説明

精米器

【課題】網状部が破損しにくく、米中の糠の残量を少なくすることができる精米器を提供すること。
【解決手段】精米器本体2と、この精米器本体2に着脱自在に収容される糠受容器3と、この糠受容器3内に着脱自在に収容されると共に米Rの粒を通さず且つ糠Bを通す大きさの孔を多数形成した網状部24が設けられた精米容器4と、この精米容器4内に設けられると共に前記精米器本体2内の電動機16の回転に伴って回転する精米体5とを有する精米器1であって、前記精米容器4の底部に、前記精米体5の中心から撹拌部である棒状体35の先端までの寸法よりも半径が大きく、且つ前記棒状体35の下端よりも外周部27Aの外縁の高さが低い、耐摩耗性に優れた金属製の円板部27を設けたことで、前記精米容器4を摩耗により破損させにくくすることができるばかりでなく、前記精米容器4からの糠Bの排出を妨げないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的少量の米を精米するのに適した家庭用の小型精米器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の精米器としては、電動機によって回転させられる精米体によって、精米容器内の米を攪拌し、この米を前記精米容器の側周部の網状部に擦り付けることで、前記米の表面の糠を削り落として白米にする、家庭等で用いられる卓上型の精米器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。なお、前記精米容器は、糠受容器内に着脱自在に収容される。そして、米から削り落とされた糠は、前記網状部の外に排出され、前記糠受容器内に溜められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−229558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような精米器は、米との摩擦によって、徐々に前記網状部が摩耗し、破れてしまうという問題があった。なお、本出願人が検証した限りでは、前記網状部の破れる箇所は、前記精米体の先端が描く軌跡の下方の内側であることが多いことが判明している。即ち、前記精米体の下方において、前記網状部と米との摩擦が大きいことが判る。また、このような精米器は、糠と共に遠心力によって前記網状部の外に流れた気流が、前記網状部の上部からこの網状部内に流入するので、一度前記精米容器から排出された糠の一部が、気流と共に再び前記精米容器内に流入したり、前記網状部に付着したりする虞があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、網状部が破損しにくい精米器を提供することを第一の目的とする。また、本発明は、米中の糠の残量を少なくすることができる精米器を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の精米器は、内部に電動機が設けられた精米器本体と、この精米器本体に着脱自在に収容される糠受容器と、この糠受容器内に着脱自在に収容されると共に米粒を通さず且つ糠を通す程度の大きさの孔を多数形成した網状部が設けられた精米容器と、この精米容器内に設けられると共に前記電動機の回転に伴って回転し前記精米容器内の米を撹拌する精米体とを有する精米器において、前記精米容器の底部に、耐摩耗性に優れた金属製の円板部を設けると共に、この円板部の半径が、前記精米体の中心から外端までの寸法よりも大きく、且つ前記円板部の外周端の高さが、前記精米体の撹拌部の下端よりも低いものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の精米器は、内部に電動機が設けられた精米器本体と、この精米器本体に着脱自在に収容される糠受容器と、この糠受容器内に着脱自在に収容されると共に米粒を通さず且つ糠を通す程度の大きさの孔を多数形成した網状部が設けられた精米容器と、この精米容器内に設けられると共に前記電動機の回転に伴って回転し前記精米容器内の米を撹拌する精米体とを有する精米器において、前記精米容器の網状部の上部外側に、略円筒状の遮蔽部を設けると共に、この遮蔽部の下端が、この精米器で精米可能な最小量の米が前記精米体により撹拌された際に前記網状部に沿って上昇可能な高さと同程度であるものである。
【0008】
