説明

粒状有機緩効性窒素肥料及び該肥料を用いた作物の栽培方法

【課題】有機系肥料、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物双方の性能を十分に発揮でき、かつ肥効を制御できる粒状有機緩効性窒素肥料及びそれを用いた作物の栽培方法を提供する。
【解決手段】尿素−脂肪族アルデヒド縮合物、有機系肥料及び硝酸化成抑制材を含有し、全リン酸含有割合がP換算で0.01〜5重量%である粒状有機緩効性窒素肥料及びそれを用いた作物の栽培方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒状有機緩効性窒素肥料に関する。詳しくは、有機系肥料、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物双方の性能を十分に発揮でき、かつ肥効を制御できる粒状有機緩効性窒素肥料及びそれを用いた作物の栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な環境保全型農業への取り組みが推進されており、従来の化成肥料を多く施用する栽培法から、省力かつ施肥効率のよい栽培法へ移行している。一方では、食品の安全の観点から、地産地消、循環型社会の構築も社会の要請であり、消費者の有機指向は市場ニーズとして大きくなりつつある。
【0003】
有機質肥料や堆肥に代表される有機系肥料は地力向上や資源の循環という点では、その利用を推進すべきであるが、使用する農家の立場からは様々な問題があった。例えば、窒素の放出速度に関しては、施肥後初期の段階では速すぎることが多く、ある程度まで分解が進むとその後非常に緩慢になることが知られている。また、化学肥料に比べ、肥料成分の含有割合が少ないことも知られている。このため、作物を生産するためには化学肥料よりもはるかに多くの量を施用しなければならず、その割には作物に吸収利用される窒素量が少ない。これにより、土壌中に蓄積する肥料成分量がどんどん増えていき、栽培終了後も蓄積された窒素が硝酸態窒素の形態で持続的に流亡することで、硝酸態窒素による地下水汚染が社会問題化している(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
上記のような有機系肥料の問題点を解決すべく、有機物と硝酸化成抑制材のジシアンジアミドを組み合わせた肥料によって肥効の緩効性を高める技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、緩効性肥料としては尿素−脂肪族アルデヒド縮合物を主成分とする緩効性窒素肥料と比較すると、肥効調節が不十分である。
【0005】
また、有機系肥料と尿素−脂肪族アルデヒド縮合物を一体化した粒状肥料に関しても研究開発が進んでいるが(例えば、特許文献3参照)、有機系肥料と尿素−脂肪族アルデヒド縮合物それぞれの肥効を制御するに至っていない。更には、化成肥料や有機系肥料中に含まれる多量のリン酸成分により、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の無機化が進行し、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の肥効制御が困難になるおそれがある(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
有機系肥料、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物、硝酸化成抑制材単独の効果に関しては明らかになりつつあるが、これらの相互作用に関しては未解明な点が多く、優れた肥効を有する有機緩効性肥料が得られていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開平6−40791号公報
【特許文献2】特開2002−193695号公報
【特許文献3】特開平6−116075号公報
【特許文献4】特開2003−212682号公報
【非特許文献1】小川吉雄、“地下水の硝酸汚染と畜産”、[online]、平成15年3月、財団法人 環境整備機構、[平成17年2月1日検索]、インターネット<http://leio.lin.go.jp/tkj/tkj20/tokus2_20.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の状況を考慮して、有機系肥料、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物双方の性能を十分に発揮でき、かつ肥効を制御できる粒状有機緩効性窒素肥料及びそれを用いた作物の栽培方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前述の課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物、リン酸化合物、有機系肥料及び硝酸化成抑制材を含有する粒状有機緩効性窒素肥料において、粒状有機緩効性窒素肥料に含有される全リン酸含有割合を特定範囲にすることで尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の肥効を制御することができ、更に、硝酸化成抑制材により水溶性窒素の硝酸化成作用を制御することで尿素−脂肪族アルデヒド縮合物及び有機系肥料から緩効的にアンモニア態窒素を供給でき、それを用いた作物の栽培方法によって、前記課題が解決されることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
