粘弾性評価装置
【課題】圧電振動子を利用した比較的簡単な構造を有し、センサの洗浄が不要で使い捨てが可能であり、安全かつ簡便に粘弾性測定を行うことができる粘弾性評価装置を提供する。
【解決手段】センサ部11が、すべり波の発信および受信が可能な圧電振動子24を有している。センサ部11は、粘弾性体を入れるための容器22を有し、圧電振動子24が容器22の内部に配置されている。測定器本体12が、センサ部11を着脱可能に設けられ、センサ部11を装着したとき、圧電振動子24の電極に電気的に接続して圧電振動子24を駆動可能に構成されている。
【解決手段】センサ部11が、すべり波の発信および受信が可能な圧電振動子24を有している。センサ部11は、粘弾性体を入れるための容器22を有し、圧電振動子24が容器22の内部に配置されている。測定器本体12が、センサ部11を着脱可能に設けられ、センサ部11を装着したとき、圧電振動子24の電極に電気的に接続して圧電振動子24を駆動可能に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘弾性評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種液体試料の物性を評価する手段として、粘弾性の測定が利用されている。接着材や印刷インクや塗装材などの利用時の粘度制御、樹脂モールトや化学反応などのプロセスにおける流動制御、エンジンの潤滑などのために、粘弾性特性は重要である。特に、高分子材料は、測定する温度で粘弾性特性が変化する。また、最近、生体試料、特に血液等の粘弾性測定が、医療分野における各種研究、診断において重要であることが明らかになりつつある。
【0003】
従来、液体の粘性は、円筒回転式の粘度計や、超音波振動子を利用して測定されている(例えば、非特許文献1または2参照)。また、ゴムなどの粘弾性体特性は、一般的に、一定の圧力をプローブに印加して、そのときの変位をマイクロメータで測定する方法により得られている。また、圧電すべり波振動子による数百kHzからMHz帯における粘弾性測定も行われている(例えば、特許文献1、非特許文献3または4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】根岸勝雄、“振動で粘度を計る”、超音波テクノ、1995年、Vol.7、No.2,p.15−18
【非特許文献2】W. P. Mason, M. Hill, “Measurement of the Viscosity and ShearElasticity of Liquids by Means of a Tortionally Vibrating Crystal”, Trans.ASME, 1947年, p.359-370
【非特許文献3】M. Bannai and N. Wakatsuki, “A Study on Shear Wave LiTaO3 Resonators for Viscosity Sensor”, Jpn. J. Appl. Phys., 2003May, Vol.42 Part.1 No.5B, p.3093-3097
【非特許文献4】M.Bannai and N. Wakatsuki, “LiTaO3 Shear Wave Resonator forViscosity Measurement of Polymer Liquid in MHz Range”, Jpn. J. Appl. Phys., 2004, Vol.43No.5B, p.3031-3034
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−265576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高分子材料の測定では、容器の汚染の洗浄が不可欠であるが、洗浄用の有機溶剤の使用は煩雑でコストがかかるという課題があった。また、生体試料の測定では、有害物質や、ウィルス等が含まれる危険物質を扱うため、測定時および測定後のセンサの廃棄処理を行う必要があるという課題があった。
【0007】
従来の粘度計や超音波振動子による測定では、いずれも比較的大型の装置と高価な浸漬プローブが必要であるという課題があった。また、マイクロメータによる測定法でも、大量の弾性体とその粘弾性の大きさに対応した特殊なプローブが必要であるという課題があった。圧電すべり波振動子による測定では、これらの課題を克服した携帯型・使い捨てタイプのものはまだ実用化に至っていないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、圧電振動子を利用した比較的簡単な構造を有し、センサの洗浄が不要で使い捨てが可能であり、安全かつ簡便に粘弾性測定を行うことができる粘弾性評価装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、特許文献1で開示した技術に基づき、具体的な上記課題の解決を検討した。まず、試料と振動子表面との密着性を向上させ、かつ試料中の空気含有の影響を除くため、試料滴下後、振動子搭載ケースを装置に搭載する直前に、脱気口のある小形の容器中で注射器構造などの簡易な脱気装置で脱気した後、大気圧に戻し、その後で装置に搭載して接続することを考案し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る粘弾性評価装置は、すべり波の発信および受信が可能な圧電振動子を有するセンサ部と、前記センサ部を着脱可能に設けられ、前記センサ部を装着したとき、前記圧電振動子の電極に電気的に接続して前記圧電振動子を駆動可能に構成された測定器本体とを特徴とする。
【0011】
本発明に係る粘弾性評価装置は、圧電振動子を利用して、すべり波による粘弾性の測定を行うことができ、粘弾性体の高周波特性等を得ることができる。このため、比較的簡単な構造により簡便に粘弾性測定を行うことができ、大型の装置や特殊なプローブを必要としない。また、センサ部が着脱可能であるため、測定時に有害物質や危険物質等がセンサ部に付着しても、測定後にセンサ部を取り外して廃棄することができる。廃棄後に、新しいセンサ部を装着することにより、再び測定を行うことができる。このように、装置全体ではなく、センサ部のみの使い捨てが可能であり、安全性が高い。また、センサの洗浄が不要であるため、洗浄コストがかからず、安価である。なお、すべり波(shear wave)は、せん断波とも言われている。
【0012】
本発明に係る粘弾性評価装置で、前記センサ部は粘弾性体を入れるための容器を有し、前記圧電振動子が前記容器の内部に配置されていてもよい。この場合、容器に粘弾性体を入れることにより、圧電振動子で容易に測定を行うことができる。
【0013】
本発明に係る粘弾性評価装置は、前記圧電振動子が凹部を有する形状に形成され、前記凹部が粘弾性体を入れるための容器を構成していてもよい。この場合、簡単な構成で、圧電振動子に直接、粘弾性体を接触させることができ、確実に測定を行うことができる。
【0014】
本発明に係る粘弾性評価装置で、前記測定器本体は密閉可能な断熱室を有し、前記断熱室の内部に前記センサ部を装着可能に構成されていることが好ましい。この場合、断熱室の内部で、安定した温度条件等のもとで測定を行うことができる。
【0015】
本発明に係る粘弾性評価装置で、前記測定器本体は密閉可能な断熱室を有し、前記断熱室の内部に粘弾性体を入れるための容器を有し、前記圧電振動子が前記容器の内部に配置されるよう、前記センサ部を装着可能に構成されていてもよい。この場合、容器に粘弾性体を入れることにより、圧電振動子で容易に測定を行うことができる。また、断熱室の内部で、安定した温度条件等のもとで測定を行うことができる。
【0016】
本発明に係る粘弾性評価装置で、前記圧電振動子は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の直流導電特性を測定可能に、1対の電極を有していることが好ましい。また、本発明に係る粘弾性評価装置は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の真空特性を測定可能に、前記断熱室の内部の空気を排出する排気手段を有していてもよい。また、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の温度特性を測定可能に、前記断熱室の内部を加熱する加熱手段と、前記断熱室の内部を冷却する冷却手段とを有していてもよい。また、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の電磁波特性を測定可能に、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体に電磁波を照射する電磁波照射手段を有していてもよい。
【0017】
また、本発明に係る粘弾性評価装置は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の光特性を測定可能に、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体に光を照射する光照射手段を有していてもよい。この場合、例えば、圧電振動子の表面に光感応性樹脂を塗布し、赤外光、可視光または紫外光を連続的またはパルス的に圧電振動子に照射して、圧電振動子のインピーダンス特性を連続的または間歇的に測定することにより、粘弾性体の光特性を得ることができる。また、圧電振動子の振動面に光を均一に照射できるよう、圧電振動子と光照射手段とが配置されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る粘弾性評価装置は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体のガス特性を測定可能に、前記断熱室の内部に所定の成分のガスを供給するガス供給手段を有していてもよい。この場合、例えば、断熱室の内部の空気を所定のガスで置換した雰囲気中に、電気端子が耐圧力特性を有する圧電振動子を配置し、粘弾性体にガスが溶解した状態で、圧電振動子のインピーダンス特性を連続的または間歇的に測定することにより、粘弾性体のガス特性を得ることができる。また、粘弾性体が流動するとき、圧電振動子が受ける応力が最小となるよう、圧電振動子が配置されていることが好ましい。
