説明

粘着剤用ブロック共重合体、粘着剤組成物及び表面保護フィルム

【課題】適度かつ長期間安定した粘着性が維持でき、低温条件下でも室温条件下と同程度の粘着性を示す粘着剤用ブロック共重合体を得る。
【解決手段】2個のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1、A2)と、水素添加された少なくとも1個の共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBとからなり、
下記(1)〜(5)の条件を具備する粘着剤用ブロック共重合体。
(1)ビニル芳香族単量体単位の含有量が15〜30質量%。
(2)ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1)と重合体ブロック(A2)の質量比(A1/A2)が0.9〜1.1。
(3)水素添加前の共役ジエン単量体単位のビニル結合量が30〜40%。
(4)メルトフローレート(g/10分)が温度230℃、荷重2.16kgの条件下で10〜16。
(5)ブロック共重合体の−35℃〜−45℃の範囲に1つのtanδ(損失正接)ピークを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤用ブロック共重合体、粘着剤組成物及び表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面保護フィルムの粘着層に用いる粘着剤としては、従来から、アクリル系粘着剤や天然ゴム、ポリイソブチレン等のゴムを主体とするゴム系粘着剤が主として使用されている。
これらの粘着剤を所定の支持体フィルムに塗布する方法としては、粘着剤を溶剤に溶かした粘着剤溶液を、ロール、スプレー等を用いて塗布する方法が用いられている。これらの方法は、粘着剤層を均一に、かつ薄く塗工できるというメリットを有しているが、溶剤の使用は、大気汚染、火災、製造時の安全衛生性、経済性等の観点からは好ましくない。
【0003】
一方、溶剤を使用しないホットメルトタイプの表面保護フィルムの製造技術として、粘着剤層と支持体フィルムとの積層体を共押し出しによって製造する技術が知られており、粘着剤に関しても、種々のホットメルト型粘着剤が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、優れた粘着力を有する粘着剤として、ビニル芳香族化合物を主体とするブロックと、共役ジエンを主体とするブロックとからなり、共役ジエン部分の二重結合の一部を水添し、残りの二重結合の一部をエポキシ化したエポキシ変性水添ブロック共重合体からなる粘接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、支持体フィルムとして、難接着材料の代表であるオレフィン系樹脂フィルムを用いる場合は、オレフィン系樹脂フィルムとの親和性が高い、エチレンを主成分とする共重合体、例えばEVAを用いて粘着剤層を形成した共押し出しフィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4115791号公報
【特許文献2】特開平8−73699号公報
【特許文献3】特公平7−116410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、粘着剤層と支持体フィルムとの積層体を共押し出しにより製造する技術においては、支持体フィルム表面に、コロナ処理、アルカリ処理、火炎処理等を行うことが困難であるため、支持体と粘着剤層とに強固な接着力を有する共押し出しフィルムが得られにくいという問題を有している。具体的には、支持体フィルムと粘着剤層との積層体を金属板等に貼り付けた場合、支持体フィルムと粘着剤層との間で界面剥離を生じ、糊残りが発生しやすいという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示されている粘接着剤組成物は、加熱や長期間保存によるゲル化や劣化が激しく、長期安定性に関して解決すべき課題を有している。
さらに、特許文献3に開示されている共押し出しフィルムは、酸ビニル含有量の極めて低いものについては、十分な粘着性が得られないという問題を有している。
さらにまた、特許文献3には、例えば、A−B−A(Aはスチレン重合体ブロック、Bはエチレン/ブチレン共重合体ブロック)ブロック共重合体を用いた粘着剤層をオレフィン系樹脂フィルム上に形成させた表面保護用接着フィルムについての開示もなされているが、この粘着剤では、被着体が歪んでいたり、複雑な形状をしていたりする場合には、良好な密着性が得られず、一方において平滑な被着体に貼り付けた場合には、長時間保存により接着強度が変化し、フィルムを剥離すると糊残りが生じるという問題を有している。
【0007】
表面保護フィルムは、粘着力が高すぎると剥がすときに大きな力が必要となり、作業性が劣り、低すぎると保管中に剥がれるという問題が発生し、また、粘着性も高すぎても低すぎても作業性が劣り、好ましくない。さらに長期間保存や低温下でも粘着力及び粘着性が変わらないことが作業性等の点で好ましい。
【0008】
そこで本発明においては、適度な粘着力と粘着性を有すると共に、長時間密着させても粘着力が変化せず長期間安定した粘着性が維持され、さらには低温条件下でも室温条件下と同程度の粘着性を発揮する粘着剤用ブロック共重合体、その粘着剤組成物及びこれを具備する表面保護フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、ビニル芳香族単量体単位の含有量、2個のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの質量比、水素添加前の共役ジエン単量体単位のビニル結合量、及びブロック共重合体のメルトフローレートが特定の範囲であり、特定の温度範囲にtanδピークを有するブロック共重合体を用いることにより、適度な粘着力と粘着性を有すると共に、長時間密着させても粘着力が変化せず長期間安定した粘着性が維持され、さらには低温条件下でも室温条件下と同程度の粘着性を示す粘着剤組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
〔1〕
2個のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1、A2)と、
水素添加された少なくとも1個の共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBとからなる粘着剤用ブロック共重合体であって、
下記(1)〜(5)の条件を具備する粘着剤用ブロック共重合体。
(1)ビニル芳香族単量体単位の含有量が15〜30質量%。
(2)前記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1)と重合体ブロック(A2)の質量比(A1/A2)が0.9〜1.1。
(3)水素添加前の共役ジエン単量体単位のビニル結合量が30〜40%。
(4)メルトフローレート(g/10分)が温度230℃、荷重2.16kgの条件下で10〜16。
