粒状固形食品整列供給装置
【課題】多数の粒状の固形食品を互いに分離して整列した状態で検査領域へ順次供給することができる粒状固形食品整列供給装置を提供する。
【解決手段】粒状固形食品整列供給装置は、水平面に対して傾斜して配置された傾斜板を有し、傾斜板の表面に基端部から先端部にまで延び且つ粒状の固形食品を滑落させるための少なくとも1条のU字状溝21が形成され、U字状溝21の底部にU字状溝の長さ方向に沿って粒状固形食品Mの大きさに対応する幅を有する複数の螺旋溝22が形成されている。
【解決手段】粒状固形食品整列供給装置は、水平面に対して傾斜して配置された傾斜板を有し、傾斜板の表面に基端部から先端部にまで延び且つ粒状の固形食品を滑落させるための少なくとも1条のU字状溝21が形成され、U字状溝21の底部にU字状溝の長さ方向に沿って粒状固形食品Mの大きさに対応する幅を有する複数の螺旋溝22が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粒状固形食品整列供給装置に係り、特に、マカロニ等の多数の粒状の固形食品を検査領域へ整列供給するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マカロニ等の食品は、その形状および大きさに応じて10〜20種以上にも及ぶ多くの品種を有しており、それぞれの品種毎に包装されて取り引きされている。
このような多品種の食品は、製造ロットによって食品の種類を変えることで、共通の製造ラインを用いて製造され包装されることがある。このため、食品の品種を変更する際に、前回のロットで製造された異品種の食品が新たなロットの食品の中に混入するおそれがあった。
【0003】
そこで、製造された多数の食品の中に異なる品種の食品が混入していないかどうかを検査することが必要となる。従来は、この種の検査は作業者の目視によって行われていたが、多大な時間と手間を伴うため、人手によらずに検査を行う装置が提案されている。
例えば、特許文献1に開示された検査システムでは、被検査体をローラコンベヤ等の搬送手段で搬送すると共に搬送路の途中に検査領域を設定し、この検査領域を通る被検査体をカメラにより撮像することで、被検査体の形状不良等を識別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−340770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、被検査体を撮像して被検査体の形状、大きさ等を検出すれば、多数の被検査体の中に混入した異品種の被検査体を判別することが可能となる。
しかしながら、搬送路上に供給された複数の被検査体が互いに重なる、あるいは密着し、そのままの状態で検査領域を通過すると、カメラで撮像しても個々の被検査体の形状、大きさ等を検出することが困難となり、異品種の被検査体の判別ができなくなってしまう。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、多数の粒状の固形食品を互いに分離して整列した状態で検査領域へ順次供給することができる粒状固形食品整列供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る粒状固形食品整列供給装置は、水平面に対して傾斜して配置された傾斜板を有し、傾斜板の表面に基端部から先端部にまで延び且つ粒状の固形食品を滑落させるための少なくとも1条のU字状溝が形成され、U字状溝の底部にU字状溝の長さ方向に沿って粒状固形食品の大きさに対応する幅を有する複数の螺旋溝が形成されたものである。
【0008】
傾斜板は、基端部側に位置し且つ底部に螺旋溝が形成されたU字状溝を有する上部板と、先端部側に位置し且つ底部に螺旋溝が形成されていないU字状溝を有する下部板とを含み、上部板のU字状溝と下部板のU字状溝とが互いに接続されるように構成してもよい。
【0009】
ここで、「粒状の固形食品」は、例えば、短い棒形状のマカロニ、シェル形状のマカロニ等、概ね粒状とみなすことのできる各種の固形食品を含むものとする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、多数の粒状の固形食品を互いに分離して整列した状態で検査領域へ順次供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態に係る粒状固形食品整列供給装置を備えた食品検査システムの構成を示す側面図である。
【図2】粒状固形食品整列供給装置に用いられた粒状固形食品供給部を示す側面図である。
