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粘着剤組成物
説明

粘着剤組成物

【課題】 凝集力(保持力)を高く設定しても、ポリオレフィン等の難接着性被着体に対する耐曲面貼り性を高いレベルで維持できる粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】 粘着剤用ポリマーと架橋剤とを必須的に含む粘着剤組成物であって、粘着剤用ポリマーが、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート87〜99.45質量%と、窒素原子含有モノマー0.5〜8質量%と、ヒドロキシル基含有モノマー0.05〜5質量%(ただしこれら三種類のモノマーの合計を100質量%とする)とを必須成分とすると共に、カルボキシル基含有モノマーを含まないモノマー混合物から得られるものであり、架橋剤が脂肪族イソシアネート系架橋剤であることを特徴とする粘着剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い凝集力を有し、かつ、ポリオレフィンに対する耐曲面貼り性に優れた粘着製品を提供することのできる溶剤型の粘着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルキル(メタ)アクリレートを主たる構成成分とするアクリル系粘着剤は、タック、粘着力、凝集力等の基本物性に加え、耐熱性、耐候性、耐水性、耐油性等に優れていることから、粘着ラベル、シート、テープ等の粘着製品に幅広く使用されている。このアクリル系粘着剤では、粘着剤用ポリマー中にヒドロキシル基を導入し、芳香族系イソシアネート架橋剤で架橋して、上記特性を良好にするのが一般的である。
【0003】
しかし、特に、難接着性のポリオレフィンを被着体とする耐曲面貼り性について高いレベルが要求されると、粘着剤用ポリマーの分子設計や架橋剤量の調整だけではこれらの要求特性を満足できないことがあった。これは、ひとつには、粘着剤の凝集力の増大のために粘着剤用ポリマーに導入されているカルボキシル基が、未反応のイソシアネート基と、粘着製品の養生中に徐々に反応して架橋密度を高めてしまい、粘着力を低下させていることが原因と考えられた。ここで、耐曲面貼り性とは、例えば、直径15mmのポリプロピレン製円柱(円筒でも構わない)の表面に、粘着テープ試料を半周にわたって貼り付け、常態下で3日間放置したとき、テープの端部が浮いたり剥がれたりしないことをいう。
【0004】
そこで、本発明者等は、カルボキシル基含有モノマーを用いることなく粘着剤用ポリマーを合成することで、このような架橋進行による粘着力低下や耐曲面貼り性の低下を防ぐことに成功した(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−176474号
【特許文献2】特開2003−277709号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されている粘着製品は、優れた耐曲面貼り性を有しているが、本発明では、より一層の粘着特性の向上を目指して、凝集力(保持力)を高く設定しても、ポリオレフィン等の難接着性被着体に対する耐曲面貼り性を高いレベルで維持できる粘着剤組成物の提供を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、粘着剤用ポリマーと架橋剤とを必須的に含む粘着剤組成物であって、粘着剤用ポリマーが、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート87〜99.45質量%と、窒素原子含有モノマー0.5〜8質量%と、ヒドロキシル基含有モノマー0.05〜5質量%(ただしこれら三種類のモノマーの合計を100質量%とする)とを必須成分とすると共に、カルボキシル基含有モノマーを含まないモノマー混合物から得られるものであり、架橋剤が脂肪族イソシアネート系架橋剤であるところに要旨を有する。
【0007】
脂肪族イソシアネート系架橋剤を、粘着剤用ポリマー中のヒドロキシル基1当量に対し、3〜10当量となるように含むこと、窒素原子含有モノマーがN−ビニルピロリドンであることは、いずれも本発明の好ましい実施態様である。また、本発明の粘着剤組成物には、さらに、架橋促進剤が、粘着剤用ポリマー100質量部に対し、0.001〜0.5質量部の範囲で含まれていることが好ましい。なお、本発明には、上記粘着剤組成物から得られた粘着剤層が支持基材の少なくとも片面に形成されている粘着製品も含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粘着剤組成物では、特定組成の粘着剤用ポリマーとフレキシビリティに優れた脂肪族イソシアネート系架橋剤を用いたので、粘着剤の凝集力をアップさせても耐曲面貼り性を高いレベルに維持することができ、両者の両立が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明者等は、例えば、80℃での保持力向上を目指して、前記特許文献1または2に記載の粘着剤組成物について検討した結果、粘着剤用ポリマーの架橋密度を上げたり、このポリマーを合成する際の窒素原子含有モノマー量を増やすと、保持力は良好となるが、耐曲面貼り性がダウンしてしまうことがわかった。