説明

粘着性ポリエステル樹脂を梱包する方法

プラスチック材料を梱包する方法で、フィルムを使用して該材料を囲む方法、より詳しくは、コポリエステルを梱包するための方法、および、それによって成形された得られる梱包材。前記方法は、共押し出し法であることが好ましく、低いガラス転移温度を有するアモルファスまたは半結晶性コポリエステルをダイ開口部から押し出し、高いガラス転移温度を有するコポリエステルポリマーフィルムを共押し出しして、低ガラス転移温度のコポリエステルを囲むことにより、梱包する。ついで、コーティングされた低ガラス転移温度のコポリエステルを、有限の大きさおよび形を有する個々の梱包ユニットに成形してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有限の大きさと形を有する粘着性プラスチック材料を梱包する方法であって、フィルムを用いて前記材料を囲む方法、とりわけ、アモルファスおよび半結晶性のポリエステル樹脂を、共押し出し工程を用いて梱包する方法、および、そのようにして形成して得られる梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
低ガラス転移温度(Tg)アモルファスおよび半結晶性のポリエステル樹脂は、接着剤として用いられる。通常、そのような樹脂は、固形ブロック、粒状ブロックもしくはペレットの形状で、または、一般的な溶媒に溶媒和されて液体の形状で供給される。
【0003】
これらの低Tgアモルファスおよび半結晶性のポリエステル樹脂は、通常、一般的な溶媒に溶媒和されて、商業的に用いられる。ポリマー−溶媒溶液は、それから、様々な基材(フィルム、箔、不織布、紙など)にコーティングされ、ラミネート接着剤(コーティングした基材を別の基材にラミネートする)、ヒートシールコーティング、トップコート、またはタイ層のいずれかとして用いられる。ほとんどの場合、低Tg樹脂は、温度および溶剤に対する耐性を向上させるために、様々な硬化剤(たとえば、イソシアネート、メラミン、aziradinesおよびシランなど)を用いて架橋される。しかしながら、低Tgアモルファスおよび半結晶性のポリエステル樹脂は、室温で一般的に粘着性および/または軟性であるであるので、このような樹脂の取り扱いや梱包に関して、問題がある。低Tg粘着性ポリエステル樹脂は、それが供給される形態にかかわらず、手、機械的な処理装置、およびそれ自体に粘着または接着するだけでなく、容易に汚れや他の汚染物質を付着させる。さらに、個々のピースの低Tg粘着性ポリエステル樹脂は、一緒に流れる、または、固まって、単一の固形の塊になる傾向があり、そのような材料の取り扱い、および/または梱包を、困難にする。結果として、出荷および/または貯蔵の期間中の梱包は、低Tg粘着性のポリエステル樹脂を輸送するうえで、重要な点です。
【0004】
この厄介な困難に対処するため、当業者らは、たとえば、粘着性樹脂および/または接着剤組成物を、55ガロンドラム、ポリエチレン袋、または、シリコーンコーティングされた段ボールやパーティクルボードボックス、あるいは、通常、高密度ポリエチレンから製造されるシリコンコーティングポリマー系トレーなどの容器に入れて出荷するといった梱包技術に転じた。これらの溶液は、いくつかの工場環境および塗布において、上述の問題を解決する一方、それらの実用性を損なう、多くの付加的な困難および別の欠点をもたらす。たとえば、接着剤組成物を出荷するより伝統的な方法は、梱包材料のコストと廃棄に関する問題を生じる。この点で、いくつかの種類の接着剤組成物を出荷するために用いられるシリコンコーティングポリマー系のトレーは、購入するには比較的高価であり、シリコーンコーティングの存在は、樹脂を汚染し、そのような容器のリサイクルを不可能ではなくとも、非常に困難にする。したがって、これらのトレー、または他の類似の容器は、多くの場合、単に収集され、埋立地で処分され、それによって、環境汚染の厄介な種を生じる。さらに、これらのシリコーンコーティングされた容器は、これらの容器から接着剤を出すために、特定の環境の状況下で、非常に大きな物理的な力を接着剤に加えなければならない点で、別の困難を生じ、接着剤の取り扱いを困難および不便にする。
【0005】
上述した欠点に対処すべく、いくつかのメーカーは、接着剤の次の出荷のために、容易にリサイクルできる、あるいは、作り替えおよび再利用することができる合成トレーを製造しようと試みている。リサイクル可能な容器は、その比較的単純さゆえに魅力的であるが、商業的アピールの明白な欠陥のために、工場で広く受け入れられていない。より具体的には、新規のより容易にリサイクルできるトレーの開発は、副産物、機械設備の改善、および、その他の製造費などの、いくつかの面で重大なもの、かつ、前述の欠点への答えとして、この溶液を採用するのに、抑止力として働くものを招く。さらに、再利用可能な容器は、多様な用途に耐えられるように容器に耐久性の測定を課すために、一般的に厚いゲージ材料から製造される。結果として、そのような容器の単価は、通常、使い捨て容器よりも非常に大きい。さらに、次の使用のために、使用済みの容器やトレーの回収および作り替えのためにメーカーにかかるコストは、この提案された溶液を非常に高価なものにし、それゆえに商業的に受け入れられない原因となっている。
【0006】
低Tgポリエステル樹脂などの粘着性のプラスチック材料を梱包しようと、その他、様々な試みがなされてきた。ある試みでは、塗布の直前に、溶融した接着剤組成物自体に一緒に溶融し、ブレンドできる梱包材料を使用する。
【0007】
そのような方法では、溶融接着剤を、チューブの形状に形成されたフィルムに直接供給し、チューブを絞り、密封し、切断することによって、個々の梱包された接着剤のユニットを形成する。このような方法は、ときどき、『形成・充填および密封』法と呼ばれている。たとえば、米国特許第5373682号明細書には、溶融接着剤をプラスチックフィルムの円筒形のチューブの中に詰め、その間、フィルムの外面に冷却水を噴霧する方法が記載されている。『カートリッジ』と呼ばれる得られた個々の梱包材は、接着剤が凝固するまで冷却される。この種のカートリッジを作製する別の例が、米国特許第5392592号明細書に提示されている
【0008】
米国特許第6430898号明細書では、低複素粘度のフィルム材料を使用してホットメルト接着剤を囲む。フィルム材料は、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、すなわち、エチレンおよび少なくとも一つのC3−C20α−オレフィンの、メタロセンまたは単一サイト触媒化インターポリマーから構成される。
【0009】
Rouyerらは、米国特許第5257491号明細書および米国再発行発明特許第36177号明細書において、圧力感受性の接着剤を包含し、接着剤とともに溶融可能な梱包材を設計することにより、低温流動性で圧力感受性のホットメルト接着剤組成物を出荷する問題にいどんでいる。この例では、梱包材は、塗布装置の熱にさらされて溶けるポリマー系フィルムである。
【0010】
