説明

粘膜投与用ワクチンの治療可能性の評価方法

本発明は、下記の工程を含むことを特徴とする、1種以上の抗原を含む粘膜投与用ワクチンおよびワクチン接種プロトコールを含むワクチン接種プログラムの治療可能性の評価方法に関する:
a) 少なくとも1名の試験個々人を前記ワクチン接種プログラムに供する工程;b) 前記試験個々人からの生物学的サンプル中の前記抗原に対して特異性のIgA、IgG、IgEおよびIgXからなる群から選ばれたバイオマーカー抗体レベルを測定する工程;および、c) 得られた測定値を使用して、前記ワクチン接種プログラムの治療可能性を評価する工程。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、1種以上の抗原を含む粘膜投与用ワクチンの治療可能性の評価方法に関する。
(背景技術)
アレルギーは、西欧ライフスタイルに順応している国々における主要な健康問題である。さらにまた、アレルギー疾患の発病率は、これらの国々において増大しつつある。アレルギーは一般的に生命にかかわる疾患とはみなされていないものの、喘息は、毎年、有意の数の死亡を生じさせている。ティーンエージャーにおける異常な約30%の発病率は、生活の質、稼動日数および金銭における実質的な損失をもたらし、西欧世界に主要な健康問題における分類化を必要としている。
アレルギーは、複雑な疾患である。多くの要因が、その感作事象に寄与している。これらのうち、数種の遺伝子間のまだ十分には解明されていない相互作用によって定義されている個々人(individual)の感受性がある。もう1つの重要な要因は、一定の閾値以上でのアレルゲン暴露である。汚染、小児感染症、寄生虫感染症、腸内微生物等のような幾つかの環境要因も感作過程において重要であり得る。個々人が感作され、アレルギー免疫応答が確立された時点で、ほんの僅かな量のアレルゲンの存在により効率的に症状に変化する。
アレルギー疾患の自然経過は、通常、2つのレベルの悪化を伴う。先ずは、例えば、花粉症から喘息への症状および疾患重篤度の進行並びに疾患進行である。第2に、原因アレルゲンの蔓延が最も頻繁に生じて、アレルギー多反応性をもたらす。慢性炎症は、粘膜防御メカニズムの一般的な弱化に至り、非特異的な刺激を、さらに、最終的には粘膜組織の破壊をもたらす。乳幼児は、主として食物、即ち、ミルクに対して感作するようになり、湿疹または胃腸障害に至り得る;しかしながら、殆どの場合、彼らは、これらの症状から自然に脱却する。これらの乳幼児は、その生涯の後期において吸入アレルギーを発症するリスクを有する。
【0002】
最も重要なアレルゲン源は、我々が呼吸している空気中のある種の粒度の最も蔓延している粒子の中から見出される。これらの源は、著しく身近であり、草花粉およびイエダニ糞便粒子を含み、これらは、合せると、アレルギー全体のおよそ50%に寄与している。また、動物のフケ類、即ち、イヌおよびネコのフケ;ヨモギ花粉のような他の花粉類;およびアルテルナリア属(Alternaria)のような極微菌類も広域的な重要性を有する。地域的には、北および中央ヨーロッパにおけるカバノキ花粉、東および中央アメリカにおけるブタクサ花粉、および日本におけるスギ花粉のようなさらに別の花粉類が顕著であり得る。昆虫類、即ち、ハナバチおよびカリバチの毒並びに食物類は、各々、アレルギー全体のおよそ2%を占める。
アレルギー、即ち、1型過敏症は、外来の非病原性物質に対する不適切な免疫反応によって生じる。アレルギーの重要な臨床症状としては、喘息、花粉症、湿疹および胃腸障害がある。アレルギー反応は、特定の個々人が特定のアレルゲン(1種以上)に感作される意味で特異性であるが、その個々人は、アレルギー疾患を発症させることが知られている他の物質対するアレルギー反応を必ずしも示さない。アレルギーフェノタイプは、ターゲット器官の粘膜の明白な炎症並びに循環液中および肥満細胞および好塩基球表面上でのIgE群のアレルゲン特異性抗体の存在に特徴を有する。
アレルギー発作は、外来アレルゲンとアレルゲン特異性IgE抗体との反応により、これらの抗体が肥満細胞および好塩基球表面上の高親和性IgE特異性レセプターに結合するときに始まる。肥満細胞および好塩基球は、前以って形成されたメディエーター、即ち、ヒスタミン、トリプターゼおよび他の物質を含有し、これらは、2個以上のレセプター結合IgE抗体の架橋時に放出される。IgE抗体は、1個のアレルゲン分子の同時結合により架橋する。また、肥満細胞表面上でのレセプター結合IgEの架橋は、好酸球、アレルゲン特異性T細胞および他のタイプの細胞のアレルギー応答部位への誘引に寄与する情報伝達分子の放出ももたらす。これらの細胞は、アレルゲン、IgEおよびエフェクター細胞との相互作用において、アレルゲン遭遇の12〜24時間後に生じる新たな症状激化(後期反応)をもたらす。
【0003】
アレルギー疾患の管理は、診断と予防的治療のような治療を含む。アレルギーの診断は、アレルゲン特異性IgEの実証とアレルゲン源の同定に関連する。多くの場合、入念な既往症が、アレルギーの診断および原因アレルゲン源物質の同定において十分であり得る。しかしながら、殆どの場合、診断は、皮膚プリック試験、血液試験または誘発試験のような客観的測度によって裏付けされる。
治療選択枝は、3つの主要カテゴリーに属する。第1の機会は、アレルゲン忌避または暴露の低減である。アレルゲン忌避は、例えば、食物アレルゲンの場合には明白であるのに対し、イエダニアレルゲンに関して困難または費用高であり得、或いは花粉アレルゲンに関しては不可能であり得る。第2の最も広く使用されている治療選択枝は、抗-ヒスタミン剤およびステロイド類のような古典的な対症薬の処方である。対症薬は、安全で有効である;しかしながら、対症薬は、疾患の自然発症を改変することも疾患の蔓延を制御することもない。第3の治療選択枝は、問題のアレルゲンによって生じるアレルギー症状を殆どの場合に低減または軽減する特異的アレルギーワクチン接種である。
通常の特異的アレルギーワクチン接種は、アレルギー疾患に対する原因治療である。特異的アレルギーワクチン接種は、基本的免疫メカニズムを干渉して患者の免疫状態の持続的改善をもたらす。従って、特異的アレルギーワクチン接種の保護効果は、対症薬治療とは対照的に、治療期間の後まで及ぶ。この治療を受けるある数の患者は完治し、さらに、殆どの患者は、疾病重篤度および発症した症状の緩和、または少なくとも疾病悪化の阻止を示す。即ち、特異的アレルギーワクチン接種は、予防効果を有して、喘息に進展する花粉症のリスクを軽減し、且つ新たな過敏症を発症するリスクを軽減する。
【0004】
成功裏のアレルギーワクチン接種の基礎となる免疫学的メカニズムは、詳細には知られていない。特定の病原体に対する抗体の産生のような特異的免疫応答は、適応免疫応答として知られている。この応答は、病原体に対する非特異反応である先天性免疫応答とは区別し得る。アレルギーワクチンは、適応免疫応答に対処しなければならず、T細胞および抗体産生性B細胞のような抗原特異性を有する細胞および分子を含む。B細胞は、相応する特異性を有するT細胞の助けなしでは、抗体産生性細胞に成熟することができない。アレルギー免疫応答の刺激に関与するT細胞は、主としてTh2タイプである。Th1およびTh2細胞間の新たな均衡を確立することが特異的アレルギーワクチン接種の免疫学的メカニズムにとって有益且つ重要であると提言されてきている。この均衡がTh2細胞の低減、Th2からTh1細胞への変化またはTh1細胞のアップ調節のいずれによってもたらされるかどうかは、議論のあるところである。最近、調節T細胞がアレルギーワクチン接種のメカニズムにおいて重要であると提言されてきている。このモデルによれば、調節T細胞、即ち、Th3またはTr1は、相応する抗原特異性を有するTh1およびTh2細胞の双方をダウン調節する。これらの両義性にもかかわらず、活性ワクチンはアレルゲン特異性T細胞を刺激する能力を有しなければならないと一般に信じられている。
特異的アレルギーワクチン接種は、その効力にもかかわらず、主として2つの理由により、広範には使用されていない。1つの理由は、繰返しのワクチン接種、例えば、数ヶ月に亘る注射を含む伝統的なワクチン接種プログラムに伴う不便性である。他の理由は、より重要なことに、アレルギー副反応のリスクである。感染因子に対する通常のワクチン接種は、単回または数回の高投与量免疫化を使用して、有効に実施されている。しかしながら、この方法は、病理学的免疫応答が既に始まっているので、アレルギーワクチン接種においては使用できない。
【0005】
従って、通常の特異的アレルギーワクチン接種は、延長された期間に亘って投与される複数回の皮下免疫化を使用して実施される。その過程は、二相、即ち、増分投与期と維持期に分割される。増分投与期においては、増分投与量を、微少投与量により開始して、典型的には16週間に亘って投与する。推奨される維持投与量に達したとき、この投与量を、維持期において、典型的には6週間毎の注射によって投与する。各注射後、患者は、原理的には極めて稀ではあるが生命にかかわり得るアナフィラキシー副反応のリスク故に、30分の治療下に保たれなければならない。さらに、診療所は、緊急治療の維持に備えなければならない。他の投与経路に基づくワクチンが、現行の皮下系ワクチンに固有のアレルギー副反応のリスクを排除または軽減するであろうという、さらにまた、より広範な使用を容易にし、場合によって家庭内での自己ワクチン接種さえも可能にするであろうという疑念は存在しない。
