説明

精算システム、精算方法、及び現金精算装置

【課題】顧客からの預かり金にリジェクト貨幣が含まれていてもレジスタにおける売上金額を変更することなく精算処理を行うことができ、かつ装置コストを抑えた精算システムを提供する。
【解決手段】精算システム2は、顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報の手入力を受けつける受付部と、購入商品の合計金額、及び前記受付部を介して手入力された手入力情報を現金精算装置11へ送信する送信部と、を有するレジスタ40と、投入された貨幣を識別及び計数して投入金額を算出し、前記投入金額とレジスタ40から受信した前記手入力情報とを用いて顧客からの預かり金の総額を算出し、前記総額及びレジスタ40から受信した前記合計金額に基づいて釣銭額を算出し、釣銭貨幣を出金する現金精算装置11とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手入力された入金額をレジスタから受け取り、釣銭額を算出して釣銭貨幣を出金する現金精算装置を備えた精算システム、この精算システムを用いた精算方法、及び現金精算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗には、紙幣及び硬貨の入金処理及び出金処理を行う現金精算装置と、顧客の購入商品の登録を行って売上金額を算出するPOS(Point Of Sale)レジスタとを備えた精算システムが設けられている。
【0003】
このような精算システムを用いた精算処理の一例としては、まず、POSレジスタが売上金額を算出し、現金精算装置に通知する。現金精算装置は、顧客からの預かり金が投入されると、識別及び計数を行う。そして、現金精算装置は、顧客からの預かり金の総額から、POSレジスタから通知された売上金額を減じて釣銭額を算出し、釣銭を出金していた。
【0004】
顧客からの預かり金の貨幣に現金精算装置が受け付けないリジェクト貨幣が含まれていた場合、POSレジスタを操作して、当初算出していた売上金額から、リジェクト貨幣の分の金額を差し引いて売上金額を変更し、変更後の売上金額を現金精算装置に通知していた。しかし、売上金額を変更するため、上位機で管理している売上金額と、現金精算装置に収納されている貨幣の金額とが一致しなくなるという問題があった。
【0005】
特許文献1には、現金精算装置(釣銭機)と、現金精算装置に受け付けられなかった貨幣の金額が手入力される手入力受付手段を有するPOSレジスタと、を備えたシステムが開示されている。このシステムを用いた精算処理では、現金精算装置が、投入金額をPOSレジスタに通知する。POSレジスタは、手入力受付手段を介して手入力された手入力金額と、現金精算装置から通知された投入金額とを加算して顧客からの預かり金の総額を算出し、預かり金の総額から売上金額を減じて釣銭額を算出し、現金精算装置に釣銭の出金を指示していた。
【0006】
このように、特許文献1のシステムでは、顧客からの預かり金の貨幣に現金精算装置が受け付けないリジェクト貨幣が含まれていても、POSレジスタにおいて売上金額を変更する必要がなかった。しかし、このような精算処理を行うためには、現金精算装置から通知される投入金額の受信、顧客からの預かり金の総額や釣銭額の算出、現金精算装置への釣銭出金指示などの多くの機能を有するPOSレジスタを設ける必要がある。そのため、コストが高く、店舗への導入が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4194423号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、顧客からの預かり金にリジェクト貨幣が含まれていてもレジスタにおける売上金額を変更することなく精算処理を行うことができ、かつ装置コストを抑えた精算システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による精算システムは、貨幣の入金処理及び出金処理を行う現金精算装置と、購入商品の登録及び合計金額の算出を行うレジスタと、を備える精算システムであって、前記レジスタは、顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報の手入力を受けつける受付部と、前記購入商品の合計金額と、前記受付部を介して手入力された手入力情報とを前記現金精算装置へ送信する送信部と、を有し、前記現金精算装置は、投入された貨幣を識別及び計数して投入金額を算出し、前記投入金額と前記レジスタから受信した前記手入力情報とを用いて顧客からの預かり金の総額を算出し、前記総額及び前記レジスタから受信した前記合計金額に基づいて釣銭額を算出し、釣銭貨幣を出金するものである。
【0010】