国際公開第02/061009号および国際公開第04/037671号では、梱包フィルムとして低融点(100℃以下)ポリマーを使用するとき、低温接着剤の塗布が達成できることをクレームしている。エチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、エチレンメチルアクリレート(EMA)コポリマー、ポリエチレンコポリマー、ポリプロピレンコポリマー、または、それらの組み合せを、梱包フィルムとして使用することを提案している。
【0011】
また別の試みでは、最初に、有限の大きさおよび形に接着剤を形成し、ついで、プラスチックフィルムで接着剤を覆う。たとえば、米国特許第6230890号明細書に記載の方法では、接着剤の塊を最初に冷却し、そのあと、ポリマーの伸縮性ラップフィルムに梱包する。
【0012】
いくつかの方法では、接着剤の塊を、最初に型に詰め、それから梱包する。たとえば、Rizzieriの米国特許第5806285号明細書は、接着剤を型に流して、ブロックを形成する方法を開示している。型は、その内部に形成された複数の穴を有し、型の内面には真空熱成形されたプラスチック材料の薄いフィルムが裏打ちされている。型に接着剤を充填したのち、開いた上面をプラスチック材料の薄いフィルム覆うと、それは型の内面に裏打ちされたフィルムに熱密封される。すでにフィルムに封入された接着剤を含有する型は、そののち、梱包された接着剤を型から取り外す前に、空冷される。
【0013】
型を使う別の方法が、Hatfieldらの米国特許第5401455号明細書に開示されている。Hatfieldらの特許には、ホットメルト接着剤組成物を梱包する方法が記載されており、フィルム材料で裏打ちされ、冷媒ガスまたは液体ヒートシンクに接する外部表面を有するパンの形状の型を用いる。Hatfieldらによれば、ホットメルト接着剤を裏打ちされたパンに注ぐ際、接着剤はフィルムにある程度融合する。Hatfieldらによれば、このことは、かえって、のちのフィルムと接着剤の混合を改善する。
【0014】
さらに型を利用する別の方法が、Taylorらの米国特許第5715654号明細書に開示されている。この方法では、Taylorらは、熱可塑性フィルムを型の中に真空形成して硬質の型に裏打ちすることを教示している。
【0015】
さらに別の方法が米国特許第4039485号明細書に記載されており、ホットメルト接着剤を囲むシースまたはコーティングの共押し出しを含み、共押し出しシース材料は、ポリエチレンであってもよい。
【0016】
ホットメルト接着剤を梱包する様々な他の方法が、米国特許第6155029号、第6138441号、第5669207号および第5942082号明細書に説明されている。
【0017】
上記に引用したすべての文献において、接着剤または他のプラスチック材料の梱包に用いられる材料は、高分子量ポリマー、修飾高分子量ポリマー、または、高分子量ポリマーの組み合わせである。典型的な例としては、高分子量のエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、または、高分子量エチレン−アクリル酸コポリマー、または、高分子量低密度ポリエチレン、または、エチレンの高分子量メタロセンもしくは単一サイトもしくはチーグラー・ナッタコポリマーである。これらの材料は、それらの意図した目的に対して、いくらか効果的なように見えながら、実用性を損なう容易にわかる明白な欠点を有している。これらの組成物は、一度溶融すると、高分子材料の高粘度のために、特定の製造条件下では、その中に密閉された接着剤と均一に混合しない傾向を有する。結果として、これらの高分子量材料は、接着剤から相分離をもたらし、それゆえ架橋もしくはゲル化した粒子またはチャーの塊を形成して、従来の製造装置の中で、フィルタやノズルを詰まらせる可能性がある。さらには、実験によれば、これらの上記に特定された高分子量組成物を、通常のホットメルトまたは圧力感受性接着剤組成物に、重量で数パーセント添加するだけで、接着剤が多様なターゲット基板と効果的な結合を形成する性能に悪影響を及ぼす。上記に引用した文献のいずれも、この種の欠陥を防げるように、フィルムまたはコーティング組成物を作製する方法は、教示していない。
【0018】
上記欠点をふまえて、より簡単に一緒に溶融し得る、および/または、塗布の直前に溶融接着剤組成物自体により簡単にブレンドし得る、フィルムまたはコーティング組成物を作製することによって、接着剤を梱包することが提案されている。以下に、この試みのいくつかの例を説明する。
【0019】
欧州特許第0957029号明細書においては、共押し出し装置が記載されており、そこでは、熱可塑性材料のチューブを押し出し成形し、共押し出し溶融フィルムで囲み、個々の梱包材を製造するために等間隔でひねる。共押し出しされた外装フィルムは、単に『非接着剤』であるとして記載されているが、フィルム組成物は1〜5重量%の接着剤製品を含み得ることも述べられている。
【0020】
この試みの別の説明が、米国特許第5865927号明細書に示されているが、その梱包方法は、a)ホットメルト接着剤をダイから押し出す工程、b)押し出された接着剤の表面に溶融したフィルム形成ポリマー材料を噴霧する工程、前記材料は、共に再溶融したときに接着剤組成物の特性を損なわないように選択される、c)フィルム形成ポリマーを再溶融させて、それらからなる連続したコーティングを形成するのに充分な、けれども、接着剤を溶融させるには不充分な、特定の温度および特定の時間で、コーティングされた接着剤の表面を加熱する工程、および、d)そのようにしてコーティングされた接着剤の塊を、取り扱いに適した温度まで冷却する工程からなる。‘927特許に記載されているフィルム組成物は、EVAコポリマーもしくはSEBSブロックコポリマー、芳香族系炭化水素樹脂、パラフィンワックス、および、酸化防止剤/安定化剤を使用する。
【0021】
別の例としては、米国特許第5112552号および第5292468号明細書に記載されており、そこでは、ホットメルト接着剤組成物が、裏打ちされたパンの形状の型に注がれている、裏打ちは、型の内部表面に噴霧される。使用されるフィルム組成物の例としては、EVAコポリマー、ポリエチレンコポリマー、パラフィンワックス、ワックス状の酸化防止剤、エチレン無水マレイン酸、エチレンアクリル酸および天然ゴムがある。
【0022】
欧州特許第0557573は、低温流動性ホットメルト接着剤組成物の梱包材組成物を開示してている。前記梱包材組成物は、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、芳香族系炭化水素樹脂、ミネラルオイル、ワックス、および酸化防止剤/安定化剤のブレンドからなる。
【0023】
米国特許第4748796号および第4755245号明細書には、粉末スクリーンで型や空洞を静電的にコーティングし、それから溶融ホットメルト接着剤を型に流し込むことによって、接着剤に保護コーティングを形成することが開示されている。粉末材料は、ワックスから作られたり、ポリマーから作られたり、ホットメルト配合から作られることが記載されているが、さらに特定の配合は記載されていない。
【0024】
