説明

粘着型防護盾

【課題】従来の盾は、防護板の裏面に把手を設けたのみであるので、表面に粘着剤を付着することで、暴漢や犯人の身体に接着させて自由を奪うことができる盾を提供する。
【解決手段】板体の裏面に把手3を備えた防護板2の表面に粘着剤4を付着し、該粘着剤4面につまみ片5付き剥離紙6を設けた粘着型の防護盾1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手を備えた防護板の表面に強力な粘着剤を施した盾に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、要人警護や不法デモの警備に加えて、最近は教育機関や金融機関等においても、暴漢や凶器を持った犯人から身を防護したり制圧するための防具を備えているが、そ防具の一つとして、金属製や強化プラスチック等による板体に把手を設けた盾が提供されている。
【0003】
さらに、盾本体の裏面に取っ手を設けた面に開口部を設け、その開口部に催涙スプレ−を設けることで、盾で防護するとともに催涙ガスを噴射して身を守ることができる催涙スプレ−付き盾の技術がある。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−77026号公報(第3頁−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記するような盾が提供されて、いずれも一定の防護効果は得られる。しかし従来から提供される板体に把手を設けた盾においては、単に板状の防護板の裏面に取っ手を設けた物であるので、投石やこん棒、刃物などの凶器から身を守る防護板としては有効であるが、それ以上、例えば相手の身体の自由を奪ったり拘束できる物では無かった。
【0005】
また特開2004−77026号公報に開示される技術は、盾本体面に小さな開口部を設けた裏面に催涙スプレ−を位置したうえで、防護板として使用するとともに、必要な時は前記の催涙スプレ−のノズルから催涙ガスを噴射して相手を撃退する盾であるが、このタイプにおいても、防護板とともに催涙ガス噴射による防護や撃退機能はあるが、相手の動きを奪ったり拘束できる盾としては使えないなどの不便や欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記するような不便や欠点を解消した盾とするために、請求項1においては、板体の裏面に把手を備えた防護板の表面に粘着剤を付着し、該粘着剤面につまみ付き剥離紙を設けた粘着型の防護盾とすることで、使用する際はそのままでも身を守れるが、剥離紙を剥がせば、犯人の衣服や身体に接着させて自由を拘束することができる盾とする。
【0007】
請求項2においては、上記する防護板の左右に、剥離紙付き粘着剤を付着した補助防護板をヒンジ連結することで、保管時は折りたたんでコンパクトにし、使用する際は補助防護板を展開して2倍の大きさの盾として使えるものとする。
【0008】
請求項3においては、上記する防護板の左右に、剥離紙付き粘着剤を付着した一定の長さの捕縛シ−トの端部に軸管を取り付け、該軸管に引き出し把手を可動係止することで、防護板の把手を持つ人以外に、捕縛シ−トを持つ別の二人と合わせた複数人により防護及び拘束できる粘着型の防護盾とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明における防護盾は、防護板の表面に強力な粘着剤を付着した盾であるので、防護用具として使用する時は、粘着剤面に付いている剥離紙を剥がしてから暴漢や犯人に向けると、従来の盾と同様に投石や凶器から身を守ることができるとともに、その盾の表面を相手の体に強く押し当てると、強力な粘着剤が衣服や身体や凶器に接着することで、身体の自由を奪えるため、従来のような単なる板体による盾に比べてはるかに制圧しやすく、かつ慣れない者でも扱い易いので、一般の家庭に置いても有効な防護盾となる。
【0010】
加えて、実施例2タイプは防護板の左右に展開できる補助防護板を備えているので、保管時は小さくても、使用する際は2倍の大きさに展開して防護することができる機能性がある。さらに実施例3タイプは、防護板の左右に強力な粘着剤を付着した一定の長さの捕縛シ−トをロ−ル巻きしたものであり、使用する際は防護板の把手を持つ人以外に、別の二人が前記した捕縛シ−トの引き出し把手を引っ張って展開したうえで、防護板とともにそれぞれの剥離紙を剥がして犯人に向ければ、その大きさで相手を圧倒するとともに、防護板を相手に接着させながら左右の捕縛シ−トを巻き付けるように接着させると、身の安全の防護のみならず犯人の動きを制限して容易に拘束できる、従来には見られない防護と拘束機能を合わせ持つ防護盾を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
凶悪犯人や暴漢から身を守るだけでなく、相手の身体の自由を奪い、かつ拘束できる防具とするため、防護板の表面に強力な粘着剤を付着した盾とする。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例1の防護盾を、図1に示す一部剥離した斜視図と図2に示す裏面図で説明する。実施例1の防護盾1を形成する本体は、アルミ金属製などによる軽い素材で成る板体とし、その板体で成る防護板2の裏面に把手3を備え、かつ表面全体には強力な粘着剤4を付着した面に、つまみ片5付き剥離紙6を取り付けて成る粘着型の防護盾1を構成する。
