粘着テープ包装袋
【課題】粘着テープの貼りやすさを追求しながら、省資源という効果を奏することのできる粘着テープ包装袋を提供すること。
【解決手段】上記課題を達成するために、本発明は、支持体18とその支持体18の一方の面に設けられた粘着剤層12とを有する粘着テープ14、及び、粘着剤層12に剥離可能に付着された剥離シート16を備える粘着テープ包装袋10において、剥離シート16が所定の折曲げ線に沿って粘着テープ14と共に折り曲げられ、この折り曲げられた剥離シート16の内側に粘着テープ14が封じられていることを特徴としている。また、本発明によれば、剥離シート16を剥離した際、その剥離側に粘着テープ14の粘着剤層12が露出するため、貼付作業が容易となる。
【解決手段】上記課題を達成するために、本発明は、支持体18とその支持体18の一方の面に設けられた粘着剤層12とを有する粘着テープ14、及び、粘着剤層12に剥離可能に付着された剥離シート16を備える粘着テープ包装袋10において、剥離シート16が所定の折曲げ線に沿って粘着テープ14と共に折り曲げられ、この折り曲げられた剥離シート16の内側に粘着テープ14が封じられていることを特徴としている。また、本発明によれば、剥離シート16を剥離した際、その剥離側に粘着テープ14の粘着剤層12が露出するため、貼付作業が容易となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に粘着剤層を有する粘着テープを包装する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の形態からなる粘着テープが知られ、ラベル、医療用、化粧用、装飾用、マスキング用、電子工業用、その他種々の用途に使用されている。医療用で使用される粘着テープとしては、パップ剤、プラスター剤、絆創膏、サージカルテープ等の貼付剤の形態で、通常皮膚、粘膜等に貼付される。
【0003】
このような粘着テープは通常、支持体と、その支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープ、及び、粘着剤層に剥離可能に付着された剥離シートから構成される。粘着テープは製造された後、適度な大きさに裁断され、衛生的かつ物理的に保護するため個別に包装袋に入れられた状態で流通し、販売される場合がある。この場合に、使用の際は、包装袋を破り、粘着テープを取り出し、剥離シートを剥がして粘着剤層を露出させて、貼付部位に貼付する。
【0004】
使用の際によく問題となるのは、剥離シートの剥がしにくさの点である。剥離シートは一般に薄くて柔軟であるため取扱いにくく、剥がすのに時間を要することがある。この点を改善するため、剥離シートの剥がしやすさ及び粘着テープの貼りやすさを追求した種々の剥離シート及び粘着テープが開発されている(例えば、特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−75602号公報
【特許文献2】特開2007−75601号公報
【特許文献3】特許第3689807号公報
【特許文献4】実開昭50−133797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの剥離シート又は粘着テープはいずれも、粘着テープの貼りやすさの観点から利便性を追求した構造である。確かに便利ではあるが、粘着テープが剥離シート及び包装袋をそれぞれ備える態様を維持していることには変わりがなく、使用後には剥離シート及び包装袋がゴミとして発生する。
【0007】
本発明の目的は、粘着テープの貼りやすさを追求しながら、省資源という効果を奏することのできる粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、本発明は、支持体と、その支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される前記粘着テープ包装袋において、剥離シートが、第1部分と、該第1部分に対向する第2部分とからなり、粘着剤層が外側に向くように粘着テープが第1部分と第2部分とに折り曲げられ、剥離シートの第1部分と第2部分との間に、折り曲げられた粘着テープが封じられ、粘着テープの第1部分と第2部分との間に仮止め手段が設けられ、剥離シートの第1部分と粘着シートの第1部分との間に部分的に付着力抑制手段が設けられ、付着力抑制手段とは別の部分にて、剥離シートの第2部分と粘着シートの第2部分との間に部分的に他の付着力抑制手段が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、従来存在した包装袋を省略することが可能となる。また、例えば剥離シートの第1部分と粘着シートの第1部分との間の付着力抑制手段の近傍から剥離シートの第1部分を剥離すると、粘着シートの第1部分の粘着層剤が露出する。また、例えば剥離シートの第2部分と粘着シートの第2部分との間の付着力抑制手段の近傍から剥離シートの第2部分を剥離すると、粘着シートの第2部分の粘着層剤が露出する。すなわち、剥離シートのどの部分から剥離するかが分かっていれば、粘着層剤の露出側が分かり、露出させた後の貼付作業が容易となる。更に、粘着テープが剥離シートの内側で封じられるため、内部が外界と遮断され、粘着テープがより衛生的かつ物理的に保護され、粘着テープの粘着剤層の成分が外界に漏れない。
【0010】
また、剥離シートの第1部分と第2部分との間に、2カ所、開封用の摘み部分としての非接着部分を設けることが好ましい。この場合、2つの非接着部分はそれぞれ、剥離シートの第1部分と粘着シートの第1部分との間の付着力抑制手段の近傍、及び、剥離シートの第2部分と粘着シートの第2部分との間の他の付着力抑制手段の近傍に配置するとよい。また、非接着部分に、ノッチのような触感により認識できる印を設けた場合には、目の不自由な者でも、粘着テープの粘着剤層の露出する向きを容易に把握することができる。
【0011】
剥離シートは、粘着テープの粘着層を使用時まで保護することができれば、その材質、構成は特に限定はされないが、外層からセロハンフィルム、プラスチックフィルム、アルミニウム箔、次いで内層に更にプラスチックフィルムを積層した構成が好ましく、更に付着力抑制手段が、剥離シートの、粘着テープの第1部分の粘着剤層と付着する部分に施されたシリコン処理面であることが好ましい。種々の付着力抑制手段の中でもシリコン処理は比較的容易且つ安価に行うことができるという利点がある。付着力抑制手段としては他に、当該部分にエンボス加工及び/又はサンド加工を施してもよい。
【0012】
粘着テープの第1部分と第2部分との間の仮止め手段は粘着剤、すなわち支持体同士に対して粘着性を有するものが好ましい。
【0013】
上記のように構成された粘着テープ包装袋は、剥離シートを開封したと同時に現れる粘着テープの粘着剤層の露出部を貼付する部位に接着させ、その後剥離シートの長手方向かつ粘着テープから遠ざかる向きに貼付部位に沿うように引っ張ることで、粘着テープの全面が貼付部位に貼付可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粘着テープ包装袋によれば、粘着テープが剥離シートを有し、個別に包装する態様の粘着テープであれば他の粘着テープに対しても全て適用可能であり、省資源で貼付が容易な粘着テープ包装袋が提供される。すなわち、本発明の粘着テープ包装袋は、従来個別に存在する包装袋を省略することが可能であり、粘着テープの保管時には、包装袋が省略されても、剥離シートを密閉することで内部が外界と遮断されるため、粘着テープが衛生的かつ物理的に保護される。
【0015】
また、粘着テープの使用時には、剥離シートの第1部分と第2部分のいずれかから剥離しても、その剥離側に粘着テープの粘着剤層が露出することになり、粘着剤層の露出側が分からずに手に粘着剤層が付いたりせず、貼付部位への貼付が容易となる。しかも、剥離シートの半分を剥がした後、粘着テープは剥離シートの残りの部分上で支えられ或いは補強された状態となるので、粘着剤同士が接着し粘着テープが使用できない状態になることもなく、これも貼付を容易にするものである。また、粘着テープが人体に貼付することができる貼付剤、すなわちプラスター剤、パップ剤や絆創膏、サージカルテープ、貼るタイプのカイロ等の場合、貼付部位が一人では貼付しにくい背中等であっても、手を汚さず片手で容易に貼付することができる。
【0016】
更に、本発明の粘着テープ包装袋は一枚単位で製品化されるため、携帯利便性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)〜(c)は本発明による粘着テープ包装袋の製造工程を示す斜視図である。
【図2】粘着テープと剥離シートの構成を示す拡大断面図である。
【図3】(a)〜(d)は剥離シートの辺縁の形状を例示した図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明による粘着テープ包装袋の使用方法を示す斜視図である。
【図5】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付する場面を示す図である。
【図6】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付する場面の図であり、図4から続く状態を示す図である。
【図7】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付し終えた様子を示す図である。
【図8】本発明による粘着テープ包装袋の他の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明による粘着テープ包装袋の別の実施形態を示す断面図である。
【図10】図9に示す粘着テープ包装袋の斜視図である。
【図11】本発明による粘着テープ包装袋の更に別の実施形態を示す断面図である。
【図12】本発明による粘着テープ包装袋の更に別の実施形態を示す概略説明図である。
【図13】(a)及び(b)は図8の実施形態の変形例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。
【0019】
図1の(a)〜(c)は、本発明による粘着テープ包装袋10の製造工程を表す斜視図である。この粘着テープ包装袋10は、片方の面に粘着剤層12を有する粘着テープ14、及び、粘着テープ14全体を覆う形の剥離シート16を備える。粘着テープ14及び剥離シート16は共に、長方形が好ましい。
【0020】
図2は、粘着テープ14に剥離シート16を付着させた状態の断面図を示す。粘着テープ14は、支持体18と、その一方の面に積層された粘着剤層12とを備えており、これに剥離シート16が剥離可能に付着する。