【0019】
これらの粘弾性体の直流導電特性、真空特性、温度特性、光特性、高周波特性およびガス特性を測定可能な場合、これらを単独で、または、さまざまに組み合わせて測定することにより、粘弾性体の物性を細かく調べることができる。例えば、粘弾性体が置かれた断熱室の内部の雰囲気変化を連続的または間歇的に制御して、圧電振動子のインピーダンス特性を測定し、共振周波数またはインピーダンス最小値との相関を導出することにより、粘弾性体の様々な物性を得ることができる。制御する断熱室の内部の雰囲気は、温度、赤外線や可視光、X線などを含む電磁波、静磁界、静電界、応力または圧力や気圧などである。
【0020】
本発明に係る粘弾性評価装置は、圧電振動子の使用前の保管用のケースと、測定後の圧電振動子の保管用ケースとを一体化し、使用前後の振動子共振周波数や共振抵抗などの振動子情報を、部品番号やQRコードなどで記載し、対応させてもよい。また、本発明に係る粘弾性評価装置は、大型容器中の粘弾性物体の粘弾性および流速を測定するための浸漬プローブ型であってもよい。電磁波および超音波、光などによりセンサ部または測定器本体と通信可能であって、遠隔操作、データ収集などの制御ができる制御手段を有していてもよい。また、大型容器中の粘弾性物体の状態を測定する方法であり、測定に必要な粘弾性体の体積が1cc以下であるような本発明に係る粘弾性評価装置を複数使用して、マイクロピペット等で同時に多数点の試料を摘出し粘弾性を測定して、容器中の粘弾性体の特性分布を推定してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、圧電振動子を利用した比較的簡単な構造を有し、センサの洗浄が不要で使い捨てが可能であり、安全かつ簡便に粘弾性測定を行うことができる粘弾性評価装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態の粘弾性評価装置を示す(a)側面図、(b)センサ部の拡大平面図である。
【図2】図1に示す粘弾性評価装置の圧電振動子を示す斜視図である。
【図3】図1に示す粘弾性評価装置の圧電振動子の等価回路図である。
【図4】図1に示す粘弾性評価装置の圧電振動子の(a)等価回路と並列抵抗を示す回路図、(b)電極構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示す粘弾性評価装置の使用状態を示す構成図である。
【図6】図1に示す粘弾性評価装置の、測定前後のセンサ部の保存状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の粘弾性評価装置を示す(a)側面図、(b)センサ部の拡大側面図である。
【図8】図7に示す粘弾性評価装置の、細いマイクロピペットなどで試料を同時収集して粘弾性分布測定を行う方法を示す説明図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の粘弾性評価装置を示す(a)断面図、(b)センサ部の取付部分の拡大平面図である。
【図10】図9に示す粘弾性評価装置の(a)金属ケース内の断面図、(b)センサ部の拡大平面図である。
【図11】図9に示す粘弾性評価装置のセンサ部の変形例を示す(a)断面図、(b)センサ部の拡大側面図である。
【図12】図9に示す粘弾性評価装置の光特性測定の変形例を示す(a)光ファイバーを用いたときの断面図、(b)光出射半導体を用いたときの断面図である。
【図13】図9に示す粘弾性評価装置の電磁波特性測定の変形例を示す(a)高周波パワー発生装置を用いたときの断面図、(b)電磁波発生装置を用いたときの断面図である。
【図14】図9に示す粘弾性評価装置のガス特性測定の変形例を示す断面図である。
【図15】図9に示す粘弾性評価装置の真空特性測定の変形例を示す断面図である。
【図16】図1、図7または図9に示す粘弾性評価装置の圧電振動子の変形例を示す斜視図である。
【図17】図9に示す粘弾性評価装置により測定された(a)時間経過による固着剤のインピーダンス変化を示すグラフ、(b)時間経過による固着剤の周波数変化を示すグラフである。
【図18】図9に示す粘弾性評価装置により測定された、グリセリン100%の共振インピーダンスの温度特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図6は、本発明の第1の実施の形態の粘弾性評価装置を示している。
図1乃至図4に示すように、粘弾性評価装置10は、センサ部11と測定器本体12とを有している。
【0024】
図1(b)に示すように、センサ部11は、着脱基板21と容器22と1対の駆動電極23と圧電振動子24と振動子ケース25とを有している。着脱基板21は、樹脂またはセラミック製で、矩形板状を成している。容器22は、着脱基板21の表面の一端側に、所定の空間を囲むよう壁を設けて形成されている。容器22は、測定試料である粘弾性体を入れるようになっている。各駆動電極23は、着脱基板21の表面に、インサートモールトや印刷技術により形成されている。各駆動電極23は、それぞれ着脱基板21の両側縁に沿って、着脱基板21の他端から容器22の内部まで伸びるよう設けられている。
【0025】
圧電振動子24は、数百kHzからMHz帯の周波数を有するすべり波の発信および受信が可能に構成されている。なお、この周波数帯では、液体中での波長は、数百μm以下であり、減衰距離も波長と同程度以下である。圧電振動子24は、図2に示す構造を有しており、図3に示すような等価回路で表わされる。圧電振動子24は、タンタル酸リチュームやニオブ酸リチュームなどのストリップ形振動子から成っている。
【0026】
圧電振動子24は、矩形振動板の上下面に1対の対向電極24a,24bが形成されており、電界がかかる中央に振動エネルギーを集中させたままで、上下面間にすべり波を伝搬させ、矩形端面がすべり波の粒子変位方向平行面となるよう構成されている。圧電振動子24は、上下の振動面は矩形であり、全体に均一な振動モードとみなせるようになっている。圧電振動子24は、小形で、量産性に富んでいる。圧電振動子24は、タンタル酸リチュームから成る場合、その単結晶のX板のすべり波の電気機械結合係数が大きく、密度も高く、すべり波音速も早い。圧電振動子24は、数百kHzからMHz帯での基本共振を示すものから成っている。なお、圧電振動子24は、形状は大きくなるが、円板結晶中央に円形電極を配置したものから成っていてもよい。
【0027】
圧電振動子24は、測定試料が導電性を有すると測定結果に影響を与えるため、まず、粘弾性測定に先立ち、直流抵抗を測定しておく必要がある。図4に、直流電気伝導の測定の説明図を示し、図4(a)には圧電振動子24の等価回路と試料の直流抵抗値を示す。測定試料に導電性があり直流抵抗が低いと、共振特性が測定できなかったり、測定誤差が多くなったりする。そこで、共振周波数における制動容量Coのインピーダンスとの絶対値の比較を行うことにより、導電性を有する測定試料で補正を行い、より正確な粘弾性測定が可能になる。また、必要であれば、圧電振動子24は、全体が絶縁物で薄く被覆されていてもよい。
【0028】
図1に示すように、振動子ケース25は、セラミック板から成り、内部に圧電振動子24が収納されている。振動子ケース25は、圧電振動子24の下部に、粘弾性体が浸入できる空間をあけて、圧電振動子24を収納可能になっている。振動子ケース25は、各駆動電極23が圧電振動子24に電気的に接続されるよう、容器22の内部の着脱基板21に取り付けられている。これにより、圧電振動子24は、各駆動電極23から電気を供給されて駆動可能になっている。
【0029】
センサ部11は、振動子ケース25内の圧電振動子24上に塗布または滴下した粘弾性体に含まれる気泡を除去するために、振動子ケース25の内部から空気を吸い出すことにより、振動子ケース25内を減圧にし、粘弾性体を脱気可能になっている。また、注射器形状の装置で、振動子ケース25の内部の空気を吸引可能であってよい。なお、粘弾性体が滴下された圧電振動子24のみを、専用の小型脱気装置で脱気後に、振動子ケース25に収納するよう構成されていてもよい。
【0030】
図1(a)に示すように、測定器本体12は、制御回路ケース26と接続ケーブル部27と制御回路基板28と基板固定ブロック29とを有している。接続ケーブル部27は、制御回路ケース26の一端に接続され、駆動電源からの電気を供給可能になっている。制御回路基板28は、制御回路ケース26の内部に設けられ、接続ケーブル部27と接続されている。制御回路基板28は、各駆動電極23に電気的に接続可能な1対の端子を有し、接続ケーブル部27からの電気を制御してセンサ部11に供給可能になっている。
【0031】
基板固定ブロック29は、制御回路ケース26の他端部に設けられ、センサ部11を着脱可能になっている。基板固定ブロック29は、センサ部11の着脱基板21の他端部を挿入することにより、センサ部11を装着可能になっている。基板固定ブロック29は、センサ部11を装着したとき、センサ部11の各駆動電極23が制御回路基板28の各端子に電気的に接続するようになっている。これにより、測定器本体12は、圧電振動子24を駆動可能かつ制御可能になっている。
【0032】
次に、作用について説明する。
粘弾性評価装置10は、圧電振動子24を利用してすべり波による粘弾性の測定を行うことができ、粘弾性体の高周波特性等を得ることができる。このため、比較的簡単な構造により簡便に粘弾性測定を行うことができ、大型の装置や特殊なプローブを必要としない。また、センサ部11が着脱可能であるため、測定時に有害物質や危険物質等がセンサ部11に付着しても、測定後にセンサ部11を取り外して測定試料とともに廃棄することができる。廃棄後に、新しいセンサ部11を装着することにより、再び測定を行うことができる。このように、装置全体ではなく、センサ部11のみの使い捨てが可能であり、安全性が高い。また、センサ部11の洗浄が不要であるため、洗浄コストがかからず、安価である。
【0033】