【0013】
実施例1の防護盾1は、裏面に把手3を設け、かつ表面には剥離紙6付き粘着剤4を付着した防護盾1を構成するので、使用する際はつまみ片5を持って剥離紙6を引き剥すと、表面全体に粘着剤4を有する盾となるので、暴漢による凶器を防ぐとともに、強く押し付ければ暴漢の衣服や身体に強力に接着して動きを制限することができる。
【実施例2】
【0014】
実施例2の防護盾を、図3に示す一部剥離した斜視図と図4に示す拡大平面図、図5に示すヒンジ部の拡大平面図で説明する。実施例2における防護盾1は、把手3を設けた矩形状の防護板2の左右に、前記防護板2の半分の幅の補助防護板7,7をヒンジ8により開閉自在に連結して成る防護板2及び補助防護板7,7それぞれの表面に、つまみ片5付き剥離紙6を備えた粘着剤4を付着して成る防護盾1とするが、前記のヒンジ8部には、防護板2及び補助防護板7の合わせ目側端部に係止突部9,9を設けて、補助防護板7,7が一定角度で係止できる粘着型の防護盾1を構成する。
【0015】
実施例2の防護盾1は、把手3を設けた防護板2の両サイドに、一定角度に展開できる補助防護板7をヒンジ連結しているので、保管時は内側に折たたんでコンパクトであるが、使用う際に展開すると、補助防護板7の係止突部9は防護板2の係止突部9で止められて略直線状になるので、接着面を約2倍の幅に広げて使える防護盾1となる。
【実施例3】
【0016】
実施例3の防護盾を、図6に示す展開状態の斜視図と図7の収納状態を示す平面図で説明する。本実施例における防護盾1は、防護板2の両サイドに、一定の長さで、かつ強靭なシ−ト面に粘着剤4を付着した捕縛シ−ト10を取り付けた端部に軸管11,11を取り付け、その軸管11,11に、略Cの字状の引き出し把手12,12を可動係止して成る前記粘着剤4面に、つまみ片5付き剥離紙6を設けた粘着型防護盾1を構成する。尚、保管時は捕縛シ−ト10,10は巻き取られたうえで、バネ素材によるU字形のクリップ13,13により保持されている。
【0017】
実施例3の防護盾1は、防護板2の両サイドに粘着剤4を付着した一定の長さの捕縛シ−ト10をロ−ル巻きしてクリップ14留めしているので、通常はコンパクトであるが、クリップ11を取り外して後に引き出し把手12を左右に引っ張ると、防護盾1の約3倍〜4倍の幅に展開できる。使用する際は、捕縛シ−ト10、10の引き出し把手12,12を別の二人が持って引き出した後に、防護板2の把手3を持つ人とともに犯人に押し当てると、巻き付くように接着させて拘束できる防護盾1である。
【0018】
本発明による防護盾1において、防護板2や補助防護板7の粘着剤4面の剥離紙6は、剥がし易いようにつまみ片5を設けているが、防護板2や補助防護板7の端部に凹み状の欠損部を設ける方法でもよい。さらに実施例3タイプの捕縛シ−ト10は、保管時はバラけないように巻き込んでクリップ13留めされているが無くても差し支えない。さらに捕縛シ−ト10の裏面を剥離処理することで、クリップが無くても両面テ−プのように巻き付ける手段でも構わないものであり、いずれも特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による実施例1の防護盾を示す一部剥離した斜視図である。
【図2】実施例1の防護盾の裏面を示す斜視図である。
【図3】実施例2の防護盾を示す一部剥離した斜視図である。
【図4】実施例2の防護盾を示す平面である。
【図5】実施例2の防護盾の補助防護板のヒンジ部を示す拡大平面図である。
【図6】実施例3の防護盾を示す一部剥離した展開斜視図である。
【図7】実施例3の防護盾の捕縛シ−トをクリップ留めした平面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 防護盾
2 防護板
3 把手
4 粘着剤
5 つまみ片
6 剥離紙
7 補助防護板
8 ヒンジ
9 係止突部
10 捕縛シ−ト
11 軸管
12 引き出し把手
13 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板体の裏面に把手を備えた防護板の表面に粘着剤を付着し、該粘着剤面に剥離紙を設けて成る構成を特徴とする粘着型防護盾。
【請求項2】
上記する防護板の左右に、剥離紙付き粘着剤を付着した補助防護板をヒンジ連結して、一定角度に展開できる請求項1に記載する粘着型防護盾。
【請求項3】
上記する防護板の左右に、剥離紙付き粘着剤を付着した一定の長さの捕縛シ−トを取り付けた端部に軸管を設け、該軸管に引き出し把手を可動係止して成る請求項1に記載する粘着型防護盾。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−317140(P2006−317140A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168823(P2005−168823)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(591232381)株式会社ヨシオ (7)
【Fターム(参考)】