応する。照射は1スピルで走査経路をワンパス走査し、照射開始位置をy1,y2,y3,…と規則的にずらしていくのではなく、照射位置y1〜ykの中から照射開始位置をランダムに選び、そこを照射開始位置として走査経路をワンパス走査して、これを繰り返す。
【0035】
このように照射開始位置をランダムに設定して照射しても、k回後には、各照射位置にビーム電流Iiが一様に照射されることになる。従って、任意のビーム波形に対して、患部の線量分布を均一にすることができる。本実施例によれば、走査経路を1スピルでワンパス走査することにより、1スピルの時間内で陽子ビームを移動させる距離が更に短くなるので、陽子ビームを走査する走査電磁石電源の電源容量を更に小さくすることができる。
【0036】
次に、図5を用いて、本発明の他の実施例を説明する。図5は、本発明による陽子ビーム照射方法の他の実施例を示す概略説明図で、(a)は陽子ビームの走査経路を示す図、(b)は陽子ビーム電流の時間変化を示す図である。
【0037】
図5(a)で、1は照射野、2は走査経路、3は照射開始位置、8は走査線である。上記した実施例の陽子ビーム照射は、1スピルで走査経路を往復またはワンパスで走査したが、本実施例では、1スピルで走査経路の途中まで陽子ビームを走査し、次のスピルで引き続き走査(照射)を続ける。この走査方法(照射方法)は、走査経路を複数回往復走査する際に、1スピルで走査経路の途中まで走査する場合も含まれる。
【0038】
図5(a)のように、走査線8を、L1,L2,L3,…Lkとラベリングする。走査経路の走査線8の本数をk、1スピルで走査できる走査線の本数をh、kとhの最小公倍数をnとすると、各走査線のリペイント回数はn/k、スピル数(走査回数)はn/hとなる。y1からyk+1までの距離をLとすると、各走査線の長さはL/kである。
【0039】
本実施例は、1スピルで走査経路の途中まで陽子ビームを走査し、次のスピルで引き続き走査を続ける。即ち、1つのスピルの終了位置から次のスピルの照射開始位置をずらさない。このため、各スピルの照射開始位置が走査経路上の同じ位置になることが、陽子ビームの照射中に何回か起こり得る。こうなると、線量分布の均一性が損なわれる可能性がある。これを避けるためには、kとhの最小公倍数が大きくなるようなkとhの組合せを採用すれば良い。こうすることにより、線量分布の均一性は改善できる。また、スピル数n/hが、上記した実施例の走査回数mと同じ値となるように、kとhを選べば、線量分布の均一性は、上記した実施例と同程度になる。
【0040】
本実施例によれば、各スピルの照射開始位置をずらさずに、1スピルで走査経路の途中まで陽子ビームを走査し、次のスピルで引き続き走査(照射)を続けるため、陽子線ビームの走査の制御がより簡単になる。
【0041】
尚、以上の実施例では、患部の1つの層に対する陽子線ビームの照射方法を説明したが、患部を深さ方向に多層に分割した場合も、1つの層の場合と同様に、上記した照射方法を繰り返して行うことにより、線量分布の均一化を達成できる。
【0042】
また、以上の実施例では、陽子ビームを用いた陽子線治療システムの照射方法を説明したが、炭素,ヘリウム等の粒子ビームを用いた粒子線治療システムの照射方法に対しても、上記した照射方法は適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、陽子,炭素,ヘリウム等の粒子ビームを用いた粒子線治療システムの照射装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による陽子線治療システムの陽子ビーム照射方法の一実施例を示す概略説明図で、(a)は陽子ビームの走査経路を示す図、(b)は陽子ビーム電流の時間変化を示す図。
【図2】従来の照射方法の説明図で、(a)は走査経路を示す図、(b)はビーム電流の時間変化を示す図。
【図3】本発明による陽子ビームの走査電磁石システムの概略構成図。
【図4】本発明による陽子ビーム照射方法の他の実施例を示す概略説明図で、(a)は陽子ビームの走査経路を示す図、(b)は陽子ビーム電流の時間変化を示す図。
【図5】本発明による陽子ビーム照射方法の他の実施例を示す概略説明図で、(a)は陽子ビームの走査経路を示す図、(b)は陽子ビーム電流の時間変化を示す図。
【符号の説明】
【0045】
1 照射野
2 走査経路
3 照射開始位置
4 走査電磁石
5 走査電磁石電源
6 制御システム
7 線量分布モニタ
8 走査線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽子ビームを用いた粒子線治療システムで標的領域を走査する照射装置において、陽子ビームの1スピルで前記標的領域に対して前記陽子ビームを一往復走査する際に、前記陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で順番に各スピルの照射開始位置をずらして照射することを特徴とする粒子線治療システムの照射装置。
【請求項2】
陽子ビームを用いた粒子線治療システムで標的領域を走査する照射装置において、陽子ビームの1スピルで前記標的領域に対して前記陽子ビームを一往復走査する際に、前記陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で定めた複数の位置からランダムに順番を選び、選ばれた順番に各スピルの照射開始位置をずらして照射することを特徴とする粒子線治療システムの照射装置。
【請求項3】
陽子ビームを用いた粒子線治療システムで標的領域を走査する照射装置において、陽子ビームの1スピルで前記標的領域に対して前記陽子ビームをワンパスで走査する際に、前記陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で定めた複数の位置から前記ワンパス走査終了位置の次の位置を選び、選ばれた位置を各スピルの照射開始位置として照射することを特徴とする粒子線治療システムの照射装置。
【請求項4】
陽子ビームを用いた粒子線治療システムで標的領域を走査する照射装置において、陽子ビームの1スピルで前記標的領域に対して前記陽子ビームをワンパスで走査する際に、前記陽子ビームを照射するスピルの回数に応じて、一定間隔で定めた複数の位置からランダムに位置を選び、選ばれた位置を各スピルの照射開始位置として照射することを特徴とする粒子線治療システムの照射装置。
【請求項5】
陽子ビームを用いた粒子線治療システムで標的領域を走査する照射装置において、陽子ビームの1スピルで走査経路の途中まで前記陽子ビームを走査し、次のスピルで前記走査経路の途中から前記陽子ビームの走査を継続する際に、照射野内の走査経路を分割した走査線の本数と、1スピルで走査する走査線の本数との最小公倍数を、前記分割した走査線の本数で割った回数分、各走査線に対する前記陽子ビームの走査を繰り返して照射することを特徴とする粒子線治療システムの照射装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかにおいて、前記陽子ビームに換えて他の粒子ビームを用いることを特徴とする粒子線治療システムの照射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−278979(P2008−278979A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124061(P2007−124061)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】