他の試みでは、米国特許第6120899号明細書のように、ペレットコーティング処理を行っており、ここでは、ホットメルト組成物を、ペレットをコーティングするために使用できる。ホットメルト組成物は、ポリマー、粘着性樹脂、および少量のワックスを含むものとして記載されている。米国特許第6238732号明細書では、10重量%未満のペレット化促進剤を、接着剤ペレットをコーティングするために使用している。さらに、米国特許第5041251号明細書のように、軟性または粘着性のプラスチック製品のペレットを形成するいくつかの水中ペレット化法は、ブロッキング防止剤を使用するが、ブロッキング防止剤を含有する液体エマルジョンにペレットを押し出すか、あるいは、ペレットを乾燥させて固形粒子としたのち、押し出しペレットの表面に塗布することで、ブロッキング防止剤を施す。前記ロッキング防止剤は、通常、ミネラル粉末または微粒化ワックス粉末または微粒化ポリマー粉末である。
【0025】
いくつかの梱包方法では、粘着性または軟性プラスチック材料のピースを形成して梱包するにもかかわらず、ワックスまたは低分子量エチレン系ポリマーでコーティングしてもよい。特許第5942304号および第5733645号明細書では、軟性および粘着性材料の切断性を向上させるために、ポリエチレンワックスを使用している。しかしながら、これらの条件下でコーティングを形成するために使用される材料は、通常、連続したフィルムを形成すること、接着剤または軟性プラスチック材料ピースの表面全体を実質的に囲うことができない。
【0026】
上記の引用文献では、低分子量フィルム組成物を用いたり、ワックスを含んでもよいフィルム材料を用いることによって、たとえどんな利益が得られたとしても、その実用性を損なうという明らかな欠点もある。まず、ワックスまたはワックス系材料は、通常、非常にもろいので、連続したフィルムを形成することができない、および/または、接着剤または軟性もしくは粘着性製品の梱包材内側からの漏れを招く亀裂および/または割れを作ることなく、伸縮、折り畳み、ひねることが実質的にできないので、梱包フィルムとして使用することができない。この亀裂および/または割れの挙動は、接着剤やプラスチック材料の貯蔵または出荷の間に起こる固有の低温流動、および、そののちの変形によっても、引き起こされ得る。
【0027】
さらに、上記の引用文献で保護フィルムとして記載されているワックスまたは低分子量化合物を含む配合のいずれも、たとえば、トラック、電車、ボートに積まれた容器の中で、積み重ね圧力がかけられたり、晴れの気象条件では約40〜50℃、さらには数時間の間、最高温度が約60℃に到達することさえあり得る工場地帯に放置されるなど、厳しい出荷および貯蔵の条件に耐える保護フィルムとしては、記載されていない。これらの条件下では、熱可塑性フィルムは、梱包材料中の低分子化合物の存在のために、通常、柔らかくなり、最終的に溶けて、粘着性になる可能性を生じたり、または徐々に可塑化する傾向を有する。これは、接着剤業界ではとくにありふれた失敗で、梱包プラスチック材料を適切に取り扱い、使用するために避けなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
したがって、古くから知られていることだが、低Tg粘着性ポリエステル樹脂を封入するための改良された梱包フィルムを得ることが望まれている。前記フィルム材料は、従来の梱包技術を用いた結果生成される付随の廃棄物を減らすように、有利に操作できることが好ましく、従来の接着剤塗布装置と組み合わせて使用するときに生ずるかもしれない面倒な目詰まりやその他の有害な影響を、低減または実質的に排除する。さらに、梱包フィルムは、接着剤組成物が所望の基材に効果的な結合を形成する性能に、実質的な影響を与えないことが好ましく、上昇した貯蔵および出荷温度で、同種のフィルムにブロックしないことが好ましい。梱包フィルムは、また、製造および販売するために安価であることが好ましく、さらに、容易な使用によって特徴付けられる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、低ガラス転移温度(低Tg)、粘着性(アモルファスまたは半結晶性)で、溶媒に可溶なコポリエステル樹脂組成物を梱包する方法であって、高ガラス転移温度(高Tg)、非粘着性で、溶媒に可溶なコポリエステルポリマーフィルムを用いて、低Tgコポリエステル樹脂材料を囲む方法、および、それによって形成される得られる梱包材に関する。低Tg粘着性コポリエステル樹脂材料を梱包するいずれの方法も、低Tgコポリエステル樹脂材料の周りにフィルムを形成または塗布するために、用いることができる。前記梱包フィルムは、とくに共押し出し法に適しているが、フィルムを使用してプラスチック材料を囲む、または梱包する任意の方法に、容易に適合する。
【0030】
本発明によれば、低Tg粘着性コポリエステル樹脂材料を梱包する方法であって、有限の大きさおよび形の低Tg粘着性コポリエステル樹脂材料を供給する工程、ならびに、該Tg粘着性コポリエステル樹脂材料を高Tg非粘着性コポリエステルポリマーフィルムで囲う工程からなる方法を提供する。前記低Tg粘着性コポリエステル樹脂材料および高Tg非粘着性コポリエステルポリマーフィルムの組成は、いずれも、使用の前に適当な溶媒に容易に溶けるように選択することができる。本発明の方法のより好ましい実施の形態によれば、アモルファスまたは半結晶性の低Tgコポリエステル樹脂材料のプラスチック塊を梱包する方法であって、粘着性低Tgコポリエステル樹脂材料をダイの開口部を通して押し出す工程、および、高Tg非粘着性コポリエステルポリマーフィルムを共押し出しして該低Tgプラスチック塊を囲う工程からなる方法を提供する。前記高Tgポリマーフィルムは、ASTM法D3418で60℃以上の高いTgを有する溶媒可溶な組成物からなる。ASTM法D3418で40℃以下のTgを有するいかなる種類の低Tg粘着性可溶性コポリエステル樹脂プラスチック塊も、前記高Tgポリマーフィルムで梱包または囲むことができる。
【0031】
本発明は、また、溶媒に可溶なプラスチック製品梱包材を提供する。前記梱包材は、ピロー、ペレットまたは円筒形のような有限の大きさおよび形を有する粘着性可溶性低Tgコポリエステル樹脂プラスチック塊、ならびに、該Tgプラスチック塊を囲う非粘着性高Tgコポリエステル樹脂ポリマーフィルムからなる方法を提供する。好ましくは、前記ポリマーフィルムは、10ミクロン〜2000ミクロンの厚さを有する。前記ポリマーフィルムは、梱包材の0.5〜30重量%、好ましくは0.5〜2重量%であり、一方、前記樹脂プラスチック塊は、梱包材の70〜99.5重量%、好ましくは98〜99.5重量%である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の方法の利点は、実質的にあらゆる種類の粘着性かつ低Tgのアモルファスまたは半結晶性コポリエステル樹脂組成物を梱包するために使用できることである。他の利点は、製造工程において、高Tgポリマーフィルム組成物が低Tgプラスチック材料とともに溶解し結合することが可能であり、そのため、あらゆる包装廃棄物を排除できることである。さらなる利点は、本発明の高Tg梱包フィルムは、製造塗布工程において溶媒和器/攪乳器の中で、低Tgプラスチック塊組成物とともに溶解し結合すると、低Tgプラスチック塊または材料組成物自体に実質的に適合し、それゆえ、低Tgプラスチック塊または材料の物理的特性または挙動特性に、実質的に悪影響を及ぼさず、塗布装置の操作に実質的に有利に働くことである。本発明のフィルム組成物の他の重要な利点は、接着剤および/またはそれを囲むプラスチック塊、あるいは、それが接触するかもしれない外部原因から、低分子量化合物が流出することを実質的に阻止することができ、それゆえに、通常40℃、50℃、60℃または70℃で数時間から7日以上の環境条件にさらされたとき、実質的に非ブロックキングの梱包材が得られることである。