本発明は、以下によって構成される。
(1)尿素−脂肪族アルデヒド縮合物、リン酸化合物、有機系肥料及び硝酸化成抑制材を含有する粒状有機緩効性窒素肥料であり、粒状有機緩効性窒素肥料における全リン酸含有割合がP換算で0.01〜5重量%である粒状有機緩効性窒素肥料。
(2)尿素−脂肪族アルデヒド縮合物が、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素、グリオキサール縮合尿素、メチロール尿素重合肥料、及びホルムアルデヒド加工尿素肥料の群から選ばれた少なくとも1種である、前記第(1)項記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
(3)有機系肥料におけるリン酸含有割合がP換算で0.01〜1.5重量%であり、かつ窒素含有割合/リン酸含有割合の重量比が5以上である、前記第(1)項または第(2)項記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
(4)硝酸化成抑制材がジシアンジアミドである、前記第(1)〜(3)項のいずれか1項記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
(5)粒状有機緩効性窒素肥料中における全窒素含有割合が10〜30重量%である、前記第(1)〜(4)項のいずれか1項記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
(6)粒径が0.5〜50mmである、前記第(1)〜(5)項のいずれか1項記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
(7)前記第(1)〜(6)項のいずれか1項記載の粒状有機緩効性窒素肥料を用いる作物の栽培方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の好ましい態様となる粒状有機緩効性窒素肥料は、例えば、構成成分である有機系肥料及び尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の特性を損なうことなく、長期間安定的にアンモニア態窒素を供給することが期待できる。
本発明の好ましい態様となる粒状有機緩効性窒素肥料は、例えば、稲、茶樹に代表される好アンモニア態窒素作物の栽培に適しており、省力化のほかに品質向上等の収穫物の付加価値をあげることも期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物、リン酸化合物、有機系肥料、及び硝酸化成抑制材を含有する粒状有機緩効性窒素肥料である。本発明では、硝酸化成抑制材と有機系肥料と併用することにより、主として有機系肥料由来のアンモニア態窒素の硝酸化成を抑制し、安定的にアンモニア態窒素を供給する。それと同時に粒状有機緩効性窒素肥料中の全リン酸量を制御することで尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の無機化速度を制御して、任意の期間に渡ってアンモニア態窒素を供給する。尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の無機化速度は硝酸化成抑制材により促進されることがあるが、有機系肥料を併用することでこの促進を抑制できる。
【0013】
本発明で使用される尿素−脂肪族アルデヒド縮合物は、特に限定されず、直鎖状、分岐のある鎖状、環状等の何れの分子構造を持つ尿素−脂肪族アルデヒド縮合物であっても使用することができる。具体的には、肥料取締法(普通肥料の公定規格、肥料の種類)に記載のアセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素、グリオキサール縮合尿素、メチロール尿素重合肥料、ホルムアルデヒド加工尿素肥料、オキサミド等を挙げることができる。本発明においてはそれらのうち1種以上を任意に選択し使用すればよい。
【0014】
前述の尿素−脂肪族アルデヒド縮合物のうち、土壌中での無機化速度の制御が特に難しいアセトアルデヒド縮合尿素である2−オキソ−4−メチル−6−ウレイドヘキサヒドロピリミジン(以下、「CDU」という)、グリオキサール縮合尿素、メチロール尿素重合肥料、及びホルムアルデヒド加工尿素肥料において、本発明の効果がより顕著である。
【0015】
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物が粉状である場合の粒径は、製造時の取り扱いの面、他原料との混合性、造粒性の面から1〜200μmの範囲であることが好ましい。