特異的アレルギーワクチン接種用のワクチンを改善するための試みは、30年以上に亘って行なわれており、多種多様な方法を含む。数種の方法は、IgE反応性の改変により、アレルゲン自体に対処している。他の方法は、ワクチンの調合および投与経路に対処している。
新たなアレルゲン、アレルゲン調合物および治療プロトコールの試験は、この試験が臨床試験のような動物および/またはヒトにおける生体内試験を必要とするので、面倒であり、且つ労力および時間消費性である。とりわけ、新たなワクチンまたは治療プロトコールの治療有効性を試験するための臨床試験は、これら臨床試験が、多数の患者、長期の治療期間(例えば、花粉アレルギーにおいては、花粉シーズンおよび花粉シーズン前の期間を含む)および広範囲の投与量に伝統的に関連するので、労力および時間消費性である。さらにまた、臨床試験は、実施する臨床試験の政府承認および試験対象者の登録を必要とする。また、ワクチン、例えば、アレルギーワクチンの臨床試験は、極めて主観的なパラメーターである臨床症状のモニタリングおよび評価に依存しており、従って、そのような試験の結果は、ある程度の不確実性を含む。
【0006】
(発明の開示)
本発明の目的は、粘膜投与用のワクチン、例えば、口内粘膜、即ち、舌下腺投与用のワクチンまたはワクチン接種プロトコールの治療可能性の改良された評価方法を提供することである。
この目的は、例えば、下記の局面を含む本発明によって達成される:
下記の工程を含むことを特徴とする、1種以上の抗原を含む粘膜投与用ワクチンおよびワクチン接種プロトコールを含むワクチン接種プログラムの治療可能性の評価方法:
a) 少なくとも1名の試験個々人を上記ワクチン接種プログラムに供する工程;
b) 上記試験個々人からの生物学的サンプル中の上記抗原に対して特異性のIgA、IgG、IgEおよびIgXからなる群から選ばれたバイオマーカー抗体レベルを測定する工程;および、
c) 得られた測定値を使用して、上記ワクチン接種プログラムの治療可能性を評価する工程。
特許請求の範囲の請求項1〜35のいずれか1項記載の方法によって取得し得るワクチン。
下記の工程を含むことを特徴とする、粘膜特異性アレルギーワクチン接種(SAV)の個々人に対する有効性の評価方法:
a) 上記個々人に粘膜SAVを受けさせる工程;
b) 上記個々人からの生物学的サンプル中の抗原に対して特異性のIgA、IgG、IgEおよびIgXからなる群から選ばれたバイオマーカー抗体のレベルを測定する工程;および、
c) 得られた測定値を使用して、上記SAVの有効性を評価する工程。
【0007】
本発明は、アレルギーワクチンの粘膜投与が問題のアレルゲンに対して特異性のIgE、IgG、IgA並びにIgXの双方の血流濃度の明確且つ信頼し得る上昇を伴い、一方、ワクチンの粘膜投与は多くの免疫系応答の他の測定可能なマーカーに対して何らの変化ももたらさないという驚くべき実験上の知見に基づく。実験結果は、抗原特異性IgE、IgG、IgAおよびIgXの体液濃度がワクチンの治療効果に対する強力且つ有効なマーカーであることを示唆している。即ち、本発明は、新たなアレルゲン候補、新たなワクチン製剤並びに新たなワクチン接種プロトコールを試験動物または個々人からの生物学的サンプルの生体外アッセイによって試験する可能性を提供する。例えば、そのような生体外アッセイを臨床試験前に実施することにより、有効でないワクチン接種プロトコール、ワクチンおよび投与量を臨床試験の開始前に除外し、ひいては、臨床試験の範囲を縮小し、それによって新たなワクチンの開発をより実現可能にすることができる。
また、本発明は、ワクチンまたはワクチン接種プロトコールの治療可能性を評価する新規で且つ追加のパラメーター、さらに容易に測定可能で定量可能であり、従って、極めて信頼し得るパラメーターを提供する。とりわけ、本方法は、臨床試験と組合せて使用して、さらなる情報を取得し、或いは臨床症状のような他のパラメーターに代る情報を取得し、それによって臨床試験をより信頼し得るものにすることができる。
上記から明らかなように、本方法は、新たなアレルゲン候補、例えば、組換えアレルゲンおよび組換え修飾アレルゲンのスクリーニングからワクチンの販売承認を得る目的のワクチンの臨床試験までのワクチン開発の任意の段階において使用し得る。
【0008】
(発明を実施するための最良の形態)
ワクチン接種プログラムの治療可能性の評価は、1) IgE、IgA、IgGまたはIgXの単独の測定、2) 上記4つのバイオマーカー抗体のうちの2つの測定、3) 上記4つのバイオマーカー抗体のうちの3つの測定、または4) 4つのバイオマーカー抗体全部の測定に基づき得る。
得られた測定値の評価は、参照の経時的バイオマーカー抗体レベルプロフィールとの比較により、例えば、時間に対するバイオマーカー抗体レベルのプロットを処理して経時曲線を作成することによって実施し得る。得られた測定値を使用して、試験すべき所定のワクチン接種プログラムの治療可能性を評価する。ワクチン接種プログラムは、2つの基本的な構成要素、即ち、ワクチン接種プロトコールとワクチンを有し、各々が、本発明の方法において試験する主題であり得る多くのパラメーターを有する。ワクチン接種プロトコールは、例えば、試験のための人々のスクリーニングおよび選定、ワクチン投与を行なう環境、投与経路、使用する抗原の投与量、投与の頻度および時間等のパラメーターを含む。ワクチンは、1種以上の抗原、必要な場合のアジュバント、およびワクチンの調合、即ち、調合物の賦形剤のパラメーターを含む。
本発明の方法は、1) 通常のワクチンを使用するワクチン接種プロトコール、2) 通常のワクチン接種プロトコールを使用するワクチンまたは3) ワクチン接種プロトコールとワクチンの組合せの治療可能性を評価するのに使用し得る。
【0009】
本発明の方法の1つの実施態様においては、バイオマーカー抗体は、IgEである。IgEレベルは、ワクチン接種プログラムの開始時のレベルと比較して、50%よりも高く、好ましくは100%よりも高く、より好ましくは200%よりも高く、より好ましくは300%よりも高く、より好ましくは400%よりも高く上昇するのが好ましい。さらに、IgEレベルの上昇は、ワクチン接種プログラムの開始時から12週間以内、好ましくは10週間以内、より好ましくは8週間以内、より好ましくは6週間以内、最も好ましくは4週間以内で生じるのが好ましい。
本発明の特定の実施態様においては、IgEレベルは、最高値を有し、その後の低下を伴う。IgEレベルの最高値は、ワクチン接種プログラムの開始時から12週間以内、好ましくは10週間以内、より好ましくは8週間以内、より好ましくは6週間以内、より好ましくは4週間以内で発生するが好ましい。IgEレベルは、最高値の90%よりも低い、好ましくは80%よりも低い、より好ましくは70%よりも低い、より好ましくは60%よりも低い、最も好ましくは50%よりも低いレベルに低下するのが好ましい。IgEレベルの低下は、最高値の時点から26週間以内、好ましくは20週間以内、より好ましくは16週間以内、より好ましくは12週間以内、より好ましくは8週間以内、最も好ましくは4週間以内で生じるのが好ましい。
本発明のもう1つの実施態様においては、IgEレベルは、一旦到達すると、およそその最適値を保持する。
【0010】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、バイオマーカー抗体は、IgAである。IgAレベルは、ワクチン接種プログラムの開始時のレベルと比較して、50%よりも高く、好ましくは100%よりも高く、より好ましくは200%よりも高く、より好ましくは300%よりも高く、最も好ましくは400%よりも高く上昇するのが好ましい。IgAレベルの上昇は、投与開始から20週間以内、好ましくは16週間以内、より好ましくは12週間以内、最も好ましくは8週間以内で生じるのが好ましい。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、バイオマーカー抗体は、IgGである。IgGレベルは、ワクチン接種プログラムの開始時のレベルと比較して、50%よりも高く、好ましくは100%よりも高く、より好ましくは200%よりも高く、より好ましくは300%よりも高く、最も好ましくは400%よりも高く上昇するのが好ましい。IgGレベルの上昇は、投与開始から20週間以内、好ましくは16週間以内、より好ましくは12週間以内、最も好ましくは8週間以内で生じるのが好ましい。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、バイオマーカー抗体は、IgXである。本発明の好ましい実施態様においては、IgXは、拮抗によらないイムノアッセイにおいて測定したときのIgEレベルに対する前記生物学的サンプルの他の成分からの拮抗を伴うイムノアッセイにおいて測定したIgEレベルの比として表す。本発明のこの実施態様においては、IgXレベルは、ワクチン接種プログラムの開始時のレベルと比較して、4%よりも多く、好ましくは6%よりも多く、より好ましくは8%よりも多く、より好ましくは10%よりも多く、より好ましくは12%よりも多く、最も好ましくは14%よりも多く低下するのが好ましい。さらに、IgXレベルの低下は、投与開始から24週間以内、好ましくは16週間以内、より好ましくは12週間以内、最も好ましくは8週間以内で生じるのが好ましい。