【0033】
近年、Vietrl3300B、3300S、3350S、3200B、3650Bおよび3550Bなどのコポリエステル樹脂製品が、6または8ポンドの袋入り(1箱5袋入り)で市販されている。袋はポリエチレン製で、使用者は、Vietr樹脂を溶媒和させる前に、外袋を剥がなければならない。ポリエチレンフィルムは、ポリエステル樹脂と同種の溶媒に溶解しないので、樹脂に用いられるのと同じ溶媒和工程に含めることができない。大量の樹脂を購入する消費者にとっては、莫大な労働と無駄を伴う。
【0034】
上述のように、流通しているTg粘着性コポリエステル樹脂は、ポリエチレン袋に梱包されている。これらの袋は消費者側で剥ぐ必要がある。本発明は、ポリエチレン(PE)袋を必要としない。また、この技術によれば、いくつかの製造工程を省くことができる。前記樹脂は、反応炉から直接共押し出しすることが好ましく、パンの中に樹脂を滴下したり、凍らせたり、すりつぶしたり、袋詰めしなくてすむ。これらの工程を省くことにより、かなりの労働と材料を節約できる。また、これらの工程を省くことにより、プラントの安全性を増し、(汚染物質が製品に混入する可能性のあるいくつかの工程を省くことによって、)製品の品質を改善することができる。
【0035】
また、これは、より使用者にとって使いやすい包装方法であるので、これらの樹脂の市場は、グローバルレベルまで開けるかもしれない。流通の6または8ポンドの樹脂袋は、多くの使用者にとって溶媒和させるのが、あまりにも困難である(たとえば、それらは攪乳器からピンを切断する可能性がある)。この新しい包装材はずっと小さく(20〜500g)、消費者にとって取り扱いやすい。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の高Tg非粘着性コポリエステルポリマーフィルム組成物は、どんな種類の低Tgでアモルファスまたは半結晶性の粘着性コポリエステルプラスチック材料(また、しばしば、本明細書中で『プラスチック塊』として言及する。)にも使用することができ、この組成物および/または化合物、とりわけコポリエステル樹脂は、華氏60度の環境温度で、軟性、柔軟および/または粘着性である。好ましくは、ここで開示される高Tg非粘着性コポリエステルポリマーフィルム組成物は、低Tgコポリエステル組成物を梱包するために用いられ、とくに低Tgコポリエステル樹脂を梱包するのに向いている。『ガラス転移温度』(ここではTgと省略している)は、当業者が周知のように、アモルファス材料が
冷却されてガラス状および脆性になったり、加熱されて軟性または延性になる二次相分離として定義される。
【0037】
前記ポリマーフィルム組成物は、プラスチック材料、とりわけ、低Tgアモルファスまたは半結晶性のコポリエステル樹脂組成物のような軟性、柔軟および/または粘着性材料を、フィルムが囲んでいる、実質的にほとんどの包装方法で使用することができる。このように、本発明のポリマーフィルム組成物は、低Tg粘着性コポリエステル樹脂プラスチック材料と一緒に使用することができ、押し出し、共押し出し、トレー、型に加え、充填および密封技術、噴霧コーティング、または先行技術に記載されているような任意の特別な技術によって、それを梱包する。実際に、ここに記載されるポリマーフィルム組成物は、手で覆う方法で使用することも可能である。このようにして、ここに記載されるポリマーフィルムは、たとえば共押し出し法のように、プラスチック材料と同時に形成することができるか、たとえばトレー、型、充填および密封技術によって別々に形成してロール状で貯蔵し、あとからプラスチック材料を梱包するのに使用することができる。後者の場合は、フィルム材料をフィルムに形成し、巻いて貯蔵、出荷し、それからプラスチック材料を梱包するために巻きを解くことができる。
【0038】
ここ使用される『プラスチック材料』または『プラスチック塊』という用語は、低Tg粘着性コポリエステル樹脂、化合物または組成物で、加熱して、または、しないで流動可能であり、成型したり、キャストしたり、絞ったり、圧力をかけて様々な形にすることができる任意のものを記載していることを示している。この樹脂はアモルファスでも半結晶性であってもよい。このように、『プラスチック材料』または『プラスチック塊』という用語は、軟性および柔軟低Tg粘着性コポリエステル樹脂組成物、たとえば、低Tg粘着性コポリエステル樹脂を含むポリマーブレンドや、低Tg粘着性コポリエステル樹脂と、少し例をあげれば、軟化剤、接着剤、ワックス、安定化剤、着色剤、架橋剤および蛍光剤などの添加剤とのブレンド、あるいは、低Tg粘着性コポリエステル樹脂化合物そのもの、ならびに、上記の材料の各々または全てのブレンドなどを含むが、これに限定されるものではない。それとともに注意しなければならないのは、『プラスチック』の用語は、一般的に、製造の一段階で、繊維、シートもしくは固形、型に流して成形し、ついで別の段階でより剛性にするすることが可能である、天然または合成ポリマーを含む材料の混合物(たとえば組成物)を指して使われるが、『プラスチック材料』または『プラスチック塊』という用語が意図するものは、この『プラスチック』と呼ばれるものより範囲が広いということである。
【0039】
ここで使用される用語『低Tg粘着性コポリエステル樹脂組成物』は、それに含まれる1以上の成分として低Tgアモルファスまたは非結晶性コポリエステル樹脂化合物を用いた、2以上の成分が結びついて得られる、任意の集合体、混合物、塊もしくは物体のことであり、加熱されて軟化し成型可能になり、剛性と硬さの程度は様々だが、冷やされて再び硬化し、相対的に剛性になる特性を有する。『低Tg粘着性コポリエステル樹脂化合物』は、剛性と硬さの程度は大きく変わるが、硬化させて硬くなり成型不可能になる、あるいは永久にそうなる、任意の個々のまたは単一の低Tgアモルファスまたは非結晶性コポリエステル樹脂原料である。低Tg粘着性コポリエステル樹脂化合物の典型的な例は、変形させたり最終的に使用される製品に添加したり、合成または化学プロセス用の原材料となる任意のアモルファスコポリエステル樹脂を含む。典型的な低Tgアモルファスコポリエステル樹脂化合物は、限定されるものではないが、Vietrl3200B、Vietr3300B、Vietr3300S、Vietr3350B、Vietr3550B、または3650Bを含み、Bostic社より入手できる。典型的な低Tg半結晶性コポリエステル樹脂化合物としては、限定されるものではないが、VietrlKP7908、VietrKP7962、VietrKP9715およびVietr1801があげられ、やはりBostic社より入手できる。
【0040】