(5)ブロック共重合体の−35℃〜−45℃の範囲に1つのtanδ(損失正接)ピークを有している。
〔2〕
2個の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1、B2)を含み、ブロック共重合体の構造がB1−A1−B2−A2であり、
前記2個の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)と重合体ブロック(B2)との質量比(B1/B2)が0.10以下である前記〔1〕に記載の粘着剤用ブロック共重合体。
〔3〕
前記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤用ブロック共重合体100質量部と、粘着付与剤0〜200質量部とを含有する粘着剤組成物。
〔4〕
基材フィルム上に、前記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤用ブロック共重合体又は前記〔3〕に記載の粘着剤組成物を積層した粘着剤層を具備する表面保護フィルム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、適度な粘着力と粘着性を有すると共に、長時間密着させても粘着力が変化せず長期間安定した粘着性が維持され、さらには低温条件下でも室温条件下と同程度の粘着性を示す粘着剤用ブロック共重合体、その粘着剤組成物及びこれを具備する表面保護フィルムが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
〔粘着剤用ブロック共重合体〕
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体は、
2個のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1、A2)と、
水素添加された少なくとも1個の共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBとからなる粘着剤用ブロック共重合体である。
また、下記(1)〜(5)の条件を具備する。
(1)ビニル芳香族単量体単位の含有量が15〜30質量%。
(2)前記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1)と重合体ブロック(A2)の質量比(A1/A2)が0.9〜1.1。
(3)水素添加前の共役ジエン単量体単位のビニル結合量が30〜40%。
(4)ブロック共重合体のメルトフローレート(以下、MFRと記載する場合もある。)(g/10分)が、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で10〜16。
(5)ブロック共重合体の−35℃〜−45℃の範囲に1つのtanδ(損失正接)ピークを有している。
【0014】
なお、本実施形態において、ブロック共重合体を構成する各単量体単位の命名は、当該単量体単位が由来する単量体の命名に従っているものとする。
例えば、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
また、本実施形態において「主体とする」とは、重合体ブロック中、単量体単位を60質量%以上含有することを意味する。単量体単位を80質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することがさらに好ましい。
【0015】
前記「ビニル芳香族単量体」としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記「共役ジエン」は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。特に、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。1,3−ブタジエンとイソプレンとでは、本実施形態の粘着剤組成物において、高い機械強度を得る観点から、1,3−ブタジエンを主体とすることがより好ましい。共役ジエン中の1,3−ブタジエン含有量は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
【0016】
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体は、上記のように、2個のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1、A2)と、水素添加された少なくとも1個の共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBとにより構成されている。
また、ビニル芳香族単量単位を主体とする重合体ブロックが1個の場合は、粘着剤組成物の粘着力が不十分である。ビニル芳香族単量体単位の重合体ブロックが3個以上の場合でも粘着剤組成物の粘着力が不十分であり、ブロック共重合体の生産性も劣る。
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量は、15〜30質量%の範囲であり、15〜25質量%の範囲が好ましく、17〜23質量%の範囲がより好ましい。
ビニル芳香族単量体単位の含有量が30質量%を超える場合は、粘着剤組成物の粘着性が低下する。逆に15質量%未満の場合は、貼付後長期間保存すると粘着性、粘着力が高くなりすぎ、フィルムを剥離する際に糊残りが生じやすいため好ましくない。
【0017】
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体を構成する前記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1)と重合体ブロック(A2)の質量比(A1/A2)は0.9〜1.1である。
質量比(A1/A2)は0.92〜1.08の範囲が好ましく、0.93〜1.05の範囲がより好ましい。
質量比(A1/A2)が0.9未満又は1.1を超えると、後述する本実施形態の粘着剤組成物の粘着力が不十分なものとなる。
【0018】
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体は、2個のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1、A2)と、2個の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1、B2)からなり、構造がB1−A1−B2−A2であるブロック共重合体であることが好ましい。
前記2個の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)と重合体ブロック(B2)との質量比(B1/B2)は、0.10以下の範囲が好ましく、0.02〜0.09の範囲がより好ましい。
質量比(B1/B2)が0.10を超えると粘着力が劣り、粘着性が高くなりすぎる。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックが1個の場合、貼付後長期間保存すると粘着性、粘着力が高くなりすぎ、フィルムを剥離する際に糊残りが生じやすいため好ましくない。
