説明

粒状燃料の燃焼温風発生器

【課題】粒状燃料を燃焼させた燃焼熱を有効利用して温風を発生させることを課題とする。
【解決手段】上部に燃料容器兼燃焼室蓋を設け、下部に火格子付受け皿を設けて、筒状に形成された金属製の燃料容器兼燃焼室に隣接して、上部に煙突を設けて筒状に形成された金属製の排煙室を配設し、該燃料容器兼燃焼室の中央で火格子付受け皿6の上部に排煙誘導吸込口を臨ませ、隣接する排煙室に排煙誘導吐出口を位置させた排煙誘導筒を設けて、燃料容器兼燃焼室と煙突とを排煙室を介して連通させ、該排煙室内に煙突へ放出される排煙の燃焼熱を吸収して内部の温風を再加熱できる再加熱管を配設した粒状燃料の燃焼温風発生器として、排煙の燃焼熱を再加熱管に有効に伝達するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中目粉炭など粒状燃料を用いた燃焼器に関し、粒状燃料の補充間隔時間を長くできる粒状燃料の燃焼器であって、燃焼により発生する熱を効率良く温風に変換し、所望室内に温風を供給する粒状燃料の燃焼温風発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農作物等の栽培において、ビニールハウスなどの農業用温室が使用されている。この温室は、地域やその目的に応じて、さまざまな態様で使用されており、たとえば、温室内に暖房手段がなく密閉されたビニールで温室全体を覆って保温するもの、温室内に暖房手段を備えておき、夜間などに限定して強制暖房するもの、又は、常時強制暖房するものなどがある。
【0003】
従来、上記の暖房手段として、一般的に、重油等を燃焼させる専用の暖房装置が使用されてきた。この暖房装置は、温室の内部に設置される場合、一般的に重油の燃焼運転を、運転稼働状態、運転停止状態にオンオフ制御させることにより温度制御が行われる。また、煙突等を介して燃焼ガスを温室の外部に放出している。この理由は、重油等の燃焼ガスは、硫黄酸化物等を含んでいるため、温室内に放出すると温室内の空気を汚染し、硫黄酸化物が農作物に付着してしまう恐れがあるからである。
【0004】
ところで、産業廃棄物扱いとされている大量の木材や、間伐材等の木材を有効利用する一つの方法として、これら木材を木炭や木質ペレットとして再生し、再生された木炭や木質ペレットを有効利用する一つに、暖房用燃料として使用する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3025953号公報「木炭ストーブ」
【特許文献2】特開2005−207727号公報「木炭燃焼装置」
【特許文献3】特開2006−23074号公報「木炭燃焼装置」
【特許文献4】特開2009−198113号公報「固形燃料燃焼器」
【特許文献5】特開2007−56237号公報「炭化物生成窯及び炭化物生成方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1〜特許文献4に示されるように、木材を木炭や木質ペレットに加工して暖房用燃料として使用する場合には、木材を燃料として手頃な大きさに切断、割砕するなどの手間を要し、また燃えやすいように乾燥保管しておくなどの課題があり、現実的にはなかなか普及が進まない状況とみられるのが実情である。
そのための一方策として、特許文献5に示されるように大量の木材を上方が開放されたプール状の平炉で機械力を駆使して取り扱い性の良い粉粒状の粉炭を製造する技術が開発されており、本発明者は、この粉炭を燃料として活用することにより木材を暖房用燃料として使用する場合の上記課題を解決できるのではないかとの発想に至ったものであり、本発明は、この粉炭のうちの中目粉炭(屑炭)を燃料として有効利用し、長時間燃焼と燃焼熱を熱交換し、温風で温室内を暖房する装置である。
【0007】
木炭(中目粉炭を含む)は、木材を暖房用燃料として使用する場合に比べて、燃料として大きさが揃っていること、乾燥されているなどの利点があるが、普及が進んでいる重油や灯油などの液体燃料に比べて、火力(熱量)を自動調整しながら長時間連続で燃焼(発熱)させることが困難であるといった問題があった。すなわち、温室内で木炭燃焼装置を使用するには、安定した火力で長時間燃焼することができる木炭燃焼装置を開発する必要があった。