上記で使用した“IgEレベル”、“IgAレベル”、“IgGレベル”および“IgXレベル”なる表現は、単独試験個々人のレベルを、或いは、個々人のグループをワクチン接種プログラムに供した場合には、そのグループの平均レベルのようなグループまたはグループの1部の加重レベルを称し得る。多くの場合、IgA、IgE、IgGおよびIgXのレベルは、個々人間相互で変動し得、従って、ワクチン接種プログラムの試験においては、2名以上、好ましくは5名以上、より好ましくは10名以上の個々人のグループを使用するのが好ましい。
【0011】
ワクチン接種プロトコール
本発明の1つの実施態様においては、ワクチン接種プロトコールは、試験個々人への毎日のワクチン投与を含む。本発明のもう1つの実施態様においては、ワクチン接種プロトコールは、1日おき、2日おきまたは3日おきのワクチン投与を含む。例えば、ワクチン接種プロトコールは、4週間よりも長い、好ましくは8週間よりも長い、より好ましくは12週間よりも長い、より好ましくは16週間よりも長い、より好ましくは20週間よりも長い、より好ましくは24時間よりも長い、より好ましくは30週間よりも長い、最も好ましくは36週間よりも長い期間でのワクチン投与を含む。
投与期間は、連続期間であり得る。また、投与期間は、1以上の無投与期間によって遮断された不連続期間である。好ましくは、(総)無投与の期間は、(総)投与期間よりも短い。
本発明のさらなる実施態様においては、ワクチンを、試験個々人に1日1回投与する。また、ワクチンを、試験個々人に1日2回投与する。ワクチンは、単回投与量ワクチンであり得る。
【0012】
IgE、IgA、IgGおよびIgXの測定
本発明の1つの実施態様においては、生物学的サンプル中の抗原に対して特異性のIgA、IgEおよび/またはIgGレベルの測定を、1) アレルゲンをELISAプレート上にコーティーングし、洗浄する工程、2) 生物学的サンプルを添加して、インキュベートし、洗浄する工程、3) 酵素と抗-IgA/IgG/IgE抗体の接合体を添加し、インキュベートし、洗浄する工程、4) 酵素基質を添加し、インキュベートし、反応を停止させる工程、および5) 反応した基質レベルを測定する工程を含むELISAによって実施する。
本発明のもう1つの実施態様においては、生物学的サンプル中の抗原に対して特異性のIgA、IgEおよび/またはIgGレベルの測定を、下記の工程を含むツーサイトイムノアッセイ(拮抗イムノアッセイ)によって実施する:
(a) 液相と、(i) 上記サンプルの抗体、(ii) 固相に結合させた、検出すべき上記抗体に対して特異性の群特異性抗体、(iii) 抗原、抗体またはハプテンの形のリガンドおよび(iv) 標識化合物からなる4成分固相複合体との混合物を調製して、4成分固相複合体を形成させる工程;
(b) 上記4成分固相複合体を液相から分離する工程;
(c) 分離した4成分固相を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(d) 洗浄した標識化4成分複合体の検出/測定を実施する工程。
ツーサイトイムノアッセイは、多くの変形手法で実施し得る。必要に応じて、洗浄工程は、試薬(i)と(ii)を混合した後で試薬(iii)と(iv)を添加する前に、および/または試薬(i)、(ii)および(iii)を混合した後に実施し得る。固相は、例えば、常磁性粒子のような粒状担体であり得る。標識化合物は、例えば、アクリジニウムエステルのような化学発光化合物であり得る。リガンドはビオチンまたはその官能性誘導体に結合させ得、標識化合物は、アビジン、ストレプタビジンまたはこれらの官能性誘導体に共有結合させた化学発光化合物であり得、この場合、洗浄した標識化4成分複合体の検出/測定は、該複合体内で化学発光反応を開始させ、あり得る場合の得られた化学発光を検出/測定することによって実施する。該イムノアッセイは、例えば、ADVIA Centaur (Bayer社)を使用して実施し得る。
【0013】
上記ツーサイトイムノアッセイの特定の実施態様(無拮抗イムノアッセイ)は、下記の工程を含む:
(a) (i) 生物学サンプルと(ii) 固相に結合させた、検出すべき上記抗体に対して特異性の群特異性抗体とを混合して、液相と2成分固相複合体の混合物を調製する工程;
(b) 上記2成分固相複合体を上記液相から分離し、分離した2成分固相複合体を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(c) (iii) 抗原、抗体またはハプテンの形のリガンド、および(iv) 標識化合物を添加して、4成分固相複合体を調製する工程;
(d) 上記4成分固相複合体を液相から分離する工程;
(e) 分離した4成分固相を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(f) 洗浄した標識化4成分複合体の検出/測定を実施する工程。
上記ツーサイトイムノアッセイのもう1つの特定の実施態様(拮抗イムノアッセイ)は、化学発光ラベルおよびビオチン結合リガンドを使用する抗体のツーサイトイムノアッセイを含み、該方法は、下記の工程を含む:
(a) 生物学的サンプルを、ビオチンまたはその官能性誘導体に結合させた抗原、抗体またはハプテンの形のリガンド;常磁性粒子に結合させた、検出すべき上記抗体に対して特異性の群特異性抗体;および、アビジン、ストレプタビジンまたはこれらの官能性誘導体に結合させた化学発光性アクリジニウム化合物を混合して、4成分固相複合体を調製する工程;
(b) 上記4成分固相複合体を液相から磁気により分離する工程;
(c) 分離した4成分固相を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(d) 分離した固相内で、あり得る場合の化学発光反応を開始させ、あり得る場合の得られた化学発光を検出/測定する工程。
【0014】
上記ツーサイトイムノアッセイのさらに特定の実施態様(無拮抗イムノアッセイ)は、下記の工程を含む:
(a) (i) 生物学的サンプルと(ii) 常磁性粒子に結合させた、検出すべき抗体に対して特異性の群特異性抗体とを混合して、液相と2成分固相複合体の混合物を調製する工程;
(b) 上記2成分固相複合体を前記液相から磁気により分離し、分離した2成分固相複合体を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(c) (iii) ビオチンまたはその官能性誘導体に結合させた抗原、抗体またはハプテンの形のリガンド、および(iv) アビジン、ストレプタビジンまたはこれらの官能性誘導体に結合させた化学発光性アクリジニウム化合物を添加して、4成分固相複合体を調製する工程;
(d) 上記4成分固相複合体を液相から磁気により分離する工程;
(e) 分離した4成分固相複合体を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(f) 洗浄した固相内で、あり得る場合の化学発光反応を開始させ、あり得る場合の得られた化学発光を検出/測定する工程。
好ましくは、IgXは、拮抗によらないイムノアッセイにおいて測定したときのIgEレベルに対する生物学的サンプルの他の成分から拮抗を伴うイムノアッセイにおいて測定したときのIgEレベルの比として表す。この場合、拮抗によらないイムノアッセイは、上述したようなツーサイト無拮抗イムノアッセイ実施態様の1つであり得、洗浄工程を、生物学的サンプルと固相に結合させた検出すべき上記抗体に対して特異性の群特異性抗体と混合した後に実施する、即ち、洗浄をアレルゲンの添加前に実施して、生物学的サンプルのIgE抗体のアレルゲンとの結合における生物学的サンプルの非IgE抗体からの拮抗を回避する。拮抗によるイムノアッセイは、上述したツーサイト拮抗イムノアッセイ実施態様の1つであり得る。
好ましくは、上記生物学的サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液および鼻分泌物からなる群から選択する。
【0015】
ワクチン調合物および投与経路
本発明の好ましい実施態様においては、ワクチンは、口内粘膜、呼吸器系の粘膜、消化器系の粘膜、直腸粘膜および生殖器粘膜を介しての投与に適応するように調合したワクチン類からなる群から選択する。好ましくは、ワクチンは、口内粘膜を介する投与に適応するように調合する。
本発明の特定の実施態様においては、ワクチンは、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョン、急速分散性投与量剤形、ドロップ剤、トローチ剤、スプレー剤、エアゾール剤、錠剤、咀嚼可能な錠剤、顆粒剤、粉末剤、ゲル剤、ペースト剤、シロップ剤、クリーム剤、軟膏、スティック剤、インプラント、腟挿入剤(vagitories)、坐薬および子宮挿入剤(uteritories)として調合したワクチン類からなる群から選択する。好ましくは、ワクチンは、急速分散性投与量剤形として調合する。調剤は、粘膜投与に適する任意の通常の調剤であり得、とりわけ、調剤は、通常の賦形剤およびアジュバントを含み得る。
【0016】
抗原
本発明の方法に従って評価するワクチンの抗原は、個々人に対しての暴露時に免疫応答を誘発する任意の抗原であり得る。本発明の好ましい実施態様においては、抗原は、呼吸器抗原、消化器抗原、微生物抗原および昆虫抗原からなる群から選択する。本発明の特定の実施態様においては、抗原は、呼吸器抗原である。