【0019】
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体単位のミクロ構造は、水添前において、ビニル結合量が30〜40%の範囲であり、32〜38%の範囲が好ましく、33〜37%の範囲がより好ましい。
ビニル結合量とは、ブロック共重合体中に1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組込まれている共役ジエン単量体単位のうち、1,2−結合及び3,4−結合様式に組込まれているものの割合とする。
水素添加前の共役ジエン単量体単位のビニル結合量が30%未満であると、後述する本実施形態の粘着剤組成物の粘着性が高くなり、フィルムを剥離する際に糊残りが生じやすいため好ましくない。またそれが40%を超えると、得られる粘着剤組成物の粘着性が劣る。
共役ジエン単量体単位のミクロ構造は、赤外分光光度計(IR)や核磁気共鳴装置(NMR)等により分析できる。
【0020】
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体のMFRは、測定条件が温度:230℃、荷重:2.16kgのとき、10〜16g/10分の範囲であり、11〜15g/10分の範囲が好ましい。
MFRが10g/10分未満の場合、後述する本実施形態の粘着剤組成物の溶融粘度が高くなり、加工性が劣るものとなる。16g/10分を超える場合、粘着力が不十分であり、後述する本実施形態の粘着剤組成物を用いて表面保護フィルムの粘着層を形成したとき、当該表面保護フィルムを剥がしたときに糊残りが生じやすい。
MFRは、後述する実施例に示す方法により測定できる。
【0021】
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体は、粘弾性試験において、−45℃以上−35℃以下の範囲に1つのtanδ(損失正接)ピークを有している。
これにより、後述する本実施形態の粘着剤組成物は、低温条件下でも室温条件下と同程度の粘着性が得られるようになる。
前記tanδピーク温度は、測定用試料を所定の大きさに切り出し、所定の粘弾性測定装置を用いることにより測定できる。
例えば、測定用試料を、幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーにセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、測定範囲−70℃から50℃まで、昇温速度3℃/分の条件により測定できる。tanδピーク温度は、RSI Orchestrator(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の自動測定より検出されるピークから求められる。
具体的には、後述する実施例に示す方法により測定できる。
【0022】
〔粘着剤用ブロック共重合体の製造方法〕
本実施形態の粘接着剤用ブロック共重合体を重合する方法については、特に限定されないが、例えば、配位重合、アニオン重合又はカチオン重合等が挙げられる。
構造の制御の容易さの観点からはアニオン重合が好ましい。
アニオン重合によるブロック共重合体の製造方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体の共役ジエン部分を水素添加する方法としては、水添触媒の存在下に、水素を供給し、不飽和部を水素添加する方法が挙げられる。
水添触媒としては、特に限定はされないが、従来公知の水添触媒である、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が挙げられる。
具体的には、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報等に記載された水添触媒が挙げられる。
本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体は、官能基含有原子団を有していてもよい。
官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、ボロン酸基、ホウ素含有基、ボロン酸塩基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等が挙げられる。
【0023】
〔粘着剤組成物〕
(構成)
本実施形態の粘着剤組成物は、上述した粘着剤用ブロック共重合体100質量部と、後述する粘着付与剤0〜200質量部とを含有し、必要に応じて、後述するその他の成分を含有する。
【0024】
(粘着付与剤)
粘着付与剤としては、種類は特に限定はなく、例えば、ロジン系テルペン系樹脂、水添ロジン系テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂等の公知の粘着付与剤が挙げられる。粘着付与剤は単独で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
粘着付与剤の具体例としては、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)に記載されたものが使用できる。
粘着付与剤を用いることにより、粘着力の改良が図られる。
本実施形態の粘着剤組成物中における粘着付与剤の含有量は、ブロック共重合体を100質量部としたとき0〜200質量部であり、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは20〜75質量部の範囲で使用される。
粘着付与剤の使用量が200質量部を超えると、長期貼り付け後の粘着力が強くなりすぎ、剥離の際に糊残りが生じやすいため好ましくない。
【0025】
(その他の添加剤)
<水添スチレン系エラストマー>
本実施形態の粘着剤組成物は、上述した本実施形態のブロック共重合体以外の水添スチレン系エラストマーをさらに含有してもよい。
水添スチレン系エラストマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンを水素添加により飽和させたスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)が代表的な水添スチレン系エラストマーとして挙げられるが、その他、スチレン−エチレン−ブチレン(SEB)、スチレン−エチレン−プロピレン(SEP)といった構造のエラストマーでもよい。
また、前記水添スチレン系エラストマーに、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、ボロン酸基、ホウ素含有基、ボロン酸塩基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基を具備する、官能基を付与した反応性エラストマーを使用してもよい。
【0026】
<エチレン酢酸ビニル共重合体>
本実施形態の粘着剤組成物は、エチレン酢酸ビニル共重合体をさらに含有してもよい。
