説明

精神疾患患者治療用個室システム

【課題】 精神疾患患者の病状に応じて個室の使用範囲区分を変えることができる精神疾患患者治療用個室システムを提供する。
【解決手段】 四方を囲い壁1aで囲まれた内部空間を仕切壁1b、1cにより居住室2とトイレ室3や洗面室4に区分し、前記囲い壁1a及び居住室2に遮音力を高めた施錠可能なドア5を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精神疾患患者の病状に応じて個室の使用範囲区分を変えることができる精神疾患患者治療用個室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の精神疾患患者治療用個室は10平方メートル程度の広さの部屋にトイレだけが設けられ、ベッドは配置されていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の治療用個室はトイレが設けられているので、便器内の水を飲んで水中毒を起こしたり、トイレが壊されたりする問題点があり、又ベッドは必要な時にその都度配置する必要があった。
【0004】
本発明は、これらの問題点を解消し、ベッドは常時配置されていると共にトイレの破壊や水中毒の防止のために不使用時にはトイレ室を施錠したり、又洗面室を開錠して快適性を良くしたり、更に庭などの室外にも出ることができる様に戸口を開けたりして、病状の改善状態に応じて治療用個室の使用範囲区分を変えていくことができる精神疾患患者治療用個室システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の目的を達成すべく、居住室と少なくともトイレ室からなる治療用個室の窓を屋内側を衝撃に強い2重窓に形成すると共に、該2重窓の上方中間部に上下方向に伸縮可能なロールカーテンを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この様に本発明によると、四方を囲い壁で囲った内部空間を居住室とトイレ室や洗面室で区分し、その区分個所の所定ドアを施錠したり、開錠することにより、治療段階に応じた行動制限を行い、水中毒や器物破損などの危険性を排除し、患者の快適性を高めた治療を行える効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態の個室システムの平面説明図である。
【図2】1番目の病状状態の患者に対しての個室内の区分説明図である。
【図3】2番目の病状状態の患者に対しての個室内の区分説明図である。
【図4】3番目の病状状態の患者に対しての個室内の区分説明図である。
【図5】4番目の病状状態の患者に対しての個室内の区分説明図である。
【図6】5番目の病状状態の患者に対しての個室内の区分説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の個室システムの平面説明図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態のシステム構成図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態の断面説明図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態の側面説明図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態の断面説明図である。
【図12】その収納時の断面説明図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態の説明斜視図である。
【図14】本発明の第8の実施の形態の平面断面図である。
【図15】その側面断面図である。
【図16】作動の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第1の実施の形態を図1により説明する。
【実施例1】
【0009】
1は本発明の第1の実施の形態である精神疾患患者治療用の個室システムを示し、該個室システム1は四方を囲い壁1aで囲った内部空間を居住室2とトイレ室3及び洗面室4に仕切った使用区分からなり、この内部空間の一辺側の部分に該トイレ室3と該洗面室4とが並設され、第1仕切壁1bにより該洗面室4と前記居住室2に区分され、第2仕切壁1cにより該トイレ室3と洗面室4とが区分されている。
【0010】