【0016】
本発明の粒状有機緩効性窒素肥料に含有される尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の割合は、特に限定されないが、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜70重量%の範囲である。この範囲であれば、緩効性窒素肥料としての特性が得られやすい。
【0017】
本発明の粒状有機緩効性窒素肥料における全リン酸化合物の含有割合(全リン酸含有割合ともいう)は、P換算で0.01〜5重量%の範囲である。この範囲であれば、該粒状有機緩効性窒素肥料に含有される尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の緩効性を損なうことが少ない。
尚、全リン酸含有割合はキノリン重量法(第2改訂詳解肥料分析法、養賢堂発行、に記載の方法)で測定することができる。
【0018】
ただし、肥効制御の面からは、水溶性リン酸化合物が本発明の粒状有機緩効性窒素肥料中にある程度以上存在すると、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の肥効制御を損なう場合があるため、本発明粒状有機緩効性窒素肥料中の水溶性リン酸化合物の含有割合は、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物に対して、P換算で0.5重量%以下であることが好ましい。
水溶性リン酸化合物を含有するリン酸肥料、普通化成肥料、二成分複合化成肥料、高度化成肥料、有機質肥料等のリン酸化合物を含有する肥料を造粒助剤等として用いるときは、含有するリン酸化合物の溶出時間と含有割合を考慮して使用することが好ましい。
【0019】
上記から、本発明に使用できるリン酸化合物は水溶性よりも難水溶性が好ましく、その中でも、溶解度の低いリン酸化合物は、比較的簡便に用いることができる。具体的には、20℃の水に対する溶解度が5g/100mL以下の物質が望ましく、例えばリン鉱石や熔成リン肥が挙げられる。また、後述の有機系肥料に含有されるリン酸化合物のうち、難水溶性のものは好ましく用いることができる。
【0020】
本発明において難水溶性リン酸化合物の添加割合は、特に限定されないが、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物に対しP換算で0.01〜5重量%の範囲であることが好ましい。難水溶性リン酸化合物の添加割合がこの範囲内であれば、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の無機化速度の制御を効果的に行うことが可能である。
【0021】
本発明で用いられる有機系肥料とは、動植物に由来する有機物を含有するものであり、肥料取締法で規定される有機質肥料及び特殊肥料を意味する。
有機質肥料としては、例えば、魚かす粉末、干魚肥料、魚節煮かす、甲殻類質肥料、蒸製魚鱗、肉かす、肉骨粉、蒸製てい角粉、蒸製てい角骨粉、蒸製毛粉、乾血粉、生骨粉、蒸製骨粉、蒸製鶏骨粉、蒸製皮革粉、干蚕蛹粉末、蚕蛹油粕、絹紡蚕蛹くず等の動物性のもの、とうもろこし胚芽及びその粉末、大豆油粕及びその粉末、菜種油粕及びその粉末、わたみ油粕及びその粉末、落花生油粕及びその粉末、あまに油粕及びその粉末、ごま油粕及びその粉末、ひまし油粕及びその粉末、米ぬか油粕及びその粉末、その他の草本性植物油粕及びその粉末、とうもろこし胚芽油粕及びその粉末、カポック油粕及びその粉末、たばこくず肥料、甘草かす粉末、豆腐かす乾燥肥料、えんじゅかす、醤油かす、春雨用芋かす、春雨用緑豆かす及びその粉末等の植物性のもの、魚廃物加工肥料、乾燥菌体肥料、副産動物質肥料、副産植物質肥料、加工家きんふん肥料、混合有機質肥料が挙げられる。
【0022】
特殊肥料としては、例えば、魚かす、米ぬか、はっこう米ぬか、はっこうかす、くず植物油粕及びその粉末、草本性植物種子皮殻油粕及びその粉末、木の実油粕及びその粉末、コーヒーかす、くず大豆及びその粉末、たばこくず肥料及びその粉末、乾燥藻及びその粉末、落棉分離かす肥料、よもぎかす、はっこう乾ぷん肥料、人ぷん尿、家畜及び家きんのふん、厩肥、汚泥肥料、人ぷん尿処理物、家畜及び家きんのふんの処理物、堆肥が挙げられ、これらの中から1種以上選択して使用することができる。
【0023】