しかし、さらに検討を加えた結果、これまで汎用されてきた芳香族系イソシアネート架橋剤(例えば、日本ポリウレタン工業社製の「コロネート(L−55E)」に代えて、脂肪族系イソシアネート架橋剤を用いることで、耐曲面貼り性を維持したまま、凝集力をアップさせることに成功した。これは、芳香族系のイソシアネート架橋剤は、剛性の高い芳香環が架橋構造中に含まれるため、曲面に貼り付けられた時に粘着剤層に加わる応力を緩和・分散できないが、脂肪族系のイソシアネート架橋剤はフレキシブルな長鎖アルキル基を有しており、これで架橋された粘着剤ポリマー自体のモビリティが高くなるため、粘着剤層に加わる応力を緩和・分散することが容易となるのではないかと考えられる。以下、本発明を詳細に説明するが、本発明における「ポリマー」には、ホモポリマーはもとより、コポリマーや三元以上の共重合体も含まれるものとする。また、本発明の「モノマー」は、いずれも付加重合型モノマーである。
【0010】
まず、本発明の粘着剤組成物における第1の必須成分は、粘着剤用ポリマーである。この粘着剤用ポリマーとは、まだ架橋剤と架橋していない状態のポリマーを意味する。本発明の粘着剤用ポリマーは、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート87〜99.45質量%と、窒素原子含有モノマー0.5〜8質量%と、ヒドロキシル基含有モノマー0.05〜5質量%(ただしこれら三種類のモノマーの合計を100質量%とする)とを必須成分とすると共に、カルボキシル基含有モノマーを含まないモノマー混合物から合成されるものである。上記3種類(なおそれぞれのモノマーは2種以上が混合されていてもよい)のモノマーを上記規定範囲内で使用することにより、耐曲面貼り性と凝集力の両立が可能となった。なお、カルボキシル基含有モノマーを使用しないのは、前記した養生時の架橋進行を防ぐためと、粘着剤用ポリマー中にカルボキシル基が含まれていると、酸触媒として働き、ヒドロキシル基と脂肪族イソシアネート基含有架橋剤との反応が速くなってポットライフが短くなりすぎるので、ポットライフの延長を図るためである。
【0011】
炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、粘着力を発現させるための必須モノマーであり、粘着剤用ポリマーを合成するための原料モノマー混合物100質量%中、87〜99.45質量%の範囲で用いられる。87質量%より少ないと、得られる粘着剤の粘着力や耐曲面貼り性が不充分となるが、99.45質量%を超えて用いると、窒素原子含有モノマーやヒドロキシル基含有モノマーの量が少なくなり、粘着剤の凝集力が低下するため好ましくない。
【0012】
上記炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上を用いることができる。中でも、ブチルアクリレートが好ましい。
【0013】
窒素原子含有モノマーは、凝集力を発現させるためのモノマーである。この窒素原子含有モノマーは、粘着剤用ポリマーを合成するための原料モノマー混合物100質量%中、0.5〜8質量%の範囲で用いられる。0.5質量%より少ないと、粘着剤の凝集力が不足するが、8質量%を超えると、得られる粘着剤の粘着力や耐曲面貼り性が不充分となるため好ましくない。より好ましい下限は1質量%であり、さらに好ましい下限は2質量%である。より好ましい上限は7質量%、さらに好ましい上限は6質量%である。
【0014】
窒素原子含有モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−7−メチル−ε−カプロラクタム等のN−ビニルラクタム類;アクリロイルモルホリン;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが挙げられる。これらは1種または2種以上を用いることができる。中でも、N−ビニルラクタム類が好ましく、入手し易さ、重合性、得られるポリマーの特性等を考慮すると、N−ビニルピロリドンが最も好ましい。
【0015】
ヒドロキシル基含有モノマーは、架橋剤のイソシアネート基の反応相手となるヒドロキシル基を粘着剤用ポリマー中に導入するためのモノマーであり、粘着剤用ポリマーを合成するための原料モノマー混合物100質量%中、0.05〜5質量%の範囲で用いられる。0.05質量%より少ないと、架橋点が少なくなるので粘着剤の凝集力が不足するため好ましくない。一方、5質量%を超えると、架橋剤を多く入れた場合に、得られる粘着剤の粘着力や耐曲面貼り性が不充分となるおそれがある。より好ましい下限は0.08質量%であり、さらに好ましい下限は0.1質量%である。より好ましい上限は3質量%、さらに好ましい上限は1質量%である。
【0016】
ヒドロキシル基含有モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上を用いることができる。なお、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレートは、「プラクセルF」(ダイセル化学工業社製)シリーズとして市販されている。
【0017】