本発明の一態様による精算システムにおいては、前記現金精算装置は、前記投入金額を前記レジスタに通知し、前記レジスタは、前記合計金額から前記投入金額を減じた金額のカード決済処理を行う決済処理部を有することが好ましい。
【0011】
本発明の一態様による精算システムにおいては、前記手入力情報は、前記現金精算装置に受け付けられなかったリジェクト貨幣の金種情報を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の一態様による精算システムにおいては、前記現金精算装置は、前記投入金額と、前記手入力情報とを区別して外部出力することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様による精算システムにおいては、前記現金精算装置は、投入された貨幣を識別する第1モードと、投入された貨幣を識別せずに受け付ける第2モードとを切り替えて設定できることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様による精算システムにおいては、前記現金精算装置は、前記第1モードの設定時に識別された貨幣を収納する第1収納部と、前記第2モードの設定時に投入された貨幣を収納する第2収納部と、を有することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様による精算方法は、現金精算装置及びレジスタを用いる精算方法であって、前記レジスタが、購入商品の合計金額を算出し、前記合計金額を前記現金精算装置へ送信する工程と、前記現金精算装置が、投入された貨幣を識別及び計数して投入金額を算出する工程と、前記レジスタが、顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報の手入力を受けつけ、手入力情報を前記現金精算装置へ送信する工程と、前記現金精算装置が、前記投入金額と前記レジスタから受信した前記手入力情報とを用いて顧客からの預かり金の総額を算出し、前記総額及び前記レジスタから受信した前記合計金額に基づいて釣銭額を算出し、釣銭貨幣を出金する工程と、を備えるものである。
【0016】
本発明の一態様による現金精算装置は、貨幣の入金処理及び出金処理を行う現金精算装置であって、購入商品の合計金額の算出及び顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報の手入力の受け付けを行うレジスタから、前記合計金額と、手入力された手入力情報とを受信する受信部と、投入された貨幣を識別及び計数して投入金額を算出し、前記投入金額及び前記レジスタから受信した前記手入力情報を用いて顧客からの預かり金の総額を算出し、前記総額及び前記レジスタから受信した前記合計金額に基づいて釣銭額を算出する算出部と、前記釣銭額に基づいて釣銭貨幣を出金する出金部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、顧客からの預かり金にリジェクト貨幣が含まれていてもレジスタにおける売上金額を変更することなく精算処理を行うことができ、かつ装置コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る現金管理システムのブロック図である。
【図2】同実施形態に係る現金精算装置の外観図である。
【図3】同実施形態に係る現金精算装置のブロック図である。
【図4】同実施形態に係る紙幣精算装置の断面図である。
【図5】同実施形態に係る硬貨精算装置の断面図である。
【図6】同実施形態に係るレジスタの外観図である。
【図7】同実施形態に係るレジスタのブロック図である。
【図8】同実施形態に係る精算方法を説明するタイミングチャートである。
【図9】同実施形態に係る精算方法を説明するタイミングチャートである。
【図10】変形例によるレジスタの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る精算システム2を備えた現金管理システム1の構成例を示すブロック図である。現金管理システム1は、店員が顧客から受け取った現金、および、店員が顧客へ支払う現金を処理および管理するシステムである。
【0021】
現金管理システム1は、店舗内のチェックアウトエリアに設けられており、店員が顧客との間でやりとりした現金を入金及び出金するチェックアウトカウンター10と、チェックアウトカウンター10の現金および商品を管理するバックオフィス20と、チェックアウトカウンター10とバックオフィス20との間において現金を搬送する現金搬送カセット30とから構成されている。
【0022】
チェックアウトカウンター10には、現金を入金および出金することにより顧客との精算処理を行う現金精算装置11、及び現金精算装置11と通信可能に接続され、顧客が購入する商品の登録を行うレジスタ40を有する精算システム2が設けられている。精算システム2は複数設けられていても良い。