【図3】図2の粒状固形食品供給部を示す正面図である。
【図4】粒状固形食品整列供給装置に用いられた粒状固形食品分離部の上部板を示す平面図である。
【図5】図4の上部板を示す側面図である。
【図6】図4のA−A線断面図である。
【図7】図4のB−B線断面図である。
【図8】粒状固形食品整列供給装置に用いられた粒状固形食品分離部の下部板を示す平面図である。
【図9】図8のC−C線断面図である。
【図10】図8の下部板を示す側面図である。
【図11】粒状固形食品分離部の上部板の螺旋溝を粒状固形食品が通過する様子を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す好適な実施の形態に基づいて、この発明を詳細に説明する。
図1に、この発明の実施の形態に係る粒状固形食品整列供給装置を備えた食品検査システムの構成を示す。粒状固形食品整列供給装置は、多数の粒状の固形食品Mを順次供給するための粒状固形食品供給部1を有している。粒状固形食品供給部1は架台2の上に配設されており、この粒状固形食品供給部1に隣接して粒状固形食品分離部3が配置されている。粒状固形食品分離部3は、粒状固形食品供給部1から供給された粒状固形食品Mを互いに分離するためのもので、支持台4により水平面に対して傾斜するように支持された傾斜板5を有している。傾斜板5は、その基端部すなわち上端部が粒状固形食品供給部1に近接しており、この基端部側の上部板6と、上部板6に接続される先端部側の下部板7とから構成されている。
粒状固形食品供給部1と粒状固形食品分離部3により粒状固形食品整列供給装置が構成されている。
また、粒状固形食品整列供給装置の先端部近傍、すなわち、粒状固形食品分離部3の下部板7の先端部近傍に、粒状固形食品Mを撮像するための撮像装置8が配置されており、粒状固形食品整列供給装置と撮像装置8によって食品検査システムが構成されている。
【0013】
図2に示されるように、粒状固形食品供給部1は、基板11上に支持された排出シュート12と、基板11を振動させることにより排出シュート12に振動を与える振動部13を備えている。
排出シュート12は、先端部に開放された排出口12aを有し、振動部13が発生させる振動により、排出シュート12上に収容された粒状固形食品Mを排出口12aの方向へ移動させ、落下させるものである。材質や形状等の異なる様々な粒状固形食品Mに対応するために、水平面に対する振動部13の傾斜角度を調整してもよい。
図3に示されるように、排出シュート12は、その基端部から先端部までコの字状の断面形状を有している。
なお、図2および図3において、振動部13は、電磁式振動を排出シュート12に与えるように構成されている。
【0014】
図4に示されるように、粒状固形食品分離部3の上部板6は、その基端部から先端部にまで延びると共に互いに平行な複数のU字状溝21を有している。また、上部板6は、粒状固形食品供給部1の排出シュート12の幅とほぼ等しい幅を有している。図5は、上部板6の側面図である。
【0015】
上部板6の基端部においては、図6に示されるように、各U字状溝21の底部は、半円状の断面形状を有しているが、この基端部以外は先端部に至るまで、図7に示されるように、各U字状溝21の底部にU字状溝21の長さ方向に沿って螺旋溝22が形成されている。螺旋溝22は、U字状溝21の底部断面を形成する半円の中心を通り且つU字状溝21に平行な軸を中心軸として螺旋を描くように形成されている。U字状溝21の上部が開放されていることから、螺旋溝22は、上部板6の先端部にまで連続して存在することはできず、所定の長さで分断されつつ上部板6の先端部にまで延びている。この螺旋溝22は、食品検査システムの検査対象となる粒状固形食品Mの大きさに対応する幅、例えば、粒状のマカロニの太さより大きくてマカロニの一部が無理なく収容される幅を有しており、好ましくは、図4および図7に示されるように、各U字状溝21に複数条の螺旋溝22が形成される。
【0016】
図8に示されるように、粒状固形食品分離部3の下部板7は、その基端部から先端部付近にまで延びると共に上部板6のU字状溝21と同数の互いに平行な複数のU字状溝23を有している。下部板7は上部板6の幅と同一の幅を有し、各U字状溝23も上部板6のU字状溝21と同一の断面形状および大きさを有し、下部板7のU字状溝23はそれぞれ対応する上部板6のU字状溝21に接続されている。ただし、下部板7の複数のU字状溝23には、上部板6のU字状溝21に見られるような螺旋溝は形成されておらず、図9に示されるように、各U字状溝23の底部は、半円状の断面形状を有している。図10は、下部板7の側面図である。