本発明の粘着剤用ポリマーは、Tgが−60〜−10℃であることが好ましい。Tgが−60℃(より好ましくは−58℃以上、さらに好ましくは−56℃以上)よりも低いと、本発明の目的である高い凝集力を確保できないことがあるが、Tgが−10℃(より好ましくは−18℃以下、さらに好ましくは−16℃以下)よりも高いと、耐曲面貼り性が低下することがある。ポリマーのTgはDSC(示差走査熱量測定装置)、DTA(示差熱分析装置)、TMA(熱機械測定装置)によって求めることができる。また、ホモポリマーのTg(K)とモノマーの質量分率から、下記計算式を用いて求めることもできる。この計算値を目安にして、モノマー組成を決定することが好ましい。
【0018】
【数1】

【0019】
式中、Tgは求めるポリマーのガラス転移温度(K)を示し、W1、W2、…Wnは、各モノマーの質量分率を示し、Tg1、Tg2、…Tgnは、対応するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)を示す。なお、ホモポリマーのTgは、「POLYMER HANDBOOK」(第4版;John Wiley & Sons, Inc.発行)等の刊行物に記載されている数値を採用すればよい。
【0020】
本発明では、架橋剤として脂肪族イソシアネート化合物を用いるので、粘着剤組成物としては溶剤系が好ましい。よって、粘着剤用ポリマーは、溶液重合法または塊状重合法で合成することが望ましいが、溶液重合法は、重合時の重合熱の除去が容易であり、操業性が良いため、溶液重合法の採用が好ましい。用い得る溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられるが、上記重合反応を阻害しなければ、特に限定されない。これらの溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。なお、溶媒の使用量は、適宜決定すればよい。
【0021】
重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド、商品名「ナイパーBMT−K40」(日本油脂社製;m−トルオイルパーオキサイドとベンゾイルパーオキサイドの混合物)等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、商品名「ABN−E」[日本ヒドラジン工業;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)]等のアゾ系化合物等の公知のラジカル重合開始剤を利用することができる。残存モノマー量の低減を目的として、重合後期に後添加用開始剤(ブースター)を添加してもよい。
【0022】
開始剤量は合計で、モノマーの質量に対して、0.01〜1質量%となるように使用することが好ましい。あまり多いと、粘着特性の優れた高分子量のポリマーが得られないことがある。粘着特性の点からは、粘着剤用ポリマーの重量平均分子量(Mw)は20万以上が好ましく、30万以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、溶液重合では200万を超えるポリマー合成が難しいため、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。耐曲面貼り性に絞って言えば50万〜70万が最も好ましい。従って、必要に応じて、メルカプト化合物等の公知の連鎖移動剤を用いてもよい。なお、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の値である。
【0023】
重合温度や重合時間等の重合条件は、例えば、モノマー混合物の組成や、重合溶媒、重合開始剤の種類、あるいは、得られる粘着剤用ポリマーの要求特性、粘着剤の用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。また、反応圧力も特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧のいずれであってもよい。なお、重合反応は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが望ましい。
【0024】
本発明の粘着剤組成物の第2の必須成分は、脂肪族系イソシアネート架橋剤である。脂肪族系イソシアネート架橋剤を用いるのは、前記したように、剛直な芳香環を有する芳香族系イソシアネート架橋剤では、粘着剤の凝集力を上げたときに耐曲面貼り性が低下するのに対し、脂肪族系イソシアネート架橋剤を用いると、凝集力と耐曲面貼り性をバランスよく高めることができたからである。よって、本発明の粘着剤組成物には、芳香族系イソシアネート架橋剤を配合しない。なお、実質的に特性値に影響を与えない程度の微量の芳香族系イソシアネート架橋剤の配合は許容される。
【0025】
脂肪族イソシアネート架橋剤は、粘着剤用ポリマー中のヒドロキシル基量に対応させて必要充分な架橋が行われるように、適正量を決定する。目安としては、粘着剤用ポリマー中のヒドロキシル基1当量に対し、3〜10当量となるように配合することが望ましい。化学反応ということを加味すれば配合した架橋剤全てが反応することはあり得ないため、3当量以上配合することが好ましく、3当量未満では架橋が不充分となって凝集力に劣ることがある。架橋剤量が多くなるほど、凝集力は向上するが粘着力が低下する傾向にあるため、上限は10当量とすることが好ましい。10当量を超えて配合しても架橋反応に関与し得ない架橋剤が増えるだけなので、添加意義はない。
【0026】