また、粘弾性評価装置10は、熱硬化する物質や低温凝固する物質の物性の測定も可能である。図5に示す粘弾性評価装置10による測定の一例では、圧電振動子24の共振周波数付近を周波数掃引して、共振周波数と共振抵抗とを求め、圧電振動子24の共振周波数や共振抵抗の基準値を想定しておき、測定試料の実測値との差を表示している。基準値の想定には、予め平均値を使用する場合、予め測定された圧電振動子24の特性結果を使用する場合、類似振動子を併置して随時測定比較する場合がある。また、粘弾性評価装置10は、可搬型にすることが可能である。センサ部11が測定後に汚染されても、洗浄による再使用を前提としていない廃却可能構造である。
【0034】
粘弾性評価装置10は、圧電振動子24の特性ばらつきを予め測定し基準値を記録する場合があり、測定前の圧電振動子24の適切な保管は重要である。また、容器22を含めたセンサ部11を使い捨てにする場合、問題となるのは使用前の圧電振動子24の特性の確認と、使用後のセンサ部11の保存、廃却である。使用前のセンサ部11は、予期しない汚染によって特性が劣化する場合がある。また、粘弾性試料測定後は、環境保全の立場から、不要な廃棄を防止する必要がある。また、後日、再確認事項が発生する場合も想定される。このため、図6の一例に示すように、測定器内または付属物として、使用前後のセンサ部11を対比して収納できる振動子保管ケースを具備することが好ましい。これにより、本装置内に使用前のセンサ部11を確実に、保存し、バーコードやQRコードで残存数や各圧電振動子24の特性をケースに添付し、センサに取り込むことが可能になる。補完個数を、電気的または光学的に計測することにより、補完個数の記録が可能である。また、測定後の測定試料とセンサ部11は廃却可能であるが、環境汚染物質が含まれる場合も想定されるので、確実な収納が必要である。このため、測定後の測定試料の回収ケースも測定器内または付属品として具備するとよい。
【0035】
化学工業、食品工業、医学、製薬分野などでは、工程における試料の不均一や不安定性を評価するのに、粘弾性特性測定は大変有効である。工程内において試料の混合、希釈を行う場合、試料の粘弾性変化をリアルタイムで測定することが重要である。粘弾性評価装置10は、迅速に試料の粘弾性の変化を測定することが可能である。また、使用後は、センサ部11は取り外し廃棄可能であり、簡便で使い勝手が良く、有機溶媒による洗浄を必要としない環境負荷低減に寄与する装置である。また最近、生体試料、特に血液等の粘弾性測定が医療分野における各種研究、診断において重要であることが明らかになりつつある。これらの試料には有害物質、ウィルス等が含まれる危険物質もあり、測定時および測定後のセンサ廃棄処理が可能な安全な装置である。
【0036】
図7および図8は、本発明の第2の実施の形態の粘弾性評価装置を示している。
図7に示すように、粘弾性評価装置30は、センサ部11と測定器本体12とを有している。なお、以下の説明では、本発明の第1の実施の形態の粘弾性評価装置10と同一の部材には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0037】
図7(b)に示すように、センサ部11は、駆動電極23と圧電振動子24とを有している。駆動電極23は、一端にハーメチックシール電極を有する板バネ状の電極から成っている。圧電振動子24は、駆動電極23の他端に導電性樹脂で固着されている。
【0038】
図7(a)に示すように、測定器本体12は、制御回路ケース26と接続ケーブル部27と制御回路基板28と基板固定ブロック29とを有している。制御回路基板28は、駆動電極23のハーメチックシール電極に電気的に接続可能な1対のソケット31を有し、接続ケーブル部27からの電気を制御してセンサ部11に供給可能になっている。基板固定ブロック29は、制御回路ケース26の他端部に設けられ、センサ部11の駆動電極23をソケット31に挿入したとき、センサ部11が抜けないよう駆動電極23を締め付けて固定するようになっている。これにより、測定器本体12は、圧電振動子24を駆動可能かつ制御可能になっている。
【0039】
次に、作用について説明する。
図7(a)に示すように、粘弾性評価装置30は、容器32に入れた粘弾性体に、圧電振動子24を直接浸して測定を行うことができる。また、センサ部11を、制御回路基板28のソケット31から容易に外すことでき、センサ部11のみの使い捨てが可能である。
【0040】
粘弾性評価装置30は、浸漬プローブ型であるため、迅速に試料の粘弾性の変化を測定することが可能である。容器32内の粘弾性物質の分布測定、流速等の測定が可能となる。粘弾性評価装置30を複数用意し、各圧電振動子24を容器32内に併置することにより、連続的な測定も可能である。配線を含めた圧電振動子24の配置が工程に影響を与える場合、または圧電振動子24の表面の接触物質が工程内で状況変化に迅速に対応して置換されない場合には、マイクロピペットなどで容器32内の複数部分から同時に試料を収集して測定することで、分布や変化が評価できる。
【0041】
また、圧電振動子24を試料に浸すことに何らかの問題がある場合、工程を乱すことなくピペット等で少量の試料を吸引し、圧電振動子24に滴下する。特に、試料に異物が含まれる場合には、ピペット等にフィルター等を装着して、圧電振動子24には試料の粘弾性体のみを滴下する。同時に多数点を吸引し、多数個の圧電振動子24で測定することにより、同一容器32内の粘度の空間分布の測定が可能となる。図8には、その際に使用可能な面分布用のピペット33を示しているが、深さ方向の分布測定も可能である。また、温度特性測定と組み合わせれば、工程の状況のより明確な把握が可能となる。
【0042】
図9乃至図16は、本発明の第3の実施の形態の粘弾性評価装置を示している。
図9および図10に示すように、粘弾性評価装置50は、センサ部11と測定器本体12とを有している。なお、以下の説明では、本発明の第1および第2の実施の形態の粘弾性評価装置10、30と同一の部材には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0043】
図9(b)および図10(b)に示すように、センサ部11は、本発明の第1の実施の形態の粘弾性評価装置10のセンサ部と同じ構成を有し、着脱基板21と容器22と1対の駆動電極23と圧電振動子24と振動子ケース25とを有している。
【0044】
図9(a)および図10(a)に示すように、測定器本体12は、温度制御可能な恒温槽から成り、槽本体51と蓋52とOリング53と金属ケース54と電極固定基板55と接続ケーブル56とペルチェ素子57とペルチェ用放熱器58と脱気手段59と温度センサ60とを有している。槽本体51は、樹脂製の断熱材で、上部開口を有する箱型に形成されている。蓋52は、槽本体51の上部開口を開閉可能に、蝶番61で槽本体51に取り付けられている。Oリング53は、蓋52を閉じたとき槽本体51の内部が密閉されるよう、槽本体51の上部開口の周囲に設けられている。これにより、槽本体51は、内部が密閉可能な断熱室51aとなっている。
【0045】
金属ケース54は、有底の円筒形状を成し、槽本体51の内壁に沿って設けられている。金属ケース54は、底部が槽本体51の底部を貫通するよう構成されている。電極固定基板55は、金属ケース54にネジ62で固定されており、一方の端部にスプリング電極63が取り付けられている。電極固定基板55は、他方の端部にセンサ部11を着脱可能になっている。接続ケーブル56は、一端がスプリング電極63に半田付けされており、他端が金属ケース54および槽本体51を貫通して伸び、駆動電源からの電気を供給可能になっている。
【0046】
測定器本体12は、センサ部11の着脱基板21の各駆動電極23を電極固定基板55のスプリング電極63に嵌合してセンサ部11を装着可能になっている。測定器本体12は、センサ部11を装着したとき、各駆動電極23とスプリング電極63とが互いに電気的に接続するようになっている。これにより、測定器本体12は、圧電振動子24を駆動可能かつ制御可能になっている。測定器本体12は、ネジ64によりセンサ部11を固定可能になっている。また、測定器本体12は、蓋52を開けてセンサ部11を交換可能になっている。
【0047】
ペルチェ素子57は、金属ケース54の底面に接するよう取り付けられている。ペルチェ素子57は、ペルチェ駆動ケーブル65に接続された電源により駆動し、断熱室51aの内部を加熱・冷却可能になっている。ペルチェ用放熱器58は、ペルチェ素子57を冷却するよう設けられている。なお、ペルチェ用放熱器58は、必要に応じて冷却するためのファンを有していてもよい。
【0048】
脱気手段59は、断熱室51aに連通するよう蓋52に設けられた脱気用穴66と、脱気用穴66の先端に設けられた脱気用バルブ67とを有している。脱気手段59は、断熱室51aの内部を脱気可能、かつ脱気用バルブ67により断熱室51aの内部を減圧調整可能になっている。なお、Oリング53により、断熱室51aの内部の減圧を維持可能である。温度センサ60は、金属ケース54の底部に埋め込まれている。測定器本体12は、温度センサ60により測定された温度に基づいて、ペルチェ素子57およびペルチェ用放熱器58による加熱、冷却を調整し、断熱室51aの内部の温度を調整可能になっている。
【0049】
次に、作用について説明する。
粘弾性評価装置50は、ペルチェ素子57およびペルチェ用放熱器58により、容器22に入れた粘弾性体および断熱室51aの内部を加熱、冷却することができる。このため、断熱室51aの内部で、安定した温度条件等のもとで粘弾性の測定を行うことができる。また、様々な温度条件で測定することにより、容器22の内部に入れた粘弾性体の温度特性を得ることができる。
【0050】
粘弾性評価装置50は、容器22が小型であることに着目し、その底部を平坦にし、熱伝導の良い物質で構成し、ペルチェ素子57の表面に密着させることにより、直接にセンサ部11のみを効率的に加熱冷却可能となっている。容器22の内部に標準サンプルを併置することで、試料の温度特性の評価はより正確となる。これにより、物質の粘弾性の温度特性が測定可能となり、接着剤のような可逆的な変化をする物質での測定温度条件の判断や、測定温度による粘弾性データの補正も可能となる。
【0051】