そのために、▲1▼粉炭(中目粉炭含む屑炭)の有効利用をすること。▲2▼粉炭を燃やして燃焼により発生する熱を温風に変換し、該温風を供給することにより農業用ビニールハウス等温室内の基礎温度を上げ、既設の重油や灯油による暖房装置の燃料消費量を抑制すること。▲3▼夜間に燃料(粉炭)の補給を要しないこと。▲4▼粉炭の生産者は、製品としての粉炭を山積み保管している場合が多く、山積みされた粉炭製品の自然発火を防ぐために、時々適宜に散水をしている。そのために、粉炭が湿潤して概ね10〜13%の水分含有率があり、粉炭が燃焼し難い。▲5▼粉炭の燃焼ガスは直接農業用の温室内に放出することを避ける。などの課題解決が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するために創案されたものであり、火力を安定させて長時間に亘り粒状の木炭(中目粉炭)を燃焼させ、燃料の補充間隔時間を長くできる粒状燃料の燃焼温風発生器を開発し、温室内の基礎温度を上げることを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の粒状燃料の燃焼温風発生器は、中目粉炭が収められる燃料容器兼燃焼室と、燃焼室内煙突、燃焼空気供給口、火格子、排気口、空気取入送風機、熱交換フィン、再過熱管、及び、温風取出口を有し、燃焼空気供給口の開度を調節することにより、燃焼時間と火力の調整ができる構成とした。
【0010】
このための解決手段の第一として、上部に燃料容器兼燃焼室蓋を設け、下部に火格子付受け皿を設けて、筒状に形成された金属製の燃料容器兼燃焼室に隣接して、上部に煙突を設けて筒状に形成された金属製の排煙室を配設し、該燃料容器兼燃焼室の中央で火格子付受け皿6の上部に排煙誘導吸込口を臨ませ、隣接する排煙室に排煙誘導吐出口を位置させた排煙誘導筒を設けて、燃料容器兼燃焼室と煙突とを排煙室を介して連通させ、該排煙室内に煙突へ放出される排煙の燃焼熱を吸収して内部の温風を再加熱できる再加熱管を配設したことを特徴とするものである。
【0011】
また解決手段の第二として、燃料容器兼燃焼室および排煙室の外周全域に沿わせて、金属製の熱交換フィンや外カバーからなる風洞を巡らして、燃料容器兼燃焼室および排煙室の外壁熱 余熱を風洞内に伝達するように構成し、該風洞の入り口側に、外気空気を導入する空気取入れ送風機を連設し、該風洞の出口側を、温風取出口を有する再加熱管に連通させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の粒状燃料の燃焼温風発生器によれば、燃焼により発生する熱を効率良く温風に変換して、所望室内に温風を供給するものであり、従来の重油や灯油などの液体燃料を使用する暖房装置と併用することにより、温室内の温度調節もでき、温室内の基礎温度を上げることにより、液体燃料の使用量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の右側面内部の概略断面図を示している。
【図2】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の正面要部、排煙室部分の概略断面図を示している。
【図3】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の概略正面図を示し、燃焼空気、排ガスの流れを示している。
【図4】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の概略右側面図を示し、燃焼空気、排ガスの流れを示している。
【図5】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の概略平面図を示している。
【図6】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の正面右斜めからの作用状態を示す透視図で、熱交換フィンを介した空気の流れを示している。
【図7】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の後面右斜めからの作用状態を示す透視図で、熱交換フィンを介した空気の流れを示している。
【図8】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の燃焼試験のグラフデータの一部で、中目粉炭を10Kg投入したデータを示している。
【図9】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器を追加設置した農業温室の概略正面の断面図を示している。
【図10】本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器を追加設置した農業温室の概略平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施形態に係る粒状燃料の燃焼温風発生器を詳細に説明する。
図1において、粒状燃料の燃焼温風発生器1は、燃料容器兼燃焼室4、排煙誘導筒8、排煙室9、煙突9A、空気取入送風機16、風洞14、熱交換フィン15、再加熱管19、温風取出口20とからなっており、該粒状燃料の燃焼温風発生器1の外側を外カバー2で覆うように囲っている。
