説明

粘着テープ類およびその製造方法

【課題】光沢度の高い意匠性を有し、曲面追従性、耐溶剤性、耐傷付き性、耐候安定性に優れる粘着テープ類を提供する。さらに、上記特性を有する粘着テープ類を容易に製造する粘着テープ類の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂フィルムの片面に形成された粘着剤層を備えた粘着テープ類であって、前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムがバインダー層を介して設けられていることを特徴とする粘着テープ類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ類に関する。さらに詳細には、光沢度の高い意匠性に優れた粘着テープ類に関する。また、本発明は、粘着テープ類の製造方法に関する。さらに詳細には、光沢度の高い意匠性に優れた粘着テープ類の製造方法に関する。
【0002】
本発明の粘着テープ類は、たとえば、自動車業界や住宅建材業界で特に求められている意匠性に優れた塗装代替部材や装飾用・ラベル用などのテープまたはフィルムなどに特に有用である。
【背景技術】
【0003】
一般に、表面保護粘着テープ類や装飾用粘着テープ類、自動車や住宅などの塗装代替テープ類は、貼り付け面積が比較的大きくかつ外観の意匠性・安定性が求められている。これまで、これらの粘着テープは、市場にてはほとんどにPVCフィルムが用いられてきた。このPVCフィルムは、その加工性、耐熱性、可とう性、耐溶剤性に優れていることから、さまざまな建築、自動車、住宅用部材に広く用いられているが、PVCは低温不完全燃焼時に発生するダイオキシン類の発生が懸念されるため、多くのメーカーはPVCの使用を制限もしくは廃止する傾向にある。そのため、近年はPVCをポリオレフィン樹脂で代替し、燃焼時の焼却ガスの無公害化が行われているが、ポリオレフィン樹脂は、その特性上、耐傷付き性や耐候安定性、耐溶剤性に劣り、多くのフィルムには表面にハードコーティング層が設けられている。
【0004】
このような意匠テープまたは意匠フィルムは、ガラスと同等の表面光沢度を持たせるため、また装飾光沢を持たせるためなどの理由により、さまざまな表面光沢度を設計する必要がある。なかでも、一般的に表面光沢度をあらわすグロス値(反射角度60°)が大きい高グロス製品では、これまではフィルム基材表面にウレタンやアクリルなどのコーティング剤を10〜30μmの厚みで塗布する必要であった。また、多くの場合、ポリオレフィンフィルムと積層されるコーティング層は密着性に劣り、中間層としてプライマーが必要であった。このような高光沢フィルムを作製する場合には、安定した塗工工程が必要であり、また、ハードコーディングとしては厚い塗布厚みを必要とするため、製品の一定光沢度を再現することが難しいものであった。このような不安定製品や多段塗工工程を有する製品は、コストの増加や歩留まりの低下を防ぐことが非常に難しいものである(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0005】
さらに、高光沢フィルムを作製する場合、基材となる樹脂フィルムの塗工面はあらかじめ表面粗さを平滑に製造しておく必要がある。ポリオレフィンフィルムを用いた場合、このように表面が平滑な面を有するため、ほんの少しの擦傷によりフィルム表面に凹凸を生み、ハードコート層を設けた場合でも製品外観に不良を発生させる場合が多い。そのため、高光沢フィルムを作る場合には、外観検査時の歩留まりの低下を防ぐことために非常に手間とコストがかかることが判明した。
【0006】
また、一般に射出成形などで近年用いられている、意匠性フィルムとオレフィン樹脂の熱融着技術(たとえば、特許文献3〜5参照)では同様の光沢品を得ることはできるが、射出成形品では規定の形状の金型を有する必要があり、また形状的・時間的柔軟性が乏しいことが判明した。このため、広幅かつ容易に形状設計が可能となり、製造コスト・時間効率に優れた高光沢性を有する粘着テープ類が求められている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−225977号公報
【特許文献2】特開2001−72945号公報
【特許文献3】特開平10−249886号公報
【特許文献4】特開平11−207899号公報
【特許文献5】特開2003−71961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、従来の粘着テープ類における問題点を解消すべく、光沢度の高い意匠性を有し、曲面追従性、耐溶剤性、耐傷付き性、耐候安定性に優れる粘着テープ類を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の目的は、上記特性を有する粘着テープ類を容易に製造する粘着テープ類の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、主に粘着テープ類の物理特性について鋭意検討した結果、以下の構成を有する粘着テープ類を用いることにより、光沢度の高い意匠性を有し、曲面追従性、耐溶剤性、耐傷付き性、耐候安定性に優れる粘着テープが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の粘着テープ類は、樹脂フィルムの片面に形成された粘着剤層を備えた粘着テープ類であって、前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムがバインダー層を介して設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の粘着テープ類の製造方法は、粘着テープ類の製造方法において、樹脂フィルムの片面に粘着剤層を形成する工程、および、前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムをバインダー層を介して貼り合せる工程、を含むこと特徴とする。
【0013】
なお、本発明における表面粗さRaとは、下記式(1)にしたがって平均線から絶対偏差値の平均値として算出された値(μm)のことをいい、JIS B0601(1994年)に準拠して求められたものをいう。
【0014】
【数1】

なお、上記式(1)中、lは基準長さ、f(x)は粗さ曲線を表す関数を示すものとする。
【0015】
また、本発明における平滑フィルムとは、表面粗さRa0.5μm以下であるフィルムをいう。
【0016】
本発明によると、実施例の結果に示すように、上述した、樹脂フィルムの片面に形成された粘着剤層を備え、前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムがバインダー層を介して設けられている粘着テープ類は、光沢度の高い意匠性を有し、耐溶剤性、耐候安定性に優れたものとなる。上記粘着テープ類がかかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、前記樹脂フィルムにバインダー層を介した平滑フィルムを設けることにより、樹脂フィルム表面の凹凸部位にバインダー層の粘着剤がなじみ、濡れ現象を引き起こす際に凹凸部位に充填され、粘着テープ全体として平滑フィルム表面と同等の光沢度が得られると推測される。