【0023】
現金精算装置11は、店員または顧客自らによって操作され、店員と顧客との間の精算処理に用いられる。例えば、現金精算装置11は、顧客が支払った代金を入金し、あるいは、顧客へ支払う釣銭を出金する。レジスタ40は、例えば、店員によって操作されるPOSレジスタである。
【0024】
バックオフィス20には、現金出納装置21と、現金管理装置25と、POS管理装置26が設けられている。現金出納装置21は、現金精算装置11と通信可能に接続されており、例えば、現金精算装置11へ装填するための釣銭準備金を出金し、あるいは、現金精算装置11から回収した売上金を入金する。
【0025】
現金管理装置25は、LAN(Local Area Network)等を介して現金精算装置11および現金出納装置21と通信可能に接続されている。現金管理装置25は、現金精算装置11および現金出納装置21に収納されている現金を管理する。例えば、現金管理装置25は、現金精算装置11のそれぞれにおいて精算処理された現金、並びに、現金精算装置11と現金出納装置21との間で授受された現金を管理する。また、現金管理装置25は、現金精算装置11または現金出納装置21に現金搬送カセット30が装着されているか否かを監視してもよい。
【0026】
POS管理装置26は、LAN等を介してチェックアウトカウンター10に設けられているレジスタ40と通信可能に接続されており、商品の流れや店舗の売上を管理している。
【0027】
現金搬送カセット30は、現金精算装置11および現金出納装置21に着脱可能に構成されており、現金精算装置11または現金出納装置21に装着されているときには現金精算装置11または現金出納装置21との間で現金を授受することができる。一方、現金搬送カセット30は、現金精算装置11および現金出納装置21から離脱しているときには内部の現金を取出せないように収納している。店員は、現金搬送カセット30を用いて現金精算装置11と現金出納装置21との間における現金の搬送を行う。例えば、釣銭準備金の装填時あるいは売上金の回収時には、店員は、現金搬送カセット30を用いて現金を現金精算装置11と現金出納装置21との間で搬送する。店員は、現金の搬送時に現金搬送カセット30内の現金に触れることができないので、セキュリティ上安全な状態で現金を搬送することができる。
【0028】
現金搬送カセット30は、紙幣および硬貨のいずれか一方を搬送するように構成されていてもよく、両方を搬送できるように構成されていてもよい。紙幣用の現金搬送カセット30は、紙幣を積み重ねて収納するスタック式カセットであってもよく、あるいは、紙幣を一枚ずつ複数のテープ間に挟み込んだ状態で該テープを紙幣とともに巻き取るテープリール式カセットであってもよい。硬貨用の現金搬送カセット30は、金種混合の状態で硬貨を収納するカセットでよい。
【0029】
図2〜図5を用いて、現金精算装置11の構成について説明する。各現金精算装置11は、硬貨を入金および出金することにより精算処理を行う硬貨精算装置13と、紙幣を入金および出金することにより精算処理を行う紙幣精算装置12とを含む。
【0030】
以下、紙幣精算装置12の構成要素と硬貨精算装置13の構成要素とを区別するために、紙幣精算装置12の構成要素の参照番号に“a”を付し、硬貨精算装置13の構成要素の参照番号に“b”を付す。尚、硬貨精算装置13および紙幣精算装置12は、取り扱う対象が硬貨と紙幣とでそれぞれ異なるので具体的構成については相違するものの、図3に示す基本的なブロック構成については同様でよい。
【0031】
図2は、各現金精算装置11の一例を示す外観図である。現金精算装置11は、紙幣精算装置12および硬貨精算装置13を備える。紙幣精算装置12は、筐体100aと、入金部110aと、出金部120aとを備えている。入金部110aは、顧客から受け取った紙幣を投入するために設けられている。出金部120aは、釣銭紙幣を投出するために設けられている。筐体100aの前カバー101aを開けると、現金搬送カセット30を装着するためのカセット装着部(図4の160a参照)が設けられている。
【0032】
硬貨精算装置13は、筐体100bと、入金部110bと、出金部120bとを備えている。入金部110bは、顧客から受け取った硬貨を投入するために設けられている。出金部120bは、釣銭硬貨を投出するために設けられている。筐体100bの前カバー101bを開けると、現金搬送カセット30を装着するためのカセット装着部(図5の160b参照)が設けられている。
【0033】
図3は、現金精算装置11の構成例を示すブロック図である。現金精算装置11は、入金部110および出金部120のほか、搬送部130と、識別部140と、収納部150と、カセット装着部160と、メモリ170と、通信部180と、制御部190とをさらに備えている。