ここで使用される用語『熱可塑性組成物』は、それに含まれる1以上の成分として熱可塑性化合物を用いた、2以上の成分が結びついて得られる、あらゆる集合体、混合物、塊もしくは物体のことであり、加熱されて軟化し成型可能になり、剛性と硬さの程度は様々だが、冷やされて、再び硬化し、相対的に剛性になる特性を有する。『熱可塑性化合物』は、剛性と硬さの程度は様々だが、硬化させて硬く成型不可能になる、あるいは永久的にそうである、任意の個々のまたは単一の低Tgアモルファスまたは非結晶性コポリエステル樹脂原料である。熱可塑性化合物の典型的な例としては、変形させたり最終的に使用される製品に添加したり、合成または化学プロセス用の原材料となる、任意の軟化剤、ポリマー、プレポリマー、ターポリマー、インターポリマー、モノマーまたはオリゴマーがあげられる。典型的な熱可塑性化合物としては、限定されないが、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ASB)、アセチル、アクリル、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよびポリテトラフルオロエチレンがあげられる。『熱硬化性組成物』の用語は、それに含まれる1以上の成分として熱硬化性化合物を用いた、2以上の成分が結びついて得られる、あらゆる集合体、混合物、塊もしくは物体のことであり、加熱または硬化されて永久的に硬く剛性になる特性を有する。『熱硬化性化合物』は、加熱または硬化されて永久的に硬くなり成型不可能になる任意の材料である。典型的な熱硬化性化合物としては、限定されないが、アルキド、アリル類、エポキシ類、メラミン、ウレア、フェノール類、ポリエステル、シリコンおよびウレタンがあげられる。
【0041】
『結晶性』の用語が使用されれば、それは、示差走査熱量測定(DSC)または等価な技術で決定される一次転移または結晶融解温度(Tm)を有するポリマーのことである。『非結晶性』の用語は、高結晶性ポリプロピレン基準に対して、示差走査熱量測定(DSC)または等価な技術で決定される結晶化度が30%以下程度のポリマーのことである。『アモルファス』の用語は、示差走査熱量測定(DSC)または等価な技術で決定される結晶融解温度を持たないポリマーのことである。『粘着性』の用語は、表面が触っていくぶんべたつくポリマーのことであり、たとえば、上記のアモルファスおよび半結晶性ポリマーを含む。『非粘着性』の用語は、表面が粘着性や接着性の性質や状態を示さないポリマーのことである。
【0042】
ここで使用される『溶媒系接着剤組成物』は、液体の物理的状態に重大な変化をもたらさずに樹脂を溶解することが可能な有機液体に、接着剤樹脂を完全に溶媒和することによって形成される、あらゆる集合体、混合物、塊もしくは物体のことである。ポリエステル樹脂接着剤に使用される一般的な溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、エチルアセテート(EA)、ブチルアセテート、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノンおよび/またはジオキソランがあげられる。これらの接着剤は充分に溶媒和されれば、様々な接着される基材にコーティングするのに便利である。一般的な塗布技術には、少しの例をあげれば、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ソフトダイコーティングがある。重要なのは、接着剤溶液は100%溶媒和される必要があることに注意することである。どんな不溶の粒子やゲルも、最終的な接着性および外観性能に影響を与える重大なコーティングの欠陥を招き得る。溶媒系接着剤組成物を基材に塗布したのち、たとえば、オーブンで、加熱ロールを輸送してなどの方法で、溶媒をとばし、主に接着剤樹脂だけが基材の上に残るように、ある種の乾燥を実施する。接着剤でコーティングされた基材は、あとで、第2の基材に接着結合を形成するように接合する。この結合は、加熱、加圧または両方の組み合わせによって形成することができる。
【0043】
本発明のポリマーフィルム組成物は、どの梱包方法でも利用することができるが、とくに共押し出し法に適している。共押し出し法では、一般的に、梱包されるプラスチック材料を攪拌器、一軸押し出し機、二軸押し出し機で溶融ブレンドし、ついで、材料の軟化点より高いかそれに近い温度のまま、適当なサイズのダイ開口部から圧出する、絞る、または押し出す。開口部およびダイは、いかなる従来の形態であってもよく、一般的には、たとえば、スロット様か円筒様のいずれの形態が、プラスチック材料を開口部から圧出するときに提供される。ダイの温度は、プラスチック材料の融点以上に、上手く維持しなければならないが、一般的には100℃〜250℃の範囲である。共押し出しでは、本発明のポリマーフィルム材料は、それから、梱包されるプラスチック材料を囲うようにダイから同時に押し出しされ、梱包される材料を包含するシースまたは包みを形成する。共押し出し技術は、業界でよく知られているが、適した共押し出し法の装置は、たとえば、欧州特許第0957029号明細書、米国特許第5527491号明細書、再発行RE36177および米国特許第5942304号明細書に記載されている。周知のように、押し出されている材料は高温なので、共押し出し工程は一般的に水中で行い、プラスチック材料と、該プラスチック材料を囲むフィルムが、ダイから押し出されたのち、直ちに冷やされるようにする。そののち、ポリマーフィルムで覆われたプラスチック材料を、ウォーターバス、あるいは、冷却グリコール、液体もしくは気体窒素、圧縮二酸化炭素、またはそのようなものなどの冷却媒体のいずれかで、あるいは、環境条件下で冷却し、覆われたプラスチック塊が充分に冷えて取り扱えるようにすることができる。前記バスの温度はポリマーフィルムのTgよりも高い。これは、プラスチック材料とポリマーフィルムの接着性を改善する。それから、コーティングされた押し出し成形体を、(まだ高温のうちに、または望ましい温度に冷やしたのち、)ローラーなどの従来の装置を用いて機械的につまんで、所望のサイズ、形、重量および/または比率のユニットにし、つぎに必要であればシールする。シールは、ユニットのサイズ、形、重量および/または比率によって、密封シールまたは機械的シールとすることができるが、いずれの場合も、取り扱い、貯蔵、出荷時に、プラスチック材料の漏れを防ぐのに充分であるべきである。最終的に、コーティングされたプラスチック材料のユニット塊は、機械的に、または他の従来の手段によって、ウォータージェット、レーザーまたはホットナイフなどの従来の装置を使用して、個々の梱包されたユニットに切断してもよい。コーティングされた押し出し成形体を機械的につまむ代わりに、コーティングされた押し出し成形体をその分割点で加圧し、超音波で加圧した分割点を溶接することができ、コーティングされた押し出し成形体は、加圧した分割点で、所望のサイズ、形、重量および/または比率のユニットに切断される。この方法は、欧州特許出願公開第1824741号明細書に記載されている。
【0044】
得られる梱包されたプラスチック塊は、必要または所望であれば、環境や水分または他の要素にさらされるのを低減するために、さらに容器または袋に梱包してもよい。前記容器または袋は、本発明のポリエチレンフィルム組成物または他のフィルム組成物から作ることもできるが、他のフィルム組成物から作る場合、とくに個々に梱包されたプラスチックユニットが溶媒和器または攪乳器中で使用するつもりのポリエステル組成物を含むならば、それに含まれている個々のコーティングされたプラスチックユニットを利用する前に、前記容器または袋を、従来の手順で取り除く必要があるかもしれない。対照的に、前記容器または袋を本発明のポリマーフィルム組成物から作る場合、前記容器または袋は、塗布する直前に、溶媒和されたポリエステル組成物自体に一緒に溶媒和することができ、ブレンドできる。