脂肪族イソシアネート架橋剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびその誘導体が好ましく、例えば、旭化成社製の「デュラネート(登録商標)」シリーズとして市販されている。中でも、フレキシビリティの高い直鎖型2官能プレポリマータイプである「デュラネートD−201」や「デュラネートD−101」が好ましい。
【0027】
本発明の粘着剤組成物には、架橋促進剤を配合することが望ましい。酸触媒がない場合は、ヒドロキシル基と脂肪族イソシアネート架橋剤との反応は比較的緩やかに進行するからである。架橋促進剤としては、3A〜7A、8、1B族に属する遷移金属元素および2B〜6Bに属する金属元素を有する無機または有機金属化合物が好ましい。中でも、錫、亜鉛、鉛の有機金属化合物が好ましく、錫系の有機金属化合物が最も好ましい。これら有機金属化合物は、1種類のみ用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。具体的には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジヘキシル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジメチル錫ビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)塩、オクチル酸錫等の有機錫化合物;ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキシル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛、2―エチルヘキシル鉛等の有機鉛化合物等が挙げられる。ジブチル錫ジラウレートが最も好ましい。
【0028】
架橋促進剤は、粘着剤用ポリマー100質量部に対し、0.001〜0.5質量部の範囲で用いることが好ましい。少ないと架橋促進効果が発現せず、多すぎるとポットライフが短くなるおそれがある。より好ましい下限は0.01質量部、上限は0.3質量部である。
【0029】
本発明の粘着剤組成物には、必要により、粘着付与剤が配合されていてもよい。粘着付与剤としては、(重合)ロジン系、(重合)ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、クマロン系、クマロンインデン系、スチレン樹脂(オリゴマー)系、キシレン樹脂系、フェノール樹脂系、石油樹脂系等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも、カルボキシル基の少ない粘着付与剤が接着昂進を抑制するため好ましい。
【0030】
粘着付与剤の量は、特に限定されないが、粘着剤用ポリマー100質量部に対して、通常、5〜100質量部とするのが好ましい。粘着付与剤の添加量が5質量部より少ないと、粘着付与剤による粘着力向上効果が発揮されないことがある。一方、上記粘着付与剤の添加量が100質量部より多いと、逆にタックが減少して粘着力が低下するおそれがある。10〜50質量部の範囲内がさらに好ましい。
【0031】
本発明の粘着剤組成物には、公知の架橋剤、湿潤剤、粘性調節剤、増粘剤、消泡剤、改質剤、顔料、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で加えてもよい。
【0032】
粘着剤用ポリマーと前記架橋剤、必要により、上記各種添加剤、溶剤等を混合して調製された粘着剤組成物は、例えば、粘着シート、粘着ラベル、粘着テープ、両面テープ等の各種粘着製品の製造に好適に用いることができる。このような粘着製品は、基材レスで、または基材に粘着剤組成物の層を形成し、架橋反応させることにより製造される。
【0033】
基材としては、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙等の従来公知の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフテレート、ポリ塩化ビニル、セロファン等のプラスチックあるいはこれらのプラスチックにAl等の金属蒸着膜を形成したもの;織布、不織布等の繊維製品等を利用できる。基材の形状は、例えば、フィルム状、シート状、テープ状、板状、発泡体等が挙げられるが、特に限定されるものではない。基材の片面に粘着剤組成物を公知の方法で塗布することによって、粘着シート、粘着テープ、粘着ラベル等を得ることができる。また、紙、合成紙、プラスチックフィルム等のシート状物に離型剤が塗布されている離型紙等に粘着剤組成物を塗布することにより、基材レス(単層構造)の粘着剤層が得られ、基材レスの両面テープとして使用することができる。また、上記基材の両面に同種または異種の粘着剤組成物を塗布して、両面テープとしてもよい。
【0034】
粘着剤組成物を基材に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法等の公知の方法を採用することができる。この場合、粘着剤組成物を基材に直接塗布する方法、離型紙等に粘着剤組成物を塗布した後、この塗布物を基材上に転写する方法等いずれも採用可能である。
【0035】