【0034】
搬送部130は、入金部110に投入された現金を収納部150へ搬送し、あるいは、出金部120から投出する現金を収納部150から搬送する。また、搬送部130は、現金を収納部150へ装填するためにカセット装着部160に装着された現金搬送カセット30内の現金を収納部150へ搬送し、あるいは、現金を収納部150から回収するために収納部150に収納された現金を現金搬送カセット30へ搬送できるように構成されている。
【0035】
識別部140は、搬送部130によって搬送されている現金の金種、真偽、正損、新旧、数量等を検知するように構成されている。例えば、識別部140は、イメージセンサまたは磁気センサ等のセンサを備えている。
【0036】
収納部150は、識別部140において識別された現金を金種ごとに収納することができるように構成されている。収納部150は、紙幣を収納する場合、各紙幣を金種ごとに積み重ねて収納するスタック式収納部でもよく、あるいは、各紙幣を金種ごとに複数のテープ間に挟み込んだ状態で該テープを紙幣とともに巻き取る複数のテープリール式収納部であってもよい。
【0037】
カセット装着部160は、現金搬送カセット30を着脱可能に構成されている。カセット装着部160は、現金搬送カセット30から現金を入金し、あるいは、現金搬送カセット30へ現金を出金することができるように構成されている。
【0038】
メモリ170は、現金精算装置11を制御する各種プログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)またはHDD(Hard Disk Drive)、および、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM(Random Access Memory)等を含む。メモリ170は、収納部150および現金搬送カセット30に収納されている現金の情報(金種、数量等)も記憶している。さらに、メモリ170は、識別部140で識別された現金の数量を金種ごとに記憶してもよい。
【0039】
通信部180は、現金処理システム1を構成する他の装置(現金出納装置21、現金管理装置25、POS管理装置26)やレジスタ40と通信可能に接続されている。
【0040】
制御部190は、メモリ170内のプログラムを実行して現金精算装置11の全体を制御するように構成された演算処理装置である。
【0041】
制御部190は、識別部140による識別・計数結果に基づいて、入金部110に投入された現金の金額(投入金額)を算出する。また、制御部190は、通信部180を介して、レジスタ40に手入力された顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報(以下、手入力情報という)をレジスタ40から受信し、この手入力情報及び投入金額に基づいて、顧客からの預かり金の総額を算出する。
【0042】
さらに、制御部190は、通信部180を介して、レジスタ40から顧客の購入商品の合計金額を受信し、顧客からの預かり金の総額から、購入商品の合計金額を減じて、釣銭額を算出する。そして、制御部190は、算出した釣銭額の釣銭を出金するように現金精算装置11の各部を制御する。
【0043】
また、制御部190は、算出した投入金額と、レジスタ40から受信した手入力情報とを区別して現金管理装置25へ出力することができる。そのため、現金管理装置25は、実際に現金精算装置11内に収納されている現金の金額と、現金精算装置11内に収納されていないが入金処理された貨幣(例えばリジェクト貨幣)の金額とを区別して管理することができる。
【0044】
図4は、現金精算装置11のうち紙幣精算装置12の内部構成の一例を示す断面図である。紙幣精算装置12は入金部カバー111aを備えており、店員(又は顧客)は入金時に入金部カバー111aを開けて紙幣を入金部110aへ投入する。入金部110aは投入された紙幣を一枚ずつ搬送部130aへ繰り出すように構成されている。搬送部130aは、繰り出された紙幣を識別部140aに通過させた後、収納部150a、現金搬送カセット30または出金部120aへ搬送するように構成されている。識別部140aは、搬送されている紙幣の金種、真偽、正損、新旧、数量等を識別する。搬送部130aは、識別部140aによる識別結果に基づいて紙幣を金種ごとに収納部150aに収納する。
【0045】
尚、搬送部130aは、収納部150aがフルの場合等、必要に応じて、現金搬送カセット30に紙幣を搬送してよい。また、搬送部130aは、識別部140aにおいて紙幣を識別することができなかったり、偽造紙幣が識別されたりした場合、それを出金部120aへ投出するようになっている。
【0046】