特定の実施態様においては、抗原は、アレルゲン、例えば、吸入アレルゲンまたは昆虫アレルゲンである。抗原の他の例は、アレルゴイド類、ペプチド類、ハプテン類、炭水化物類、ペプチド核酸類(PNA類、ある種の合成遺伝子擬態物)、およびウイルスまたは細菌物質のような感染性抗原、並びにこれらのアナログまたは誘導体である。栄養物質の例は、ビタミン類、酵素類、微量元素類および微量ミネラル類、並びにこれらのアナログまたは誘導体である。薬物の例は、抗体類、抗生物質、ペプチド類、塩類、ホルモン類、溶血剤、止血剤、酵素類、酵素抑制剤類、精神薬(psycopharmica)、鎮静剤およびバルビツール酸系催眠薬、並びにこれらのアナログ類または誘導体である。
【0017】
アレルゲン
本発明の好ましい実施態様においては、アレルゲンは、個々人に対するその繰返しの暴露時にアレルギー性、即ち、IgE介在反応を誘発させることが報告されている任意の天然産タンパク質である。天然産アレルゲンの例としては、花粉アレルゲン(樹木-、草木-、雑草-および草-花粉アレルゲン)、昆虫アレルゲン(吸入、唾液および毒性アレルゲン、例えば、ダニアレルゲン、ゴキブリおよび小昆虫アレルゲン、膜翅類昆虫毒アレルゲン)、動物の毛およびフケアレルゲン(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウス等からの)、および食物アレルゲンがある。樹木、草類および草木由来の重要な花粉アレルゲンは、例えば、カバノキ(カンバ属(Betula))、ハンノキ(ハンノキ属(Alnus))、ハシバミ(ハシバミ属(Corylus))、セイヨウシデ(クマシデ属(Carpinus))およびオリーブ(オリーブ属(Olea))、ヒマラヤスギ(スギ科(CryptomeriaおよびJuniperus))、プラタナス(スギカケノキ科(Platanus))のようなブナ目(Fagales)、モクセイ目(Oleales)、マツ目(Pinales)およびスズカケノキ属(platanaceae)の分類目;例えば、ドクムギ属(Lolium)、アワガエリ属(Phleum)、イチゴツナギ属(Poa)、ギョウギシバ属(Cynodon)、オーチャードグラス(Dactylis)、シラゲガヤ(Holcus)、カナリーグラス(Phalaris)、ライムギ属(Secale)およびモロコシ属(Sorghum)の草類のようなイネ(Poales)分類目;例えば、ブタクサ属(Ambrosia)、ヨモギ属(Artemisia)およびヒカゲミズ属(Parietaria)の草木類のようなキク目(Asterales)およびイラクサ目(Urticales)の分類目由来のような起源物である。他の重要な吸入アレルゲンは、ヒョウヒダニ(Dermatophagoides)属およびシワダニ(Euroglyphus)属のイエダニ類;貯蔵庫ダニ、例えば、レピドグリフィス(Lepidoglyphys)、ニクダニ(Glycyphagus)およびコナダニ(Tyrophagus)に由来するアレルゲン;ゴキブリ、小昆虫およびノミ類、例えば、チャバネゴキブリ(Blatella)、クロゴキブリ(Periplaneta)、ユスリカ(Chironomus)およびイヌノミ(Ctenocepphalides)由来のアレルゲン;および、ネコ、イヌおよびウマのような哺乳類由来のアレルゲン;ハナバチ類(上科ミツバチ(Apidae))、カリバチ類(上科スズメバチ(Vespidea))およびアリ類(上科オオアリ(Formicoidae))のような膜翅目(Hymenoptera)の分類目からの昆虫のような刺咬昆虫由来の起源物のような毒物アレルゲンである。真菌由来の重要な吸入アレルゲンは、例えば、属:アルテルナリア(Alternaria)およびクラドスポリウム(Cladosporium)由来のような起源物である。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、アレルゲンは、Bet v 1、Aln g 1、Cor a 1およびCar b 1、Que a 1、Cry j 1、Cry j 2、Cup a 1、Cup s 1、Jun a 1、Jun a 2、jun a 3、Ole e 1、Lig v 1、Pla l 1、Pla a 2、Amb a 1、Amb a 2、Amb t 5、Art v 1、Art v 2 Par j 1、Par j 2、Par j 3、Sal k 1、Ave e 1、Cyn d 1、Cyn d 7、Dac g 1、Fes p 1、Hol l 1、Lol p 1および5、Pha a 1、Pas n 1、Phl p 1、Phl p 5、Phl p 6、Poa p 1、Poa p 5、Sec c 1、Sec c 5、Sor h 1、Der f 1、Der f 2、Der p 1、Der p 2、Der p 7、Der m 1、Eur m 2、Gly d 1、Lep d 2、Blo t 1、Tyr p 2、Bla g 1、Bla g 2、Per a 1、Fel d 1、Can f 1、Can f 2、Bos d 2、Equ c 1、Equ c 2、Equ c 3、Mus m 1、Rat n 1、Apis m 1、Api m 2、Ves v 1、Ves v 2、Ves v 5、Dol m 1、Dil m 2、Dol m 5、Pol a 1、Pol a 2、Pol a 5、Sol i 1、Sol i 2、Sol i 3およびSol i 4、Alt a 1、Cla h 1、Asp f 1、Bos d 4、Mal d 1、Gly m 1、Gly m 2、Gly m 3、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、またはこれらのいずれかの分子育種からのシャッフラントハイブリッド(shufflant hybrid)である。
本発明の最も好ましい実施態様においては、アレルゲンは、草花粉アレルゲン、イエダニアレルゲン、ブタクサアレルゲン、スギ花粉、ネコアレルゲンまたはカバノキアレルゲンである。
【0019】
本発明のさらにもう1つの実施態様においては、急速分散性固形投与量剤形は、同じアレルギー源に由来するまたは異なるアレルギー源に由来するいずれかの少なくとも2種の異なるタイプのアレルゲン、例えば、それぞれ異なるダニ種および草種に由来する草群1および草群5のアレルゲンまたはダニ群1およびダニ群2のアレルゲン;短ブタクサおよびオオブタクサアレルゲンのような雑草抗原;アルテルナリアおよびクラドスポリウムのような種々の真菌アレルゲン;カバノキ、ハシバミ、シデ、オークおよびハンノキアレルゲンのような樹木アレルゲン;ピーナツ、大豆およびミルクアレルゲンのような食物アレルゲンを含む。
急速分散性固形投与量剤形に取込ませたアレルゲンは、抽出物、精製アレルゲン、変性アレルゲン、組換えアレルゲンまたは組換えアレルゲンの変異体の形にあり得る。アレルギー性抽出物は、同じアレルゲンの1種以上のイソフォームを天然に含有するのに対し、組換えアレルゲンは、典型的には、1つのイソフォームのアレルゲンを示すだけである。好ましい実施態様においては、アレルゲンは、抽出物の形にある。もう1つの好ましい実施態様においては、アレルゲンは、組換えアレルゲンである。さらに好ましい実施態様においては、アレルゲンは、天然産の低IgE結合性変異体または組換え低IgE結合性変異体である。
各アレルゲンは、等モル量で存在し得、或いは存在する各アレルゲンの比率は、好ましくは、1:20までで変動し得る。
本発明のさらなる実施態様においては、低IgE結合性アレルゲンは、WO 99/47680号、WO 02/40676号またはWO 03/096869号に従うアレルゲンである。
【0020】
感染性抗原
本発明の好ましい実施態様においては、微生物因子は、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫またはこれらの任意の1部である。
微生物因子の例は、ビブリオ種、サルモネラ種、ボルデテラ種、ヘモフィリス種、トキソプラズマ・ゴンディイ、サイトメガロウイルス、クラミジア種、ストレプトコッカス種、ノーウォークウイルス、大腸菌、ヘリコバクターピロリ、ネコヘリコバクター、ロトウイルス、淋菌、髄膜炎菌、アデノウイルス、エプスタインバールウイルス、日本脳炎ウイルス、ニューモシスティスカリニ肺炎菌、単純ヘルペス、クロシトリジウム種、RSウイルス、クレブシエラ種、シゲラ種、緑膿菌、パルボウイルス、カンピロバクター種、リケッチャー種、水痘-帯状疱疹種、エルジニア種、ロスリバーウイルス、J. C.ウイルス、ロドコッカス-エクイ、モラクセラ カタルハリス(Moraxella catarrhalis)、ボレリア ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、パスツレラ ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)、ポリオウイルス、インフルエンザウイルス、コレラ菌およびサルモネラ エンテリカ セロバル チフィ(Salmonella enterica serovar Typhi)である。