図1に示す、粒状燃料の燃焼温風発生器1の概略断面図から、燃料として使用する中目粉炭7は、大きさが不揃いな塊状、片状、粒状のものが混在する不整形であり、通常、一辺が約30mm以下で粉状のものも混在する。好ましくは、粉状のものが混ざらないほうが、燃焼材7の目詰まりがなく酸素補給が促進されて火力が安定する。
なお、燃料とする木炭は、上記中目粉炭7に限定するものではなく、一辺が30mm以上の木炭を混合させたものでもよい。本発明ではこれらの塊状、片状、粒状、粉状の木炭燃料を総称して粒状燃料と表現している。
【0015】
(燃料容器兼燃焼室)
燃料容器兼燃焼室4は、円筒状の金属製のドラム容器であり、燃料の中目粉炭7は該燃料容器兼燃焼室4の上部を開閉自在に被覆する円筒状の上蓋5を開放して投入され、下部の円筒状の火格子付受け皿6で受け止める。該火格子付受け皿6は側方に出し入れ自在にスライドされる構成になっており、受け皿取り出し口10を介して外部に取り出して該火格子付受け皿6の火格子部の掃除が可能とされている。11は火格子付受け皿6の下部にある灰溜で、該灰溜11の底部に灰受皿13が側方へスライド自在に載置されており、灰取出し口12から外部に取り出して灰の処理を可能にできる。
【0016】
また、本実施形態の燃料容器兼燃焼室4の容器には、約25kgの中目粉炭7が投入できる大容量に構成されたものであり、ほぼ満杯となるまで中目粉炭7を投入すると、たとえば、1時間当たり2kgの中目粉炭7を燃焼消費する場合は、途中で補給しなくても、約12.5時間に亘り連続運転をすることができる。
したがって、粒状燃料の補充間隔時間を長くできるものであり、夜間の燃料補給を省略して、一日に二回程度の燃料補給で連続運転をすることができる。
【0017】
燃料容器兼燃焼室4に投入した中目粉炭7に着火するときには、円筒状の火格子付受け皿6を外部にスライドさせて引き出して着火用の火種を載せた後に燃料容器兼燃焼室4の下部の所定位置に火格子付受け皿6を押し戻すことで着火することができる。あるいは、灰取出し口12を開放して灰溜11を利用して、着火用のライター、ガストーチなどを臨ませて火格子付受け皿6の火格子から中目粉炭7の下部に着火することもできるものであり、着火されると排煙誘導筒8が煙突9Aの吸引力を受けて中目粉炭7内の空気を引き抜き着火を促進して中目粉炭7の燃焼を導くものである。
【0018】
(排煙誘導筒)
排煙誘導筒8は、エルボ状の金属パイプ製で直角に屈曲形成されており、燃料容器兼燃焼室4の中央で火格子付受け皿6の上部に排煙誘導吸込口8Aを臨ませ、隣接する排煙室9に排煙誘導吐出口8Bを位置させている。これにより燃焼排煙が燃料容器兼燃焼室4から排煙室9に排煙を誘導して燃料の燃焼を促進するものであると共に、燃料の中目粉炭7が若干の水分(10〜13%)を含んでいるので、前記燃料容器兼燃焼室4の容器内で中目粉炭7の乾燥を促進する予備乾燥をする目的と、該中目粉炭7が燃焼することに伴い発生する高温の燃焼ガスを直接排煙室9に送り再加熱管19の加熱を早く高温にする目的である。
【0019】
(排煙室)
本実施形態の排煙室9は縦長の箱状に形成されており、上部に煙突9Aが設けてあり、下部に温風取出口20を有する再加熱管19を煙突9Aに近い高所から下部に向けて斜めにする状態で内蔵している。該排煙室9は、燃料容器兼燃焼室4の背面側に隣接して配設されており、燃料容器兼燃焼室4で発生する高温の排煙を排煙誘導筒8を介して受け入れることにより、煙突9Aから排煙される高温の排気ガス温度を利用して、再加熱管19が排煙室9内の熱を吸収して内部の温風を加熱するため、煙突9Aから排気される排気ガス温度を下げることができる。
【0020】
(空気取入送風機)
本実施形態の空気取入送風機16は、電源100v 容量80w 送風量 9.5m/minとしたが、送風機容量を変えることにより、温風温度及び排気ガス温度を変えることができる。
【0021】
(熱交換フィン)
本実施形態の熱交換フィン15は金属製で、金属製の燃料容器兼燃焼室4及び排煙室9の外装に横向き鰭状に溶着して取付けられ、空気取入送風機16により送られる空気が、熱交換フィン15や外カバー2、排煙室壁3、燃焼ガス道18の外側壁3で構成された風洞14内を通過して、該燃料容器兼燃焼室4及び排煙室9の熱を受けて熱せられている熱交換フィン15に接することで熱せられ、温風に変換するものである。
【0022】
(風洞)