一方、紙幣を出金するために、収納部150aは、紙幣を一枚ずつ搬送部130aへ繰り出すように構成されている。搬送部130aは、繰り出された紙幣を出金部120aへ搬送する。紙幣精算装置12は、出金部シャッタ121aを備えており、出金時に出金部シャッタ121aを開け、紙幣を投出する。
【0047】
このように、紙幣精算装置12は、入金部110aに投入された紙幣を収納部150aへ収納し、逆に、収納部150aに収納された紙幣を出金部120aへ投出することができる。即ち、紙幣精算装置12は、入金された紙幣を出金に再利用することができるように構成されている。
【0048】
現金搬送カセット30がカセット装着部160aに装着されている場合、紙幣精算装置12は、現金搬送カセット30から収納部150aへ紙幣を装填し、あるいは、収納部150aから現金搬送カセット30aへ紙幣を回収することができる。紙幣を装填する場合、現金搬送カセット30が紙幣を一枚ずつ搬送部130aへ繰り出す。搬送部130aは繰り出された紙幣を収納部150aへ装填する。紙幣を回収する場合、収納部150aが紙幣を一枚ずつ搬送部130aへ繰り出す。搬送部130aは繰り出された紙幣を現金搬送カセット30へ回収する。
【0049】
このように、紙幣精算装置12は、現金搬送カセット30を用いて紙幣の装填および回収を行うことができるように構成されている。
【0050】
図5(A)および図5(B)は、現金精算装置11のうち硬貨精算装置13の内部構成の一例を示す断面図である。図5(A)は硬貨精算装置13を側方から見た断面図であり、図5(B)は硬貨精算装置13を正面から見た断面図である。尚、図5(B)では、現金搬送カセット30および繰出部137bの図示を省略しており、収納部150bを図示している。
【0051】
硬貨精算装置13は、図5(B)に示すように入金部110bを備えており、店員(又は顧客)は入金時に硬貨を入金部110bへ投入する。このとき、複数の金種の硬貨は、混合された状態で投入されてよい。円盤型の繰出部133bは、入金部110bに投入された硬貨を一枚ずつ搬送部130bへ繰り出すように構成されている。搬送部130bは、繰り出された硬貨を識別部140bに通過させた後、収納部150b、現金搬送カセット30または出金部120bへ搬送する。識別部140bは、搬送されている硬貨の金種、真偽、正損、新旧、数量等を識別する。搬送部130bは、識別部140bによる識別結果に基づいて硬貨を金種ごとに選別し、硬貨を対応する金種の収納部150bに収納する。
【0052】
尚、搬送部130bは、収納部150bがフルの場合等、必要に応じて、硬貨を現金搬送カセット30または回収ボックス135bに搬送してよい。また、搬送部130bは、識別部140bにおいて硬貨がリジェクト硬貨であると識別された場合、そのリジェクト硬貨を出金部120bへ投出する。
【0053】
一方、硬貨を出金するために、収納部150bは、硬貨を一枚ずつ搬送部131bへ繰り出すように構成されている。複数の収納部150bは、金種別に貨幣を収納しており、それぞれ円盤型の繰出部153bを備えている。繰出部153bは、硬貨を一枚ずつ搬送部130bへ繰り出すように構成されている。搬送部130bは、繰り出された硬貨を出金部120bへ搬送する。これにより、硬貨精算装置13は、硬貨を出金部120bへ投出する。
【0054】
このように、硬貨精算装置13は、入金部110bに投入された硬貨を収納部150bへ収納し、逆に、収納部150bに収納された硬貨を出金部120bへ投出することができる。即ち、硬貨精算装置13は、入金された硬貨を出金に再利用することができるように構成されている。
【0055】
現金搬送カセット30がカセット装着部160bに装着されている場合、硬貨精算装置13は、現金搬送カセット30から収納部150bへ硬貨を装填し、あるいは、収納部150bから現金搬送カセット30bへ硬貨を回収することができる。硬貨を装填する場合、現金搬送カセット30は、図5(A)に示す繰出部137bに硬貨を投出する。このとき、現金搬送カセット30は、金種の混合された状態で硬貨を繰出部137bに投出してよい。繰出部137bは硬貨を搬送部131bに繰り出す。搬送部131bは繰り出された硬貨を繰出部133bへ搬送し、繰出部133bは、硬貨を一枚ずつ搬送部130bへ繰り出す。搬送部130bは、繰り出された硬貨を識別部140bに通過させた後、収納部150bまたは出金部120bへ搬送するように構成されている。識別部140bは、搬送されている硬貨の金種を識別する。搬送部130bは、識別部140bによる識別結果に基づいて硬貨を金種ごとに収納部150bに収納する。
【0056】
硬貨を回収する場合、硬貨精算装置13は、収納部150bから硬貨を一枚ずつ搬送部131bへ繰り出す。搬送部131bは繰り出された硬貨を現金搬送カセット30へ回収する。
【0057】
このように、硬貨精算装置13は、現金搬送カセット30を用いて硬貨の装填および回収を行うことができるように構成されている。