【0017】
なお、本発明においては、バインダー層とは上記樹脂フィルム表面の凹凸部位に適度に充填することができる粘着剤からなるものである。
【0018】
また、本発明において、テープ類とは平面状の材料を意味し、通常、シート、フィルムとよばれるものを含むものをいう。
【0019】
上記の粘着テープ類において、上記平滑フィルムの厚みが3〜25μmであることが好ましい。かかるフィルム厚みを有することにより、局面追従性、耐傷付き性をより確実なものとすることができる。
【0020】
また、上記の粘着テープ類において、上記バインダー層の厚みが1〜200μmであることが好ましい。かかる厚みを有することにより、バインダー層が上記樹脂フィルム面上の凹凸を濡れ現象によってうめることができ、剥がれや相荒れをおこすことのないものとすることができる。
【0021】
さらに、上記の粘着テープ類において、上記樹脂フィルムの平滑フィルムに接する面の表面粗さRaが0.5〜5.0μmであることが好ましい。かかる表面粗さRaを有することにより、より確実にバインダー層の光沢性(接触角度60°でのグロス値が40以上)を有するものとすることができる。
【0022】
また、上記の粘着テープ類において、樹脂フィルムおよび/または前記平滑フィルムは、少なくとも片面に厚み1〜20μmの熱硬化性アクリル系ハードコーティング層を備えることが好ましい。本発明の粘着テープ類にさらに上記ハードコーティング層を設けることにより、耐溶剤性、耐候安定性をより効果的に有する粘着テープ類となる。
【0023】
一方、本発明の粘着テープ類は、グロス値が40以上であることが好ましい。
【0024】
なお、本発明におけるグロス値とは、60°角反射率で測定した値(%)のことをいい、JIS K 5600−4−7に準拠して求められるものであり、光沢度の指標とする。
【0025】
他方、本発明の粘着テープ類の製造方法は、樹脂フィルムの片面に粘着剤層を形成する工程、および、前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムをバインダー層を介して貼り合せる工程、を含むこと特徴とする。かかる製造方法を用いることにより、上記の如き作用効果を奏する粘着テープ類を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
本発明の粘着テープ類は、樹脂フィルムの片面に形成された粘着剤層を備えた粘着テープ類であって、前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムがバインダー層を介して設けられていることを特徴とする。
【0028】
本発明は軟質PVC(ポリ塩化ビニル)フィルムの代替用途としての意義を有するため、本発明に用いられる樹脂フィルムはPVC以外のその他の可とう性を有する樹脂フィルムである。
【0029】
本発明に用いられる樹脂フィルムとは、特に熱可塑性樹脂と、これに非相溶な樹脂を含有させ、溶融押出成形またはカレンダリングによって得られるフィルムをいう。なかでも、可とう性のあるポリオレフィン樹脂を含有してなる層を有する樹脂フィルムが好ましい。
【0030】
熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、TPO樹脂(オレフィン系熱可塑性エラストマー)などのポリオレフィン樹脂を用いることができる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0031】
樹脂フィルムを構成する樹脂成分として、具体的には、たとえば、低密度から高密度の各種ポリエチレン、アイソタクチック・ポリプロピレン、アタクチック・ポリプロピレン、シンジオタクチック・ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル系ポリマーなどを用いることができる。これらの樹脂成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0033】
また、樹脂フィルムには、たとえば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、およびシアノアクリレート系化合物などの紫外線吸収剤や耐熱安定化剤を任意に添加してもよい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0034】
本発明の樹脂フィルムの厚みは、用途に応じて適宜設定すればよいが、60〜200μmであることが好ましく、75〜150μmであることがより好ましい。
【0035】
本発明においては、樹脂フィルムの少なくとも片面の表面粗さRaが0.5〜5.0μmであることが好ましく、表面粗さRaが0.5〜2.0μmであることがより好ましく、表面粗さRaが0.5〜1.5μmであることがさらに好ましい。一般にフィルムの高光沢化を行うには、あらかじめ基材となるフィルム表面の表面粗さRaが0.5μm未満となるように調整し、ここに10〜30μmのコーティング剤を塗布することを特徴としているが、本発明の粘着シート類においては、表面粗さをRaが0.5μm未満とする工程を経ることなく、表面粗さRaが0.5μm以上の樹脂フィルムを用いても容易に高光沢フィルムを得ることができる。なお、表面粗さRaが5.0μmを超えてしまう場合には、グロス値(60°角度測定)が40以上とならない場合がある。
【0036】
上記樹脂フィルムには、必要に応じて着色剤、充填剤等を添加することができる。
【0037】
着色剤としては、たとえば、公知の有機および無機顔料があげられる。具体的には、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系などの有機顔料や、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料があげられる。これらの着色剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。た、前記着色剤の着色剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、通常1〜40重量部である。
【0038】
充填剤としては、たとえば、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、硫酸バリウム、ウィスカー、水酸化マグネシウムなどの無機充填剤があげられる。これらの充填剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。前記充填剤の平均粒径は0.1〜10μmが望ましい。また、前記充填剤の含有量は特に規定はないが、通常基材層中に樹脂100重量部に対し、1〜200重量部である。
【0039】
さらに上記樹脂フィルムには、任意成分として、上記成分以外にさらにフェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、テルペン樹脂、キシレン樹脂、ロジン、水添ロジンなど各種粘着付与剤、滑剤、老化防止剤、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、光安定剤、揺変剤、紫外線吸収剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤、金属粉、粒子状、箔状物などを適宜使用することができる。これらの成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0040】