本実施形態の風洞は、図6、図7に詳細に図示されているが、空気取入れ送風機16に連設されて外気空気を導入する燃料容器兼燃焼室4の正面に位置する入り口側正面風洞(1次加熱用)14Aの上下複数層風洞で1次加熱され、次に燃料容器兼燃焼室4と排煙室9の右側面に位置する上下多数の複数層に形成された側面風洞(2次加熱用)14Bで2次加熱され、続いて排煙室9の背面に位置する上下多数の複数層に形成された背面風洞(3次加熱用)14Cで3次加熱され、該背面風洞(3次加熱用)14Cの出口側に縦方向の連通路からなる縦通路風洞(4次加熱用)14Dで4次加熱する。そして、縦通路風洞(4次加熱用)14Dの上部から、排煙室9の背面部、右側面部を経由して排煙室9の背面上部に至るバイパス風洞(5次加熱用)14Eで5次加熱し、更に 排煙室9の背面から上部を超えて正面側に迂回する上部風洞(6次加熱用)14Fで6次加熱される。
【0023】
このように6次加熱された温風を燃料容器兼燃焼室4の左側面に上部位置から下部位置に向かうように葛折り状に形成されたジグザグ風洞(7次加熱用)14Gを通過させることにより7次加熱を行い、そして排煙室9の左側面下部から上部の再加熱管19に連通する縦方向の出口側風洞(8次加熱用)14Hで8次加熱を行い、最後に再加熱管19で最終の再加熱をすることにより、温風取出口20の温度を高温にすることができるものである。
【0024】
以上のように、金属製の燃料容器兼燃焼室4および排煙室9の外周全域に沿わせて、金属製の熱交換フィン15、外カバー2などからなる風洞14が巡らされている。すなわち、空気取入れ送風機16に連設されて外気空気を導入する入り口側正面風洞(1次加熱用)14A、側面風洞(2次加熱用)14B、背面風洞(3次加熱用)14C、縦通路風洞(4次加熱用)14D、バイパス風洞(5次加熱用)14E、上部風洞(6次加熱用)14F、ジグザグ風洞(7次加熱用)14G、出口側風洞(8次加熱用)14H、が巡らされており、出口側風洞(8次加熱用)14Hが再加熱管19に連通している。燃料の燃焼により、金属製の熱交換フィン15、外カバー2などからなる風洞14が熱せられているので、空気取入れ送風機16から供給される空気がこの風洞14内を通過することにより1次加熱から8次加熱に至るまでに順次加熱されて熱せられて、最後には排煙室9内に設けられた再加熱管19で内部の温風が再加熱されて煙突9Aへ放出される放出熱を再加熱管19内の温風の加熱促進に有効利用して、温風取出口20から温風ダクト21を通じて温室24内に放出される。
【0025】
(再加熱管)
上記のように、上記熱交換フィン15で構成される風洞14のみでは十分な熱回収ができない恐れがあるため、温風取出口20に連通する再加熱管19を排煙室9の中を斜めに貫通させることにより限られたスペースの中でコスト安価に可及的に再加熱管19を長く構成して、排煙室9内の熱を有効的に吸収することができて、再加熱管19を通過する温風を再加熱して回収熱効率を上げる目的のものである。
【0026】
上記により、図8に示すように、煙突9Aからの排気温度と、温風取出口20からの温風取出口温度の差は殆んど無くなる。
すなわち、排気口の温度と温風取出口の温度がほぼ一緒であることは、熱回収効率の高いことを示している。また、燃料容器兼燃焼室4の容量を大きく変更することで中目粉炭の量を増やすことが可能になることにより、さらに燃料補給回数を少なくして燃焼の連続運転の長時間対応が可能であることも示している。
【0027】
(温室への応用)
図9および10は、本発明の実施形態に係る粒状燃料の燃焼温風発生器の設置状態を説明するための概略図を示している。
同図において、粉炭燃焼温風発生器1は、農作物としての一例である薔薇23を栽培する温室24の内部に設置してあり、粒状燃料の燃焼温風発生器1の温風取出口20に接続されているビニールホースなどによる温風ダクト21の末端開放端および温風ダクト21の途中に多数穿設されている温風吹出口22から温風を温室24の内部空間25に供給する。このようにすると、温室24の内部空間25の温度を上げることができる。
【0028】
内部空間25の温度を上げることにより、既設の重油による暖房装置28の運転間隔が長くなり、重油や灯油などの液体燃料の使用量を抑制でき、コスト削減と地球温暖化の抑制ができる。
また、本発明に係る粒状燃料の粉炭燃焼温風発生器1は、温室24の内部温度が設定値より上昇した場合は、温度調節器26の検知結果により、空気取入れ送風機16を停止し、温風の送風を停止する機能をもっている。
【実施例】
【0029】