【0058】
次に、レジスタ40の構成について、図6及び図7を用いて説明する。図6はレジスタ40の外観を示し、図7はレジスタ40のブロック構成を示す。図6及び図7に示すように、レジスタ40は、各種情報を表示する表示部402と、店員から各種情報や指示についての手入力を受け付けるキーボード404と、取引内容を印字したレシートを出力するプリンタ406と、商品情報を読み取る読取部408と、現金精算装置11やPOS管理装置26と通信を行う通信部410と、制御部412と、メモリ414とを備えている。
【0059】
キーボード404は、顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報の手入力を受けつけることができる。ここで、手入力される情報は、例えば、現金精算装置11に入金できなかったリジェクト貨幣の金種別枚数である。
【0060】
読取部408は、例えば、顧客の購入商品に付されたバーコードを読み取るバーコードスキャナである。読取部408がバーコードを読み取ることで、レジスタ40は顧客の購入商品の商品情報を取得して登録することができる。
【0061】
図6に示すように、レジスタ40は、顧客に向けた表示部(カスタマーディスプレイ)402aを備えていてもよい。また、表示部402をタッチパネルにしてもよく、その場合、表示部402は、現金精算装置11に入金できないリジェクト貨幣についての情報の手入力を受けつけることができる。
【0062】
メモリ414は、現金精算装置11を制御する各種プログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)またはHDD(Hard Disk Drive)、および、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、メモリ414は、商品情報とその金額との組合せを有するテーブルを格納している。
【0063】
制御部412は、メモリ414内のプログラムを実行してレジスタ40の全体を制御するように構成された演算処理装置である。制御部412は、読取部408が読み取った商品情報を用いて、メモリ414内のテーブルを検索することで、商品の金額を求め、顧客が購入する商品の合計金額を算出することができる。
【0064】
また、制御部412は、購入商品の合計金額と、キーボード404が受け付けた手入力情報とを、通信部410を介して現金精算装置11へ送信することができる。また、制御部412は、通信部410を介して、顧客が購入する商品の商品情報をPOS管理装置26へ送信することができる。
【0065】
次に、このような現金精算装置11及びレジスタ40を有する精算システム2を用いた精算方法について説明する。
【0066】
まず、顧客の支払い貨幣中にリジェクト貨幣が含まれていない場合について、図8に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0067】
(ステップS101)顧客が購入する商品の商品情報がレジスタ40に登録され、購入金額が算出される。
【0068】
(ステップS102)レジスタ40が現金精算装置11に対して購入金額を送信する。
【0069】
(ステップS103)顧客の支払い貨幣が現金精算装置11に投入される。貨幣の投入は店員が行ってもよいし、顧客自ら行ってもよい。現金精算装置11は、投入された貨幣の識別・計数を含む入金処理を行う。
【0070】
(ステップS104)現金精算装置11が、投入金額を算出する。
【0071】
(ステップS105)現金精算装置11が、ステップS104で算出した投入金額を顧客からの預かり金の総額とし、この預かり金の総額及びステップS102でレジスタ40から受信した購入金額に基づいて釣銭額を算出する。
【0072】
(ステップS106)現金精算装置11が、ステップS105で算出した釣銭額に基づいて釣銭貨幣を出金する。具体的には、紙幣精算装置12が、出金部120aから釣銭紙幣を投出し、硬貨精算装置13が、出金部120bから釣銭硬貨を投出する。
【0073】
釣銭貨幣は店員が顧客に手渡してもよいし、投出された釣銭貨幣を顧客自ら受け取ってもよい。
【0074】
(ステップS107)現金精算装置11が、釣銭貨幣の出金完了をレジスタ40に通知する。
【0075】
(ステップS108)レジスタ40のプリンタ406が、顧客の購入商品の商品情報、購入金額、顧客の支払い額、釣銭額等を含む取引内容を印字したレシートを出力する。店員は、出力されたレシートを顧客に手渡す。
【0076】
次に、顧客の支払い貨幣中にリジェクト貨幣が含まれている場合について、図9に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0077】