エチレン酢酸ビニル共重合体は、特に限定されないが、例えば、エチレンと酢酸ビニルとを、高温、高圧条件下でラジカル共重合することにより製造できる。エチレン酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有率によって性質が異なるが、特に限定するものではない。
【0027】
<アクリル系共重合体>
本実施形態の粘着剤組成物は、アクリル系共重合体をさらに含有してもよい。
アクリル系共重合体は、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリルニトリルと酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン等との共重合体が挙げられる。
【0028】
<軟化剤>
本実施形態の粘着剤組成物は、軟化剤をさらに含有してもよい。
軟化剤としては、鉱物油系軟化剤又は合成樹脂系軟化剤のいずれも使用できる。
鉱物油系軟化剤としては、一般に、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物が挙げられ、パラフィン系炭化水素の炭素原子数が全炭素原子中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、ナフテン系炭化水素の炭素原子が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ばれ、また、芳香族系炭化水素の炭素原子が35%以上のものが芳香族系オイルと呼ばれている。
鉱物油系軟化剤としては、ゴム用軟化剤であるパラフィン系オイルが好ましく、合成樹脂系軟化剤としては、例えば、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が好ましいものとして挙げられる。
軟化剤を含有させることにより、本実施形態の粘着剤組成物において、粘着性の改良が図られる。
本実施形態の粘着剤組成物中の軟化剤の含有量は、軟化剤のブリード抑制や、本実施形態の粘着剤組成物において実用上十分な粘着力を確保する観点から、粘着剤用ブロック共重合体100質量部に対し、軟化剤の含有量が0〜100質量部であることが好ましい。
【0029】
<酸化防止剤、光安定剤等>
本実施形態の粘着剤組成物には、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)]アクリレート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤としては、例えば2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
【0030】
<顔料、ワックス類、熱可塑性樹脂、天然ゴム、合成ゴム>
本実施形態の粘着剤組成物には、その他、必要に応じて、ベンガラ、二酸化チタン等の顔料;パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、低分子量ポリエチレンワックス等のワックス類;無定形ポリオレフィン、エチレンーエチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系又は低分子量のビニル芳香族系熱可塑性樹脂;天然ゴム;ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、ポリペンテナマーゴム等の合成ゴムを添加してもよい。合成ゴムとしては、その他、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に記載されたものが挙げられる。
【0031】
〔粘着剤組成物の製造方法〕
本実施形態の粘着剤組成物は、従来公知の方法により製造できる。
例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、コーター等によりキザイフィルムに塗工した後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
本実施形態の粘着剤組成物には、軽量化、柔軟化、密着性の向上効果を図るため、発泡させてもよい。発泡方法としては、化学的方法、物理的方法、熱熱膨張型のマイクロバルーンの利用等がある。各々、無機系発泡剤、有機系発泡剤等の化学的発泡剤、物理的発泡剤等の添加、熱熱膨張型のマイクロバルーンの添加等により材料内部に気泡を分布させることができる。
また、中空フィラー(既膨張バルーン)を添加することにより、軽量化、柔軟化、密着性の向上を図ってもよい。
【0032】
〔表面保護フィルム〕
本実施形態の表面保護フィルムは、上述した本実施形態の粘着剤用ブロック共重合体、又は粘着剤組成物を、所定の基材フィルム上に積層形成した粘着剤層を具備する構成を有している。
基材フィルムの材料としては、非極性樹脂又は極性樹脂のいずれも使用できるが、性能や価格面等から、非極性樹脂としては、ポリエチレン、ホモ又はブロックのポリプロピレン、極性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物等が好ましいものとして挙げられる。
本実施形態の表面保護フィルムを構成する粘着剤層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、5〜100μmがより好ましい。
粘着剤層の厚さが100μmを超えると、容量が大きくなり、取扱性が悪化し、経済的にも不利である。また、1μm未満であると密着性が悪化し、均一な厚みも得られなくなるという不都合を生じる。
基材フィルムは、5mm以下、好ましくは3mm以下、さらに好ましくは1mm以下のものが好ましく、300μm以下がさらにより好ましく、10〜200μmがよりさらに好ましい。
一般的に、厚さが300μmを超えるものは「シート」と呼ばれるが、本明細書においては、これらも含めてフィルムと記載している。
【0033】
〔表面保護フィルムの製造方法〕
本実施形態における表面保護フィルムの製造方法としては、例えば、フィルム押出機による方法と粘着剤用ブロック共重合体又は粘着剤組成物の溶融物、若しくは溶液を前記基材フィルム上に塗工する方法とが挙げられる。
粘着剤用ブロック共重合体又は粘着剤組成物の溶液を塗工する方法においては、粘着剤用ブロック共重合体又は粘着剤組成物を溶解可能な溶剤に溶かし、コーター等を用い、基材フィルム上に塗工し、溶剤を加熱乾燥することによって製造できる。
粘着剤用ブロック共重合体又は粘着剤組成物を溶融させ、塗工する方法においては、ホットメルトコーター等を用い、基材フィルム上に溶融粘着剤用ブロック共重合体又は粘着剤組成物を塗工する方法により製造できる。この方法は、塗工温度より高いガラス転移温度、融点又は軟化点を有する各種の基材フィルムに塗工できるという利点がある。
フィルム押出機による方法においては、粘着剤用ブロック共重合体又は粘着剤組成物層の成分と基材フィルムの熱可塑性樹脂成分とを、溶融共押出機にて、二つの流れにして、すなわち、接着剤層形成用流体と、基材体フィルム形成用流体とをダイス口内で合流せしめて単一流体を形成して押し出し、粘着剤層と樹脂フィルム層とを複合することによって製造する。