また、粘着剤層やバインダー層との接着性を向上させる目的で、基材表面に各種放電処理、アンカーコート処理などを施してもよい。
【0041】
本発明における平滑フィルムは、表面粗さRaが0.5以下であれば、さまざまなフィルムを用いてよい。たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなどの2軸延伸フィルム、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系無延伸フィルムなどを使用できる。また、種々の熱可塑性樹脂表面を表面粗さRaが0.5以下となるように平滑に製造すれば、これらフィルムも平滑フィルムとして使用できる。
【0042】
上記平滑フィルムは、表面粗さRaが0.5以下であるが、光沢度の観点から表面組さRaが0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。
【0043】
また、上記平滑フィルムの厚みは、柔軟性・曲面追従性などの観点より、3〜25μmであることが望ましく、3〜15μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。平滑フィルムの厚みが25μmを超えると、局面追従性や耐反溌性が劣る場合があり、一方、3μmより小さくなると、耐傷付き性が劣る場合がある。
【0044】
また、上記平滑フィルムには、任意成分として、上記成分以外にさらにフェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、テルペン樹脂、キシレン樹脂、ロジン、水添ロジンなど各種粘着付与剤、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの無機充填剤、滑剤、老化防止剤、染料、着色剤、顔料、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、光安定剤、揺変剤、紫外線吸収剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤、金属粉、粒子状、箔状物などを適宜使用することができる。これらの成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0045】
本発明においては、上記樹脂フィルムおよび/または平滑フィルムの少なくとも片面に熱硬化性アクリル系ハードコーティング層を形成することができる。前記ハードコーティング層を設けることにより、耐候安定性、耐光安定性、耐溶剤性を向上させることができる。
【0046】
前記ハードコーティング層には、アクリル系骨格を有するポリマーにヒンダードアミン系光安定剤(HALS:Hinderd Amine Light Stabilizer)を有する官能基を共重合したハルスハイブリッドポリマーなどが特に好適に用いられる。
【0047】
アクリル系骨格を有するハルスハイブリッドポリマーとは、(メタ)アクリレートを骨格に、末端に官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(HALS:Hinderd Amine Light Stabilizer)を共重合したアクリル系ポリマーである。前記(メタ)アクリレートとしては、たとえば、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基など)、および架橋性官能基を有するモノマー、たとえば、水酸基、カルボキシル基、メチロール基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基などを有するモノマーがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0048】
HALSとしては、特に制限なく用いることができ、具体的には、たとえば、旭電化社製のアデカスタブLA−82、LA−87などの反応型、ヘキスト・ジャパン社製のホスタビンN−20、吉富ファインケミカル社製のトミソープ77などのモノマータイプ、ビーエーエスエフ・ジャパン社製のUvinal5050Hなどのオリゴマータイプのものがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0049】
本発明におけるハードコーティング層は、耐候安定性、耐光安定性を有するアクリル系骨格からなるハルスハイブリッドポリマーのハードコーティング剤のなかでも、架橋点量を示す水酸基価(ワニス価)が20〜80、好ましくは30〜70、より好ましくは40〜60である高密度架橋タイプを用いたものである。前記水酸基価(ワニス価)が20より小さいと、耐溶剤性が著しく低下し、80をこえると、耐溶剤性は優れるものの可とう性が乏しくなる傾向がある。
【0050】
本発明におけるハードコーティング層は、一般に、ポリマー溶液として上記樹脂フィルムおよび/または平滑フィルムの上に積層されるが、その厚みは通常1〜10μmであり、1.5〜8μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましい。前記厚みにすることにより、耐溶剤性を効果的に発現させると同時に可とう性を保つ点で望ましい。1μmより小さいと耐溶剤性が乏しく、10μmより大きいと可とう性が乏しくなる場合がある。
【0051】
前記ポリマー溶液に用いられる溶媒としては、たとえば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などがあげられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0052】
また、前記ポリマー溶液中の溶媒の含有量は、通常10〜70重量%程度である。
【0053】
また、前記ポリマー溶液には、任意成分として、上記成分以外にさらにフェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、テルペン樹脂、キシレン樹脂、ロジン、水添ロジンなど各種粘着付与剤、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの無機充填剤、滑剤、老化防止剤、染料、着色剤、顔料、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、光安定剤、揺変剤、紫外線吸収剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤、金属粉、粒子状、箔状物などを適宜使用することができる。これらの成分は、1種を単独に用いてもよく、または2種以上を使用してもよい。
【0054】
前記ポリマー溶液の塗布の方法は特に制限されず、通常用いられている方法を適宜使用することができる。たとえば、バーコーター、スピンコーター、ロールコーター、アプリケーターなどの塗工機を適宜用いて前記ポリマー溶液を樹脂フィルム上に塗布することができる。