なお、図11に示すように、粘弾性評価装置50は、断熱室51aの内部に粘弾性体を入れるための容器32を有し、センサ部11が本発明の第2の実施の形態の粘弾性評価装置30のセンサ部と同じ構成を有し、制御回路基板28が測定器本体12の蓋52に取り付けられており、圧電振動子24が容器32の内部に配置されるよう、断熱室51aの側からハーメチックシール電極をソケット31に接続してセンサ部11を装着可能になっていてもよい。また、ハーメッチックシール電極として、用途に応じて気密性のない絶縁型電極を用いてもよい。
【0052】
また、図12に示すように、粘弾性評価装置50は、容器32の内部に入れた粘弾性体の光特性を測定可能に、容器32の内部に入れた粘弾性体に光を照射する光照射手段71を有していてもよい。この場合、例えば、図12(a)に示すように、光強度制御回路で制御された光を出射する光出射半導体からの光を集光レンズで集光し、それを光ファイバーに入力して、その光出力を粘弾性体に照射してもよい。また、図12(b)に示すように、光強度制御回路基板で制御された光をLEDなどの光出射半導体から出射し、その光出力を粘弾性体に照射してもよい。他にも、光照射用光源として、Xeランプ、紫外発生ランプ、冷陰極管ランプ等を使用し、その光を集光して、ファイバーまたはレンズ等の組合せにより粘弾性体に照射してもよい。
【0053】
この光特性を測定する場合、例えば、圧電振動子24の表面に光感応性樹脂を塗布し、赤外光、可視光または紫外光を連続的またはパルス的に圧電振動子24に照射して、圧電振動子24のインピーダンス特性を連続的または間歇的に測定することにより、粘弾性体の光特性を得ることができる。また、圧電振動子24の振動面に光を均一に照射できるよう、圧電振動子24と光照射手段とが配置されていることが好ましい。
【0054】
また、図13に示すように、粘弾性評価装置50は、容器32の内部に入れた粘弾性体の電磁波特性を測定可能に、容器32の内部に入れた粘弾性体に電磁波を照射する電磁波照射手段72を有していてもよい。この場合、例えば、図13(a)に示すように、高周波パワー発生装置で制御された高周波出力を導波管で伝送し、電磁波を粘弾性体に照射してもよい。また、図13(b)に示すように、電磁波発生装置で制御された電磁波出力を、電磁波反射鏡および電磁波集光レンズで粘弾性体に焦点を合わせて照射してもよい。
【0055】
また、図14に示すように、粘弾性評価装置50は、容器32の内部に入れた粘弾性体のガス特性を測定可能に、断熱室51aの内部に所定の成分のガスを供給するガス供給手段73を有していてもよい。この場合、例えば、ガス供給源と流量調整弁とで制御されたガスをガス配管で送り、粘弾性体に向かって流した後、脱気用バルブ67を調整することにより、断熱室51aの内部を所定のガス雰囲気にできるようになっていてもよい。この場合、例えば、断熱室51aの内部の空気を所定のガスで置換した雰囲気中に、電気端子が耐圧力特性を有する圧電振動子24を配置し、粘弾性体にガスが溶解した状態で、圧電振動子24のインピーダンス特性を連続的または間歇的に測定することにより、粘弾性体のガス特性を得ることができる。また、粘弾性体が流動するとき、圧電振動子24が受ける応力が最小となるよう、圧電振動子24が配置されていることが好ましい。
【0056】
また、図15に示すように、粘弾性評価装置50は、容器32の内部に入れた粘弾性体の真空特性を測定可能に、断熱室51aの内部の空気を排出する排気手段74を有していてもよい。この場合、例えば、断熱室51aの内部を、真空装置、真空計および真空バルブで制御された真空度に応じた雰囲気にすることができる。なお、真空度の解除には脱気用バルブ67を用いる。
【0057】
これらの図9乃至図15に示す、粘弾性体の直流導電特性、真空特性、温度特性、光特性、高周波特性およびガス特性を測定可能な場合、これらを単独で、または、さまざまに組み合わせて測定することにより、粘弾性体の物性を細かく調べることができる。例えば、粘弾性体が置かれた断熱室51aの内部の雰囲気変化を連続的または間歇的に制御して、圧電振動子24のインピーダンス特性を測定し、共振周波数またはインピーダンス最小値との相関を導出することにより、粘弾性体の様々な物性を得ることができる。
【0058】
なお、図16に示すように、粘弾性評価装置10、30、50は、圧電振動子24が凹部75を有する形状に形成され、凹部75が粘弾性体を入れるための容器22、32を構成していてもよい。この場合、例えば、耐酸性樹脂で凹部75を必要とする箇所を除いて圧電振動子24をマスクし、硝酸とフッ酸との混合液でエッチングする方法や、超音波カッター等で凹部を設ける方法で凹部75を形成することができる。上部の対向電極24aを凹部75の内部面まで形成し、下部の対向電極24bと対向する部分Wを粘弾性センサとする。また、凹部75は、圧電振動子24の特性に多大な影響が少ない程度に加工されていることが好ましい。この場合、簡単な構成で、圧電振動子24に直接、粘弾性体を接触させることができ、確実に測定を行うことができる。
【0059】
このように、粘弾性評価装置10、30、50によれば、すべり波の圧電振動子24を用いて、簡便で安全、高精度かつ使い捨て可能で、洗浄用有機溶媒を必要とせず、環境負荷低減に役立つ粘弾性測定が可能になる。また、温度特性測定により試料の最適測定温度の特定および温度補正、直流抵抗測定では測定限界の判断と補正、反応工程の時間変化や容器22、32内の反応分布の測定評価や流速測定にも有効に利用できる。粘弾性評価装置10、30、50により、研究レベルから現場レベルまでの広い分野に対応した、今までにない高精度な粘弾性測定を実現することができる。
【0060】
粘弾性評価装置10、30、50は、粘弾性物質の粘性や弾性の変化を、微少量の試料で測定でき、さらに温度特性測定、連続測定、直流電気抵抗測定も同時に測定が可能で、かつ測定現場でセンサ素子の洗浄が不要で使い捨てができる。さらに、粘弾性物質を扱う工程での反応容器32内の粘弾性分布や流速も測定可能である。粘弾性体特性の手軽な評価が必要な分野で、好適に使用することができる。
【実施例1】
【0061】
図9に示す粘弾性評価装置50を使用して、固着剤(ネジの緩み防止材)の固着過程での、共振インピーダンス変化特性および共振周波数変化比特性の測定を行った。圧電振動子24の振動周波数を4MHz、測定間隔を2分とし、2時間測定した結果を、図17に示す。図17に示すように、時間とともに固着剤の粘弾性特性が変化することが確認できる。このように、粘弾性評価装置50によれば、固着剤等が完全に硬化するまでの時間経過を、長時間連続して測定し続けることができる。
【実施例2】
【0062】
図9に示す粘弾性評価装置50を使用して、グリセリン100%に対する粘弾性特性の測定を行った。圧電振動子24の振動周波数4MHz、6MHzとし、−10℃乃至80℃の範囲での温度特性を測定し、その結果を図18に示す。図18に示すように、グリセリン100%の粘度の温度特性と、測定された共振インピーダンスの温度特性とが、相対的にほぼ一致することが確認できる。このように、粘弾性評価装置50によれば、粘弾性の温度特性を広範囲に測定することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘弾性評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種液体試料の物性を評価する手段として、粘弾性の測定が利用されている。接着材や印刷インクや塗装材などの利用時の粘度制御、樹脂モールトや化学反応などのプロセスにおける流動制御、エンジンの潤滑などのために、粘弾性特性は重要である。特に、高分子材料は、測定する温度で粘弾性特性が変化する。また、最近、生体試料、特に血液等の粘弾性測定が、医療分野における各種研究、診断において重要であることが明らかになりつつある。
【0003】
従来、液体の粘性は、円筒回転式の粘度計や、超音波振動子を利用して測定されている(例えば、非特許文献1または2参照)。また、ゴムなどの粘弾性体特性は、一般的に、一定の圧力をプローブに印加して、そのときの変位をマイクロメータで測定する方法により得られている。また、圧電すべり波振動子による数百kHzからMHz帯における粘弾性測定も行われている(例えば、特許文献1、非特許文献3または4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】根岸勝雄、“振動で粘度を計る”、超音波テクノ、1995年、Vol.7、No.2,p.15−18
【非特許文献2】W. P. Mason, M. Hill, “Measurement of the Viscosity and ShearElasticity of Liquids by Means of a Tortionally Vibrating Crystal”, Trans.ASME, 1947年, p.359-370
【非特許文献3】M. Bannai and N. Wakatsuki, “A Study on Shear Wave LiTaO3 Resonators for Viscosity Sensor”, Jpn. J. Appl. Phys., 2003May, Vol.42 Part.1 No.5B, p.3093-3097
【非特許文献4】M.Bannai and N. Wakatsuki, “LiTaO3 Shear Wave Resonator forViscosity Measurement of Polymer Liquid in MHz Range”, Jpn. J. Appl. Phys., 2004, Vol.43No.5B, p.3031-3034
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−265576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高分子材料の測定では、容器の汚染の洗浄が不可欠であるが、洗浄用の有機溶剤の使用は煩雑でコストがかかるという課題があった。また、生体試料の測定では、有害物質や、ウィルス等が含まれる危険物質を扱うため、測定時および測定後のセンサの廃棄処理を行う必要があるという課題があった。