微生物因子のさらなる例は、以下の疾病の症状を予防または軽減する因子である:インフルエンザ、結核、髄膜炎、肝炎、百日咳、ポリオ、破傷風、ジフテリア、マラリア、コレラ、ヘルペス、チフス、HIV、AIDS、麻しん、ライム病、旅行者下痢症、A型、B型およびC型肝炎、中耳炎、デング熱、狂犬病、パラインフルエンザ、風疹、黄熱病、赤痢、レジオネラ症、トキソプラズマ症、Q熱、出血熱、アルゼンチン出血熱、カリエス、シャーガス病、大腸菌により発症する尿道感染症、肺炎球菌病、おたふくかぜ、およびチクングニア熱。
【0021】
個々人に対するSAVの有効性の評価方法
本発明は、さらに、個々人に対する特異性アレルギーワクチン接種(SAV)の有効性の評価方法にも関し、該方法は、下記の工程を含む:
a) 上記個々人にSAVを受けさせる工程;
b) 上記個々人からの生物学的サンプル中の抗原に対して特異性のIgA、IgG、IgEおよびIgXからなる群から選ばれたバイオマーカー抗体のレベルを測定する工程;および、
c) 得られた測定値を使用して、SAVの有効性を評価する工程。
SAVの有効性の評価は、ワクチン接種プログラムの治療可能性の評価方法に関して説明したのと同じ形で実施する。
【0022】
定義
本発明に関しては、下記の表現を使用する:
“生物学的サンプル”とは、生物学的生物体内で排出され、分泌され或いは輸送される、血液、血漿、血清、尿および唾液のような任意の体液を意味する。
“アレルギー”なる表現は、抗原に対する任意のタイプ1、2、3または4の過敏アレルギーを意味する。
“消化器抗原”なる表現は、呼吸器系の粘膜、とりわけ、口腔、単咽頭(pharynx)、咽頭(larynx)、胃および腸の粘膜に接触する任意の抗原性因子を意味する。
“呼吸器抗原”なる表現は、消化器系の粘膜、とりわけ、鼻、口腔、単咽頭、咽頭、気管および肺の粘膜に接触する任意の抗原性因子を意味する。
“抗原”なる表現は、個々人が暴露され得る任意の抗原を意味し、個々人への暴露時に免疫応答を誘発することが報告されている或いは証明することのできる任意の天然産生また合成化合物もしくは物質、またはこれらの1部もしくは画分を称する。
“アレルゲン”なる表現は、個々人が暴露され得る任意のアレルゲンを意味し、個々人への繰返しの暴露時にアレルギー性、即ち、IgE介在反応を誘発することが報告されている任意の天然産タンパク質またはタンパク質混合物を称する。評価するアレルゲンは、アレルゲン抽出物、精製アレルゲン、変性アレルゲン、組換えアレルゲン、組換え変異体アレルゲン、10個より多いアミノ酸の任意のアレルゲンフラグメント、またはこれらの任意の組合せの形であり得る。
【0023】
用語“急速分散性固形投与量剤形”とは、口腔内で、約90秒未満、好ましくは60秒未満、好ましくは30秒未満、より好ましくは20秒未満、さらにより好ましくは10秒未満で、さらにより好ましくは口腔内に入れて5秒未満、最も好ましくは約2秒未満で崩壊する投与量剤形を称する。
用語“口内粘膜”とは、患者の口腔および単咽頭の粘膜を意味する。
“呼吸器系の粘膜”なる表現は、鼻、口腔、単咽頭、咽頭、気管および肺の粘膜を意味する。
“消化器系の粘膜”なる表現は、口腔、単咽頭、咽頭、胃および腸の粘膜を意味する。
“生殖器系の粘膜”なる表現は、腟および尿器粘膜を意味する。
用語“治療可能性”とは、抗原介在性免疫学的疾患を部分的にまたは完全に予防または治療する、或いは抗原介在性免疫学的疾患の症状を部分的にまたは完全に軽減しまたは症状の発生を抑制する能力を意味する。
用語“IgX”とは、生物学的サンプル中に存在し、アレルゲンの結合時にIgEと拮抗し得る、IgG4のようなアレルゲン特異性非IgE抗体のレベルを直接または間接的に示すパラメーターを意味する。IgXは、例えば、絶対IgXレベル、即ち、拮抗によらないイムノアッセイにおいて測定したときのIgEレベルに対する生物学的サンプルの他の成分からの拮抗(干渉)伴うイムノアッセイにおいて測定したときのIgEの比であり得る。
【0024】
(実施例1)
実施例1
急速分散性非圧縮舌下腺錠剤による草花粉アレルギー患者の治療
背景
オオアワガエリ(Phleum pratense)抽出物をアレルギー活性物質として使用する草花粉アレルギーに対するワクチンは、該アレルゲンをアジュバントとしての水酸化アルミニウムゲルと一緒に調合した皮下投与用の製剤において有効であることが知られている。
目的
舌下腺投与用の急速分散性非圧縮凍結乾燥錠剤の形のオオアワガエリ抽出物の新規な製剤(該錠剤はアジュバントを含有しない)の治療可能性(有効性)を試験すること。錠剤は、マトリックス形成剤として魚ゼラチンを含有していた。有効性試験は、安全性試験も含む第I相臨床試験の1部を構成する。
ワクチン接種プロトコール
試験対象者
草花粉シーズンにおいて中度乃至重篤のアレルギー鼻結膜炎を患いシーズン外では無症状である18〜65歳の48名の成人試験対象者。登録基準は、1) 試験対象者の臨床歴、2) 皮膚プリック試験陽性(SoluprickC SQ-U HEP Phleum pratenseにおいて >3mm)、および3) オオアワガエリに対する特異性IgE陽性(CAP群2以上)であった。
投与量および投与プログラム
48名の試験対象者を、各々12名を含む4つの群A、B、CおよびDに分割した。群A (2,500 SQ-U)は、2,500 SQ-Uを含有する1個の錠剤と2個のプラシーボ錠剤で治療する。群B (25,000 SQ-U)は、25,000 SQ-Uを含有する1個の錠剤と2個のプラシーボ錠剤で治療する。群C (75,000 SQ-U)は、25,000 SQ-Uを含有する3個の錠剤で治療する。群Dは、3個のプラシーボ錠剤で治療する。3個の錠剤は、8週間の間毎日1回投与する。8週間の治療の後、10週間の無治療が続き、その後、最初の8週間において実施したのと同じ治療を15週間続行した。
有効性試験の前に、45名の対象者が安全性試験に関与し、30名の対象者は2500から1,125,000 SQ-Uまでの増分投与量を受け、15名はプラシーボを受けた。
【0025】
測定
血液血清サンプルを、8週治療期間の0週、3〜5週および7〜8週後、並びに15週治療期間終了後の2週間で採取した。IgE、IgAおよびIgGレベルを、以下で概略するアッセイ法を使用して測定した。
IgE測定におけるアッセイ手順
IgEは、下記の手順によるツーサイトイムノアッセイを使用して、ADVIA Centaur (Bayer社)において測定した。
(a) 液体サンプルを、常磁性粒子に結合させた検出すべき上記抗体に対して特異性の群特異性抗体と混合して第1の固相複合体を調製する、
(b) 洗浄する、
(c) ビオチンに結合させたオオアワガエリアレルゲンを添加して第2の固相複合体を調製する、
(d) ストレプタビジンに結合させた化学発光性アクリジニウム化合物を添加して第3の固相複合体を調製する、
(e) 上記固相を液相から磁気により分離する、
(f) 洗浄する、
(g) 分離した固相中で、あり得る場合の化学発光反応を開始させる、そして、
(h) サンプル中の上記抗体の存在を指標し得る、発光した化学発光度を測定する。
【0026】
IgAおよびIgG測定におけるアッセイ手順
1. コーティーング:100μlのオオアワガエリ(10μg/ml)抽出物を、ELISAプレート(NUNC Maxisorp 439454)のウェルに加える。各プレートを翌日まで2〜8℃で放置せしめる。
2. 洗浄:コーティーングしたプレートを緩衝液で洗浄する。
3. ブロッキング:200μlの2%カゼイン緩衝液を各ウェルに加え、振盪台上で、室温で1時間インキュベートする。インキュベーション後、カゼイン緩衝液を除去する。
4. 血清:血清サンプルを希釈し、100μlの希釈サンプルをプレートのウェルに添加し、振盪台上で室温にて2時間インキュベートする。
5. 洗浄する。
6. 接合体:0.5%カゼイン緩衝液中に1:1000希釈した100μlのHRPマウス抗-ヒトIgG/IgAを各ウェルに添加し、室温で1時間振盪台上で放置せしめる。
7. 洗浄する。
8. 基質:100μlのTMP (3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、Kem-En-Tec TMB ONE)を各ウェルに添加して、20分間インキュベートする。
9. 停止:100μlの0.5 M H2SO4を各ウェルに添加して反応を停止させる。
10. 測定:得られた反応混合物を、450 nmのエンドポイントで分光光度測定に供する(Bio Kinetics Reader EL-340)。
【0027】
結果
結果は、図1〜12に示しており、図1〜4は、それぞれ、群A、B、CおよびDにおけるIgEレベルを示し、図5〜8は、それぞれ、群A、B、CおよびDにおけるIgAレベルを示し、図9〜12は、それぞれ、群A、B、CおよびDにおけるIgGレベルを示す;各図は、4つの測定時点(0週、4週(3〜5週間で得たサンプル)、8週(7〜8週間で得たサンプル)、および終了点(15週間治療期間終了後2週間))における抗体レベル(IgEにおいてはkU/L、IgAおよびIgGにおいては1名のアレルギー患者からの参照血清と比較したときの相対力価)を示している。抗体レベルは、治療群における平均値である。
図1〜4からは、以下が明らかである:治療群A (プラシーボ)においては、IgEレベルの上昇は、投与期間に亘って記録されていない。治療群B (2500 SQ)においては、29から58へのIgEレベルの連続上昇が期間に亘って記録されている。治療群C (25000 SQ)においては、31から94へのIgEレベルの連続上昇が観察されている。最後に、治療群D (75000 SQ)においては、IgEレベルは、0週での34から4週での168の最高値に鋭敏に上昇しており、その後、8週で159に下がり、終了時に86までさらに下がっている。群Dにおける経時プロフィールは、有効な特異的アレルギーワクチン接種を意味する所望のプロフィールを示すものとみなす。