フィルム押出機による方法の場合、粘着剤用ブロック共重合体又は粘着剤組成物は、予め粘着剤用ブロック共重合体又は粘着剤組成物の各成分をドライブレンドすることによっても製造できるため、生産性に優れている。
【実施例】
【0034】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
先ず、実施例及び比較例に適用した、評価方法及び物性の測定方法について下記に示す。
〔I.ブロック共重合体の組成及び構造の評価〕
(I−1)スチレン含有量、共役ジエンのビニル結合量、共役ジエンに基づく二重結合の水素添加率
ポリマー中のスチレン含有量、共役ジエンのビニル結合量、共役ジエンに基づく二重結合の水素添加率は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
測定機器:JNM−LA400(JEOL製)
溶媒:重水素化クロロホルム
測定サンプル:ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度:50mg/ml
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:64回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
【0036】
(I−2)MFR(メルトフローレート)
ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
【0037】
(I−3)tanδピーク温度
測定材料を、幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、測定用試料とした。
装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーに、測定用試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、測定範囲−70℃から50℃まで、昇温速度3℃/分の条件により測定した。
tanδピーク温度は、RSI Orchestrator(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の自動測定より検出されるピークから求めた値である。
【0038】
〔II.粘着剤用ブロック共重合体又は粘接着剤組成物の特性〕
(II−1)塗工性
ホットメルトコーターでの取扱性及びフィルムの状態(ムラ、シワ等)を目視観察した。
塗工性を下記により評価した。
○:フィルム巻き取り時の皺がなく、粘着層の表面状態も均一であった。
※1:粘着層がべたつき、フィルムの巻き取り時に皺が入った。
※2:粘着層の表面が荒れている状態であった。
【0039】
(II−2)粘着性
測定装置としては、プローブタックテスターNTS−4800:テスター産業(株)製を用いた。
下記実施例1〜3、比較例1〜10において作製した表面保護フィルムを錘10gの両面テープを貼ってある面のボビンに貼り付け、温度23℃、CONTACT SPEEDとPEELING SPEEDを1.0cm/秒に固定し、接触時間5秒と4時間の2条件で測定した。
また、低温での粘着性は、SPEEDは変えずに、温度0℃、接触時間5秒の条件で測定した。
なお、粘着性の値は、プローブタックテスターNTS−4800より検出されるデータの最大値を読み取った。
【0040】
(II−3)粘着力(g/10mm)
測定装置としては、万能引張試験機「テンシロンSTM−T−200BP:(株)オリエンテック製」を用いた。
PMMA板(表面の算術平均粗さ:0.1μm)に、下記実施例1〜3、比較例1〜10において作製した表面保護フィルムを貼り付け、温度23℃中で180度引き剥がし試験を、貼り付け直後と長時間密着後の2種類行った。
この180度引き剥がし試験においては、測定用試料である表面保護フィルムを25mm幅にしてPMMA板に貼り付け、引き剥がし速度300mm/minとして剥離力を測定した。
なお、長時間密着の評価は、PMMA板に下記実施例1〜3、比較例1〜10において作製した表面保護フィルムを貼り付けた後、23℃×50%相対湿度中で14日間放置後に測定した。
【0041】
(II−4)糊残り性
PMMA板(表面の算術平均粗さ:1.1μm)に、下記実施例、比較例において作製した表面保護フィルムを貼り付け、23℃×50%相対湿度中で、重さ1kgのゴムロール(直径10cm)転がして貼り付け、その後、23℃の温度条件下で14日放置した。その後、表面保護フィルムを剥離し、PMMA板上の糊残りの状態を評価した。
下記表3〜表5において、糊残りの評価は◎、○、×、××の4段階で行った。
これらの評価基準について示す、
◎:剥離面積(1m2)に対して、目視で観察できる糊残りが全くないもの。
〇:剥離面積(1m2)に対して、目視で観察できる糊残りが1点のもの。
×:剥離面積(1m2)に対して、目視で観察できる糊残りが2〜4点のもの。
××:剥離面積(1m2)に対して、目視で観察できる糊残りが5点以上のもの。
【0042】
〔III.水添触媒の調製〕
ブロック共重合体の水素添加反応に用いた水添触媒は下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビスシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を調製した。
【0043】
〔IV.ブロック共重合体の調製〕
<ポリマー1:スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(A1−B1−A2)>
ここで、A1、A2、B1、B2は、それぞれ下記の重合体ブロックを示すものとする。
A1、A2:ポリスチレン重合体ブロック
B1、B2:ポリブタジエン共重合体ブロック
内容積が10Lの、攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を、洗浄、乾燥、窒素置換して、下記の方法によりバッチ重合を行った。
先ず、スチレン9.7質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.031質量部と、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」と記載する。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で30分間重合した。
その後、ブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で30分間重合した。
最後にスチレン10.3質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で30分間重合した。
上述のようにして得られたポリマーは、スチレン含有量20質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量33%、ポリマーのMFR(230℃、2.16kg荷重)が15(g/10分)であった。