【0007】
従来の粘度計や超音波振動子による測定では、いずれも比較的大型の装置と高価な浸漬プローブが必要であるという課題があった。また、マイクロメータによる測定法でも、大量の弾性体とその粘弾性の大きさに対応した特殊なプローブが必要であるという課題があった。圧電すべり波振動子による測定では、これらの課題を克服した携帯型・使い捨てタイプのものはまだ実用化に至っていないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、圧電振動子を利用した比較的簡単な構造を有し、センサの洗浄が不要で使い捨てが可能であり、安全かつ簡便に粘弾性測定を行うことができる粘弾性評価装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、特許文献1で開示した技術に基づき、具体的な上記課題の解決を検討した。まず、試料と振動子表面との密着性を向上させ、かつ試料中の空気含有の影響を除くため、試料滴下後、振動子搭載ケースを装置に搭載する直前に、脱気口のある小形の容器中で注射器構造などの簡易な脱気装置で脱気した後、大気圧に戻し、その後で装置に搭載して接続することを考案し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る粘弾性評価装置は、すべり波の発信および受信が可能な圧電振動子を有するセンサ部と、前記センサ部を着脱可能に設けられ、前記センサ部を装着したとき、前記圧電振動子の電極に電気的に接続して前記圧電振動子を駆動可能に構成された測定器本体とを特徴とする。
【0011】
本発明に係る粘弾性評価装置は、圧電振動子を利用して、すべり波による粘弾性の測定を行うことができ、粘弾性体の高周波特性等を得ることができる。このため、比較的簡単な構造により簡便に粘弾性測定を行うことができ、大型の装置や特殊なプローブを必要としない。また、センサ部が着脱可能であるため、測定時に有害物質や危険物質等がセンサ部に付着しても、測定後にセンサ部を取り外して廃棄することができる。廃棄後に、新しいセンサ部を装着することにより、再び測定を行うことができる。このように、装置全体ではなく、センサ部のみの使い捨てが可能であり、安全性が高い。また、センサの洗浄が不要であるため、洗浄コストがかからず、安価である。なお、すべり波(shear wave)は、せん断波とも言われている。
【0012】
本発明に係る粘弾性評価装置で、前記センサ部は粘弾性体を入れるための容器を有し、前記圧電振動子が前記容器の内部に配置されていてもよい。この場合、容器に粘弾性体を入れることにより、圧電振動子で容易に測定を行うことができる。
【0013】
本発明に係る粘弾性評価装置は、前記圧電振動子が凹部を有する形状に形成され、前記凹部が粘弾性体を入れるための容器を構成していてもよい。この場合、簡単な構成で、圧電振動子に直接、粘弾性体を接触させることができ、確実に測定を行うことができる。
【0014】
本発明に係る粘弾性評価装置で、前記測定器本体は密閉可能な断熱室を有し、前記断熱室の内部に前記センサ部を装着可能に構成されていることが好ましい。この場合、断熱室の内部で、安定した温度条件等のもとで測定を行うことができる。
【0015】
本発明に係る粘弾性評価装置で、前記測定器本体は密閉可能な断熱室を有し、前記断熱室の内部に粘弾性体を入れるための容器を有し、前記圧電振動子が前記容器の内部に配置されるよう、前記センサ部を装着可能に構成されていてもよい。この場合、容器に粘弾性体を入れることにより、圧電振動子で容易に測定を行うことができる。また、断熱室の内部で、安定した温度条件等のもとで測定を行うことができる。
【0016】
本発明に係る粘弾性評価装置で、前記圧電振動子は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の直流導電特性を測定可能に、1対の電極を有していることが好ましい。また、本発明に係る粘弾性評価装置は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の真空特性を測定可能に、前記断熱室の内部の空気を排出する排気手段を有していてもよい。また、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の温度特性を測定可能に、前記断熱室の内部を加熱する加熱手段と、前記断熱室の内部を冷却する冷却手段とを有していてもよい。また、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の電磁波特性を測定可能に、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体に電磁波を照射する電磁波照射手段を有していてもよい。
【0017】
また、本発明に係る粘弾性評価装置は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の光特性を測定可能に、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体に光を照射する光照射手段を有していてもよい。この場合、例えば、圧電振動子の表面に光感応性樹脂を塗布し、赤外光、可視光または紫外光を連続的またはパルス的に圧電振動子に照射して、圧電振動子のインピーダンス特性を連続的または間歇的に測定することにより、粘弾性体の光特性を得ることができる。また、圧電振動子の振動面に光を均一に照射できるよう、圧電振動子と光照射手段とが配置されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る粘弾性評価装置は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体のガス特性を測定可能に、前記断熱室の内部に所定の成分のガスを供給するガス供給手段を有していてもよい。この場合、例えば、断熱室の内部の空気を所定のガスで置換した雰囲気中に、電気端子が耐圧力特性を有する圧電振動子を配置し、粘弾性体にガスが溶解した状態で、圧電振動子のインピーダンス特性を連続的または間歇的に測定することにより、粘弾性体のガス特性を得ることができる。また、粘弾性体が流動するとき、圧電振動子が受ける応力が最小となるよう、圧電振動子が配置されていることが好ましい。
【0019】
これらの粘弾性体の直流導電特性、真空特性、温度特性、光特性、高周波特性およびガス特性を測定可能な場合、これらを単独で、または、さまざまに組み合わせて測定することにより、粘弾性体の物性を細かく調べることができる。例えば、粘弾性体が置かれた断熱室の内部の雰囲気変化を連続的または間歇的に制御して、圧電振動子のインピーダンス特性を測定し、共振周波数またはインピーダンス最小値との相関を導出することにより、粘弾性体の様々な物性を得ることができる。制御する断熱室の内部の雰囲気は、温度、赤外線や可視光、X線などを含む電磁波、静磁界、静電界、応力または圧力や気圧などである。
【0020】
本発明に係る粘弾性評価装置は、圧電振動子の使用前の保管用のケースと、測定後の圧電振動子の保管用ケースとを一体化し、使用前後の振動子共振周波数や共振抵抗などの振動子情報を、部品番号やQRコードなどで記載し、対応させてもよい。また、本発明に係る粘弾性評価装置は、大型容器中の粘弾性物体の粘弾性および流速を測定するための浸漬プローブ型であってもよい。電磁波および超音波、光などによりセンサ部または測定器本体と通信可能であって、遠隔操作、データ収集などの制御ができる制御手段を有していてもよい。また、大型容器中の粘弾性物体の状態を測定する方法であり、測定に必要な粘弾性体の体積が1cc以下であるような本発明に係る粘弾性評価装置を複数使用して、マイクロピペット等で同時に多数点の試料を摘出し粘弾性を測定して、容器中の粘弾性体の特性分布を推定してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、圧電振動子を利用した比較的簡単な構造を有し、センサの洗浄が不要で使い捨てが可能であり、安全かつ簡便に粘弾性測定を行うことができる粘弾性評価装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態の粘弾性評価装置を示す(a)側面図、(b)センサ部の拡大平面図である。
【図2】図1に示す粘弾性評価装置の圧電振動子を示す斜視図である。
【図3】図1に示す粘弾性評価装置の圧電振動子の等価回路図である。
【図4】図1に示す粘弾性評価装置の圧電振動子の(a)等価回路と並列抵抗を示す回路図、(b)電極構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示す粘弾性評価装置の使用状態を示す構成図である。
【図6】図1に示す粘弾性評価装置の、測定前後のセンサ部の保存状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の粘弾性評価装置を示す(a)側面図、(b)センサ部の拡大側面図である。
【図8】図7に示す粘弾性評価装置の、細いマイクロピペットなどで試料を同時収集して粘弾性分布測定を行う方法を示す説明図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の粘弾性評価装置を示す(a)断面図、(b)センサ部の取付部分の拡大平面図である。
【図10】図9に示す粘弾性評価装置の(a)金属ケース内の断面図、(b)センサ部の拡大平面図である。
【図11】図9に示す粘弾性評価装置のセンサ部の変形例を示す(a)断面図、(b)センサ部の拡大側面図である。
【図12】図9に示す粘弾性評価装置の光特性測定の変形例を示す(a)光ファイバーを用いたときの断面図、(b)光出射半導体を用いたときの断面図である。
【図13】図9に示す粘弾性評価装置の電磁波特性測定の変形例を示す(a)高周波パワー発生装置を用いたときの断面図、(b)電磁波発生装置を用いたときの断面図である。
【図14】図9に示す粘弾性評価装置のガス特性測定の変形例を示す断面図である。
【図15】図9に示す粘弾性評価装置の真空特性測定の変形例を示す断面図である。
【図16】図1、図7または図9に示す粘弾性評価装置の圧電振動子の変形例を示す斜視図である。