これら有機系肥料におけるリン酸化合物の含有割合(リン酸含有割合ともいう)がP換算で0.01〜1.5重量%であり、かつ窒素含有割合/P換算で表されるリン酸含有割合の重量比が5以上、好ましくは5.5以上、更に好ましくは5.5〜1500である有機系肥料を用いると、本発明の粒状有機緩効性窒素肥料中に存在する尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の緩効性を損なうことが少なくなるため好ましい。具体的には、動物性のものの中では、魚節煮かす、肉かす、蒸製てい角粉、蒸製毛粉、乾血粉、蒸製皮革粉、干蚕蛹粉末、蚕蛹油粕、絹紡蚕蛹、植物性のものの中では、大豆油粕及びその粉末の一部、わたみ油粕及びその粉末の一部、落花生油粕及びその粉末の一部、あまに油粕及びその粉末の一部、ひまし油粕及びその粉末の一部、カポック油粕及びその粉末の一部、甘草かす粉末、春雨用芋かす、春雨用緑豆かす及びその粉末が挙げられる。更に具体的には、動物性のものの中では、魚節煮かす、肉かす、蒸製てい角粉、蒸製毛粉、乾血粉、蒸製皮革粉、干蚕蛹粉末、植物性のものの中では、甘草かす粉末、春雨用芋かす、春雨用緑豆かす及びその粉末を用いると、より該尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の特性を抑制することが少なくなり好ましい。
【0024】
本発明で用いられる硝酸化成抑制材とは、硝酸化成細菌によってなされるアンモニア態窒素の硝酸化成を抑制する物質である。具体的には、ジシアンジアミド、チオ尿素、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、サルファーチアゾール、グアニルチオウレア、N−2,5−ジクロロフェニルサクシナミド酸、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール塩酸塩、2−[(N−ニトロ)メチルアミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−メルカプト−1,3,4−トリアゾール、2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、トリクロロメチルメチルアミノトリアジン、2,4−ジクロロアニリン、及び2−トリクロロメチルキノリン等を挙げることができるが、これらに限るものではない。その中でもジシアンジアミドは、肥料である窒素成分を多量に含有し、安価であることから、本発明に好ましく使用することができる。
【0025】
硝酸化成抑制材の含有割合は、用いる硝酸化成抑制材の種類により一概にはいえないが、その目安としては、本発明の粒状有機緩効性窒素肥料に含有される全窒素量に対して、硝酸化成抑制材由来の窒素量が15重量%以下であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の粒状有機緩効性窒素肥料には本発明の効果を損なわない範囲で撥水性物質を含有させることができ、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の土壌中における溶解を抑制し、該尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の肥効を広い範囲で制御することが可能となる。
【0027】
撥水性物質としては、天然ワックス、合成ワックスから選ばれた1種以上を適宜使用するのが好ましい。天然ワックスとしては、キャデリンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックスが挙げられ、合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等が挙げられる。この中でも、硬化ひまし油及びその誘導体が尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の無機化速度を制御するのに効果的である。
【0028】
本発明において撥水性物質の含有割合は、粒状有機緩効性窒素肥料中の難水溶性リン酸肥料、撥水性物質、水溶性肥料及び尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の総量に対して好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは1〜15重量%の範囲である。撥水性物質の含有割合が上記の範囲であれば、撥水性物質の効果が十分で製造コストの上昇が少ない。
【0029】
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、粒状有機緩効性窒素肥料の成分である尿素−脂肪族アルデヒド縮合物や有機系肥料、硝酸化成抑制材以外の成分を、粒状有機緩効性窒素肥料の原料として使用することができる。該成分としてはリン酸と水溶性窒素以外の肥料、各種造粒助剤、結合材等を挙げることができる。該成分は、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物、有機系肥料、及び硝酸化成抑制材を混合する際に添加するのが望ましい。
【0030】
造粒助剤としては、ベントナイト、クレイ、カオリン、セリサイト、タルク、酸性白土、軽石、珪砂、珪石、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト等の鉱物質、モミガラ、オガクズ、木質粉、パルプフロック、大豆粉等の植物質等を挙げることができる。本発明においては必要に応じてそれら造粒助剤の中から1種以上を選択して用いればよい。
【0031】