更に、本発明の請求項3に記載の精米器は、請求項2において、前記遮蔽部の外面を滑らかに形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の精米器は、以上のように構成することにより、前記精米容器内に設けられた前記精米体を前記電動機によって回転させることで、前記精米容器内に収容された米が前記精米体の撹拌部によって攪拌され、前記網状部と擦れることで、米の表面の糠が除去され、前記精米容器の外に排出される。この際、前記精米容器において米が最も激しく擦れる部位、即ち前記精米体の撹拌部の先端が描く軌跡の下方の内側が、耐摩耗性に優れた金属製の円板部となっているので、前記精米容器を破損しにくくすることができる。また、前記円板部の外周端の高さが、前記精米体の撹拌部の下端よりも低いので、糠が前記網状部を通して前記糠受容器内に排出されるのが妨げられないようにすることができる。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の精米器は、以上のように構成することにより、前記精米容器内に設けられた前記精米体を前記電動機によって回転させることで、前記精米容器内に収容された米が前記精米体の撹拌部によって攪拌され、前記網状部と擦れることで、米の表面の糠が除去され、前記精米容器の外に排出される。そして、遠心力によって糠と共に前記網状部の外に流れた気流が、前記網状部の上部から再び前記精米容器内に流入する際に、前記遮蔽部によって、気流と共に一部の糠が前記精米容器内に流入するのを阻止することができる。更に、前記網状部の外側が前記遮蔽部によって覆われることで、気流に乗った一部の糠を前記網状部に付着させないようにすることができるので、前記精米容器を持ち上げた際における、糠の床等への落下を抑制することができる。
【0011】
更に、前記遮蔽部の外面を滑らかに形成したことで、気流に乗った一部の糠を前記遮蔽部の外面に付着させず、前記糠受容器内に落下させることができるので、前記精米容器を持ち上げた際における、糠の床等への落下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す精米器の断面図である。
【図2】同、精米容器の一部を切り欠いた側面図である。
【図3】同、精米容器周辺における米、糠、及び気流の動きを説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図3に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、図1の姿勢を基準として前後及び上下を規定し、図1の左側を前、右側を後とする。1は本発明の精米器である。この精米器1は、精米器本体2と、糠受容器3と、精米容器4と、精米体5と、蓋体6とを有して構成される。
【0014】
前記精米器本体2は、上外殻体7と下外殻体8とで構成される外殻体9を有する。そして、前記上外殻体7の上部前側には取付孔7Aが形成され、この取付孔7Aに操作部10が取り付けられる。また、前記上外殻体7の後側には、上方が開放した有底円筒凹状の収納凹部7Bが設けられると共に、この収納凹部7Bの底部中央には、貫通孔7Cが形成される。一方、前記下外殻体8の底部には取付凹部8Aが形成され、この取付凹部8Aにコードリール11が取り付けられる。また、前記下外殻体8の底部には、複数の脚取付部8Bが形成され、これらの脚取付部8Bに、それぞれゴム脚12が取り付けられる。そして、前記外殻体9の内部には、駆動機構13が収容される。この駆動機構13は、金属製のフレーム14及びベアリングケース15と、前記フレーム14の前部に取り付けられる電動機16と、前記フレーム14の後部に軸支される一次従動軸17と、前記フレーム14を貫通して下方に延びる前記電動機16の回転軸に取り付けられる小プーリ18と、前記フレーム14を貫通して下方に延びる前記一次従動軸17の下端に取り付けられる大プーリ19と、これらの小プーリ18と大プーリ19との間に掛け渡される無端状の駆動ベルト20と、前記ベアリングケース15を貫通して上方に延びる前記一次従動軸17の上端に取り付けられる一次接続部21とを有して構成される。なお、前記フレーム14の後部には、凹状の軸受嵌入部14Aが形成されると共に、この軸受嵌入部14Aを覆うようにして、前記フレーム14の上面に前記ベアリングケース15が取り付けられる。そして、このベアリングケース15の中央上部には、凹状の軸受嵌入部15Aが形成され、この軸受嵌入部15Aにベアリング22が嵌入固定されると共に、前記軸受嵌入部14Aにも別のベアリング23が嵌入固定される。そして、これらの上下一対のベアリング22,23により、前記フレーム4を貫通する前記一次従動軸17は、その中心軸が垂直方向となるように回動自在に軸支される。また、前記一次接続部21は、前記貫通孔7Cから前記収納凹部7B内に露出する。