【図17】図9に示す粘弾性評価装置により測定された(a)時間経過による固着剤のインピーダンス変化を示すグラフ、(b)時間経過による固着剤の周波数変化を示すグラフである。
【図18】図9に示す粘弾性評価装置により測定された、グリセリン100%の共振インピーダンスの温度特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図6は、本発明の第1の実施の形態の粘弾性評価装置を示している。
図1乃至図4に示すように、粘弾性評価装置10は、センサ部11と測定器本体12とを有している。
【0024】
図1(b)に示すように、センサ部11は、着脱基板21と容器22と1対の駆動電極23と圧電振動子24と振動子ケース25とを有している。着脱基板21は、樹脂またはセラミック製で、矩形板状を成している。容器22は、着脱基板21の表面の一端側に、所定の空間を囲むよう壁を設けて形成されている。容器22は、測定試料である粘弾性体を入れるようになっている。各駆動電極23は、着脱基板21の表面に、インサートモールトや印刷技術により形成されている。各駆動電極23は、それぞれ着脱基板21の両側縁に沿って、着脱基板21の他端から容器22の内部まで伸びるよう設けられている。
【0025】
圧電振動子24は、数百kHzからMHz帯の周波数を有するすべり波の発信および受信が可能に構成されている。なお、この周波数帯では、液体中での波長は、数百μm以下であり、減衰距離も波長と同程度以下である。圧電振動子24は、図2に示す構造を有しており、図3に示すような等価回路で表わされる。圧電振動子24は、タンタル酸リチュームやニオブ酸リチュームなどのストリップ形振動子から成っている。
【0026】
圧電振動子24は、矩形振動板の上下面に1対の対向電極24a,24bが形成されており、電界がかかる中央に振動エネルギーを集中させたままで、上下面間にすべり波を伝搬させ、矩形端面がすべり波の粒子変位方向平行面となるよう構成されている。圧電振動子24は、上下の振動面は矩形であり、全体に均一な振動モードとみなせるようになっている。圧電振動子24は、小形で、量産性に富んでいる。圧電振動子24は、タンタル酸リチュームから成る場合、その単結晶のX板のすべり波の電気機械結合係数が大きく、密度も高く、すべり波音速も早い。圧電振動子24は、数百kHzからMHz帯での基本共振を示すものから成っている。なお、圧電振動子24は、形状は大きくなるが、円板結晶中央に円形電極を配置したものから成っていてもよい。
【0027】
圧電振動子24は、測定試料が導電性を有すると測定結果に影響を与えるため、まず、粘弾性測定に先立ち、直流抵抗を測定しておく必要がある。図4に、直流電気伝導の測定の説明図を示し、図4(a)には圧電振動子24の等価回路と試料の直流抵抗値を示す。測定試料に導電性があり直流抵抗が低いと、共振特性が測定できなかったり、測定誤差が多くなったりする。そこで、共振周波数における制動容量Coのインピーダンスとの絶対値の比較を行うことにより、導電性を有する測定試料で補正を行い、より正確な粘弾性測定が可能になる。また、必要であれば、圧電振動子24は、全体が絶縁物で薄く被覆されていてもよい。
【0028】
図1に示すように、振動子ケース25は、セラミック板から成り、内部に圧電振動子24が収納されている。振動子ケース25は、圧電振動子24の下部に、粘弾性体が浸入できる空間をあけて、圧電振動子24を収納可能になっている。振動子ケース25は、各駆動電極23が圧電振動子24に電気的に接続されるよう、容器22の内部の着脱基板21に取り付けられている。これにより、圧電振動子24は、各駆動電極23から電気を供給されて駆動可能になっている。
【0029】
センサ部11は、振動子ケース25内の圧電振動子24上に塗布または滴下した粘弾性体に含まれる気泡を除去するために、振動子ケース25の内部から空気を吸い出すことにより、振動子ケース25内を減圧にし、粘弾性体を脱気可能になっている。また、注射器形状の装置で、振動子ケース25の内部の空気を吸引可能であってよい。なお、粘弾性体が滴下された圧電振動子24のみを、専用の小型脱気装置で脱気後に、振動子ケース25に収納するよう構成されていてもよい。
【0030】
図1(a)に示すように、測定器本体12は、制御回路ケース26と接続ケーブル部27と制御回路基板28と基板固定ブロック29とを有している。接続ケーブル部27は、制御回路ケース26の一端に接続され、駆動電源からの電気を供給可能になっている。制御回路基板28は、制御回路ケース26の内部に設けられ、接続ケーブル部27と接続されている。制御回路基板28は、各駆動電極23に電気的に接続可能な1対の端子を有し、接続ケーブル部27からの電気を制御してセンサ部11に供給可能になっている。
【0031】
基板固定ブロック29は、制御回路ケース26の他端部に設けられ、センサ部11を着脱可能になっている。基板固定ブロック29は、センサ部11の着脱基板21の他端部を挿入することにより、センサ部11を装着可能になっている。基板固定ブロック29は、センサ部11を装着したとき、センサ部11の各駆動電極23が制御回路基板28の各端子に電気的に接続するようになっている。これにより、測定器本体12は、圧電振動子24を駆動可能かつ制御可能になっている。
【0032】
次に、作用について説明する。
粘弾性評価装置10は、圧電振動子24を利用してすべり波による粘弾性の測定を行うことができ、粘弾性体の高周波特性等を得ることができる。このため、比較的簡単な構造により簡便に粘弾性測定を行うことができ、大型の装置や特殊なプローブを必要としない。また、センサ部11が着脱可能であるため、測定時に有害物質や危険物質等がセンサ部11に付着しても、測定後にセンサ部11を取り外して測定試料とともに廃棄することができる。廃棄後に、新しいセンサ部11を装着することにより、再び測定を行うことができる。このように、装置全体ではなく、センサ部11のみの使い捨てが可能であり、安全性が高い。また、センサ部11の洗浄が不要であるため、洗浄コストがかからず、安価である。
【0033】
また、粘弾性評価装置10は、熱硬化する物質や低温凝固する物質の物性の測定も可能である。図5に示す粘弾性評価装置10による測定の一例では、圧電振動子24の共振周波数付近を周波数掃引して、共振周波数と共振抵抗とを求め、圧電振動子24の共振周波数や共振抵抗の基準値を想定しておき、測定試料の実測値との差を表示している。基準値の想定には、予め平均値を使用する場合、予め測定された圧電振動子24の特性結果を使用する場合、類似振動子を併置して随時測定比較する場合がある。また、粘弾性評価装置10は、可搬型にすることが可能である。センサ部11が測定後に汚染されても、洗浄による再使用を前提としていない廃却可能構造である。
【0034】
粘弾性評価装置10は、圧電振動子24の特性ばらつきを予め測定し基準値を記録する場合があり、測定前の圧電振動子24の適切な保管は重要である。また、容器22を含めたセンサ部11を使い捨てにする場合、問題となるのは使用前の圧電振動子24の特性の確認と、使用後のセンサ部11の保存、廃却である。使用前のセンサ部11は、予期しない汚染によって特性が劣化する場合がある。また、粘弾性試料測定後は、環境保全の立場から、不要な廃棄を防止する必要がある。また、後日、再確認事項が発生する場合も想定される。このため、図6の一例に示すように、測定器内または付属物として、使用前後のセンサ部11を対比して収納できる振動子保管ケースを具備することが好ましい。これにより、本装置内に使用前のセンサ部11を確実に、保存し、バーコードやQRコードで残存数や各圧電振動子24の特性をケースに添付し、センサに取り込むことが可能になる。補完個数を、電気的または光学的に計測することにより、補完個数の記録が可能である。また、測定後の測定試料とセンサ部11は廃却可能であるが、環境汚染物質が含まれる場合も想定されるので、確実な収納が必要である。このため、測定後の測定試料の回収ケースも測定器内または付属品として具備するとよい。
【0035】
化学工業、食品工業、医学、製薬分野などでは、工程における試料の不均一や不安定性を評価するのに、粘弾性特性測定は大変有効である。工程内において試料の混合、希釈を行う場合、試料の粘弾性変化をリアルタイムで測定することが重要である。粘弾性評価装置10は、迅速に試料の粘弾性の変化を測定することが可能である。また、使用後は、センサ部11は取り外し廃棄可能であり、簡便で使い勝手が良く、有機溶媒による洗浄を必要としない環境負荷低減に寄与する装置である。また最近、生体試料、特に血液等の粘弾性測定が医療分野における各種研究、診断において重要であることが明らかになりつつある。これらの試料には有害物質、ウィルス等が含まれる危険物質もあり、測定時および測定後のセンサ廃棄処理が可能な安全な装置である。
【0036】
図7および図8は、本発明の第2の実施の形態の粘弾性評価装置を示している。
図7に示すように、粘弾性評価装置30は、センサ部11と測定器本体12とを有している。なお、以下の説明では、本発明の第1の実施の形態の粘弾性評価装置10と同一の部材には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0037】
図7(b)に示すように、センサ部11は、駆動電極23と圧電振動子24とを有している。駆動電極23は、一端にハーメチックシール電極を有する板バネ状の電極から成っている。圧電振動子24は、駆動電極23の他端に導電性樹脂で固着されている。
【0038】
図7(a)に示すように、測定器本体12は、制御回路ケース26と接続ケーブル部27と制御回路基板28と基板固定ブロック29とを有している。制御回路基板28は、駆動電極23のハーメチックシール電極に電気的に接続可能な1対のソケット31を有し、接続ケーブル部27からの電気を制御してセンサ部11に供給可能になっている。基板固定ブロック29は、制御回路ケース26の他端部に設けられ、センサ部11の駆動電極23をソケット31に挿入したとき、センサ部11が抜けないよう駆動電極23を締め付けて固定するようになっている。これにより、測定器本体12は、圧電振動子24を駆動可能かつ制御可能になっている。
【0039】
次に、作用について説明する。