次に、上述のようにして得られたポリマーに、上記(III)により調製した水添触媒を、ポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。
得られたブロック共重合体(ポリマー1)のブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−44℃であった。
【0044】
<ポリマー2:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
上記ポリマー1の合成と同様に、内容積が10Lの、攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を、洗浄、乾燥、窒素置換して、下記の方法によりバッチ重合を行った。
ブタジエン4.6質量部を含むシクロヘキサン溶液を、上記反応器に投入後、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.029質量部、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.40モル添加し、70℃で30分間重合した。
その後、スチレン9.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を加え、70℃で30分間重合した。
次に、ブタジエン76.4質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で1時間重合した。
最後に、スチレン9.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で30分間重合した。
上述のようにして得られたポリマーは、スチレン含有量19質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量36%、ポリマーのMFRが13(g/10分)であった。
次に、上述のようにして得られたポリマーに、上記(III)により調製した水添触媒を、ポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。
得られた水添ブロック共重合体(ポリマー2)のブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−41℃であった。
【0045】
<ポリマー3:スチレン−ブタジエンの水添物(A1−B1)>
上記ポリマー1の合成と同様に、内容積が10Lの、攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を、洗浄、乾燥、窒素置換して、下記の方法によりバッチ重合を行った。
先ず、スチレン22.0質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.027質量部と、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TMEDA」と記載する。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.37モル添加し、70℃で30分間重合した。
その後、ブタジエン78.0質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で30分間重合した。
上述のようにして得られたポリマーは、スチレン含有量22質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量35%、ポリマーのMFRが12(g/10分)であった。
次に、上述のようにして得られたポリマーに、上記(III)により調製した水添触媒を、ポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。
得られたブロック共重合体(ポリマー3)のブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−44℃であった。
【0046】
<ポリマー4:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
上記ポリマー1の合成と同様に、内容積が10Lの、攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を、洗浄、乾燥、窒素置換して、下記の方法によりバッチ重合を行った。
ブタジエン3.4質量部を含むシクロヘキサン溶液を、上記反応器に投入後、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.028質量部、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.46モル添加し、70℃で30分間重合した。
その後、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を加え、70℃で30分間重合した。
次に、ブタジエン83.6質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で1時間重合した。
最後に、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で30分間重合した。
上述のようにして得られたポリマーは、スチレン含有量13質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量38%、ポリマーのMFRが12(g/10分)であった。
次に、上述のようにして得られたポリマーに、上記(III)により調製した水添触媒を、ポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後、メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。
得られた水添ブロック共重合体(ポリマー4)のブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−42℃であった。
【0047】
<ポリマー5:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
最初のブタジエン3.7質量部、n−ブチルリチウムを0.030質量部、TMEDAを0.36モル、次にスチレン18.0質量部、その次にブタジエン61.3質量部、最後にスチレン17.0質量部添加する以外は、上記ポリマー2と同様の方法でポリマー5を得た。得られたブロック共重合体(ポリマー5)は、スチレン含有量35質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量33%、ポリマーのMFRが14(g/10分)、ブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−43℃であった。
【0048】
<ポリマー6:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