【0015】
前記収納凹部7Bには、米Rから取り除かれる糠Bを受けるための前記糠受容器3が着脱自在に挿入される。この糠受容器3は、ほぼ有底円筒状に形成され、その底部3Aの中央には、前記収納凹部7Bの貫通孔7Cに対応してこの貫通孔7Cと同軸的に貫通孔3Bが形成されると共に、この貫通孔3Bから上方に延びて前記一次接続部21と後述する二次接続部31の外周を覆うように、筒状部3Cが形成される。
【0016】
そして、前記糠受容器3には、米Rを収容するための前記精米容器4が着脱自在に挿入される。この精米容器4は、網状部24と、この網状部24の下部に固定された底部材25と、前記網状部24の上部に固定された上縁部材26と、前記網状部24の底部の内側に設けられた円板部27と、前記網状部24の上部の外側に設けられた遮蔽部28を有して構成される。前記網状部24は、略円筒状の側周部24Aと、底部24Bと、これらを滑らかに接続する湾曲部24Cとを有して構成される。なお、前記底部材25の中央には、上方に突出した軸受筒部25Aが形成されると共に、その上端には軸孔25Bが形成される。また、前記底部材25には、前記精米容器4を前記糠受容器3に対して位置決めすると共に、取り除かれた糠B等が前記貫通孔7Cから前記精米器本体2内に侵入するのを防ぐための、短円筒状に形成された筒状部25Cが設けられる。そして、前記軸孔25Bを貫通して、二次従動軸29が、その中心軸が垂直となるように、前記軸受筒部25Aに対して回動自在に軸支される。更に、前記二次従動軸29の上端には、断面が角丸の正六角形となる係合軸部30が取り付けられると共に、前記二次従動軸29の下端には、前記一次接続部21に対応して二次接続部31が取り付けられる。そして、前記一次接続部21と二次接続部31とで、前記一次従動軸17の回転を前記二次従動軸29に伝達するカップリング32が構成される。一方、前記上縁部材26には、弦状の把持部33が揺動自在に取り付けられる。
【0017】
前記円板部27は、十分な厚さを有する鋼製である。そして、前記円板部27は、前記網状部24の底部24Bを上方から覆うように、前記精米容器4の内側に設けられる。そして、前記円板部27の外周部27Aは、前記網状部24の湾曲部24Cまで延びると共に、前記外周部27Aは、前記湾曲部24Cに沿って上向きに且つ滑らかに湾曲する。なお、前記円板部27は、前記軸受筒部25Aに対応した孔以外に孔が形成されず、滑らかな表面を有する。また、前記遮蔽部28は、前記網状部24の側周部24Aの上部を外側から覆うように設けられる。なお、前記遮蔽部28は、孔や凹凸が形成されず、滑らかな表面を有する。
【0018】
前記精米容器4内の二次従動軸29の係合軸部30には、前記精米容器4内の米Rを撹拌する前記精米体5が着脱自在に取り付けられる。この精米体5は、前記係合軸部30に係合した状態では、前記精米容器4の内部に位置する。そして、前記精米体5は、前記係合軸部30に係合した状態で、この係合軸部30、ひいては前記二次従動軸29と同軸となる軸体34と、この軸体34の下部からこの軸体34の軸方向に対して放射方向に突出して設けられた一対の撹拌部としての棒状体35とで構成される。なお、前記係合軸部30に対応して、断面が正六角形となる係合孔部36が前記軸体34に形成されることで、この軸体34は、前記係合軸部30、ひいては前記二次従動軸29に対して回り止めされた状態で係合される。また、前記棒状体35は、ステンレス鋼等によって円柱状に形成される。
【0019】
なお、前記円板部27の外周部27Aの外縁は、撹拌部である前記棒状体35の先端35Aが描く軌跡よりも外側まで延びる。また、前記円板部27の外周部27Aの外縁は、撹拌部である前記棒状体35の下端35Bよりも低い。更に、前記遮蔽部28の下端部28Aは、前記精米容器4内に収容された最低精米量の米Rが、前記精米体5の回転によって撹拌されることで、前記網状部24の側周部24Aに沿って上昇する高さと同程度に設定される。なお、本例では、最低精米量は、約0.18L(1合)である。
【0020】
更に、前記収納凹部7B、糠受容器3及び精米容器4の上部を覆うように、前記蓋体6が着脱自在に取り付けられる。なお、この蓋体6は、前記精米容器4の内部が視認できるように、全体が透明な合成樹脂によって構成される。