【0017】
下部板7の先端部には、下部板7の全幅にわたる検査領域Rが設定されている。検査領域Rは、粒状固形食品供給部1から供給され、粒状固形食品分離部3の上部板6および下部板7を滑落してきた粒状固形食品Mを撮像して検査するための領域であり、図1に示した撮像装置8が検査領域Rに対応して配置されている。
【0018】
次に、図1に示した粒状固形食品検査システムの動作について説明する。
まず、粒状固形食品供給部1の排出シュート12に検査対象となる、例えば短い棒形状のマカロニからなる多数の粒状固形食品Mを収容し、振動部13を駆動して排出シュート12に振動を加える。
【0019】
排出シュート12に振動部13から振動が加えられることにより、排出シュート12内の粒状固形食品Mは、排出シュート12の底面に沿って排出シュート12の幅方向に均等に配分されつつ排出口12aへと移動し、排出口12aから順次排出される。
粒状固形食品供給部1の排出シュート12から排出された粒状固形食品Mは、粒状固形食品分離部3の上部板6のU字状溝21に入り、U字状溝21内を下方へと滑落する。このとき、U字状溝21の底部にU字状溝21の長さ方向に沿って螺旋溝22が形成されているので、螺旋溝22に入った粒状固形食品Mは、螺旋溝22に導かれてU字状溝21の底部からU字状溝21の側部へとU字状溝21に対して相対的に上昇した後、再びU字状溝21の底部へと落下する。このため、図11に示されるように、横並びした状態でU字状溝21内を滑落してきた一対の粒状固形食品Mであっても、一方の粒状固形食品Mが螺旋溝22に導かれて上昇したときに他方の粒状固形食品MはU字状溝21の底部に落ちやすく、すなわち、横並びの粒状固形食品Mが互いに分離してU字状溝21内を滑落しやすくなる。
【0020】
上部板6のU字状溝21内を滑落して互いに分離した粒状固形食品Mは、上部板6の先端部から下部板7のU字状溝23内へと入り、そこを滑落する間に左右方向の揺れが抑えられる。
【0021】
このようにして、横並びおよび前後方向の連なりが解消されて互いに分離され整列された粒状固形食品Mが下部板7の先端部に設定されている検査領域Rに順次到達し、検査領域Rを通過する。このため、撮像装置8により個々の粒状固形食品Mを分離した状態で撮像することができ、粒状固形食品Mの形状、大きさ等を検出することで異品種の粒状固形食品Mを容易に判別することが可能となる。
【0022】
なお、撮像装置8により撮像された画像から粒状固形食品Mの形状、大きさ等を検出する方法としては、粒状固形食品Mの面積、長径、短径、周長等を所定の閾値と比較する等、各種の検出方法を採用することができる。
【0023】
上述した実施の形態では、粒状固形食品供給部1の振動部13を電磁式のバイブレータとしていたが、これに限るものではなく、ギヤードモータとカムを有する振動部13として用いてもよい。また、振動部13から排出シュート12に与える振動の振動数は、一定である必要はなく、所定のサイクルで振動数を変化させることもできる。
粒状固形食品分離部3の上部板6および下部板7からなる傾斜板5は、アルミニウム等の金属、樹脂等の各種の材質で形成することができるが、検査領域Rが設定される下部板7の先端部は、検査対象となる粒状固形食品Mを撮像しやすい色彩、表面反射率等にすることが好ましい。例えば、粒状固形食品Mとして淡色のマカロニを対象とする場合には、少なくとも下部板7の先端部を黒色に彩色する、あるいは黒色の樹脂材料で作成することが好ましい。
上記の実施の形態では、短い棒形状のマカロニからなる粒状固形食品Mを例にとって説明したが、シェル形状のマカロニ、その他、粒状の固形食品に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 粒状固形食品供給装置、2 架台、3 粒状固形食品分離部、4 支持台、5 傾斜板、6 上部板、7 下部板、8 撮像装置、11 基板、12 排出シュート、12a 排出口、13 振動部、21,23 U字状溝、22 螺旋溝、R 検査領域、M 粒状固形食品。
【技術分野】
【0001】
この発明は、粒状固形食品整列供給装置に係り、特に、マカロニ等の多数の粒状の固形食品を検査領域へ整列供給するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マカロニ等の食品は、その形状および大きさに応じて10〜20種以上にも及ぶ多くの品種を有しており、それぞれの品種毎に包装されて取り引きされている。