結合材としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、グリセリン、ゼラチン、糖蜜、微結晶セルロース、ピッチ、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アルミナゾル、セメント、ポリリン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、界面活性剤、デンプン、熱硬化性樹脂原料等を挙げることができる。本発明においては必要に応じてそれら結合剤の中から1種以上を選択して用いればよい。
【0032】
本発明品の形状は粒状であり、その粒径は特に限定されるものではないが、0.5〜50mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜50mmの範囲である。粒径が上記の範囲であれば本発明の効果が顕著であり、粒径が大きすぎて施肥時の取り扱いが困難となることもない。
【0033】
本発明品の製造方法は特に限定されるものではないが、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物や有機系肥料、硝酸化成抑制材、及び水を原料とする粒子を造粒し(造粒工程)、次いで本発明品の温度が通常90〜120℃、好ましくは90〜100℃となるように乾燥を行う(乾燥工程)製造方法を挙げることができる。
【0034】
該造粒工程においては、先ず原料となる尿素−脂肪族アルデヒド縮合物や有機系肥料、硝酸化成抑制材、及び水の混合を行い、この混合物を所定の形状に造粒するのであるが、その際の混合方法としては、コンクリートミキサー等の回転容器型混合装置による対流混合や、攪拌混合造粒機等の固定容器型混合装置による攪拌等が挙げられ、状況に応じて適宜選択すれば良い。
【0035】
混合後の造粒方法は特に限定されるものではないが、転動造粒法、圧縮型造粒法、攪拌型造粒法、押出造粒法、破砕型造粒法、流動層及び流動層多機能型造粒法等を挙げることができ、本発明においては、転動造粒法、圧縮型造粒法、攪拌型混合造粒法、押出造粒法等によって造粒することが好ましい。
【0036】
本発明の粒状有機緩効性窒素肥料は、ほとんど含有されない肥料成分のリン酸、加里等を含有する粒状肥料と混合することで対象作物に応じた複合肥料を製造することができる。また、混合することにより安定した窒素の肥効が得られる。混合方法は特に限定されないが、それぞれの粒子が均一に分散するような混合方法が望ましい。
【0037】
本発明の粒状有機緩効性窒素肥料は、肥効と経済性を考慮すると全窒素含有割合が、10〜30重量%が好ましく、15〜30重量%がより好ましい範囲である。
【0038】
本発明の肥料を用いた作物の栽培方法は、長期間安定的にアンモニア態窒素を供給できるため、好アンモニア性作物栽培の省力化や品質向上に適している。具体的には、好アンモニア性作物としては、茶樹、稲等が挙げられる。特に茶樹において、収穫物である茶葉の品質は旨味の主成分であるアミノ酸、特にテアニン含有割合と相関があり、アミノ酸構成要素であるアンモニア態窒素を多く吸収させることが高品質な茶葉の生産において重要な技術である。
【実施例】
【0039】
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。尚、以下の実施例における「%」は特に断りがない限り「重量%」である。
【0040】
1.尿素−脂肪族アルデヒド縮合物(CDU)の合成例
尿素60gを水60mLに溶解し、濃塩酸8.5mLを加え、氷冷下にアセトアルデヒド30gを滴下し、50℃で4時間攪拌しながら反応させ析出した結晶を濾過し、水で洗浄した後に減圧乾燥してCDU(純度99.9%以上)を得た。得られたCDUを篩い、目開き150μmの篩いの目をパスした粉粒体を以下の試験に用いた。尚、CDU粉粒体の尿素等水溶性肥料含有率は、0.05%以下であった(薄層クロマトグラフ法による)。
【0041】
2.肥料成分分析
窒素(N)含有割合:農林水産省農業環境技術研究所「肥料分析法(一九九二年版)」((財)日本肥糧検定協会、1992年12月発行)に従い、全窒素含有割合は硫酸法等で測定することができる。また、CDU窒素含有割合をジメチルアミノベンズアルデヒド法(「改訂詳解肥料分析法」、養賢堂、1973年1月発行、p.69−p.72に記載の方法)で測定することができる。
ジシアンジアミド含有割合:農林水産省農業環境技術研究所「肥料分析法(一九九二年版)」((財)日本肥糧検定協会、1992年12月発行)に従い、ジシアンジアミド含有割合は高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。
リン酸(P)含有割合:農林水産省農業環境技術研究所「肥料分析法(一九九二年版)」((財)日本肥糧検定協会、1992年12月発行)に従い、全リン酸含有割合はキノリン重量法で測定することができる。同様に、難水溶性リン酸はク溶性リン酸として抽出、測定することができる。
【0042】
実施例、比較例で用いた有機系肥料の窒素含有割合、リン酸含有割合及び窒素含有割合/リン酸含有割合の重量比を表1に示す。
【0043】
【表1】

リン酸含有割合はP換算値である。