【0045】
ここに記載されるポリマーフィルム材料は、所望のサイズ、形、重量および/または比率の熱硬化性もしくは熱可塑性ポリエステル組成物などのプラスチック材料もしくは塊、または、溶媒系接着剤組成物とともに利用して、梱包されたユニットを提供することができる。そして、梱包されたユニットを、ブリック、ブロック、ピロー、ペレット、円筒、リボンまたはその類似の形に形成することができる。本発明のポリマーフィルムは、それが囲うプラスチック材料に適合していることが好ましい。通常、前記ポリマーフィルム組成物は、プラスチック塊およびポリマーフィルム材料の溶媒系混合物の固有特性に適合し、実質的に悪影響を与えない物理特性を有するべきであり、さらには、ポリマーフィルム材料が、それが囲うプラスチック塊と一緒に溶媒和されて混合物を形成したとき、実質的に塗布装置の操作に適合する。前記プラスチック塊がポリエステル組成物であるとき、ポリマーフィルムは、それを囲うポリエステル塊の物理特性に、実質的に悪影響を及ぼすべきではない。しかしながら、ある塗布においては、梱包されたプラスチック塊から使用前に簡単に覆いを取ることが望ましい場合があり、このような場合には、所望によりポリマーフィルムの覆いを捨てなくてもよい。しかしながら、通常は、前記ポリマーフィルム組成物を、それが梱包するプラスチック材料に適合するように形成して、塗布装置の操作に適合し、かつ材料の固有特性(とくに接着性)に悪影響を与えない溶媒系混合物中で、ポリマーフィルムおよびプラスチック材料を一緒にブレンドできるようにすべきである。
【0046】
皮膜材料として用いられるポリマーフィルムは、任意の所望の顔料を用いて着色することができ、任意の周知の印刷技術で印刷してもよく、一般的に、それに適した任意の有効成分が配合される。
【0047】
プラスチック塊
本発明の方法およびポリマーフィルム組成物は、ポリエステルプラスチック材料の梱包に適している。それは、とくに低Tgアモルファスまたは半結晶性コポリエステル、とりわけ、取り扱い上の問題が最も深刻となる40℃以下のガラス転移温度を有するコポリエステルの梱包に適している。コポリエステルプラスチック塊は、好ましくは35℃以下、とくに好ましくは20℃以下のガラス転移温度を有する。低Tgコポリエステルは周知であり、商業的に入手可能である。一般的な低Tgコポリエステルの例は、米国特許第3372148号、第3413280号、第3423281号および第3386961号明細書で見つけることができる。
【0048】
商業的に入手可能な低Tgコポリエステルとしては、Vietl3200B、3300B、3300S、3500B、3550B、3650B、1801、KP7908、KP7962、KP7915や、Vylon300、500、516、530、550、560、630、650、670があげられる。『Vietl』コポリエステルはBostic社より商業的に入手できる。『Vylon』コポリエステルは東洋紡(株)より商業的に入手できる。
【0049】
特別な物理特性を付与するために、前記ポリエステル組成物に添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、二酸化チタンなどの着色剤、シリカ、タルクおよびクレーなどの充填剤、架橋剤、核形成剤、反応性化合物、難燃性のミネラルまたは有機薬品に加え、紫外線(UV)吸収剤およびUV蛍光剤を含むことができる。
【0050】
ポリマー梱包フィルム
改良された梱包フィルムとして使用できる本発明のポリマーフィルム組成物も、ポリエステル材料からなるが、それが囲うプラスチック塊のような低Tgコポリエステルとは異なり、高Tgコポリエステルである。高Tgコポリエステルとは、ガラス転移温度が60℃以上のコポリエステルである。高Tgコポリエステルは周知であり、商業的に入手可能である。一般的な高Tgコポリエステルの例は、米国特許第3372148号、第3413280号、第3423281号および第3386961号明細書で見つけることができる。商業的に入手可能な高Tgコポリエステルとしては、Vietl1200B、2100B、2200B、2230B、2250Bや、Vylon200、220、226、240、245、270、280、290、296や、DynapolL912、L952、L205、L206、L208およびL210があげられる。『Vietl』コポリエステルはBostic社より商業的に入手できる。『Vylon』コポリエステルは東洋紡(株)より商業的に入手できる。『Dynapol』コポリエステルはEvohic社(以前はDegussa社として知られていた)より商業的に入手できる。梱包フィルムとして使用するのにより好ましい高Tgコポリエステルは、Vietl12200Bである。
【0051】
特別な物理特性を付与するために、前記ポリエステルフィルム組成物に添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、二酸化チタンなどの着色剤、シリカ、タルクおよびクレーなどの充填剤、架橋剤、核形成剤、反応性化合物、難燃性のミネラルまたは有機薬品と同様に、紫外線(UV)吸収剤およびUV蛍光剤を含むことができる。
【0052】
本発明の梱包フィルム組成物は、業界で知られる任意の技術を用いて製造することができる。前記フィルム組成物は、従来の水中ペレット化技術を用いてペレット化してもよい。他の実施の形態では、一軸または二軸の押し出し−複合法を用いている。
【0053】
これらのフィルム組成物は、ここで前述したプラスチック塊と同様に、様々な従来の分析方法で直接、あるいは、可溶化および/または予備的液体クロマトグラフィーののちに、たとえば、様々な示差走査熱量測定(DSC)、フーリエ変換赤外(バルクまたは表面)分光法(FT−IR)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、および核磁気共鳴(NMR)などの分画同定をすることによって、簡単に特徴づけることができる。
【0054】
本発明の改良された梱包フィルムの粘度は、ブルックフィールドThermoselまたは他の適切な粘度計を用いて、ASTM法D3236−73に記載される試験技術を用いて決定され、約180℃〜約280℃で約50000〜約1000000mPa・秒である。溶融した本発明の梱包フィルムは、混合および均等化すれば、ここに前述したように低Tgポリエステル組成物とともに共押し出しすることができるし、剥離表面に、溶融した組成物をキャストまたは押し出しすることによって、フィルムに成形することができる。これらの製造技術を遂行するために商業的に入手可能な機械は、Nordson社から購入できる。先に記載したように、低Tg組成物を包含する高Tg梱包フィルムは、溶媒和器または攪乳器に直接チャージしてもよく、それによってあらゆる無駄を省くことができ、先に議論した従来の梱包技術を使用するのに付随する多くの欠点を排除することができる。
【0055】
新規の梱包フィルム組成物は、実質的にいかなる梱包技術でも使用することができる。たとえば、一般的には低Tgコポリエステルのピースもしくはブロックの表面に、または型の中に、噴霧または注入することができるし、袋、熱形成されたトレーまたは包装フィルムもしくはシートのような梱包材の形態に変形することができる。