【0021】
次に、上記構成の作用について説明する。まず使用者は、前記精米容器4の二次従動軸29の係合軸部30に前記精米体5を取り付けた後、前記精米容器4内に所定量の米Rを収容する。また、前記糠受容器3を前記精米器本体2の収納凹部7Bに取り付ける。この際、前記カップリング32を構成する前記一次接続部21は、前記貫通孔3Bから上方が露出すると共に、前記筒状部3Cによって外周側方が覆われる。そして、前記精米体5が取り付けられると共に米Rが収容された前記精米容器4を、前記糠受容器3の内側に装着する。この際、前記カップリング32を構成する前記二次接続部31が前記筒状部3C内に挿入されて前記一次接続部21と係合すると共に、前記筒状部25Cが前記筒状部3Cの上部外側を覆うように装着されることで、前記精米容器4が前記糠受容器3に対して位置決めされる。更に、前記収納凹部7Bの上部開口を前記蓋体6によって閉じた後、前記コードリール11から図示しないコードを引き出して、同じく図示しない交流電源に接続し、前記操作部10を操作して電源を投入する。次に、精米容器4に収容された米Rの量や目標精米度に基づいて前記操作部10を操作することで、前記電動機16の制御パラメータが変更される。詳述すると、米Rの量の多少及び目標精米度によって、前記電動機16、即ち精米体5の回転数が図示しない制御回路によって制御される。即ち、前記制御回路は、米Rの量が多いほど前記精米体5の回転数が高く、米Rの量が少ないほど前記精米体5の回転数が低くなるように、前記電動機16の回転数を制御する(2000〜3000回転/分)。また、前記制御回路は、目標精米度が高いほど前記精米体5の駆動時間が長く、目標精米度が低いほど前記精米体5の駆動時間が短くなるように、前記電動機16の駆動時間を制御する。なお、このような回転数や駆動時間は、米Rの量と精米度を指定することによって、算出されるか、或いはデータテーブルから読み出される。
【0022】
このようにして、精米量や目標精米度を考慮した前記電動機16の制御パラメータを算出した或いは読み込んだ後、前記操作パネル10を操作すると、前記制御回路からの制御信号により駆動回路を介して電動機16が駆動される。そして、前記電動機16の駆動力は、小プーリ18から駆動ベルト20、大プーリ19、第一従動軸17、カップリング32、及び二次従動軸29を経て、前記精米体5を回転させる。なお、前記精米体5は、前記小プーリ18と大プーリ19の半径の比率によって、前記電動機16の回転数に対して所定の減速比で減速されて回転する。そして、前記精米体5を回転させることで、前記精米容器4内の米Rが攪拌されると共に前記精米体5の回転に連れ回ることで、米Rの粒同士が擦れ合い、又は米Rの粒と前記精米容器4とが擦れ合い、これによって米Rは精米される。なお、米Rの粒は、前記精米容器4内において、円柱状の前記棒状体35をスムーズに乗り越えるように、或いは円柱状の前記棒状体35をスムーズにくぐり抜けるように動く。このため、米Rが必要以上に激しく動かないので、摩擦や衝突による米Rの温度上昇を低く抑えることができる。そして、米Rの温度上昇が抑えられることで、米Rの水分の減少量を低く抑え、砕米の発生を低く抑えることができるばかりでなく、熱による酸化も抑えられるので、食味の劣化も抑えることができる。また、前記棒状体35が比較的太い円柱状であり、回転方向前端が鈍いため、前記棒状体35が米Rの粒に衝突した際に、この米Rの粒の局所に衝撃が集中しないので、砕米の発生を低く抑えることができる。
【0023】
米Rから擦り取られた糠Bは、前記精米容器4の網状部24から、気流Fと共に排出され、前記糠受容器3内に貯められる。そして、前記底部25に設けられた前記筒状部25Cが前記筒状部3Cの上部外側を覆うように装着されることで、糠B等が前記貫通孔7Cから前記精米器本体2内に侵入することが防止される。
【0024】
なお、前記米Rは、前記網状部24を形成する鋼に比べれば軟らかいものであるが、大量の米Rが前記網状体24と長い期間擦れることで、前記網状体24を摩耗させる。そして、この網状体24の摩耗が進行すると、前述した通り、前記網状体24が破れる虞がある。しかしながら、前記網状部24の底部の内側に、十分な厚さを有する鋼製の前記円板部27を設けたことで、前記網状部24と米Rとの摩擦が最も大きくなる前記棒状体35の下方が摩耗しにくいので、前記精米容器4が破損しにくい。特に、前記円板部27の外周部27Aの外縁が、前記棒状体35の先端35Aが描く軌跡よりも外側まで延びるので、前記網状部24と米Rとの摩擦が最も大きくなる前記棒状体35の下方全体を摩耗させにくくすることができる。また、前記円板部27に、前記軸受筒部25Aに対応した孔以外に孔がなく、滑らかな表面を有することで、前記円板部27と米Rとの摩擦を小さくすることができるので、前記円板部27自体の摩耗を最小限に抑えることができる。