【0055】
本発明の粘着テープ類は、上記樹脂フィルムにバインダー層を介して平滑フィルムが貼り合せられてなるものである。
【0056】
なお、本発明においては、バインダー層とは上記樹脂フィルム表面の凹凸部位に適度に充填することができる粘着剤からなるものである。
【0057】
バインダー層の塗工の方法は特に制限されず、通常用いられる方法を適宜用いることができる。たとえば、前記塗工機を用いて粘着剤溶液を上記樹脂フィルム(または平滑フィルム、セパレーター)上に塗布し、溶媒を除去することにより、バインダー層を形成することができる。また、粘着剤溶液に架橋剤を添加し、加熱架橋して粘着性ポリマーを硬化させてバインダー層を形成することもできる。
【0058】
前記粘着剤としては、公知のものを特に制限無く用いることができ、たとえば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などの各種粘着剤を使用することができる。これらの粘着剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0059】
バインダー層に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などが用いられる。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。なかでも特に、ポリマーの製造時において、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの水酸基含有モノマーを共重合することによりポリマーに水酸基を導入し、かかるポリマーに対してポリイソシアネート化合物を架橋剤として使用されるのが好ましい。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0060】
イソシアネート化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物、ポリオールへのジイソシアネート付加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0061】
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0062】
メラミン系樹脂としては、たとえば、ヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。
【0063】
アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、商品名TAZM、商品名TAZO(以上、いずれも相互薬工社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0065】
バインダー層に用いられる架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーなどのベースポリマー100重量部に対し、通常0.01〜5重量部程度である。
【0066】
また、バインダー層の塗布に任意に用いられる溶媒は、特に制限無く用いることができる。たとえば、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などがあげられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0067】
また、前記バインダー層には、任意成分として、上記成分以外にさらにフェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、テルペン樹脂、キシレン樹脂、ロジン、水添ロジンなど各種粘着付与剤、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの無機充填剤、滑剤、老化防止剤、染料、着色剤、顔料、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、光安定剤、揺変剤、紫外線吸収剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤、金属粉、粒子状、箔状物などを適宜使用することができる。これらの任意成分は、1種を単独に用いてもよく、または2種以上を使用してもよい。
【0068】
本発明に用いられるバインダー層の厚みは、乾燥後の厚みが1〜200μm程度が好ましく、3〜30μmがより好ましく、3〜20μmがより好ましい。1μmより小さくなると被着体に対する粘着力が不十分となり、また樹脂フィルムの表面の凹凸部位に充填し難い場合があり、一方、200μmを超えると粘着力が飽和し、経済的ではなく、粘着剤がはみ出したり、凝集破壊の原因にもなり剥離しにくくなる。
【0069】
樹脂フィルム上にバインダー層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記バインダー層をセパレーター(または樹脂フィルム、平滑フィルム)に塗布し、重合溶剤などを乾燥除去してバインダー層をセパレーター(または樹脂フィルム、平滑フィルム)上に形成する方法、または他の基材上に前記粘着剤を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去してバインダー層をセパレーター(または樹脂フィルム、平滑フィルム)に転写して形成する方法などにより作製される。また、前記バインダー層形成後に、バインダー層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生を行なってもよい。また、粘着剤をセパレーター(または樹脂フィルム、平滑フィルム)等上に塗布して粘着シート類を作製する際には、セパレーター(または樹脂フィルム、平滑フィルム)等上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0070】
また、前記バインダー層の形成方法としては、粘着シート類の製造に用いられる公知の方法が適宜用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、ダイコーターなどによる押出コート法などの方法があげられる。
【0071】
本発明の粘着テープ類は、前記樹脂フィルム上(樹脂フィルムの両面にハードコーティング層を有する場合は、一方のハードコーティング層上)に粘着剤を塗工して粘着剤層を形成してなるものである。
【0072】
粘着剤の塗工の方法は特に制限されず、通常用いられる方法を適宜用いることができる。たとえば、前記塗工機を用いて粘着剤溶液を樹脂フィルム(またはセパレーター)上に塗布し、溶媒を除去することにより、粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤溶液に架橋剤を添加し、加熱架橋して粘着性ポリマーを硬化させて粘着剤層を形成することもできる。
【0073】
前記粘着剤としては、特に制限無く用いることができ、たとえば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などの各種粘着剤を使用することができる。これらの粘着剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0074】