【0056】
詳しくは、新規のフィルム組成物は、押し出し−コーティング、キャスト−押し出し、ブロー−押し出しのような、従来のフィルム押し出し、フィルム共押し出し技術によってフィルムを形成するように処理される。従来のフィルム形成技術における加工性を改善するために、また、フィルムの機械的および物理的な最終特性を改善するために、新規のフィルム組成物に、従来の添加物を配合することができる。これらの方法では、一般的に、貯蔵およびつぎの使用のために、商業的に入手できる充填および包装機で、フィルムを押し出して冷却、切断し、それ自体に巻きつけてロールを形成する。この点で、改良された本発明の包装フィルムは、半自動的多サイズの充填および包装機上で利用でき、たとえば、
商標名『Mark10I−12−Aシステム:倒立水平形成充填密封機』の下で製造され、ウィスコンシン州、ウォーケーショーのPremier Packing Systems社で製造されている。他の適した機械も当業者が簡単に選択することができる。
【0057】
コポリエステルプラスチック塊を囲うコポリエステルポリマーフィルムは、厚さが10ミクロン〜2000ミクロン、好ましくは40ミクロン〜2000ミクロン、より好ましくは10ミクロン〜300ミクロン、最も好ましくは10ミクロン〜100ミクロンである。また、コポリエステルポリマーフィルムは、60℃以上、好ましくは65℃以上、より好ましくは68℃以上の高いガラス転移温度を有するべきである。
【0058】
皮膜材料の接着剤塊への溶解性試験は、100gの接着剤試料に対して実験室で実施した。試験するそれぞれの場合に応じて、2g〜50gの範囲の正確な量のフィルム材料を、室温(20〜27℃)、ガラス容器の中で、溶媒和された接着剤に加えた。溶媒和させるために一晩置いたのち、溶媒和された接着剤の外観について目視観察した。容器を手で振り、さらなる期間(1日〜1カ月)放置して、溶解性を目視で評価した。1カ月放置して、相分離が観察されなければ、そのブレンドは安定および適合していると考えた。
【0059】
溶媒和された接着剤のブルックフィールド粘度は、ASTM法D3236にしたがって25℃で試験した。試験は、ブランクの接着剤試料に対して実施すると同時に、上述の溶解性試験で作製した混合された接着剤試料に対して実施した。
【0060】
環球軟化点は、ASTM法E−28にしたがって手動ユニットで決定した。試験は、基準の接着剤試料に対して実施すると同時に、上述の溶解性試験で作製したブレンドされた接着剤試料に対して実施した。この軟化試験に使用した接着剤配合物は、上述した混合方法にしたがって作製した。樹脂を一緒に溶媒和したのち、溶媒を乾かして純粋な樹脂ブレンドを試験した。
【0061】
固有粘度(IV)は、ASTM法D5225法を用いて測定した。IV試験は、ポリマー分子量の相対試験として用いられる。フェノールとテトラクロロエタンの溶媒混合物を、ビスコテック相対粘度計Y501Cに用いる。
【0062】
樹脂のCEI研究所着色試験は、BYK TSC II分光計を使用して実施する。樹脂を溶媒和したのち透過試験を行う。最も一般的な溶解条件は、MEK(メチルエチルケトン)中に25%の固形物である。CEI研究所は、L*(明暗)、a*(赤−緑色)およびb*(青−黄色)を測定する。
【0063】
次の略語をこの明細書のいたるところで使用する。
低Tg−低ガラス転移温度
高Tg−高ガラス転移温度
V2200B−Vitel2200B
V3300B−Vitel3300B
V3200B−Vitel3200B
V3350B−Vitel3350B
V3550B−Vitel3550B
V3650B−Vitel3650B
【0064】
次の実施例で、梱包されるプラスチック塊として、また、該プラスチック塊を囲むフィルム組成物として使用される材料を、以下に記載する。
【0065】
Vitel3300B:低Tg樹脂(Tg=18℃、Mw=63000ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0066】
Vitel3350B:低Tg樹脂(Tg=18℃、Mw=63000ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0067】
Vitel3200B:低Tg樹脂(Tg=17℃、Mw=63500ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0068】
Vitel3550B:低Tg樹脂(Tg=−11℃、Mw=75000ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0069】
Vitel3650B:低Tg樹脂(Tg=−10℃、Mw=73000ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0070】
Vitel2200B:高Tg樹脂(Tg=69℃、Mw=42000ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0071】
Vitel2250B:高Tg樹脂(Tg=63℃、Mw=35000ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0072】
Vitel2100B:高Tg樹脂(Tg=69℃、Mw=45000ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0073】
Vitel2300B:高Tg樹脂(Tg=69℃、Mw=45000ダルトン、100%アモルファスコポリエステル樹脂)
【0074】
低Tgコポリエステルプラスチック塊および高Tgポリマー外層フィルムとして使用するのに適した様々な組成物を、以下にあげる。
【表1】

【0075】
低Tgコポリエステルプラスチック塊および高Tgポリマー外層フィルムとして使用するのに適したより好ましい組成物を、以下にあげる。
【表2】

【0076】
本発明を、以下に述べる実施例によって、さらに詳しく説明する。
実施例
【0077】
実施例1:最初に小規模実験を行い、この技術がこれらの樹脂に実用的であることを証明した。これらの実験において、Vitel2200B皮膜を有するVitel3300Bの20gのピローを作製した。皮膜と核の間に優れた接着性が得られた。
詳細な実験データ
皮膜樹脂:Vitel2200Bを使用し、210℃および6バールの圧力でバルク溶融機を用いた。
核樹脂:Vitel3300Bを使用し、220℃でホットメルトドラム型溶融機を用いた。
速度:100kg/時間に達した。
核/皮膜の比率:49/1(2%皮膜)および19/1(5%皮膜)。49/1がより好結果であった。
押し出しダイ、バス温度:最初は10℃に設定した。これは皮膜と核の間に剥離を招いた。バス温度を60〜70℃に上昇させたとき、層間の接着性は優れていた。
実験ピローの分析(主にNMRおよびDSC)によって、皮膜材料は樹脂のバルク特性にほとんど影響を及ぼさないことが判明した。皮膜樹脂を含むことによって樹脂のTgは1.4℃しか変わらなかった。皮膜厚さを測定すると約70ミクロンであった。
【0078】
実施例2
