説明

精米設備

【課題】
本発明は精米設備が故障した場合に、故障であることを利用者に分かりやすく表示して投入ホッパに誤って投入しないようにすることを目的とする。
【解決手段】
穀物を投入する投入ホッパ(12)と精米装置(16)とを備えた精米設備において、投入ホッパ(12)の投入口(12p)の上方には投入口(12p)の左右両側と及び後側を囲い部材(21)で囲う構成とし、該囲い部材の後側部(21a)は前上がりに傾斜して形成すると共に、投入口(12p)に対向する前記囲い部材の後側部(21a)の面には横軸芯で回動する回動板(22)を取り付け、該回動板(22)は前記精米装置(16)が故障するのを検出すると自重で前記投入口(12p)の上方に回動する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は利用者が料金を投入して持参した穀粒を精白処理する精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
料金を投入して利用者が持参した穀粒を投入ホッパに投入して精米装置で精米処理するする技術が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2000−176299号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
利用者は精米設備が故障で使用できないことに気がつかないで投入ホッパに持参した穀粒を誤って投入してしまうことがある。その後故障と気がついて投入ホッパから穀粒を取り出すのは手間が掛かる。本発明は精米設備が故障した場合に、故障であることを利用者に分かりやすく表示して投入ホッパに誤って投入しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、穀物を投入する投入ホッパ(12)と精米装置(16)とを備えた精米設備において、投入ホッパ(12)の投入口(12p)の上方には投入口(12p)の左右両側と及び後側を囲い部材(21)で囲う構成とし、該囲い部材の後側部(21a)は前上がりに傾斜して形成すると共に、投入口(12p)に対向する前記囲い部材の後側部(21a)の面には横軸芯で回動する回動板(22)を取り付け、該回動板(22)は前記精米装置(16)が故障するのを検出すると自重で前記投入口(12p)の上方に回動する構成としたことを特徴とする精米設備とする。
【0005】
この構成によると、利用者が投入ホッパ(12)に投入した穀粒を精米装置(16)で精米するが、精米装置(16)が故障を検出すると回動板(22)が自重で投入口(12p)の上方に回動して利用者に精米設備の故障であることを知らせるようにする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、回動板(22)と囲い部材の後側部(21a)とを横軸芯の支持軸(22a)とロック機構(23)とで連結し、精米装置(16)が故障したことを検出すると前記ロック機構(23)が解除され、前記回動板(22)が支持軸(22a)を軸芯に自重で回動落下して投入ホッパ(12)の投入口(12p)を覆う構成としたことを特徴とする請求項1記載の精米設備とする。
【0007】
この構成によると、精米装置(16)が故障したことを検出すると回動板(22)を支持するロック機構(23)が解除され支持軸(22a)を軸芯に自重で回動落下して投入ホッパ(12)の投入口(12p)を覆うことで利用者に精米設備の故障であることを知らせるようにする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、精米装置の故障により精米設備が利用できないことを検出すると投入ホッパ(12)の投入口(12p)の上方に回動して利用者に精米設備の故障であることを知らせることができるので、利用者が故障に気がつかずに投入ホッパ(12)に穀物を誤って投入することを防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、回動板(22)が投入ホッパ(12)の投入口(12p)を覆うことで精米設備の故障であることを利用者に分かりやすく知らせることができるので、気がつかずに投入ホッパ(12)に穀物を誤って投入することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
籾摺精米設備の一構成例についてのシステム展開図を図1に、籾摺精米設備の機器配置図を図2に示すように、矩形の建屋1内には、機械室2とその前側の操作スペースとしての客室3とを仕切壁11で仕切る。本実施の形態では客室側3を前、機械室2側を後ろとする。
【0011】