前記粘着剤に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などが用いられる。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。なかでも特に、ポリマーの製造時において、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの水酸基含有モノマーを共重合することによりポリマーに水酸基を導入し、かかるポリマーに対してポリイソシアネート化合物を架橋剤として使用されるのが好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0075】
イソシアネート化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物、ポリオールへのジイソシアネート付加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0076】
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0077】
メラミン系樹脂としては、たとえば、ヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。
【0078】
アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、商品名TAZM、商品名TAZO(以上、いずれも相互薬工社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0079】
金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0080】
粘着剤に用いられる架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーなどのベースポリマー100重量部に対し、通常0.01〜5重量部程度である。
【0081】
また、粘着剤の塗布に任意に用いられる溶媒は、公知のものを特に制限無く用いることができる。たとえば、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などがあげられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0082】
また、前記粘着剤には、任意成分として、上記成分以外にさらにフェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、テルペン樹脂、キシレン樹脂、ロジン、水添ロジンなど各種粘着付与剤、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどの無機充填剤、滑剤、老化防止剤、染料、着色剤、顔料、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤、光安定剤、揺変剤、紫外線吸収剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤、金属粉、粒子状、箔状物などを適宜使用することができる。これらの任意成分は、1種を単独に用いてもよく、または2種以上を使用してもよい。
【0083】
本発明に用いられる粘着剤層の厚みは、乾燥後の厚みが1μm〜300μm程度が好ましく、10μm〜75μmがより好ましい。1μmより小さくなると被着体に対する粘着力が不十分となり、300μmを超えると粘着力が飽和し、経済的ではなく、粘着剤がはみ出したり、凝集破壊の原因にもなり剥離しにくくなる。
【0084】
樹脂フィルム上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤をセパレーター(または樹脂フィルム)に塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層をセパレーター(または樹脂フィルム)上に形成する方法、または他の基材上に前記粘着剤を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層をセパレーター(または樹脂フィルム)に転写して形成する方法などにより作製される。また、前記粘着剤層形成後に、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生を行なってもよい。また、粘着剤をセパレーター(または樹脂フィルム)等上に塗布して粘着シート類を作製する際には、セパレーター(または樹脂フィルム)等上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0085】
また、前記粘着剤層の形成方法としては、粘着シート類の製造に用いられる方法が適宜用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、ダイコーターなどによる押出コート法などの方法があげられる。
【0086】
前記セパレーター(または樹脂フィルム)には、必要に応じて、たとえば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、アンカーコート処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの静電防止処理をすることもできる。
【0087】
本発明の粘着テープ類は、たとえば、凹凸状の剥離形態を有するセパレーター(剥離ライナー、剥離シート)の凹凸面上に粘着剤を積層してなり、前記凹凸形状が粘着剤層に転写されて溝構造を形成してもよい。凹凸形状を形成するセパレーターは公知の方法により所望の凹凸形状に加工することにより製造することができる。セパレーターに形成される凹凸形状は、連続する溝構造を粘着剤層に転写しうる形状であれば特に制限はされないが、たとえば、図1に示すセパレーターのように複数の連続的な格子状構造を有するものが規定することができる(凸部幅:(a)、凸部高さ(b)、凹部幅:(c))。
【0088】
本発明の粘着テープ類は、特に凹部幅(c)が400μm以上であって、(a)+(c)が450μm以上のセパレーターを有効に使用することができる。本発明の粘着テープ類では、ピッチサイズや粘着剤組成にこだわることなく上記セパレーターを使用することができ、(a)+(c)が400〜700μmであることが好ましく、450〜550μmであることがより好ましい。
【0089】
本発明に用いるセパレーターには、従来からセパレーターとして用いられているものを、特に制限なく適宜用いることができる。具体的には、セパレーター(剥離シート)の構成材料としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙などの紙製品、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体等などをあげることができ、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0090】