図5〜8からは、IgAレベルの上昇は、治療群AおよびBにおいては記録されていないようである。治療群CおよびDにおいては、IgAレベルは、投与期間に亘って着実に上昇している。
図9〜12からは、IgGレベルの上昇は、治療群AおよびBにおいては記録されていないようである。治療群CおよびDにおいては、IgGレベルは、投与期間に亘って着実に上昇している。
図1〜12に示した結果を、下記の表1にさらにリストしている。
【0028】
表1

【0029】
実施例2
急速分散性非圧縮舌下腺錠剤による草花粉アレルギー患者の治療
背景
オオアワガエリ抽出物をアレルギー活性物質として使用する草花粉アレルギーに対するワクチンは、該アレルゲンをアジュバントとしての水酸化アルミニウムゲルと一緒に調合した皮下投与用の製剤において有効であることが知られている。
目的
舌下腺投与用の急速分散性非圧縮凍結乾燥錠剤の形のオオアワガエリ抽出物の新規な製剤(該錠剤はアジュバントを含有しない)の治療可能性(有効性)を試験すること。錠剤は、マトリックス形成剤として魚ゼラチンを含有していた。有効性試験は、安全性試験も含む第I相臨床試験の1部を構成する。
ワクチン接種プロトコール
試験対象者
草花粉シーズンにおいて中度乃至重篤のアレルギー鼻結膜炎を患いシーズン外では無症状である18〜65歳の9名の成人試験対象者。登録基準は、1) 試験対象者の臨床歴、2) 皮膚プリック試験陽性(SoluprickC SQ-U HEP Phleum pratenseにおいて >3mm)、および3) オオアワガエリに対する特異性IgE陽性(CAP群2以上)であった。
投与量および投与プログラム
6名の対象者を1.000.000 SQ-Uの投与日量に相当する多数の錠剤で28日の期間治療し、3名をプラシーボで同じ期間治療した。
測定
生物学的サンプルは、治療の開始時および最後の日の1〜2週間後に採取した。IgEレベルは、実施例1に記載したアッセイを使用して測定した。
結果
結果は、図13〜14に示しており、図13は、治療期間の開始時および1〜2週間後のプラシーボで治療した患者群におけるIgEレベルを示しており、図14は、治療期間の開始時および1〜2週間後の1000000 SQの投与量で治療した患者群におけるIgEレベルを示している。
図13から明らかなように、IgEレベルは、プラシーボ群においては治療期間中変化していないのに対し、IgEレベルは、約0.31から約1.79に上昇している。
【0030】
実施例3
急速分散性非圧縮舌下腺錠剤による草花粉アレルギー患者の治療
背景
オオアワガエリ抽出物をアレルギー活性物質として使用する草花粉に対するアレルギーワクチンは、該アレルゲンをアジュバントとしての水酸化アルミニウムと一緒に調合した皮下投与用の製剤において有効であることが知られている。
目的
舌下腺投与用の急速分散性非圧縮凍結乾燥錠剤の形のオオアワガエリ抽出物の新規な製剤(該錠剤はアジュバントを含有しない)の治療可能性(有効性)を試験すること。錠剤は、マトリックス形成剤として魚ゼラチンを含有していた。該有効性試験は、第IIb〜第III相臨床試験の1部を構成する。
ワクチン接種プロトコール
試験対象者
草花粉シーズンにおいて中度乃至重篤のアレルギー鼻結膜炎を患いシーズン外では無症状である18〜65歳の855名の成人試験対象者。登録基準は、1) 試験対象者の臨床歴、2) 皮膚プリック試験陽性(SoluprickC SQ-U HEP Phleum pratenseにおいて >3mm)、および3) オオアワガエリに対する特異性IgE陽性(CAP群2以上)であった。試験対象者等は、デンマーク、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、オーストリア、イングランド、スイスおよびカナダに居住していた。
【0031】
投与量および投与プログラム
855名の試験対象者を、それぞれ、136名、136名、139名、141名、150名および153名を含む6群1、2、3、4、5および6に分割した。
群1は、プラシーボと活性抗-ヒスタミン剤で治療した。
群2は、2500 SQのアレルゲン投与量と活性抗-ヒスタミン剤で治療した。
群3は、25000 SQのアレルゲン投与量と活性抗-ヒスタミン剤で治療した。
群4は、75000 SQのアレルゲン投与量と活性抗-ヒスタミン剤で治療した。
群5は、プラシーボとプラシーボ抗-ヒスタミン剤で治療した。
群6は、75000 SQのアレルゲン投与量とプラシーボ抗-ヒスタミン剤で治療した。
治療は、オオアワガエリ花粉シーズン開始予想前の約8週間(予備治療期間)、花粉シーズン中、および花粉シーズン後の1週間(後治療期間)において毎日実施した。花粉シーズン期間は、トロンヘイム(ノルウェー)での12日間からドイツのカルルスルーエでの86日間まで変動していた。
【0032】
測定
血液サンプルは、予備治療期間(図15〜22における予備治療)の開始時、花粉シーズン(図15〜22における治療)の開始時、および後治療(図15〜22における後治療)の終了時に採取した。IgEレベルは、実施例1に記載したアッセイを使用して測定した。IgXパラメーターは、IgEレベル(拮抗)/IgEレベル(無拮抗)として測定した。IgEれべる(無拮抗)は、実施例1において記載したアッセイを使用して測定した。IgEレベル(拮抗)は、下記のアッセイ手順を使用して測定した:
(a) 液体サンプルを、常磁性粒子に結合させた検出すべき上記抗体に対して特異性の群特異性抗体と混合して第1の固相複合体を調製する、
(b) ビオチンに結合させたオオアワガエリアレルゲンを添加して第2の固相複合体を調製する、
(c) ストレプタビジンに結合させた化学発光性アクリジニウム化合物を添加して第3の固相複合体を調製する、
(d) 上記固相を液相から磁気により分離する、
(e) 洗浄する、
(f) 分離した固相中で、あり得る場合の化学発光反応を開始させる、そして、
(h) サンプル中の上記抗体の存在を指標し得る、発光した化学発光度を測定する。
【0033】
結果
IgE結果は、図15〜18および下記の表2および3に示している;図15は、ITT集団の群1〜4におけるIgEレベルを示し、図16は、ITT集団の群1、5および6におけるIgEレベルを示し、図17は、PP集団の群1〜4におけるIgEレベルを示し、図18は、PP集団の群1、5および6におけるIgEレベルを示す。ITTは、包括解析(Intention To Treat)を意味し、本試験において出発する全ての対象者を含み、PPは、プロトコール毎(Per Protocol)を意味し、計画プロトコールに従って治療した対象者全てを含む。表2は、図15および16の全ての値を含み、表3は、図17および18の全ての値を含む。
図15〜18並びに表2および3から明らかなように、群1および5においては、予備治療から治療までのIgEレベルにおける上昇は記録されず、治療から後治療までのIgEレベルにおける小さな上昇が記録されている。群2においては、IgEレベルの中程度の安定な上昇が記録されている。群3、4および6においては、予備治療から治療までのIgEレベルにおける鋭敏な上昇が記録され、その後、治療から後治療までのプラトー期が続く。群4においては、IgEレベルは、プラトー期において僅かに低下している。群3、4および6、とりわけ群4の経時的プロフィールは、有効な特異的アレルギーワクチン接種を意味する所望のプロフィール示すものとみなされる。
IgX結果は、図19〜22および下記の表4および5に示している;図19は、ITT集団の群1〜4におけるIgXレベルを示し、図20は、ITT集団の群1、5および6におけるIgXレベルを示し、図21は、PP集団の群1〜4におけるIgXレベルを示し、図22は、PP集団の群1、5および6におけるIgXレベルを示す。ITTは、包括解析を意味し、本試験において出発する全ての対象者を含み、PPは、プロトコール毎を意味し、計画プロトコールに従って治療した対象者全てを含む。表4は、図19および20の全ての値を含み、表5は、図21および22の全ての値を含む。
図19〜22並びに表4および5から明らかなように、群1および5においては、予備治療から治療までのIgXレベルにおける低下は記録されず、治療から後治療までのIgXレベルにおける小さな低下が記録されている。群2および3においては、IgXレベルの中程度の安定な低下が記録されている。群4および6においては、予備治療から治療までのIgXレベルにおける強い低下が記録され、その後、治療から後治療までのあまり強くない低下が続く。群4においては、IgXレベル低下の殆どは、予備治療から治療までの期間において生じている。群4および6、とりわけ群4の経時的プロフィールは、有効な特異的アレルギーワクチン接種を意味する所望のプロフィール示すものとみなされる。




































【0034】
表2:ITT集団における草特異性IgE (kU/L)














【0035】
表3:PP集団における草特異性IgE (kU/L)