これら居住室2、トイレ室3、洗面室4の仕切壁1b、1cには遮音力を高めた各々施錠可能なドア5が設けられ、該居住室2とトイレ室3との間の仕切壁1bに第1ドア5aと第2ドア5bが、該居住室2と洗面室4との間の仕切壁1bに第3ドア5cが、該トイレ室3と洗面室4との間の仕切壁1cに第4ドア5dがそれぞれ設けられ、更に該洗面室4側の囲い壁1aに室外への出入口1dが設けられ、出入口1dに施錠可能な引き戸1eが設けられている。尚、ドア5a、5b、5cは金属製ドアで内部にゴム板などを貼付して遮音力を高めている。又、ドア5dは木製ドアである。
【0011】
又、居住室2内には常時折り畳み可能なベッド6が配置されているが、病状により患者を拘束可能とする拘束ベッドを使用することがある。
【0012】
更に、トイレ室3内には便器3aと手洗器3bとが設けられ、洗面室4内には洗面台4aが設けられている。そして該便器3aをステンレス製にすることにより壊されることがない。
【0013】
次に、本発明の第1の実施の形態である個室システム1の使用方法を図2乃至図6により説明する。
【0014】
患者の病状の状態を重度から軽度への5つに大別する。
【0015】
先ず、最も重度の自殺企図、自傷行為や暴力行為、器物破損などが著しい状態の患者の場合には患者を拘束する必要がある。
【0016】
この場合には図2に示す如く、居住室2内に拘束用のベッド6を配置し、ドア5a、5b、5c、5d及び引き戸1eは全て施錠し、トイレ室3はトイレ使用時のみ係員が開錠する。
【0017】
又、拘束用のベッド6が配置されているので拘束などの対応を直ちに行うことができる。
【0018】
次に2番目の状態として、器物破損などの暴力行為はあるが、拘束を必要とせず、歩く方がストレスを解消できる状態の患者の場合には、図3に示す如く、歩く場所を確保するためにベッド6を設置しないか又は折り畳み、ドア5a、5b、5c、5d及び引き戸1eは全て施錠し、患者から要求のあった時のみ係員がトイレ室3のドア5aを開錠する。
【0019】
尚、患者がドア5を叩いたりしても遮音力を高めてあるので大きな音が外部に漏れない。
【0020】
次に3番目の状態として、器物破損はないが、興奮したり、他の患者への迷惑行為があったりする状態の患者の場合には、図4に示す如く、常にベッド6を設置し、ドア5a、5bを開錠して壁面に密着して拡げトイレ室3のみ使用自由とするが、水中毒の恐れがある場合はトイレの水と手洗器3bの水を止めることができる。尚、ドア5aは囲い壁1aに平らに密着し、凹凸がなく安全である。
【0021】
次に4番目の状態として、他の患者との対人関係によるトラブルが続く状態の患者の場合には、図5に示す如く、引き戸1eのみ施錠して室外への出入を禁止し、トイレ室3及び洗面室4の使用は自由とし、洗顔などできて快適性が良くなる。
【0022】
最後に、最も病状が良くなってくると、図6に示す如く、トイレ室3と洗面室4の使用自由に加えて、引き戸1eの施錠も外して、庭などの室外へ出て外の空気を吸うこともできて、一般病室として使用し、他の患者がいる病棟へ移る準備期間となる。
【0023】
尚、図5及び図6に示す4番目と5番目の状態の患者の場合は、ドア5a、5bを施錠してトイレ室3への出入は洗面室4を通りドア5dから行うと、居住室2への臭気洩れなどの不快感を少なくすることができる。
【0024】
又、トイレ室3と洗面室4とを並設すると、居住室2の仕切りに凹凸がなく安全となり、更に洗面室4の部分を室外との出入部分にすることができ、更に又、水回りの工事が近接しているので容易となり、又、既存病棟を改造して転用することができる。
【0025】
上記の様に、従来のトイレだけが設けられた個室に対して、患者の切迫した状態や病状の改善状態に応じて、ベッドに拘束したり、トイレ室や洗面室の使用自由に加えて室外へも出ることができるなど、所定のドアの施錠、開錠により個室の使用範囲区分を変えることができる。
【0026】
次に、本発明の第2の実施の形態を図7により説明する。
【実施例2】
【0027】
本発明の第2の実施の形態である精神疾患患者治療用の個室システム11は居住室2とトイレ室3との区分に形成され、前記第1の実施の形態の洗面室のない言わば簡易型であることが特徴である。
【0028】
該個室システム11は四方を囲い壁1aで囲んだ内部空間の1隅部に設けた便器3aを仕切壁1bと遮音力を高めた施錠可能なドア5で囲んだトイレ室3と該トイレ室3を除く内部空間がやや広い居住室2となり、囲い壁1aに設けた出入口1dには施錠可能なドア又は引き戸1eが設けられて室外への出入を制限し、居住室2にはベッド6が配置されている。
【0029】
この個室システム11は前記第1の実施の形態で述べた1番目乃至3番目迄の状態の患者の治療用に適している。
【0030】