蒸製毛粉(羽毛):南国興産製。
春雨緑豆かす:全農製。
汚泥肥料(し尿汚泥):RBSゴールド(商品名)、アール・ビー・エス製。
堆肥(牛ふん):JAいずみ有機1号(商品名)、鹿児島県いずみ農業協同組合製。
【0044】
3.粒状有機緩効性窒素肥料の製造
実施例1
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として前記のCDU23%、尿素(関東化学製、試薬特級)1%、硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)5%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%及び有機系肥料として蒸製毛粉(羽毛、南国興産製)70%を球形混合機に入れて十分混合した後、水分を添加し混練物を得た。
次に、該混練物を押出式造粒機(ダイス径3.0mmφ、不二パウダル製)を用いて押出造粒し粒状肥料を得た。該粒状肥料 を回転円盤式整粒機(不二パウダル製、マルメライザーQJ400(商品名))に2.5kg供給し、下記運転条件で、平滑化処理を行った。処理後、熱風循環乾燥機を用い100℃の条件下で6時間乾燥し、更に、振動篩で分級して粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素20%(ジシアンジアミド性窒素1.9%含む)、全リン酸0.15%であった。
【0045】
回転円盤整粒機運転条件
運転方式 :回分式
運転時間 :3min
目皿ピッチ:1mm
回転数 :788rpm
仕込量 :2.5kg(1回当たり)
【0046】
実施例2
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として前記のCDU23%、尿素(関東化学製、試薬特級)1%、硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)5%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%及び有機系肥料として春雨緑豆かす(全農製)70%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素18%(内ジシアンジアミド性窒素1.5%含む)、全リン酸0.7%であった。
【0047】
実施例3
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として前記のCDU50%、尿素(関東化学製、試薬特級)2%、熔成リン肥(南九州化学工業製、くみあい熔リン20−15−20(商品名)の篩分品(180μmの篩いを通り、150μmの篩いを通らないもの))4%、硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)3%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%及び有機系肥料として蒸製毛粉(羽毛、南国興産製)40%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素24%(内ジシアンジアミド性窒素1.6%含む)、全リン酸0.8%であった。
【0048】
実施例4
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として前記のCDU50%、尿素(関東化学製、試薬特級)2%、熔成リン肥(南九州化学工業製、くみあい熔リン20−15−20(商品名)の篩分品(180μmの篩いを通り、150μmの篩いを通らないもの))10%、硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)3%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%及び有機系肥料として春雨緑豆かす(全農製)34%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素22%(内ジシアンジアミド性窒素1.7%含む)、全リン酸2.1%であった。
【0049】
実施例5
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として前記のCDU49%、尿素(関東化学製、試薬特級)2%、熔成リン肥(南九州化学工業製、くみあい熔リン20−15−20(商品名)の篩分品(180μmの篩いを通り、150μmの篩いを通らないもの))4%、硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)3%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%及び有機系肥料として蒸製毛粉(羽毛、南国興産製)40%、撥水性物質として硬化ひまし油(カスターワックスF−P(商品名)、小倉合成工業製)1%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素24%(内ジシアンジアミド性窒素1.6%含む)、全リン酸0.8%であった。