【0021】
本発明の粘着テープ包装袋10は、ラベル、医療用、化粧用、装飾用、マスキング用、電子工業用、その他種々の用途に使用される。特に、医療用、化粧用等で使用される粘着テープ包装袋は、パップ剤、プラスター剤、絆創膏、サージカルテープ、化粧用パック剤、貼るタイプのカイロ等通常皮膚、粘膜等に貼付される貼付剤の包装袋として用いることが可能である。
【0022】
支持体18の構成材料は、粘着剤層12を支持し得るものであれば特に制限されないが、通常、織布、不織布、プラスチック等からなるフィルム、金属箔等が用いられる。更に支持体は、単層構造でも積層構造であってもよく、例えば異なる材料からなる複数の織布又は不織布を積層した構造であってもよく、プラスチックフィルム、金属箔等と織布又は不織布を積層した構造であってもよい。
【0023】
また、本発明に用いる織布又は不織布は、特に限定はされず、繊維状の素材を布状に加工したものであって、粘着テープ14の支持体18に使用できるものであればよく、例えば編み目を丸編み、経て編み、緯(よこ)編み等により集合させて布状に加工した編布も含まれる。
【0024】
織布又は不織布の好ましい例としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂繊維の少なくとも一種からなる織布又は不織布が挙げられ、中でも粘着剤層に含有される成分との相互作用が少ないポリエステル系のポリエチレンテレフタレートからなる織布が好ましい。
【0025】
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂を用いて形成されたものが挙げられる。また、本発明の粘着テープ144を医療用、化粧用の貼付剤として用いる場合は、支持体18には、貼付剤としての十分な伸縮性又は非伸縮性を有する材料を用いることが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレートのメリヤス編みの織布(編み布)が好ましい。
【0026】
支持体18としての編み布は、その目付け(単位当たりの質量)が50〜500g/m2であることが好ましい。また、支持体18は、JIS L1018の方法に従って測定した場合、縦方向(長軸方向)モジュラスが2〜12N/5cm、横方向(短軸方向)モジュラスも2〜12N/5cmであることが好ましい。なお、ここでいう縦方向とは、編み布を製造する工程における流れ方向のことを指し、横方向とは、縦方向と直交する方向、すなわち幅方向のことを指す。縦方向又は横方向が2N/5cmより低いモジュラスである場合、貼付部分にしわを伸ばしながら貼付することが困難な傾向がみられ、また、縦方向又は横方向が12N/5cmより高いモジュラスである場合は、逆に貼付の際に粘着テープが伸びすぎ、しわが生じやすくなる傾向がある。なお、モジュラスは室温(25℃)の値である。
【0027】
上記の支持体18を用いることにより、後述する粘着テープ包装袋10内での二つ折りが容易となり、かつ、嵩張らない。また、貼付の際は二つ折りにしていた部分に、いわゆる“くせ”が付きにくく、きれいに貼ることができる。
【0028】
粘着剤層12の構成材料である粘着成分としては、粘着性を有し貼付部位に貼着することができれば特に限定はされないが、粘着基剤としてアクリル系粘着成分、ゴム系粘着成分、シリコン系粘着成分等が好ましく用いられ、中でも粘着物性の観点から、ゴム系粘着成分が特に好ましく用いられる。
【0029】
具体的なゴム系粘着成分としては、天然ゴム、合成ゴムのいずれも使用することができ、合成ゴムとしては、例えば、スチレン系ブロックコポリマーやポリイソブチレンが挙げられる。更に、スチレン系ブロックコポリマーとしては、スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)が挙げられる。
【0030】
スチレン系ブロックコポリマーの具体例としては、クレイトンD−1112、D−1111、D−1107(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、JSR5000又はJSR5002(商品名、日本合成ゴム(株)製)、クインタック3530、3421又は3570C(商品名、日本ゼオン(株)製)、クレイトンD−KX401CS又はD−1107CU(商品名、クレイトンポリマー(株)製)等のリニアトリブロックコポリマーや、クレイトンD−1124(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、ソルプレン418(商品名、フィリップペトロリアム(株)製)等の分岐ブロックコポリマー等が挙げられる。
【0031】
ポリイソブチレンとしては、例えば高分子から低分子のものが用いられ、例えば、オパノールB10、B12、B12SF、B15、B15SF、B30SF、B50、B50SF、B80、B100、B120、B150、B200(商品名、BASF(株)製)、ビスタネックスLM−MS、LM−MH、LM−H、MM L−80、MM L−100、MM L−120、MM L−140(商品名、エクソン化学(株)製)等が挙げられる。
【0032】
また、アクリル系高分子としては、モノマー単位として、例えば、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等に代表される(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも一種含有する重合体又は共重合体等が用いられ、例えば、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・N−ビニル−2−ピロリドン・ジメタクリル酸−1,6−ヘキサングリコール共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、Duro−Takアクリル粘着剤シリーズ(ナショナルスターチアンドケミカル社製)、GELVAアクリル粘着剤シリーズ(モンサント社製)、SKダインマトリダーム(綜研化学)、オイドラギットシリーズ(樋口商会)等が使用できる。
【0033】
上記ゴム系、アクリル系、シリコン系等の粘着基剤は、一種又は二種以上を混合して用いることも可能である。
【0034】
更に、本発明の粘着テープ14を医療用のパップ剤、プラスター剤、化粧用のパック剤として用いる場合には、粘着剤層として水溶性高分子も用いることができ、このような水溶性高分子としては、ゼラチン、寒天、アルギン酸、マンナン、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその塩等、あるいは、これらのうちの少なくとも一種を有機又は無機の架橋剤により架橋したものが好ましく用いられる。
【0035】
上記の粘着基剤の他、粘着剤層12には適宜、粘着付与剤、軟化剤、溶解剤、水、増粘剤、湿潤剤、充填剤、架橋剤、重合剤、溶解補助剤、吸収促進剤、安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、薬物、紫外線吸収剤等が添加される。
【0036】
本発明の粘着テープ14を医療用、化粧用の貼付剤として用いる場合の薬物としては、経皮的に体内に吸収されて薬理効果を発揮するものであれば特に限定されることはなく、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、血行促進剤、麻酔剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗菌剤、血管拡張剤等が挙げられる。
【0037】
本発明の剥離シート16は、粘着テープ14の包装袋として通常使用されているものであれば用いることができる。また、剥離シート16は、単層又は積層のいずれでもよく、また、構成する材料も本発明の効果を奏するのであれば特に限定されない。例えば、紙、不織布、アルミニウム、セロハン、ナイロン、高密度又は低密度のポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール共重合体等から適宜選択することが可能である。
【0038】
更にこれらに印刷インキ若しくは接着剤等を塗布したもの、又は蒸着若しくはスパッタリング等の方法で薄膜を設けたものであってもよい。薄膜としては、アルミニウム等の金属の他、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等のガスバリヤ性と透明性の高い薄膜が好適である。この中でも、アルミニウムを含むフィルムが好ましく、更にポリエチレン、アルミニウム、ポリエチレンを順次積層したものがより好ましく、更にまた最外層にセロハンを積層したものが好ましく用いられる。
【0039】
これらの剥離シート16は、粘着テープ14を封入する際に折り曲げるため、柔軟性を有するものが好ましい。従って、剥離シート16の厚みとしては、折り曲げることができれば特に限定はされないが10〜500μmの範囲であることが好ましく、15〜300μmの範囲であれば更に好ましい。
【0040】
図1の(a)に示す粘着テープ14は、粘着剤層12を剥離シート16の二点鎖線で示す部分に置かれ、両者は剥離可能に付着され、図1の(b)の状態となる。このとき、粘着テープ14の、その短手方向と平行な中心線と、剥離シート16の、その短手方向と平行な中心線とはほぼ一致する。
【0041】
ここで、図1の(a)のハッチング部分20,22は、粘着テープ14と粘着剤層12と剥離シート16との間の付着力を弱める付着力抑制手段を設けた部分(以下「付着力抑制部分」と称する)である。従って、この付着力抑制部分20,22で、粘着テープ14は剥離シート16から、他の部分よりも容易に剥離することができる。なお、この付着力抑制部分20,22は、剥離処理を施したものが考え、剥離処理としては、剥離剤を用いる方法の他、エンボス加工、サンド加工等の物理的に剥離を行ないやすくする方法も含まれる。剥離剤としては、シリコン系剥離剤、アルキルペンダント系剥離剤、縮合ワックス系剥離剤等のいずれも用いることができ、この中でもシリコン系剥離剤を用いたいわゆるシリコン処理が好ましい。シリコン処理は、比較的容易且つ安価に行うことができるという利点があるからである。
【0042】
次いで、図1の(b)の状態から剥離シート16は前記中心線に沿って粘着テープ14と共に折り曲げられ、同形の第1部分24と第2部分26とが形成される。この折り曲げられた剥離シート16の内側にて、粘着テープ14が折り曲げられた状態で封じられ、本発明の粘着テープ包装袋10が完成する(図1の(c))。
【0043】