最初のブタジエン3.5量部、n−ブチルリチウムを0.030質量部、TMEDAを0.37モル、次にスチレン12.0質量部、その次にブタジエン69.5質量部、最後にスチレン15.0質量部添加する以外は、上記ポリマー2と同様の方法でポリマー6を得た。得られたブロック共重合体(ポリマー6)は、スチレン含有量27質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量35%、ポリマーのMFRが13(g/10分)、ブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−40℃であった。
【0049】
<ポリマー7:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
最初のブタジエン3.7質量部、n−ブチルリチウムを0.029質量部、TMEDAを0.38モル、次にスチレン12.0質量部、その次にブタジエン74.3質量部、最後にスチレン10.0質量部添加する以外は、上記ポリマー2と同様の方法でポリマー7を得た。得られたブロック共重合体(ポリマー7)は、スチレン含有量22質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量35%、ポリマーのMFRが13(g/10分)、ブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−42℃であった。
【0050】
<ポリマー8:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
最初のブタジエン2.9質量部、n−ブチルリチウムを0.030質量部、TMEDAを0.07モル、次にスチレン25質量部、その次にブタジエン72.1質量部、最後にスチレン12.8質量部添加する以外は、上記ポリマー2と同様の方法でポリマー8を得た。得られたブロック共重合体(ポリマー8)は、スチレン含有量25質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量20%、ポリマーのMFRが14(g/10分)、ブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−50℃であった。
【0051】
<ポリマー9:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
最初のブタジエン2.9質量部、n−ブチルリチウムを0.026質量部、TMEDAを0.64モル、次にスチレン9.9質量部、その次にブタジエン72.1質量部、最後にスチレン10.1質量部添加する以外は、上記ポリマー2と同様の方法でポリマー9を得た。得られたブロック共重合体(ポリマー9)は、スチレン含有量20質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量52%、ポリマーのMFRが12(g/10分)、ブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−34℃であった。
【0052】
<ポリマー10:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
最初のブタジエン2.3質量部、n−ブチルリチウムを0.019質量部、TMEDAを0.37モル、次にスチレン10.0質量部、その次にブタジエン77.7質量部、最後にスチレン10.0質量部添加する以外は、上記ポリマー2と同様の方法でポリマー10を得た。得られたブロック共重合体(ポリマー10)は、スチレン含有量20質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量35%、ポリマーのMFRが7(g/10分)、ブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−43℃であった。
【0053】
<ポリマー11:ブタジエン−スチレン−ブタジエン−スチレンの水添物(B1−A1−B2−A2)>
最初のブタジエン5.5質量部、n−ブチルリチウムを0.041質量部、TMEDAを0.36モル、次にスチレン13.0質量部、その次にブタジエン68.5質量部、最後にスチレン13.0質量部添加する以外は、上記ポリマー2と同様の方法でポリマー11を得た。得られたブロック共重合体(ポリマー11)は、スチレン含有量26質量%、ポリブタジエン部のビニル結合量35%、ポリマーのMFRが20(g/10分)、ブタジエンの水添率は99%、上記(I−3)の方法で測定したtanδピーク温度は−42℃であった。
【0054】
〔実施例1〕
ブロック共重合体として、上記(ポリマー1)を200℃で溶融させ、ホットメルトコーター(Acumeter Laboratories, Inc.製、型式:LH−1)を用いて、38μm厚みのポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品名ルミラーS10)に、上記ポリマー溶融物を塗工し、粘着剤層を具備する表面保護フィルムを作製した。
なお、粘着剤層の厚みは15μmであった。
この表面保護フィルムについて、塗工性及び表面保護フィルムを剥がしたときの糊残り性を観察し、粘着性(23℃×5秒後、4時間後、0℃×5秒後)、粘着力(23℃×1日後、14日後)の測定を行った。測定結果を下記表1に示す。
【0055】
〔実施例2〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー2)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表1に示す。
【0056】
〔比較例1〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー3)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表1に示す。
【0057】
〔比較例2〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー4)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表1に示す。
【0058】
〔比較例3〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー5)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表1に示す。
【0059】
〔比較例4〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー6)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表1に示す。
【0060】
〔比較例5〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー7)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表1に示す。
【0061】