図7(a)に示すように、粘弾性評価装置30は、容器32に入れた粘弾性体に、圧電振動子24を直接浸して測定を行うことができる。また、センサ部11を、制御回路基板28のソケット31から容易に外すことでき、センサ部11のみの使い捨てが可能である。
【0040】
粘弾性評価装置30は、浸漬プローブ型であるため、迅速に試料の粘弾性の変化を測定することが可能である。容器32内の粘弾性物質の分布測定、流速等の測定が可能となる。粘弾性評価装置30を複数用意し、各圧電振動子24を容器32内に併置することにより、連続的な測定も可能である。配線を含めた圧電振動子24の配置が工程に影響を与える場合、または圧電振動子24の表面の接触物質が工程内で状況変化に迅速に対応して置換されない場合には、マイクロピペットなどで容器32内の複数部分から同時に試料を収集して測定することで、分布や変化が評価できる。
【0041】
また、圧電振動子24を試料に浸すことに何らかの問題がある場合、工程を乱すことなくピペット等で少量の試料を吸引し、圧電振動子24に滴下する。特に、試料に異物が含まれる場合には、ピペット等にフィルター等を装着して、圧電振動子24には試料の粘弾性体のみを滴下する。同時に多数点を吸引し、多数個の圧電振動子24で測定することにより、同一容器32内の粘度の空間分布の測定が可能となる。図8には、その際に使用可能な面分布用のピペット33を示しているが、深さ方向の分布測定も可能である。また、温度特性測定と組み合わせれば、工程の状況のより明確な把握が可能となる。
【0042】
図9乃至図16は、本発明の第3の実施の形態の粘弾性評価装置を示している。
図9および図10に示すように、粘弾性評価装置50は、センサ部11と測定器本体12とを有している。なお、以下の説明では、本発明の第1および第2の実施の形態の粘弾性評価装置10、30と同一の部材には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0043】
図9(b)および図10(b)に示すように、センサ部11は、本発明の第1の実施の形態の粘弾性評価装置10のセンサ部と同じ構成を有し、着脱基板21と容器22と1対の駆動電極23と圧電振動子24と振動子ケース25とを有している。
【0044】
図9(a)および図10(a)に示すように、測定器本体12は、温度制御可能な恒温槽から成り、槽本体51と蓋52とOリング53と金属ケース54と電極固定基板55と接続ケーブル56とペルチェ素子57とペルチェ用放熱器58と脱気手段59と温度センサ60とを有している。槽本体51は、樹脂製の断熱材で、上部開口を有する箱型に形成されている。蓋52は、槽本体51の上部開口を開閉可能に、蝶番61で槽本体51に取り付けられている。Oリング53は、蓋52を閉じたとき槽本体51の内部が密閉されるよう、槽本体51の上部開口の周囲に設けられている。これにより、槽本体51は、内部が密閉可能な断熱室51aとなっている。
【0045】
金属ケース54は、有底の円筒形状を成し、槽本体51の内壁に沿って設けられている。金属ケース54は、底部が槽本体51の底部を貫通するよう構成されている。電極固定基板55は、金属ケース54にネジ62で固定されており、一方の端部にスプリング電極63が取り付けられている。電極固定基板55は、他方の端部にセンサ部11を着脱可能になっている。接続ケーブル56は、一端がスプリング電極63に半田付けされており、他端が金属ケース54および槽本体51を貫通して伸び、駆動電源からの電気を供給可能になっている。
【0046】
測定器本体12は、センサ部11の着脱基板21の各駆動電極23を電極固定基板55のスプリング電極63に嵌合してセンサ部11を装着可能になっている。測定器本体12は、センサ部11を装着したとき、各駆動電極23とスプリング電極63とが互いに電気的に接続するようになっている。これにより、測定器本体12は、圧電振動子24を駆動可能かつ制御可能になっている。測定器本体12は、ネジ64によりセンサ部11を固定可能になっている。また、測定器本体12は、蓋52を開けてセンサ部11を交換可能になっている。
【0047】
ペルチェ素子57は、金属ケース54の底面に接するよう取り付けられている。ペルチェ素子57は、ペルチェ駆動ケーブル65に接続された電源により駆動し、断熱室51aの内部を加熱・冷却可能になっている。ペルチェ用放熱器58は、ペルチェ素子57を冷却するよう設けられている。なお、ペルチェ用放熱器58は、必要に応じて冷却するためのファンを有していてもよい。
【0048】
脱気手段59は、断熱室51aに連通するよう蓋52に設けられた脱気用穴66と、脱気用穴66の先端に設けられた脱気用バルブ67とを有している。脱気手段59は、断熱室51aの内部を脱気可能、かつ脱気用バルブ67により断熱室51aの内部を減圧調整可能になっている。なお、Oリング53により、断熱室51aの内部の減圧を維持可能である。温度センサ60は、金属ケース54の底部に埋め込まれている。測定器本体12は、温度センサ60により測定された温度に基づいて、ペルチェ素子57およびペルチェ用放熱器58による加熱、冷却を調整し、断熱室51aの内部の温度を調整可能になっている。
【0049】
次に、作用について説明する。
粘弾性評価装置50は、ペルチェ素子57およびペルチェ用放熱器58により、容器22に入れた粘弾性体および断熱室51aの内部を加熱、冷却することができる。このため、断熱室51aの内部で、安定した温度条件等のもとで粘弾性の測定を行うことができる。また、様々な温度条件で測定することにより、容器22の内部に入れた粘弾性体の温度特性を得ることができる。
【0050】
粘弾性評価装置50は、容器22が小型であることに着目し、その底部を平坦にし、熱伝導の良い物質で構成し、ペルチェ素子57の表面に密着させることにより、直接にセンサ部11のみを効率的に加熱冷却可能となっている。容器22の内部に標準サンプルを併置することで、試料の温度特性の評価はより正確となる。これにより、物質の粘弾性の温度特性が測定可能となり、接着剤のような可逆的な変化をする物質での測定温度条件の判断や、測定温度による粘弾性データの補正も可能となる。
【0051】
なお、図11に示すように、粘弾性評価装置50は、断熱室51aの内部に粘弾性体を入れるための容器32を有し、センサ部11が本発明の第2の実施の形態の粘弾性評価装置30のセンサ部と同じ構成を有し、制御回路基板28が測定器本体12の蓋52に取り付けられており、圧電振動子24が容器32の内部に配置されるよう、断熱室51aの側からハーメチックシール電極をソケット31に接続してセンサ部11を装着可能になっていてもよい。また、ハーメッチックシール電極として、用途に応じて気密性のない絶縁型電極を用いてもよい。
【0052】
また、図12に示すように、粘弾性評価装置50は、容器32の内部に入れた粘弾性体の光特性を測定可能に、容器32の内部に入れた粘弾性体に光を照射する光照射手段71を有していてもよい。この場合、例えば、図12(a)に示すように、光強度制御回路で制御された光を出射する光出射半導体からの光を集光レンズで集光し、それを光ファイバーに入力して、その光出力を粘弾性体に照射してもよい。また、図12(b)に示すように、光強度制御回路基板で制御された光をLEDなどの光出射半導体から出射し、その光出力を粘弾性体に照射してもよい。他にも、光照射用光源として、Xeランプ、紫外発生ランプ、冷陰極管ランプ等を使用し、その光を集光して、ファイバーまたはレンズ等の組合せにより粘弾性体に照射してもよい。
【0053】
この光特性を測定する場合、例えば、圧電振動子24の表面に光感応性樹脂を塗布し、赤外光、可視光または紫外光を連続的またはパルス的に圧電振動子24に照射して、圧電振動子24のインピーダンス特性を連続的または間歇的に測定することにより、粘弾性体の光特性を得ることができる。また、圧電振動子24の振動面に光を均一に照射できるよう、圧電振動子24と光照射手段とが配置されていることが好ましい。
【0054】
また、図13に示すように、粘弾性評価装置50は、容器32の内部に入れた粘弾性体の電磁波特性を測定可能に、容器32の内部に入れた粘弾性体に電磁波を照射する電磁波照射手段72を有していてもよい。この場合、例えば、図13(a)に示すように、高周波パワー発生装置で制御された高周波出力を導波管で伝送し、電磁波を粘弾性体に照射してもよい。また、図13(b)に示すように、電磁波発生装置で制御された電磁波出力を、電磁波反射鏡および電磁波集光レンズで粘弾性体に焦点を合わせて照射してもよい。
【0055】
また、図14に示すように、粘弾性評価装置50は、容器32の内部に入れた粘弾性体のガス特性を測定可能に、断熱室51aの内部に所定の成分のガスを供給するガス供給手段73を有していてもよい。この場合、例えば、ガス供給源と流量調整弁とで制御されたガスをガス配管で送り、粘弾性体に向かって流した後、脱気用バルブ67を調整することにより、断熱室51aの内部を所定のガス雰囲気にできるようになっていてもよい。この場合、例えば、断熱室51aの内部の空気を所定のガスで置換した雰囲気中に、電気端子が耐圧力特性を有する圧電振動子24を配置し、粘弾性体にガスが溶解した状態で、圧電振動子24のインピーダンス特性を連続的または間歇的に測定することにより、粘弾性体のガス特性を得ることができる。また、粘弾性体が流動するとき、圧電振動子24が受ける応力が最小となるよう、圧電振動子24が配置されていることが好ましい。
【0056】
また、図15に示すように、粘弾性評価装置50は、容器32の内部に入れた粘弾性体の真空特性を測定可能に、断熱室51aの内部の空気を排出する排気手段74を有していてもよい。この場合、例えば、断熱室51aの内部を、真空装置、真空計および真空バルブで制御された真空度に応じた雰囲気にすることができる。なお、真空度の解除には脱気用バルブ67を用いる。
【0057】
これらの図9乃至図15に示す、粘弾性体の直流導電特性、真空特性、温度特性、光特性、高周波特性およびガス特性を測定可能な場合、これらを単独で、または、さまざまに組み合わせて測定することにより、粘弾性体の物性を細かく調べることができる。例えば、粘弾性体が置かれた断熱室51aの内部の雰囲気変化を連続的または間歇的に制御して、圧電振動子24のインピーダンス特性を測定し、共振周波数またはインピーダンス最小値との相関を導出することにより、粘弾性体の様々な物性を得ることができる。