なお、粘着テープ14は、同形の第1部分28と第2部分30とに折り曲げられ、これらの部分28,30は互いに重ね合わされるが、剥離シート16を開封した際に剥離シート16と共に開かないよう、両部分28,30との間には仮止め手段32が設けられている。仮止め手段32としては、特に限定されることはないが、例えば、磁力、静電気力、又は物理的な力、例えばマジックテープ、両面テープ、粘着剤、接着剤の他、疑似接着、剥離シート16や支持体18の材質、性状等によっては溶着、熱接合、強押し、型押し、ホットメルト接着剤等を用いることができる。また、粘着テープ14の支持体18が例えば織布から形成されている場合には、支持体18の織布に熱可塑性材料を浸透させることで、熱接合による仮止めも可能となる。このように様々な仮止め手段が用いられ得るが、その中でも、重ね合わされた端部間に疑似接着剤又はホットメルト接着剤を用いる手段が有効である。なお、疑似接着とは、特許庁ホームページから入手可能な技術分野別特許マップ、一般21「接着」第336頁(www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/ippan21/4/4−3−1.htm)に記載されているように、平常では粘接着性を有さないが、特殊加圧条件等で接合するものをいい、粘着剤に添加物を加えて生成された疑似接着剤が用いられる。
【0044】
仮止め手段としては、粘着テープ14の支持体18の第1部分28と第2部分30との間の付着力(仮止め手段342の付着力)が、剥離シート16の付着力抑制部分20,22に対する粘着テープ14の粘着剤層12の付着力(粘着力)よりも高くなるものであればよい。
【0045】
粘着テープ14を二つ折りされた剥離シート16内に封じる方法としては、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との重ね合わされた部分のうち、粘着テープ14を囲む部分を、ヒートシールや接着剤等を使用して密閉する方法が好ましい。剥離シート16が密閉されると、内部が外界と遮断されるため、粘着テープ14がより衛生的かつ物理的に保護され、粘着テープ14の粘着剤層12に含まれる成分が外界に漏れない、揮発しない等の利点がある。このような構成とすることで、剥離シート16が包装袋としても機能することとなるので、従来存在した個別の包装袋を省略することが可能となる。
【0046】
更に、粘着テープ包装袋10の開封を容易にするために、剥離シート16の第1部分24と第2部分26とを密閉する手段として、いわゆるイージーピール技術を用いることも有効である。イージーピールとは、前述した特許庁ホームページから入手可能な技術分野別特許マップ、一般21「接着」第335頁に記載されているように、易剥離性を意味し、容器・包装においてヒートシールにより封緘し、明ける時に波がしやすくしたものをいう。イージーピールは、具体的には、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との間における接着剤層自体が破壊されて剥離する凝集剥離タイプや、この接着剤層と第1部分24又は第2部分26の接着強度を低くしておき、開封時に第1部分24又は第2部分26が接着剤層から剥離する層間剥離タイプ、更には、EVA等の易接着性樹脂を用いる界面剥離タイプ等、種々のタイプがあり、特に限定されるものではないが、表面にポリエチレン層が配置されるシート材が剥離シート16として使用される場合には、イージーピール用の接着剤層として、例えば、高密度ポリエチレンを主体とした樹脂層と、低密度ポリエチレンに凝集破壊を引き起こす樹脂が添加されたイージーピール性樹脂層とからなる2層構造のものを使用するとよい。
【0047】
なお、完成した粘着テープ包装袋10の角部が尖っていることを避けるため、剥離シート16は、完成した粘着テープ包装袋10の角部の一部、好ましくは四隅の全てが丸められた形状となるよう、略長方形の形状を有することが有効である。図1の(c)では、2つの角部が丸められた状態を示している。
【0048】
また、剥離シート16の全部又は一部の辺縁は、貼付時に、例えば剥離シート16の辺縁により貼付部位もしくはその周辺を傷めないように、辺縁を波形、パルス形、短冊状の形状にしたり、辺縁の最末端はあえて接着しないようにしたりする等の手段も用いることができる(図3の(a)〜(d)参照)。
【0049】
また、図1の(c)及び図4の(a)に示すように、剥離シート16の第1部分24と第2部分26の端の部分は接着されずに、その非接着部分34を摘めるようになっている。非接着部分34は、図1の(b)からも理解される通り、上側の剥離シート16の第1部分24には2カ所、下側の剥離シート16の第2部分26にも2カ所あるが、第1部分24については、付着力抑制部分20に近い非接着部分34aに、そして、第2部分26については、同じく付着力抑制部分22に近い非接着部分34bに、ノッチやエンボス等の触感により認識できる印36を付けておくとよい。この印36は、後述するように、いずれの側を上にして剥離シート16を剥離すればよいか等を、目が不自由な者にも認識させるのに役立つものとなる。また、触覚で認識できる印36の他、非接触部分34a,34bに使用説明の絵記号等を付しておくことが好ましい。更に、図示しないが、非接着部分34a,34bをそれが対向する部分よりも突出するような形態とすることで、摘むべき部分を容易に認識できるようにすることもできる。この場合、段差ができるため、より一層摘みやすくなるという効果も奏する。
【0050】
次に、図4〜図7を参照して本実施形態についての粘着テープ包装袋10の作用及び効果について説明する。
【0051】
図4の(a)は、本実施形態についての粘着テープ包装袋10の斜視図を示している。従来型の粘着テープと比較して、剥離シートとは別個の包装袋を有しないため省資源であること、並びに、本発明の粘着テープ包装袋10は一枚単位で製品化されるため、携帯利便性に優れていることが、この図から理解されよう。
【0052】
先ず使用者は、剥離シート16の第1部分24の非接触部分34aを摘む。この際、目の不自由な者も、印36によって、剥離シート16の第1部分24が上向きであることや、その印36のある部分34aから剥離を開始してよいことを認識することができる。次いで、その非接触部分34aから、封じられた剥離シート16を開き始める(図4の(b)参照)。剥離シート16における第1部分24の付着力抑制部分20の直下に位置する第2部分26には、付着力抑制手段が施されていないため、粘着テープ14は第2部分26に第1部分よりも強く付着されており、また、粘着テープ14の第1部分28と第2部分30とは粘着剤32によって仮止めされているので、非接触部分34aを持って剥離シート16を開封すると、剥離シート16の第1部分24の端が粘着テープ14の第1部分28から剥がれていく。この間、粘着テープ14は、剥離シート16の第2部分26上で二つ折りの状態を維持し、最終的には、図4の(c)に示すように、剥離シート16を、折り曲げる前の平面状に戻るまで完全に開くと、粘着テープ14は第1部分28が剥離シート16から完全に剥がれた状態となり、第1部分28の粘着剤層12が上向きで露出する。
【0053】
一方、図4の(a)の状態から粘着テープ包装袋10を上下逆転させた場合、粘着テープ包装袋10は図の一点鎖線を中心にして回転対称となっているため、剥離シート16の第2部分26における非接着部分34bが、図4の(a)に示す34aの位置になるだけで、非接触部分34bから剥離を開始しても、非接触部分34aから開始した場合と同様に、粘着テープ14の第2部分30の粘着剤層12が上向きで露出する。
【0054】
このように、本発明によれば、剥離シート16の第1部分24と第2部分26がどの向きであろうとも、剥離シート16の剥離を開始した部分と同じ側の粘着テープ14の部分が露出することになるため、粘着剤層12の露出の向きが予め分かり、この後の貼付作業が容易となる。
【0055】
図5〜図7は、本実施形態に係る粘着テープ14が特に医療用、化粧用等の貼付剤として用いられる場合、すなわち、粘着テープ14の第1部分28の粘着剤層12が露出した粘着テープ包装袋10を下方から当てて、貼付部位に貼付する方法を示す。なお、これ以外の用途で用いる場合も同様の方法により貼付することができる。まず、当該粘着テープ包装袋を片手に持ち、図5に示すように貼付部位ないし貼付部位の近傍に当てる。次に、図6に示すように、剥離シート16の第1部分24を持ったまま、剥離シート16をその長手方向かつ粘着テープ14から遠ざかる向きに、皮膚に沿うように引っ張る。剥離シート16が引っ張られるに従って、粘着テープ14の第1部分28が剥離シート16から剥がれると同時に貼付部位に貼付される。特に剥離シート16を引っ張りながら貼付するため、粘着テープ14にしわがよらずに、これを貼付することができる。図7は粘着テープ14の全体を貼付部位に貼付し終えた様子を示す。
【0056】
本実施形態に係る粘着テープ14は、粘着剤層12から剥がれた剥離シート16の第1部分24に当該粘着テープ14を載せた手の親指を添えることができるため、手にしっかり保持することができる。従って、粘着テープ14を貼付部位に当てる際に落下させる危険が小さく、また、貼付する際に粘着テープ14がぶれたり、重力によって意図しない方向に垂れ下がったりする心配が小さいため、安心して貼付部位に狙いを定めて貼付することができる。貼付部位が一人では貼付しにくい背中等であっても、片手で容易に貼付することができる。
【0057】
なお、上述の使用動作においては粘着剤層12が貼付部位以外の皮膚に接触するおそれが小さい。従来型の粘着テープの使用でしばしば体験する手指等への粘着剤層のべたつきがなく、衛生的であり、しかも、剥離シート16の第1部分24を剥がした後、粘着テープ14は剥離シート16の第2部分26上で支えられ或いは補強された状態となるので、粘着剤同士が接着し貼付剤が使用できない状態になることもない。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0059】
例えば、上記実施形態では、剥離シート16の第1部分24と第2部分26とは分離できない構成となっているが、両者間に弱め線(例えば、ミシン目や、熱等を加えて裂けやすくした線等)を入れ、剥離シート16を粘着テープ14の第1部分から引き離した際に、剥離シート16の第1部分24と第2部分28とを分離できるようにしてもよい。これは、貼付する部位の周囲に何らかの障害物があるとき等には、剥離シートも小さくしておいた方が貼付しやすい場合があるからである。
【0060】
また、上記実施形態では、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との重ね合わせた縁部をヒートシールするとし、折曲げ部分については特に言及していないが、図8に示すように、折曲げ部分40についても、他の縁部と同様な処理を施してもよい。この場合、粘着テープ包装袋10の四辺全てに同様なシール部が形成されるため、美観に優れたものとなる。