〔比較例6〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー8)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表2に示す。
【0062】
〔比較例7〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー9)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表2に示す。
【0063】
〔比較例8〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー10)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表2に示す。
【0064】
〔比較例9〕
上記(ポリマー1)に代えて(ポリマー11)を用い、200℃で溶融させ、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。測定結果を下記表2に示す。
【0065】
〔実施例3〕
ブロック共重合体として上記(ポリマー2)100質量部に対して、粘着付与剤にアルコンP−115(荒川化学工業(株)製)を50質量部用い、これらを均一になるまで溶融混練し、粘着剤組成物を作製した。この粘着剤組成物を用いて実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。
測定結果を下記表3に示す。
【0066】
〔比較例10〕
ブロック共重合体として上記(ポリマー2)を100質量部用い、粘着付与剤としてアルコンP−115(荒川化学工業(株)製)を300質量部用い、これらを均一になるまで溶融混練し、粘着剤組成物を作製した。この粘着剤組成物を用いて実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを作製し、各特性の測定を行った。
測定結果を下記表3に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
表1に示すように、実施例1、2においては、いずれも優れた塗工性を有しており、長時間に亘り粘着性、粘着力が維持され、低温条件下、常温条件下のいずれにおいても十分な粘着性が得られた。
一方、比較例1においては、ブロック共重合体(ポリマー3)のビニル芳香族単量体重合ブロックが1個しかないため、塗工性、粘着性、粘着力、糊残り性のいずれにおいても実用上良好な評価が得られなかった。
比較例2においては、ブロック共重合体(ポリマー4)のビニル芳香族単量体単位の含有量が低いものであるため、比較例1と同様に、塗工性、粘着性、粘着力、糊残り性のいずれにおいても実用上良好な評価が得られなかった。
また、比較例3においては、ブロック共重合体(ポリマー5)のビニル芳香族単量体単位の含有量が高いものであるため、粘着性、粘着力のいずれにおいても実用上良好な評価が得られなかった。
さらに、比較例4、比較例5においては、ブロック共重合体(ポリマー6、ポリマー7)の2個のビニル芳香族単量体単位の量が低い又は高いため、粘着力において実用上良好な評価が得られなかった。
【0071】
表2に示すように、比較例6においては、ブロック共重合体(ポリマー8)のブタジエンのビニル結合量が少なく、−35℃〜−45℃の範囲にtanδピークを有していないため、4時間後の粘着性、粘着力、糊残り性のいずれにおいても実用上良好な評価が得られなかった。
比較例7においては、ブロック共重合体(ポリマー9)のブタジエンのビニル結合量が多く、−35℃〜−45℃の範囲にtanδピークを有していないため、粘着性において実用上良好な評価が得られなかった。
比較例8においては、ブロック共重合体(ポリマー10)のMFRが低いものであるため、塗工性が劣り、粘着性がやや不安定であった。
比較例9においては、ブロック共重合体(ポリマー11)のMFRが高いものであるため、粘着力、糊残り性において実用上良好な評価が得られなかった。
【0072】
表3に示すように、実施例3においては、粘着剤組成物は優れた塗工性を有しており、長時間に亘り粘着性、粘着力が維持され、低温条件下、常温条件下のいずれにおいても十分な粘着性が得られた。
一方、比較例10においては、粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の量が多いため、低温条件下の粘着性が低く、粘着力が高くなりすぎ、糊残り性も劣る結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の粘着剤用ブロック共重合体及び粘着剤組成物は、金属、ガラス、合成樹脂等を貼り合せる粘着剤、表面の耐傷性を向上させ、ゴミ、埃、塵等の付着を防止する表面保護フィルムの粘着剤用として、産業上の利用可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1、A2)と、
水素添加された少なくとも1個の共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBとからなる粘着剤用ブロック共重合体であって、
下記(1)〜(5)の条件を具備する粘着剤用ブロック共重合体。
(1)ビニル芳香族単量体単位の含有量が15〜30質量%。
(2)前記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A1)と重合体ブロック(A2)の質量比(A1/A2)が0.9〜1.1。
(3)水素添加前の共役ジエン単量体単位のビニル結合量が30〜40%。
(4)メルトフローレート(g/10分)が、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で10〜16。
(5)ブロック共重合体の−35℃〜−45℃の範囲に1つのtanδ(損失正接)ピークを有している。
【請求項2】
2個の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1、B2)を含み、ブロック共重合体の構造がB1−A1−B2−A2であり、
前記2個の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)と重合体ブロック(B2)との質量比(B1/B2)が0.10以下である請求項1に記載の粘着剤用ブロック共重合体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粘着剤用ブロック共重合体100質量部と、
粘着付与剤0〜200質量部と、
を、含有する粘着剤組成物。
【請求項4】
基材フィルム上に、請求項1又は2に記載の粘着剤用ブロック共重合体、又は請求項3に記載の粘着剤組成物を積層した粘着剤層を具備する表面保護フィルム。

【公開番号】特開2012−236901(P2012−236901A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106340(P2011−106340)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】