前記凹凸形状を有するセパレーターに粘着剤層を積層すること、または前記セパレーターの凹凸形状面を粘着剤層に貼り付けることなどにより、その凹凸形状は粘着剤層に転写される。また、前記粘着剤層の溝の凹部深さ(b)が15〜25μmであって、凸部幅(c)が400μm〜600μmであって、凹部幅(a)が30〜70μmであることが好ましい。
【0091】
前記凹凸形状の形成方法としては、たとえば、凹凸状剥離表面をもつセパレーターの凹凸面上に粘着剤層を形成し、次いでこの粘着剤層と樹脂フィルムを貼り合わせることにより製造する方法、または樹脂フィルム上に粘着剤層を形成し、次いで凹凸形状を有するセパレーターを粘着剤層と貼り合わせることにより製造する方法などがある。セパレーター表面上に形成された凹凸形状は、これらの方法により粘着剤層に転写される。
【0092】
また、上記セパレーターは、通常、粘着剤層面を使用する際に適宜除去される。
【0093】
本発明の粘着テープ類は、上記のように凹部幅や粘着剤組成に左右されることなく使用することができる点においても優れるものである。
【0094】
本発明の粘着テープ類は、上記の構成を有することにより、光沢度の高い意匠性を有し、曲面追従性、耐溶剤性、耐傷付き性、耐候安定性に優れるものとなる。そのため、たとえば、自動車業界や住宅建材業界で特に求められている意匠性に優れた塗装代替部材や装飾用・ラベル用などのテープまたはフィルムなどに特に有用である。
【0095】
また、本発明の粘着テープ類の製造方法は、樹脂フィルムの片面に粘着剤層を形成する工程、および、前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムをバインダー層を介して貼り合せる工程、を含むこと特徴とする。
【0096】
一般に、フィルムの高光沢化は、あらかじめ基材となるフィルム表面の表面粗さをRaが0.5μm未満になるように調整し、ここに10〜30μmのコーティング剤を塗布する手法が用いられている。かかる手法では、基材となるフィルム表面の表面粗さを所定値以下にする作業工程が必要となり、また、コーティング層を厚く塗ることになるため製品の一定光沢度を再現することが難しかった。
【0097】
一方、本発明の粘着シート類では、基材を構成する樹脂フィルムの表面粗さRaが0.5〜5.0μmの粗い表面であっても、バインダー層を介して表面粗さRaが0.5以下の平滑フィルムを貼り合せることにより、基材凹凸部位に粘着剤がなじみ、濡れ現象を引き起こすことにより凹凸部位をきれいに埋めることができる。さらに平滑フィルムの表面粗さRaは非常に平滑であり、バインダー層を介して平滑フィルムを貼り合せるだけで、凹凸が大きなフィルムであっても容易に平滑フィルム表面と同等の光沢度と表面粗さを得ることが出来る。
【0098】
このようにして作製した光沢フィルムの表面光沢度は、用いる製品によって目標とするグロス値が異なるが、一般に下地に使用するフィルムの表面粗さRaが5.0μm程度の粗い表面にコーティング剤を10〜30μm塗布した場合では、下地のフィルム表面が粗すぎるため、60°角度で測定したグロス値が40以上の高グロス値となるような粘着シート類を作製することが非常に困難となる。しかし、本発明を使用した場合は、表面粗さRaが0.5〜5.0μmの表面粗さを問わず平滑フィルムを貼り合せるだけで、容易に表面光沢度を示すグロス値40以上(60°角度測定)を得ることができる。
【0099】
本粘着テープの製造方法を用いることにより、上記の如き作用効果を奏する粘着テープ類を広幅かつ容易に形状設計が可能となり、製造コスト・時間効率に優れた高光沢性意匠フィルムを提供できる。
【実施例】
【0100】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0101】
<表面粗さの測定>
上記実施例、比較例で得られたフィルムの表面粗さRaは、JIS B0601(1994年)に準拠し、触針式表面粗さ測定機(ケーエルエーテンコール社製、P−11、測定長さ:3mm)を用いて測定した。
【0102】
<グロス値の測定>
光沢度の指標として、上記実施例、比較例で得られたフィルムの60°反射角率のグロス値は、JIS K 5600−4−7に準拠し、マイクロトリグロス(ガードナー社製)を用いて測定した。
【0103】
<耐候安定性の評価>
作製した粘着テープを、メタルハライド灯式促進試験機(ダイプラ社製、ダイプラ・メタルウェザー試験機)を用いて、光照射度900W/m(B.P.T=63℃)4時間照射、暗黒(B.P.T=70℃)4時間、結露4時間の計12時間を1サイクルとし、計80サイクル実施して評価用サンプルを得た。
【0104】
次に、上記評価用サンプルの色差を色彩色差計(ミノルタ社製、CR−400)により測定し、促進試験処理前後の評価用サンプルを用いて着色性の評価をおこなった。なお、色差の算出方法およびグロス保持率の算出方法は以下のとおりである。
【0105】
(色差の算出方法)
色差はΔEabで表される値とし、
ΔEab=〔(L−L+(a−a+(b−b1/2
により算出した。ここで、L、a、bはCIE 1976表色系で定義される値をいい、
、a、bは、それぞれ促進試験処理後の評価用サンプルのL、a、bであり、
、a、bは、それぞれ促進試験処理前の評価用サンプルのL、a、bである。
【0106】
(グロス保持率の算出方法)
グロス値保持率は、試験前グロス値(試験角度60°)G、試験後グロス値(試験角度60°)Gとした場合、(100−(G−G))/G×100(%)として算出することにより求めた。
【0107】
(耐候安定性の評価方法)
また、耐候安定性の評価基準は以下のとおりである。
・色差(ΔEab)が2.0以下、かつ、グロス保持率が80%以上であった場合:○
・色差(ΔEab)が2.0を超えた場合:×
・グロス保持率が80%未満であった場合:×
【0108】
<耐傷付き性の評価>
上記実施例、比較例で得られたフィルムの耐傷付き性は、テーバー磨耗試験機(東洋精機社製)を用いて評価した。
【0109】
具体的には、上記フィルムそれぞれに対して傷付け処理(磨耗輪:CF−10F、荷重:5N、回転速度:60rpm、1000回転処理)を行った後の表面状態を目視にて観察・評価した。なお、評価基準は以下のとおりである。
・樹脂フィルムにまで傷、損傷等が生じなかった場合:○
・樹脂フィルムにまで傷、損傷等が生じた場合:×
【0110】
<耐反発性の評価>
上記実施例、比較例で得られた粘着テープを3cm×3cmのサイズにカットし、メラミン塗装鉄板(縦7cm×横15cm×厚み0.9mm)の側面部を一周するように粘着テープを貼り付け、側面部頂点から平面方向に2mmの部分でカットした。
【0111】
この接着面積0.6cmの貼り付け部を、23℃×50%RHの環境下で1時間静置した後の状態を目視にて観察・評価した。なお、評価基準は以下のとおりである。
・全面が貼り付いた状態であった場合:○
・全面の半分程度に浮きが発生した場合:△
・全面に浮きが生じた場合:×
【0112】
<割れの評価>
上記実施例、比較例で得られた粘着テープを、曲率半径R=1mmで180°に折り曲げ、その際のクラックの発生有無を調べた。なお、評価基準は以下のとおりである。
・割れが発生しなかった場合:○
・割れが生じた場合:×
【0113】