粘着剤組成物を塗布した後、乾燥させることにより、基材上に粘着剤層が形成される。乾燥温度は、特に限定されるものではない。なお、用途によっては、粘着剤組成物を被着体に直接、塗布してもよい。粘着剤層が形成された粘着製品は、養生することが好ましい。養生条件は、適宜、温度・湿度・時間を定めて行えばよい。養生後の特性の経時変化を抑制するためには、加湿下で養生させて架橋反応を促進することが望ましい。
【0036】
基材上に形成された粘着剤層の表面には、例えば、離型紙を貼着してもよい。粘着剤層表面を好適に保護・保存することができる。剥離紙は、粘着製品を使用する際に、粘着剤層表面から引き剥がされる。なお、シート状やテープ状等の基材の片面に粘着剤層が形成されている場合は、この基材の背面に公知の離型剤を塗布して離型剤層を形成しておけば、粘着剤層を内側にして、粘着シート(テープ)をロール状に巻くことにより、粘着剤層は、基材背面の離型剤層と当接することとなるので、粘着剤層表面が保護・保存される。
【実施例】
【0037】
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお以下特にことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すものとする。
【0038】
合成例1(粘着剤用ポリマー溶液No.1の合成)
温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート(BA)96.7部、N−ビニルピロリドン(NVP)3部および2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)0.3部からなるモノマー混合物のうち40部と、酢酸エチル60部を加えて昇温し、80℃になったところで過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K40:日本油脂社製)0.1部を添加して重合を開始した。重合開始後、10分経過してから、残りのモノマー混合物60部と酢酸エチル20部とナイパーBMT−K40を0.1部混合した物を、90分間に亘って均一に滴下しながら、還流温度で重合を続けた。モノマーの滴下が終了してから90分後に、後添加用開始剤としてアゾ系重合開始剤(ABN−E:日本ヒドラジン工業(株)社製)を0.3部とトルエン40部を添加し、さらに90分間熟成して反応を終了させた。その結果、固形分45.0%、粘度6800mPa・s(25℃、B型粘度計、以下同様)、重量平均分子量61.0万(Mw:GPC測定:標準ポリスチレン換算)の粘着剤用ポリマー溶液No.1を得た。
【0039】
なお、GPCによる分子量測定条件は以下の通りである。
GPC測定装置:Liquid Chromatography Model 510 (Waters社製)
検出器:M410示差屈折計
カラム:Ultra Styragel Linear(7.8mm×30cm)
Ultra Styragel 100A (7.8mm×30cm)
Ultra Styragel 500A (7.8mm×30cm)
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度は0.2%、注入量は200マイクロリットル/回とした。
【0040】
比較合成例1および2(比較用粘着剤用ポリマー溶液No.2および3の合成)
モノマー組成を表1に示したように変更した以外は、合成例1と同様に重合を行い、比較用粘着剤用ポリマー溶液No.2およびNo.3を得た。
【0041】
【表1】

【0042】
上記表中、Tg(℃)は、前記した式から求めた計算値である。計算のために、以下のホモポリマーのTg(K)を利用した。
BA :ブチルアクリレート 219K
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート 203K
NVP :N−ビニルピロリドン 451K
HEA :2−ヒドロキシエチルアクリレート 258K
AA :アクリル酸 379K
【0043】
実施例1
粘着剤用ポリマー溶液No.1に、トルエン20部と粘着付与剤(「ペンセルD−160」;荒川化学工業社製;重合ロジンエステル系;水酸基価42)20部との混合物を加え、粘着付与剤含有ポリマー溶液を得た。この粘着付与剤含有ポリマー溶液100部に対し、「デュラネートD−201」(ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系2官能プレポリマー;旭化成社製;固形分100%)を1部と、ジブチル錫ジラウレート0.05部配合してよく混合し、粘着剤組成物を作製した。この組成物を用いて、後述する方法に従い、試験片を作成すると共に各種粘着特性評価を行った。結果を表2に示した。
【0044】
比較例2〜4
粘着剤ポリマー溶液の種類、粘着付与剤の種類と量、架橋剤量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物を作製し、各特性を評価した。結果を表2に示す。なお、芳香族系の架橋剤としては、「コロネートL−55E」(変性TDI系イソシアネート;日本ポリウレタン社製;固形分55%)を用いた。
【0045】
[ポットライフ]
イソシアネート架橋剤の配合時点から、粘着剤組成物の粘度およびゲル化の程度を観察し、粘度上昇が少なく、塗工可能な状態が維持できている時間が8時間以上あれば○とし、8時間未満で塗工不可能となったものを×とした。なお、塗工不可能になるとは、塗膜に筋・泡・ムラが生じたとき、塗膜が平滑性のない荒れた状態となったとき、塗膜が曇ってきたとき、塗布厚が一定にならなくなったとき等、塗膜に変化が現れた時点を指すものとする。