(ステップS201)顧客が購入する商品の商品情報がレジスタ40に登録され、購入金額が算出される。
【0078】
(ステップS202)レジスタ40が現金精算装置11に対して購入金額を送信する。
【0079】
(ステップS203)顧客の支払い貨幣が現金精算装置11に投入される。貨幣の投入は店員が行ってもよいし、顧客自ら行ってもよい。現金精算装置11は、投入された貨幣の識別・計数を含む入金処理を行う。
【0080】
(ステップS204)現金精算装置11が、リジェクト貨幣を返却する。具体的には、紙幣精算装置12が、出金部120aからリジェクト紙幣を投出し、硬貨精算装置13が、出金部120bからリジェクト硬貨を投出する。
【0081】
(ステップS205)現金精算装置11が、リジェクト貨幣を除いた貨幣についての投入金額を算出する。
【0082】
(ステップS206)店員がリジェクト貨幣を目視確認し、リジェクト貨幣についての情報(例えば金種別枚数や金額)をキーボード404から手入力する。リジェクト貨幣は図示しないドロア等に収納される。
【0083】
(ステップS207)レジスタ40が、ステップS206で手入力された情報(手入力情報)を現金精算装置11へ送信する。
【0084】
(ステップS208)現金精算装置11が、ステップS205で算出した投入金額と、ステップS207でレジスタ40から受信した手入力情報とを用いて、顧客からの預かり金の総額を算出する。
【0085】
(ステップS209)現金精算装置11が、ステップS208で算出した預かり金の総額及びステップS202でレジスタ40から受信した購入金額に基づいて釣銭額を算出する。
【0086】
(ステップS210)現金精算装置11が、ステップS209で算出した釣銭額に基づいて釣銭貨幣を出金する。具体的には、紙幣精算装置12が、出金部120aから釣銭紙幣を投出し、硬貨精算装置13が、出金部120bから釣銭硬貨を投出する。
【0087】
釣銭貨幣は店員が顧客に手渡してもよいし、投出された釣銭貨幣を顧客自ら受け取ってもよい。
【0088】
(ステップS211)現金精算装置11が、釣銭貨幣の出金完了をレジスタ40に通知する。
【0089】
(ステップS212)レジスタ40のプリンタ406が、顧客の購入商品の商品情報、購入金額、顧客の支払い額、釣銭額等を含む取引内容を印字したレシートを出力する。店員は、出力されたレシートを顧客に手渡す。
【0090】
このように、本実施形態に係る精算システム2によれば、顧客の支払い貨幣にリジェクト貨幣が含まれていても、レジスタ40における売上金額を変更する必要がないため、上位機(POS管理装置26)で管理している売上金額と、店舗内にある現金の金額とを一致させることができる。
【0091】
また、精算システム2では、現金精算装置11が釣銭額の算出を行う。レジスタ40は、購入商品の合計金額を算出する機能と、この合計金額、及び店員から手入力されたリジェクト貨幣等についての情報を現金精算装置11へ送信する機能を有していればよく、現金精算装置11から投入金額を受信する機能、釣銭額を算出する機能、現金精算装置11へ釣銭出金指示を出力する機能などを有する必要は無い。そのため、レジスタ40を低コストに構成することができ、精算システム2を店舗に容易に導入することができる。
【0092】
レジスタ40は、クレジットカード等を用いてカード決済処理を行う決済処理部を備えていても良い。例えば、カード決済処理部は、図10に示すようなカード情報を読み取るカード読取部420及び暗証番号等の入力を受け付ける入力部421と、カード会社等と通信を行い、カードの使用可否について判定を行う判定部(図示せず)とを有している。このようなカード決済処理部を設けることで、レジスタ40は、顧客の購入金額についてカード決済を行うことができる。
【0093】
レジスタ40に、現金精算装置11から、投入金額についての情報を受信する機能をさらに設け、投入金額が購入金額より少ない場合に、差額をカード決済できるようにしてもよい。
【0094】
上記実施形態では、リジェクト貨幣をドロア等に収納していたが、現金精算装置11に収納できるようにしてもよい。この場合、現金精算装置11は、投入された貨幣を識別して収納部150に収納する自動入金モードと、投入された貨幣を識別せずに受け付けて収納部150に収納するマニュアル入金モードとを切り替えて設定できるようになっていることが好ましい。
【0095】
また、現金精算装置11には複数の収納部150が設けられているので、自動入金モード設定時に識別部140で識別された貨幣を収納する収納部150と、マニュアル入金モード設定時に投入された貨幣を収納する収納部150と、が異なるようにしてもよい。このように、入金モードに応じて使用する収納部150を変えることで、正常な貨幣と、リジェクト貨幣とを区別して収納することができる。また、正常な貨幣のみを、出金用の貨幣として再利用することができる。