<耐溶剤性の評価>
スクリュー管ビンにトルエンを入れ、メニスカス状態にした後、ハードコート層を塗布処理したプラスチックフィルムのハードコート層の表面のみを前記溶剤(トルエン)に接触させ、溶剤と密着状態とした。溶剤接触前と溶剤接触5分後の基材フィルムの厚みを1/1000mmダイヤルゲージを用いて測定し、下記式により基材フィルムの膨張率(厚み変動率)を算出した。
基材膨張率(%)=(「接触後の基材フィルム厚み(μm)」−「接触前の基材フィルム厚み(μm)」)/「接触前の基材フィルム厚み(μm)」×100
【0114】
さらに、ハードコート層の溶剤接触による表面形状外観の変化発生について、観察・評価した。なお、評価基準は以下のとおりである。
・フィルム表面に変化が生じなかった場合:○
・フィルム表面に小さなひび割れやフクレが生じた場合:×
【0115】
〔実施例1〕
ホモポリプロピレン樹脂(ホモ−PP)(日本ポリケム社製、FY4)、線状低密度ポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、スミカセンG−401)、およびr−TPO樹脂(リアクター(重合型)オレフィン系熱可塑性エラストマー)(サンアロマー社製、X500F)を、ホモ−PP:LDPE:r−TPO樹脂=60重量部:20重量部:20重量部の割合で押出機(ジー・エム・エンジニアリング社製、GM30−28押出機)に投入し、Tダイ成膜装置(ジー・エム・エンジニアリング社製、T300Tダイ)より溶融押出シート状(厚み:100μm)に成型し、樹脂フィルムであるオレフィンフィルムを得た。この際、樹脂フィルム表面粗さRaを1.04μmになるようにキャストロールを調製した。
【0116】
次に、アクリル系粘着剤(日東電工社製、厚み:4μm)をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:4μm、Ra=0.1μm)に備えたバインダー層付き樹脂フィルム(全厚み:8μm)に、ハードコーティング層として、HALS共重合ハルスハイブリッドポリマー(日本触媒社製、ハルスハイブリッドUV−G300、水酸基価(ワニス価):39±8)100重量部、硬化剤(住友バイウレタン社製、スミジュールN−3200)13重量部、および希釈溶媒(酢酸エチル)を不揮発分20%になるように混合し、次いでバーコーターを用いて、上記混合物を乾燥後の厚みが2μmになるように塗工した後、120℃で2分間乾燥し、次いで硬化促進エージング(60℃にて2日間)をおこないバインダー層付き平滑フィルム得た。その後、ラミネーションを用い、バインダー層を介して平滑フィルムを上記オレフィンフィルム(Raが1.04μmである面)に貼り合せ、平滑フィルム付き樹脂フィルムを得た。
【0117】
次いで、セパレーターの表面にアクリル系粘着剤(日東電工社製、2−エチルヘキシルアクリレート系粘着剤)および架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)を不揮発分20重量%で混合した粘着剤ポリマー溶液(アクリル系粘着剤:架橋剤=100:3)を、アプリケーターを用いて乾燥後の粘着剤層の厚みが30μmになるように塗工した。その後、100℃で2分間乾燥することにより粘着剤層を形成し、粘着剤層付きセパレーターを作製した。かかる粘着剤層付きセパレーターに、上記平滑フィルム付き樹脂フィルムの樹脂フィルム側を気泡混入やムラを生じないようにラミネーターにて貼り合わせ、粘着テープを得た。
【0118】
〔実施例2〕
アクリル系粘着剤(日東電工社製、厚み:4μm)をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:4μm、Ra=0.1μm)に備えたバインダー層付き平滑フィルム(全厚み:8μm)に代えて、アクリル系粘着剤(日東電工社製、厚み:13μm)をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:4μm、Ra=0.1μm)に備えたバインダー層付き平滑フィルム(全厚み:17μm)を用いた以外は実施例1と同様に粘着テープを作製した。
【0119】
〔実施例3〕
アクリル系粘着剤(日東電工社製、厚み:4μm)をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:4μm、Ra=0.1μm)に備えたバインダー層付き平滑フィルム(全厚み:8μm)に代えて、アクリル系粘着剤(日東電工社製、厚み:24μm)をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:12μm、Ra=0.1μm)に備えたバインダー層付き平滑フィルム(全厚み:36μm)を用いた以外は実施例1と同様に粘着テープを作製した。
【0120】
〔比較例1〕
実施例1で得た樹脂フィルムであるオレフィンフィルム(Raが1.04μmである面)に、ハードコーティング層として、HALS共重合ハルスハイブリッドポリマー(日本触媒社製、ハルスハイブリッドUV−G300、水酸基価(ワニス価):39±8)100重量部、硬化剤(住友バイウレタン社製、スミジュールN−3200)13重量部、および希釈溶媒(酢酸エチル)を不揮発分20%になるように混合し、次いでバーコーターを用いて、上記混合物を乾燥後の厚みが5μmになるように塗工した後、120℃で2分間乾燥し、次いで硬化促進エージング(60℃にて2日間)をおこないハードコーティング層付き樹脂フィルム得た。
【0121】
次いで、セパレーターの表面にアクリル系粘着剤(日東電工社製、2−エチルヘキシルアクリレート系粘着剤)および架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)を不揮発分20重量%で混合した粘着剤ポリマー溶液(アクリル系粘着剤:架橋剤=100:3)を、アプリケーターを用いて乾燥後の粘着剤層の厚みが30μmになるように塗工した。その後、100℃で2分間乾燥することにより粘着剤層を形成し、粘着剤層付きセパレーターを作製した。かかる粘着剤層付きセパレーターに、上記ハードコーティング層付き樹脂フィルムを気泡混入やムラを生じないようにラミネーターにて貼り合わせ、粘着テープを得た。
【0122】
〔比較例2〕
実施例1で得た樹脂フィルムであるオレフィンフィルム(Raが1.04μmである面)に、ハードコーティング層として、HALS共重合ハルスハイブリッドポリマー(日本触媒社製、ハルスハイブリッドUV−G300、水酸基価(ワニス価):39±8)100重量部、硬化剤(住友バイウレタン社製、スミジュールN−3200)13重量部、および希釈溶媒(酢酸エチル)を不揮発分20%になるように混合し、次いでバーコーターを用いて、上記混合物を乾燥後の厚みが20μmになるように塗工した後、120℃で2分間乾燥し、次いで硬化促進エージング(60℃にて2日間)をおこないハードコーティング層付き樹脂フィルム得た。
【0123】