【0036】
表4:ITT集団における草特異性IgX














【0037】
表5:PP集団における草特異性IgX

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】投与期間の4つの時間点における、プラシーボによって治療した患者群のIgEレベルを示す。
【図2】投与期間の4つの時間点における、2500 SQの投与量によって治療した患者群のIgEレベルを示す。
【図3】投与期間の4つの時間点における、25000 SQの投与量によって治療した患者群のIgEレベルを示す。
【図4】投与期間の4つの時間点における、75000 SQの投与量によって治療した患者群のIgEレベルを示す。
【図5】投与期間の4つの時間点における、プラシーボによって治療した患者群のIgAレベルを示す。
【図6】投与期間の4つの時間点における、2500 SQの投与量によって治療した患者群のIgAレベルを示す。
【図7】投与期間の4つの時間点における、25000 SQの投与量によって治療した患者群のIgAレベルを示す。
【図8】投与期間の4つの時間点における、75000 SQの投与量によって治療した患者群のIgAレベルを示す。
【図9】投与期間の4つの時間点における、プラシーボによって治療した患者群のIgGレベルを示す。
【図10】投与期間の4つの時間点における、2500 SQの投与量によって治療した患者群のIgGレベルを示す。
【図11】投与期間の4つの時間点における、25000 SQの投与量によって治療した患者群のIgGレベルを示す。
【図12】投与期間の4つの時間点における、75000 SQの投与量によって治療した患者群のIgGレベルを示す。
【0039】
【図13】治療期間の開始時および1〜2週間後における、プラシーボによって治療した患者群のIgEレベルを示す。
【図14】治療期間の開始時および1〜2週間後における、1000000 SQの投与量によって治療した患者群のIgEレベルを示す。
【図15】投与期間中の3つの時間点における、包括解析(ITT)集団の治療群1〜4のIgEレベルを示す。
【図16】治療期間中の3つの時間点における、包括解析(ITT)集団の治療群1、5および6のIgEレベルを示す。
【図17】治療期間中の3つの時間点における、プロトコール毎(PP)集団の治療群1〜4のIgEレベルを示す。
【図18】治療期間中の3つの時間点における、プロトコール毎(PP)集団の治療群1、5および6のIgEレベルを示す。
【図19】治療期間中の3つの時間点における、包括解析(ITT)集団の治療群1〜4のIgXレベルを示す。
【図20】治療期間中の3つの時間点における、包括解析(ITT)集団の治療群1、5および6のIgXレベルを示す。
【図21】治療期間中の3つの時間点における、プロトコール毎(PP)集団の治療群1〜4のIgXレベルを示す。
【図22】治療期間中の3つの時間点における、プロトコール毎(PP)集団の治療群1、5および6のIgXレベルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含むことを特徴とする、1種以上の抗原を含む粘膜投与用ワクチンおよびワクチン接種プロトコールを含むワクチン接種プログラムの治療可能性の評価方法:
a) 少なくとも1名の試験個々人を前記ワクチン接種プログラムに供する工程;
b) 前記試験個々人からの生物学的サンプル中の前記抗原に対して特異性のIgA、IgG、IgEおよびIgXからなる群から選ばれたバイオマーカー抗体レベルを測定する工程;および、
c) 得られた測定値を使用して、前記ワクチン接種プログラムの治療可能性を評価する工程。
【請求項2】
得られた測定値の評価を、参照の経時的バイオマーカー抗体レベルプロフィールと比較することによって実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
バイオマーカー抗体がIgEである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
IgEレベルが、ワクチン接種プログラムの開始時のレベルと比較して、50%よりも高く、好ましくは100%よりも高く、より好ましくは200%よりも高く、より好ましくは300%よりも高く、より好ましくは400%よりも高く上昇する、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
IgEレベルの上昇が、ワクチン接種プログラムの開始時から12週間以内、好ましくは10週間以内、より好ましくは8週間以内、好ましくは4週間以内で生じる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
IgEレベルが、最高値を有し、その後低下を伴う、請求項2〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
IgEレベルの最高値が、ワクチン接種プログラムの開始時から12週間以内、好ましくは10週間以内、より好ましくは8週間以内、より好ましくは4週間以内で発生する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
IgEレベルが、最高値の90%よりも低い、好ましくは80%よりも低い、より好ましくは70%よりも低い、より好ましくは60%よりも低い、最も好ましくは50%よりも低いレベルに低下する、請求項6または7項記載の方法。
【請求項9】
IgEレベルの低下が、最高値の時点から26週間以内、好ましくは20週間以内、より好ましくは16週間以内、より好ましくは12週間以内、より好ましくは8週間以内、最も好ましくは4週間以内で生じる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
バイオマーカー抗体がIgAである、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
IgAレベルが、ワクチン接種プログラムの開始時のレベルと比較して、50%よりも高く、好ましくは100%よりも高く、より好ましくは200%よりも高く、より好ましくは300%よりも高く、最も好ましくは400%よりも高く上昇する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
IgAレベルの上昇が、投与開始から20週間以内、好ましくは16週間以内、より好ましくは12週間以内、最も好ましくは8週間以内で生じる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
バイオマーカー抗体がIgGである、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
IgGレベルが、ワクチン接種プログラムの開始時のレベルと比較して、50%よりも高く、好ましくは100%よりも高く、より好ましくは200%よりも高く、より好ましくは300%よりも高く、最も好ましくは400%よりも高く上昇する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
IgGレベルの上昇が、投与開始から20週間以内、好ましくは16週間以内、より好ましくは12週間以内、最も好ましくは8週間以内で生じる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
バイオマーカー抗体がIgXである、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
IgXを、拮抗によらないイムノアッセイにおいて測定したときのIgEレベルに対する前記生物学的サンプルの他の成分からの拮抗を伴うイムノアッセイにおいて測定したIgEレベルの比として表す、請求項16記載の方法。
【請求項18】
IgXレベルが、ワクチン接種プログラムの開始時のレベルと比較して、4%よりも多く、好ましくは6%よりも多く、より好ましくは8%よりも多く、より好ましくは10%よりも多く、より好ましくは12%よりも多く、最も好ましくは14%よりも多く低下する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