このような多品種の食品は、製造ロットによって食品の種類を変えることで、共通の製造ラインを用いて製造され包装されることがある。このため、食品の品種を変更する際に、前回のロットで製造された異品種の食品が新たなロットの食品の中に混入するおそれがあった。
【0003】
そこで、製造された多数の食品の中に異なる品種の食品が混入していないかどうかを検査することが必要となる。従来は、この種の検査は作業者の目視によって行われていたが、多大な時間と手間を伴うため、人手によらずに検査を行う装置が提案されている。
例えば、特許文献1に開示された検査システムでは、被検査体をローラコンベヤ等の搬送手段で搬送すると共に搬送路の途中に検査領域を設定し、この検査領域を通る被検査体をカメラにより撮像することで、被検査体の形状不良等を識別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−340770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、被検査体を撮像して被検査体の形状、大きさ等を検出すれば、多数の被検査体の中に混入した異品種の被検査体を判別することが可能となる。
しかしながら、搬送路上に供給された複数の被検査体が互いに重なる、あるいは密着し、そのままの状態で検査領域を通過すると、カメラで撮像しても個々の被検査体の形状、大きさ等を検出することが困難となり、異品種の被検査体の判別ができなくなってしまう。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、多数の粒状の固形食品を互いに分離して整列した状態で検査領域へ順次供給することができる粒状固形食品整列供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る粒状固形食品整列供給装置は、水平面に対して傾斜して配置された傾斜板を有し、傾斜板の表面に基端部から先端部にまで延び且つ粒状の固形食品を滑落させるための少なくとも1条のU字状溝が形成され、U字状溝の底部にU字状溝の長さ方向に沿って粒状固形食品の大きさに対応する幅を有する複数の螺旋溝が形成されたものである。
【0008】
傾斜板は、基端部側に位置し且つ底部に螺旋溝が形成されたU字状溝を有する上部板と、先端部側に位置し且つ底部に螺旋溝が形成されていないU字状溝を有する下部板とを含み、上部板のU字状溝と下部板のU字状溝とが互いに接続されるように構成してもよい。
【0009】
ここで、「粒状の固形食品」は、例えば、短い棒形状のマカロニ、シェル形状のマカロニ等、概ね粒状とみなすことのできる各種の固形食品を含むものとする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、多数の粒状の固形食品を互いに分離して整列した状態で検査領域へ順次供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態に係る粒状固形食品整列供給装置を備えた食品検査システムの構成を示す側面図である。
【図2】粒状固形食品整列供給装置に用いられた粒状固形食品供給部を示す側面図である。
【図3】図2の粒状固形食品供給部を示す正面図である。
【図4】粒状固形食品整列供給装置に用いられた粒状固形食品分離部の上部板を示す平面図である。
【図5】図4の上部板を示す側面図である。
【図6】図4のA−A線断面図である。
【図7】図4のB−B線断面図である。
【図8】粒状固形食品整列供給装置に用いられた粒状固形食品分離部の下部板を示す平面図である。
【図9】図8のC−C線断面図である。
【図10】図8の下部板を示す側面図である。
【図11】粒状固形食品分離部の上部板の螺旋溝を粒状固形食品が通過する様子を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す好適な実施の形態に基づいて、この発明を詳細に説明する。
図1に、この発明の実施の形態に係る粒状固形食品整列供給装置を備えた食品検査システムの構成を示す。粒状固形食品整列供給装置は、多数の粒状の固形食品Mを順次供給するための粒状固形食品供給部1を有している。粒状固形食品供給部1は架台2の上に配設されており、この粒状固形食品供給部1に隣接して粒状固形食品分離部3が配置されている。粒状固形食品分離部3は、粒状固形食品供給部1から供給された粒状固形食品Mを互いに分離するためのもので、支持台4により水平面に対して傾斜するように支持された傾斜板5を有している。傾斜板5は、その基端部すなわち上端部が粒状固形食品供給部1に近接しており、この基端部側の上部板6と、上部板6に接続される先端部側の下部板7とから構成されている。