又、この個室システム11は、比較的工事が容易であるだけでなく、従来のトイレが設けられている既存の治療用の個室を、このトイレ部分を仕切壁1bと施錠可能なドア5で囲むことにより、容易にこの個室システム11に形成することができて、トイレ破壊や水中毒の害を防止することができる。
【0031】
次に、本発明の第3の実施の形態を図8により説明する。
【実施例3】
【0032】
この第3の実施の形態においては精神疾患患者治療用の個室システムの前記居住室2の天井面などにマイクロホンを設置して、その各個室からの音声をナースステーションなどで常時モニタできるようにして、患者の安全を守ると共にカメラによらず音声モニタにより患者のプライバシーを高めたことが特徴である。
【0033】
前記第1及び第2の実施の形態で示した居住室2と少なくともトイレ室3とからなる例えば4つの個室を1管理単位とし、これら各治療用個室の前記居住室2の天井面又は前記囲い壁1aにマイクロホン24とスピーカ25を設けた。
【0034】
音声モニタ機能として、前記各マイクロホン24は各居住室2の音響条件の差異と時間的な感度低下などを常時一定レベルに保つためのレベル調整回路24aを介在して音声モニタ切換装置22に接続され、該音声モニタ切換装置22は音圧を表示するためのAUメータ22aと4つの個室別の音圧信号を切換えるための探知切換スイッチ22bと4つの個室別の音声を切換えるためのモニタ切換スイッチ22cと全4つの個室への一斉指令ボタン22dと各個室別の個室指令ボタン22eとを備え、更に、所定の時間周期で自動的に4つの個室を順次移行切換を行うための音圧信号の時間設定ボタン22fと音声の時間設定ボタン22gとを備えており、該音声モニタ切換装置22に接続したインターホン親機23のスピーカ23aから音声モニタ時には音声が出る。又前記探知切換スイッチ22bとモニタ切換スイッチ22cとを1回押せば特定の個室に手動で切り換り、2回押せば自動切り換えに戻り、更に、自動切り換えの時間周期は時間設定ボタン22f、22gを押すことにより、例えば、音圧信号は2秒毎の切り換えとすると8秒間で全4つの個室の音圧信号をAUメータ22aで確認することができ、又音声は5秒毎の切り換えとすると20秒間で全4つの個室の音声をモニタすることができる。
【0035】
次にインターホン機能として、前記一斉指令ボタン22dか個室指令ボタン22eかを押してから前記インターホン親機23のトークボタン23cを押してマイク23bで話すと前記各個室に設けられたスピーカ25から音が出て、又患者側からは各個室内で話せば前記天井面2a等に設けたマイクロホン24が音を拾って該インターホン親機23のスピーカ23aから音が出たり又、同時通話も可能である。
【0036】
次に本発明の第3の実施の形態の音声モニタシステムの使用方法を説明する。
【0037】
例えばある個室内で患者が大声を上げたり、あばれたりして大きな音を立てるとAUメータ22aの針は大きく振れるので探知切換スイッチ22bでその特定の個室を探すか、スピーカ23aから例えば5秒間音がするのでモニタ切換スイッチ22cで切り換えてモニタして、その状況によりトイレ室を開錠したり、インターホン親機23を使って声をかけてなだめたりし、患者の安全を確保したり、要望に対応することができ、又、食事や消灯などは一斉指令ボタン22dにより全個室に伝達する。更に前記スピーカ25により各個室の前で通常のインターホンとして使用することができる。
【0038】
又、特定の個室を音声モニタしている時もAUメータの振れを見ることにより他の複数の個室もモニタすることができる。
【0039】
更に、カメラによってモニタすると患者のプライバシーを守れず、又、カメラを意識して落ち着かないが、音声モニタではマイクロホンは意識されず患者の安全を常時見守りながらプライバシーも高めることができる。
【0040】
尚、夜間などにはAUメータ22aの振れを見ることにより4個室の数単位の該音声モニタシステムを同時にモニタすることができる。
【0041】
次に本発明の第4の実施の形態を図9により説明する。
【実施例4】
【0042】
この第4の実施の形態においては、前記第1及び第2の実施の形態の居住室2と少なくともトイレ室からなる治療用個室の囲い壁1aに設けた窓33を屋外に面した外窓33aと屋内側の内窓33bとからなる2重窓に形成し、該外窓33aは既設のガラス窓であってもよく、内窓33bは衝撃に強い針金やフィルム入りの強化ガラスやアクリル樹脂板で形成すると共に、外窓33aと内窓33bとの中間部の窓枠34の上方に上下方向に伸縮可能なロールカーテン32とを設置した。
【0043】