【0025】
なお、前記円板部27に孔が形成されないので、前記米Rから取り除かれた糠Bは、下方に排出されない。しかしながら、前記円板部27の外周部27Aの外縁が前記棒状体35の下端35Bよりも低いので、前記米Rから取り除かれた糠Bが気流Fと共に前記網状部24から遠心力の働く水平方向に排出されることは、前記円板部27によって妨げられることがない。更に、前記円板部27と米Rとの摩擦が小さく、且つ、前記円板部27の外周部27Aが前記湾曲部24Cに沿って上向きに滑らかに湾曲するので、前記精米体5によって撹拌された米Rは、従来の構造と比較して、遠心力によって前記外周部27Aに向かって勢いよく移動した後、この外周部27Aに沿って滑らかに且つ勢いよく上向きに上昇する。そして、勢いよく上昇した前記米Rは、前記網状部24の側周部24Aに沿って上昇し、この側周部24Aと擦れることで、糠Bが取り除かれる。なお、前述した通り、前記米Rが前記側周部24Aに沿って勢いよく上昇することで、従来の構造に比べて前記米Rが前記側周部24Aに沿って高い位置まで達する。このため、前記側周部24Aにおいて米Rが擦れる面積を、従来の構造に比べて大きくすることができる。従って、前記網状部24の底部24Bに米Rが擦れないことによる精米効率の低下を抑えることができる。
【0026】
なお、前記米Rは、前記側周部24Aに沿う高い位置ほど、前記網状部24との摩擦によって回転速度が低下する。従って、前記側周部24Aに沿う高い位置ほど、前記米Rに働く遠心力は低下する。このため、遠心力によって前記精米容器4から排出される気流Fは、前記側周部24Aに沿って上方ほど弱くなり、ある高さHから上では、逆に前記精米容器4内に流入する。なお、この高さHは、精米量が少なければ低く、精米量が多ければ高くなる。そして、この高さHより上では、前記米Rは、前記精米容器4の中央に向かって移動する。換言すれば、この高さH以下では、前記米Rは前記側周部24Aに沿って移動する。従って、気流Fに乗った糠Bは、この高さHより上で、前記網状部24の側周部24Aを通って、前記糠受容器3から前記精米容器4内に流入しようとする。しかしながら、前記側周部24Aの上部の外側が、貫通孔のない前記遮蔽部28によって覆われると共に、この遮蔽部28の下端部28Aが、最低精米量(本実施形態の場合は1合)における高さHと同程度に設定されるので、気流Fに乗った糠Bは、気流Fが前記精米容器4内に戻る際に、前記遮蔽部28に邪魔されて、前記精米容器4内への侵入が抑制される。また、前記糠Bが前記網状部24の側周部24Aに付着することも抑制される。このため、精米終了後に前記精米容器4を前記精米器本体2から取り出した際に、前記網状部24に付着した糠Bが床等に落下するという問題が発生しにくいようにすることができる。
【0027】
なお、前記米Rが最低精米量より多い場合、高さHは前記遮蔽部28の下端部28Aよりも高くなる。しかしながら、前記側周部24Aの外側が前記遮蔽部28によって覆われるので、前記遮蔽部28の下端部28Aよりも高い位置でも、米Rは前記網状部24と擦れることができる。従って、前記精米器1は、精米量によらず、前記網状部24の側周部24Aを有効に利用して、米Rを精米することができる。更に、前記側周部24Aの外側が前記遮蔽部28によって覆われるので、前記遮蔽部28によって前記精米容器4内への侵入が遮られた糠Bが、前記網状部24の側周部24Aに溜まらないようにすることができる。また、前記遮蔽部28自体に貫通孔や凹凸が形成されず、外面が滑らかなので、前記遮蔽部28によって前記精米容器4内への侵入が遮られた糠Bが、前記遮蔽部28の外面に付着しないようにすることもできる。このため、前記網状部24への糠Bの付着が抑制されることと相まって、精米終了後に前記精米容器4を前記精米器本体2から取り出した際に、前記精米容器4の外面に付着した糠Bが床等に落下するという問題が発生しにくいようにすることができる。
【0028】