粒状固形食品供給部1と粒状固形食品分離部3により粒状固形食品整列供給装置が構成されている。
また、粒状固形食品整列供給装置の先端部近傍、すなわち、粒状固形食品分離部3の下部板7の先端部近傍に、粒状固形食品Mを撮像するための撮像装置8が配置されており、粒状固形食品整列供給装置と撮像装置8によって食品検査システムが構成されている。
【0013】
図2に示されるように、粒状固形食品供給部1は、基板11上に支持された排出シュート12と、基板11を振動させることにより排出シュート12に振動を与える振動部13を備えている。
排出シュート12は、先端部に開放された排出口12aを有し、振動部13が発生させる振動により、排出シュート12上に収容された粒状固形食品Mを排出口12aの方向へ移動させ、落下させるものである。材質や形状等の異なる様々な粒状固形食品Mに対応するために、水平面に対する振動部13の傾斜角度を調整してもよい。
図3に示されるように、排出シュート12は、その基端部から先端部までコの字状の断面形状を有している。
なお、図2および図3において、振動部13は、電磁式振動を排出シュート12に与えるように構成されている。
【0014】
図4に示されるように、粒状固形食品分離部3の上部板6は、その基端部から先端部にまで延びると共に互いに平行な複数のU字状溝21を有している。また、上部板6は、粒状固形食品供給部1の排出シュート12の幅とほぼ等しい幅を有している。図5は、上部板6の側面図である。
【0015】
上部板6の基端部においては、図6に示されるように、各U字状溝21の底部は、半円状の断面形状を有しているが、この基端部以外は先端部に至るまで、図7に示されるように、各U字状溝21の底部にU字状溝21の長さ方向に沿って螺旋溝22が形成されている。螺旋溝22は、U字状溝21の底部断面を形成する半円の中心を通り且つU字状溝21に平行な軸を中心軸として螺旋を描くように形成されている。U字状溝21の上部が開放されていることから、螺旋溝22は、上部板6の先端部にまで連続して存在することはできず、所定の長さで分断されつつ上部板6の先端部にまで延びている。この螺旋溝22は、食品検査システムの検査対象となる粒状固形食品Mの大きさに対応する幅、例えば、粒状のマカロニの太さより大きくてマカロニの一部が無理なく収容される幅を有しており、好ましくは、図4および図7に示されるように、各U字状溝21に複数条の螺旋溝22が形成される。
【0016】
図8に示されるように、粒状固形食品分離部3の下部板7は、その基端部から先端部付近にまで延びると共に上部板6のU字状溝21と同数の互いに平行な複数のU字状溝23を有している。下部板7は上部板6の幅と同一の幅を有し、各U字状溝23も上部板6のU字状溝21と同一の断面形状および大きさを有し、下部板7のU字状溝23はそれぞれ対応する上部板6のU字状溝21に接続されている。ただし、下部板7の複数のU字状溝23には、上部板6のU字状溝21に見られるような螺旋溝は形成されておらず、図9に示されるように、各U字状溝23の底部は、半円状の断面形状を有している。図10は、下部板7の側面図である。
【0017】
下部板7の先端部には、下部板7の全幅にわたる検査領域Rが設定されている。検査領域Rは、粒状固形食品供給部1から供給され、粒状固形食品分離部3の上部板6および下部板7を滑落してきた粒状固形食品Mを撮像して検査するための領域であり、図1に示した撮像装置8が検査領域Rに対応して配置されている。
【0018】
次に、図1に示した粒状固形食品検査システムの動作について説明する。
まず、粒状固形食品供給部1の排出シュート12に検査対象となる、例えば短い棒形状のマカロニからなる多数の粒状固形食品Mを収容し、振動部13を駆動して排出シュート12に振動を加える。
【0019】
排出シュート12に振動部13から振動が加えられることにより、排出シュート12内の粒状固形食品Mは、排出シュート12の底面に沿って排出シュート12の幅方向に均等に配分されつつ排出口12aへと移動し、排出口12aから順次排出される。
粒状固形食品供給部1の排出シュート12から排出された粒状固形食品Mは、粒状固形食品分離部3の上部板6のU字状溝21に入り、U字状溝21内を下方へと滑落する。このとき、U字状溝21の底部にU字状溝21の長さ方向に沿って螺旋溝22が形成されているので、螺旋溝22に入った粒状固形食品Mは、螺旋溝22に導かれてU字状溝21の底部からU字状溝21の側部へとU字状溝21に対して相対的に上昇した後、再びU字状溝21の底部へと落下する。このため、図11に示されるように、横並びした状態でU字状溝21内を滑落してきた一対の粒状固形食品Mであっても、一方の粒状固形食品Mが螺旋溝22に導かれて上昇したときに他方の粒状固形食品MはU字状溝21の底部に落ちやすく、すなわち、横並びの粒状固形食品Mが互いに分離してU字状溝21内を滑落しやすくなる。