【0061】
更に、上記実施形態では、剥離シート16を折り曲げて第1部分24と第2部分26とを作っていたが、図9及び図10に示すように、剥離シート16の第1部分124と第2部分126とがそれぞれ独立のシートから構成されたものであってもよい。この場合、剥離シート16の周囲をヒートシールすれば、図8の構成と実質的に同じものとすることができるが、図9及び図10に示す実施形態では、第1部分124側の付着力抑制部分120と、第2部分126側の付着力抑制部分122とを剥離シート16の長辺に沿って延ばし、それに伴って摘み部分となる非接着部分も長く延ばして、開封をより容易に行えるようにしている。なお、この場合には、仮止め手段32は、図9に示すように、複数箇所設けておくとよい。
【0062】
また、図11に示すように、剥離シート16の折曲げ線50と、粘着テープ14の折曲げ線52とが相反する向きとなるよう、粘着テープ14を剥離シート16の第1部分24と第2部分26との間に配置してもよい。更に、折曲げ線50と折曲げ線52が平行ではなく、90度をなしても、或いは、他の角度とすることも考えられる。
【0063】
また、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との互いに重ね合わされた部分を、ヒートシール法により密閉した場合には、開封をより一層容易にするために、例えば図12に示すように、ヒートシール部60の一部を山形ないしは三角形の鋸歯形状とすることが好適である。このような形状のヒートシール部60にあっては、非接着部分65を摘んで第1部分24と第2部分26とを互いに離れる方向に引くと、その引張り力が鋸歯形状のヒートシール部60のいずれかの山の頂部に集中することになり、その頂部からヒートシール部60の破断が開始することになる。例えば図12において右上端から開いた場合には、符号68で示す山の頂部に力が集中する。特に、図11に示す形状においては、山の頂部は点であるため、引張り力が小さくとも、その力は一点に集中するため、容易に破断が開始する。ヒートシール部60において破断が一旦開始すると、更に大きな引張り力を加えることなく、この破断開始点を起点として他の部分に破断が伝播していき、ヒートシール部60全体が破断して、粘着テープ包装袋10は図4の(c)の状態となる。
【0064】
なお、鋸歯形状のヒートシール部60の山の高さH及びピッチPについては適宜定めることができる。しかしながら、Hに対してPが大きい場合、山の頂部の角度が大きくなり、力の集中という効果が損なわれる。また、Pが小さいと、部分65に加えられた引張り力が2以上の山の頂部に分散することとなり、開封に大きな力を要することになる。一方、Hが小さいと、直線状のヒートシール部に近いものとなり、この場合も開封に大きな力を要する。このような点を考慮すると、Hは10mm前後、Pは10〜20mm程度とすることが好適である。
【0065】
図13の(a)は、図12のヒートシール部60の変形であり、鋸歯形状のヒートシール部の内側となる縁を直線状としたものである。このように一方の縁を直線状とすることで、ヒートシール部60の破断時の感触が滑らかなものとなる。
【0066】
また、力を一点に集中させることでヒートシール部60の破断が容易となることから、図13の(b)に示すように、摘み部分65に向かって突出する凸点70を一つだけヒートシール部60に形成することとしてもよい。なお、図13の(b)の構成では、ヒートシール部60の凸点70以外の部分が緩やかな山形となっているが、これは、凸点70からの破断が他の部分に伝播し易くするためである。
【0067】
更に、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との接合手段はヒートシールに限られず、接着剤等を用いる手法も考えられるが、接着剤その他による面接合部の外縁にも、外側に突出する少なくとも一点の凸点を形成することで、図12及び図13に示すヒートシール部60と同様な易開封性を得ることができる。
【実施例】
【0068】
粘着剤として、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー20部、ポリイソブチレン20部、流動パラフィン45部、水添ロジングリセリンエステル15部を混合し、ポリエチレンテレフタレートの織布に展延し、粘着テープを得た。また、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム、ポリエチレンの積層フィルム(厚み 80μm)を粘着テープよりも大きな面積となるように裁断し、その一面の一部に付着力抑制手段としてシリコン処理を施した。シリコン処理を施した部分は、図1のハッチング部分に示す位置、すなわち相対する一対の角部である。次いで、粘着テープの相対する一対の角部がシリコン処理部分上に位置するようにして粘着テープを剥離シート上に置く。そして、この粘着テープの支持体、すなわちポリエチレンテレフタレート織布の粘着剤のない面で、その一方の短縁付近に、仮止め手段として粘着剤を塗布した。最後に、粘着テープが内包されるように、剥離シートを折り曲げ、縁部をヒートシールした。これによって、図1の(c)及び図4の(a)に示す形態の粘着テープ包装袋を得た。
【0069】
このような粘着テープ包装袋を開封した場合、図4の(c)のように、折り曲げられた粘着テープが、その粘着剤層を上向きで露出した状態で、剥離シート上に残された。また、反対側からも開封したが、同様に、粘着テープが、その粘着剤層を上向きで露出した状態で、剥離シート上に残された。この後、図5〜図7に示す手順で皮膚への貼付を行ったが、粘着テープは皮膚に、確実にかつ円滑に、しかも皺が寄ることなく、容易に貼付された。
【0070】
なお、上記実施例の要領により、ヒートシート部の形成条件を変えて図12に示す形状の粘着テープ包装袋を複数作製し、開封力試験でヒートシール部(図12の符号60の部分)の開封に要する力を測定すると共に、官能試験で各包装袋の性能を評価した。
【0071】
開封力試験では、引張試験器オートグラフAGS−1kgNG(島津製作所製)を用いた。そして、包装袋の開封端(図12において第1部分24と第2部分26の摘み部分65の上部)をそれぞれ掴み治具にセットし、開封速度300mm/minで相反する方向に引っ張るとき(いわゆるT形開封するとき)の、ヒートシール部(図12の符号60の部分)の開封に要する25mm幅当たりの力を測定した。その測定結果は次表の通りである。
【0072】
【表1】
【0073】
上記の表から、包装袋の開封に要する力が0.5〜10N/25mmの範囲であるとき、官能試験結果が「良い」となり、とりわけ1〜5N/25mmの範囲であるとき、官能試験結果が「特に良い」となっていることが分かる。この結果から、包装袋の開封に要する力が0.5〜10N/25mmの範囲、より好ましくは1〜5N/25mmの範囲となるように、ヒートシール部の形成条件を定めることが望ましい。これにより、非力である高齢者や患者にとっても開封し易く、かつ、密封性の良い粘着テープ包装袋を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
10…粘着テープ包装袋、12…粘着剤層、14…粘着テープ、16…剥離シート、18…支持体、20,22,120,122…付着力抑制部分(付着力抑制手段)、24,124…剥離シートの第1部分、26,126…剥離シートの第2部分、28…粘着テープの第1部分、30…粘着テープの第2部分、32…粘着剤(仮止め手段)、34…非接着部分、36…印、60…ヒートシール部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体に粘着剤層を有する粘着テープを包装する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の形態からなる粘着テープが知られ、ラベル、医療用、化粧用、装飾用、マスキング用、電子工業用、その他種々の用途に使用されている。医療用で使用される粘着テープとしては、パップ剤、プラスター剤、絆創膏、サージカルテープ等の貼付剤の形態で、通常皮膚、粘膜等に貼付される。
【0003】
このような粘着テープは通常、支持体と、その支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープ、及び、粘着剤層に剥離可能に付着された剥離シートから構成される。粘着テープは製造された後、適度な大きさに裁断され、衛生的かつ物理的に保護するため個別に包装袋に入れられた状態で流通し、販売される場合がある。この場合に、使用の際は、包装袋を破り、粘着テープを取り出し、剥離シートを剥がして粘着剤層を露出させて、貼付部位に貼付する。
【0004】
使用の際によく問題となるのは、剥離シートの剥がしにくさの点である。剥離シートは一般に薄くて柔軟であるため取扱いにくく、剥がすのに時間を要することがある。この点を改善するため、剥離シートの剥がしやすさ及び粘着テープの貼りやすさを追求した種々の剥離シート及び粘着テープが開発されている(例えば、特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−75602号公報
【特許文献2】特開2007−75601号公報
【特許文献3】特許第3689807号公報
【特許文献4】実開昭50−133797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの剥離シート又は粘着テープはいずれも、粘着テープの貼りやすさの観点から利便性を追求した構造である。確かに便利ではあるが、粘着テープが剥離シート及び包装袋をそれぞれ備える態様を維持していることには変わりがなく、使用後には剥離シート及び包装袋がゴミとして発生する。
【0007】