図3の客室側正面図に示すように、籾米投入用の投入ホッパ12と白米取出し用の白米タンク13を客室3に臨んで配置し、また、仕切壁11には精米処理の精白度の指定や料金投入のための操作部(操作盤)11aを設ける。白米タンク13から白米を受ける取出部には小袋対応のために引出式の中段受台13b、または、押し込み位置で折り畳まれる引出式の中段受台を組み込んで構成する。投入ホッパ12は仕切壁11の後方すなわち機械室2側に突出して配置する構成である。
【0012】
機械室2には、投入ホッパ12からその奥側方向に第1昇降機14eを介して接続する籾摺装置14、その下方の異物選別装置15と、異物選別装置15の後工程の第2昇降機16eを介して接続する精米装置16を配置し、その排出口16aを白米タンク13と接続して籾摺精米の一連の工程を構成するほか、精米装置16から糠吸引部16fを介して糠袋16bを配置し、また、籾摺装置14から建屋後方に向かって建屋の外側に籾殻を排出する排塵筒14uを配置する。
【0013】
投入ホッパ12は、図4の内部構成側面図に示すように、所定量の投入穀粒を繰出す回転螺旋機構であるラセン12vを投入口12p内に備え、中空軸モータによる駆動部12mを内設した荷受台12tを仕切壁11の前側すなわち客室側に構成する。31は投入ホッパ12に投入した穀粒から藁屑等の長尺物や大きな異物を分離選別する異物除去網であり、その下方には穀物の有無を検出する穀物有無検出センサ30を取り付けている。
【0014】
また、第1昇降機14e側の軸支位置を調整板12bで調整可能に構成することにより、従来のカップリングとベアリングを要することなく偏心荷重を抑えることができる上に、調整板12bを外せば、回転部を客室側に抜き出すことができるので、次に述べるフード21の分解を要することなく回転部のメンテナンスが可能となる。
【0015】
投入ホッパ12の投入口12pには、この投入口12pの左右及び後方の上方を囲むフード21を仕切壁11に開口した投入窓11wまで立ち上げる。このフード21は、
投入口12pの左側部21bと右側部21cとは起立状態に形成し、後側部21aは前上がり傾斜に形成されている。そのため、利用者による投入作業の邪魔になることなく、投入時の穀粒の散乱を抑えつつ投入ホッパ12が小さくても穀粒投入作業の際の容量以上の穀粒投入が可能となる。
【0016】
このフードの後側部21aの正面側には左右方向を軸芯とする支持軸22aで軸支し、かつロック機構23で支持されている蓋22を取り付けている。そして、蓋22の裏面には「故障」の表示を付している。この蓋22を支持するロック機構23は図5(a)のソレノイド式の電磁保持機構や図5(b)のロータリソレノイド式の電磁保持機構をフードの後側部21aの裏面側に取り付け、精米装置16をはじめとする装置各部の故障を検出するとロック解除する構成である。このように構成した蓋22は客室3側からのロック解除ができないため通常時はロック状態が維持され、精米装置16の故障の検出時はロック機構23がロック解除され蓋22がその自重によって投入口12pを覆うとともに「故障」を表示している裏面が上方を向いて利用者に故障であることを報知することができる構成である。
【0017】
蓋22の落下回動するタイミングについて以下さらに説明する。
精米装置16の電流値の負荷状態を検出する負荷検出手段(図示せず)が精米作業中に設定値以上の電流値を検出して過負荷を検出して停止すると故障と判定してロック機構を解除して蓋が回動落下する構成としている。この構成によると精米装置16が過負荷で停止した状態になったことを利用者が気がつかないで投入ホッパ12に穀粒を追加して投入することを防止することができる。
【0018】
また、精米作業中に穀物有無検出装置30等センサの故障を検出した場合には現在行なっている穀物の精米処理を行なった後にロック機構23を解除して蓋22を落下回動させることで次の利用者に故障であることを報知できる構成としている。この構成により、現在行なっている精米作業をむやみに停止することを防止できると共に、次の利用者が故障の状態の精米設備を使用することを防止することができる。
【0019】
第1昇降機14eには、図6の要部斜視図に示すように、排出側から穀粒を受ける切り替え流路14tに切換弁14cを介設して籾摺装置14を配置する。この籾摺装置14は、唐箕部14wから混合米を環流するいわゆる2番螺旋に代えて、唐箕部14wから自然落下する2本の粃還元路14sを他の穀粒路と合わせて受ける集合口(例えば、昇降機入口共通で任意に切断開口可能な樹脂製の3口用集合口)によって第1昇降機14eに供給する。
【0020】