【0020】
上部板6のU字状溝21内を滑落して互いに分離した粒状固形食品Mは、上部板6の先端部から下部板7のU字状溝23内へと入り、そこを滑落する間に左右方向の揺れが抑えられる。
【0021】
このようにして、横並びおよび前後方向の連なりが解消されて互いに分離され整列された粒状固形食品Mが下部板7の先端部に設定されている検査領域Rに順次到達し、検査領域Rを通過する。このため、撮像装置8により個々の粒状固形食品Mを分離した状態で撮像することができ、粒状固形食品Mの形状、大きさ等を検出することで異品種の粒状固形食品Mを容易に判別することが可能となる。
【0022】
なお、撮像装置8により撮像された画像から粒状固形食品Mの形状、大きさ等を検出する方法としては、粒状固形食品Mの面積、長径、短径、周長等を所定の閾値と比較する等、各種の検出方法を採用することができる。
【0023】
上述した実施の形態では、粒状固形食品供給部1の振動部13を電磁式のバイブレータとしていたが、これに限るものではなく、ギヤードモータとカムを有する振動部13として用いてもよい。また、振動部13から排出シュート12に与える振動の振動数は、一定である必要はなく、所定のサイクルで振動数を変化させることもできる。
粒状固形食品分離部3の上部板6および下部板7からなる傾斜板5は、アルミニウム等の金属、樹脂等の各種の材質で形成することができるが、検査領域Rが設定される下部板7の先端部は、検査対象となる粒状固形食品Mを撮像しやすい色彩、表面反射率等にすることが好ましい。例えば、粒状固形食品Mとして淡色のマカロニを対象とする場合には、少なくとも下部板7の先端部を黒色に彩色する、あるいは黒色の樹脂材料で作成することが好ましい。
上記の実施の形態では、短い棒形状のマカロニからなる粒状固形食品Mを例にとって説明したが、シェル形状のマカロニ、その他、粒状の固形食品に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 粒状固形食品供給装置、2 架台、3 粒状固形食品分離部、4 支持台、5 傾斜板、6 上部板、7 下部板、8 撮像装置、11 基板、12 排出シュート、12a 排出口、13 振動部、21,23 U字状溝、22 螺旋溝、R 検査領域、M 粒状固形食品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に対して傾斜して配置された傾斜板を有し、
前記傾斜板の表面に基端部から先端部にまで延び且つ粒状の固形食品を滑落させるための少なくとも1条のU字状溝が形成され、
前記U字状溝の底部に前記U字状溝の長さ方向に沿って前記粒状固形食品の大きさに対応する幅を有する複数の螺旋溝が形成されていることを特徴とする粒状固形食品整列供給装置。
【請求項2】
前記傾斜板は、
基端部側に位置し且つ底部に前記螺旋溝が形成された前記U字状溝を有する上部板と、
先端部側に位置し且つ底部に前記螺旋溝が形成されていない前記U字状溝を有する下部板とを含み、
前記上部板の前記U字状溝と前記下部板の前記U字状溝とが互いに接続される請求項1に記載の粒状固形食品整列供給装置。
【請求項1】
水平面に対して傾斜して配置された傾斜板を有し、
前記傾斜板の表面に基端部から先端部にまで延び且つ粒状の固形食品を滑落させるための少なくとも1条のU字状溝が形成され、
前記U字状溝の底部に前記U字状溝の長さ方向に沿って前記粒状固形食品の大きさに対応する幅を有する複数の螺旋溝が形成されていることを特徴とする粒状固形食品整列供給装置。
【請求項2】
前記傾斜板は、
基端部側に位置し且つ底部に前記螺旋溝が形成された前記U字状溝を有する上部板と、
先端部側に位置し且つ底部に前記螺旋溝が形成されていない前記U字状溝を有する下部板とを含み、
前記上部板の前記U字状溝と前記下部板の前記U字状溝とが互いに接続される請求項1に記載の粒状固形食品整列供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−7594(P2013−7594A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139108(P2011−139108)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]