本発明の目的は、粘着テープの貼りやすさを追求しながら、省資源という効果を奏することのできる粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、本発明は、支持体と、その支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される前記粘着テープ包装袋において、剥離シートが、第1部分と、該第1部分に対向する第2部分とからなり、粘着剤層が外側に向くように粘着テープが第1部分と第2部分とに折り曲げられ、剥離シートの第1部分と第2部分との間に、折り曲げられた粘着テープが封じられ、粘着テープの第1部分と第2部分との間に仮止め手段が設けられ、剥離シートの第1部分と粘着シートの第1部分との間に部分的に付着力抑制手段が設けられ、付着力抑制手段とは別の部分にて、剥離シートの第2部分と粘着シートの第2部分との間に部分的に他の付着力抑制手段が設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、従来存在した包装袋を省略することが可能となる。また、例えば剥離シートの第1部分と粘着シートの第1部分との間の付着力抑制手段の近傍から剥離シートの第1部分を剥離すると、粘着シートの第1部分の粘着層剤が露出する。また、例えば剥離シートの第2部分と粘着シートの第2部分との間の付着力抑制手段の近傍から剥離シートの第2部分を剥離すると、粘着シートの第2部分の粘着層剤が露出する。すなわち、剥離シートのどの部分から剥離するかが分かっていれば、粘着層剤の露出側が分かり、露出させた後の貼付作業が容易となる。更に、粘着テープが剥離シートの内側で封じられるため、内部が外界と遮断され、粘着テープがより衛生的かつ物理的に保護され、粘着テープの粘着剤層の成分が外界に漏れない。
【0010】
また、剥離シートの第1部分と第2部分との間に、2カ所、開封用の摘み部分としての非接着部分を設けることが好ましい。この場合、2つの非接着部分はそれぞれ、剥離シートの第1部分と粘着シートの第1部分との間の付着力抑制手段の近傍、及び、剥離シートの第2部分と粘着シートの第2部分との間の他の付着力抑制手段の近傍に配置するとよい。また、非接着部分に、ノッチのような触感により認識できる印を設けた場合には、目の不自由な者でも、粘着テープの粘着剤層の露出する向きを容易に把握することができる。
【0011】
剥離シートは、粘着テープの粘着層を使用時まで保護することができれば、その材質、構成は特に限定はされないが、外層からセロハンフィルム、プラスチックフィルム、アルミニウム箔、次いで内層に更にプラスチックフィルムを積層した構成が好ましく、更に付着力抑制手段が、剥離シートの、粘着テープの第1部分の粘着剤層と付着する部分に施されたシリコン処理面であることが好ましい。種々の付着力抑制手段の中でもシリコン処理は比較的容易且つ安価に行うことができるという利点がある。付着力抑制手段としては他に、当該部分にエンボス加工及び/又はサンド加工を施してもよい。
【0012】
粘着テープの第1部分と第2部分との間の仮止め手段は粘着剤、すなわち支持体同士に対して粘着性を有するものが好ましい。
【0013】
上記のように構成された粘着テープ包装袋は、剥離シートを開封したと同時に現れる粘着テープの粘着剤層の露出部を貼付する部位に接着させ、その後剥離シートの長手方向かつ粘着テープから遠ざかる向きに貼付部位に沿うように引っ張ることで、粘着テープの全面が貼付部位に貼付可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粘着テープ包装袋によれば、粘着テープが剥離シートを有し、個別に包装する態様の粘着テープであれば他の粘着テープに対しても全て適用可能であり、省資源で貼付が容易な粘着テープ包装袋が提供される。すなわち、本発明の粘着テープ包装袋は、従来個別に存在する包装袋を省略することが可能であり、粘着テープの保管時には、包装袋が省略されても、剥離シートを密閉することで内部が外界と遮断されるため、粘着テープが衛生的かつ物理的に保護される。
【0015】
また、粘着テープの使用時には、剥離シートの第1部分と第2部分のいずれかから剥離しても、その剥離側に粘着テープの粘着剤層が露出することになり、粘着剤層の露出側が分からずに手に粘着剤層が付いたりせず、貼付部位への貼付が容易となる。しかも、剥離シートの半分を剥がした後、粘着テープは剥離シートの残りの部分上で支えられ或いは補強された状態となるので、粘着剤同士が接着し粘着テープが使用できない状態になることもなく、これも貼付を容易にするものである。また、粘着テープが人体に貼付することができる貼付剤、すなわちプラスター剤、パップ剤や絆創膏、サージカルテープ、貼るタイプのカイロ等の場合、貼付部位が一人では貼付しにくい背中等であっても、手を汚さず片手で容易に貼付することができる。
【0016】
更に、本発明の粘着テープ包装袋は一枚単位で製品化されるため、携帯利便性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)〜(c)は本発明による粘着テープ包装袋の製造工程を示す斜視図である。
【図2】粘着テープと剥離シートの構成を示す拡大断面図である。
【図3】(a)〜(d)は剥離シートの辺縁の形状を例示した図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明による粘着テープ包装袋の使用方法を示す斜視図である。
【図5】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付する場面を示す図である。
【図6】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付する場面の図であり、図4から続く状態を示す図である。
【図7】本発明による粘着テープを貼付部位に貼付し終えた様子を示す図である。
【図8】本発明による粘着テープ包装袋の他の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明による粘着テープ包装袋の別の実施形態を示す断面図である。
【図10】図9に示す粘着テープ包装袋の斜視図である。
【図11】本発明による粘着テープ包装袋の更に別の実施形態を示す断面図である。
【図12】本発明による粘着テープ包装袋の更に別の実施形態を示す概略説明図である。
【図13】(a)及び(b)は図8の実施形態の変形例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。
【0019】
図1の(a)〜(c)は、本発明による粘着テープ包装袋10の製造工程を表す斜視図である。この粘着テープ包装袋10は、片方の面に粘着剤層12を有する粘着テープ14、及び、粘着テープ14全体を覆う形の剥離シート16を備える。粘着テープ14及び剥離シート16は共に、長方形が好ましい。
【0020】
図2は、粘着テープ14に剥離シート16を付着させた状態の断面図を示す。粘着テープ14は、支持体18と、その一方の面に積層された粘着剤層12とを備えており、これに剥離シート16が剥離可能に付着する。
【0021】
本発明の粘着テープ包装袋10は、ラベル、医療用、化粧用、装飾用、マスキング用、電子工業用、その他種々の用途に使用される。特に、医療用、化粧用等で使用される粘着テープ包装袋は、パップ剤、プラスター剤、絆創膏、サージカルテープ、化粧用パック剤、貼るタイプのカイロ等通常皮膚、粘膜等に貼付される貼付剤の包装袋として用いることが可能である。
【0022】
支持体18の構成材料は、粘着剤層12を支持し得るものであれば特に制限されないが、通常、織布、不織布、プラスチック等からなるフィルム、金属箔等が用いられる。更に支持体は、単層構造でも積層構造であってもよく、例えば異なる材料からなる複数の織布又は不織布を積層した構造であってもよく、プラスチックフィルム、金属箔等と織布又は不織布を積層した構造であってもよい。
【0023】
また、本発明に用いる織布又は不織布は、特に限定はされず、繊維状の素材を布状に加工したものであって、粘着テープ14の支持体18に使用できるものであればよく、例えば編み目を丸編み、経て編み、緯(よこ)編み等により集合させて布状に加工した編布も含まれる。
【0024】
織布又は不織布の好ましい例としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂繊維の少なくとも一種からなる織布又は不織布が挙げられ、中でも粘着剤層に含有される成分との相互作用が少ないポリエステル系のポリエチレンテレフタレートからなる織布が好ましい。
【0025】
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂を用いて形成されたものが挙げられる。また、本発明の粘着テープ144を医療用、化粧用の貼付剤として用いる場合は、支持体18には、貼付剤としての十分な伸縮性又は非伸縮性を有する材料を用いることが好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレートのメリヤス編みの織布(編み布)が好ましい。
【0026】
支持体18としての編み布は、その目付け(単位当たりの質量)が50〜500g/m2であることが好ましい。また、支持体18は、JIS L1018の方法に従って測定した場合、縦方向(長軸方向)モジュラスが2〜12N/5cm、横方向(短軸方向)モジュラスも2〜12N/5cmであることが好ましい。なお、ここでいう縦方向とは、編み布を製造する工程における流れ方向のことを指し、横方向とは、縦方向と直交する方向、すなわち幅方向のことを指す。縦方向又は横方向が2N/5cmより低いモジュラスである場合、貼付部分にしわを伸ばしながら貼付することが困難な傾向がみられ、また、縦方向又は横方向が12N/5cmより高いモジュラスである場合は、逆に貼付の際に粘着テープが伸びすぎ、しわが生じやすくなる傾向がある。なお、モジュラスは室温(25℃)の値である。
【0027】
上記の支持体18を用いることにより、後述する粘着テープ包装袋10内での二つ折りが容易となり、かつ、嵩張らない。また、貼付の際は二つ折りにしていた部分に、いわゆる“くせ”が付きにくく、きれいに貼ることができる。
【0028】
粘着剤層12の構成材料である粘着成分としては、粘着性を有し貼付部位に貼着することができれば特に限定はされないが、粘着基剤としてアクリル系粘着成分、ゴム系粘着成分、シリコン系粘着成分等が好ましく用いられ、中でも粘着物性の観点から、ゴム系粘着成分が特に好ましく用いられる。
【0029】
具体的なゴム系粘着成分としては、天然ゴム、合成ゴムのいずれも使用することができ、合成ゴムとしては、例えば、スチレン系ブロックコポリマーやポリイソブチレンが挙げられる。更に、スチレン系ブロックコポリマーとしては、スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)が挙げられる。
【0030】
スチレン系ブロックコポリマーの具体例としては、クレイトンD−1112、D−1111、D−1107(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、JSR5000又はJSR5002(商品名、日本合成ゴム(株)製)、クインタック3530、3421又は3570C(商品名、日本ゼオン(株)製)、クレイトンD−KX401CS又はD−1107CU(商品名、クレイトンポリマー(株)製)等のリニアトリブロックコポリマーや、クレイトンD−1124(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、ソルプレン418(商品名、フィリップペトロリアム(株)製)等の分岐ブロックコポリマー等が挙げられる。