1.皮膜および核間の接着性の最適化
最初の実験では、共押し出しダイのすぐあとのウォーターバス温度が、低すぎる(60℃より低い)と、皮膜および核の異なる樹脂間の接着性は、小さいないし全くないことが判明した。これは、皮膜樹脂が割れて剥離する原因となり、樹脂ブロッキングする結果となる。バス温度を65〜70℃に上昇させたとき、異なる樹脂間の接着性は、許容できるレベルまで改善した。
2.樹脂劣化の最小化
好ましくは、核樹脂を反応炉から押し出し機に直接供給することが望ましい。共押し出しの厳密な供給速度に依存して、高温で1.5〜3時間、樹脂を反応炉に入れておく必要があるかもしれない。標準的な反応温度(250℃)で、この長さの休止時間は、最終製品に重大な劣化を引き起こすかもしれない。劣化は、0.1より大きいIV(固有粘度)で滴下して決定する。また、劣化にともなって、色(b*10+ユニットの増加)が暗化するかもしれない。樹脂の劣化および装置の性能低下を最小限にするために、共押し出しラインに加えて使用する、より低温の保存タンクが必要となる可能性がある。
3.冷却バス
押し出された『ピロー』を、箱に梱包する前に、ウォーターバスで充分に冷やすことが重要である。たとえば、皮膜樹脂のTgが70℃で、核樹脂が最終的にこれより低く冷やされていなければ、得られる梱包材は、ともにブロッキングすることになりやすい。核樹脂が反応炉から直接詰め込まれることを想定して、ダイの初期の樹脂温度は250℃くらいの高さとし、そうして、非ブロッキング『非梱包』梱包材を製造するために、押し出された『ピロー』を、箱または他の出荷容器に入れる前に、許容な温度に冷やさなければならない。
4.樹脂中の水分レベル
ウォーターバスの出口でブローして全ての余分な水をピローから取り除く。これは、消費者が樹脂を溶媒和させるとき、湿気硬化剤(イソシアネートなど)との問題を避けるために、水分%が0.15%より小さくあるべきであるので、重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有限の大きさと形を有するコポリエステルプラスチック塊、および、該コポリエステルプラスチック塊を囲うコポリエステルポリマーフィルムからなり、該コポリエステルプラスチック塊は40℃以下の低いガラス転移温度を有し、該コポリエステルポリマーフィルムは60℃以上の高いガラス転移温度を有する包装材。
【請求項2】
前記ポリマーフィルムが10ミクロン〜100ミクロンの厚さを有する請求項1記載の包装材。
【請求項3】
前記ポリマーフィルムが10ミクロン〜300ミクロンの厚さを有する請求項1記載の包装材。
【請求項4】
前記ポリマーフィルムが40ミクロン〜2000ミクロンの厚さを有する請求項1記載の包装材。
【請求項5】
前記低いガラス転移温度が35℃以下である請求項1記載の包装材。
【請求項6】
前記低いガラス転移温度が20℃以下である請求項1記載の包装材。
【請求項7】
前記高いガラス転移温度が65℃以上である請求項1記載の包装材。
【請求項8】
前記高いガラス転移温度が68℃以上である請求項1記載の包装材。
【請求項9】
前記プラスチック塊が前記梱包材の70〜99.5重量%を占め、前記ポリマーフィルムが前記梱包材の0.5〜30重量%を占める請求項1記載の包装材。
【請求項10】
前記プラスチック塊が前記梱包材の98〜99.5重量%を占め、前記ポリマーフィルムが前記梱包材の0.5〜2重量%を占める請求項1記載の包装材。
【請求項11】
コポリエステルプラスチック塊を製造する工程、および、該コポリエステルプラスチック塊をコポリエステルポリマーフィルムで囲う工程からなり、該コポリエステルプラスチック塊は40℃以下の低いガラス転移温度を有し、該コポリエステルポリマーフィルムは60℃以下の高いガラス転移温度を有するプラスチック塊を梱包する方法。
【請求項12】
前記ポリマーフィルムが10ミクロン〜100ミクロンの厚さを有する請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマーフィルムが10ミクロン〜300ミクロンの厚さを有する請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーフィルムが40ミクロン〜2000ミクロンの厚さを有する請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記低いガラス転移温度が35℃以下である請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記低いガラス転移温度が20℃以下である請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記高いガラス転移温度が65℃以上である請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記高いガラス転移温度が68℃以上である請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記コポリエステルプラスチック塊を囲む工程が、該コポリエステルポリマーフィルムを共押し出しすることを含む請求項19記載の方法。
【請求項20】
前記コポリエステルプラスチック塊を製造する工程が、該コポリエステルプラスチック塊を押し出しすることを含む請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記コポリエステルポリマーフィルムで囲われた前記の押し出されたコポリエステルプラスチックを、バスで冷却し、該バスの温度は、前記コポリエステルポリマーフィルムの高いガラス転移温度より高い請求項20記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記の押し出されたコポリエステルプラスチック塊および共押し出しされたコポリエステルポリマーフィルムを、有限の大きさおよび形のユニットに成形する工程を含む請求項20記載の方法。
【請求項23】
さらに、前記ユニットの両端を密封する請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記プラスチック塊が前記梱包材の70〜99.5重量%を占め、前記ポリマーフィルムが前記梱包材の0.5〜30重量%を占める請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記プラスチック塊が前記梱包材の98〜99.5重量%を占め、前記ポリマーフィルムが前記梱包材の0.5〜2重量%を占める請求項11記載の方法。



【公表番号】特表2013−516366(P2013−516366A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547150(P2012−547150)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061722
【国際公開番号】WO2011/082049
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510180393)ボスティック,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】