異物選別装置15は、図7の構成図に示すように、傾斜揺動板15pに多数の通風孔15hを形成して送風ファン15mからの風を通過させることでより比重の大きい石を上送して穀粒を下送する石抜部15dの穀粒移送側に揺動選別板15qで穀粒と長尺物とを分離する長尺物選別部15aを直列に構成し、穀粒排出口15bと残米出口15cを先端と後端に備えて構成される。この異物選別装置15を建家側壁1sから精米装置16に向けて配置する。そして穀粒は建屋の左右方向すなわち建屋の側壁1sから精米装置16へ向かって異物を選別されながら移送される構成である。残米出口15cは、建家側壁1sと近接して第1昇降機14eに連通し、この第1昇降機14eから切換弁14cを介して第2昇降機16eに供給する残米送路14gを設ける。穀粒排出口15bは白米タンク13の奥側に配置した精米装置16の側面位置で第2昇降機16eと連通する。また14pは投入ホッパ12内に少量の穀粒が料金不足等で残留した際に第一昇降機14eから還元通路14qを経て投入ホッパ12の上方の還元口14rに排出するために切り替える還元用切替弁である。
【0021】
残米の取扱いは、図8の動作説明拡大図に示すように、傾斜揺動板15pの上端に穀粒が石とともに送られた時にシャッタ15sを開き、石通路15fからタンク15tに石を排出し、適宜のタイミングで切換弁15vにより残米出口15cに切換えて残米を第1昇降機14eに送る。これを第1昇降機14eから切換弁14cおよび残米送路14gを介して第2昇降機16eに供給する。
【0022】
上記構成の籾摺精米設備の稼動制御は、図9の見取図に示す操作部11aに従い、投入コインがコイン処理部11bで処理され、「籾利用」のボタン11cにより籾摺工程が付加され、「白度」の選択ボタン11dにより「上白」「標準」「8ぶ」の精米処理が設定されて籾摺精米設備が起動される。
【0023】
籾摺精米設備の起動により、投入ホッパ12内に投入された籾は、第1昇降機14eから籾摺装置14、異物選別装置15にて籾摺と異物選別処理がなされ、さらに、第2昇降機16eから精米装置16によって精米処理される。投入ホッパ12内の投入穀粒が尽きると異物選別装置15の残米が第1昇降機14eから残米送路14gと第2昇降機16eによって精米装置16に送られ、全穀粒が精米処理されて白米タンク13から取出し可能となる。
【0024】
この場合において、異物選別装置15を籾摺装置14の下方において建家側壁から精米装置16の側面に向けて配置することにより、長手方向である穀粒移送方向Wを建屋の左右方向sにすることで投入ホッパ12から異物選別装置15までの奥行き長さを抑えて構成できるとともに、残米を含む全穀粒が円滑に精米処理されることから客室が広く確保され、コース設定操作、穀粒投入操作、精白米取出し操作等を余裕を持って行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】籾摺精米設備の一例を示すシステム展開図である。
【図2】籾摺精米設備の機器配置図である。
【図3】仕切壁の客室側正面図である。
【図4】投入ホッパの内部構成側面図である。
【図5】ソレノイド式(a)およびロータリソレノイド式(b)の電磁保持機構である。
【図6】第1昇降機部の要部斜視図である。
【図7】異物選別装置の内部構成側面図である。
【図8】異物選別装置の残米排出動作説明図である。
【図9】操作部の見取図である。
【符号の説明】
【0026】
12 投入ホッパ
16 精米装置
12p 投入ホッパの投入口
21 囲い部材
21a 囲い部材の後側部
22 回動板
22a 支持軸
23 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を投入する投入ホッパ(12)と精米装置(16)とを備えた精米設備において、投入ホッパ(12)の投入口(12p)の上方には投入口(12p)の左右両側と及び後側を囲い部材(21)で囲う構成とし、該囲い部材の後側部(21a)は前上がりに傾斜して形成すると共に、投入口(12p)に対向する前記囲い部材の後側部(21a)の面には横軸芯で回動する回動板(22)を取り付け、該回動板(22)は前記精米装置(16)が故障するのを検出すると自重で前記投入口(12p)の上方に回動する構成としたことを特徴とする精米設備。
【請求項2】
回動板(22)と囲い部材の後側部(21a)とを横軸芯の支持軸(22a)とロック機構(23)とで連結し、精米装置(16)が故障したことを検出すると前記ロック機構(23)が解除され、前記回動板(22)が支持軸(22a)を軸芯に自重で回動落下して投入ホッパ(12)の投入口(12p)を覆う構成としたことを特徴とする請求項1記載の精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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