次いで、セパレーターの表面にアクリル系粘着剤(日東電工社製、2−エチルヘキシルアクリレート系粘着剤)および架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)を不揮発分20重量%で混合した粘着剤ポリマー溶液(アクリル系粘着剤:架橋剤=100:3)を、アプリケーターを用いて乾燥後の粘着剤層の厚みが30μmになるように塗工した。その後、100℃で2分間乾燥することにより粘着剤層を形成し、粘着剤層付きセパレーターを作製した。かかる粘着剤層付きセパレーターに、上記ハードコーティング層付き樹脂フィルムを気泡混入やムラを生じないようにラミネーターにて貼り合わせ、粘着テープを得た。
【0124】
〔比較例3〕
ホモポリプロピレン樹脂(ホモ−PP)(日本ポリケム社製、FY4)、線状低密度ポリエチレン(LDPE)(住友化学社製、スミカセンG−401)、およびr−TPO樹脂(リアクター(重合型)オレフィン系熱可塑性エラストマー)(サンアロマー社製、X500F)を、ホモ−PP:LDPE:r−TPO樹脂=60重量部:20重量部:20重量部の割合で押出機(ジー・エム・エンジニアリング社製、GM30−28押出機)に投入し、Tダイ成膜装置(ジー・エム・エンジニアリング社製、T300Tダイ)より溶融押出シート状(厚み:100μm)に成型し、樹脂フィルムであるオレフィンフィルムを得た。この際、樹脂フィルム表面粗さRaを0.15μmになるようにキャストロールを調製した。
【0125】
次に、このオレフィンフィルム(Raが0.15μmである面)に、ハードコーティング層として、HALS共重合ハルスハイブリッドポリマー(日本触媒社製、ハルスハイブリッドUV−G300、水酸基価(ワニス価):39±8)100重量部、硬化剤(住友バイウレタン社製、スミジュールN−3200)13重量部、および希釈溶媒(酢酸エチル)を不揮発分20%になるように混合し、次いでバーコーターを用いて、上記混合物を乾燥後の厚みが5μmになるように塗工した後、120℃で2分間乾燥し、次いで硬化促進エージング(60℃にて2日間)をおこないハードコーティング層付き樹脂フィルム得た。
【0126】
次いで、セパレーターの表面にアクリル系粘着剤(日東電工社製、2−エチルヘキシルアクリレート系粘着剤)および架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)を不揮発分20重量%で混合した粘着剤ポリマー溶液(アクリル系粘着剤:架橋剤=100:3)を、アプリケーターを用いて乾燥後の粘着剤層の厚みが30μmになるように塗工した。その後、100℃で2分間乾燥することにより粘着剤層を形成し、粘着剤層付きセパレーターを作製した。かかる粘着剤層付きセパレーターに、上記ハードコーティング層付き樹脂フィルムを気泡混入やムラを生じないようにラミネーターにて貼り合わせ、粘着テープを得た。
【0127】
〔比較例4〕
比較例3で作製した樹脂フィルムであるオレフィンフィルム(Raが0.15μmである面)に、ハードコーティング層として、HALS共重合ハルスハイブリッドポリマー(日本触媒社製、ハルスハイブリッドUV−G300、水酸基価(ワニス価):39±8)100重量部、硬化剤(住友バイウレタン社製、スミジュールN−3200)13重量部、および希釈溶媒(酢酸エチル)を不揮発分20%になるように混合し、次いでバーコーターを用いて、上記混合物を乾燥後の厚みが20μmになるように塗工した後、120℃で2分間乾燥し、次いで硬化促進エージング(60℃にて2日間)をおこないハードコーティング層付き樹脂フィルム得た。
【0128】
次いで、セパレーターの表面にアクリル系粘着剤(日東電工社製、2−エチルヘキシルアクリレート系粘着剤)および架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)を不揮発分20重量%で混合した粘着剤ポリマー溶液(アクリル系粘着剤:架橋剤=100:3)を、アプリケーターを用いて乾燥後の粘着剤層の厚みが30μmになるように塗工した。その後、100℃で2分間乾燥することにより粘着剤層を形成し、粘着剤層付きセパレーターを作製した。かかる粘着剤層付きセパレーターに、上記ハードコーティング層付き樹脂フィルムを気泡混入やムラを生じないようにラミネーターにて貼り合わせ、粘着テープを得た。
【0129】
上記方法に従い、グロス値の測定、ならびに、耐候安定性、耐傷付き性、耐反発性、割れ、および耐溶剤性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0130】
【表1】

【0131】
上記表1の結果より、本発明の構成を有する粘着テープ類を用いた場合(実施例1〜3)、樹脂フィルムの表面粗さRaが1.04であるにも関わらず、いずれの実施例においても、グロス値が90という高い値を示し、また、耐候安定性、耐傷付き性、耐反発性、割れ、および耐溶剤性のいずれにおいても良好であることがわかった。
【0132】
これに対して、ハードコーティング層の厚みを5μmとした場合(比較例1,3)、いずれの比較例においても、耐傷付き性が悪く、また、樹脂フィルムの表面粗さRaが1.04であった場合にはグロス値が30という低い値になってしまった。また、厚塗り(ハードコーティング層の厚みが20μm)をした場合(比較例2,4)、いずれの比較例においても、耐反発性が悪く、割れが生じる結果となった。
【0133】
よって、本発明の粘着剤組成物は、光沢度の高い意匠性を有し、曲面追従性、耐溶剤性、耐傷付き性、耐候安定性に優れる粘着テープ類であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】凹凸溝形成用のセパレーター表面凹凸形状例を示す要部断面図
【図2】粘着テープ構成例を示す断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムの片面に形成された粘着剤層を備えた粘着テープ類であって、前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムがバインダー層を介して設けられていることを特徴とする粘着テープ類。
【請求項2】
前記平滑フィルムの厚みが3〜25μmである請求項1に記載の粘着テープ類。
【請求項3】
前記バインダー層の厚みが1〜200μmである請求項1または2に記載の粘着テープ類。
【請求項4】
前記樹脂フィルムの平滑フィルムに接する面の表面粗さRaが0.5〜5.0μmである請求項1〜3のいずれかに記載の粘着テープ類。
【請求項5】
前記樹脂フィルムおよび/または前記平滑フィルムが、少なくとも片面に厚み1〜20μmの熱硬化性アクリル系ハードコーティング層を備える請求項1〜4のいずれかに記載の粘着テープ類。
【請求項6】
前記粘着テープ類の少なくとも片面のグロス値が40以上である請求項1〜5のいずれかに記載の粘着テープ類。
【請求項7】
粘着テープ類の製造方法において、
樹脂フィルムの片面に粘着剤層を形成する工程、および、
前記樹脂フィルムのもう一方の面に、表面粗さRaが0.5μm以下である平滑フィルムをバインダー層を介して貼り合せる工程、
を含むこと特徴とする粘着テープ類の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−70401(P2007−70401A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256376(P2005−256376)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】