【0096】
また、現金精算装置11は、マニュアル入金モード設定時に投入された貨幣の枚数をカウントし、カウント値と、レジスタ40から受信した手入力情報に基づくリジェクト貨幣の枚数とを照合してもよい。
【0097】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 現金管理システム
2 精算システム
10 チェックアウトカウンター
11 現金精算装置
12 紙幣精算装置
13 硬貨精算装置
20 バックオフィス
21 現金出納装置
25 現金管理装置
26 POS管理装置
30 現金搬送カセット
40 レジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の入金処理及び出金処理を行う現金精算装置と、
購入商品の登録及び合計金額の算出を行うレジスタと、
を備える精算システムであって、
前記レジスタは、
顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報の手入力を受けつける受付部と、
前記購入商品の合計金額と、前記受付部を介して手入力された手入力情報とを前記現金精算装置へ送信する送信部と、
を有し、
前記現金精算装置は、投入された貨幣を識別及び計数して投入金額を算出し、前記投入金額と前記レジスタから受信した前記手入力情報とを用いて顧客からの預かり金の総額を算出し、前記総額及び前記レジスタから受信した前記合計金額に基づいて釣銭額を算出し、釣銭貨幣を出金することを特徴とする精算システム。
【請求項2】
前記現金精算装置は、前記投入金額を前記レジスタに通知し、
前記レジスタは、前記合計金額から前記投入金額を減じた金額のカード決済処理を行う決済処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の精算システム。
【請求項3】
前記手入力情報は、前記現金精算装置に受け付けられなかったリジェクト貨幣の金種情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の精算システム。
【請求項4】
前記現金精算装置は、前記投入金額と、前記手入力情報とを区別して外部出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の精算システム。
【請求項5】
前記現金精算装置は、投入された貨幣を識別する第1モードと、投入された貨幣を識別せずに受け付ける第2モードとを切り替えて設定できることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の精算システム。
【請求項6】
前記現金精算装置は、
前記第1モードの設定時に識別された貨幣を収納する第1収納部と、
前記第2モードの設定時に投入された貨幣を収納する第2収納部と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の精算システム。
【請求項7】
現金精算装置及びレジスタを用いる精算方法であって、
前記レジスタが、購入商品の合計金額を算出し、前記合計金額を前記現金精算装置へ送信する工程と、
前記現金精算装置が、投入された貨幣を識別及び計数して投入金額を算出する工程と、
前記レジスタが、顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報の手入力を受けつけ、手入力情報を前記現金精算装置へ送信する工程と、
前記現金精算装置が、前記投入金額と前記レジスタから受信した前記手入力情報とを用いて顧客からの預かり金の総額を算出し、前記総額及び前記レジスタから受信した前記合計金額に基づいて釣銭額を算出し、釣銭貨幣を出金する工程と、
を備える精算方法。
【請求項8】
貨幣の入金処理及び出金処理を行う現金精算装置であって、
購入商品の合計金額の算出及び顧客からの預かり金の少なくとも一部に対応する情報の手入力の受け付けを行うレジスタから、前記合計金額と、手入力された手入力情報とを受信する受信部と、
投入された貨幣を識別及び計数して投入金額を算出し、前記投入金額及び前記レジスタから受信した前記手入力情報を用いて顧客からの預かり金の総額を算出し、前記総額及び前記レジスタから受信した前記合計金額に基づいて釣銭額を算出する算出部と、
前記釣銭額に基づいて釣銭貨幣を出金する出金部と、
を備える現金精算装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−203446(P2012−203446A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64593(P2011−64593)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】