【0046】
[試験片の作成方法]
基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、厚さ50μm)を用い、粘着剤組成物を乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布した後、100℃で3分間乾燥させた。その後、粘着剤表面に離型紙(サンエー化研株式会社製、商品名K−80HS)を貼着して保護した後、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で7日間養生し、粘着フィルム(粘着製品)を得た。この粘着フィルムを所定の大きさに切断して、試験片を作製した。なお、離型紙は各種測定試験を実施する際に引き剥がした。
【0047】
[保持力の測定方法]
80℃での保持力試験は、被着体としてSUS304ステンレス鋼板を用い、次のように行った。温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、2kgのゴムローラを3往復させて粘着テープ試料をステンレス鋼板に圧着する。貼り付け面積は、25mm×25mmである。25分間放置後、80℃に設定した保持力試験機の中に鉛直に吊り下げ、20分放置する。20分経過したら、試料に9.8Nの重りを掛ける。従って、負荷は、1.568N/cm2となる。そして、重りを掛けてから、試料がステンレス鋼板から落下するまでの時間を測定した。
【0048】
[耐曲面貼り性]
温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、ポリプロピレン製の円柱(直径15mm)の円周に沿って、半周分の長さに相当する幅10mmの試験片(ラベル)を貼り付け、3日後にラベルの浮き状態を観察した。浮き状態は、図1に示した基準で判断した。
【0049】
【表2】

【0050】
表2から、本発明実施例では、ポットライフが良好で、高い凝集力を有しながら、耐曲面貼り性にも優れた粘着製品を提供できたことが分かる。しかし、芳香族系のイソシアネート架橋剤を用いた例では、架橋剤量が少ないと、比較例1のように保持力が劣る上に、耐曲面貼り性でも粘着剤層の凝集破壊となった。また、比較例2や4のように、架橋剤量を多くして保持力を高めると、耐曲面貼り性が低下した。一方、脂肪族イソシアネート系架橋剤を用いた系であっても、粘着剤用ポリマー中にカルボキシル基が含まれている場合(比較例3)は、ポットライフが短すぎて、実用的でないことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の粘着剤組成物は、特定組成の粘着剤用ポリマーを用い、脂肪族系のイソシアネート架橋剤を用いたので、ポットライフ、保持力、耐曲面貼り性の全てがバランス良く良好な粘着製品を提供することができた。この粘着製品は、特にポリオレフィンを被着体とする粘着製品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】耐曲面貼り性の評価基準を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤用ポリマーと架橋剤とを必須的に含む粘着剤組成物であって、
粘着剤用ポリマーが、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート87〜99.45質量%と、窒素原子含有モノマー0.5〜8質量%と、ヒドロキシル基含有モノマー0.05〜5質量%(ただしこれら三種類のモノマーの合計を100質量%とする)とを必須成分とすると共に、カルボキシル基含有モノマーを含まないモノマー混合物から得られるものであり、
架橋剤が脂肪族イソシアネート系架橋剤であることを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項2】
上記脂肪族イソシアネート系架橋剤を、粘着剤用ポリマー中のヒドロキシル基1当量に対し、3〜10当量となるように含むものである請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
上記窒素原子含有モノマーがN−ビニルピロリドンである請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
さらに、架橋促進剤を、粘着剤用ポリマー100質量部に対し、0.001〜0.5質量部の範囲で含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物から得られた粘着剤層が支持基材の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする粘着製品。


【図1】
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【公開番号】特開2006−96956(P2006−96956A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287900(P2004−287900)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】