以上のように本発明は、精米器本体2と、この精米器本体2に着脱自在に収容される糠受容器3と、この糠受容器3内に着脱自在に収容されると共に米Rの粒を通さず且つ糠Bを通す大きさの孔を多数形成した網状部24が設けられた精米容器4と、この精米容器4内に設けられると共に前記精米器本体2内の電動機16の回転に伴って回転し前記精米容器4内の米Rを撹拌する精米体5とを有する精米器1であって、前記精米容器4の底部に、前記精米体5の中心から撹拌部である棒状体35の先端までの寸法よりも半径が大きく、前記棒状体35の下端よりも外周部27Aの外縁の高さが低い、耐摩耗性に優れた金属製の円板部27を設けたことで、精米時、前記精米容器4内で米Rが最も激しく擦れる、前記精米体5の撹拌部35の先端が描く軌跡の下方の内側を摩耗により破損させにくくすることができるばかりでなく、前記精米容器4からの糠Bの排出を妨げないようにすることができるものである。
【0029】
また本発明は、精米器本体2と、この精米器本体2に着脱自在に収容される糠受容器3と、この糠受容器3内に着脱自在に収容されると共に米Rの粒を通さず且つ糠Bを通す大きさの孔を多数形成した網状部24が設けられた精米容器4と、この精米容器4内に設けられると共に前記精米器本体2内の電動機16の回転に伴って回転し前記精米容器4内の米Rを撹拌する精米体5とを有する精米器1であって、前記精米容器4を構成する前記網状部24の側周部24Aの上部外側を、下端28Aが、前記精米器1で精米可能な最小量の米Rが前記精米体5により撹拌された際に前記網状部24に沿って上昇可能な高さHと同程度となるように、略円筒状の遮蔽部28で覆ったことで、気流Fと共に糠Bが前記精米容器4内に流入するのを、前記遮蔽部28によって阻止することができるばかりでなく、気流に乗った一部の糠Bを前記網状体に付着させないようにして、前記精米容器4を持ち上げた際における、糠Bの床等への落下を抑制することができるものである。
【0030】
更に、本発明は、前記遮蔽部28が貫通孔や凹凸を有さず、外面が滑らかに形成されることで、気流に乗った一部の糠Bを前記遮蔽部の外面に付着させないようにして、前記糠受容器3内に落下させることができるので、前記精米容器4を持ち上げた際における、糠Bの床等への落下を抑制することができるものである。
【0031】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施形態では、円板部が網状部の底部の上方を覆うように設けられるが、円板部の外周部に網状部を接続するようにしても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 精米器
2 精米器本体
3 糠受容器
4 精米容器
5 精米体
16 電動機
24 網状部
24A
27 円板部
27A 外周部
28 遮蔽部
28A 下端部
35 棒状体(撹拌部)
35A 先端
35B 下端
R 米
H 米Rが網状部24に沿って上昇可能な高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電動機が設けられた精米器本体と、この精米器本体に着脱自在に収容される糠受容器と、この糠受容器内に着脱自在に収容されると共に米粒を通さず且つ糠を通す程度の大きさの孔を多数形成した網状部が設けられた精米容器と、この精米容器内に設けられると共に前記電動機の回転に伴って回転し前記精米容器内の米を撹拌する精米体とを有する精米器において、
前記精米容器の底部に、耐摩耗性に優れた金属製の円板部を設けると共に、この円板部の半径が、前記精米体の中心から外端までの寸法よりも大きく、且つ前記円板部の外周端の高さが、前記精米体の撹拌部の下端よりも低いことを特徴とする精米器。
【請求項2】
内部に電動機が設けられた精米器本体と、この精米器本体に着脱自在に収容される糠受容器と、この糠受容器内に着脱自在に収容されると共に米粒を通さず且つ糠を通す程度の大きさの孔を多数形成した網状部が設けられた精米容器と、この精米容器内に設けられると共に前記電動機の回転に伴って回転し前記精米容器内の米を撹拌する精米体とを有する精米器において、
前記精米容器の網状部の上部外側に、略円筒状の遮蔽部を設けると共に、この遮蔽部の下端が、この精米器で精米可能な最小量の米が前記精米体により撹拌された際に前記網状部に沿って上昇可能な高さと同程度であることを特徴とする精米器。
【請求項3】
前記遮蔽部の外面を滑らかに形成したことを特徴とする請求項2記載の精米器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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