【0031】
ポリイソブチレンとしては、例えば高分子から低分子のものが用いられ、例えば、オパノールB10、B12、B12SF、B15、B15SF、B30SF、B50、B50SF、B80、B100、B120、B150、B200(商品名、BASF(株)製)、ビスタネックスLM−MS、LM−MH、LM−H、MM L−80、MM L−100、MM L−120、MM L−140(商品名、エクソン化学(株)製)等が挙げられる。
【0032】
また、アクリル系高分子としては、モノマー単位として、例えば、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等に代表される(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも一種含有する重合体又は共重合体等が用いられ、例えば、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・N−ビニル−2−ピロリドン・ジメタクリル酸−1,6−ヘキサングリコール共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸−2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、Duro−Takアクリル粘着剤シリーズ(ナショナルスターチアンドケミカル社製)、GELVAアクリル粘着剤シリーズ(モンサント社製)、SKダインマトリダーム(綜研化学)、オイドラギットシリーズ(樋口商会)等が使用できる。
【0033】
上記ゴム系、アクリル系、シリコン系等の粘着基剤は、一種又は二種以上を混合して用いることも可能である。
【0034】
更に、本発明の粘着テープ14を医療用のパップ剤、プラスター剤、化粧用のパック剤として用いる場合には、粘着剤層として水溶性高分子も用いることができ、このような水溶性高分子としては、ゼラチン、寒天、アルギン酸、マンナン、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその塩等、あるいは、これらのうちの少なくとも一種を有機又は無機の架橋剤により架橋したものが好ましく用いられる。
【0035】
上記の粘着基剤の他、粘着剤層12には適宜、粘着付与剤、軟化剤、溶解剤、水、増粘剤、湿潤剤、充填剤、架橋剤、重合剤、溶解補助剤、吸収促進剤、安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、薬物、紫外線吸収剤等が添加される。
【0036】
本発明の粘着テープ14を医療用、化粧用の貼付剤として用いる場合の薬物としては、経皮的に体内に吸収されて薬理効果を発揮するものであれば特に限定されることはなく、例えば、抗炎症剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、血行促進剤、麻酔剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗菌剤、血管拡張剤等が挙げられる。
【0037】
本発明の剥離シート16は、粘着テープ14の包装袋として通常使用されているものであれば用いることができる。また、剥離シート16は、単層又は積層のいずれでもよく、また、構成する材料も本発明の効果を奏するのであれば特に限定されない。例えば、紙、不織布、アルミニウム、セロハン、ナイロン、高密度又は低密度のポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール共重合体等から適宜選択することが可能である。
【0038】
更にこれらに印刷インキ若しくは接着剤等を塗布したもの、又は蒸着若しくはスパッタリング等の方法で薄膜を設けたものであってもよい。薄膜としては、アルミニウム等の金属の他、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等のガスバリヤ性と透明性の高い薄膜が好適である。この中でも、アルミニウムを含むフィルムが好ましく、更にポリエチレン、アルミニウム、ポリエチレンを順次積層したものがより好ましく、更にまた最外層にセロハンを積層したものが好ましく用いられる。
【0039】
これらの剥離シート16は、粘着テープ14を封入する際に折り曲げるため、柔軟性を有するものが好ましい。従って、剥離シート16の厚みとしては、折り曲げることができれば特に限定はされないが10〜500μmの範囲であることが好ましく、15〜300μmの範囲であれば更に好ましい。
【0040】
図1の(a)に示す粘着テープ14は、粘着剤層12を剥離シート16の二点鎖線で示す部分に置かれ、両者は剥離可能に付着され、図1の(b)の状態となる。このとき、粘着テープ14の、その短手方向と平行な中心線と、剥離シート16の、その短手方向と平行な中心線とはほぼ一致する。
【0041】
ここで、図1の(a)のハッチング部分20,22は、粘着テープ14と粘着剤層12と剥離シート16との間の付着力を弱める付着力抑制手段を設けた部分(以下「付着力抑制部分」と称する)である。従って、この付着力抑制部分20,22で、粘着テープ14は剥離シート16から、他の部分よりも容易に剥離することができる。なお、この付着力抑制部分20,22は、剥離処理を施したものが考え、剥離処理としては、剥離剤を用いる方法の他、エンボス加工、サンド加工等の物理的に剥離を行ないやすくする方法も含まれる。剥離剤としては、シリコン系剥離剤、アルキルペンダント系剥離剤、縮合ワックス系剥離剤等のいずれも用いることができ、この中でもシリコン系剥離剤を用いたいわゆるシリコン処理が好ましい。シリコン処理は、比較的容易且つ安価に行うことができるという利点があるからである。
【0042】
次いで、図1の(b)の状態から剥離シート16は前記中心線に沿って粘着テープ14と共に折り曲げられ、同形の第1部分24と第2部分26とが形成される。この折り曲げられた剥離シート16の内側にて、粘着テープ14が折り曲げられた状態で封じられ、本発明の粘着テープ包装袋10が完成する(図1の(c))。
【0043】
なお、粘着テープ14は、同形の第1部分28と第2部分30とに折り曲げられ、これらの部分28,30は互いに重ね合わされるが、剥離シート16を開封した際に剥離シート16と共に開かないよう、両部分28,30との間には仮止め手段32が設けられている。仮止め手段32としては、特に限定されることはないが、例えば、磁力、静電気力、又は物理的な力、例えばマジックテープ、両面テープ、粘着剤、接着剤の他、疑似接着、剥離シート16や支持体18の材質、性状等によっては溶着、熱接合、強押し、型押し、ホットメルト接着剤等を用いることができる。また、粘着テープ14の支持体18が例えば織布から形成されている場合には、支持体18の織布に熱可塑性材料を浸透させることで、熱接合による仮止めも可能となる。このように様々な仮止め手段が用いられ得るが、その中でも、重ね合わされた端部間に疑似接着剤又はホットメルト接着剤を用いる手段が有効である。なお、疑似接着とは、特許庁ホームページから入手可能な技術分野別特許マップ、一般21「接着」第336頁(www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/ippan21/4/4−3−1.htm)に記載されているように、平常では粘接着性を有さないが、特殊加圧条件等で接合するものをいい、粘着剤に添加物を加えて生成された疑似接着剤が用いられる。
【0044】
仮止め手段としては、粘着テープ14の支持体18の第1部分28と第2部分30との間の付着力(仮止め手段342の付着力)が、剥離シート16の付着力抑制部分20,22に対する粘着テープ14の粘着剤層12の付着力(粘着力)よりも高くなるものであればよい。
【0045】
粘着テープ14を二つ折りされた剥離シート16内に封じる方法としては、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との重ね合わされた部分のうち、粘着テープ14を囲む部分を、ヒートシールや接着剤等を使用して密閉する方法が好ましい。剥離シート16が密閉されると、内部が外界と遮断されるため、粘着テープ14がより衛生的かつ物理的に保護され、粘着テープ14の粘着剤層12に含まれる成分が外界に漏れない、揮発しない等の利点がある。このような構成とすることで、剥離シート16が包装袋としても機能することとなるので、従来存在した個別の包装袋を省略することが可能となる。
【0046】
更に、粘着テープ包装袋10の開封を容易にするために、剥離シート16の第1部分24と第2部分26とを密閉する手段として、いわゆるイージーピール技術を用いることも有効である。イージーピールとは、前述した特許庁ホームページから入手可能な技術分野別特許マップ、一般21「接着」第335頁に記載されているように、易剥離性を意味し、容器・包装においてヒートシールにより封緘し、明ける時に波がしやすくしたものをいう。イージーピールは、具体的には、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との間における接着剤層自体が破壊されて剥離する凝集剥離タイプや、この接着剤層と第1部分24又は第2部分26の接着強度を低くしておき、開封時に第1部分24又は第2部分26が接着剤層から剥離する層間剥離タイプ、更には、EVA等の易接着性樹脂を用いる界面剥離タイプ等、種々のタイプがあり、特に限定されるものではないが、表面にポリエチレン層が配置されるシート材が剥離シート16として使用される場合には、イージーピール用の接着剤層として、例えば、高密度ポリエチレンを主体とした樹脂層と、低密度ポリエチレンに凝集破壊を引き起こす樹脂が添加されたイージーピール性樹脂層とからなる2層構造のものを使用するとよい。
【0047】
なお、完成した粘着テープ包装袋10の角部が尖っていることを避けるため、剥離シート16は、完成した粘着テープ包装袋10の角部の一部、好ましくは四隅の全てが丸められた形状となるよう、略長方形の形状を有することが有効である。図1の(c)では、2つの角部が丸められた状態を示している。
【0048】
また、剥離シート16の全部又は一部の辺縁は、貼付時に、例えば剥離シート16の辺縁により貼付部位もしくはその周辺を傷めないように、辺縁を波形、パルス形、短冊状の形状にしたり、辺縁の最末端はあえて接着しないようにしたりする等の手段も用いることができる(図3の(a)〜(d)参照)。