【0058】
なお、図16に示すように、粘弾性評価装置10、30、50は、圧電振動子24が凹部75を有する形状に形成され、凹部75が粘弾性体を入れるための容器22、32を構成していてもよい。この場合、例えば、耐酸性樹脂で凹部75を必要とする箇所を除いて圧電振動子24をマスクし、硝酸とフッ酸との混合液でエッチングする方法や、超音波カッター等で凹部を設ける方法で凹部75を形成することができる。上部の対向電極24aを凹部75の内部面まで形成し、下部の対向電極24bと対向する部分Wを粘弾性センサとする。また、凹部75は、圧電振動子24の特性に多大な影響が少ない程度に加工されていることが好ましい。この場合、簡単な構成で、圧電振動子24に直接、粘弾性体を接触させることができ、確実に測定を行うことができる。
【0059】
このように、粘弾性評価装置10、30、50によれば、すべり波の圧電振動子24を用いて、簡便で安全、高精度かつ使い捨て可能で、洗浄用有機溶媒を必要とせず、環境負荷低減に役立つ粘弾性測定が可能になる。また、温度特性測定により試料の最適測定温度の特定および温度補正、直流抵抗測定では測定限界の判断と補正、反応工程の時間変化や容器22、32内の反応分布の測定評価や流速測定にも有効に利用できる。粘弾性評価装置10、30、50により、研究レベルから現場レベルまでの広い分野に対応した、今までにない高精度な粘弾性測定を実現することができる。
【0060】
粘弾性評価装置10、30、50は、粘弾性物質の粘性や弾性の変化を、微少量の試料で測定でき、さらに温度特性測定、連続測定、直流電気抵抗測定も同時に測定が可能で、かつ測定現場でセンサ素子の洗浄が不要で使い捨てができる。さらに、粘弾性物質を扱う工程での反応容器32内の粘弾性分布や流速も測定可能である。粘弾性体特性の手軽な評価が必要な分野で、好適に使用することができる。
【実施例1】
【0061】
図9に示す粘弾性評価装置50を使用して、固着剤(ネジの緩み防止材)の固着過程での、共振インピーダンス変化特性および共振周波数変化比特性の測定を行った。圧電振動子24の振動周波数を4MHz、測定間隔を2分とし、2時間測定した結果を、図17に示す。図17に示すように、時間とともに固着剤の粘弾性特性が変化することが確認できる。このように、粘弾性評価装置50によれば、固着剤等が完全に硬化するまでの時間経過を、長時間連続して測定し続けることができる。
【実施例2】
【0062】
図9に示す粘弾性評価装置50を使用して、グリセリン100%に対する粘弾性特性の測定を行った。圧電振動子24の振動周波数4MHz、6MHzとし、−10℃乃至80℃の範囲での温度特性を測定し、その結果を図18に示す。図18に示すように、グリセリン100%の粘度の温度特性と、測定された共振インピーダンスの温度特性とが、相対的にほぼ一致することが確認できる。このように、粘弾性評価装置50によれば、粘弾性の温度特性を広範囲に測定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべり波の発信および受信が可能な圧電振動子を有するセンサ部と、
前記センサ部を着脱可能に設けられ、前記センサ部を装着したとき、前記圧電振動子の電極に電気的に接続して前記圧電振動子を駆動可能に構成された測定器本体とを
特徴とする粘弾性評価装置。
【請求項2】
前記センサ部は粘弾性体を入れるための容器を有し、前記圧電振動子が前記容器の内部に配置されていることを、特徴とする請求項1記載の粘弾性評価装置。
【請求項3】
前記圧電振動子が凹部を有する形状に形成され、前記凹部が粘弾性体を入れるための容器を構成していることを、特徴とする請求項1記載の粘弾性評価装置。
【請求項4】
前記測定器本体は密閉可能な断熱室を有し、前記断熱室の内部に前記センサ部を装着可能に構成されていることを、特徴とする請求項2または3記載の粘弾性評価装置。
【請求項5】
前記測定器本体は密閉可能な断熱室を有し、前記断熱室の内部に粘弾性体を入れるための容器を有し、前記圧電振動子が前記容器の内部に配置されるよう、前記センサ部を装着可能に構成されていることを、特徴とする請求項1記載の粘弾性評価装置。
【請求項6】
前記圧電振動子は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の直流導電特性を測定可能に、1対の電極を有していることを、特徴とする請求項4または5記載の粘弾性評価装置。
【請求項7】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の真空特性を測定可能に、前記断熱室の内部の空気を排出する排気手段を有することを、特徴とする請求項4、5または6記載の粘弾性評価装置。
【請求項8】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の温度特性を測定可能に、前記断熱室の内部を加熱する加熱手段と、前記断熱室の内部を冷却する冷却手段とを有することを、特徴とする請求項4、5、6または7記載の粘弾性評価装置。
【請求項9】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の光特性を測定可能に、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体に光を照射する光照射手段を有することを、特徴とする請求項4、5、6、7または8記載の粘弾性評価装置。
【請求項10】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の電磁波特性を測定可能に、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体に電磁波を照射する電磁波照射手段を有することを、特徴とする請求項4、5、6、7、8または9記載の粘弾性評価装置。
【請求項11】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体のガス特性を測定可能に、前記断熱室の内部に所定の成分のガスを供給するガス供給手段を有することを、特徴とする請求項4、5、6、7、8、9または10記載の粘弾性評価装置。
【請求項1】
すべり波の発信および受信が可能な圧電振動子を有するセンサ部と、
前記センサ部を着脱可能に設けられ、前記センサ部を装着したとき、前記圧電振動子の電極に電気的に接続して前記圧電振動子を駆動可能に構成された測定器本体とを
特徴とする粘弾性評価装置。
【請求項2】
前記センサ部は粘弾性体を入れるための容器を有し、前記圧電振動子が前記容器の内部に配置されていることを、特徴とする請求項1記載の粘弾性評価装置。
【請求項3】
前記圧電振動子が凹部を有する形状に形成され、前記凹部が粘弾性体を入れるための容器を構成していることを、特徴とする請求項1記載の粘弾性評価装置。
【請求項4】
前記測定器本体は密閉可能な断熱室を有し、前記断熱室の内部に前記センサ部を装着可能に構成されていることを、特徴とする請求項2または3記載の粘弾性評価装置。
【請求項5】
前記測定器本体は密閉可能な断熱室を有し、前記断熱室の内部に粘弾性体を入れるための容器を有し、前記圧電振動子が前記容器の内部に配置されるよう、前記センサ部を装着可能に構成されていることを、特徴とする請求項1記載の粘弾性評価装置。
【請求項6】
前記圧電振動子は、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の直流導電特性を測定可能に、1対の電極を有していることを、特徴とする請求項4または5記載の粘弾性評価装置。
【請求項7】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の真空特性を測定可能に、前記断熱室の内部の空気を排出する排気手段を有することを、特徴とする請求項4、5または6記載の粘弾性評価装置。
【請求項8】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の温度特性を測定可能に、前記断熱室の内部を加熱する加熱手段と、前記断熱室の内部を冷却する冷却手段とを有することを、特徴とする請求項4、5、6または7記載の粘弾性評価装置。
【請求項9】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の光特性を測定可能に、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体に光を照射する光照射手段を有することを、特徴とする請求項4、5、6、7または8記載の粘弾性評価装置。
【請求項10】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体の電磁波特性を測定可能に、前記容器の内部に入れた前記粘弾性体に電磁波を照射する電磁波照射手段を有することを、特徴とする請求項4、5、6、7、8または9記載の粘弾性評価装置。
【請求項11】
前記容器の内部に入れた前記粘弾性体のガス特性を測定可能に、前記断熱室の内部に所定の成分のガスを供給するガス供給手段を有することを、特徴とする請求項4、5、6、7、8、9または10記載の粘弾性評価装置。
【図1】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【公開番号】特開2011−203246(P2011−203246A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45765(P2011−45765)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(303056623)
【出願人】(000222026)東北電子産業株式会社 (11)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(303056623)
【出願人】(000222026)東北電子産業株式会社 (11)
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