【0050】
比較例1
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として前記のCDU10%、尿素(関東化学製、試薬特級)1%、熔成リン肥(南九州化学工業製、くみあい熔リン20−15−20(商品名)の篩分品(180μmの篩いを通り、150μmの篩いを通らないもの))10%、硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)3%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)1%、日本製紙製)及び有機系肥料として汚泥肥料(し尿汚泥、アール・ビー・エス製、RBSゴールド(商品名))75%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素9%(内ジシアンジアミド性窒素1.6%含む)、全リン酸5.2%であった。
【0051】
比較例2
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として前記のCDU10%、尿素(関東化学製、試薬特級)1%、熔成リン肥(南九州化学工業製、くみあい熔リン20−15−20(商品名)の篩分品(180μmの篩いを通り、150μmの篩いを通らないもの))5%、リン酸二アンモニウム(DAP、関東化学製、試薬特級)20%、硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)3%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%及び有機系肥料として堆肥(牛ふん、鹿児島県いずみ農業協同組合製、JAいずみ有機1号(商品名))60%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素10%(内ジシアンジアミド性窒素1.5%含む)、全リン酸13.2%であった。
【0052】
比較例3
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として市販のホルムアルデヒド加工尿素肥料(三井東圧肥料製、ホルム窒素2号(商品名)、目開き0.5mm篩通過品使用)30%、熔成リン肥(南九州化学工業製、くみあい熔リン20−15−20(商品名)の篩分品(180μmの篩いを通り、150μmの篩いを通らないもの))5%、リン酸二アンモニウム(DAP、関東化学製、試薬特級)20%、硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)5%及び有機系肥料として蒸製毛粉(羽毛、南国興産製)40%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素25%(内ジシアンジアミド性窒素2.5%含む)、全リン酸11.9%であった。
【0053】
比較例4
リン酸二アンモニウム(DAP、関東化学製、試薬特級)20%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)2%硝酸化成抑制材としてジシアンジアミド(関東化学製、ジシアノジアミド(商品名)、純度98%)3%及び有機系肥料として蒸製毛粉(羽毛、南国興産製)80%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素15%(内ジシアンジアミド性窒素1.4%含む)、全リン酸8.3%であった。
【0054】
比較例5
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物として前記のCDU50%、尿素(関東化学製、試薬特級)2%、熔成リン肥(南九州化学工業製、くみあい熔リン20−15−20(商品名)の篩分品(180μmの篩いを通り、150μmの篩いを通らないもの))4%、結合材としてリグニンスルホン酸カルシウム(サンエキスP201(商品名)、日本製紙製)1%及び有機系肥料として蒸製毛粉(羽毛、南国興産製)43%の配合割合にするほかは実施例1と同様にして粒径2.36〜3.35mmの粒状有機緩効性窒素肥料を得た。
肥料成分含有割合は全窒素23%、全リン酸0.9%であった。
【0055】
4.有機系肥料の無機化試験
2L容量の容器に2mmの篩いを通った風乾土壌(福岡県八女市で採取した茶園土壌、pH(1:5(HO)4.3)を1kg入れ、そこに実施例1〜5、比較例1〜5の複合肥料を全窒素含有割合で1.0g相当量、水を最大容水量の60%になるように入れ混合し無機化土壌サンプルを作成した。
該無機化土壌サンプルが入った容器の上縁をポリエチレンフィルムで覆い25℃の恒温室に静置した。20日または40日経過後に土壌を全て回収し、よく混合した後、そのうち10gを採取した。
採取した土壌中の無機態窒素量をアンモニア態、亜硝酸態、硝酸態窒素の同時浸出測定法(養賢堂 土壌養分測定法 p.197〜p.200に記載の方法)で測定した。