【0049】
また、図1の(c)及び図4の(a)に示すように、剥離シート16の第1部分24と第2部分26の端の部分は接着されずに、その非接着部分34を摘めるようになっている。非接着部分34は、図1の(b)からも理解される通り、上側の剥離シート16の第1部分24には2カ所、下側の剥離シート16の第2部分26にも2カ所あるが、第1部分24については、付着力抑制部分20に近い非接着部分34aに、そして、第2部分26については、同じく付着力抑制部分22に近い非接着部分34bに、ノッチやエンボス等の触感により認識できる印36を付けておくとよい。この印36は、後述するように、いずれの側を上にして剥離シート16を剥離すればよいか等を、目が不自由な者にも認識させるのに役立つものとなる。また、触覚で認識できる印36の他、非接触部分34a,34bに使用説明の絵記号等を付しておくことが好ましい。更に、図示しないが、非接着部分34a,34bをそれが対向する部分よりも突出するような形態とすることで、摘むべき部分を容易に認識できるようにすることもできる。この場合、段差ができるため、より一層摘みやすくなるという効果も奏する。
【0050】
次に、図4〜図7を参照して本実施形態についての粘着テープ包装袋10の作用及び効果について説明する。
【0051】
図4の(a)は、本実施形態についての粘着テープ包装袋10の斜視図を示している。従来型の粘着テープと比較して、剥離シートとは別個の包装袋を有しないため省資源であること、並びに、本発明の粘着テープ包装袋10は一枚単位で製品化されるため、携帯利便性に優れていることが、この図から理解されよう。
【0052】
先ず使用者は、剥離シート16の第1部分24の非接触部分34aを摘む。この際、目の不自由な者も、印36によって、剥離シート16の第1部分24が上向きであることや、その印36のある部分34aから剥離を開始してよいことを認識することができる。次いで、その非接触部分34aから、封じられた剥離シート16を開き始める(図4の(b)参照)。剥離シート16における第1部分24の付着力抑制部分20の直下に位置する第2部分26には、付着力抑制手段が施されていないため、粘着テープ14は第2部分26に第1部分よりも強く付着されており、また、粘着テープ14の第1部分28と第2部分30とは粘着剤32によって仮止めされているので、非接触部分34aを持って剥離シート16を開封すると、剥離シート16の第1部分24の端が粘着テープ14の第1部分28から剥がれていく。この間、粘着テープ14は、剥離シート16の第2部分26上で二つ折りの状態を維持し、最終的には、図4の(c)に示すように、剥離シート16を、折り曲げる前の平面状に戻るまで完全に開くと、粘着テープ14は第1部分28が剥離シート16から完全に剥がれた状態となり、第1部分28の粘着剤層12が上向きで露出する。
【0053】
一方、図4の(a)の状態から粘着テープ包装袋10を上下逆転させた場合、粘着テープ包装袋10は図の一点鎖線を中心にして回転対称となっているため、剥離シート16の第2部分26における非接着部分34bが、図4の(a)に示す34aの位置になるだけで、非接触部分34bから剥離を開始しても、非接触部分34aから開始した場合と同様に、粘着テープ14の第2部分30の粘着剤層12が上向きで露出する。
【0054】
このように、本発明によれば、剥離シート16の第1部分24と第2部分26がどの向きであろうとも、剥離シート16の剥離を開始した部分と同じ側の粘着テープ14の部分が露出することになるため、粘着剤層12の露出の向きが予め分かり、この後の貼付作業が容易となる。
【0055】
図5〜図7は、本実施形態に係る粘着テープ14が特に医療用、化粧用等の貼付剤として用いられる場合、すなわち、粘着テープ14の第1部分28の粘着剤層12が露出した粘着テープ包装袋10を下方から当てて、貼付部位に貼付する方法を示す。なお、これ以外の用途で用いる場合も同様の方法により貼付することができる。まず、当該粘着テープ包装袋を片手に持ち、図5に示すように貼付部位ないし貼付部位の近傍に当てる。次に、図6に示すように、剥離シート16の第1部分24を持ったまま、剥離シート16をその長手方向かつ粘着テープ14から遠ざかる向きに、皮膚に沿うように引っ張る。剥離シート16が引っ張られるに従って、粘着テープ14の第1部分28が剥離シート16から剥がれると同時に貼付部位に貼付される。特に剥離シート16を引っ張りながら貼付するため、粘着テープ14にしわがよらずに、これを貼付することができる。図7は粘着テープ14の全体を貼付部位に貼付し終えた様子を示す。
【0056】
本実施形態に係る粘着テープ14は、粘着剤層12から剥がれた剥離シート16の第1部分24に当該粘着テープ14を載せた手の親指を添えることができるため、手にしっかり保持することができる。従って、粘着テープ14を貼付部位に当てる際に落下させる危険が小さく、また、貼付する際に粘着テープ14がぶれたり、重力によって意図しない方向に垂れ下がったりする心配が小さいため、安心して貼付部位に狙いを定めて貼付することができる。貼付部位が一人では貼付しにくい背中等であっても、片手で容易に貼付することができる。
【0057】
なお、上述の使用動作においては粘着剤層12が貼付部位以外の皮膚に接触するおそれが小さい。従来型の粘着テープの使用でしばしば体験する手指等への粘着剤層のべたつきがなく、衛生的であり、しかも、剥離シート16の第1部分24を剥がした後、粘着テープ14は剥離シート16の第2部分26上で支えられ或いは補強された状態となるので、粘着剤同士が接着し貼付剤が使用できない状態になることもない。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0059】
例えば、上記実施形態では、剥離シート16の第1部分24と第2部分26とは分離できない構成となっているが、両者間に弱め線(例えば、ミシン目や、熱等を加えて裂けやすくした線等)を入れ、剥離シート16を粘着テープ14の第1部分から引き離した際に、剥離シート16の第1部分24と第2部分28とを分離できるようにしてもよい。これは、貼付する部位の周囲に何らかの障害物があるとき等には、剥離シートも小さくしておいた方が貼付しやすい場合があるからである。
【0060】
また、上記実施形態では、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との重ね合わせた縁部をヒートシールするとし、折曲げ部分については特に言及していないが、図8に示すように、折曲げ部分40についても、他の縁部と同様な処理を施してもよい。この場合、粘着テープ包装袋10の四辺全てに同様なシール部が形成されるため、美観に優れたものとなる。
【0061】
更に、上記実施形態では、剥離シート16を折り曲げて第1部分24と第2部分26とを作っていたが、図9及び図10に示すように、剥離シート16の第1部分124と第2部分126とがそれぞれ独立のシートから構成されたものであってもよい。この場合、剥離シート16の周囲をヒートシールすれば、図8の構成と実質的に同じものとすることができるが、図9及び図10に示す実施形態では、第1部分124側の付着力抑制部分120と、第2部分126側の付着力抑制部分122とを剥離シート16の長辺に沿って延ばし、それに伴って摘み部分となる非接着部分も長く延ばして、開封をより容易に行えるようにしている。なお、この場合には、仮止め手段32は、図9に示すように、複数箇所設けておくとよい。
【0062】
また、図11に示すように、剥離シート16の折曲げ線50と、粘着テープ14の折曲げ線52とが相反する向きとなるよう、粘着テープ14を剥離シート16の第1部分24と第2部分26との間に配置してもよい。更に、折曲げ線50と折曲げ線52が平行ではなく、90度をなしても、或いは、他の角度とすることも考えられる。
【0063】
また、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との互いに重ね合わされた部分を、ヒートシール法により密閉した場合には、開封をより一層容易にするために、例えば図12に示すように、ヒートシール部60の一部を山形ないしは三角形の鋸歯形状とすることが好適である。このような形状のヒートシール部60にあっては、非接着部分65を摘んで第1部分24と第2部分26とを互いに離れる方向に引くと、その引張り力が鋸歯形状のヒートシール部60のいずれかの山の頂部に集中することになり、その頂部からヒートシール部60の破断が開始することになる。例えば図12において右上端から開いた場合には、符号68で示す山の頂部に力が集中する。特に、図11に示す形状においては、山の頂部は点であるため、引張り力が小さくとも、その力は一点に集中するため、容易に破断が開始する。ヒートシール部60において破断が一旦開始すると、更に大きな引張り力を加えることなく、この破断開始点を起点として他の部分に破断が伝播していき、ヒートシール部60全体が破断して、粘着テープ包装袋10は図4の(c)の状態となる。
【0064】
なお、鋸歯形状のヒートシール部60の山の高さH及びピッチPについては適宜定めることができる。しかしながら、Hに対してPが大きい場合、山の頂部の角度が大きくなり、力の集中という効果が損なわれる。また、Pが小さいと、部分65に加えられた引張り力が2以上の山の頂部に分散することとなり、開封に大きな力を要することになる。一方、Hが小さいと、直線状のヒートシール部に近いものとなり、この場合も開封に大きな力を要する。このような点を考慮すると、Hは10mm前後、Pは10〜20mm程度とすることが好適である。
【0065】
図13の(a)は、図12のヒートシール部60の変形であり、鋸歯形状のヒートシール部の内側となる縁を直線状としたものである。このように一方の縁を直線状とすることで、ヒートシール部60の破断時の感触が滑らかなものとなる。
【0066】
また、力を一点に集中させることでヒートシール部60の破断が容易となることから、図13の(b)に示すように、摘み部分65に向かって突出する凸点70を一つだけヒートシール部60に形成することとしてもよい。なお、図13の(b)の構成では、ヒートシール部60の凸点70以外の部分が緩やかな山形となっているが、これは、凸点70からの破断が他の部分に伝播し易くするためである。
【0067】
更に、剥離シート16の第1部分24と第2部分26との接合手段はヒートシールに限られず、接着剤等を用いる手法も考えられるが、接着剤その他による面接合部の外縁にも、外側に突出する少なくとも一点の凸点を形成することで、図12及び図13に示すヒートシール部60と同様な易開封性を得ることができる。
【実施例】
【0068】