この様に伸縮できるカーテン32により、カーテンを下げて患者を見えなくすることができ、又、患者の状態が良くなればカーテンを上げて屋外が見える様にすることができ、更に2重窓にすることにより内外からの音を低くすることができ、更に又、丈夫な内窓33bにより患者の怪我を防止することができる。
【0044】
尚、カーテンは左右に開閉するものでもよい。
【0045】
本発明の第5の実施の形態を図10により説明する。
【実施例5】
【0046】
この第5の実施の形態においては前記居住室2の囲い壁1a内に収納ベッドを設けて、患者の病状や必要に合せて、設置したり、収納して床面を広く使用できることが特徴である。
【0047】
前記第1及び第2の実施の形態で示した居住室2の囲い壁1aに収納可能な収納ベッド42を設け、収納時には該囲い壁1aの壁面と同一面を形成すると共に施錠して該囲い壁1aに係止している。
【0048】
該収納ベッド42の根部42aは上下方向に移動可能なスライド部43に枢支され、該スライド部43は前記囲い壁1aや居住室2の床面などにしっかりと設置されている平行ガイド44の間を所定高さの範囲で上下方向に移動し、前記収納ベッド42のベッドの高さを電動又は手動操作により調整している。又、収納ベッド42は前記根部42aを中心に収納時は起立し、使用時は前傾して水平位置となってロックされ、前傾する時、いきなり倒れると危険であるから該根部42aの個所と前記スライド部43との間を油圧やエアシリンダによる緩衝手段45が設けられている。
【0049】
更に、前記根部42aやスライド部43の荷重を分担するために該収納ベッド42の先端部42bに折り畳み式の上下の高さ調整可能な補助脚46を設ける様にしてもよい。
【0050】
次に本発明の第5の実施の形態の使用方法を説明する。
【0051】
使用時には、前記囲い壁1aの上方のロック47を開錠し、該収納ベッド42はエアシリンダなどの緩衝手段45の作動によりゆっくりと前傾してベッドが水平となったら水平位置でロックされて係止し、スライド部43を手動操作などにより患者の病状や体格に合せて高さ調整をし、補助脚46を使用する時には折り畳んだ左右の脚を床面側に回動してロックし、脚の長さを調整して伸ばして、該スライド部43と同じ高さとすることにより、衝撃的に座ったり重い人が寝てもベッドが揺れたりするのを防止することができる。
【0052】
又、該収納ベッドの裏面側には拘束ベルト用の孔47がベッドの長手方向に移動可能に設けられているので、前記第1の実施の形態で示した最も重度の状態の患者の場合にも拘束ベッドを用意する必要はなく、拘束などに直ちに対応することができる。
【0053】
更に又、2番目の状態の患者の場合においては、歩く方がストレスの解消となるので該収納ベッド42を収納して歩くための床面を広くすることができる。
【0054】
又、収納時にはベッドが囲い壁1aと同一面をなしているので、転倒や打撲などの事故を防止することができる。
【0055】
本発明の第6の実施の形態を図11及び図12により説明する。
【実施例6】
【0056】
この第6の実施の形態においては、前記居住室2の囲い壁1a内に収納テーブル52を設けて患者の病状や必要に合せてテーブルを使用できる様にしてアメニティを向上できることが特徴である。
【0057】
前記第1の実施の形態で示した居住室2の囲い壁1a内の床面から0.8メートル程度の高さ位置において、収納テーブル52をその根部52aを該囲い壁1aに設けた凹部に枢支し、該根部52aに真近いテーブルの下面と囲い壁1aの下側の角が当接して該収納テーブル52は水平となるが、更に補強のためにく字形に折曲するストッパー金具53を該収納テーブル52の上面と該囲い壁1aの凹部内との間に架設してもよい。
【0058】
収納する時には、矢印で示す如く収納テーブル52の先端部52bを上方に起立させると前記ストッパー金具53は鋭角状に折曲し、該先端部52bの個所において前記囲い壁1aに設けておいたロック54により施錠して係止する。又、該収納テーブル52の下面側にはクッション材55を付着してあり該クッション材55の表面と前記囲い壁1aとは収納時に略同一面となる。
【0059】
この様に、テーブルが壁面に収納されているので食事などで使用する必要な時には直ちに出現させることができ、不使用時には壁面に収納されるので邪魔とならず患者の事故を防止することができ、又クッション材55が張られていることにより叩いても怪我など防止することができると共に遮音にも役立つことができる。
【0060】
又、状態が好転してきた患者の場合は、収納テーブル52は出したままにすることができ、患者は本を読んだり、何かを書いたりすることができる。
【0061】