以上の実施形態の構成により、粒状燃料の燃焼温風発生器1の燃料容器兼燃焼室4に投入された燃料(中目粉炭)7は、燃料容器兼燃焼室蓋5を閉めた状態で燃焼空気調節口17からの空気を煙突9Aからの吸引力で吸い込みながら燃焼させられ、排煙は排煙誘導筒8および燃焼ガス道18から排煙室9に至り、排煙室9から煙突9Aを経て外部に放出される。これにより燃料(中目粉炭)7は、湿潤状態のものでも燃焼熱を受けて乾燥を促進されて順調に燃焼して、金属製の燃料容器兼燃焼室4および排煙室9を熱するものであり、これらの外周に巡らされている金属製の熱交換フィン15などからなる風洞14を熱しているので、空気取入れ送風機16から供給される空気がこの風洞14内を通過することにより順次熱せられて、最後には排煙室9内に設けられた再加熱管19で加熱されて煙突9Aへ放出される放出熱を再加熱管19内の温風の加熱促進に有効利用して、温風取出口20から温風ダクト21を通じて温風吹出口22から温室24内に放出される。このようにして、燃料(中目粉炭)7の燃焼エネルギーを温風発生に有効的に利用して温室内の補助暖房に利用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器は、燃焼ガスは煙突から放出し、空気を温風に変換して暖房する装置であるため、広い範囲での利用可能性がある。
たとえば、農業用ビニールハウス栽培に利用することのほか、中規模の事務所、食堂、集会所、娯楽施設等の暖房としても使用することが可能であり、これにより、通常のエアコンに比べて、電気の使用量を極端に低減できるため、地球温暖化を抑制することができる。また、家庭用や山小屋等の、室内暖房、床下暖房にも適している。
また、排煙室の内部や燃料容器兼燃焼室4および排煙室9の外周などに、水道に連通している金属製パイプなどを配設することにより、水道水を温めて温水に変換することも可能であるものである。
【0031】
なお、本発明に係る粒状燃料の燃焼温風発生器は、燃料として木炭を例示したが、木炭以外の竹炭材や食品残滓の有機廃棄物炭材でも良く、廃棄木質材や間伐材、流木や製材所から排出される樹皮、木屑を粉砕して圧縮整形し、直径4〜8mm程度のペレット形状にした木質ペレットや、該木質ペレットに粉炭を混入した粉炭入り木質ペレットなどの燃料材でも採用して燃焼させることが可能であり、これらをすべて含めて粒状燃料と総称するものであることを付言する。
【符号の説明】
【0032】
1 粒状燃料の燃焼温風発生器
2 外カバー
3 排煙室壁
4 燃料容器兼燃焼室
5 燃料容器兼燃焼室蓋
6 火格子付受け皿
7 燃料(中目粉炭)
8 排煙誘導筒
8A 排煙誘導吸込口
8B 排煙誘導吐出口
9 排煙室
9A 煙突
10 火格子付受け皿取出し口
11 灰溜
12 灰取出し口
13 灰受皿
14 風洞
14A 入り口側正面風洞(1次加熱用)
14B 側面風洞(2次加熱用)
14C 背面風洞(3次加熱用)
14D 縦通路風洞(4次加熱用)
14E バイパス風洞(5次加熱用)
14F 上部風洞(6次加熱用)
14G ジグザグ風洞(7次加熱用)
14H 出口側風洞(8次加熱用)
15 熱交換フィン
16 空気取入れ送風機
17 燃焼空気調節口
18 燃焼ガス道
19 再加熱管
20 温風取出口
21 温風ダクト
22 温風吹出口
23 農作物(薔薇)
24 温室
25 温室内部空間
26 温度調節器
27 制御箱
28 重油暖房機
29 炭酸ガス発生機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に燃料容器兼燃焼室蓋を設け、下部に火格子付受け皿を設けて、筒状に形成された金属製の燃料容器兼燃焼室に隣接して、上部に煙突を設けて筒状に形成された金属製の排煙室を配設し、該燃料容器兼燃焼室の中央で火格子付受け皿6の上部に排煙誘導吸込口を臨ませ、隣接する排煙室に排煙誘導吐出口を位置させた排煙誘導筒を設けて、燃料容器兼燃焼室と煙突とを排煙室を介して連通させ、該排煙室内に煙突へ放出される排煙の燃焼熱を吸収して内部の温風を再加熱できる再加熱管を配設したことを特徴とする粒状燃料の燃焼温風発生器。
【請求項2】
燃料容器兼燃焼室および排煙室の外周全域に沿わせて、金属製の熱交換フィンや外カバーからなる風洞を巡らして、燃料容器兼燃焼室および排煙室の外壁熱 余熱を風洞内に伝達するように構成し、該風洞の入り口側に、外気空気を導入する空気取入れ送風機を連設し、該風洞の出口側を、温風取出口を有する再加熱管に連通させたことを特徴とする請求項1に記載された粒状燃料の燃焼温風発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−52781(P2012−52781A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211348(P2010−211348)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(510252999)テクノ化工機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】