粘着剤として、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー20部、ポリイソブチレン20部、流動パラフィン45部、水添ロジングリセリンエステル15部を混合し、ポリエチレンテレフタレートの織布に展延し、粘着テープを得た。また、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム、ポリエチレンの積層フィルム(厚み 80μm)を粘着テープよりも大きな面積となるように裁断し、その一面の一部に付着力抑制手段としてシリコン処理を施した。シリコン処理を施した部分は、図1のハッチング部分に示す位置、すなわち相対する一対の角部である。次いで、粘着テープの相対する一対の角部がシリコン処理部分上に位置するようにして粘着テープを剥離シート上に置く。そして、この粘着テープの支持体、すなわちポリエチレンテレフタレート織布の粘着剤のない面で、その一方の短縁付近に、仮止め手段として粘着剤を塗布した。最後に、粘着テープが内包されるように、剥離シートを折り曲げ、縁部をヒートシールした。これによって、図1の(c)及び図4の(a)に示す形態の粘着テープ包装袋を得た。
【0069】
このような粘着テープ包装袋を開封した場合、図4の(c)のように、折り曲げられた粘着テープが、その粘着剤層を上向きで露出した状態で、剥離シート上に残された。また、反対側からも開封したが、同様に、粘着テープが、その粘着剤層を上向きで露出した状態で、剥離シート上に残された。この後、図5〜図7に示す手順で皮膚への貼付を行ったが、粘着テープは皮膚に、確実にかつ円滑に、しかも皺が寄ることなく、容易に貼付された。
【0070】
なお、上記実施例の要領により、ヒートシート部の形成条件を変えて図12に示す形状の粘着テープ包装袋を複数作製し、開封力試験でヒートシール部(図12の符号60の部分)の開封に要する力を測定すると共に、官能試験で各包装袋の性能を評価した。
【0071】
開封力試験では、引張試験器オートグラフAGS−1kgNG(島津製作所製)を用いた。そして、包装袋の開封端(図12において第1部分24と第2部分26の摘み部分65の上部)をそれぞれ掴み治具にセットし、開封速度300mm/minで相反する方向に引っ張るとき(いわゆるT形開封するとき)の、ヒートシール部(図12の符号60の部分)の開封に要する25mm幅当たりの力を測定した。その測定結果は次表の通りである。
【0072】
【表1】
【0073】
上記の表から、包装袋の開封に要する力が0.5〜10N/25mmの範囲であるとき、官能試験結果が「良い」となり、とりわけ1〜5N/25mmの範囲であるとき、官能試験結果が「特に良い」となっていることが分かる。この結果から、包装袋の開封に要する力が0.5〜10N/25mmの範囲、より好ましくは1〜5N/25mmの範囲となるように、ヒートシール部の形成条件を定めることが望ましい。これにより、非力である高齢者や患者にとっても開封し易く、かつ、密封性の良い粘着テープ包装袋を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
10…粘着テープ包装袋、12…粘着剤層、14…粘着テープ、16…剥離シート、18…支持体、20,22,120,122…付着力抑制部分(付着力抑制手段)、24,124…剥離シートの第1部分、26,126…剥離シートの第2部分、28…粘着テープの第1部分、30…粘着テープの第2部分、32…粘着剤(仮止め手段)、34…非接着部分、36…印、60…ヒートシール部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、前記粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される前記粘着テープ包装袋において、
前記剥離シートが、第1部分と、該第1部分に対向する第2部分とからなり、
前記粘着剤層が外側に向くように前記粘着テープが第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記剥離シートの前記第1部分と前記第2部分との間に、折り曲げられた前記粘着テープが封じられ、
前記粘着テープの前記第1部分と前記第2部分との間に仮止め手段が設けられ、
前記剥離シートの前記第1部分と前記粘着シートの前記第1部分との間に部分的に付着力抑制手段が設けられ、前記付着力抑制手段とは別の部分にて、前記剥離シートの前記第2部分と前記粘着シートの第2部分との間に部分的に他の付着力抑制手段が設けられていることを特徴とする、粘着テープ包装袋。
【請求項2】
前記剥離シートの前記第1部分と前記第2部分との間に、2カ所、開封用の摘み部分としての非接着部分が設けられており、
前記剥離シートの前記第1部分と前記粘着シートの前記第1部分との間の前記付着力抑制手段の近傍に、前記非接着部分の一方が配置され、
前記剥離シートの前記第2部分と前記粘着シートの前記第2部分との間の前記他の付着力抑制手段の近傍に、前記非接着部分の他方が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項3】
前記付着力抑制手段が、剥離シートに施されたシリコン処理面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項4】
前記付着力抑制手段が、前記剥離シートに施されたエンボス加工面及び/又はサンド加工面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項5】
前記仮止め手段が粘着テープの支持体に粘着性を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項6】
前記粘着テープが皮膚又は粘膜に貼付される医療用として用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項7】
前記剥離シートを開封した後、前記粘着テープの前記第1部分の前記粘着剤層が露出し、かかる露出部分を貼付部位ないし貼付部位の近傍に当て、次いで、前記剥離シートの前記第1部分を保持したまま、前記剥離シートをその長手方向かつ前記粘着テープから遠ざかる向きに引っ張ることにより、貼付することができることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋を用いた貼付方法において、
前記剥離シートを開封した後、前記粘着テープの前記粘着剤層が露出し、かかる露出部分を貼付部位ないし貼付部位の近傍に当て、次いで、前記剥離シートの前記第1部分を保持したまま、前記剥離シートをその長手方向かつ前記粘着テープから遠ざかる向きに引っ張ることにより、貼付することを特徴とする、粘着テープ包装袋を用いた貼付方法。
【請求項1】
支持体と、前記支持体の一方の面に設けられた粘着剤層とを有する粘着テープを収容する粘着テープ包装袋であって、前記粘着剤層に剥離可能に付着される剥離シートから構成される前記粘着テープ包装袋において、
前記剥離シートが、第1部分と、該第1部分に対向する第2部分とからなり、
前記粘着剤層が外側に向くように前記粘着テープが第1部分と第2部分とに折り曲げられ、
前記剥離シートの前記第1部分と前記第2部分との間に、折り曲げられた前記粘着テープが封じられ、
前記粘着テープの前記第1部分と前記第2部分との間に仮止め手段が設けられ、
前記剥離シートの前記第1部分と前記粘着シートの前記第1部分との間に部分的に付着力抑制手段が設けられ、前記付着力抑制手段とは別の部分にて、前記剥離シートの前記第2部分と前記粘着シートの第2部分との間に部分的に他の付着力抑制手段が設けられていることを特徴とする、粘着テープ包装袋。
【請求項2】
前記剥離シートの前記第1部分と前記第2部分との間に、2カ所、開封用の摘み部分としての非接着部分が設けられており、
前記剥離シートの前記第1部分と前記粘着シートの前記第1部分との間の前記付着力抑制手段の近傍に、前記非接着部分の一方が配置され、
前記剥離シートの前記第2部分と前記粘着シートの前記第2部分との間の前記他の付着力抑制手段の近傍に、前記非接着部分の他方が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項3】
前記付着力抑制手段が、剥離シートに施されたシリコン処理面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項4】
前記付着力抑制手段が、前記剥離シートに施されたエンボス加工面及び/又はサンド加工面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項5】
前記仮止め手段が粘着テープの支持体に粘着性を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項6】
前記粘着テープが皮膚又は粘膜に貼付される医療用として用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項7】
前記剥離シートを開封した後、前記粘着テープの前記第1部分の前記粘着剤層が露出し、かかる露出部分を貼付部位ないし貼付部位の近傍に当て、次いで、前記剥離シートの前記第1部分を保持したまま、前記剥離シートをその長手方向かつ前記粘着テープから遠ざかる向きに引っ張ることにより、貼付することができることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着テープ包装袋を用いた貼付方法において、
前記剥離シートを開封した後、前記粘着テープの前記粘着剤層が露出し、かかる露出部分を貼付部位ないし貼付部位の近傍に当て、次いで、前記剥離シートの前記第1部分を保持したまま、前記剥離シートをその長手方向かつ前記粘着テープから遠ざかる向きに引っ張ることにより、貼付することを特徴とする、粘着テープ包装袋を用いた貼付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図13】
【公開番号】特開2011−84338(P2011−84338A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15489(P2010−15489)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000160522)久光製薬株式会社 (121)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000160522)久光製薬株式会社 (121)
【Fターム(参考)】
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