尚、テーブルの収納方法は、上記の方法に限定するものではない。
【0062】
本発明の第7の実施の形態を図13により説明する。
【実施例7】
【0063】
この第7の実施の形態においては病状が好転してきた患者の状態に合わせて個室のアメニティを向上できることが特徴である。
【0064】
前記第1の実施の形態で示した居住室2の囲い壁1aの1部に凹部64を予め設けておき、通常は該凹部64にクッション材65aを内在した保護カバー65を施錠可能に設けて前記囲い壁1aと同一面となる様に形成している。
【0065】
病状の良い患者の場合には該保護カバー65を取り外し、その凹部64に絵画62或いは液晶などの薄形のテレビ63を嵌着させる。尚、66はロック錠を示す。
【0066】
尚、前記保護カバー65の裏面に予め絵画62を設けておいて該保護カバー65を裏返してもよく、又、前記凹部に予め絵画62やテレビ63を設置しておいてもよく、その場合は保護カバー65は左右に両開きとする。
【0067】
この様に、病状が好転した前記第1の実施の形態で述べた4番目と5番目の患者は前記居住室2で絵やテレビを見ることができる様にして、病状に合せて一つの個室を居間の様に居心地よく変化させることができる。
【0068】
本発明の第8の実施の形態を図14により説明する。
【実施例8】
【0069】
本発明の第8の実施の形態においては、トイレ室のロールペーパーの取り外しを防止することが特徴である。
【0070】
前記第1の実施の形態で示したトイレ室3の囲い壁1aの床面から0.5メートル程の高さ位置に凹部73を設けて、該凹部73の開口の両側部73aの中間部に各々所定長さのL1の支承片72を設け、該支承片72は常にロールペーパーの軸芯に対向する様にバネなどにより付勢されながら係止しており、図14に示す如く凹部73の奥行方向に回動可能に前記両側部73aに根部72aを枢支されている。
【0071】
又、凹部73の奥行面73b迄のロールペーパーの軸芯位置からの長さLは支承片72の所定長さL1とロールペーパーの軸芯径L2の和にほぼ等しく形成している。尚、2点鎖線はロールペーパー74を示す。
【0072】
ロールペーパー74を支承するには凹部73の開口から該ロールペーパー74を挿入すると該ロールペーパー74の両側部に当接して支承片72は当初の対向している位置から奥行方向に回動するが該ロールペーパー74の軸芯74aが挿入してくると該軸芯74aの空間部分に回動していた支承片72が入り込んで直ちに付勢バネの力で当初の対向位置に戻って係止して該ロールペーパー74は支承される。
【0073】
もし使用途中のロールペーパー74を手前に引いても係止している支承片72によって軸芯74aが引っ掛かり抜くことができず、又図15に示す如く奥へ押しても残っているロールペーパーにより該軸芯74aの空間部に該支承片72は途中迄しか行かないのでロールペーパー74を外すことができない。しかし残っているペーパーが無くなり軸芯74aだけとなると図16に示す如くこの空の軸芯74aを奥行面73b方向に押すと前記支承片72は軸芯74aに押されて両側面部73aに沿って回動し、軸芯74aの手前側からも該支承片72の先端部が外れて該軸芯74aを抜くことができる。
【0074】
この様にして、使用途中のロールペーパーは抜けず、最後までロールペーパーを使い切ることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 精神疾患患者治療用の個室システム
1a 囲い壁
1b 第1仕切壁
1c 第2仕切壁
2 居住室
3 トイレ室
4 洗面室
5 ドア
6 ベッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住室と少なくともトイレ室からなる治療用個室の窓を屋内側を衝撃に強い2重窓に形成すると共に、該2重窓の上方中間部に上下方向に伸縮可能なロールカーテンを設けたことを特徴とする精神疾患患者治療用個室システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−1737(P2010−1737A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232127(P2009−232127)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【分割の表示】特願2001−69712(P2001−69712)の分割
【原出願日】平成13年3月13日(2001.3.13)
【出願人】(391005813)株式会社神田製作所 (8)
【Fターム(参考)】