試験は全て3反復制とし、供試土壌に元来含まれていた無機態窒素量を測定するために、肥料を施用していない無肥料区も設けた。各サンプリング日の土壌中のアンモニア態窒素量と硝酸態窒素量を表2に示した。単位はmg/100g風乾土壌である。
【0056】
【表2】

【0057】
実施例1〜5は、40日目においても茶園土壌中における硝酸化成作用を抑え、多くの無機態窒素がアンモニア態窒素で存在しているのに対し、比較例1〜5は硝酸化成作用が進み、アンモニア態窒素から硝酸態窒素に変化しているのがわかる。
【0058】
また、これらの値の合計値(無機態窒素合計量)から、下記式に従って20日または40日培養後の無機化率を算出した。
無機化率(%)=(培養後の施用土壌に含まれる無機態窒素合計量−培養後の無肥料区土壌に含まれる無機態窒素合計量)/施用前の肥料に含まれる全窒素量×100
結果を表3に示した。尚、表中に示した無機化率の差(40日目−20日目)は緩効性の指標であり、20日目の無機化率(%)に比べこの値が著しく少ない場合は緩効性と見なされない。
【0059】
【表3】

【0060】
無機化率の差からもあきらかの通り、実施例1〜5は尿素−脂肪族アルデヒド縮合物と有機系肥料の双方がともに無機化が進み、長期にわたって肥効を発揮しているのに対し、比較例1〜4は無機化が緩慢または停滞状態になり、長期の肥効は発揮されていない。さらに、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の無機化は硝酸化成抑制材の影響をさほど受けないことも明らかとなった。比較例5は無機化が実施例並みに推移したが、表2の結果より硝酸態窒素が多かった。
【0061】
上記の結果から、本発明の粒状緩効性窒素肥料であれば、硝酸化成抑制材の効果が顕著に発現し、長期に渡ってその効果が持続することが明らかとなった。また、肥効自体も長期に渡っていることも示された。
【0062】
5.栽培試験
熊本県水俣市の茶樹(品種:やぶきた、10年生)を用いて栽培試験を行った。実施例1、3、5及び比較例1、5で得られた肥料を用い、畝間の表層に施肥を行った。施肥は2月中旬に春肥として20kg−N/10a、3月下旬に芽だし肥として7kg−N/10a、一番茶後の5月中旬に夏肥として18kg−N/10aとなるようにするほか、リン酸と加里は慣行法に準じた施肥設計を行った。
収穫は一番茶の摘採を5月下旬、二番茶の摘採を7月上旬に行った。得られた収穫物に関しては荒茶のアミノ酸含量を測定し、品質の調査を行った。結果を表4に示す。
採取した荒茶中のアミノ酸含量をニンヒドリン比色法(ソフトサイエンス社、新農学実験マニュアル、p.181〜p.182に記載の方法)に準じて測定した。
【0063】
【表4】

【0064】
その結果、実施例1、3、5では収量、品質ともに良好であったのに対し、比較例1では肥効が弱く収量が低下する傾向であった。これには、肥料の無機化が関与しているもの推察される。また、比較例5ではアミノ酸含量が低下しており、硝酸化成による影響と推察される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物、リン酸化合物、有機系肥料及び硝酸化成抑制材を含有する粒状有機緩効性窒素肥料であり、粒状有機緩効性窒素肥料における全リン酸含有割合がP換算で0.01〜5重量%である粒状有機緩効性窒素肥料。
【請求項2】
尿素−脂肪族アルデヒド縮合物が、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素、グリオキサール縮合尿素、メチロール尿素重合肥料、及びホルムアルデヒド加工尿素肥料の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
【請求項3】
有機系肥料におけるリン酸含有割合がP換算で0.01〜1.5重量%であり、かつ窒素含有割合/リン酸含有割合の重量比が5以上である、請求項1または2記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
【請求項4】
硝酸化成抑制材がジシアンジアミドである、請求項1〜3のいずれか1項記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
【請求項5】
粒状有機緩効性窒素肥料における全窒素含有割合が10〜30重量%である、請求項1〜4のいずれか1項記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
【請求項6】
粒径が0.5〜50mmである、請求項1〜5のいずれか1項記載の粒状有機緩効性窒素肥料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の粒状有機緩効性窒素肥料を用いる作物の栽培方法。

【公開番号】特開2006−321669(P2006−321669A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144312(P2005−144312)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】