IgXレベルの低下が、投与開始から24週間以内、好ましくは16週間以内、より好ましくは12週間以内、最も好ましくは8週間以内で生じる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ワクチン接種プロトコールが、試験個々人への毎日、1日おき、2日おきまたは3日おきのワクチン投与を含む、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記ワクチン接種プロトコールが、4週間よりも長い、好ましくは8週間よりも長い、より好ましくは12週間よりも長い、より好ましくは16週間よりも長い、より好ましくは20週間よりも長い、より好ましくは24週間よりも長い、より好ましくは30週間よりも長い、最も好ましくは36週間よりも長い期間のワクチン投与を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記投与期間が、連続期間である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記投与期間が、1以上の無投与期間によって遮断された不連続期間である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記無投与期間が、前記投与期間よりも短い、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記ワクチンを、試験個々人に1日1回投与する、請求項20〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記ワクチンを、試験個々人に1日2回投与する、請求項20〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記ワクチンが、単回投与量ワクチンである、請求項20〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記ワクチンを、口内粘膜、呼吸器系の粘膜、消化器系の粘膜、直腸粘膜および生殖器粘膜を介しての投与に適応するように調合したワクチン類からなる群から選択する、請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記ワクチンを、口内粘膜を介する投与に適応するように調合する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記ワクチンを、溶液、懸濁液、急速分散性投与量剤形、ドロップ剤およびトローチ剤として調合したワクチン類からなる群から選択する、請求項1〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記ワクチンを、急速分散性投与量剤形として調合する、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記抗原を、呼吸器抗原、消化器抗原、微生物抗原および昆虫抗原からなる群から選択する、請求項1〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記抗原が、呼吸器抗原である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記抗原が、アレルゲンである、請求項32または33記載の方法。
【請求項35】
前記抗原が、吸入アレルゲンである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
生物学的サンプル中の前記抗原に対して特異性のバイオマーカー抗体IgA、IgGおよび/またはIgEレベルの測定を、1) 前記アレルゲンをELISAプレート上にコーティーングし、洗浄する工程、2) 前記生物学的サンプルを添加して、インキュベートし、洗浄する工程、3) 酵素と抗-バイオマーカー抗体の接合体を添加し、インキュベートし、洗浄する工程、4) 酵素基質を添加し、インキュベートし、反応を停止させる工程、および5) 反応した基質レベルを測定する工程を含むELISAによって実施する、請求項1〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
生物学的サンプル中の前記抗原に対して特異性のバイオマーカー抗体IgA、IgEおよび/またはIgGレベルの測定を、下記の工程を含むツーサイトイムノアッセイによって実施する請求項1〜35のいずれか1項記載の方法:
(a) (i) 前記生物学サンプルと(ii) 固相に結合させた、検出すべき前記抗体に対して特異性の群特異性抗体とを混合して、液相と2成分固相複合体の混合物を調製する工程;
(b) 前記2成分固相複合体を前記液相から分離し、分離した2成分固相複合体を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(c) (iii) 抗原、抗体またはハプテンの形のリガンド、および(iv) 標識化合物を添加して、4成分固相複合体を調製する工程;
(d) 前記4成分固相複合体を液相から分離する工程;
(e) 分離した4成分固相を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(f) 洗浄した標識化4成分複合体の検出/測定を実施する工程。
【請求項38】
前記ツーサイトイムノアッセイが化学発光標識およびビオチン結合リガンドを使用する抗体に対するツーサイトイムノアッセイを含み、該方法が下記の工程を含む、請求項37記載の方法:
(a) (i) 前記生物学サンプルと(ii) 常磁性粒子に結合させた、検出すべき前記抗体に対して特異性の群特異性抗体とを混合して、液相と2成分固相複合体の混合物を調製する工程;
(b) 前記2成分固相複合体を前記液相から磁気により分離し、分離した2成分固相複合体を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(c) (iii) ビオチンまたはその官能性誘導体に結合させた抗原、抗体またはハプテンの形のリガンド、および(iv) アビジン、ストレプタビジンまたはこれらの官能性誘導体に結合させた化学発光性アクリジニウム化合物を添加して、4成分固相複合体を調製する工程;
(d) 前記4成分固相複合体を液相から磁気により分離する工程;
(e) 分離した4成分固相を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(f) 洗浄した固相内で、あり得る場合の化学発光反応を開始させ、あり得る場合の得られた化学発光を検出/測定する工程。
【請求項39】
IgXを、拮抗によらないイムノアッセイにおいて測定したときのIgEレベルに対する前記生物学的サンプルの他の成分からの拮抗を伴うイムノアッセイにおいて測定したIgEレベルの比として測定する、請求項1〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
拮抗によるイムノアッセイにおいて測定するときのIgEを、下記の工程を含むイムノアッセイにおいて測定する、請求項39記載の方法:
(a) 前記生物学的サンプルを、ビオチンまたはその官能性誘導体に結合させた抗原、抗体またはハプテンの形のリガンド;常磁性粒子に結合させた、検出すべき前記抗体に対して特異性の群特異性抗体;および、アビジン、ストレプタビジンまたはこれらの官能性誘導体に結合させた化学発光性アクリジニウム化合物を混合して、4成分固相複合体を調製する工程;
(b) 前記4成分固相複合体を液相から磁気により分離する工程;
(c) 分離した4成分固相を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(d) 分離した固相内で、あり得る場合の化学発光反応を開始させ、あり得る場合の得られた化学発光を検出/測定する工程。
【請求項41】
拮抗によらないイムノアッセイにおいて測定するときのIgEを、下記の工程を含むイムノアッセイにおいて測定する、請求項39または40記載の方法:
(a) (i) 前記生物学サンプルと(ii) 常磁性粒子に結合させた、検出すべき前記抗体に対して特異性の群特異性抗体とを混合して、液相と2成分固相複合体の混合物を調製する工程;
(b) 前記2成分固相複合体を前記液相から磁気により分離し、分離した2成分固相複合体を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(c) (iii) ビオチンまたはその官能性誘導体に結合させた抗原、抗体またはハプテンの形のリガンド、および(iv) アビジン、ストレプタビジンまたはこれらの官能性誘導体に結合させた化学発光性アクリジニウム化合物を添加して、4成分固相複合体を調製する工程;
(d) 前記4成分固相複合体を液相から磁気により分離する工程;
(e) 分離した4成分固相を洗浄して複合体を結合していない化合物を除去する工程;
(f) 洗浄した固相内で、あり得る場合の化学発光反応を開始させ、あり得る場合の得られた化学発光を検出/測定する工程。
【請求項42】
前記生物学的サンプルを、血液、血漿、血清、尿、唾液および鼻分泌物からなる群から選択する、請求項1〜41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれか1項記載の方法によって取得し得るワクチン。
【請求項44】
下記の工程を含むことを特徴とする、粘膜特異性アレルギーワクチン接種(SAV)の個々人に対する有効性の評価方法:
a) 前記個々人に粘膜SAVを受けさせる工程;
b) 前記個々人からの生物学的サンプル中の抗原に対して特異性のIgA、IgG、IgEおよびIgXからなる群から選ばれたバイオマーカー抗体のレベルを測定する工程;および、
c) 得られた測定値を使用して、SAVの有効性を評価する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−524096(P2007−524096A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500050(P2007−500050)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000123
【国際公開番号】WO2005/083385
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(503055934)
【Fターム(参考)】